JP6978265B2 - 表面処理装置及び表面処理方法 - Google Patents
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Description
本発明は、かかる事情に鑑み、シリコン含有物を含む被処理基板の表面処理において、CF4等のフッ素系原料成分の分解効率を高くして、HF等のフッ素系反応成分の生成効率を高めるとともに、温暖化ガスの排出を抑え、ランニングコストや設備コストを低減可能な表面処理装置を提供することを目的とする。
前述したように、誘電体バリア放電方式による大気圧プラズマ表面処理装置からの使用済みのガスは、アーク放電式などの燃焼式除害装置によって熱分解される。反応式は、例えば下記である。
CF4+2H2O→4HF+CO2 (式1)
該燃焼式除害装置は、熱プラズマ(アーク放電)を利用するため、プラズマ温度が1000℃を超え、電気的な分解に加え、熱による分解反応も起き、除害効率は90%程度である。このようなアーク放電による熱分解方式を、原料ガスから反応ガスを生成する工程に適用すれば、生成効率が高まると考えられる。
本発明は、かかる考察に基づいてなされたものであり、本発明装置は、シリコン含有物を含む被処理基板を、フッ素系反応成分を含有する反応ガスによって表面処理する表面処理装置であって、
アーク放電を発生させる一対の電極を含み、前記アーク放電によってフッ素系原料成分を含有する原料ガスから前記反応ガスを生成するアーク放電部と、
前記アーク放電部からの反応ガスを前記被処理基板へ向けて吹出すノズル部と、
を備えたことを特徴とする。
また、本発明方法は、シリコン含有物を含む被処理基板を、フッ素系反応成分を含有する反応ガスによって表面処理する表面処理方法であって、
一対の電極を含むアーク放電部においてアーク放電を発生させるとともに、フッ素系原料成分を含有する原料ガスを前記アーク放電部に導入することよって前記反応ガスを生成する工程と、
前記アーク放電部からの反応ガスを前記被処理基板に接触させる工程と、
を備えたことを特徴とする。
フッ素系原料成分としては、CF4、C2F4、C2F6、C3F8等のPFC(パーフルオロカーボン)、CHF3、CH2F2、CH3F等のHFC(ハイドロフルオロカーボン)、SF6、NF3、XeF2、その他のフッ素含有化合物が挙げられる。この種のフッ素含有化合物は、化学的に安定である。
フッ素系反応成分は、前記シリコン含有物と反応可能な化合物であり、HF、COF2等が挙げられる。
好ましくは、前記アーク放電は大気圧近傍下で行われる。本明細書において大気圧近傍とは、1.013×104〜50.663×104Paの範囲を言い、圧力調整の容易化や装置構成の簡便化を考慮すると、1.333×104〜10.664×104Paが好ましく、9.331×104〜10.397×104Paがより好ましい。
当該表面処理装置によれば、CF4等のフッ素系原料成分をアーク放電によって分解することで、分解効率が高まり、HF等のフッ素系反応成分の生成効率が高まる。したがって、装置を小型化可能である。
前記トーチガスの流量に応じた流量のバランスガスを前記反応ガスに加えるバランスガス供給部と、
を更に備えていることが好ましい。
前記表面処理方法が、前記一対の電極間の放電電流に応じた流量のトーチガスを前記アーク放電部に供給する工程と、
前記トーチガスの流量に応じた流量のバランスガスを前記反応ガスに加える工程と、
を更に備えていることが好ましい。
放電電流が増大しようとしたらトーチガス流量を減らす。放電電流が減少しようとしたらトーチガス流量を増やす。これによって、放電電流を安定させることができる。
トーチガス流量を減らすときは、バランスガス流量を増やす。トーチガス流量を増やすときは、バランスガス流量を減らす。これによって、反応ガス全体の流量を安定させることができ、ひいては処理性能を安定させることができる。
トーチガス成分としては、窒素、その他の不活性ガスが挙げられる。
バランスガス成分としては、窒素、その他の不活性ガスが挙げられる。
バランスガス成分は、トーチガス成分と同じであることが好ましい。なお、バランスガス成分がトーチガス成分とは異なっていてもよい。
前記反応ガス中のフッ化水素蒸気及び水蒸気の露点が、前記アーク放電部から前記ノズル部の吹出口までの前記反応ガスの経路の最低温度より低温になるように、前記添加部の水添加量が調節されていることが好ましい。
前記表面処理方法において、前記原料ガスに水を添加するとともに、
前記反応ガス中のフッ化水素蒸気及び水蒸気の露点が、前記アーク放電部から前記ノズル部の吹出口までの前記反応ガスの経路の最低温度より低温になるように、前記水添加量を調節することが好ましい。
これによって、前記反応ガスの経路上でフッ酸水が凝縮するのを回避できる。
図1に示すように、本発明形態の被処理基板は、例えば液晶パネル用のガラス基板9である。ガラス基板9は、SiO2等のシリコン含有物を含む。該ガラス基板9の表面を表面処理装置1によってドライエッチング(表面処理)する。
なお、被処理基板は、ガラス基板に限られず、シリコンウェハなどであってもよい。
アーク放電部10は、一対の電極11,12を含む。電極11,12間には、交流又は直流電力が供給される。該電力供給によって、電極11,12間にアーク放電電流が発生する。アーク放電時の電極11,12の温度は、1000℃以上になる。
原料ガスは、フッ素含有ガスとキャリアガスを含む。
フッ素系原料成分としては、CF4、C2F4、C2F6、C3F8等のPFC(パーフルオロカーボン)、CHF3、CH2F2、CH3F等のHFC(ハイドロフルオロカーボン)、SF6、NF3、XeF2、その他のフッ素含有化合物が挙げられる。ここでは、フッ素系原料成分として、CF4が用いられている。
キャリアガスとしては、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガス、窒素、その他の不活性ガスが挙げられる。ここでは、キャリアガスとして、例えば窒素(N2)が用いられている。
吸込口22には、排気路29を介して、真空ポンプなどの吸引手段(図示省略)及び除害設備5が接続されている。除害設備5としては、例えばアルカリスクラバー除害装置が用いられている。
<原料ガス供給工程>
原料供給部2において、CF4とN2の混合ガスに水(H2O)を添加することで、原料ガスを生成する。該原料ガスをアーク放電部10の反応流路15に導入する。
<トーチガス供給工程>
併行して、トーチガス供給部3からトーチガス(N2)を反応流路15の上流側部分に供給する。トーチガスは、原料ガスと合流される。
電極11,12間に電力を供給し、反応流路15内にアーク放電プラズマ13を生成する。該アーク放電プラズマ13の温度は、数千℃に達する。このため、アーク放電プラズマ13内において、原料ガスがプラズマ化されるとともに1000℃〜数千℃に加熱される。これによって、CF4が、プラズマ分解及び熱分解されて、フッ素系反応成分であるフッ化水素(HF)を含む反応ガスが生成される。フッ化水素の生成反応式は、例えば下式である。
CF4+2H2O→4HF+CO2 (式1)
アーク放電プラズマ13におけるCF4の分解効率は、90%程度となる。したがって、例えば誘電体バリア放電を用いるよりもCF4の分解効率を格段と高めることができる。ひいては、HFの生成効率を格段と高めることができる。したがって、反応ガスを高HF濃度かつ低CF4濃度とすることができる。
<バランスガス供給工程>
さらに、バランスガス供給部4からバランスガス(N2)を反応流路15の下流側部分に供給する。バランスガスは、反応ガスと合流される。
前記反応ガスを反応ガス供給路19からノズル部20へ送り、吹出口21から吹き出す。該反応ガスが、ガラス基板90に接触する。これによって、ガラス基板90のSiO2と反応ガスのHFとの反応が起き、ガラス基板90がエッチングされる。反応式は、例えば下式である。
SiO2+4HF+H2O→SiF4+3H2O (式2)
表面処理装置1によれば、反応ガスのHF濃度を高くできるから、エッチング効率(表面処理効率)を高めることができる。
未反応のままで吸込口22まで流れて来た反応ガスあるいは反応により生成したガスは、吸込口22に吸い込まれて、除害設備5へ送られる。除害設備5において、CF4等の温暖化ガスが分解、除去される。前述したように、アーク放電部10においてCF4の大部分が分解され、反応ガスが低CF4濃度になっているために、除害設備5における負荷を低減できる。更には、温暖化ガスの排出を最小限に抑制できる。
ここで、CF4の分解時におけるCF4と水(H2O)の量論比(式1参照)やアーク放電部10における前記分解効率等を考慮して、反応ガス中のHF蒸気及び水蒸気の露点が、アーク放電部10から吹出口21までの反応ガスの経路の最低温度より低温になるように、前記添加部2bにおける水添加量を調節する。これによって、前記経路上でフッ酸水が凝縮して結露するのを回避できる。
反応ガスの水蒸気分圧及びHF分圧の実測値から反応ガスの露点を求め、水添加量の調節にフィードバックしてもよい。
アーク放電部10におけるアーク放電電流は、不安定になりやすい。
そこで、トーチガス供給部3の流量調節機能によって、アーク放電電流が増大しようとしたらトーチガス流量を減らす。アーク放電電流が減少しようとしたらトーチガス流量を増やす。これによって、アーク放電電流を安定させることができる。
さらに、バランスガス供給部4の流量調節機能によって、トーチガス流量を減らすときは、バランスガス流量を増やす。トーチガス流量を増やすときは、バランスガス流量を減らす。これによって、反応ガス全体の流量を安定させることができ、ひいては処理性能を安定させることができる。
例えば、トーチガス供給部3が、原料供給部2からアーク放電部10までの原料ガス供給路に接続されていてもよい。
バランスガス供給部4が、反応ガス供給路19に接続されていてもよい。
表面処理は、エッチングに限られず、官能基付与処理、撥水化処理などであってもよい。
図1に示す表面処理装置1と実質的に同一の構成のアーク放電装置を用いて、原料ガスを分解し、HFの生成流量を測定した。
原料ガスとしては、CF4、N2、H2Oの混合ガスを用いた。
トーチガスとしては、N2を用いた。
バランスガスガスとしては、N2を用いた。
各ガスの流量は、表1の通りであった。
供給電力は、4kWとした。
実施例1及び比較例1におけるHF生成流量の測定結果を、表1及び図2に示す。
実施例1のアーク放電方式によれば、誘電体バリア放電方式よりもHF生成効率が数倍高いことが確認された。
2 原料供給部
2b 添加部
3 トーチガス供給部
4 バランスガス供給部
5 除害設備
9 ガラス基板(被処理基板)
10 アーク放電部
11 電極
12 電極
13 アーク放電プラズマ
15 反応流路
19 反応ガス供給路
20 ノズル部
20a ノズル面
21 吹出口
22 吸込口
29 排気路
Claims (4)
- シリコン含有物を含む被処理基板を、フッ素系反応成分を含有する反応ガスによって表面処理する表面処理装置であって、
アーク放電を発生させる一対の電極を含み、前記アーク放電によってフッ素系原料成分を含有する原料ガスから前記反応ガスを生成するアーク放電部と、
前記アーク放電部からの反応ガスを前記被処理基板へ向けて吹出すノズル部と、
前記一対の電極間の放電電流に応じた流量のトーチガスを前記アーク放電部に供給するトーチガス供給部と、
前記トーチガスの流量に応じた流量のバランスガスを前記反応ガスに加えるバランスガス供給部と、
を備えたことを特徴とする表面処理装置。 - 前記原料ガスに水を添加する添加部を含み、
前記反応ガス中のフッ化水素蒸気及び水蒸気の露点が、前記アーク放電部から前記ノズル部の吹出口までの前記反応ガスの経路の最低温度より低温になるように、前記添加部の水添加量が調節されていることを特徴とする請求項1に記載の表面処理装置。 - シリコン含有物を含む被処理基板を、フッ素系反応成分を含有する反応ガスによって表面処理する表面処理方法であって、
一対の電極を含むアーク放電部においてアーク放電を発生させるとともに、フッ素系原料成分を含有する原料ガスを前記アーク放電部に導入することよって前記反応ガスを生成する工程と、
前記アーク放電部からの反応ガスを前記被処理基板に接触させる工程と、
前記一対の電極間の放電電流に応じた流量のトーチガスを前記アーク放電部に供給する工程と、
前記トーチガスの流量に応じた流量のバランスガスを前記反応ガスに加える工程と、
を備えたことを特徴とする表面処理方法。 - 前記原料ガスに水を添加するとともに、
前記反応ガス中のフッ化水素蒸気及び水蒸気の露点が、前記アーク放電部から該アーク放電部に連なるノズル部の吹出口までの前記反応ガスの経路の最低温度より低温になるように、前記水添加量を調節することを特徴とする請求項3に記載の表面処理方法。
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