JP6977471B2 - 多糖類生産物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多糖類生産物の製造方法、及びその多糖類生産物に関するものであり、特に多糖固形物中の結晶構造緩和等の分子立体構造の変化により粉体溶解性や粘性特性やゲルテクスチャーが改善された多糖類生産物を容易に製造する方法と、その多糖類生産物に関する。
多糖類は、食品又は食品添加物として広く活用されている。食品添加物としての多糖類は、増粘剤、ゲル化剤、安定剤として様々な食品に利用されている。通常の多糖類は、天然物から物理的な手法により粉体を得る、又は当該粉体を溶解/精製/粉末化により精製して粉体を得る。また、或いは、微生物により産生した多糖類を粉体化することにより得る、といった方法で製造されている。
こうして得られた多糖類は、その多糖類構造と製造方法により粉体内の結晶度、立体構造や分子量が決定される。
一方で、近年、多糖類に対する市場からの要求は高度化しており、通常加熱溶解が必須な多糖類に対して冷水可溶性の付与や、構造粘性が強い多糖類に対して構造粘性の緩和やゲルのテクスチャーの改善、ハンドリング性の向上などが要求されている。
これらの市場要求に対して、従来さまざま様々な方法が提案なされてきた。
例えば、多糖粉体の冷水溶解性の付与に関しては、2種以上の多糖類を水溶液中完全溶解した後、再び粉末化する方法(特許文献1)、原料多糖類を水に溶解させた後、溶解状態で真空乾燥又は真空凍結乾燥する方法(特許文献2)、寒天を水に15重量%以上の濃度になるよう100℃以上の温度で溶解し、該寒天高濃度溶解物を連続式真空加熱乾燥機に導入し、該導入された寒天高濃度溶解物を小型粒状片に裁断した後、直ちに該真空加熱乾燥機中で脱水乾燥させる方法(特許文献3)、古典的寒天を2軸エクストルーダー又は1軸エクストルーダーを通して加工する方法、特に液体の水又は蒸気を第1エクストルージョン工程で総導入乾物に対して0〜70%の割合で供給し、次いで熱風又は冷風の流れの下に乾燥、又は乾燥しない方法(特許文献4)、寒天を加水する工程と、加水した寒天を押出機で熱処理して寒天を一度溶解させた後固形化する工程と、固形化した寒天を気流粉砕乾燥機で粉砕、乾燥することにより溶けやすい寒天及びその製造方法(特許文献5)などが知られている。
特開2004−344165号公報 特開2012−139161号公報 特開平10−179095号公報 特開平06−153873号公報 特開2017−86002号公報
特許文献1の方法は、異種多糖類を完全溶解することが前提の製造方法であり、通常数%以下の多糖類濃度で実施されるため、このような水溶解物から乾燥粉体を得るには多大なエネルギーを要する。
また、特許文献2の方法も溶解が前提であり、乾燥方法が真空乾燥又は真空凍結乾燥であることより、乾燥時間に長時間を要することが推定される。また、高粘度多糖であるローカストビーンガムでは、多糖に対し9倍量以上の水を添加しており、低粘度のLMペクチンにおいても多糖に対し、4倍量以上の水を添加しているため、乾燥物を得るためのエネルギーが大きくなるだけでなく、乾燥速度が遅くなることが推定される。
特許文献3の方法は、寒天を一時的に完全溶解させる方法であり、溶解粘度の低い寒天を用いるため実施できる方法であり、一般的な高粘度多糖類に対しては、ここに記載の水添加量で溶解することは不可能である。よって、特許文献3には、寒天以外の多糖類に関する記載はない。
特許文献4の方法は、寒天、又は寒天と寒天に対して同等量未満の他の多糖との混合物をエクストルーダー処理する方法であり、多糖に対する水添加量は最大0.7倍量と記載されている。また、エクストルーダー処理品の乾燥に関しては熱風又は冷風の流れの下に乾燥でき、又は乾燥しないと記載されており、乾燥条件が本質的な要因でないことは明らかである。
特許文献5の方法では、その対象物が寒天に限定されており、又また、寒天を一度溶解することによりランダムコイル構造を得ることが必要であり、これは特許文献3に関して記載した通り、溶解粘度の低い寒天であるから実施できる方法であり、一般的な高粘度多糖類に対してはここに記載の水添加量で多糖類を溶解することは不可能である。
上述の通り、溶解性や粘性特性、ゲルテクスチャー等が改善された多糖類が市場から要求されているにも関わらず、未だ市場の要求性能を十分に満足させる多糖類は提供されていないのが現状である。
したがって、本発明は、溶解性や粘性特性、ゲルテクスチャー等が改善された多糖類生産物を容易に製造する方法とその多糖類生産物を提供することを課題とする。
本発明者らは、多糖粉体中の結晶構造緩和等の分子立体構造の調整において、多糖類を水に溶解させる必要はなく、水膨潤状態の多糖類を非常に短時間で乾燥することで冷水溶解性が向上すること、及び水膨潤状態を維持しつつ加熱することにより、より冷水溶解性が向上すること、更に水膨潤多糖類に機械的せん断力を付与することにより、粘性特性の改善やゲルテクスチャーの改善等が達成されることを見出した。
尚、上述の加熱工程や機械的せん断力を付与する工程においても、水膨潤多糖の「自己形状保持性」は維持される。
ここで「自己形状保持性」とは、サンプル30gをJIS4メッシュ(目開き:4.75mm)上に一気に投入した後、1分間でサンプルが新たに落下しない状態と定義する。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物と水とを混合して自己形状保持性を有する水膨潤多糖を得る混合工程と、該水膨潤多糖を1分以下の時間内に乾燥と粉砕を実施して多糖類生産物を得る乾燥粉砕工程とを有することを特徴とする多糖類生産物の製造方法。
[2]
前記混合工程後、前記乾燥粉砕工程前に、前記水膨潤多糖を50℃以上に加熱する加熱工程を有することを特徴とする[1]に記載の多糖類生産物の製造方法。
[3] 前記混合工程後、前記乾燥粉砕工程前に、前記水膨潤多糖に機械的せん断力を付与するせん断工程を有することを特徴とする[1]又は[2]に記載の多糖類生産物の製造方法。
[4] 前記混合工程における水の混合量が、前記陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物100重量部に対して、70重量部を超え400重量部以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の多糖類生産物の製造方法。
[5] 前記陸生植物由来多糖が、グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドシードガム、ペクチン、カラヤガム、サバクヨモギシードガム、トラガントガム、サイリウムシードガム、ガティガム、セルロース、セルロース誘導体、大豆多糖類、プランタゴオバタ種皮、及びプランタゴオバタ種皮末よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、前記微生物産生多糖がキサンタンガム、ジェランガム、アグロバクテリウムスクシノグリカン、カードラン、プルラン、デキストラン、ウェランガム、ラムザンガム、発酵セルロース、レバン、ダイユータンガム、及びマクロホモプシスガム等が挙げられるが、これらよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の多糖類生産物の製造方法。
[6] 前記陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物が、単糖、二糖、オリゴ糖、デキストリン、糖アルコール、並びに陸生植物由来多糖及び微生物産生多糖以外の多糖から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の多糖類生産物の製造方法。
[7] 前記陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物中の、前記陸生植物由来多糖及び微生物産生多糖以外の成分の含有量が、前記陸生植物由来多糖と微生物産生多糖の合計重量未満であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の多糖類生産物の製造方法。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法で製造されることを特徴とする、多糖類生産物。
本発明によれば、溶解性や粘性特性、ゲルテクスチャー等が改善された多糖類生産物を容易に製造することができる。
本発明により製造された多糖類生産物を食品の調製等に用いることにより、食品の加工性改善やテクスチャー改善を達成することができる。
例えば、従来加熱が必要であった多糖類の水への溶解において必要な加熱温度の低減や、場合によっては加熱する必要がなくなるため、例えば病院食や嚥下食品の調製などにおいて、短時間での調製が可能となり、また加熱設備のない場所においても調製が可能となり、労力を低減すると共に利便性を高めことができる。また、粘性特性の改善により、水への分散性の改善による加工性の向上や、食品のテクスチャー改善、例えば食品において喉への張り付きなどの違和感の解消などを図ることが可能となる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定はされない。
本発明の多糖類生産物の製造方法は、陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物と水とを、混合して自己形状保持性を有する水膨潤多糖を得る混合工程と、該水膨潤多糖を1分以下時間内に乾燥と粉砕を実施して多糖類生産物(以下「多糖粉末」と称す場合がある。)を得る乾燥粉砕工程とを有することを特徴とする。
本発明の多糖類生産物の製造方法では、多糖類を水に溶解させずに比較的少量の水で多糖類を水に膨潤させるのみであることから、多糖類に混合する水の量が少ないために乾燥負荷を低減することができ、乾燥時間の短縮が可能となる。また、乾燥と粉砕を実施する乾燥粉砕工程前に、水膨潤多糖を50℃以上に加熱することにより、水膨潤多糖が溶解しなくても粉体中の多糖類の分子中の立体構造が更に変化することから、より一層品質を改善することができる。更に、水膨潤多糖の加熱工程において、或いはその前後で機械的せん断力を付与することにより、より分子の立体構造の変化が促進され冷水溶解性や粘性特性等をより一層改善することができる。
<陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物>
陸生植物由来多糖の分子量は、特に制限されるものではないが、一般的には、プルランもしくはデキストランを標準物質として液体クロマトグラフィーにより測定される相対重量平均分子量が数万〜数百万である。
陸生植物由来多糖としては、特に制限されないが、例えばグァーガム、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドシードガム、ペクチン、カラヤガム、サバクヨモギシードガム、トラガントガム、サイリウムシードガム、ガティガム、セルロース、セルロース誘導体、大豆多糖類、プランタゴオバタ種皮、プランタゴオバタ種皮末等が挙げられる。中でもタマリンドシードガム、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、サイリウムシードガム、プランタゴオバタ種皮、プランタゴオバタ種皮末が好ましい。特に冷水溶解性の付与を目的としてする場合にはタマリンドシードガム、ローカストビーンガムがより好ましく、溶解性の改善を目的としてする場合にはグァーガムがより好ましく、又溶解時のハンドリング性の改善を目的としたときする場合には、プランタゴオバタ種皮、プランタゴオバタ種皮末がより好ましい。
微生物産生多糖の分子量は、特に制限されるものではないが、一般的には、プルランもしくはデキストランを標準物質として液体クロマトグラフィーにより測定される相対重量平均分子量が数十万から数百万である。
微生物産生多糖としては、特に制限されないが、キサンタンガム、ジェランガム、アグロバクテリウムスクシノグリカン、カードラン、プルラン、デキストラン、ウェランガム、ラムザンガム、発酵セルロース、レバン、ダイユータンガム、マクロホモプシスガム等が挙げられる。中でもキサンタンガム、又はジェランガムが好ましい。特に、溶解性改善を目的とする場合は、キサンタンガムがより好ましく、溶解時のハンドリング性の改善やゲルテクスチャーの改善を目的とする場合は、ジェランガムがより好ましい。
陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物には、上記の陸生植物由来多糖の1種のみが含まれていてもよく、微生物産生多糖の1種のみが含まれていてもよい。また、陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物には、陸生植物由来多糖の1種又は2種以上と、微生物産生多糖の1種又は2種以上とが含まれていてもよい。
本発明で用いる陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物には、陸生植物由来多糖及び微生物産生多糖以外の成分(以下「その他の成分」と称す場合がある。)が含まれていてもよく、その他の成分としては、例えば単糖、二糖、オリゴ糖、デキストリン、糖アルコール、陸生植物由来多糖及び微生物産生多糖以外の多糖などが挙げられる。陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物には、これらのその他の成分の1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
単糖としては、グルコース、フルクトース、キシロースなどの1種又は2種以上が挙げられる。
二糖としては、ショ糖、マルトース、乳糖などの1種又は2種以上が挙げられる。
オリゴ糖としては、マルトトリオース、マルトオリゴ糖などの1種又は2種以上が挙げられる。
デキストリンとしては、特に分子量など制限されないが、機能性を有する難消化性デキストリンなどが挙げられる。
糖アルコールとしては、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、イソマルト、ラクチトールなどの1種又は2種以上が挙げられる。
陸生植物由来多糖及び微生物産生多糖以外の多糖としてはキチン、キトサン等の動物由来多糖などの1種又は2種以上が挙げられる。
陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物中のその他の成分の含有量は制限されないが、通常、陸生植物由来多糖及び微生物産生多糖の合計重量より少ないことが本来の多糖の品質改善目的の点から好ましい。
陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物の形状は、フレーク状、粒状、粉末状などいずれの形態でも問題なく使用することができるが、大きな粒子は水で均一に膨潤されるまでの時間を要するため、フレーク状及び又は粉末状が好ましい。
陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物中の各成分の純度は特に制限されるものではないが、陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物とは、実質的に水を含まないものである点において、以下に説明する混合工程で得られる水膨潤多糖とは明確に区別される。
ここで、実質的に水を含まないとは、この陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物に対して、後述の乾燥粉砕工程における乾燥と同様の処理を施しても重量減量が乾燥前の重量に対して15重量%以下であることをいう。
<混合工程>
本発明では、陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物と水を混合することにより中間原料として水膨潤多糖を得る。
この水で膨潤された状態により、陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物中の分子立体構造、特に結晶構造が緩やかとなる。このように、分子立体構造、特に結晶構造が緩やかとなった水膨潤多糖類を短時間内で乾燥することにより、緩和された分子立体構造のまま固形物を得ることができ、当該処理により従来と異なった品質を有する多糖粉末を得ることができる。
水膨潤多糖は、自己形状保持性を有するものであり、具体的には自重による流動性を示さない状態をいう。自己形状保持性の具体的な評価方法は前述の通りである。
自己形状保持性を有する水膨潤多糖は、陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物100重量部に対して、水を、好ましくは通常70重量部を超え、400重量部以下、より好ましくは100重量部以上、300重量部以下の割合で添加して混合することにより得ることができる。
水の添加量が陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物100重量部に対して70重量部未満では、結晶構造の緩和が十分ではない傾向がある。また、水の添加量が陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物100重量部に対して400重量部を超える場合は、次の乾燥粉砕工程での乾燥に要するエネルギー負荷が大きくなる傾向があり、また、乾燥速度も低下傾向となるため乾燥の間に緩和状態から結晶状態への復元が進みやすくなり、品質改善が達成されにくい傾向がある。
水膨潤多糖の調製に用いる水の温度は常温でよく、例えば5〜30℃程度の水である。また、混合工程も同様に室温下、5〜30℃の温度で行うことができる。
陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物と水との混合は一般的な混合機を使用すればよく、例えば粉体混合器や混練り機等を使用することができる。
<乾燥粉砕工程>
本発明のでは、混合工程で得られた前述の水膨潤多糖を1分以下の時間内で乾燥と粉砕を実施して多糖類生産物を得る。ここで、乾燥速度を速め、結晶化を抑制する観点より乾燥と粉砕を同時に実施することが好ましい。この乾燥速度が重要な品質改善の要因である。
乾燥時間は1分以内であればよいが、より短い方が品質の改善効果の面で好ましく、30秒以内が好ましい。乾燥時間を過度に短くすることは困難であるが、0.5秒〜15秒であることがより好ましい。
乾燥方法としては特段の制限はないが、本発明では乾燥速度を速めることが品質改善の重要な要因であるため、被乾燥物である水膨潤多糖の表面積を向上するための粉砕と乾燥とを同時に実施できる乾燥機の使用が好ましい。例として、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミルなどを用いた熱風(100〜200℃程度)による乾燥機や、液体窒素などを用いた凍結乾燥機を挙げることができる。
この乾燥粉砕工程で得られる多糖類生産物(多糖粉末)の含水率は、15重量%以下、特に3〜10重量%であることが好ましい。ここで、多糖粉末の含水率とは105℃、4時間での乾燥減量の値である。
<加熱工程>
本発明では、多糖固形物中の結晶構造の緩和等分子立体構造の変化を進行させるため、乾燥粉砕工程前に、水膨潤多糖を加温することが好ましい。水膨潤多糖を好ましくは、50℃以上、より好ましくは70〜200℃に加熱することにより、水に溶解していない状況においても更に分子立体構造の変化を進行させることができ、このような加熱工程を経た水膨潤多糖を短時間に乾燥粉砕乾燥することにより、より品質改善された多糖粉末を得ることができる。この加熱工程の時間は、多糖の加水分解抑制の観点から5分以下程度が好ましく、20秒から60秒がより好ましい。
加熱設備としては通常の設備を使用すればよいが、ジャケット付混練機や一軸、又は二軸のエクストルーダー(混練機)を挙げることができる。
<せん断工程>
本発明ではまた、乾燥粉砕工程前に、混合工程で得られた水膨潤多糖類に機械的なせん断力を付与することにより、より結晶構造の緩和等の分子立体構造の変化を促進させ、このせん断工程後、短時間に乾燥粉砕することにより、新規な粘性特性を有する多糖粉体を得ることができる。このせん断工程は、上記の加熱工程と同時に行うことが好ましく、この場合において、せん断力を付与する設備としては、一軸、又は二軸のエクストルーダー(混練機)などを挙げることができる。
<多糖類生産物>
本発明の多糖類生産物の製造方法により製造された多糖類生産物は、冷水溶解性、溶解速度、ゲルテクスチャー、溶解時分散性(溶解時ハンドリング性)などが改善されたものであり、増粘剤、ゲル化剤、安定剤等として各種の飲食品に好適に使用される。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
グァーガム5kg(100重量部)に蒸留水3kg(60重量部)を加え、室温にて十分に混合して水膨潤多糖を調整した。この水膨潤多糖をJIS4メッシュの篩上に30g投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。得られた水膨潤多糖をシリンダー温度200℃で加温しながら二軸押出機(STEER Engineering Pvt Limited製OMEGA 40H)でせん断を加えながら押出処理を行い(二軸押出機の滞留時間20秒から60秒)、その後直ちに乾燥粉砕機(ミクロパウテック株式会社製CDM70−1000S)で瞬時(0.5秒から15秒)に乾燥粉砕することにより粉末化して実施例1の多糖粉末を得た。
尚、押出処理後の水膨潤多糖を直ちにJIS4メッシュの篩上に30gを投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。
[比較例1]
未処理グァーガムを比較例1の多糖粉体とした使用した。
[粘度発現時間の評価]
以下の方法で実施例1の多糖粉末と比較例1の多糖粉末の粘度発現時間を調べた。
200mLビーカーに水を128.7g入れ、トルク検出機付撹拌機にて400rpmで撹拌しながら多糖粉末1.3gを10秒間かけて添加した。そのまま20分間撹拌し、経過時間による粘度の変化をトルク値として測定した。測定開始から最大トルク値の80%に到達するまでに経過した時間を粘度発現時間として算出した。結果を表1に示す。
Figure 0006977471
表1に示すとおり、実施例1の多糖粉末は比較例1の多糖粉末より明らかに粘度発現時間が短く、粉体溶解性の改善が確認できた。
[粘度維持の確認]
以下の方法で、実施例1の多糖粉末が比較例1の多糖粉末に対して、押出機での受熱やせん断力、及び瞬時に行う乾燥粉砕によって分子切断(低粘度化)が生じていないことを確認した。
500mLビーカーに199gの水(25℃)を入れ、撹拌機にて600rpmで撹拌しながら多糖粉末1gを添加し、85℃まで加温して撹拌を続けた。30分後、撹拌を止めて25℃まで冷却し、B型回転粘度計を用いて60rpmでの1分間回転粘度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0006977471
表2に示すとおり、実施例1の多糖粉末の粘度は、比較例1の多糖粉末の粘度と同程度であり、未処理グァーガムと同程度の粘度を保持していたことから、実施例1の処理によって分子切断が物性(低粘度化)に大きく影響を与える程生じていないことが確認された。
[実施例2]
グァーガム5kg(100重量部)に蒸留水20kg(400重量部)を加え、室温にて十分に混合して水膨潤多糖を調製した。この水膨潤多糖をJIS4メッシュの篩上に30g投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。得られた水膨潤多糖をシリンダー温度200℃で加温しながら二軸押出機(STEER Engineering Pvt Limited製OMEGA 40H)でせん断を加えながら押出処理を行い(二軸押出機の滞留時間20秒から60秒)、その後直ちに乾燥粉砕機(ミクロパウテック株式会社製CDM70−1000S)で瞬時(0.5秒から15秒)に乾燥粉砕することにより粉末化して実施例2の多糖粉末を得た。
尚、押出処理後の水膨潤多糖を直ちにJIS4メッシュの篩上に30gを投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。
[比較例2]
グァーガム5kg(100重量部)に蒸留水20kg(400重量部)を加え、室温にて十分に混合しして水膨潤多糖を調製した。この水膨潤多糖をJIS4メッシュの篩上に約30g投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。
得られた含水水膨潤多糖を実施例2と同様にシリンダー温度200℃で加温しながら二軸押出機(STEER Engineering Pvt Limited製OMEGA 40H)でせん断を加えながら押出処理を行った。その後12時間かけて送風乾燥した後、粉砕機で粉末化して比較例2の多糖粉末を得た。
尚、押出処理後の水膨潤多糖を直ちにJIS4メッシュの篩上に30gを投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。
[乾燥粉砕方法の差異による水溶液粘度への影響の確認]
実施例2の多糖粉末と比較例2の多糖粉末を用いて、以下の方法で、乾燥粉砕方法の差異が水溶液粘度に及ぼす影響を確認した。
500mLビーカーに199gの水(25℃)を入れ、撹拌機にて600rpmで撹拌しながら多糖粉末1gを添加し、85℃まで加温して撹拌を続けた。30分後、撹拌を止めて25℃まで冷却し、B型回転粘度計を用いて60rpmでの1分間回転粘度を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006977471
表3に示すとおり、比較例2の多糖粉末は加熱溶解処理後にも不溶であり沈殿が生じたのに対して、実施例2の多糖粉末は粘度が発現した。このことから水膨潤多糖を押出処理後に速やかに短時間で乾燥粉砕する必要性が示された。
[実施例3]
キサンタンガム・エコーガム(登録商標)T(DSP五協フード&ケミカル株式会社製)10kg(100重量部)に蒸留水15kg(150重量部)を加え、室温にて十分に混合して水膨潤多糖を調整した。この水膨潤多糖をJIS4メッシュの篩上に30g投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。得られた水膨潤多糖をシリンダー温度150℃で加温しながら二軸押出機(STEER Engineering Pvt Limited製OMEGA 40H)でせん断を加えながら押出処理を行い(二軸押出機の滞留時間20秒から60秒)、その後直ちに乾燥粉砕機(ミクロパウテック株式会社製CDM70−1000S)で瞬時(0.5秒から15秒)に乾燥粉砕することにより粉末化して実施例3の多糖粉末を得た。
尚、押出処理後の水膨潤多糖を直ちにJIS4メッシュの篩上に30gを投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。
[比較例3]
未処理のキサンタンガム・エコーガム(登録商標)T(DSP五協フード&ケミカル株式会社製)を比較例3の多糖粉末とした。
[粘度発現時間の評価]
以下の方法で、実施例3の多糖粉末と比較例3の多糖粉末の粘度発現時間を調べた。
200mLビーカーに水を129.35g入れ、トルク検出機付撹拌機にて400rpmで撹拌しながら、多糖粉末0.65gを10秒間かけて添加した。そのまま20分間撹拌し、経過時間による粘度の変化をトルク値として測定した。測定開始から最大トルク値の80%に到達するまでに経過した時間を粘度発現時間として算出した。結果を表4に示す。
Figure 0006977471
表4に示すとおり、実施例3の多糖粉末は比較例3の多糖粉末に比べて粘度発現時間が半分以下で短く、粉体溶解性の改善が確認できた。
[粘度維持の確認]
実施例3の多糖粉末が比較例3の多糖粉末に対して、押出機での受熱やせん断力、及び瞬時に行う乾燥粉砕によって分子切断(低粘度化)が生じていないことを前述の実施例1及び比較例1の多糖粉末と同様の方法で確認した。結果を表5に示す。
Figure 0006977471
表5に示すとおり、実施例3の多糖粉末の粘度は、比較例3の多糖粉末の粘度と同程度であり、未処理キサンタンガムとほぼ同程度の粘度を保持していたことから、実施例3の処理よって分子切断が物性(低粘度化)に大きく影響を与える程生じていないことが確認された。
[実施例4]
タマリンドシードガム・グリロイド(登録商標)2A(DSP五協フード&ケミカル株式会社製、加熱溶解型)10kg(100重量部)に蒸留水10kg(100重量部)を加え、室温にて十分に混合して水膨潤多糖を調製した。この水膨潤多糖をJIS4メッシュの篩上に30g投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。得られた含水水膨潤多糖をシリンダー温度130℃で加温しながら二軸押出機(STEER Engineering Pvt Limited製OMEGA 40H)でせん断を加えながら押出処理を行い(二軸押出機の滞留時間20秒から60秒)、その後直ちに乾燥粉砕機(ミクロパウテック株式会社製CDM70−1000S)で瞬時(0.5秒から15秒)に乾燥粉砕することにより粉末化して実施例4の多糖粉末を得た。
尚、押出処理後の水膨潤多糖を直ちにJIS4メッシュの篩上に30gを投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった
[比較例4]
未処理のタマリンドシードガム・グリロイド(登録商標)2A(DSP五協フード&ケミカル株式会社製、加熱溶解型)を比較例4の多糖粉末とした。
[粉末溶解性の評価]
以下の方法で、実施例4の多糖粉末と比較例4の多糖粉末について、室温での水に対する溶解性を調べた。
500mLビーカーに198gの水(25℃)を入れ、撹拌機にて600rpmで撹拌しながら多糖粉末2gを添加し、室温下で撹拌を続けた。30分後、B型回転粘度計を用いて60rpmでの1分間回転粘度を測定した。結果を表6に示す。
Figure 0006977471
表6に示すとおり、実施例4の多糖粉末は30分間撹拌後に処理粉末が可溶化し、粘度が発現していた。一方、比較例4の未処理多糖粉末は水に不溶であり、測定時には沈殿ができていた。このことから、実施例4の処理による粉体溶解性の改善が確認できた。
[粘度維持の確認]
以下の方法で、実施例4の多糖粉末が比較例4の多糖粉末に対して、押出機での受熱やせん断力、及び瞬時に行う乾燥粉砕によって分子切断(低粘度化)が生じていないことを確認した。
500mLビーカーに198gの水(25℃)を入れ、撹拌機にて600rpmで撹拌しながら多糖粉末2gを添加し、85℃まで加温して撹拌を続けた。30分後、撹拌を止めて25℃まで冷却し、B型回転粘度計を用いて60rpmでの1分間回転粘度を測定した。結果を表7に示す。
Figure 0006977471
表7に示すとおり、実施例4の多糖粉末の粘度は、比較例4の多糖粉末の粘度とほぼ同程度であり、未処理タマリンドガムタマリンドシードガムとほぼ同程度の粘度を保持していたことから、実施例4の処理によって分子切断が物性(低粘度化)に大きく影響を与える程生じていないことが確認された。
[実施例5]
ネイティブ型ジェランガムとしてケルコゲル(登録商標)LT100(DSP五協フード&ケミカル株式会社製)5kg(100重量部)に蒸留水5kg(100重量部)を加え、室温にて十分に混合して水膨潤多糖を調製した。この水膨潤多糖をJIS4メッシュの篩上に30g投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。得られた水膨潤多糖をシリンダー温度150℃で加温しながら二軸押出機(STEER Engineering Pvt Limited製OMEGA 40H)でせん断を加えながら押出処理を行い(二軸押出機の滞留時間20秒から60秒)、その後直ちに乾燥粉砕機(ミクロパウテック株式会社製CDM70−1000S)で瞬時(0.5秒から15秒)に乾燥粉砕することにより粉末化して実施例5の多糖粉末を得た。
尚、押出処理後の水膨潤多糖を直ちにJIS4メッシュの篩上に30gを投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。
[比較例5]
未処理のネイティブ型ジェランガム ケルコゲル(登録商標)LT100(DSP五協フード&ケミカル株式会社製)を比較例5の多糖粉末とした。
[膨潤時粘度の確認]
以下の方法で、実施例5の多糖粉末と比較例5の多糖粉末について、室温での膨潤時の粘度を測定した。
容器に水を99.0g入れ、ここに10秒間かけて多糖粉末を1.0g添加し、撹拌機にて1000rpmで5秒間撹拌した。添加多糖粉末添加から40秒後にRapid Visco Analyzer(Newport Scientific Pty Ltd製)にセットし、経過時間による400rpmでの粘度変化を測定し、25℃における最大粘度を算出した。結果を表8に示す。
Figure 0006977471
表8に示す通り、ネイティブ型ジェランガムは本来溶解に加熱が必要であるが、通常冷水撹拌時には比較例5のように膨潤による粘度発現が見られる。この膨潤による粘度発現は粉末溶解による粘度発現とは区別される現象である。加熱工程前の粘度発現は、撹拌操作においてエネルギーを要し、操作性が悪く好ましくない。これに対して、実施例5の多糖粉末は大幅な粘度増加を伴う冷水時の膨潤現象が消失していた。これにより、実施例5の多糖粉末は粉体溶解性が大きく改善されていることが確認できた。
[ゲル破断強度維持の確認]
以下の方法で、実施例5の多糖粉末が比較例5の多糖粉末に対して、押出機での受熱やせん断力、及び瞬時に行う乾燥粉砕によって分子切断(ゲル破断強度低下)が生じていないことを確認した。
500mLビーカーに298.5gの水(25℃)を入れ、撹拌機にて600rpmで撹拌しながら多糖粉末1.5gを添加し、90℃まで加温して撹拌を続けた。5分後、6%乳酸カルシウム溶液6gを加え、内容量を300mLに水分補正した。この溶液をサンプル瓶5個に各45g分注し、25℃静置(2時間)および10℃静置(20時間)を経ることでゲル化させた。プランジャー(円柱状、直径8mm)を有するクリープメーター(株式会社山電製)にゲルをセットして、破断荷重(N)および破断変形(mm)を測定した。得られた破断荷重および破断変形の最大値、最小値を除いた3個の測定値より平均値を算出した。結果を表9に示す。
比較例としては未処理ネイティブ型ジェランガムを使用した(比較例5)。
Figure 0006977471
表9に示すとおり、実施例5の多糖粉末の破断強度は比較例5の多糖粉末と同程度であり、未処理ネイティブ型ジェランガムと同程度のゲル破断強度を保持していたことから、実施例5の処理によって分子切断が物性(ゲル破断強度低下)に影響を与える程生じていないことが確認された。
[実施例6]
ローカストビーンガムA500(三菱ケミカルフーズ(株)製品)4kg(100重量部)に蒸留水16kg(400重量部)を加え、ミキサーを使用して室温にて十分に混合し、水膨潤多糖を調製した。この水膨潤多糖をJIS4メッシュの篩上に30g投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。得られた水膨潤多糖を乾燥粉砕機(ミクロパウテック株式会社製CDM70−1000S)で瞬時(0.5秒から15秒)に乾燥粉砕してローカストビーンガムAを得た。
尚、押出処理後の水膨潤多糖を直ちにJIS4メッシュの篩上に30gを投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。
得られたローカストビーンガムAをJIS200meshで篩分けしパス品を得た。
[実施例7]
ローカストビーンガムA500(三菱ケミカルフーズ(株)製品)4kg(100重量部)に蒸留水16kg(400重量部)を加え、ミキサーを使用し室温にて十分に混合し、水膨潤多糖を調製した。この水膨潤多糖をJIS4メッシュの篩上に30g投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。得られた含水水膨潤多糖をジャケット温度130℃で2軸押出機(STEER Engineering Pvt Limited製OMEGA 40H)でせん断を加えながら押出処理を行った後(二軸押出機の滞留時間20秒から60秒)、直ちに乾燥粉砕機(ミクロパウテック株式会社製CDM70−1000S)で瞬時(0.5秒から15秒)に乾燥粉砕してローカストビーンガムBを得た。
尚、押出処理後の水膨潤多糖を直ちにJIS4メッシュの篩上に30gを投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。
得られたローカストビーンガムBをJIS200meshで篩分けしパス品を得た。
[比較例6]
ローカストビーンガムA500(三菱ケミカルフーズ(株)製品)4kg(100重量部)に蒸留水16kg(400重量部)を加え、ミキサーを使用して室温にて十分に混合し水膨潤多糖を調製した。この水膨潤多糖をJIS4メッシュの篩上に30g投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。得られた含水水膨潤多糖をジャケット温度130℃で2軸押出機(STEER Engineering Pvt Limited製OMEGA 40H)でせん断を加えながら押出処理を行った(二軸押出機の滞留時間20秒から60秒)。押出処理後の水膨潤多糖を直ちにJIS4メッシュの篩上に30gを投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。当該水膨潤多糖を1時間かけて減圧乾燥し、ローカストビーンガムCを得た。ローカストビーンガムCを気流粉砕機を用いて粉砕を行ったが、被乾燥物の硬度が高く粉砕は困難であったものの、少量のローカストビーンガムCを得た。
尚、押出処理後の水膨潤多糖を直ちにJIS4メッシュの篩上に30gを投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。
得られたローカストビーンガムCをJIS200meshで篩分けしパス品を得た。
[比較例7]
ローカストビーンガムA500(三菱ケミカルフーズ(株)製品)をJIS200meshで篩分けし、200meshパス品を得た。
[冷水溶解速度の確認]
実施例6、実施例7、及び比較例6で得られた各ローカストビーンガムA〜Cの200meshパス品と比較例7のローカストビーンガムA500の200meshパス品の各々2.5gを25℃に維持した蒸留水475.5gに撹拌しながら加え、その後も撹拌継続しながら1分経過毎の粘度をB型粘度計で測定した。結果を表10に示した。
Figure 0006977471
表10から明らかなとおり、ローカストビーンガムA500の100重量部に対して400重量部の水に多糖類を溶解させることなく添加混合した後、得られた水膨潤多糖を瞬時(0.5秒から15秒)に乾燥と粉砕を同時に実施して得られたローカストビーンガムAは、処理前のA500に対して約2倍の室温での溶解粘度を発現した。更に水膨潤多糖を50℃以上に加熱後瞬時(0.5〜15秒)に乾燥と粉砕を同時に実施して得られたローカストビーンガムBは、処理前のローカストビーンガムA500に対して約3.6倍の室温での溶解粘度を発現した。これは、加熱処理によりローカストビーンガム粉末の溶解性が更に向上したことを示している。一方、水膨潤多糖を調製しても1時間の減圧乾燥を行ったローカストビーンガムCでは、粘性は得られなかった。
[実施例8]
水膨潤多糖を調製するときの水の添加量をローカストビーンガムA500の100重量部に対し320重量部とし、他の操作は実施例7と同等な処理を実施し、ローカストビーンガムDのJIS200meshパス品を得た。尚、本実施例において、水膨潤多糖、及び押出後の水膨潤多糖を直ちにJIS4メッシュの篩上に30gを投入し、1分後の状況を確認したが、いずれも篩からの流出はなかった。
[実施例9]
水膨潤多糖を調製するときの水の添加量をローカストビーンガムA500の100重量部に対し200重量部とし、他の操作は実施例7と同等な処理を実施し、ローカストビーンガムEのJIS200meshパス品を得た。尚、本実施例において、水膨潤多糖、及び押出後の水膨潤多糖を直ちにJIS4メッシュの篩上に30gを投入し、1分後の状況を確認したが、いずれも篩からの流出はなかった。
[冷水溶解速度の確認]
実施例8及び実施例9で得られた各ローカストビーンガムD,EのJIS200meshパス品について、実施例6,7におけると同様にして粘度の経時変化を調べた。結果を比較例7の結果と共に表11に示す。
Figure 0006977471
表11から明らかなとおり、実施例8,9のローカストビーンガムD,Eは、未処理の比較例7のローカストビーンガムA500に比べて室温での溶解粘度の発現性が大きく向上した。
[実施例10]
プランタゴオバタ種皮末(インドKamalsons社製:99%Pure 100mesh)4kg(100重量部)に蒸留水4kg(100重量部)を加え、ミキサーを使用して室温にて十分に混合して水膨潤多糖を調製した。尚、この水膨潤多糖をJIS4メッシュの篩上に30g投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。得られた水膨潤多糖をジャケット温度130℃で2軸押出機(STEER Engineering Pvt Limited製OMEGA 40H)でせん断を加えながら押出処理を行った後(二軸押出機の滞留時間20秒から60秒)、直ちに乾燥粉砕機(ミクロパウテック株式会社製CDM70−1000S)で瞬時(0.5秒から15秒)に乾燥粉砕してプランタゴオバタ種皮末Aを得た。
尚、押出処理後の水膨潤多糖を直ちにJIS4メッシュの篩上に30gを投入し、1分後の状況を確認したが、篩からの流出はなかった。
[比較例8]
比較例8として未処理のプランタゴオバタ種皮末A及び原料として(インドKamalsons社製:99%Pure 100mesh)を用いた。
[溶解粘度の確認]
実施例10のプランタゴオバタ種皮末A及び原料として用いた比較例8のブランタゴオバタ種皮末(原料)3.5gを25℃に維持した蒸留水496.5gに添加混合し、撹拌を継続しながら5分後、15分後、20分後の粘度をB型粘度計を用いて測定した。
また、実施例10のプランタゴオバタ種皮末A及び原料として用いた比較例8のブランタゴオバタ種皮末(原料)3.5gを25℃に維持した蒸留水496.5gに添加混合し、80℃にて1時間撹拌溶解後、合計重量500gとなるよう水補正した後25℃の恒温槽に2時間浸漬し、内容物温度を25℃として、B型粘度計を用いて粘度を測定した。
これらの結果を表12に示した。
Figure 0006977471
表12から明らかなように、実施例10のプランタゴオバタ種皮末Aは、原料のブランタゴオバタ種皮末に比べて25℃での粘度発現性が抑制されている。この現象は、粉体中の立体構造の変化に起因していると考えられた。また、この現象はプランタゴオバタ種皮末を取り扱う際に操作性上非常に有利な点である。例えば、プランタゴオバタ種皮末をそのまま、又は水に分散し緩下剤として服用するとき、粘度発現が抑制されている点は非常に好ましい。
尚、実施例10と比較例8のプランタゴオバタ種皮末の80℃溶解粘度に大きな差異が無いことより、実施例10の処理によって分子切断が物性(低粘度化)に大きく影響を与える程生じていないことが確認された。

Claims (5)

  1. 陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物と水とを混合して自己形状保持性を有する水膨潤多糖を得る混合工程と、該水膨潤多糖を1分以下の時間内に乾燥と粉砕を実施して多糖類生産物を得る乾燥粉砕工程とを有する多糖類生産物の製造方法であって、
    前記混合工程後、前記乾燥粉砕工程前に、前記水膨潤多糖を50℃以上に加熱する加熱工程と、前記水膨潤多糖に機械的せん断力を付与するせん断工程とを有することを特徴とする多糖類生産物の製造方法。
  2. 前記混合工程における水の混合量が、前記陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物100重量部に対して、70重量部を超え400重量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の多糖類生産物の製造方法。
  3. 前記陸生植物由来多糖が、グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドシードガム、ペクチン、カラヤガム、サバクヨモギシードガム、トラガントガム、サイリウムシードガム、ガティガム、セルロース、セルロース誘導体、大豆多糖類、プランタゴオバタ種皮、及びプランタゴオバタ種皮末よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、前記微生物産生多糖が、キサンタンガム、ジェランガム、アグロバクテリウムスクシノグリカン、カードラン、プルラン、デキストラン、ウェランガム、ラムザンガム、発酵セルロース、レバン、ダイユータンガム、及びマクロホモプシスガムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多糖類生産物の製造方法。
  4. 前記陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物が、単糖、二糖、オリゴ糖、デキストリン、糖アルコール、並びに陸生植物由来多糖及び微生物産生多糖以外の多糖から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜に記載の多糖類生産物の製造方法。
  5. 前記陸生植物由来多糖及び/又は微生物産生多糖を含む組成物中の、前記陸生植物由来多糖及び微生物産生多糖以外の成分の含有量が、前記陸生植物由来多糖と微生物産生多糖の合計重量未満であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の多糖類生産物の製造方法。
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