以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の繊維シートの製造装置の一実施形態が模式的に示されている。図1に示す製造装置10は、電界紡糸装置20及び捕集装置30に大別される。
電界紡糸装置20は、原料供給部(図示せず)から供給された原料樹脂の溶液又は溶融液を吐出して紡糸を行う装置である。電界紡糸装置20は、捕集装置30における捕集面30Sと対向するように配置されている。以下の説明では、原料樹脂の溶液又は溶融液を総称して「原料液」ともいう。
電界紡糸装置20は、原料液Lを吐出するノズル21と、原料液Lを帯電させる帯電電極22とを備えている。ノズル21は金属などの導電性材料から構成され、中空の針状の構造を有している。帯電電極22は全体として略椀形をしており、ノズル21側に相対する面は凹曲した面となっている。ノズル21は帯電電極22の底部に設けられており、帯電電極22によって囲まれた形状になっている。ノズル21と帯電電極22との間に絶縁体(図示せず)を設けて両者を電気的に絶縁させることが好ましい。ノズル21の先端21aは帯電電極22内に露出している。ノズル21の後端21bは、帯電電極22の背面側において原料供給部に接続されている。帯電電極22には高電圧電源23が接続されている。高電圧電源23は、直流高圧電源などの公知の装置を用いることができる。
ノズル21の内径は、その下限値を好ましくは100μm以上、更に好ましくは300μm以上に設定することができる。一方、その上限値を好ましくは3000μm以下、更に好ましくは2000μm以下に設定することができる。ノズル21の内径は、好ましくは100μm以上3000μm以下、更に好ましくは300μm以上2000μm以下に設定することができる。ノズルの内径をこの範囲内に設定することで、高分子である原料液Lを容易に、かつ定量的に送液できるとともに、原料液Lを効率よく帯電させられるので好ましい。
図1に示す実施形態では、ノズル21が接地され、帯電電極22に高電圧が印加されている。しかし印加される電圧はこれに限らず、ノズル21に正電圧又は負電圧が印加されていてもよく、帯電電極22が接地されていてもよい。つまり、ノズル21と帯電電極22との間に電位差が生じていればよい。ノズル21と帯電電極22との間に加わる電位差は、1kV以上、特に10kV以上とすることが、原料液Lを十分に帯電させる点から好ましい。一方、この電位差は100kV以下、特に50kV以下とすることが、ノズル21と帯電電極22との間における放電を防止する点から好ましい。電位差は例えば1kV以上100kV以下、特に10kV以上50kV以下とすることが好ましい。
ノズル21の先端に電荷が一層集中するようにするために、該ノズル21は、その延びる方向が、帯電電極22の開口端によって画成される円の中心か、又はその中心の近傍を通り、かつ該ノズル21の先端21aが、該開口端によって画成される円を含む平面内に位置するか、又は該平面の近傍に位置するように配置されることが有利である。
特にノズル21は、その延びる方向が、帯電電極22の凹曲面24における開口端によって画成される円の中心か、又はその中心の近傍と、該帯電電極22における最底部とを通るように配置されることが好ましい。帯電電極22の開口端によって画成される円を含む平面と、ノズル21の延びる方向とが直交していることが好ましい。このようにノズル21を配置することで、ノズル21の先端に電荷が更に一層集中するようになる。この観点から、帯電電極22は、真球の球殻の略半球面の形状をしていることが特に好ましい。
ノズル21の先端21aの位置に関しては、該先端21aが、帯電電極22の開口端によって画成される円を含む平面内に位置するか、又は該平面よりも内側に位置するように該ノズル21を配置することが好ましい。
図1に示すとおり、ノズル21の基部の近傍に空気流噴射部25が設けられている。空気流噴射部25は、ノズル21の延びる方向に沿って形成されている。空気流噴射部25は、ノズル21の先端21aよりも後方に位置しており、ノズル21の先端21aの方向に向けて気体流を噴射させることが可能なように形成されている。均一な空気流を得る観点から、空気流噴射部25は、ノズル21を囲むように環状に複数設けられていることが望ましい。貫通孔からなる空気流噴射部25は、その後端側の開口部が気体流の供給源(図示せず)に接続されている。この供給源から気体が供給されることで、ノズル21の周囲から気体が噴出されるようになっている。空気流の風速は、120m/sec以上450m/sec以下にすることが好ましく、特に190m/sec以上350m/sec以下であることが好ましい。空気流の風速は、原料液の組成によって適宜調節することができる。噴出した気体によって、ノズル21の先端21aから吐出され且つ電界の作用によって細長く引き伸ばされた原料液Lを、後述する捕集装置30の捕集面30Sに向けて搬送する。
製造される繊維Fの形態が一定に維持されるようにする観点から、空気流噴射部25から噴射される空気流の流量は、上述の空気流の風速を満たすことを条件として、例えば60L/min以上、特に80L/min以上とすることが好ましい。空気流の流量の上限は、例えば300L/min以下、特に250L/min以下とすることが好ましい。空気流の流量は、原料液Lの組成によって適宜調節することができる。
捕集装置30は、図1ないし図3に示すように、繊維Fを堆積させて搬送する捕集部材31と、一対の集風板34,34とを備えている。
捕集装置30に備えられている捕集部材31は、不織布や合成樹脂等の非導電性材料からなる部材である。図1ないし図3に示すように、捕集装置30における捕集部材31は、電界紡糸装置20と対向するように配置されており、繊維Fの捕集面30Sを形成している。図1ないし図3に示す捕集部材31は、無端ベルトを有するベルトコンベアからなる搬送ベルト31の態様となっているが、ベルトコンベアに代えて、一方向に回転可能なローラーを用いた態様となっていてもよい。以下の説明では、捕集部材31として搬送ベルト31を用いた態様で説明する。
搬送ベルト31は、図1及び図3に示すように、2つの搬送ロール32,32間に掛けわたされており、方向Rに周回軌道を描くように搬送される。搬送ベルト31として、無端ベルトに代えて、例えば長尺帯状のベルトがロール状の巻回体から繰り出されるようになっていてもよい。
繊維堆積体Fの製造効率を高める観点から、図3に示すように、捕集面30SにおけるY方向の長さ30Yは、200mm以上が好ましく、300mm以上が好ましく、また600mm以下が好ましく、450mm以下がより好ましい。同様の観点から、捕集面30SにおけるZ方向の長さ30Zとしては、200mm以上が好ましく、300mm以上が好ましく、また1500mm以下が好ましく、1100mm以下がより好ましい。
図1及び図2に示すように、原料液Lは、帯電した状態でノズル21から吐出される。帯電した原料液Lは、原料液Lの電気的斥力と、空気流噴射部25から噴出した空気とによって、細径の繊維を形成しながら、捕集装置30における捕集部材31の捕集面30Sに向けて搬送される。細径の繊維は、捕集面を形成している搬送ベルト31に堆積し、繊維Fの堆積体を形成する(以下、繊維Fの堆積体を「繊維堆積体F」ともいう。)。繊維堆積体Fは、紡糸された繊維Fが堆積したものであるので、繊維Fと繊維堆積体Fとは実質的に同一のものである。繊維堆積体Fは、捕集面30Sを形成する搬送ベルト31によって送り出され、ガイドロール33によって案内されて下流側へ搬送される。
図2及び図3に示すように、捕集装置30は、アクリル系樹脂等の非導電性材料からなる一対の集風板34,34を備えている。集風板34は、捕集装置30の捕集面30Sを挟んだ両側に、その板面34Sが電界紡糸装置20に対向してそれぞれ配置されている。図3に示すように、集風板34はZ方向に長辺を有する矩形の板となっている。一対の集風板34,34は、捕集面30Sの幅方向Yの中心を通り、搬送方向Rに沿って延びる縦中心線に対して対称な位置に配されている。
各集風板34,34は、図2に示すように、これらの板面34Sと捕集面30Sとの角度θ1及び角度θ2が、鈍角をなすように配置されていることが好ましい。具体的には、各集風板34,34と捕集面30Sとがなす角度θ1及び角度θ2は、それぞれ独立して、90°より大きいことが好ましい。また、角度θ1及び角度θ2は、180°未満であることが好ましく、150°以下であることがより好ましく、120°以下であることが更に好ましい。繊維堆積体Fの坪量分布を均一にする観点から、角度θ1及びθ2は同一の角度とすることが好ましい。
捕集面30Sへの繊維の堆積性を高める観点から、図3に示すように、集風板34の奥行方向(X方向)における長さ34Nは、200mm以上が好ましく、300mm以上が好ましく、また600mm以下が好ましく、450mm以下がより好ましい。同様の観点から、集風板34のZ方向における長さ34Lは、200mm以上が好ましく、300mm以上が好ましく、また1500mm以下が好ましく、1100mm以下がより好ましい。
集風板34が上述のように配置されていることによって、製造装置10における原料液Lの吐出方向に沿う空気の流れを調整して、繊維Fを捕集面30Sへ誘導しやすくなっている。また、集風板34を配置していない製造装置で繊維堆積体を製造した場合と比較して、同一量の原料液Lを電界紡糸したときにおける繊維堆積体Fの製造効率を高めて製造コストを低減できるという利点も奏される。
上述のとおり、捕集装置30は、一対の集風板34,34が捕集面30Sを挟んだ位置に配置されているので、捕集面30Sへ紡糸された繊維Fを堆積させやすい構成となっている。しかしながら、集風板34は、その板面34Sが電界紡糸装置20と対向して配置されているので、三次元的に電界紡糸された繊維Fが、本発明における繊維Fの所望の堆積領域である捕集面30Sだけでなく、その周囲に位置する集風板34の板面34S上にも意図せず形成されてしまうことがある。集風板34上に形成された繊維が、捕集面30Sに存在する繊維堆積体Fに混入してしまった場合、繊維堆積体Fの坪量分布が不均一となってしまい、結果として繊維堆積体Fを用いる製品の生産性や品質の低下につながる。
このような欠点を解消すべく本発明者が鋭意検討した結果、集風板34の板面34Sに複数の凸部Pを形成すると、意外にも、集風板34に意図せず繊維Fが紡糸されてしまった場合でも、その板面34Sに堆積しづらくなり、その結果、捕集面30Sに形成された繊維堆積体Fへの意図しない繊維の混入を防止できることを見出した。
図2及び図3に示すように、集風板34の板面34Sには、複数の凸部Pが形成されている。図3では、凸部Pは板面34Sの略全面且つ等間隔に形成されているが、本発明の効果を奏する限りにおいて、凸部Pが形成されていない平面の部分が存在していてもよい。
詳細には、凸部Pは、図4(a)及び(b)に示すように、集風板34の基準面34Bから突出するように複数形成されている。凸部Pは、その頂部PTが頂点をなしているか、又は底部PBの面積よりも小さい面積を有する形状となっていることが好ましい。このような形状としては、図4(a)に示すように、凸部Pにおける底部PBから頂部PTに向かって先細り形状となっているものや、図4(b)に示すように、頂部PT側の各頂点を曲面とした円筒形状となっているものが挙げられる。先細り形状を有する凸部Pとしては、円錐形状及び角錐形状などの錐体、円錐台形状及び角錐台形状などの截頭錐体、並びにそれらの頂点又は稜線を曲面状に丸めたものなどが挙げられる。このような構成を有していることによって、繊維Fが板面34Sに堆積しづらくなり、その結果、捕集面30Sに形成された繊維堆積体Fへの意図しない繊維の混入を防止することができる。
集風板34の板面34Sにおける繊維Fの堆積をより抑制する観点から、図4(a)及び4(b)に示すように、凸部Pにおける底部PBの長さW1は、3mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、また15mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましい。なお長さW1は、凸部Pが円錐形状又は円錐台形状である場合は直径を指し、凸部Pが角錐形状又は角錐台形状である場合は、底部PBにおける一辺の長さを指す。凸部Pを視る方向によって長さW1が変わる場合には、最も長い長さをもってW1とする。
同様の観点から、図4(b)に示すように、頂部PTが面積を有している場合、その頂部PTの長さW2は、3mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、また15mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましい。なお長さW2は、凸部Pが円錐台形状である場合は直径を指し、凸部Pが角錐台形状である場合は頂部PTにおける一辺の長さを指す。凸部Pを視る方向によって長さW2が変わる場合には、最も長い長さをもってW2とする。
また、同様の観点から、隣り合う凸部Pどうしの間隔W3(図4(b)参照)は、3mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、また15mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましい。図4(a)に示すように、隣り合う凸部Pどうしの間隔を実質的に有していなくてもよい。凸部Pの配置のしかたによっては間隔W3が2以上の長さをとる場合があるが、そのような場合には、最も短い間隔の部分をもって間隔W3とする。
また、同様の観点から、図4(a)及び4(b)に示すように、凸部Pの高さH1は、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましく、また15mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましい。高さの異なる2以上の凸部Pを形成する場合には、最も高さの低い凸部Pの高さをもって高さH1とする。
凸部Pを有する集風板34は、凸部Pが一体成形で形成された部材をそのまま使用してもよく、凸部Pを有する部材を他の平板状部材上に接合したものを使用してもよい。凸部Pを有する部材としては、市販品を用いることもできる。そのような市販品としては、例えばデラプリズム15M、デラプリズム12M(ともに旭化成テクノプラス株式会社製)などのプリズム樹脂板や、プチプチ(川上産業株式会社製)などの気泡緩衝材等が挙げられる。
電界紡糸装置20に対向する面である集風板34の板面34Sに複数の凸部Pを形成することによって、本発明の効果を奏することができる理由は明らかではないが、以下の2点のメカニズムが推測される。第1に、繊維Fと凸部Pとの摩擦力の低減が挙げられる。図4(a)又は4(b)に示すように、各凸部Pは、その頂部PTが電界紡糸装置20に向けて頂点をなしているか、又は底部PBの面積よりも小さい形状となっている。凸部Pがこのような形状を有していることに起因して、意図せず紡糸された繊維Fと凸部Pとの接触面積が小さくなり、繊維Fと凸部Pとの間に発生する摩擦力が低くなる。その結果、板面34S上に繊維Fが保持されにくくなり、集風板34から容易にはがれやすくなる。
第2に、凸部Pに発生した静電誘導による反発力が挙げられる。本発明の製造装置10を用いて電界紡糸を行った場合、原料液Lを帯電させて吐出することに起因して、原料液Lが繊維Fとなった後でも帯電した状態となっている。帯電した繊維Fが板面34Sの凸部Pに付着すると、静電誘導によって、繊維Fが接触する凸部Pの頂部PT付近は繊維Fと異なる電荷に帯電する。その一方で、凸部Pの底部PB付近は、静電誘導によって分極して、頂部PTと異なる電荷に帯電する。つまり、底部PB付近は、繊維Fと同一の電荷に帯電することになる。これに起因して、同一の電荷に帯電した繊維Fと底部PB付近との間に電気的な反発力が生じて、繊維Fを板面34Sから離間させる。その結果、板面34S上に繊維Fが堆積されにくくなる。
三次元的に電界紡糸される繊維Fを捕集面30Sに一層堆積させやすくする観点から、図3に示すように、集風板34を捕集面30Sにおける搬送方向Rに沿う両側の位置にそれぞれ配置し、且つ一対の第2集風板35,35を搬送方向Rの前後の位置に配置することが好ましい。特に、捕集面30Sを形成する各辺を集風板34、34及び第2集風板35,35で囲むように配置することがより好ましい。第2集風板35は、集風板34と同様に、アクリル系樹脂等の非導電性材料から形成されている。一対の第2集風板35,35は、捕集面30SのZ方向の中心を通り、幅方向Yに沿って延びる横中心線に対して対称な位置に配されている。
図3及び図4に示すように、第2集風板35の板面35Sには、集風板34の板面34Sと同様に、板面35Sの基準面35Bから突出するように複数の凸部Pが形成されている。図3に示す凸部Pは板面35Sの略全面且つ等間隔に形成されているが、本発明の効果を奏する限りにおいて、凸部Pが形成されていない平面の部分が存在していてもよい。第2集風板35に複数の凸部Pが形成されていることによって、その板面35Sに繊維Fが堆積しづらくなり、その結果、捕集面30Sに形成された繊維堆積体Fへの意図しない繊維の混入を防止できる。第2集風板35の板面35Sに形成されている複数の凸部Pは、集風板34の板面34Sにおける凸部Pと同様の構成であるので、上述した凸部Pに関する説明が適宜適用される。
第2集風板35は、集風板34と同様に、各第2集風板35,35の板面35Sと捕集面30Sとの角度θ3及び角度θ4が、鈍角をなすように配置されていることが好ましい。具体的には、図5に示すように、捕集装置30を側面から見たときの捕集面30Sに沿って延伸した仮想直線Aと、各第2集風板35,35と捕集面30Sとがなす角度θ3及び角度θ4は、それぞれ独立して、90°より大きいことが好ましい。また、角度θ3及び角度θ4は、180°未満であることが好ましく、150°以下であることがより好ましく、120°以下であることが更に好ましい。繊維堆積体Fの坪量分布を均一にする観点から、角度θ3及びθ4は同一の角度とすることが好ましい。
捕集面30Sへの繊維の堆積性をより高める観点から、図3に示すように、第2集風板35のX方向における長さ35Nは、200mm以上が好ましく、300mm以上が好ましく、また600mm以下が好ましく、450mm以下がより好ましい。同様の観点から、第2集風板35のY方向における長さ35Lは、300mm以上が好ましく、400mm以上が好ましく、また600mm以下が好ましく、500mm以下がより好ましい。
電界紡糸における紡糸条件及び/又は捕集条件を変更する場合に、捕集面30Sへの繊維Fの堆積性をより向上させる観点から、図6に示すように、集風板34は角度調節手段41を備えていることが好ましい。角度調節手段41は、集風板34の板面34Sと捕集面30Sとのなす角度である角度θ1及び角度θ2を上述の範囲内で調節するためのものである。角度調節手段41としては、例えばヒンジや、集風板34を軸回りに回動可能にする棒状部材及び軸受部材、スライド蝶番、ウォームギア等が挙げられる。
繊維Fの意図しない位置への堆積を防ぐ観点から、角度調節手段41は、集風板34の板面34S以外の部分に備えられていることが好ましい。図6に示す角度調節手段41は、捕集装置30の外側に、捕集面30Sを挟むように配置された支持部材42と、集風板34における板面34Sの反対側の面である裏面34Rとを連結し、且つ集風板が開閉可能となるように配置されている。支持部材42としては、例えば捕集装置30の外枠を構成する部材などが挙げられるが、これに限られない。
繊維堆積体Fを使用する製品に応じて繊維Fの堆積領域を容易に変更可能にする観点から、図6に示すように、集風板34は、一対の集風板34,34間の間隔を調節する間隔調節手段43を備えていることが好ましい。間隔調節手段43としては、例えば支持部材42,42間を連結するように配置された摺動可能なレール、伸縮性を有する棒状部材、ラックアンドピニオン、ボールねじ等が挙げられる。繊維Fの意図しない位置への堆積を防ぐ観点から、間隔調節手段43は、集風板34の板面34S以外の部分に備えられていることが好ましい。一対の集風板34,34間の間隔は、捕集部材31における捕集面30Sの所望の面積に応じて、適宜変更することができる。
電界紡糸装置20におけるノズル21と捕集装置30との間に電界を生じさせて原料液Lを帯電しやすくして、繊維Fの紡糸効率を高める観点から、図1及び図2に示すように、捕集装置30は捕集電極36を備えていることが好ましい。捕集電極36は、電界紡糸装置20と対向するように、且つ搬送ベルト31の背面に隣接して配置されている。
捕集電極36は、金属等の導電性材料から構成されている平板状のものである。捕集電極36の板面と、ノズル21の延びる方向とは略直交するように配置されている。捕集電極36は、ノズル21と捕集電極36との間に電場が形成されるように配されていれば特に制限はなく、例えば図1に示すように、第2高電圧装置37によってノズル21に印加されている電圧と異なる電圧を捕集電極36に印加してもよく、又は接地されていてもよい。第2高電圧装置37を用いる場合は、ノズル21に印加された電圧と異なる電圧を捕集電極36に印加することが好ましい。この構成を有することによって、ノズル21と捕集電極36との間に電界が形成されやすくなり、より細径の繊維を電界紡糸によって製造することが可能となる。
捕集装置30に捕集電極36を備える場合、捕集面30Sへの繊維Fの堆積性をより高める観点から、捕集面30SにおけるY方向の長さ30Yに対する、捕集電極36におけるY方向の長さの比は、0.7以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましく、また2.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。同様の観点から、捕集面30SにおけるZ方向の長さ30Zに対する、捕集電極36におけるZ方向の長さの比は、0.2以上であることが好ましく、0.25以上であることがより好ましく、また2.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。
電界紡糸装置20によって紡糸された繊維Fの捕集面30Sへの捕集効率を高めて、繊維堆積体Fの製造効率を高める観点から、図1及び図7に示すように、捕集装置30は吸引機構38を備えていることが好ましい。吸引機構38は、電界紡糸装置20と対向するように、且つ搬送ベルト31の背面に配置されている。捕集装置30が吸引機構38を備えている場合、捕集部材31は空気が流通可能な部材で構成されていることが好ましい。図7に示すように、搬送ベルト31は、例えばメッシュベルト等の空気の流通が可能なベルトで構成されていることが好ましい。
図7に示すように、吸引機構38の電界紡糸装置20と対向する面には、複数の吸引孔38aが開口しており、吸引孔38a以外の部分は平板となっている。各吸引孔38aは吸引機構38に備えられているバキュームポンプなどの吸引装置(図示せず)と連通しており、各吸引孔38aを介して、外気の吸引が可能となるように構成されている。このような構成を有していることによって、空気流噴射部25からの空気流の噴射に加えて、電界紡糸装置20から捕集装置30の捕集面30S側に向けて空気の流れを強力に発生させることができ、その結果、繊維Fが捕集面30S以外の位置に意図せず堆積することを抑制することができる。
特に、図1に示すように、捕集装置30に捕集電極36及び吸引機構38の双方が備えられている場合、搬送ベルト31の背後に捕集電極36が備えられ、且つ捕集電極36の背後に吸引機構38が備えられていることが好ましい。つまり、電界紡糸装置20側から見て、捕集装置30には、捕集部材31(搬送ベルト31)と、捕集電極36と、吸引機構38とがこの順で備えられていることが好ましい。
捕集装置30に捕集電極36及び吸引機構38の双方が備えられている場合、吸引機構38における外気の吸引を可能にする観点から、図7に示すように、捕集電極36には、電界紡糸装置20と対向する面と他方の面とを貫通する複数の空気流通孔36aが設けられていることが好ましく、各空気流通孔36aと各吸引孔38aとの位置がそれぞれ一致していることがより好ましい。このような構成とすることによって、繊維Fの紡糸効率及び捕集効率を同時に高めることができ、繊維堆積体Fの製造効率を一層高めることができる。
繊維Fの捕集面30Sへの捕集効率の向上の観点から、吸引機構38におけるY方向の長さが、捕集電極36におけるY方向の長さ以上となることが好ましく、且つ、吸引機構38におけるZ方向の長さが、捕集電極36におけるZ方向の長さ以上となることが好ましい。
同様の観点から、捕集面30SにおけるY方向の長さ30Yに対する吸引機構38におけるY方向の長さの比を、0.7以上とすることが好ましく、0.8以上とすることがより好ましく、また2.0以下とすることが好ましく、1.5以下とすることがより好ましい。また同様に、捕集面30SにおけるZ方向の長さ30Zに対する吸引機構38におけるZ方向の長さの比は、0.2以上とすることが好ましく、0.25以上とすることがより好ましく、また2.0以下とすることが好ましく、1.5以下とすることがより好ましい。このような構成とすることによって、繊維Fの紡糸効率及び捕集効率を同時に高めることができ、繊維堆積体Fの製造効率をより一層高めることができる。
吸引機構38によって発生させる吸引静圧は、繊維Fの捕集効率と、搬送ベルト31における搬送しやすさとを両立する観点から、1kPa以上であることが好ましく、1.5kPa以上であることがより好ましく、またその上限は、40kPa以下であることが好ましく、30kPa以下であることがより好ましい。
以上の製造装置10を用いた繊維シートの製造方法においては、電界紡糸装置20を、捕集装置30における捕集部材31の捕集面30Sと対向して配置した状態下に電界紡糸を行って、捕集面30Sとなっている搬送ベルト31の前面に、電界紡糸装置20で紡糸された繊維Fを堆積させて繊維堆積体Fを製造する。繊維堆積体Fは、紡糸された繊維Fが堆積したものであるので、繊維Fと繊維堆積体Fとは実質的に同一のものである。
本発明の製造装置10は、一対の集風板34,34が捕集面30Sを挟むようにして配置されているので、繊維Fの所望の堆積領域である捕集面30Sに繊維Fが堆積しやすくなる。繊維が集風板34といった捕集面30S以外の領域へ意図せず紡糸されてしまった場合でも、集風板34の板面34Sに凸部Pが形成されていることに起因して、板面34S上の繊維が捕集面30S以外の領域に容易に脱落しやすくなる。その結果、意図しない領域に紡糸された繊維が捕集面30S上に位置する繊維堆積体Fに混入することを防止でき、坪量分布が均一な繊維堆積体Fを安定的に製造することができる。更に、製造装置10に一対の第2集風板35,35が配置されていることによって、坪量分布が均一な繊維堆積体Fを一層安定的に製造することができる。
製造装置10において用いられる原料液Lとしては、繊維形成の可能な高分子化合物が溶媒に溶解又は分散した溶液を用いることができる。高分子化合物としては、水溶性高分子化合物及び水不溶性高分子化合物のいずれもが用いられる。本明細書において「水溶性高分子化合物」とは、1気圧、常温(20℃±15℃)の環境下において、高分子化合物を、該高分子化合物に対して10倍以上の質量の水に浸漬し、十分な時間(例えば24時間以上)が経過したときに、浸漬した高分子化合物の50質量%以上が溶解する程度に水に溶解可能な性質を有する高分子化合物をいう。一方、「水不溶性高分子化合物」とは、1気圧、常温(20℃±15℃)の環境下において、高分子化合物を、該高分子化合物に対して10倍以上の質量の水に浸漬し、十分な時間(例えば24時間以上)が経過したときに、浸漬した高分子化合物の80質量%以上が溶解しない程度に水に溶解しづらい性質を有する高分子化合物をいう。原料液Lには適宜、無機物粒子、有機物粒子、植物エキス、界面活性剤、油剤、イオン濃度を調整するための電解質等を配合することができる。
水溶性高分子化合物としては、例えばプルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ−γ−グルタミン酸、β−グルカン、グルコオリゴ糖、ヘパリン、ケラト硫酸等のムコ多糖、セルロース、ペクチン、キシラン、リグニン、グルコマンナン、ガラクツロン、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、アラビアガム、トラガントガム、変性コーンスターチ、大豆水溶性多糖、アルギン酸、カラギーナン、ラミナラン、寒天(アガロース)、フコイダン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の天然高分子、部分鹸化ポリビニルアルコール(後述する架橋剤と併用しない場合)、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子などが挙げられる。これらの水溶性高分子化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの水溶性高分子化合物のうち、繊維の製造が容易である観点から、プルラン、並びに部分鹸化ポリビニルアルコール、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンオキサイド等の合成高分子を用いることが好ましい。
水不溶性高分子化合物としては、例えば繊維形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することで繊維形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリ(N−プロパノイルエチレンイミン)グラフト−ジメチルシロキサン/γ−アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、ツエイン(とうもろこし蛋白質の主要成分)、ポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタクリル酸樹脂等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエチレンテフタレート樹脂、ポリブチレンテフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。これらの水不溶性高分子化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
その他の高分子化合物としては一般に、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフラテート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ナイロン、アラミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチド等が挙げられる。これらの高分子化合物は単独で又は複数混合して用いることができる。
原料液Lの溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は複数混合して用いることができる。
特に溶媒として水を用いる場合は、水への溶解度の高い下記のような天然高分子及び合成高分子を用いるのが好適である。天然高分子としては、例えばプルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ−γ−グルタミン酸、β−グルカン、グルコオリゴ糖、ヘパリン、ケラト硫酸等のムコ多糖、セルロース、ペクチン、キシラン、リグニン、グルコマンナン、ガラクツロン酸、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、アラビアガム、トラガントガム、大豆水溶性多糖、アルギン酸、カラギーナン、ラミナラン、寒天(アガロース)、フコイダン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。合成高分子としては、例えば部分鹸化ポリビニルアルコール、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。これらの高分子化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの高分子化合物のうち、繊維の調製が容易である観点から、プルラン等の天然高分子、並びに部分鹸化ポリビニルアルコール、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンオキサイド等の合成高分子を用いることが好ましい。
本発明の製造装置10によって製造される繊維Fは、その太さを円相当直径で表した場合、一般に10nm以上3000nm以下、特に100nm以上1000nm以下のものである。繊維の太さは、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって測定することができる。このような繊維をランダムに堆積させることで繊維堆積体Fが得られる。
本発明の製造装置10を使用して製造した繊維F又はその堆積体は、繊維成形体として各種の目的に使用することができる。成形体の形状としては、シート、綿状体、糸状体などが挙げられる。繊維成形体は他のシートと積層したり、各種の液体、微粒子、ファイバなどを含有させたりして使用してもよい。繊維シートは、例えば医療目的や、美容目的、装飾目的等の非医療目的でヒトの肌、歯、歯茎、毛髪、非ヒト哺乳類の皮膚、歯、歯茎、枝や葉等の植物表面等に付着されるシートとして好適に用いられる。また、高集塵性でかつ低圧損の高性能フィルタ、高電流密度での使用が可能な電池用セパレータ、高空孔構造を有する細胞培養用基材等としても好適に用いられる。繊維の綿状体は防音材や断熱材等として好適に用いられる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば本発明の製造装置及び製造方法は、溶液法による電界紡糸方法及び溶融法による電界紡糸方法のいずれにも適用することができる。
また、角度調節手段41及び/又は間隔調節手段43は、集風板34に加えて、各第2集風板35,35に備えられていてもよい。この場合、第2集風板35における角度調節手段41は、第2集風板35の板面35Sと捕集面30Sとのなす角度である角度θ3及び角度θ4を上述の範囲内で調節するためのものであり、また、間隔調節手段43は、一対の第2集風板35,35間の間隔を調節するものである。第2集風板35において用いられる角度調節手段41及び/又は間隔調節手段43は、集風板34に用いられるものと同様の構成とすることができる。一対の第2集風板35,35間の間隔は、捕集部材31における捕集面30Sの所望の面積に応じて、適宜変更することができる。このような構成を有することによって、繊維の意図しない位置への堆積を効果的に防いで、捕集面30Sに坪量分布が均一な繊維堆積体Fをより一層安定的に製造することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
図1に示す製造装置10を用いて、樹脂としてポリプロピレン(PP;PolyMirae社製、MF650Y)80質量%と、添加剤としてステアリン酸亜鉛を20質量%含む樹脂組成物からなる溶融樹脂の原料液Lを溶融電界紡糸法によって紡糸した。紡糸時間は1時間とし、長さ69m×幅300mmの繊維堆積体Fを製造した。電界紡糸装置20における紡糸条件及び捕集装置30における捕集条件は以下のとおりとした。一対の集風板34,34及び一対の第2集風板35,35にはそれぞれ、四角錐形状の凸部Pが形成されているメタクリル樹脂板(旭化成テクノプラス社製、デラプリズム15M。底部PBの形状:一辺の長さW1が10mmの正方形)を用いた。
<紡糸条件>
・製造環境:27℃、50%RH
・原料液Lの加熱温度:250℃
・原料液Lの吐出量:800g/hr
・帯電電極22への印加電圧:−30kV
・ノズル先端21aと捕集電極36との間の距離:1100mm
・空気流噴射部25から噴出される気体の温度:450℃
・空気流噴射部25から噴出される気体の圧力:0.25MPa
・空気流噴射部25から噴出される気体の流量:200L/min
<捕集条件>
・搬送ベルト31のベルト幅(長さ30Y):350mm
・搬送ベルト31のベルト長さ(長さ30Z):1100mm
・搬送ベルト31の搬送速度:1.15m/min
・集風板34の寸法:長さ1000mm×幅400mm×厚さ5mm
・第2集風板35の寸法:長さ500mm×幅560mm×厚さ5mm
・捕集電極36の寸法:長さ300mm×幅300mm×厚さ1mm
・捕集電極36への印加電圧:−25kV
・吸引機構38の最大吸引静圧:18.2kPa
〔比較例1〕
一対の集風板34,34及び一対の第2集風板35,35が配置されていない製造装置を用いた他は、実施例1と同様の条件で繊維堆積体Fを製造した。
〔繊維の混入評価〕
実施例1及び比較例1の繊維堆積体Fについて、意図しない繊維の混入を、以下の基準で目視で評価した。結果を表1に示す。
A:意図しない繊維の堆積物が、繊維堆積体Fに混入していなかった。
B:意図しない繊維の堆積物が、繊維堆積体Fに混入していた。
〔坪量の均一性評価〕
実施例1及び比較例1の繊維堆積体Fについて、各繊維堆積体Fの坪量分布の変動から、坪量の均一性を評価した。評価基準は以下のとおりとした。結果を表1に示す。
A:繊維堆積体Fの坪量の変動が少なく、坪量分布が良好であった。
B:繊維堆積体Fの坪量の変動が大きくなり、坪量分布が不良であった。
表1に示すように、実施例1の製造装置を用いて製造した繊維堆積体は、意図しない繊維の堆積物が混入することなく、且つ坪量分布が良好であることが判る。それに対して、比較例1の製造装置を用いて製造した繊維堆積体は、意図しない繊維の堆積物が混入し、坪量の変動が大きく、坪量分布が不良であることが判る。