JP2020045591A - 電界紡糸装置及びナノファイバ集積体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ナノファイバを任意のパターンで捕集することができ、種々の形状のナノファイバ集積体を安定的に製造し得る電界紡糸装置及びナノファイバ集積体の製造方法を提供すること。【解決手段】電界紡糸装置1において、原料吐出部2の周囲で且つノズル21の先端21aよりも後方に、空間Sに向けて第1の空気流A1を噴射する第1噴射口6が配置されているとともに、第1噴射口6よりもノズル21から離れた位置に、空間Sに向けて第2の空気流A2を噴射する第2噴射口7が配置されている。電界紡糸装置1は、第2の空気流A2を制御する制御手段8と、該制御手段8の動作を制御する演算処理部9とを備え、演算処理部9の制御下で制御手段8により第2の空気流A2を制御することで、ナノファイバの空間Sでの搬送方向を調整可能になされている。【選択図】図4
Description
本発明は、電界紡糸法を利用したナノファイバの製造技術に関する。
紡糸は、高分子などの紡糸素材を加熱溶融しあるいは溶媒に溶解して流動化させた粘調体を、紡糸ヘッドに連続的に供給し、紡糸口から吐出して糸を製造する技術である。紡糸素材の粘調体の形態により、溶融紡糸、溶液紡糸がある。また、粘調体を紡糸口から吐出後に糸の形に固定する形態により、湿式紡糸、乾式紡糸、メルトブローン、電界紡糸(エレクトロスピニング)などの公知の紡糸法がある。
電界紡糸法は、機械力や熱力を使わずにナノサイズの直径の繊維(以下、ナノファイバという)を比較的簡単に製造できる技術として注目を浴びている。これまで行われてきた電界紡糸法では、ナノファイバの原料となる物質の溶液をシリンジに充填しておき、該シリンジに取り付けられている針状のノズルと、これに対向する捕集用電極との間に直流高電圧を印加した状態下に、該ノズルの先端から溶液を吐出する操作を行う。吐出された溶液はクーロン力で延伸されるとともに溶媒が瞬時に蒸発し、原料は凝固しながらナノファイバが形成される。そしてナノファイバは捕集用電極の表面に堆積する。
電界紡糸の改良技術に関し、特許文献1には、ナノファイバの生成手段と、該生成手段と間隔をあけて対向して配置された通気性の収集体と、該収集体の該生成手段とは反対側から気体を吸引する吸引手段とを備え、該吸引手段による吸引によって生じた気体流により、該生成手段により生成されたナノファイバを、該生成手段と該収集体との間を該収集体に沿って走行する担持シート上に堆積させるようにした高分子ウェブの製造装置が記載されている。また、この製造装置は、ナノファイバを搬送する気体流の形成を確実にする目的で、生成手段と担持シートとが対向する空間の側部に温風送風手段を備えている。特許文献1記載の製造装置は、担持シート上にナノファイバを均一に堆積させることを目的としており、前記の装置構成によればその目的が達成できるとされている。
特許文献2には、超高速紡糸によるフィラメントが横方向に配列されてなる横配列ウェブの製造装置として、下方を走行するメッシュベルトに向けて溶融樹脂を押し出す紡糸ノズルと、該紡糸ノズルの周囲に配され、一次エアーを重力方向に噴出する円環状のスリットと、該スリットよりも該紡糸ノズルから離れた位置に配され、該紡糸ノズルから押し出された糸状の溶融樹脂に向けて二次エアーを噴出する二次エアー噴出口とを有する製造装置が記載されている。二次エアー噴出口は、紡糸ノズルの中心線を中心としてメッシュベルトの走行方向に対称な位置に複数配されており、各二次エアー噴出口から噴出された二次エアー同士が、紡糸ノズルの下方で衝突するようになされている。特許文献2記載の製造装置において、紡糸ノズルから押し出された糸状の溶融樹脂は、一次エアーの影響により振動を伴って落下しつつ、二次エアー同士の衝突によって拡散した二次エアーの一部に乗ることで、メッシュベルトの走行方向と直交する幅方向に広がる。特許文献2記載の製造装置は、電界紡糸を利用したものではなく、また、紡糸中に二次エアーの流量を制御するように構成されていない。
電界紡糸によって製造されたナノファイバは、所定の形状に集積されたナノファイバ集積体として種々の用途に使用される。典型的なナノファイバ集積体の1つであるナノファイバシートは、一般的には、特許文献1記載発明の製造目的物のように、ナノファイバがシート全体に均一に分布しているが、シートの用途によっては、ナノファイバがシートの面方向において偏在したシートが望まれる場合がある。そのようなナノファイバが不均一に分布したシートは、公知の電界紡糸装置において、ノズルから吐出された原料液から生じたナノファイバを、捕集部にて所定のパターンで捕集することによって得られるが、そのようなナノファイバの捕集を可能にするためには、ノズルから捕集部までのナノファイバの搬送を適切に制御する必要がある。しかしながら、そのようなナノファイバの搬送制御を可能にし、ナノファイバが均一に集積されたシートのみならず、意図的に不均一に集積されたシートをも安定的に製造し得る技術は未だ提供されていない。
本発明の課題は、ナノファイバを任意のパターンで捕集することができ、種々の形状のナノファイバ集積体を安定的に製造し得る電界紡糸装置及びナノファイバ集積体の製造方法を提供することに関する。
本発明は、軸方向の先端から原料液を吐出する導電性のノズルを備えた原料吐出部と、前記ノズルと電気的に絶縁して配置された電極と、前記ノズルと前記電極との間に電圧を発生させる電圧発生部と、前記ノズルと空間を置いて配置され、前記ノズルから吐出された前記原料液が該空間で繊維化されたナノファイバを捕集する捕集部とを備える電界紡糸装置であって、前記原料吐出部の周囲で且つ前記ノズルの先端よりも後方に、前記空間に向けて第1の空気流を噴射する第1噴射口が配置されているとともに、該第1噴射口よりも該ノズルから離れた位置に、該空間に向けて第2の空気流を噴射する第2噴射口が配置されており、前記第2の空気流を制御する制御手段と、該制御手段の動作を制御する演算処理部とを備え、前記演算処理部の制御下で前記制御手段により前記第2の空気流を制御することで、前記ナノファイバの前記空間での搬送方向を調整可能になされている電界紡糸装置である。
また本発明は、前記の本発明の電界紡糸装置を用いたナノファイバの製造方法であって、前記捕集部にて前記ナノファイバを所定の捕集パターンで捕集してナノファイバ集積体を得る工程を有し、前記捕集パターンに応じて、前記ナノファイバの前記空間での搬送方向を調整する、ナノファイバ集積体の製造方法である。
本発明によれば、ナノファイバを任意のパターンで捕集することができ、種々の形状のナノファイバ集積体を安定的に製造し得る電界紡糸装置及びナノファイバの製造方法が提供される。
以下、本発明についてその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の電界紡糸装置の一実施形態であるナノファイバ製造装置1が示されている。製造装置1は、基本的にはESD(Electro−Spray Deposition)と高速噴出気流(ジェット)を組み合わせたジェットESD法を採用したものであり、軸方向Xの先端21aからナノファイバ製造用の原料液(図示せず)を吐出する導電性のノズル21を備えた原料吐出部2と、ノズル21と電気的に絶縁して配置された電極3と、ノズル21と電極3との間に電圧を発生させる電圧発生部4と、ノズル21と空間Sを置いて配置され、ナノファイバを捕集する捕集部5とを備えている。
本実施形態の製造装置1は、原料吐出部2及び電極3を含み、捕集部5と空間Sを置いて配置された紡糸ユニット10を備えている。紡糸ユニット10は、図2に示すように、捕集部5に向かって開口し且つ該開口とは反対側に底部を有する凹部11を有し、該凹部11の底部、より具体的には該凹部11において深さが最も深い最底部に原料吐出部2が配置され、該原料吐出部2を包囲するように電極3が配置されている。原料吐出部2が備えるノズル21は、凹部11の前記開口側すなわち捕集部5側に向かって突出し、その突出方向の先端21aに、原料液が吐出される開口部を有している。電極3は、紡糸ユニット10が備える基台12に固定され、その内面3fは被覆体13で被覆されている。電極3は導電性材料から構成され、基台12及び被覆体13は電気絶縁性材料から構成されている。
製造装置1では、電極3は、全体として凹球面形状より具体的には略椀形を有し、その内面3fがノズル21(原料吐出部2)を包囲する配置されている。電極3の内面3f、すなわちノズル21の先端21a(原料液が吐出される開口部)から臨むことのできる電極3の表面(ノズル21との対向面)は、凹曲面に形成されている。電極3の内面3fはいずれの位置においても曲面になっている。なお、電極3は、内面3fが凹曲面となっている限りにおいて、その形状は略椀形に限定されず、他の形状を有していてもよい。紡糸ユニット10の凹部11の内面11fは、少なくとも電極3の内面3fとの法線方向での平面視における重複部分において、内面3fに沿った形状を有している。
電極3の内面3fをその開口端部3aから見たとき、該開口端部3aの周縁は円形をしている。この円形は、真円形でもよく、あるいは楕円形でもよいが、ノズル21の先端21aに電界を集中させる観点から、真円形が好ましい。また、電極3の内面3fは、その任意の位置における法線がノズル21の先端21a又はその近傍を通るような形状となっていることが好ましい。この観点から、電極3の内面3fは、真球の球殻の内面と同じ形状をしていることが特に好ましい。
凹球面形状の電極3の内面3fの最底部(電極3の内面3f側において深さが最も深い部分)には開口部3bが形成され、該開口部3bに、原料吐出部2を構成するノズルアセンブリ20が挿入され固定されている。ノズルアセンブリ20は、一方向に長い形状具体的には棒状ないし針状のノズル21と、ノズル21を支持する支持部22とを有している。前述したとおり、電極3は電気絶縁性材料から構成された基台12に固定され、且つ電極3の内面3fは電気絶縁性材料から構成された被覆体13で被覆されており、さらに、支持部22は電気絶縁性材料から構成されているため、電極3とノズル21とは電気的に絶縁されている。ノズル21の先端21aとは軸方向Xにおいて反対側に位置する後端21bは、例えばナノファイバ製造用の原料液の供給源(図示せず)に接続されている。ノズルアセンブリ20は、原料の供給源を構成するとともに原料吐出部2を構成する。
ノズル21は、導電性材料から構成されており、一般には金属から構成されている。好適には、ノズル21は、針状の直管から構成されている。ノズル21内には、原料液が流通可能になっている。ノズル21の内径は、例えば、好ましくは100μm以上、より好ましくは300μm以上、そして、好ましくは3000μm以下、より好ましくは2000μm以下であり、より具体的には、好ましくは100μm以上3000μm以下、より好ましくは300μm以上2000μm以下である。ノズル21の外径は、例えば、好ましくは300μm以上、より好ましくは500μm以上、そして、好ましくは4000μm以下、より好ましくは3000μm以下であり、より具体的には、好ましくは300μm以上4000μm以下、より好ましくは500μm以上3000μm以下である。ノズル21の内径及び外径を前記範囲に設定することで、原料液を容易に且つ定量的に送液できるとともに、ノズル21の周辺の狭い領域に電界が集中するようになるため、原料液を効率よく帯電させることが可能となる。
ノズル21は、その中心線21Cが、電極3の内面3fにおける開口端部3aによって画成される円の中心又はその中心の近傍と、該内面3fにおける底部に設けられた開口部3bの中心又はその中心の近傍とを通るように配置されることが好ましい。ノズル21の中心線21Cは、ノズル21の軸方向X(ノズル21の長手方向)と直交する方向での断面の中心を通って軸方向Xに延びる仮想直線である。また、電極3の内面3fにおける開口端部3aによって画成される円を含む平面と、ノズル21の軸方向Xとが直交していることが好ましい。このようにノズル21を配置することで、ノズル21の先端21aに電界が更に一層集中するようになる。
ノズル21の先端21aと電極3の内面3fとの離間距離(最短距離)は、絶縁破壊による電極3とノズル21との間の放電防止の観点から、好ましくは10mm以上、より好ましくは20mm以上であり、また、電極3とノズル21との間の適正な距離による安定な電圧印加及び実用的な電極サイズの観点から、好ましくは200mm以下、より好ましくは100mm以下であり、より具体的には、好ましくは10mm以上200mm以下、より好ましくは20mm以上100mm以下である。
製造装置1では、図1に示すように、電極3にはアースが施されて接地されている一方、ノズル21には電圧発生部4の直流高圧電源41により正電圧が印加されている。したがって、製造装置1の動作中においては、電極3が陰極、ノズル21が陽極となり、電極3とノズル21との間に電圧が発生し、電界が形成される。なお、電極3とノズル21との間に電界を生じさせる方法としては、図1に示す電圧の印加方法に代えて、ノズル21にアースを施して接地し、電極3に負電圧を印加する方法でもよい。
電圧発生部4としては、高圧電源装置などの公知の装置を用いることができる。電極3とノズル21との間に加わる電位差は、1kV以上、特に10kV以上とすることが、原料液を十分に帯電させ得る点から好ましい。一方、この電位差は100kV以下、特に50kV以下とすることが、ノズル21と電極3との間における放電を防止する点から好ましい。例えば1kV以上100kV以下、特に10kV以上50kV以下とすることが好ましい。なお、電圧発生部4で印加した電圧が変動電圧である場合は、電極3とノズル21との間に発生する電位差の時間平均が前記範囲内とすることが好ましい。
捕集部5は、ノズル21から吐出された原料液が空間Sで繊維化されたナノファイバを捕集する手段であり、図1に示すように、ノズル21と空間Sを置いて配置されている。製造装置1では、捕集部5におけるナノファイバの捕集面が、一方向MDに移動可能に構成されており、これにより、ナノファイバの集合体であるナノファイバ集積体Fを連続的に製造することができる。より具体的には、捕集部5は、メッシュ等からなる通気性の無端ベルト52と、無端ベルト52が架け渡された2個又は3個以上の駆動又は従動ローラ53とを備えたベルトコンベア51を備え、無端ベルト52が、ノズル21の下方を、ノズル21の軸方向Xと直交する方向MDに移動可能になされている。そして捕集部5は、この一方向MDに移動する無端ベルト52の上面に、長尺状のシート材55を連続的に供給するように構成されており、シート材55の上面(ノズル21との対向面)がナノファイバの捕集面として機能する。空間Sで繊維化されたナノファイバは、一方向MDに移動中のシート材55の上面に所定のパターンで付着し、ナノファイバ集積体Fとされる。シート材55としては、例えば、不織布、薄葉紙、フィルム、これらの複合材等を用いることができる。
無端ベルト52の裏側(ナノファイバの捕集面側とは反対側)には、捕集用電極54が配置されている。捕集用電極54にはアースが施されており、接地されている。捕集用電極54は、金属等の導電性材料から構成されている平板状のものとすることができる。捕集用電極54の板面と、ノズル21の軸方向Xとは直交していることが好ましい。捕集用電極54には、正に帯電したナノファイバを誘引するため、陽極であるノズル21よりも低い(負の)電位を与えることが好ましく、また、誘引を更に効率的にするため、陰極である電極3よりも低い(負の)電位を与えることも好ましい。捕集用電極54とノズル21の先端21aとの離間距離(最短距離)は、好ましくは100mm以上、より好ましくは500mm以上、そして、好ましくは2000mm以下、より好ましくは1500mm以下であり、より具体的には、好ましくは100mm以上2000mm以下、より好ましくは500mm以上1500mm以下である。
製造装置1は、図1〜図3に示すように、2種類の空気流A1,A2を噴射する噴射口6,7を備えている。すなわち製造装置1においては、原料吐出部2(ノズル21)の周囲で且つノズル21の先端21aよりも後方に、空間Sに向けて第1の空気流A1を噴射する第1噴射口6が配置されているとともに、第1噴射口6よりもノズル21から離れた位置に、空間Sに向けて第2の空気流A2を噴射する第2噴射口7が配置されている。ここでいう「後方」とは、ノズル21の軸方向X(ノズル21の長手方向)における原料液吐出方向とは反対側の方向であり、また、該原料液吐出方向は、縦方向Xにおける「前方」である。第2噴射口7は、ノズル21の軸方向Xと直交する垂直方向CDにおいて、第1噴射口6よりもノズル21から離れている。垂直方向CDは、ノズル21の軸方向Xと直交するとともに、捕集部5におけるナノファイバの捕集面(シート材55の上面)の移動方向MDとも直交する。
製造目的物であるナノファイバは、ノズル21の先端21aから吐出された原料液(粘調体)に電界を作用させて延伸することで製造されるところ、空気流A1の主たる役割の1つは、斯かる原料液の延伸を促進させて紡糸効率を高めることである。そこで、空気流A1を噴射する第1噴射口6は、斯かる空気流A1の紡糸性制御の役割が十分に果たされるように配置されており、具体的には、ノズル21(原料吐出部2)を囲むように配置されている。製造装置1では、図2に示すように、複数の平面視円形状の第1噴射口6が、ノズル21の中心線21Cを中心とする仮想円に沿って該仮想円の周方向に間欠配置されている。また、製造装置1では、このようにノズル21を囲むように配置された第1噴射口6から噴射される空気流A1の噴射方向は、図3に示すように、ノズル21の軸方向Xと平行である。
製造装置1では、第1噴射口6は、図3に示すように、基台12内に設けられた空気供給路61を介して、空気流A1の供給源(図示せず)に接続されており、該供給源から空気が供給される。供給源から供給され第1噴射口6から噴射された空気は、空気流A1として、ノズル21の先端21aの後方から先端21aの近傍を通って前方に流れる。前述したとおり、空気流A1の噴射方向は、ノズル21の軸方向Xと平行である。このように、ノズル21を囲むように配置された第1噴射口6から軸方向Xと平行に空気流A1を噴射することで、ノズル21の先端21aから吐出される原料液の単位時間当たりの量を、空気流A1を噴射させない場合に比して増大させることができ、また、吐出された原料液を、電界の作用のみによって引き伸ばした場合に比して一層効率よく引き延ばすことができる。このような作用により、本実施形態の製造装置1は、ナノファイバ等の繊維の紡糸能力に優れている。ここでいう紡糸能力とは、単位時間当たりに製造される紡糸繊維の質量であり、大きい程、紡糸能力に優れている。
前述した空気流A1による作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、第1噴射口6とノズル21との間隔G1(図3参照)は、好ましくは 10mm以上、より好ましくは15mm以上、そして、好ましくは50mm以下、より好ましくは40mm以下であり、より具体的には、好ましくは10mm以上50mm以下、より好ましくは15mm以上40mm以下である。
第1噴射口6の平面視形状(開口形状)は、図示の形態の如き円形に制限されず、種々の形状を採用でき、例えば、円弧形、矩形、楕円、三角等であってもよい。また、第1噴射口6の配置数は特に制限されないが、図示の形態のように、ノズル21を囲むように環状に間欠配置する場合は、例えば、好ましくは2個以上、より好ましくは8個以上、そして、好ましくは150個以下、より好ましくは36個以下であり、より具体的には、好ましくは2個以上150個以下、より好ましくは8個以上36個以下とすることができる。また、第1噴射口6は、図示の形態のように複数配置せずに、例えばノズル21の中心線21Cを中心とする仮想円に沿って環状に形成された1個の第1噴射口6を配置することもできる。
前述したように、第1噴射口6から噴射される空気流A1が主として紡糸性制御の役割を担うのに対し、第2噴射口7から噴射される空気流A2は、主として、空間Sで原料液から形成されたナノファイバが捕集部5に搬送される際の搬送方向を制御する役割を担う。そこで、空気流A2を噴射する第2噴射口7は、斯かる空気流A2の繊維搬送方向制御の役割が十分に果たされ、捕集部5によるナノファイバの任意のパターンでの捕集が可能となるように配置することが重要である。
この点、製造装置1では、第2噴射口7は、図1及び図2に示すように、第1噴射口6よりもノズル21から離れた位置に配置され、且つ捕集部5におけるナノファイバの捕集面を形成するシート材55の移動方向MDと垂直方向CD、すなわちナノファイバの捕集面の面方向において移動方向MDと直交する方向CDにおいて、ノズル21を中心として対称に配置されている。より具体的には、複数(図示の形態では3個)の平面視円形状の第2噴射口7が、ノズル21(原料吐出部2)から垂直方向CDの一方側に間欠配置されているとともに、複数(図示の形態では3個)の平面視円形状の第2噴射口7が、ノズル21(原料吐出部2)から垂直方向CDの他方側(該一方側とは反対側)に間欠配置されている。これら複数の第2噴射口7は、垂直方向CD、すなわちナノファイバの捕集面(シート材55の上面)の移動方向MDと直交する方向において、ノズル21(原料吐出部2)を中心として対称に配置されている。
第2噴射口7の平面視形状(開口形状)は、図示の形態の如き円形に制限されず、種々の形状を採用でき、例えば、円弧形、矩形、楕円、三角等であってもよい。また、第2噴射口7の配置数は特に制限されないが、図示の形態のように、ノズル21を挟んで一方向に間欠配置する場合は、ノズル21を挟んで一方側及び他方側ともに、好ましくは2個以上、より好ましくは4個以上、そして、好ましくは10個以下、より好ましくは8個以下であり、より具体的には、好ましくは2個以上10以下、より好ましくは4個以上8個以下とすることができる。また、第2噴射口7の配置は図示の形態に制限されず、例えば、複数の第1噴射口6と複数の第2噴射口7とを、ノズル21を中心とする直径が相異なる複数の同心円状に配置することもでき、その場合、第1噴射口6は、ノズル21から相対的に近い円を描くように配置され、第2噴射口7は、ノズル21から相対的に遠い円を描くように配置される。第2噴射口7は、円を描くように環状に配置された第1噴射口6に対し、1つ又は2つ以上の同心円状に配置することができる。
製造装置1では、第2噴射口7は、図3に示すように、基台12内に設けられた空気供給路71を介して、空気流A2の供給源(図示せず)に接続されており、該供給源から空気が供給される。供給源から供給され第2噴射口7から噴射された空気は、空気流A2として所定方向に流れる。なお、空気流A2の供給源は、空気流A1の供給源とは別体でもよく、空気流A1の供給源と共通の単一のものでもよい。
製造装置1の主たる特徴の1つとして、空気流A2を制御することで、ナノファイバの空間Sでの搬送方向を調整可能になされている点が挙げられる。図4には、空気流A2の噴射機構の概略構成が示されている。製造装置1は、図4に示すように、空気流A2を制御する制御手段8と、制御手段8の動作を制御する演算処理部9とを備え、演算処理部9の制御下で制御手段8により空気流A2を制御可能に構成されている。
ここでいう、「空気流A2を制御する」とは、典型的には、空気流A2の噴射流量を制御することである。空気流A2の噴射流量の制御には、空気流A2の噴射流量の増加及び減少並びに空気流A2の噴射停止(すなわち噴射流量ゼロ)が含まれる。
製造装置1において、原料液は、ノズル21の先端21aを通過して空間Sに吐出される際に帯電し、その帯電した原料液(電気流体)は、空間Sにおいて、電気引力と第1噴射口6から軸方向Xに噴射された空気流A1との作用により捕集部5に向かって高速で伸長しつつ、空気抵抗の影響により螺旋流となり、この一連の過程で、原料液中の高分子の分子鎖による絡み合いによる繊維化と、静電反発力による繊維径のナノサイズ化とが同時に起こることで、捕集部5におけるナノファイバの捕集面(シート材55の上面)にナノファイバとして捕集される。このような、空間Sでのナノファイバのノズル21から捕集部5までの搬送時に、第1噴射口6よりもノズル21から離れた位置に配置された第2噴射口7から空気流A2を噴射すると、その空気流A2の影響により、ナノファイバの搬送方向が空気流A2の噴射前から変更され、それによって、捕集部5におけるナノファイバの捕集位置(ナノファイバの捕集パターン)が変更される。製造装置1の動作中すなわち紡糸中は、通常、空気流A1は軸方向Xに常時噴射されているので、空間Sにおけるナノファイバの搬送方向は、主として空気流A1と空気流A2とのバランスによって決定され、ごく単純に言えば、空気流A1と空気流A2との合成ベクトルがナノファイバの搬送方向となり得る。
製造装置1においては、図4に示すように、空気流A2を噴射する第2噴射口7は、その中心線7Cがノズル21の中心線21Cと交差するように配置されており、したがって、空気流A2は中心線21Cに向かって噴射される。第2噴射口7の中心線7Cは、該噴射口7の開口中心を通って該噴射口7の法線方向に延びる仮想直線である。前述した空気流A2による搬送方向制御を高精度で安定的に実施し得るようにする観点から、第2噴射口A2の中心線7Cとノズル21の中心線21C(中心線21Cにおける中心線7Cとの交点よりもノズル21に近い側の部分)とのなす角度θは、好ましくは0度以上、より好ましくは10度以上、そして、好ましくは90度未満、より好ましくは70度以下であり、より具体的には、好ましくは0度以上90度未満、より好ましくは10度以上70度以下である。前記角度θが0度の場合、空気流A2は、空気流A1と同方向すなわち軸方向Xと平行に噴射される。製造装置1においては、前述したとおり図1及び図2に示すように、6個の第2噴射口7が、垂直方向CDすなわちナノファイバの捕集面(シート材55の上面)の移動方向MDと直交する方向において、ノズル21を中心として対称に配されており、その6個の第2噴射口7それぞれのノズル21の中心線21Cとのなす角度θは、図4に示すように、ノズル21から近い順にθ1、θ2、θ3となっているところ、これらの角度θ1〜θ3がそれぞれ前記範囲にあることが好ましい。
製造装置1では、製造装置1の動作中すなわち紡糸中に、制御手段8により、第2噴射口7からの空気流A2の噴射流量を変更可能になされている。具体的には図4に示すように、製造装置1では、制御手段8は、第2噴射口7に連通する空気供給路71に配置され、空気供給路71の開度を調整する弁部であり、該弁部によって空気供給路71の開度を調整することで、第2噴射口7からの空気流A2の噴射流量を変更可能になされている。前記弁部としては、電動の空気供給路71の開閉手段が好ましく、例えば、電磁弁、シャッターを例示できる。例えば、制御手段8が電磁弁である場合、製造装置1は、制御手段8としての弁部に加えて更に、該弁部を駆動する駆動手段(図示せず)と、該駆動手段へ駆動信号を出力する駆動回路部(図示せず)とを備え、演算処理部9は、該駆動回路部の出力を制御することで、該弁部すなわち制御手段8の動作を制御する。そして、製造装置1の動作中に演算処理部9の制御下で電磁弁(制御手段8)の開閉動作を行うことで、空気供給路71の断面積を調整し、それによって空気流A2の噴射流量を調整する。
演算処理部9は、典型的には、演算処理装置(CPU)と、主記憶装置(RAM)と、補助記憶装置と、入力装置及び出力装置の接続用のインターフェースと、これらを結ぶバスとを備えるが、演算処理部9の構成は特に制限されず、制御手段8を制御可能な装置構成を備えていればよい。
製造装置1では、図4に示すように、第2噴射口7が複数(図示の形態では6個)配されて、空気流A2を複数噴射可能になされているところ、複数の第2噴射口7に1対1で対応する空気供給路71それぞれに制御手段8が配置され、演算処理部9は、これら複数の制御手段8をそれぞれ独立に制御することができる。例えば、制御手段8が電磁弁である場合、複数の第2噴射口7のうちの一部を電磁弁(制御手段8)の閉動作により閉塞して空気流A2の噴射を停止し、残りの第2噴射口7については、電磁弁(制御手段8)を段階的に開閉動作させて、空気流A2の噴射流量を段階的に変化させることができる。このように、製造装置1では複数の空気流A2を個別に制御可能になされている。図4に示す形態では、複数の制御手段8を1個の演算処理部9で個別に制御するように構成されているが、複数の制御手段8と同数の演算処理部9を備え、制御手段8と演算処理部9とが1対1で対応するように構成されていてもよい。
なお、製造装置1では、図4に示すように、空気流A1を噴射する第1噴射口6に連通する空気供給路61にも制御手段8が配置されており、演算処理部9の制御下で該制御手段8により空気流A1を制御可能に構成されている。空気流A1の制御は、空気流A2の制御と同様に実施可能になされており、前述した空気流A2の制御についての説明が適宜適用される。
製造装置1を用いたナノファイバの製造方法においては、典型的には、電圧発生部4によりノズル21と電極3との間に電圧を発生させ、且つ第1噴射口6から空気流A1を噴射させた状態下に、原料吐出部2に原料液を供給してノズル21から空間Sに吐出させ、吐出させた原料液が繊維化することで生じたナノファイバを、捕集部5のシート材55にて所定の捕集パターンで捕集する。斯かるナノファイバの製造方法は、本発明のナノファイバの製造方法の好ましい一実施態様である。
そして、製造装置1は、前述したとおり、空気流A2を制御する、具体的には例えば、空気流A2の噴射流量を増加若しくは減少し又は空気流A2の噴射を停止することで、ナノファイバの空間Sでの搬送方向を調整可能になされているところ、捕集部5でのナノファイバの捕集パターンは、ナノファイバの搬送方向によって決定され得る。したがって、ナノファイバの搬送方向を調整可能な製造装置1によれば、所望のパターンでナノファイバを捕集することが可能であり、種々の形状のナノファイバ集積体Fを製造することが可能である。製造装置1によれば、例えば、捕集部5におけるナノファイバの捕集面(シート材55の上面)の全体に均一にナノファイバを堆積させることで、ナノファイバの坪量が均一のナノファイバ集積体Fを製造することもできるし、あるいは、該捕集面にナノファイバを偏在させるように堆積させることで、ナノファイバの坪量が不均一のナノファイバ集積体Fを製造することもできる。
特に製造装置1では、前述したとおり図1に示すように、捕集部5におけるナノファイバの捕集面(シート材55の上面)が、一方向MDに移動可能に構成されているとともに、複数(6個)の第2噴射口7が、該捕集面の移動方向MDと直交する垂直方向CDにおいて、ノズル21を中心として対称に配されているため、方向MDに移動中のナノファイバの捕集面の所望の位置にナノファイバを付着させるための搬送方向の制御が行いやすい。すなわち製造装置1によれば、その動作中すなわち紡糸中において、複数の第2噴射口7の一部又は全部について、制御手段8及び演算処理部9を用いて、空気流A2の制御、具体的には空気流A2の噴射流量の増加若しくは減少又は空気流A2の噴射停止を実施することで、方向MDに移動中のナノファイバの捕集面の所望の位置にナノファイバを高精度で付着させることが可能であり、様々な形状のナノファイバ集積体Fを効率良く製造することができる。
空気流A1,A2としては、例えばドライヤー等によって湿度30%RH以下に乾燥させたものを用いることができる。また空気流は、製造されるナノファイバ等の紡糸繊維の状態が一定に維持されるようにするために、温度が一定に保たれていることが好ましい。
第1噴射口6から噴射される空気流A1の風速は、紡糸能力向上と繊維切れ防止とのバランスの観点から、好ましくは50m/sec以上、より好ましくは90m/sec以上、そして、好ましくは190m/sec以下、より好ましくは140m/sec以下であり、より具体的には、好ましくは50m/sec以上190m/sec以下、より好ましくは90m/sec以上140m/sec以下である。
第2噴射口7から噴射される空気流A2の風速は、ナノファイバの搬送方向制御の確実性と繊維切れ防止とのバランスの観点から、好ましくは240m/sec以上、より好ましくは330m/sec以上、そして、好ましくは450m/sec以下、より好ましくは380m/sec以下であり、より具体的には、好ましくは240m/sec以上450m/sec以下、より好ましくは330m/sec以上380m/sec以下である。
第1噴射口6から噴射される空気流A1の風速は、紡糸能力向上と繊維切れ防止とのバランスの観点から、好ましくは50m/sec以上、より好ましくは90m/sec以上、そして、好ましくは190m/sec以下、より好ましくは140m/sec以下であり、より具体的には、好ましくは50m/sec以上190m/sec以下、より好ましくは90m/sec以上140m/sec以下である。
第2噴射口7から噴射される空気流A2の風速は、ナノファイバの搬送方向制御の確実性と繊維切れ防止とのバランスの観点から、好ましくは240m/sec以上、より好ましくは330m/sec以上、そして、好ましくは450m/sec以下、より好ましくは380m/sec以下であり、より具体的には、好ましくは240m/sec以上450m/sec以下、より好ましくは330m/sec以上380m/sec以下である。
ナノファイバの製造に用いられる原料液としては、ファイバ形成の可能な高分子化合物が溶媒に溶解又は分散した溶液あるいは高分子化合物を加熱、溶融した溶融液(粘調体)を用いることができる。原料液に高分子溶液を用いるエレクトロスピニング法は溶液法、高分子融液を用いる方法は溶融法と呼ばれることがある。該溶液又は融液には適宜、無機物粒子、有機物粒子、植物エキス、界面活性剤、油剤、イオン濃度を調整するための電解質等を配合することができる。
ナノファイバ製造用の高分子化合物としては一般に、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフラテート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ナイロン、アラミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチド等が例示できる。用いられる高分子化合物は1種類に限定されるわけではなく、前記例示した高分子化合物から任意の複数種類を組み合わせて用いることができる。
原料液に、高分子化合物が溶媒に溶解又は分散した溶液を用いる場合、該溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン等を例示することができる。用いる溶媒は1種類に限定されるわけではなく、前記例示した溶媒から任意の複数種類を選定し、混合して用いても構わない。
特に溶媒として水を用いる場合は、水への溶解度の高い下記のような天然高分子及び合成高分子を用いるのが好適である。天然高分子としては、例えばプルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ−γ−グルタミン酸、変性コーンスターチ、β−グルカン、グルコオリゴ糖、ヘパリン、ケラト硫酸等のムコ多糖、セルロース、ペクチン、キシラン、リグニン、グルコマンナン、ガラクツロン酸、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、アラビアガム、トラガントガム、大豆水溶性多糖、アルギン酸、カラギーナン、ラミナラン、寒天(アガロース)、フコイダン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。合成高分子としては、例えば部分鹸化ポリビニルアルコール、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。これらの高分子化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの高分子化合物のうち、ナノファイバの調製が容易である観点から、プルラン等の天然高分子、並びに部分鹸化ポリビニルアルコール、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンオキサイド等の合成高分子を用いることが好ましい。
また、水への溶解度は高くないが、ナノファイバ形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することでナノファイバ形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリ(N−プロパノイルエチレンイミン)グラフト−ジメチルシロキサン/γ−アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、ツエイン(とうもろこし蛋白質の主要成分)、ポリエステル、ポリ乳酸(PLA)、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタクリル酸樹脂等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエチレンテフタレート樹脂、ポリブチレンテフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などの高分子化合物も用いることができる。これらの高分子化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の電界紡糸装置でナノファイバを製造する場合、該ナノファイバは、その太さを円相当直径で表した場合、一般に10nm以上3000nm以下、特に10nm以上1000nm以下のものである。ナノファイバの太さは、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって測定することができる。
本発明によって製造されたナノファイバは、前述したとおり、それを集積させたナノファイバ集積体として各種の目的に使用することができる。ナノファイバ集積体の形状としては、シート、綿状体、糸状体などを例示できる。シート状のナノファイバ集積体は、例えば、医療目的や、美容目的、装飾目的等の非医療目的でヒトの肌、歯、歯茎、毛髪、非ヒト哺乳類の皮膚、歯、歯茎、枝や葉等の植物表面等に付着されるシートとして好適に用いられる。また、シート状のナノファイバ集積体は、高集塵性で且つ低圧損の高性能フィルタ、高電流密度での使用が可能な電池用セパレータ、高空孔構造を有する細胞培養用基材等としても好適に用いられる。また、綿状体のナノファイバ集積体は、例えば、防音材や断熱材等として好適に用いられる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
1 ナノファイバ製造装置(電界紡糸装置)
2 原料吐出部
20 ノズルアセンブリ
21 ノズル
21C ノズルの中心線
22 支持部
3 電極
3a 電極の開口端部
3b 電極の開口部
3f 電極の内面
4 電圧発生部
41 直流高圧電源
5 捕集部
51 ベルトコンベア
54 捕集用電極
55 シート材
6 第1噴射口
61 第1の空気流の空気供給路
7 第2噴射口
7C 第2噴射口の中心線
71 第2の空気流の空気供給路
8 制御手段
9 演算処理部
10 紡糸ユニット
11 凹部
12 基台
13 被覆体
A1 第1の空気流
A2 第2の空気流
F ナノファイバ集積体
2 原料吐出部
20 ノズルアセンブリ
21 ノズル
21C ノズルの中心線
22 支持部
3 電極
3a 電極の開口端部
3b 電極の開口部
3f 電極の内面
4 電圧発生部
41 直流高圧電源
5 捕集部
51 ベルトコンベア
54 捕集用電極
55 シート材
6 第1噴射口
61 第1の空気流の空気供給路
7 第2噴射口
7C 第2噴射口の中心線
71 第2の空気流の空気供給路
8 制御手段
9 演算処理部
10 紡糸ユニット
11 凹部
12 基台
13 被覆体
A1 第1の空気流
A2 第2の空気流
F ナノファイバ集積体
Claims (8)
- 軸方向の先端から原料液を吐出する導電性のノズルを備えた原料吐出部と、
前記ノズルと電気的に絶縁して配置された電極と、
前記ノズルと前記電極との間に電圧を発生させる電圧発生部と、
前記ノズルと空間を置いて配置され、前記ノズルから吐出された前記原料液が該空間で繊維化されたナノファイバを捕集する捕集部とを備える電界紡糸装置であって、
前記原料吐出部の周囲で且つ前記ノズルの先端よりも後方に、前記空間に向けて第1の空気流を噴射する第1噴射口が配置されているとともに、該第1噴射口よりも該ノズルから離れた位置に、該空間に向けて第2の空気流を噴射する第2噴射口が配置されており、
前記第2の空気流を制御する制御手段と、該制御手段の動作を制御する演算処理部とを備え、
前記演算処理部の制御下で前記制御手段により前記第2の空気流を制御することで、前記ナノファイバの前記空間での搬送方向を調整可能になされている電界紡糸装置。 - 前記第1噴射口が、前記ノズルを囲むように配置され、該第1噴射口から噴射される前記第1の空気流の噴射方向が、前記ノズルの軸方向と平行である請求項1に記載の電界紡糸装置。
- 前記第2噴射口の中心線と前記ノズルの中心線とのなす角度が、0度以上90度未満である請求項1又は2に記載の電界紡糸装置。
- 前記電界紡糸装置の動作中に、前記制御手段により、前記第2噴射口からの前記第2の空気流の噴射流量を変更可能になされている請求項1〜3のいずれか1項に記載の電界紡糸装置。
- 前記制御手段として、前記第2噴射口に連通する空気供給路に配置され、該空気供給路の開度を調整する弁部を備える請求項1〜4のいずれか1項に記載の電界紡糸装置。
- 前記第2噴射口が複数配置されて、前記第2の空気流を複数噴射可能になされ、且つその複数の第2の空気流を個別に制御可能になされている請求項1〜5のいずれか1項に記載の電界紡糸装置。
- 前記捕集部における前記ナノファイバの捕集面が、一方向に移動可能に構成されているとともに、前記第2噴射口が、該捕集面の移動方向と垂直方向において、前記ノズルを中心として対称に配置されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の電界紡糸装置。
- 請求項1〜7の何れか1項に記載の電界紡糸装置を用いたナノファイバ集積体の製造方法であって、
前記捕集部にて前記ナノファイバを所定の捕集パターンで捕集してナノファイバ集積体を得る工程を有し、
前記捕集パターンに応じて、前記ナノファイバの前記空間での搬送方向を調整する、ナノファイバ集積体の製造方法。
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FR3105916A1 (fr) | 2020-01-06 | 2021-07-09 | Kao Corporation | Mode de production de feuille et système de production de feuille |
KR20220080480A (ko) * | 2020-12-07 | 2022-06-14 | (주) 로도아이 | 나노섬유 제조 장치 |
KR102460224B1 (ko) * | 2021-07-20 | 2022-10-31 | 김원대 | 박판 조작을 통한 콘형 초미세 노즐을 제조하는 방법과 상기 방법에 의해 제조되는 콘형 초미세 노즐 |
DE112020006499T5 (de) | 2020-01-06 | 2022-11-03 | Kao Corporation | Verfahren und System zum Bereitstellen von Tüchern |
-
2018
- 2018-09-18 JP JP2018174282A patent/JP2020045591A/ja active Pending
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