JP6973209B2 - 燃料電池用ガス拡散層の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池用ガス拡散層の製造方法に関する。
燃料電池は、電気的に接続された2つの電極に燃料ガス(水素ガス)と酸化剤ガス(酸素ガス)を供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。この燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。中でも、電解質膜として固体高分子電解質膜を用いた固体高分子電解質型燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること、などの利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
固体高分子電解質型燃料電池において、水素が供給されたアノード(燃料極)では下記(1)式の反応が進行する。
2 → 2H+ + 2e- ・・・(1)
上記(1)式で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、カソード(酸化剤極)に到達する。他方で、上記(1)式で生じたプロトンは、水と水和した状態で、電気浸透により固体高分子電解質膜内をアノード側からカソード側に移動する。
一方、カソードでは下記(2)式の反応が進行する。
2H+ + 1/2O2 + 2e- → H2O ・・・(2)
従って、電池全体では下記(3)に示す化学反応が進行し、起電力が生じて外部負荷に対して電気的仕事がなされる。
2 + 1/2O2 → H2O ・・・(3)
アノード及びカソードの各電極は、一般的に、電解質膜側から順に触媒層、ガス拡散層が積層した構造を有する。触媒層には、通常、上記電極反応を促進させるための白金や白金合金等の電極触媒、プロトン伝導性を確保するための高分子電解質、電子伝導性を確保するための導電性材料が含まれている。また、ガス拡散層は、通常、触媒層への反応ガスの供給、電極中の余剰の水分の排出等を可能とする導電性多孔質体を用いて形成される。
パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜に代表される固体高分子電解質膜を備えた燃料電池では、イオン伝導性を確保するために、電解質膜や触媒層の湿潤状態を維持することが重要である。そのため、一般的に、反応ガスを予め加湿した状態で電極に供給することが行われている。
一方で、燃料電池では、上記したように、発電に伴って水が生成する。生成した水の多くは、電極から排出される未反応ガス(電極反応に寄与しなかった反応ガス)や水蒸気として供給される加湿水と共に、セル外へと排出される。しかしながら、生成水や、反応ガスと共に電極に水蒸気として供給された加湿水の一部は、燃料電池内の環境によっては凝縮し、電極内に液体の状態で存在することになる。このとき、凝縮した水(液水)が電極内に滞留すると液水がつまり、いわゆるフラッディングが起きて、反応ガスの供給が妨げられ、発電性能が低下してしまう。特に、燃料電池を高加湿条件下で運転する場合には、液水が多く発生するため、電極の液水の排出性を確保する必要がある。
従って、電極内の液水を、速やかにセル外へと排出し、電極内での滞留を防止することが望まれている。
このフラッディングを抑制するためのガス拡散層として、多孔質構造を有する多孔質基材層に、多孔質基材層よりも小さな細孔径を有する微細多孔質層(マイクロポーラス層、以下MPLとも呼ぶ)が積層された構造を有するものが知られている。この微細多孔質層を設けることにより、微細多孔質層の極微細な多孔質構造が液水膜の形成を阻害し、ガス拡散層の排水性を向上させるとされている。
このような微細多孔質層は、微細多孔質層形成用塗工液(以下MPL塗工液とも呼ぶ)を多孔質基材層に塗布し、焼成することによって形成されるが、この塗布の際にMPL塗工液が多孔質基材層中に浸透し、多孔質基材層を貫通する裏抜けという現象が発生することがある。このMPL塗工液の多孔質基材層への浸み込み及び裏抜けが発生すると、ガス拡散層のガス拡散性の低下を招くおそれがある。
このようなMPL塗工液の裏抜けを防止するため、多くの技術が提案されている。特許文献1には、多孔質基材層と微細多孔質層とを有する燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、多孔質基材層の一方の面にMPL塗工液を塗布するとともに、多孔質基材層の他方の面に撥水処理用の塗工液を塗布する工程を有する方法が提案されている。また、特許文献2には、多孔質基材層に撥水処理用の塗工液を塗布し、次いでMPL塗工液を塗布する工程を備え、多孔質基材層を搬送するローラーの多孔質基材層との接触面が撥水性である、燃料電池用ガス拡散層の製造方法が提案されている。
特開2015−076371号公報 特開2015−050073号公報
特許文献1及び特許文献2に記載のガス拡散層の製造方法によれば、多孔質基材層に撥水処理用の塗工液を塗布することにより、あるいは多孔質基材層の搬送ローラーの表面を撥水性とすることにより、MPL塗工液の多孔質基材層からの裏抜け量を低減することができるが、多孔質基材層内部へのMPL塗工液の浸み込みを十分に抑制することができない。その結果、このような従来の方法においては、多孔質基材層にMPL塗工液を塗布する際に、MPL塗工液が多孔質基材層内部に浸み込み、多孔質基材層内部のガス拡散性を阻害させることにより、得られるガス拡散層を組み込んだ燃料電池の発電性能を低下させるという問題がある。
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、MPL塗工液の多孔質基材層内部への浸み込みを抑制し、多孔質基材層内部のガス拡散性の低下を抑制するガス拡散層の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の手段により上記目的を達成するものである。
多孔質基材層と微細多孔質層とを備えた燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、
前記多孔質基材層の一方の面に、撥水処理用塗工液を塗布すること、
前記撥水処理用塗工液を塗布した前記多孔質基材層を、加熱して乾燥させること、
前記多孔質基材層の、前記撥水処理用塗工液を塗布した面に、微細多孔質層形成用塗工液を塗布すること、
前記微細多孔質層形成用塗工液を塗布した前記多孔質基材層を、加熱して焼成すること、
を含み、凹凸形状を有する部材の凸部を、前記多孔質基材層の前記撥水処理用塗工液を塗布する面とは反対側の面と接触させた状態で、前記撥水処理用塗工液の塗布を行う、燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
本発明の燃料電池用ガス拡散層の製造方法によれば、MPL塗工液の多孔質基材層内部への浸み込みを抑制し、多孔質基材層内部のガス拡散性の低下を抑制することができる。そして得られるガス拡散層を用いて燃料電池を構成することにより、この燃料電池の発電性能の低下を抑制することができる。
燃料電池の単セルの構成を示す断面図である。 本発明のガス拡散層の製造方法を示す説明図である。 撥水処理用塗工液の塗布工程を示す説明図である。 撥水処理用塗工液の塗布後の撥水剤の移動を示す説明図である。 従来の方法により製造されたガス拡散層を備えた単セル中の撥水剤の分布を示す説明図である。 MPL塗工液の塗布工程における撥水剤の分布を示す説明図である。 本発明の方法により製造されたガス拡散層を備えた単セル中の撥水剤の分布を示す説明図である。 プレス工程を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<ガス拡散層の製造方法>
本発明のガス拡散層の製造方法は、
多孔質基材層の一方の面に、撥水処理用塗工液を塗布すること、
撥水処理用塗工液を塗布した前記多孔質基材層を、加熱して乾燥させること、
前記多孔質基材層の、前記撥水処理用塗工液を塗布した面に、MPL塗工液を塗布すること、
前記MPL塗工液を塗布した前記多孔質基材層を、加熱して焼成すること、
を含み、凹凸形状を有する部材の凸部を、前記多孔質基材層の前記撥水処理用塗工液を塗布する面とは反対側の面と接触させた状態で、前記撥水処理用塗工液の塗布を行う。
上記したように従来のガス拡散層の製造方法においては、MPL塗工液の多孔質基材層からの裏抜け量を低減することができるが、多孔質基材層内部へのMPL塗工液の浸み込みを十分に抑制することができず、この多孔質基材層内部に過剰に浸み込んだMPL塗工液が、多孔質基材層内部のガス拡散性を阻害させることにより、得られるガス拡散層を組み込んだ燃料電池の発電性能を低下させてしまう。
これに対して本発明の方法によると、凹凸形状を有する部材の凸部を、多孔質基材層の撥水処理用塗工液を塗布する面とは反対側の面と接触させた状態で、多孔質基材層の一方の面への撥水処理用塗工液の塗布を行っている。その結果、撥水処理用塗工液中の撥水剤が、多孔質基材層の所定の位置に、具体的には、多孔質基材層のうちの、凹凸形状を有する部材の凸部と接触している位置周囲に偏在することになり、MPL塗工液の塗布後に、この多孔質基材層中の、撥水剤が偏在している所定の位置へのMPL塗工液の浸み込みを特に抑制することができる。得られたガス拡散層を燃料電池に組み込んだ際に、この多孔質基材層中の撥水剤が偏在する位置を、燃料電池内のセパレータと接する位置に位置合わせすることにより、燃料電池における多孔質基材層内の、ガス拡散性の低下、特にガス流路間のガス拡散性の低下を抑制することができる。
本発明のガス拡散層の製造方法は、例えば、図2に示すように、第1の塗工装置20と、第1の加熱装置30と、第2の塗工装置40と、第2の加熱装置50と、を備える製造装置100により実行される。この製造装置100では、ガス拡散層の多孔質基材層の形成に用いられる長尺シート状の多孔質基材層11が、搬送ローラー12によって搬送されて、第1の塗工装置20、第1の加熱装置30、第2の塗工装置40、第2の加熱装置50へ順に送り込まれることにより、各装置に対応する撥水処理用塗工液塗布工程(工程1)、乾燥工程(工程2)、MPL塗工液塗布工程(工程3)、焼成工程(工程4)が順に実行される。従って、第1の塗工装置20、第1の加熱装置30、第2の塗工装置40、及び第2の加熱装置50は、基材11が搬送される搬送路中に順に配置されている。以下、本発明のガス拡散層の製造方法の各工程について説明する。
<撥水処理用塗工液塗布工程(工程1)>
撥水処理用塗工液塗布工程では、多孔質基材層の一方の面に、撥水処理用塗工液を塗布する。そして、凹凸形状を有する部材の凸部を、多孔質基材層の撥水処理用塗工液を塗布する面とは反対側の面と接触させた状態で、この撥水処理用塗工液の塗布を行う。
例えば図2に示すように、撥水処理用塗工液塗布工程に対応する第1の塗工装置20は、ダイ方式のコーターにより構成されていてよい。第1の塗工装置20は、ダイヘッド21を備えていてよい。ダイヘッド21には、撥水処理用塗工液が充填されていてよい。撥水処理用塗工液塗布工程では、多孔質基材層11の一方の面に、ダイヘッド21によって、撥水処理用塗工液が塗布される。塗工目付は、例えば0.1〜1mg/cm2である。
塗布された撥水処理用塗工液は、その塗布面から多孔質基材層11内へ浸透する。これにより、多孔質基材層11の表面および内部に対して撥水剤を分布させて撥水性を付与する撥水処理を施すことが可能となる。
この撥水処理用塗工液塗布工程の詳細を図3に示す。上記のように、撥水処理用塗工液塗布工程において、多孔質基材層11の一方の面にダイヘッド21から撥水処理用塗工液22が塗布される。ここで、多孔質基材層11は搬送ベルト13と接した状態で第1の塗工装置20に搬送され、搬送ベルト13は、単セルを構成するセパレータ7の形状を模した凹凸形状を有している(すなわち、凹凸形状を有する部材である)。そして、この搬送ベルト13の凸部が、多孔質基材層の撥水処理用塗工液を塗布する面とは反対の面と接触している状態で、撥水処理用塗工液22が塗布される。
この塗布された撥水処理用塗工液は、多孔質基材層内に浸透するが、図4に示すように、撥水処理用塗工液中の水は、多孔質基材層11内を、多孔質基材層11と搬送ベルト13の凸部との接触部に向かって毛管力によって移動する。その際、撥水処理用塗工液22中の撥水剤23も移動し、多孔質基材層11と搬送ベルト13の凸部との接触部に多く偏在することになる。
ここで、多孔質基材層11としては、燃料電池のガス拡散層の基材に一般的に用いられている導電性および多孔質性を有するシート状材料、例えば、カーボンペーパーやカーボンクロス、カーボン不織布等のカーボン繊維による多孔性シート材料を用いることができる。
また、撥水処理用塗工液は、撥水剤の分散液である。撥水剤としては、PTFE、PVDF、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系の高分子材料や、ポリプロピレン、ポリエチレン等が利用可能である。そして、これらの材料のうち、フッ素系の高分子材料、特に、PTFEが好ましく用いられる。例えば、撥水剤としてPTFEを用い、PTFE(粒径:100〜400nm)のディスパージョンを希釈する(濃度:3〜5質量%)ことにより、撥水処理用塗工液の粘度がずり速度50s-1において1〜100mPa・sとなるように調整することができる。
<乾燥工程(工程2)>
乾燥工程では、撥水処理用塗工液を塗布した多孔質基材層を、加熱して乾燥させる。
再び図2を参照して示すように、乾燥工程に対応する第1の加熱装置30は、一般的な加熱炉により構成してよい。乾燥工程では、撥水処理用塗工液22の塗工済み多孔質基材層11が、第1の塗工装置20から順に送り込まれて装置内を順に移動し、外部へ送り出されるまでの間に、塗工済み多孔質基材層11をヒーター31により加熱することにより、撥水処理用塗工液22の乾燥が行われる。これにより、撥水処理用塗工液22に含まれる撥水剤23によって多孔質基材層11に撥水性が付与される。
第1の加熱装置30における乾燥のための加熱時間(乾燥時間)は、第1の加熱装置30に送り込まれた塗工済み多孔質基材層11が、外部へ送り出されるまでの時間に相当する。この時間は、塗工済み多孔質基材層11が加熱装置30内を移動する速度および移動する長さで決定される。なお、第1の加熱装置30における加熱温度(乾燥温度)は、撥水処理用塗工液22を乾燥させるための温度であり、好ましくは、この乾燥温度は50℃〜90℃である。また、加熱時間(乾燥時間)は、塗工液の塗布量および加熱温度等に応じて、適切な時間、例えば、1分〜120分程度の時間に設定される。なお、加熱時間の上限にも特に制限はない。
<MPL塗工液塗布工程(工程3)>
MPL塗工液塗布工程では、多孔質基材層の撥水処理用塗工液を塗布した面に、MPL塗工液を塗布する。
図2に示すように、MPL塗工液塗布工程に対応する第2の塗工装置40は、例えばダイ方式のコーターにより構成されている。第2の塗工装置40は、ダイヘッド41を備えていてよい。ダイヘッド41には、多孔質基材層11の一方の面に微細多孔質層を形成するための、MPL塗工液42が充填されていてよい。なお、微細多孔質層は、多孔質基材層11よりも小さな細孔径を有している。塗工目付は、例えば2〜6mg/cm2である。塗布されたMPL塗工液42の塗膜の厚さは、多孔質基材層11がダイヘッド41の下を通過する速度及びダイヘッド41から吐出されるMPL塗工液42の吐出速度によって決定される。
従来技術の方法のように、多孔質基材層11の、MPL塗工液42を塗布する面とは反対面を撥水性とする場合、MPL塗工液42を多孔質基材層11に塗布すると、図5に示すように、このMPL塗工液42には、(1)ダイヘッド41からの吐出圧力、(2)多孔質基材層11内部への毛管力、(3)MPL塗工液42の自重、の3つの力が作用し、多孔質基材層11内部への物理的な空間内への過剰な浸み込みが発生する。
このMPL塗工液42の多孔質基材層11内部への浸み込みは、多孔質基材層11内部の空間の閉塞を引き起こし、ガス透過性の低下を引き起こす。特に、図5に示すように、多孔質基材層11の、セパレータ7のリブ9との接触部位においては、矢印に示すような、多孔質基材層11を通過してセパレータ7のガス流路溝8間を移動するガスの移動が妨げられるため、ガス透過性の低下は顕著になる。その結果、多孔質基材層11の、セパレータ7のリブ9との接触部位においてガス供給不足が引き起こされ、発電性能の低下につながる。
これに対して、本発明においては、図6に示すように、MPL塗工液42を塗布する際に、多孔質基材層11内には、撥水処理用塗工液塗布工程によって浸透させた撥水剤23が偏在している。この撥水剤23が偏在してより多く存在する位置14は、撥水処理用塗工液塗布工程において、多孔質基材層11中の搬送ベルト13の凸部等の、凹凸形状を有する部材の凸部と接していた位置に対応している。この凹凸形状は、単セルを構成するセパレータ7の形状を模しており、従ってこの撥水剤23が多く偏在する位置14は、単セルにおいてセパレータ7のガス流路溝8間のリブ9と接する位置に相当することになる。この位置に撥水剤23を多く偏在させることにより、図7に示すように、MPL塗工液42を塗布した際、このMPL塗工液42は多孔質基材層11の内部にも浸透するが、撥水剤23が多く偏在している位置14へは、撥水剤23によって、のMPL塗工液42の浸み込みが抑制される。その結果、矢印に示すような、多孔質基材層11を通過してセパレータ7のガス流路溝8間を移動するガスの移動が妨げられることがなく、ガス透過性の低下を抑制することができる。
ここで、MPL塗工液42は、主に導電性粒子とバインダーと溶剤とを混合分散させたペースト状あるいはスラリー状のものであってよい。MPL塗工液42には、必要に応じて分散剤等の添加剤を加えることができるが、コンタミネーションを回避するために金属を含まないことが好ましい。
導電性粒子としては、カーボン粒子、特に平均粒径が20〜150nmのカーボン粒子、例えば、導電性に優れ、比表面積が大きいカーボンブラックを用いることができ、特に、導電性が高いアセチレンブラックが好ましい。バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系の高分子材料や、ポリプロピレン、ポリエチレン等を用いることができる。そして、これらの材料のうち、フッ素系の高分子材料、特に、PTFEが好ましく用いられる。溶剤としては、特に制限されず、水、メタノール、エタノール等の種々の液剤を用いることができる。分散剤である界面活性剤も、特に制限されず、エステル型やエーテル型、エステル・エーテル型等の種々の非イオン系界面活性剤等の種々の界面活性剤を用いることができる。
MPL塗工液42の組成は、例えば、導電性粒子とバインダーと分散剤の全固形分を100質量%として、導電性粒子が70〜90質量%、バインダーが15〜25質量%、分散剤が5〜15質量%となるように調整する。また、MPL塗工液42の物性は、固形分の割合が15〜25質量%で、粘度がずり速度50s-1において500〜2500mPa・s(50/s)で、貯蔵弾性率が500〜5500Paとなるように設定してよい。
MPL塗工液42が塗布済みの多孔質基材層11は、第2の加熱装置50に搬送される。
<焼成工程(工程4)>
焼成工程では、MPL塗工液を塗布した多孔質基材層を加熱して焼成する。
再び図2を参照して示すように、焼成工程に対応する第2の加熱装置50は、一般的な加熱炉により構成してよい。焼成工程では、MPL塗工液42の塗工済み多孔性基材層11が、第2の塗工装置40から順に送り込まれて装置内を順に移動し、外部へ送り出されるまでの間に、塗工済み基材11をヒーター51により加熱することにより、MPL塗工液42による塗膜の焼成処理を実行する。これにより、MPL塗工液42の塗膜が微細多孔質層として多孔性基材層11上に定着され、多孔性基材層と微細多孔質層とが積層された長尺シート状のガス拡散層が形成される。
加熱装置50における焼成のための加熱時間(焼成時間)は、焼成装置50に送り込まれた塗工済み多孔性基材層11が、外部へ送り出されるまでの時間に相当する。この時間は、塗工済み多孔性基材層11が加熱装置50内を移動する速度および移動する長さで決定される。なお、加熱装置50における加熱温度(焼成温度)は、MPL塗工液42中の導電性粒子とバインダーとを熱融着するための温度であり、好ましくは250℃以上、より好ましくは400℃以上の温度に設定される。なお、加熱温度の上限に特に制限はない。また、加熱時間(焼成時間)は、MPL塗工液の塗工量および加熱温度等に応じて、適切な時間、例えば、1分〜120分程度の時間に設定される。なお、加熱時間の上限にも特に制限はない。
焼成工程において製造された、多孔性基材層と微細多孔質層とが積層された長尺シート状のガス拡散層は、図示しない一般的な裁断機により、所望の形状に裁断することにより、所望形状のガス拡散層が形成される。
本発明においては、乾燥工程の後、MPL塗工液塗布工程の前に、プレス装置60においてプレス工程を行うことが好ましい。このプレス工程においては、例えば図8に示すように、乾燥工程の乾燥装置30において乾燥された多孔性基材層11が、搬送ベルト13と接した状態でプレス装置60に送り込まれ、所定の位置において2枚のプレス板61によりプレスされる。この際、搬送ベルト13には、所定の位置に位置決め用の突起15が設けられており、プレスによって多孔性基材層の所定の位置に凹部を形成することができる。
上記のように、撥水処理用塗工液塗布工程において、多孔性基材層11は搬送ベルト13と接した状態で撥水処理用塗工液が塗布され、その結果、多孔性基材層11の、搬送ベルト13の凸部との接触部に撥水剤23が多く偏在することになる。この搬送ベルト13の凹凸形状は、セパレータのガス流路溝8を構成する凹凸形状を模したものであり、多孔性基材層11の、搬送ベルト13の凸部との接触部、すなわち撥水剤が多く偏在している位置に、セパレータのガス流路溝8を構成するリブの凸部を配置させるようにすることが必要である。
上記のように、プレス工程において多孔性基材層の所定の位置に凹部を形成することにより、その後に単セルを構成する段階において、この凹部を目印にして、セパレータとの正確な位置決めが可能となる。
こうして製造されたガス拡散層を用いることにより、燃料電池を構成する単セルを製造することができる。
<燃料電池の構成>
図1は、本発明の実施形態としての製造方法によって製造されたガス拡散層が用いられている燃料電池の単セルの概略構成を示す説明図である。図1において、単セル10は、膜電極接合体3と2つのガス拡散層6と、一対のセパレータ7とを備えている。膜電極接合体3は、電解質膜1と、電解質膜1の両面に設けられた2つの触媒電極層2とを備えている。電解質膜1は、湿潤状態において良好なプロトン伝導性を示す固体高分子薄膜である。電解質膜1は、例えば、ナフィオン(登録商標)などのフッ素系樹脂のイオン交換膜によって構成される。触媒電極層2のそれぞれは、水素と酸素との化学反応を促進する触媒(図示は省略)を有する。触媒電極層2のそれぞれは、触媒を担持する導電性粒子(例えば、白金担持カーボン)と、電解質膜1と同種または類似の固体電解質樹脂と、の分散溶液の乾燥塗膜として形成される。
ガス拡散層6のそれぞれは、膜電極接合体3の両面に形成されている。ガス拡散層6のそれぞれは、微細多孔質層4と多孔性基材層5を備えており、微細多孔質層4は触媒電極層2と接しており、多孔性基材層5はセパレータ7と接している。単セル10が積層方向に圧縮されることで、ガス拡散層6のそれぞれは、各触媒電極層2に圧着されて膜電極接合体3と一体化している。
ガス拡散層6のそれぞれは、セパレータ7に形成されているガス流路溝8を介して供給された反応ガスを触媒電極層2の全体に行き渡らせる。また、ガス拡散層6のそれぞれは、膜電極接合体3とセパレータ7との間の導電経路として機能する。燃料電池の運転中には、ガス拡散層6に供給された反応ガスは、ガス拡散層6の内部の貫通細孔内を流通し、ガス拡散層6の積層方向に直交する面方向に沿って拡散されながら、触媒電極層2に到達する。
膜電極接合体3の触媒電極層2と接する面に設けられた微細多孔質層4は、極微細な多孔質構造が液水膜の形成を阻害することにより、反応ガスの化学反応によって生成された水が反応ガスの流路を閉塞してしまうことを抑制し、その結果、膜電極接合体3と接する面におけるガス拡散性および排水性を確保する。セパレータと接する面に設けられた多孔性基材層5は、導電性多孔体から構成され、前記ガス流路溝8を通じて供給された反応ガスを分散させ、触媒層2に対して均一に供給し、触媒層2における酸化反応により生じた生成水を単セル外部に排出する役割を有する。
一対のセパレータ7は、導電性およびガス不透過性を有する板状部材であり、例えば、金属板によって構成される。セパレータ7のそれぞれは、ガス拡散層6のそれぞれの表面に積層して配置されている。セパレータ7のそれぞれには、反応ガスの水素または酸素が流れるガス流路溝8が形成されている。
図示及び詳細な説明は省略するが、各単セル10の膜電極接合体3及びガス拡散層6の外側に、反応ガス等の流体の漏洩やセパレータ7同士の短絡を防止するための絶縁性シール部が設けられる。また、単セル10の膜電極接合体3及びガス拡散層6の外側には、単セル10に反応ガスを供給するためのマニホールドが設けられる。
本実施形態では、単セル10の膜電極接合体3において多量の水分が生成された場合にも、上記に説明する製造方法によってガス拡散層6が製造されていることによって、多孔性基材層内のガス拡散性の低下を抑制し、そしてこのガス拡散層を組み込んだ単セルの発電性能の低下を抑制することができる。
1 固体高分子電解質膜
2 触媒電極層
3 膜電極接合体
4 微細多孔質層
5 多孔質基材層
6 ガス拡散層
7 セパレータ
8 ガス流路溝
10 単セル
11 多孔質基材層
12 搬送ローラー
13 搬送ベルト
15 突起
20 撥水処理用塗工装置
21 ダイヘッド
22 撥水処理用塗工液
23 撥水剤
30 第1の加熱装置
31 ヒーター
40 第2の塗工装置
41 ダイヘッド
42 微細多孔質層形成用塗工液
50 第2の加熱装置
51 ヒーター
60 プレス装置
61 プレス板

Claims (1)

  1. 多孔質基材層と微細多孔質層とを備えた燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、
    前記多孔質基材層の一方の面に、撥水処理用塗工液を塗布すること、
    前記撥水処理用塗工液を塗布した前記多孔質基材層を、加熱して乾燥させること、
    前記多孔質基材層の、前記撥水処理用塗工液を塗布した面に、微細多孔質層形成用塗工液を塗布すること、
    前記微細多孔質層形成用塗工液を塗布した前記多孔質基材層を、加熱して焼成すること、
    を含み、凹凸形状を有し、燃料電池内のセパレータと接する位置に凸部が位置合わせされている部材の凸部を、前記多孔質基材層の前記撥水処理用塗工液を塗布する面とは反対側の面と接触させた状態で、前記撥水処理用塗工液の塗布を行う、燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
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