JP6757641B2 - シート状の繊維堆積体の製造装置及び該繊維堆積体の製造方法 - Google Patents
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特許文献1における溶液電界紡糸法の場合、溶媒を揮発させる必要があるので製造効率を高くすることが容易でなく、揮発した溶媒の回収を行う必要があるので製造コストが高くなる傾向がある。
これに対して、特許文献2に記載の溶融電界紡糸法の場合、上述の溶液電界紡糸法の場合に生じる不都合が生じないことから、近年、溶融電界紡糸法に関する検討が盛んに行われている。
また、本発明のシート状の繊維堆積体の製造方法によれば、簡単な構成で、横方向の長さが調整されたシート状の繊維堆積体を容易に製造することができる。
帯電電極20と吐出用ノズル21との間に加わる電位差は、1kV以上、特に10kV以上とすることが、溶融した樹脂を十分に帯電させる点から好ましい。一方、この電位差は、100kV以下、特に50kV以下とすることが、吐出用ノズル21と帯電電極20との間における放電を防止する観点から好ましい。
捕集装置1は、無端ベルト32を矢印M方向に周回させることで、吐出用ノズル21から飛来する繊維10をシート状に堆積してなる繊維堆積体11を、矢印M方向(図1中、上下方向)に連続して搬送することができる。つまり、ベルトコンベア3を用いることで矢印M方向に連続した繊維堆積体11を製造することができる。
無端ベルト32の接地の方法は、特に限定されないが、本実施形態では、導電性の接地ブラシを用いて無端ベルト32を接地している。
導電性を有する無端ベルト32を形成する導電性材料としては、導電性カーボン入りフッ素樹脂製ベルト、金属製ベルトが挙げられる。これらの導電性材料の内、無端ベルト32とローラ31の摩耗を防ぐ観点から、導電性カーボン入りフッ素樹脂製ベルトを用いることが好ましい。
一方の絶縁板4Rは、溶融電界紡糸装置2から視て、図2に示すように、上述した無端ベルト32の捕集面32sにおける縦方向Xに沿った一方の側部と対面して配され、かつ該一方の側部に沿って延在して配されている。また、一方の絶縁板4Rは、その一部が該一方の側部と重なって配されている。更に、一方の絶縁板4Rは、図4に示すように、該一方側の側部に対して、溶融電界紡糸装置2側に、所定距離離間して配されている。
同様に、他方の絶縁板4Lは、溶融電界紡糸装置2から視て、上述した無端ベルト32の捕集面32sにおける縦方向Xに沿った他方の側部と対面して配され、かつ該他方の側部に沿って延在して配されている。また、他方の絶縁板4Lは、その一部が該他方の側部と重なって配されている。更に、他方の絶縁板4Lは、図4に示すように、該他方の側部に対して、溶融電界紡糸装置2側に、所定距離離間して配されている。
絶縁板4が、捕集面32sに対して溶融電界紡糸装置2側に、所定距離離間して配されることで、絶縁板4が捕集面32sに接触し、捕集面32sが摩耗することを防ぐことができる。
また、一方の絶縁板4Rと無端ベルト32の捕集面32sとの離間距離、及び他方の絶縁板4Lと無端ベルト32の捕集面32sとの離間距離は、同じでもよいし、任意に変更して異なるようにしてもよい。
間隔調整機構47は、本実施形態では、図4に示すように、絶縁板4を支持する支持フレーム44と、支持フレーム44に絶縁板4を固定する固定ボルト45と、絶縁板4に形成される複数のボルト穴46とを有している。
固定ボルト45は、絶縁材料により形成されている。固定ボルト45を形成する絶縁材料としては特に限定されないが、本実施形態では、PEEK材(ポリエーテル・エーテル・ケトン)により形成されている。
複数のボルト穴46は、固定ボルト45を挿通可能な大きさで、横方向Yに並んで形成されている。複数のボルト穴46は、10mmピッチで形成されている。即ち一方の絶縁板4Rと他方の絶縁板4Lとは、10mmピッチで横方向Yの距離を調整可能になっている。
図2に示すように、無端ベルト32の捕集面32sの縦方向Xの長さL1xとしては、好ましくは200mm以上、より好ましくは300mm以上、好ましくは1500mm以下、より好ましくは1100mm以下、好ましくは200mm以上1500mm以下、より好ましくは300mm以上1100mm以下である。
図2に示すように、絶縁板4の横方向Yの長さL3としては、好ましくは20mm以上、より好ましくは150mm以上、好ましくは350mm以下、より好ましくは300mm以下、好ましくは20mm以上350mm以下、より好ましくは150mm以上300mm以下である。
また、図3に示すように、絶縁板4の貫通穴43同士の間隔d1としては、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは2以下、好ましくは0.1mm以上5mm以下、より好ましくは1mm以上2mm以下である。
また図4に示すように、絶縁板4の第2面42と無端ベルト32の捕集面32sとの厚さ方向Zの離間距離L7は、好ましくは1mm以上、より好ましくは5mm以上、好ましくは30mm以下、より好ましくは15mm以下、好ましくは1mm以上30mm以下、より好ましくは5mm以上15mm以下である。
その後、連続して形成された繊維堆積体11は、回収部5で回収される。
また、本実施形態の製造装置100を用いたシート状の繊維堆積体の製造方法によれば、簡単な構成で、横方向Yの長さが調整されたシート状の繊維堆積体11を容易に連続して製造することができる。
例えば、上述の実施形態の製造装置100では、第1捕集体として、飛来する繊維を無端ベルト32に堆積させて捕集するベルトコンベア3を用いて説明したが、第1捕集体は、導電性を有するローラであってもよい。ローラを回転させながら、飛来する繊維10を外周面に堆積させて捕集することで、ベルトコンベア3を用いた場合と同様に、シート状の繊維堆積体11を生産することができる。
また例えば、上述の実施形態の製造装置100では、図1に示すように、溶融電界紡糸装置2の備える吐出用ノズル21を、該吐出用ノズル21のノズル先端部21aが帯電電極20の凹曲面24内に露出するように配置したが、それ以外の位置に吐出用ノズル21を配置してもよい。
実施例1の製造装置としては、図1に示す製造装置100と同様の基本構成を有する製造装置を用意した。そして、実施例1の製造装置100を用いて、シート状の繊維堆積体を製造した。
実施例1の製造装置100の備える溶融電界紡糸装置2の帯電電極20は、ステンレス製の基体の表面にMCナイロンからなる誘電体を厚み10mmで被覆したものを用いた。
実施例1の製造装置100の溶融電界紡糸装置2の吐出用ノズル21を接地し、帯電電極20に30kVの電圧を印加した。この状態下に、250℃に溶融したポリプロピレンを13.3g/minの吐出速度で吐出させ溶融電界紡糸を行った。紡糸条件としては、800g/hであった。このようにして得られた繊維の帯電量を測定したところ6100nC/gであった。帯電量は、春日電機製ファラデーケージKQ1400内に帯電した溶融状態の原料樹脂を捕集し、該ファラデーケージに接続した春日電機製クーロンメーターMK−1002により測定した。
無端ベルト32の横方向Yの長さL1yは430mmであり、無端ベルト32の縦方向Xの長さL1xは1100mmであった。
絶縁板4の縦方向Xの長さL2は400mm、横方向Yの長さL3は290mmであり、一方の絶縁板4Rと他方の絶縁板4Lとの間隔を350mmに調整した。絶縁板4の厚みL6は2mmであった。
絶縁板4の複数の貫通穴43の縦方向の長さL4、横方向Yの長さL5はそれぞれ4mmであった。絶縁板4の複数の貫通穴43同士の間隔d1は2mmであった。
ベルトコンベア3の搬送速度(無端ベルト32の周回速度)は、1.14m/minであった。
上述のように調整して無端ベルト32を接地し、溶融電界紡糸装置2で紡糸された繊維10を捕集装置1で捕集して、ベルトコンベア3の無端ベルト32の捕集面32sで繊維堆積体11を連続して製造した。
比較例1の製造装置としては、実施例1の製造装置100の備える捕集装置1から絶縁板4を除いたこと以外は、実施例1と同様の基本構成を有する製造装置を用意した。そして、比較例1の製造装置を用いて、実施例1と同じ条件下でシート状の繊維堆積体を製造した。
実施例1の製造装置100により製造されたシート状の繊維堆積体11及び比較例1の製造装置により製造されたシート状の繊維堆積体について、下記評価基準に基づいて、目視により評価した。
・評価基準:「A 横方向の長さの均一性が非常に優れている」、「B 横方向の長さが均一」、「C 横方向の長さがバラバラ」
2 溶融電界紡糸装置
20 帯電電極
21 吐出用ノズル
22 噴射部
23 直流高圧電源
3 ベルトコンベア
31 ローラ
32 無端ベルト
32s 捕集面
32p 捕集部
4(4R,4L) 絶縁板
41 第1面
42 第2面
44 支持フレーム
45 固定ボルト
46 複数のボルト穴
47 間隔調整機構
10 繊維
11 シート状の繊維堆積体
100 シート状の繊維堆積体の製造装置
Claims (5)
- 溶融した樹脂を紡糸して帯電した繊維を空間中に形成する溶融電界紡糸装置と、空間中に形成された繊維をシート状に堆積させて捕集する捕集装置とを備えるシート状の繊維堆積体の製造装置であって、
前記捕集装置は、導電性を有し接地された第1捕集体と、絶縁部材により形成される第2捕集体とを備え、
前記第1捕集体は、前記溶融電界紡糸装置に対向して配されたベルトコンベアを具備し、
前記第2捕集体は、前記溶融電界紡糸装置と前記第1捕集体との間に配されており、前記溶融電界紡糸装置から視て、前記第1捕集体の前記ベルトコンベアの搬送方向に沿う両側部それぞれに配され、各該第2捕集体の一部が前記ベルトコンベアの側部と重なっており、
前記第2捕集体は、前記溶融電界紡糸装置側の面と前記第1捕集体側の面とに連通する貫通穴を複数有する、製造装置。 - 各前記第2捕集体は、その一部が前記ベルトコンベアの側部の全体に亘って重なっている、請求項1に記載の製造装置。
- 溶融した樹脂を紡糸して帯電した繊維を空間中に形成する溶融電界紡糸装置と、空間中に形成された繊維をシート状に堆積させて捕集する捕集装置とを備えるシート状の繊維堆積体の製造装置であって、
前記捕集装置は、導電性を有し接地された第1捕集体と、絶縁部材により形成される第2捕集体とを備え、
前記第1捕集体は、前記溶融電界紡糸装置に対向して配されたローラを具備し、
前記第2捕集体は、前記溶融電界紡糸装置と前記第1捕集体との間に配されており、前記溶融電界紡糸装置から視て、前記第1捕集体の前記ローラの回転方向に沿う両側部それぞれに配され、各該第2捕集体の一部が前記ローラの側部と重なっており、
前記第2捕集体は、前記溶融電界紡糸装置側の面と前記第1捕集体側の面とに連通する貫通穴を複数有する、製造装置。 - 前記第1捕集体の両側部それぞれに配された前記第2捕集体は、互いの間隔を調整可能な間隔調整機構を有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の製造装置。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の製造装置を用いたシート状の繊維堆積体の製造方法であって、
前記溶融電界紡糸装置により紡糸され帯電した状態で飛来する繊維を、該溶融電界紡糸装置と前記第1捕集体との間に配された前記第2捕集体で捕集して該第2捕集体の表面を帯電させ、その後帯電した該第2捕集体の表面で飛来する繊維を跳ね返し、跳ね返った繊維を、該溶融電界紡糸装置に対向して配され接地した前記第1捕集体に堆積させる、シート状の繊維堆積体の製造方法。
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