JP6973199B2 - 液滴吐出手段、液滴形成装置及び分注装置 - Google Patents
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Description
また、液滴形成装置の膜に撹拌振動を付与することにより、細胞溶液の細胞数濃度を均一にし、吐出する細胞数のバラツキを軽減させることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明の液滴吐出手段は、液を保持する液保持部と、液保持部に設けられる液滴吐出口と、液保持部を振動させる第一の振動部材と、第一の振動部材を支持する固定部と、を有し、液保持部は、大気開放部を有し、かつ液滴吐出口の吐出方向に対して、垂直に切断したときの液保持部の内壁で形成される断面が、大気開放部側から液滴吐出口へ向けて小さくなる構造を有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
液保持部は、液を保持する部材である。
液保持部に設けられる液滴吐出口と、該液滴吐出口とは反対側に大気開放部を有する。これにより、液体中に混入した気泡は大気開放部から排出可能である。
液保持部は、大気開放部を有し、かつ液滴吐出口の吐出方向に対して、垂直に切断したときの液保持部の内壁で形成される断面(断面積)が、大気開放部側から液滴吐出口へ向けて小さくなる構造を有し、液保持部の内壁で形成される断面(断面積)連続的に狭くなる構造であっても、非連続的に狭くなる構造であってもよく、平面だけでなく曲面を含んでいてもよい。これにより、液保持部に充填した溶液中の粒子(細胞)を、液保持部の内壁で形成される傾斜面に沿って液滴吐出口へと向かって沈降させることができる。
中でも、液保持部は、液滴吐出口の吐出方向に対して、垂直に切断したときの液保持部の内壁で形成される断面が、大気開放部側から液滴吐出口へ向けて漸減する構造を有することが、粒子の沈降効果により優れている点から好ましい。
液滴保持部の内壁面は、液滴吐出口の吐出方向に対して、垂直に切断したときの液保持部の内壁で形成される断面が大気開放部側から液滴吐出口へ向けて漸減するテーパー面を有し、テーパー面からなる傾斜線と液滴吐出口を通る垂線とのなす角度は、5度以上60度以下が好ましく、10度以上40度以下がより好ましい。
液保持部の材質としては、例えば、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム等の金属、ABS、ポリカーボネート、フッ素樹脂等のプラスチックス、二酸化ケイ素、アルミナ、ジルコニア等のセラミックスなどが挙げられる。
これらの中でも、粒子として細胞やタンパク質を用いる際には、細胞やタンパク質に対する付着性の低い材料を用いることが好ましい。
細胞の付着性は一般的に材質の水との接触角に依存性があると言われており、材質の親水性が高い又は疎水性が高いときには細胞の付着性が低い。親水性の高い材料としては各種金属材料やセラミックス(金属酸化物)を用いることが可能であり、疎水性が高い材料としてはフッ素樹脂等を用いることが可能である。
これら以外にも、材料表面をコーティングすることで細胞接着性を低下させることも考えられる。例えば、材料表面を前述の金属又は金属酸化物材料でコーティングすることや、細胞膜を模した合成リン脂質ポリマー(例えば、日油株式会社製、Lipidure)によってコーティングすることが可能である。
液滴吐出口としては、その配列数、配列態様、間隔(ピッチ)、開口形状、開口の大きさなどについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
液滴吐出口の配列数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液滴吐出手段の吐出面の長さ方向に沿って1列配設されていることが好ましい。
液滴吐出口の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、2個以上100個以下が好ましく、2個以上50個以下がより好ましく、2個以上12個以下が更に好ましい。液滴吐出口の数が2個以上100個以下であると、単位時間当りの吐出する液滴数を増加させることができる高い生産性を有する液滴形成装置を提供することができる。
液滴吐出口は、等間隔に並んで配列されていることが好ましく、隣接する液滴吐出口の中心間の最短距離である間隔(ピッチ)Pとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、50μm以上1,000μm以下が好ましい。
液滴吐出口の開口形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形、楕円形、四角形などが挙げられる。
液滴吐出口の平均径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粒子が液滴吐出口に詰まることを避けるため、粒子の大きさの2倍以上とすることが好ましい。
粒子が、例えば、動物細胞、特にヒトの細胞である場合、ヒトの細胞の大きさは、一般的に、5μm以上50μm以下であるため、液滴吐出口の平均径は、使用する細胞に合わせて、10μm以上100μm以下が好ましい。
一方で、液滴が大きくなり過ぎると、微小液滴を形成するという目的の達成が困難となるため、液滴吐出口の平均径は、200μm以下であることが好ましい。したがって、液滴吐出口の平均径は、10μm以上200μm以下がより好ましい。
第一の振動部材は、液保持部を略重力方向に振動させ、固定部に支持されている。
第二の振動部材は、液保持部を略重力方向に垂直な方向に振動させ、固定部又は液保持部に設けられることが好ましい。
第一の振動部材による第一の振動の位相と、第二の振動部材による第二の振動の位相とが異なり、第一の振動と第二の振動とが交互に行われることが、ノズル詰まり解消効果を最大限に高めつつ液滴吐出を行える点から好ましい。
第一の振動部材及び第二の振動部材の形状及び大きさとしては、特に制限はなく、液保持部や固定部の形状に合わせて適宜設計することができる。
圧電素子としては、例えば、圧電材料の上面及び下面に電圧を印加するための電極を設けた構造とすることができる。この場合、駆動手段から圧電素子の上下電極間に電圧を印加することによって膜の面横方向に圧縮応力が加わり、液保持部を振動させることができる。
圧電材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、ビスマス鉄酸化物、ニオブ酸金属物、チタン酸バリウム、又はこれらの材料に金属や異なる酸化物を加えたものなどが挙げられる。これらの中でも、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)が好ましい。
液滴は、粒子を含むことが好ましい。
液滴中に含まれる粒子の個数は、1個以上が好ましく、1個以上5個以下がより好ましい。
液滴の直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25μm以上150μm以下が好ましい。液滴の直径が25μm以上であると、内包する粒子の直径が適正となり、適用できる粒子の種類が多くなる。また、液滴の直径が150μm以下であると、液滴の吐出が安定となる。
また、液滴の直径をRとし、粒子の直径をrとすると、R>3rであることが好ましい。R>3rであると、粒子の直径と液滴の直径との関係が適正であり、液滴の縁の影響を受けることがないため、粒子の計数精度が向上する。
液滴の液量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000pL以下が好ましく、100pL以下がより好ましい。
液滴の液量は、例えば、液滴の画像から液滴の大きさを求め、液量を算出する方法などにより測定することができる。
細胞周期とは、細胞が増えるとき、細胞分裂が生じ、細胞分裂で生じた細胞(娘細胞)が再び細胞分裂を行う細胞(母細胞)となって新しい娘細胞を生み出す過程を意味する。
受光とは、光を受けることを意味する。
光学センサとは、人間の目で見ることができる可視光線と、それより波長の長い近赤外線や短波長赤外線、熱赤外線領域までの光のいずれかの光をレンズで集め、対象物である細胞の形状などを画像データとして取得する受動型センサを意味する。
光を受光したときに発光可能な細胞としては、光を受光したときに発光可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、蛍光色素によって染色された細胞、蛍光タンパク質を発現した細胞、蛍光標識抗体により標識された細胞などが挙げられる。
細胞における蛍光色素による染色部位、蛍光タンパク質の発現部位、又は蛍光標識抗体による標識部位としては、特に制限はなく、細胞全体、細胞核、細胞膜などが挙げられる。
蛍光色素としては、例えば、フルオレセイン類、アゾ類、ローダミン類、クマリン類、ピレン類、シアニン類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、フルオレセイン類、アゾ類、ローダミン類が好ましく、エオシン、エバンスブルー、トリパンブルー、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミン123がより好ましい。
蛍光タンパク質としては、例えば、Sirius、EBFP、ECFP、mTurquoise、TagCFP、AmCyan、mTFP1、MidoriishiCyan、CFP、TurboGFP、AcGFP、TagGFP、Azami−Green、ZsGreen、EmGFP、EGFP、GFP2、HyPer、TagYFP、EYFP、Venus、YFP、PhiYFP、PhiYFP−m、TurboYFP、ZsYellow、mBanana、KusabiraOrange、mOrange、TurboRFP、DsRed−Express、DsRed2、TagRFP、DsRed−Monomer、AsRed2、mStrawberry、TurboFP602、mRFP1、JRed、KillerRed、mCherry、mPlum、PS−CFP、Dendra2、Kaede、EosFP、KikumeGRなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
蛍光標識抗体としては、蛍光標識されていれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CD4−FITC、CD8−PEなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
特定の核酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、感染症検査に用いられる塩基配列、自然界には存在しない核酸、動物細胞由来の塩基配列、植物細胞由来の塩基配列などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、特定の核酸としては、プラスミドも好適に使用することができる。
核酸とは、プリン又はピリミジンから導かれる含窒素塩基、糖、及びリン酸が規則的に結合した高分子の有機化合物を意味する。
液体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換水、蒸留水、純水、生理食塩水、アルコール、鉱物油、植物油等の様々な有機溶媒を用いることができる。
溶媒として水を使用する際には、水分の蒸発を抑えるための湿潤剤や、表面張力を下げるための界面活性剤が含まれていることが好ましい。これらの処方には、インクジェットインクに用いられるごく一般的な材料を用いることができる。
固定部は、第一の振動部材を支持する。更に、第二の振動部材を設けることが好ましい。
固定部の形状、大きさ、材質、及び構造については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
固定部の材質としては、例えば、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム等の金属、ABS、ポリカーボネート、フッ素樹脂等のプラスチックス、二酸化ケイ素、アルミナ、ジルコニア等のセラミックスなどが挙げられる。
その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、制御部材を有することが好ましい。
本発明の液滴形成装置は、本発明の液滴吐出手段を備え、駆動手段及び粒子数計数手段を有することが好ましく、更に必要に応じてその他の手段を備える。
駆動手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液滴吐出手段が圧電加圧方式によるインクジェットヘッドである場合、液滴吐出手段に駆動電圧を入力する手段などが挙げられる。この場合、駆動手段が圧電素子を変形させることにより微小な液滴を吐出させることができる。
粒子数計数手段は、液滴に含まれる粒子を計数する手段であり、液滴の吐出後、かつ液滴の被着対象物への着弾前に、液滴に含まれる粒子数をセンサによって計数する手段であることが好ましい。
センサとは、自然現象や人工物の機械的・電磁気的、熱的、音響的、又は化学的性質、或いはそれらにより示される空間情報・時間情報を、何らかの科学的原理を応用して、人間や機械が扱い易い別媒体の信号に置き換える装置を意味する。
プレートにおけるウェルの数は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単数であってもよく、複数であってもよい。
ウェルの数が複数であるプレートとしては、ウェルの数が24個、96個、384個など業界において一般的な個数及び寸法で穴が形成されたものを用いることが好ましい。
プレートの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後の処理のために、細胞や核酸の壁面への付着が抑制されているものを用いることが好ましい。
その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、制御手段、表示手段、記録手段などを有することが好ましい。
本発明の液滴形成装置は、液滴吐出手段として本発明の液滴吐出手段を用いており、本発明の液滴吐出手段は本発明の液滴形成装置に含まれるため、以下の本発明の液滴形成装置の実施形態の説明を通じて、本発明の液滴吐出手段の実施形態についても説明する。
なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
また、以下の説明では、粒子としての細胞を懸濁した細胞溶液の吐出を対象として例示するが、その他の分野の粒子を懸濁した粒子懸濁液の吐出に適用するのでも構わない。
図1は、第1の実施形態に係る液滴形成装置200の一例を示す図である。図1を参照すると、液滴形成装置200は、液滴吐出手段100と、駆動手段40とを有する。
液保持部3は、液滴吐出口2と反対側に大気開放部55を有する。液保持部1は、大気開放部55有することにより、溶液300中に混入した気泡を大気開放部から排出可能である。
液保持部3は、液滴吐出口2の吐出方向に対して、垂直に切断したときの液保持部の内壁で形成される断面(断面積)が、大気開放部55側から液滴吐出口2へ向けて小さくなる構造を有する。図1では、液滴吐出口の吐出方向に対して、垂直に切断したときの内壁で形成される断面(断面積)が、大気開放部側から液滴吐出口へ向けて漸減する構造(テーパー構造)を有している。
液滴保持部3の内壁面は、液滴吐出口2の吐出方向に対して、垂直に切断したときの液保持部の内壁で形成される断面が大気開放部55側から液滴吐出口2へ向けて漸減するテーパー面を有し、テーパー面からなる傾斜線と液滴吐出口を通る垂線とのなす角度は、20度である。
粒子350を含有する溶液300において、粒子350としては、例えば、金属微粒子、無機微粒子、細胞などが挙げられる。これらの中でも、細胞が好ましい。
溶液300の充填後、粒子350としての細胞は、液保持部3のテーパー面に沿って11の矢印の向きに沈降し、液滴吐出口2付近に集まり互いに隙間を埋めるように堆積する。その結果、液滴吐出口2付近には、密度が均一かつ運動が抑制された状態の粒子(細胞)350が滞留する。この状態で、第一の振動部材6により8の運動を起こすと、振動は支持板5を伝達し先端部では増幅され12の上下動を起こし、粒子数(細胞数)の安定した吐出液滴310を吐出することができる。
図2は、第2の実施形態の液滴形成装置を示す。この第2の実施形態の液滴形成装置200は、液滴吐出手段固定部14に取り付けた第二の振動部材15を固定部7に接着固定している点が、第1の実施形態と異なる。なお、既に説明した第1の実施形態と同一構成についての説明は省略する場合がある。
図3Aは、粒子350としての細胞自体がノズル内に詰まった状態を示す。その場合に、第二の振動16により液保持部を右方向に振動すると、図3Bに示すように粒子350としての細胞は矢印の方向に動く。左側内壁面に接した細胞はテーパーに沿って上方に移動し、右側内壁面に接した細胞は内壁面から離れる。
次に、図3Cに示すように左方向へ振動すると、右側内壁面に接した細胞は上方に移動し、左側内壁面に接した細胞は内壁面から離れる。このように、粒子350としての細胞を上方へ移動させかつ壁面から離反させることで、17に示す細胞が少ない領域ができて詰まりを解消できる。なお、図3Cは、説明のために17を大きく描いており、細胞密度が変化しているように見えるが、実際の詰まり解消動作では、17は極めて小さくても詰まりを解消できる。その結果、ノズル詰まりの解消と粒子数(細胞数)の安定した吐出を両立できる。
第一の振動8と第二の振動16によるノズル詰まり解消を交互に行うことにより、ノズル詰まりを防止しながら、粒子数(細胞数)の安定した連続安定吐出を行うことが可能となる。
図6は、第3の実施形態の液滴形成装置を示す。この第3の実施形態の液滴形成装置200は、液保持部3に第二の振動部材15を直接1つ取り付けた液滴吐出手段101を有する点が、第1の実施形態と異なる。なお、既に説明した第1の実施形態と同一構成についての説明は省略する場合がある。
この第3の実施形態の場合には、積層型の圧電素子で構成される第二の振動部材15による振動を直接ノズル付近へと伝達することが可能となり、小さなエネルギーでも大きな揺動を発生することができる。
なお、第3の実施形態の場合には、第一の振動部材18も積層型の圧電素子で構成する。
−光学的に検出する方法−
図7、図11、及び図12を用いて、光学的に検出する方法に関して以下に説明する。
図7は、液滴形成装置の一例を示す模式図である。図11、及び図12は、液滴形成装置の他の一例を示す模式図である。
図7に示すように、第4の実施形態の液滴形成装置200Aは、液滴吐出手段100と、駆動手段40と、光源50と、受光素子60と、制御手段70とを有する。液滴吐出手段100としては、第1の実施形態と同様である。
ただし、液滴310の直径に対し、光Lのビーム直径が100倍を大きく超えることは好ましくない。これは、液滴310に照射される光のエネルギー密度が下がるため、光Lを励起光として発する蛍光Lfの光量が低下し、受光素子60で検出し難くなるからである。
受光素子60としては、例えば、フォトダイオード、フォトセンサ等の1次元素子が挙げられるが、高感度な測定が必要な場合には、光電子増倍管やアバランシェフォトダイオードを用いることが好ましい。受光素子60として、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、ゲートCCD等の2次元素子を用いてもよい。
以下、図8〜図10を参照し、制御手段70の動作を含む液滴形成装置200Aの動作について説明する。
まず、ステップS11において、制御手段70の吐出制御手段701は、駆動手段40に吐出の指令を出す。吐出制御手段701から吐出の指令を受けた駆動手段40は、第一の振動部材6に駆動信号を供給して液保持部3を振動させる。液保持部3の振動により、蛍光染色細胞350を含有する液滴310が、ノズル131から吐出される。
図11は、図7の液滴形成装置200Aの変形例を示す模式図である。図11に示すように、液滴形成装置200Bは、受光素子60の前段にミラー45を配置した点が、液滴形成装置200A(図7参照)と相違する。なお、既に説明した実施形態と同一構成についての説明は省略する場合がある。
即ち、図11のように受光素子60のレイアウトを変更することにより、液滴310が着滴する着滴対象物とノズル131との距離(ギャップ)を縮めることが可能となり、着滴位置のばらつきを抑制することができる。その結果、分注の精度を向上することが可能となる。
図12は、図7の液滴形成装置200Aの他の変形例を示す模式図である。図12に示すように、第6の実施形態の液滴形成装置200Cは、蛍光染色細胞350から発せられる蛍光Lf1を受光する受光素子60に加え、蛍光染色細胞350から発せられる蛍光Lf2を受光する受光素子61を設けた点が、液滴形成装置200A(図7参照)と相違する。なお、既に説明した実施形態と同一構成についての説明は省略する場合がある。
このように、液滴形成装置200Cでは、蛍光染色細胞350が異なる方向に発した蛍光を受光する複数の受光素子を有しているため、蛍光染色細胞350の個数の誤計数の発生頻度を更に低減できる。
本発明の分注装置は、本発明の上記液滴形成装置と、被着対象物とを有し、制御手段を有することが好ましく、更に必要に応じてその他の手段を有する。
液滴形成装置の粒子数計数手段が、液滴に含まれる粒子の数が0個であると判定したとき、液滴吐出手段が、同じ凹部に対して液滴を再度吐出することが、凹部に確実に粒子を分注することができる点から好ましい。
被着対象物は、液滴形成装置の液滴吐出手段から吐出された液滴が着滴する複数の凹部が形成された部材である。
被着対象物としては、吐出された液滴が付着することができれば、その材質、形状、大きさ、構造などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
被着対象物の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、半導体、セラミックス、金属、ガラス、石英ガラス、プラスチックスなどで形成されたものが好適に挙げられる。
被着対象物の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、板状、プレート状などが好ましい。
被着対象物の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単層構造であっても複数層構造であっても構わない。
被着対象物に設ける凹部の数は、複数であり、2つ以上が好ましく、5つ以上がより好ましく、50つ以上が更に好ましい。
制御手段は、液滴吐出手段と複数の凹部との相対的な位置関係を制御する手段であり、CPU(Central Processing Unit)ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、メインメモリなどを有し、分注装置全体の動作を制御するための制御プログラムに基づいて各種処理を実行する。
その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、記録手段、培養手段、加熱手段、攪拌手段、洗浄手段などを有することが好ましい。
図15は、第1の実施形態の分注装置の一例を示す概略図である。第1の実施形態の分注装置では、本発明の液滴形成装置を、被着対象物の凹部に粒子を分注する分注装置として用いる形態である。なお、第1の実施形態の分注装置において、既に説明した実施の形態と同一の構成については、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
液滴形成装置200としては、図1に示す第1の実施形態の液滴形成装置200を用いている。
なお、液滴形成装置200に代えて、図7、図11、及び図12に示す液滴形成装置200Aから200Cのいずれかを用いてもよい。
制御手段500は、ステージ400を移動させ、液滴形成装置200の液滴吐出手段100とそれぞれの凹部330との相対的な位置関係を制御する。これにより、液滴形成装置200の液滴吐出手段100からそれぞれの凹部330中に順次粒子350を含む液滴310を吐出することができる。
図17は、第1の実施形態に係る分注装置の動作を示すフローチャートの他の例である。
<1> 液を保持する液保持部と、
前記液保持部に設けられる液滴吐出口と、
前記液保持部を振動させる第一の振動部材と、
前記第一の振動部材を支持する固定部と、を有し、
前記液保持部は、大気開放部を有し、かつ前記液滴吐出口の吐出方向に対して、垂直に切断したときの前記液保持部の内壁で形成される断面が、前記大気開放部側から前記液滴吐出口へ向けて小さくなる構造を有することを特徴とする液滴吐出手段である。
<2> 前記液保持部は、前記液滴吐出口の吐出方向に対して、垂直に切断したときの前記液保持部の内壁で形成される断面が、前記大気開放部側から前記液滴吐出口へ向けて漸減する構造を有する前記<1>に記載の液滴吐出手段である。
<3> 前記液滴保持部の内壁面は、前記液滴吐出口の吐出方向に対して、垂直に切断したときの前記液保持部の内壁で形成される断面が前記大気開放部側から前記液滴吐出口へ向けて漸減するテーパー面を有し、テーパー面からなる傾斜線と前記液滴吐出口を通る垂線とのなす角度が、5度以上60度以下である前記<2>に記載の液滴吐出手段である。
<4> 更に、第二の振動部材を有し、
前記第二の振動部材が、前記液保持部を略重力方向に垂直な方向に振動する前記<1>から<3>のいずれかに記載の液滴吐出手段である。
<5> 前記第二の振動部材が、前記固定部に設けられる前記<4>に記載の液滴吐出手段である。
<6> 前記第二の振動部材が、前記液保持部に設けられる前記<4>に記載の液滴吐出手段である。
<7> 前記第一の振動部材による第一の振動の位相と、前記第二の振動部材による第二の振動の位相とが異なり、前記第一の振動と前記第二の振動とが交互に行われる前記<4>から<6>のいずれかに記載の液滴吐出手段である。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の液滴吐出手段を備えることを特徴とする液滴形成装置である。
<9> 液滴に含まれる粒子を計数する粒子数計数手段を有する前記<8>に記載の液滴形成装置である。
<10> 前記液滴が、光を照射されたときに発光可能な粒子を含む前記<8>から<9>のいずれかに記載の液滴形成装置である。
<11> 前記光を照射されたときに発光可能な粒子が、細胞である前記<10>に記載の液滴形成装置である。
<12> 前記光を照射されたときに発光可能な粒子が、蛍光色素によって染色された細胞及び蛍光タンパク質を発現可能な細胞の少なくともいずれかである前記<10>から<11>のいずれかに記載の液滴形成装置である。
<13> 前記<8>から<12>のいずれかに記載の液滴形成装置と、
液滴吐出手段から吐出された液滴が着滴する複数の凹部が形成された被着対象物と、
を有することを特徴とする分注装置である。
<14> 前記液滴吐出手段と前記複数の凹部との相対的な位置関係を制御する制御手段を有する前記<13>に記載の分注装置である。
<15> 前記液滴形成装置における粒子計数装置が、前記液滴に含まれる粒子の数が0個であると判定したとき、
前記液滴吐出手段が、同じ前記凹部に対して前記液滴を再度吐出する前記<13>から<14>のいずれかに記載の分注装置である。
3 液保持部
5 支持板
6 第一の振動部材
7 固定部
8 第一の振動
11 沈降
12 支持板の上下動
13 吐出液滴
14 液滴吐出手段固定部
15 第二の振動部材
16 第二の振動
17 粒子が少ない領域
18 第3の実施形態における第一の振動部材
40 駆動手段
100 液滴吐出手段
200 液滴形成装置
300 溶液
350 粒子
Claims (10)
- 液を保持する液保持部と、
前記液保持部に設けられる液滴吐出口と、
前記液保持部を振動させる第一の振動部材と、
前記第一の振動部材を支持する固定部と、を有し、
前記液保持部は、大気開放部を有し、かつ前記液滴吐出口の吐出方向に対して、垂直に切断したときの前記液保持部の内壁で形成される断面が、前記大気開放部側から前記液滴吐出口へ向けて小さくなる構造を有することを特徴とする液滴吐出手段。 - 前記液保持部は、前記液滴吐出口の吐出方向に対して、垂直に切断したときの前記液保持部の内壁で形成される断面が、前記大気開放部側から前記液滴吐出口へ向けて漸減する構造を有する請求項1に記載の液滴吐出手段。
- 前記液滴保持部の内壁面は、前記液滴吐出口の吐出方向に対して、垂直に切断したときの前記液保持部の内壁で形成される断面が前記大気開放部側から前記液滴吐出口へ向けて漸減するテーパー面を有し、テーパー面からなる傾斜線と前記液滴吐出口を通る垂線とのなす角度が、5度以上60度以下である請求項2に記載の液滴吐出手段。
- 更に、第二の振動部材を有し、
前記第二の振動部材が、前記液保持部を重力方向と垂直な方向に振動させる請求項1から3のいずれかに記載の液滴吐出手段。 - 前記第二の振動部材が、前記固定部に設けられる請求項4に記載の液滴吐出手段。
- 前記第二の振動部材が、前記液保持部に設けられる請求項4に記載の液滴吐出手段。
- 前記第一の振動部材による第一の振動の位相と、前記第二の振動部材による第二の振動の位相とが異なり、前記第一の振動と前記第二の振動とが交互に行われる請求項4から6のいずれかに記載の液滴吐出手段。
- 請求項1から7のいずれかに記載の液滴吐出手段を備えることを特徴とする液滴形成装置。
- 液滴に含まれる粒子を計数する粒子数計数手段を有する請求項8に記載の液滴形成装置。
- 請求項8から9のいずれかに記載の液滴形成装置と、
液滴吐出手段から吐出された液滴が着滴する複数の凹部が形成された被着対象物と、
を有することを特徴とする分注装置。
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