以下、添付図面を参照して、本願の開示する水洗大便器の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
以下では先ず、実施形態に係る水洗大便器の構成の概要について図1を参照して説明する。図1は、実施形態に係る水洗大便器の構成の概要を示す図である。なお、図1および後述する図2は、いずれも模式図である。
図1に示すように、水洗大便器1は、便器本体10と、タンク20と、開閉弁40と、ポンプ50と、切替弁60と、制御部70とを備える。
便器本体10は、リム吐水部15と、リム導水路16と、ジェット吐水部17と、ジェット導水路18とを備える。リム吐水部15は、例えばボウル部11(図2参照)へ洗浄水を吐水する吐水口である。リム導水路16は、かかるリム吐水部15へ洗浄水を流通させる流路である。
ジェット吐水部17は、例えば排水トラップ管路12(図2参照)へ洗浄水を吐水する吐水口である。ジェット導水路18は、ジェット吐水部17へ洗浄水を流通させる流路である。なお、便器本体10の詳細な構成については、図2を参照して後述する。
タンク20は、洗浄水を貯留する。例えば、タンク20は、給水源から給水路41を介して供給される洗浄水を貯留する。また、タンク20の内部には、水位検出部30が設けられる。水位検出部30は、例えば、タンク20に貯留される洗浄水の水位を検出する。
開閉弁40は、給水路41に設けられ、タンク20の水位に応じて、ポンプ50の駆動中に給水路41を開閉する。例えば、開閉弁40は、タンク20の水位が満水の水位である満水位Waを下回ったとき、すなわち、便器洗浄が開始して後述するポンプ50が駆動するときに開弁して洗浄水をタンク20へ供給する。また、開閉弁40は、タンク20の水位が満水位Waになると閉弁して、タンク20への洗浄水の供給を停止する。
このように、本実施形態に係る水洗大便器1は、便器洗浄中(ポンプ50の駆動中)に、給水源からタンク20に対して給水を行って、洗浄水を補給するように構成される。これにより、洗浄水を補給しながら、便器洗浄を行うことができるため、タンク容積を小さくすることができ、よってタンク20の小型化を図ることができる。
ポンプ50は、タンク20の洗浄水を加圧する。具体的には、ポンプ50は、タンク20に貯留された洗浄水を、タンク20内に配置された吸入口51aから吸入流路51を介して吸入して加圧する。そして、ポンプ50は、加圧した洗浄水を吐出流路52を介して切替弁60へ吐出する。
切替弁60は、ポンプ50から吐出された洗浄水の流路を切り替える。例えば、切替弁60には、上記したリム導水路16を介してリム吐水部15が接続されるとともに、ジェット導水路18を介してジェット吐水部17が接続される。
そして、切替弁60は、吐出流路52をリム導水路16と連通させる状態と、吐出流路52をリム導水路16およびジェット導水路18の両方と連通させる状態とで切り替え可能に構成される。すなわち、切替弁60は、便器本体10における洗浄水の吐出を、リム吐水部15からの吐水と、リム吐水部15およびジェット吐水部17の両方からの吐水との間で切り替えることができる。
制御部70は、上記した切替弁60やポンプ50を制御して便器洗浄を行う。例えば、本実施形態に係る制御部70は、第1洗浄工程と第2洗浄工程とを適宜に組み合わせることで、便器洗浄を行う。
詳しくは、例えば、第1洗浄工程を実行する制御部70は、切替弁60を制御して吐出流路52をリム導水路16と連通させる状態とするとともに、ポンプ50を制御して、加圧された洗浄水をリム導水路16を介してリム吐水部15から吐水させる。
また、例えば、第2洗浄工程を実行する制御部70は、切替弁60を制御して吐出流路52をリム導水路16およびジェット導水路18の両方と連通させる状態とする。そして、制御部70は、ポンプ50を制御して、加圧された洗浄水をリム導水路16を介してリム吐水部15から吐水させるとともに、ジェット導水路18を介してジェット吐水部17から吐水させる。なお、本実施形態に係る切替弁60は、制御部70によって制御されるものであるが、これに限るものではない。
なお、本実施形態に係る制御部70は、第1洗浄工程、第2洗浄工程、第1洗浄工程の順で実行して便器洗浄を行うが、これについては後述する。
ところで、水洗大便器1にあっては、上記したように、便器洗浄中(ポンプ50の駆動中)に、給水源からタンク20に対して給水を行う。このとき、例えば、給水源からの給水が比較的低圧であったり、便器周辺の水回り製品(例えばシャワーなど)が同時使用されたりすることで、タンク20への給水量が十分に確保されない場合がある、言い換えると、所期の給水量がタンク20へ供給されない場合がある。
かかる場合にポンプ50が駆動すると、タンク20への給水が間に合わず、タンク20に貯留される洗浄水が過度に減少することがある。そのため、洗浄水がポンプ50へ供給されずに、ポンプ50が空転してしまうおそれがある。
そこで、本実施形態にあっては、ポンプ50の空転を抑制することができるような構成とした。具体的には、制御部70は、水位検出部30によって検出された水位が第1所定水位W1以下になったか否かの判定を行う(ステップS1)。
なお、第1所定水位W1は、任意の水位に設定可能である。例えば、第1所定水位W1は、ポンプ50が空転するおそれのある水位より上方の水位や、後リム吐水(後述)に必要な水量を確保できる水位とされるが、これについては図2を参照して後に説明する。
制御部70は、タンク20の水位が第1所定水位W1以下になったと判定された場合(ステップS2)、ポンプ50の回転数を低下させる(ステップS3)。これにより、ポンプ50の吐出量が減少するため、タンク20内の洗浄水は減りにくくなる、言い換えると、タンク20の水位が低下する速度を遅くすることができる。
従って、タンク20の水位はポンプ50に洗浄水を供給できない水位(すなわち空転するおそれのある水位)まで低下しにくくなり、タンク20への給水量が少なくなることに起因したポンプ50の空転を抑制することができる。また、ポンプ50の空転を抑制することで、ポンプ寿命の低下も抑制することができる。
なお、制御部70は、タンク20の水位が第1所定水位W1以下になったと判定されない場合、所期の給水量が給水源からタンク20へ供給(補給)されていると推定されるため、通常の便器洗浄を継続する。
以下、本実施形態に係る水洗大便器1の構成について、図2以降を参照してより具体的に説明する。図2は、水洗大便器1を示す全体構成図である。
図2に示すように、水洗大便器1の便器本体10は、例えば陶器で形成されるとともに、ボウル部11と、排水トラップ管路12とを備える。なお、図2にあっては、図示の簡略化のため、便器本体10が備える便座や便座を覆うカバーなど一部の部材の図示を省略した。また、図2では、床置き式の便器本体10を示したが、これに限定されるものではなく、壁掛け式であってもよい。
ボウル部11は、上記したリム導水路16やジェット導水路18に接続されるとともに、汚物を受けることが可能なボウル状に形成される。詳しくは、ボウル部11は、汚物を受ける汚物受け面11aと、汚物受け面11aの上縁に形成されるリム部14と、上記したリム吐水部15と、ジェット吐水部17とを備える。
リム吐水部15は、リム部14の内周面14aに開口され、上記したリム導水路16に接続される。これにより、リム吐水部15は、リム導水路16から供給された洗浄水をボウル部11の汚物受け面11aへ吐水して汚物受け面11aにおいて旋回流を生じさせる。なお、本明細書では、リム吐水部15から洗浄水が吐出されることを「リム吐水」という場合がある。
ジェット吐水部17は、汚物受け面11aの底部11a1に設けられ、排水トラップ管路12側に向けて対向するように開口される。また、ジェット吐水部17は、ジェット導水路18に接続される。これにより、ジェット吐水部17は、ジェット導水路18から供給された洗浄水を排水トラップ管路12へ吐出し、排水トラップ管路12内を洗浄水で急速に満たすことで、サイホン作用を早期に発生させる。
なお、本明細書では、ジェット吐水部17から洗浄水が吐出されることを「ジェット吐水」という場合がある。また、上記したように、リム吐水部15およびジェット吐水部17の両方から洗浄水が吐出されることを「リム・ジェット吐水」という場合がある。
排水トラップ管路12は、入口部12aと、トラップ上昇部12bと、トラップ下降部12cとを備える。入口部12aは、汚物受け面11aの底部11a1と連続するように設けられ、ボウル部11からの洗浄水を排水トラップ管路12へ流入させる。トラップ上昇部12bは、入口部12aから斜め上方へ向けて延びるように形成される。トラップ下降部12cは、トラップ上昇部12bから下方へ向けて延びるように形成される。
また、トラップ下降部12cの下端には、排水管19が接続される。従って、便器洗浄が行われる場合、ボウル部11の洗浄水は、排水トラップ管路12の入口部12a、トラップ上昇部12bおよびトラップ下降部12cを介して排水管19へと排水される。
便器洗浄が行われた後、排水トラップ管路12およびボウル部11には、洗浄水が溜まる。ここで、排水トラップ管路12等に溜まった洗浄水を「溜水」ということとし、図2において符号Cで示す。このように、排水トラップ管路12等が溜水Cで満たされることで、溜水Cが封水として機能し、排水管19からの臭気等がボウル部11側へ逆流することを防止する。
ここで、上記したリム吐水やリム・ジェット吐水などについて説明する。便器洗浄が行われる際、まずリム吐水が行われ、言い換えると、第1洗浄工程が実行され、ボウル部11の汚物受け面11aを洗浄する。以下では、かかるリム吐水を「前リム吐水」という場合がある。
続いて、リム・ジェット吐水が行われる、言い換えると、第2洗浄工程が実行される。具体的には、ジェット吐水により、上記したように排水トラップ管路12においてサイホン作用が生じ、よって吐水された洗浄水や溜水Cは、汚物とともに排水トラップ管路12から排水管19へ排出される。また、リム吐水により汚物受け面11aの洗浄が継続されるとともに、溜水Cが補給される。以下では、かかるリム吐水を「中リム吐水」という場合がある。
リム・ジェット吐水の終了後、リム吐水(第1洗浄工程)が行われる。リム吐水部15から吐出された洗浄水は、ボウル部11の汚物受け面11aを洗浄するとともに、排水トラップ管路12へ流れる。これにより、排水トラップ管路12の溜水Cが補給されて水位が上昇し、便器洗浄が完了する。以下では、ジェット吐水終了後のリム吐水を「後リム吐水」という場合がある。
次に、タンク20の内部に設けられる水位検出部30について説明する。水位検出部30は、満水位用フロートスイッチ31と、第1フロートスイッチ32と、第2フロートスイッチ33とを含む。
満水位用フロートスイッチ31は、タンク20内において満水位Waの位置に配置され、水位が満水位Waである場合に、水位が満水位Waであることを示す満水信号を制御部70へ出力する。ここでは、満水位Waは便器洗浄前の初期水位であるが、初期水位は満水位Waに限定されるものではない。
第1フロートスイッチ32は、タンク20内において第1所定水位W1の位置に配置され、水位が第1所定水位W1である場合に、水位が第1所定水位W1であることを示す第1水位信号を制御部70へ出力する。
第1所定水位W1は、上記したように、便器洗浄時にポンプ50の回転を低下させる場合のしきい値となる水位である。本実施形態における第1所定水位W1は、例えば、ポンプ50の吸入口51aより上方の水位に設定される。
すなわち、タンク20の水位がポンプ50の吸入口51aの近傍である場合、タンク20の洗浄水がポンプ50へ供給されずに、ポンプ50が空転するおそれがある。そこで、本実施形態では、第1所定水位W1が、ポンプ50の吸入口51aより上方の水位に設定されることで、タンク20の水位が吸入口51aの近傍まで低下する前に、ポンプ50の回転数を低下させることが可能となり、よってポンプ50の空転を抑制することができる。
また、第1所定水位W1は、吸入口51aより上方であって、後リム吐水に必要な水量を確保できる水位に設定されてもよい。
具体的には、後リム吐水では、上記したように排水トラップ管路12の溜水Cの補給がなされる。補給される水量が少ないと、溜水Cの水位が上昇せずに封水として機能しなくなり、排水管19からの臭気等がボウル部11側へ逆流するおそれがある。
そこで、第1所定水位W1が、後リム吐水に必要な水量を確保できる水位に設定されることで、後リム吐水における溜水Cの補給を確実に行って、溜水Cを封水として機能させることができる。また、例えば仮に、断水などで給水源Nからタンク20への給水が停止している場合であっても、第1所定水位W1が、上記のように設定されることで、溜水Cの補給をより確実に行って、溜水Cを封水として機能させることができる。
より具体的には、第1所定水位W1は、ポンプ50の吸入口51aより上方の水位で、かつ、タンク20の満水位Wa(上限水位の一例)に対して1/2の水位Wb以下の水位に設定される。これにより、本実施形態にあっては、第1所定水位W1を、例えば、後リム吐水に必要な水量を確保できる水位に設定することが可能になる。
また、第1所定水位W1は、吸入口51aより上方であって、第1洗浄工程(前リム吐水)および第2洗浄工程(リム・ジェット吐水)を完了することのできる水位に設定されてもよい。具体的には、第1所定水位W1は、例えば満水位Waから、第1洗浄工程および第2洗浄工程の完了に必要な水位(水量)を減算した水位以下に設定されてもよい。
これにより、第1洗浄工程および第2洗浄工程が完了する前に、タンク20の水位が第1所定水位W1以下となってポンプ50の回転が低下することがない。そのため、前リム吐水での汚物受け面11aの洗浄や、リム・ジェット吐水でのサイホン作用の発生が確実に行われ、よって汚物を排水トラップ管路12から排水管19へ確実に排出することが可能となる。
また、タンク20の水位が、第1、第2洗浄工程を完了可能な水位に設定された第1所定水位W1以下になる場合、ポンプ50の回転が低下する処理は、第2洗浄工程後の第1洗浄工程(後リム吐水)のときに行われることとなる。第1洗浄工程(後リム吐水)では、ポンプ50の回転数が低下しても溜水Cを補給できればよく、よってポンプ50の回転数が低下することによる洗浄性能への影響を少なくすることもできる。
第2フロートスイッチ33は、タンク20内において第2所定水位W2の位置に配置され、水位が第2所定水位W2である場合に、水位が第2所定水位W2であることを示す第2水位信号を制御部70へ出力する。
第2所定水位W2は、後述するように、便器洗浄時にタンク20の水位が低下して、ポンプ50を停止させる場合のしきい値となる水位である。
第2所定水位W2は、任意の水位に設定可能である。本実施形態において、第2所定水位W2は、例えば、第1所定水位W1より低く、かつ、ポンプ50の吸入口51aの位置と対応する水位、具体的には吸入口51aの近傍の水位に設定されてもよい。詳しくは、第2所定水位W2は、吸入口51aと同じ高さの水位、あるいは、吸入口51aより所定距離上方の水位に設定されてもよい。これにより、タンク20の空転をより一層抑制することができるが、これについては後述する。
次に、制御部70について説明する。制御部70は、CPU(Central Processing Unit)などの図示しない演算処理装置や、RAM(Random Access Memory)などの図示しない記憶装置を備える。また、制御部70は、満水位用フロートスイッチ31や第1、第2フロートスイッチ32,33から入力される信号などに基づいて、ポンプ50や切替弁60を制御する。
例えば、制御部70は、上記したように、切替弁60やポンプ50を制御して便器洗浄を行う。このとき、制御部70は、満水位用フロートスイッチ31から満水信号が入力された状態で、便器洗浄が開始されるものとする。
ここで、便器洗浄について図3を参照して説明を続ける。図3は、便器洗浄時のポンプ50の回転数制御の一例を示すグラフである。
図3に示すように、制御部70は、時刻t0で便器洗浄を開始する。具体的には、制御部70は、第1洗浄工程であるリム吐水(正確には前リム吐水)を開始する。例えば、制御部70は、ポンプ50を第1回転数N1で駆動させて加圧された洗浄水をリム吐水部15から吐水させ、リム吐水を行う。
なお、リム吐水の開始に伴い、タンク20内の水位は、満水位Waから低下していく。制御部70は、満水位用フロートスイッチ31から満水信号が入力されなくなると、開閉弁40を開弁して洗浄水をタンク20へ供給する。
制御部70は、時刻t1で第2洗浄工程であるリム・ジェット吐水(中リム吐水およびジェット吐水)を開始する。例えば、制御部70は、ポンプ50を第2回転数N2で駆動させて加圧された洗浄水をリム吐水部15およびジェット吐水部17から吐水させ、リム・ジェット吐水を行う。なお、第2回転数N2は、第1回転数N1より大きい値に設定されるが、これに限られない。
続いて、制御部70は、時刻t2で第1洗浄工程であるリム吐水(正確には後リム吐水)を開始する。例えば、制御部70は、ポンプ50を第1回転数N1で駆動させて加圧された洗浄水をリム吐水部15から吐水させ、リム吐水を行う、言い換えると、溜水Cの補給を行う。
ここで、例えば、所期の給水量が給水源Nからタンク20へ供給されている場合、タンク20の水位が第1所定水位W1以下になりにくいため、図3に想像線で示すように、第1回転数N1でポンプ駆動が継続されて、時刻t5で溜水Cの補給が終わり、便器洗浄が完了する。
他方、例えば、所期の給水量が給水源Nからタンク20へ供給されず、時刻t3でタンク20の水位が第1所定水位W1以下になったものとする。このとき、制御部70は、第1フロートスイッチ32から第1水位信号が入力され、これによって図3に実線で示すように、ポンプ50の回転数を第1回転数N1より低い値に設定された第3回転数N3に低下させる。
このように、制御部70は、第2洗浄工程の後に実行される第1洗浄工程(すなわち後リム吐水)において、タンク20の水位が第1所定水位W1以下になった場合、ポンプ50を第1回転数N1より低い回転数(第3回転数N3)に低下させる。
これにより、ポンプ50の回転数を低下させたことによる洗浄性能への影響を少なくすることができる。すなわち、上記した第1洗浄工程(後リム吐水)では、溜水Cを補給できればよいため、瞬間流量は比較的小さくても足りる。そこで、第2洗浄工程の後に実行される第1洗浄工程のときに上記処理を行うことで、ジェット吐水などへの影響はなく、よってポンプ50の回転数を低下させたことによる洗浄性能への影響を少なくすることができる。
また、制御部70は、タンク20の水位が第1所定水位W1以下になった場合、ポンプ50の回転数を低下させ、低下させた回転数(第3回転数N3)で所定時間継続して駆動させるようにしてもよい。ここでは、図3における時刻t4〜t6が所定時間である。
これにより、例えば、ポンプ50の回転数を低下させた後に、タンク20の水位が上昇して第1所定水位W1より高くなっても、ポンプ50を低下させた回転数(第3回転数N3)で継続して駆動させることができる。これにより、水位が何度も第1所定水位W1以下になって回転数の変動回数が増えることを抑制することができる。
すなわち、例えば仮に、ポンプ50の回転数の低下によって、タンク20の水位が上昇して第1所定水位W1より高くなった場合に、ポンプ50の回転数をすぐに元に戻したりすると、水位が再び低下して第1所定水位W1以下になる場合がある。かかる場合、ポンプ50の回転数を第3回転数N3へ再度低下させることとなるため、回転数の変動回数が増えてしまう。
そこで、本実施形態では、上記のように、低下させた回転数で所定時間継続してポンプ50を駆動させるようにすることで、水位が何度も第1所定水位W1以下になって回転数の変動回数が増えることを抑制することができる。
また、例えば仮に、ポンプ50の回転数を徐々に低下させる、言い換えると、漸減させるようにすると、ポンプ50の吐出量も減りにくいため、タンク20の水位も上昇しにくい。これに対して、本実施形態では、低下させた回転数で所定時間継続してポンプ50を駆動させるようにしたので、ポンプ50の吐出量も比較的多く減り、よってタンク20の水位を上昇し易くすることが可能となる。
なお、図3に示す例において、制御部70は、低下させた回転数で所定時間継続してポンプ50を駆動させた後、時刻t7で第1洗浄工程(後リム吐水)を終了し、便器洗浄が完了する。
次いで、タンク20の水位が第2所定水位W2以下になる場合のポンプ50の回転数制御について、図4を参照して説明する。図4は、便器洗浄時のポンプ50の回転数制御の一例を示すグラフである。
図4に示すように、制御部70は、時刻t1〜t3は、上記と同様なポンプ50の回転数制御を実行する。そして、制御部70は、時刻t11でタンク20の水位が第2所定水位W2以下になったものとする。このとき、制御部70は、第2フロートスイッチ33から第2水位信号が入力され、これによってポンプ50を停止させる。
これにより、本実施形態にあっては、タンク20の空転をより一層抑制することができる。なお、図4に示す例では、制御部70は、時刻t12で第1洗浄工程(後リム吐水)を終了し、便器洗浄が一旦終わる。
ポンプ50を停止させた場合でも、給水源Nからタンク20への洗浄水の供給は継続される。従って、時刻t13において、タンク20の水位が規定水位(例えば満水位Wa)まで上昇した場合、制御部70には、満水位用フロートスイッチ31から満水信号が入力される。
そして、制御部70は、再洗浄(リスタート)を行う。例えば、制御部70は、時刻t13においてリム吐水(前リム吐水)を開始し、時刻t14でリム・ジェット吐水を行い、続いて時刻t15〜t16でリム吐水(後リム吐水)を行う。このように、制御部70は、ポンプ50を停止させた後、第1洗浄工程や第2洗浄工程を含む洗浄工程を再度実行する。
これにより、本実施形態においては、ポンプ50の停止によって一旦終了していた便器洗浄を再び行うことで、正確には便器洗浄を最初からやり直すことで、一連の便器洗浄の工程を確実に完了させることができる。なお、再洗浄の場合、第1洗浄工程および第2洗浄工程のいずれか一方のみを行うようにしてもよい。
次に、図5を参照し、水洗大便器1の制御部70が実行する、便器洗浄時のポンプ50の回転数低下処理、および、ポンプ50の停止処理について説明する。図5は、制御部70が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図5に示すように、制御部70は、タンク20の水位が第1所定水位W1以下になったか否かを判定する(ステップS10)。制御部70は、タンク20の水位が第1所定水位W1以下になったと判定されない場合(ステップS10,No)、以降の処理をスキップする。
他方、制御部70は、タンク20の水位が第1所定水位W1以下になったと判定された場合(ステップS10,Yes)、ポンプ50の回転数を低下させる(ステップS11)。
次いで、制御部70は、タンク20の水位が第2所定水位W2以下になったか否かを判定する(ステップS12)。制御部70は、タンク20の水位が第2所定水位W2以下になったと判定されない場合(ステップS12,No)、以降の処理をスキップする。
他方、制御部70は、タンク20の水位が第2所定水位W2以下になったと判定された場合(ステップS12,Yes)、ポンプ50を停止させる(ステップS13)。
上述してきたように、実施形態に係る水洗大便器1は、便器本体10と、タンク20と、水位検出部30と、ポンプ50と、開閉弁40と、切替弁60と、制御部70とを備える。便器本体10は、洗浄水を吐出するリム吐水部15およびジェット吐水部17を備える。タンク20は、洗浄水を貯留する。水位検出部30は、タンク20に貯留される洗浄水の水位を検出する。ポンプ50は、タンク20内の洗浄水を吸入口51aから吸引して加圧する。開閉弁40は、タンク20の水位に応じて、ポンプ50の駆動中に給水源からタンク20への給水路41を開閉する。切替弁60は、便器本体10における洗浄水の吐出を、リム吐水部15からの吐水と、リム吐水部15およびジェット吐水部17からの吐水との間で切り替える。
制御部70は、ポンプ50を制御して、ポンプ50を第1回転数N1で駆動させて加圧された洗浄水をリム吐水部15から吐水させる第1洗浄工程と、ポンプ50を第2回転数N2で駆動させて加圧された洗浄水をリム吐水部15およびジェット吐水部17から吐水させる第2洗浄工程とを実行する。また、制御部70は、水位検出部30によって検出されたタンク20の水位が第1所定水位W1以下になった場合、ポンプ50の回転数を低下させる。
これにより、洗浄水を加圧するポンプ50の空転を抑制することができる。
なお、上記した実施形態においては、第1洗浄工程である後リム吐水のときにポンプ50の回転数を低下させるようにしたが、これに限られず、例えば第1洗浄工程である前リム吐水や、第2洗浄工程であるリム・ジェット吐水のときにポンプ50の回転数を低下させてもよい。
また、上記において、開閉弁40としては、制御部70によって開閉される電磁弁を用いることができるが、これに限定されるものではなく、ボールタップ機構などを備えた機械式の開閉弁などその他の種類の開閉弁であってもよい。また、上記では、開閉弁40は、タンク20の水位が満水位Waを下回ったときに開弁されるようにしたが、開弁の条件は任意に設定することができる。
また、上記においては、満水位用フロートスイッチ31や、第1、第2フロートスイッチ32,33を用いてタンク20の水位を検知するようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、たとえば、超音波式、静電容量式や圧力式などその他の種類の水位検出装置を用いてタンク20の水位を検知するようにしてもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。