JP6971717B2 - 相界面反応装置、植物栽培装置及び反応生成物製造方法 - Google Patents

相界面反応装置、植物栽培装置及び反応生成物製造方法 Download PDF

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本発明は、プラズマ相と、このプラズマ相と接触する液相との相界面で反応を生じさせる相界面反応を用いた反応生成物製造方法及び相界面反応装置、ならびに植物栽培方法及び植物栽培装置に関する。
従来から、反応容器中で紫外線を照射しながらプラズマ状の物質と霧状の水等を反応させて反応生成物を製造する相界面反応装置が知られている(特許文献1を参照)。この相界面反応装置を図11に示す。相界面反応装置10は、反応容器11と、反応容器11中にプラズマ状の物質を供給するプラズマ発生装置12と、被加熱容器19に貯められた水(又は水溶液)Xを加熱して霧化させる加熱器13と、紫外線を照射する紫外線照射手段14と、プラズマ状の物質及び霧状の水を反応容器11に拡散させる拡散ファン20等を備えている。
反応容器11の底にはプラズマ供給口15,その他のガス等の供給口16及び排出口17が設けられている。プラズマ発生装置12で発生したプラズマは、配管18を通じてプラズマ供給口15から反応容器11に供給される。また、その他のガス等の供給口16には配管21が連結され、図示しないポンプ凹から被反応ガス等が供給できるよう構成されている。さらに、排出口17には配管22が連結され、生成ガス及び未反応ガス等が排出されるよう構成されている。
紫外線照射手段14による紫外線の照射により、反応容器11中でプラズマ状の物質と霧状の水とが相界面で反応する。プラズマ状の物質として、例えば酸素を用いた場合はヒドロキシルラジカル等を生成することができ、窒素を用いた場合はアンモニア等を生成することができる。
WO2015/198608号公報
上記のような相界面反応装置では、反応生成物の生成量が相界面で行われる反応の効率に大きく影響されることから、反応の効率をより向上させたいとの要請がある。
上記要請に鑑みて、本発明は、反応の効率をより向上させることが可能な反応生成物製造方法及び相界面反応装置、ならびに植物栽培方法及び植物栽培装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、一実施形態に係る反応生成物製造方法は、反応容器中にプラズマ状の物質を供給するプラズマ供給工程と、反応容器中に、水又は水溶液を供給する水・水溶液供給工程と、反応容器中のプラズマ状の物質に紫外線照射手段によって紫外線を照射する紫外線照射工程と、を有し、反応容器中でプラズマ状の物質と水又は水溶液に含まれる溶質とを相界面で反応させるものであって、相界面が形成される反応場として、紫外線照射手段により照射された紫外線を直接受ける第1の相界面が形成される第1の反応場と、第1の反応場を通り抜けた紫外線を受ける第2の相界面が形成される第2の反応場と、を形成するようにしている。
別の実施形態に係る反応生成物製造方法は、さらに、第1の相界面を、反応容器中に収容され且つ紫外線の通過が可能な案内部材の紫外線照射手段に望む表側面に水又は水溶液を流すことで形成し、第2の相界面を、案内部材の裏側面に水又は水溶液を流すことで形成するようにしても良い。
別の実施形態に係る反応生成物製造方法は、さらに、紫外線照射手段の発光部が筒形状を成しており、案内部材は、紫外線照射手段の発光部を囲む筒形状を成しているものでも良い。
別の実施形態に係る反応生成物製造方法は、さらに、第1の相界面を通り抜けた紫外線を反応容器中で反射させて第2の相界面に当てるようにしても良い。
別の実施形態に係る反応生成物製造方法は、さらに、上述のいずれかの反応生成物製造方法を実施する装置ユニットを複数並べ、一の装置ユニットの第1の相界面を通過した紫外線を他の装置ユニットの第2の相界面に当てるようにしても良い。
また、一実施形態に係る相界面反応装置は、反応容器と、反応容器中にプラズマ状の物質を供給するプラズマ供給手段と、反応容器中に、水又は水溶液を供給する水・水溶液供給手段と、反応容器中のプラズマ状の物質に紫外線を照射する紫外線照射手段と、を備え、反応容器中でプラズマ状の物質と水又は水溶液に含まれる溶質とを相界面で反応させるものであって、相界面が形成される反応場として、紫外線照射手段により照射された紫外線を直接受ける第1の相界面が形成される第1の反応場と、第1の反応場を挟んで紫外線照射手段とは反対側に設けられ、第1の反応場を通過した紫外線を受ける第2の相界面が形成される第2の反応場と、を有している。
別の実施形態に係る相界面反応装置は、さらに、第1の相界面は、反応容器中に収容され且つ紫外線の通過が可能な案内部材の紫外線照射手段に望む表側面に水又は水溶液を流すことで形成され、第2の相界面は、案内部材の裏側面に水又は水溶液を流すことで形成されるものでも良い。
別の実施形態に係る相界面反応装置は、さらに、紫外線照射手段の発光部は柱状を成しており、案内部材は、紫外線照射手段の発光部を囲む筒形状を成しているものでも良い。
別の実施形態に係る相界面反応装置は、さらに、反応容器中に、案内部材を通り抜けた紫外線を第2の相界面に向けて反射させる反射部を備えるようにしても良い。
別の実施形態に係る相界面反応装置は、さらに、反応容器の案内部材に望む部位が案内部材を通り抜けた紫外線が透過可能な透過部となっており、反応容器と紫外線照射手段記案内部材とはユニット化されて複数設けられており、ユニットは透過部を対向させて複数並べられており、一のユニットの透過部を透過した紫外線を他のユニットの第2の相界面に当てるものでも良い。
また、一実施形態に係る植物栽培方法は、上述のいずれかの相界面反応により生成した反応生成物を含む液肥を植物に与えるものである。
また、一実施形態に係る植物栽培装置は、上述のいずれかの相界面反応装置と、相界面反応装置によって生成した反応生成物を含む液肥を植物に与える液肥供給手段と、を備えるものである。
本発明によれば、相界面反応の効率を向上させることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る相界面反応装置の概略構成図を示す。 図2は、相界面反応装置の反応容器に水又は水溶液を供給する系統と回収する系統、およびプラズマ状の物質を供給する系統と回収する系統の概念図を示す。 図3は、相界面反応装置の案内部材とプラズマ供給経路の内側環状空間及び外側環状空間との位置関係の図を示す。 図4は、相界面反応装置の案内部材と内側水供給経路及び外側水供給経路との位置関係の図を示す。 図5は、プラズマ供給経路、内側水供給経路及び外側水供給経路を横から見た状態の上端部の断面図を示す。 図6は、案内部材を通過した紫外線を反射部で反射させる様子を説明するための図を示す。 図7は、本発明の第2の実施形態に係る相界面反応装置を示し、装置ユニット70を複数並べた様子の概念図を示す。 図8は、本発明の第1の実施形態に係る植物栽培装置の概略構成図を示す。 図9は、本発明の第2の実施形態に係る植物栽培装置の概略構成図を示す。 図10は、各種条件によるアンモニア生成量を比較したグラフを示す。 図11は、従来の相界面反応装置の概略構成図を示す。
次に、本発明に係る相界面反応を用いた反応生成物製造方法及び相界面反応装置、ならびに植物栽培方法及び植物栽培装置の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、以下の説明では、反応生成物製造方法を相界面反応装置の実施形態の中で説明し、植物栽培方法を植物栽培装置の実施形態の中で説明する。
[相界面反応装置]
図1〜図6に、本発明に係る相界面反応装置の第1の実施形態を示す。相界面反応装置31は、反応容器32と、反応容器32中にプラズマ状の物質36を供給するプラズマ供給手段33と、反応容器32中に水又は水溶液34を供給する水・水溶液供給手段35と、反応容器32中のプラズマ状の物質36に紫外線37を照射する紫外線照射手段38と、を備え、反応容器32中でプラズマ状の物質36と水又は水溶液34に含まれる溶質とを相界面で反応させるものである。また、相界面が形成される反応場として、紫外線照射手段38により照射された紫外線37を直接受ける第1の相界面39が形成される第1の反応場40と、第1の反応場40を挟んで紫外線照射手段38とは反対側に設けられ、第1の反応場40を通過した紫外線37を受ける第2の相界面41が形成される第2の反応場42と、を有している。
本実施形態では、第1の相界面39は、反応容器32中に収容され且つ紫外線37の通過が可能な案内部材43の紫外線照射手段38に望む表側面43aに水又は水溶液34を流すことで形成され、この第1の相界面39がプラズマ状の物質36と水又は水溶液34に含まれる溶質との反応が生じる第1の反応場40となる。また、第2の相界面41は、案内部材43の裏側面43bに水又は水溶液34を流すことで形成され、この第2の相界面41がプラズマ状の物質36と水又は水溶液34に含まれる溶質との反応が生じる第2の反応場42となる。
反応容器32は、上端部32aと、下端部32bと、これらの間に挟み込まれた周壁部32cとを主に備えて構成され、上端部32aのフランジ32dと下端部32bのフランジ32eとは複数の支柱32fによって連結されている。周壁部32cは、例えば円筒形状(筒形状の一例)を成している。本実施形態では、周壁部32cを例えばステンレス等の金属製とし、その内周面を鏡面加工することで、案内部材43を通り抜けた紫外線37を第2の反応場42に向けて反射させる反射部32gとしている。周壁部32cとして、例えばステンレススチール製のパイプの使用が可能である。周壁部32cの内周面を反射部32gとして利用することで、反射部32gを別の部品として設ける必要がなくなり、製造コストを安くすることができると共に、装置を軽量化及び小型化することができる。ただし、周壁部32cとは別の部品として反射部32gを設けることも可能である。
紫外線照射手段38は、第1の反応場40及び第2の反応場42に紫外線37を照射可能な線源であり、例えば紫外線ランプ(例えば、185nmの紫外線を照射するランプ)等の使用が可能である。また、紫外線ランプとしては、例えばエキシマランプ(例えば、180nm以下の真空紫外線を放射するランプ)等の使用が可能であり、更に、光や電磁波によるエネルギー投入手段を用いても良い。紫外線照射手段38は反応容器32内の中央に配置され、その上下両端を上端部32a及び下端部32bによって支持されている。紫外線照射手段38の発光部38aは、例えば円柱形状(柱状の一例)を成しており、例えば円筒形状(筒形状の一例)のランプカバーガラス44内に収容されている。ただし、発光部38aは、上記形状に限定されるものではなく、板状等の他の形状のものでも良い。発光部38aとして、1または2以上のLEDを実装した板状、多角柱状、円柱状等の如何なる形状の部材でも良い。
ランプカバーガラス44は紫外線37を良好に透過させる材料で形成された筒状部材で、その上下両端を上端部32a及び下端部32bによって支持されている。ランプカバーガラス44によって、反応容器32中に供給されたプラズマ状の物質36や水又は水溶液34から紫外線照射手段38を保護することができる。ランプカバーガラス44は、例えば合成石英ガラス等によって形成されているが、これに限るものではない。
案内部材43は、紫外線照射手段38の発光部38aを囲む筒形状を成している。本実施形態では、案内部材43を円筒形状にしているが、円筒形状には限らず、六角筒形状、八角筒形状、あるいは略円筒であって側面視にて蛇腹状の形状等にしても良い。案内部材43は、例えば金網等の紫外線37を通過させる部材や、ガラス等の紫外線37を透過させる材料で形成された板材等で構成されている。ただし、紫外線37を通過又は透過させることができるものであれば、これらに限るものではない。案内部材43を金網製とした場合には、金網の網目の細かさを変化させることで水又は水溶液34を流したときの水相界面の表面積(反応場)を調節して反応の効率を向上させることができる。ただし、金網の網目の細かさを変化させると紫外線37の通過率も変化するので、水相界面の表面積と紫外線37の通過率とをバランスさせることが重要である。また、案内部材43をガラス製とした場合には、表面に凹凸を設けて水又は水溶液34を流したときの水相界面の表面積(反応場)を増加させて反応の効率を向上させることができる。案内部材43の上下両端は反応容器32の上端部32a及び下端部32bによって支持されている。
反応容器32中にプラズマ状の物質36を供給するプラズマ供給手段33は、反応させる物質のプラズマを発生させ、発生したプラズマ(プラズマ状の物質36)を反応容器32中に供給する装置である。プラズマ発生装置(プラズマ供給手段33)としては、グロー放電等の放電を利用するものの他、高周波電磁場を利用するもの、マイクロ波を利用するものなど、公知のプラズマ発生装置を適宜用いることができる。反応させる物質が酸素である場合、プラズマ発生装置は公知のオゾン発生装置を用いることができる。プラズマ供給手段33と反応容器32とは配管45で連結されている。すなわち、プラズマ供給手段33で発生したプラズマは、配管45を通じて反応容器32の上端部32aのプラズマ供給口46に供給され、上端部32a内に設けられたプラズマ供給経路47を通じて反応容器32中に供給される。
プラズマ供給手段33には、原料ガス源が連結されている。本実施形態では、原料ガス源として、例えば酸素供給源48と窒素供給源49が連結されており、原料ガスとして供給可能なガスを酸素ガスと窒素ガスとで切り替え可能になっている。酸素供給源48及び窒素供給源49は、例えば3方電磁弁等の切替手段50を介してプラズマ供給手段33に連結されている。酸素供給源48は、例えば酸素ガスが加圧された状態で蓄えられた酸素ボンベであり、窒素供給源49は、例えば窒素ガスが加圧された状態で蓄えられた窒素ボンベである。切替手段50の切り替えによって酸素供給源48をプラズマ供給手段33に接続し、酸素供給源48の吐出口を開くと、プラズマ供給手段33に酸素ガスを供給することができる。酸素ガスを供給することで、プラズマ供給手段33によってプラズマ状の酸素(オゾンを含むいわゆる酸素プラズマ、すなわちプラズマ状の物質36)が生成される。また、切替手段50の切り替えによって窒素供給源49をプラズマ供給手段33に接続し、窒素供給源49の吐出口を開くと、プラズマ供給手段33に窒素ガスを供給することができる。窒素ガスを供給することで、プラズマ供給手段33によってプラズマ状の窒素(プラズマ状の物質36)が生成される。なお、原料ガスとして、上述の酸素ガス及び窒素ガスの混合ガス、あるいはそれら以外のガスを使用しても良い。
反応容器32中に水又は水溶液34を供給する水・水溶液供給手段35は、例えば水又は水溶液34が貯えられたタンク51と、タンク51内の水又は水溶液34を圧送するポンプ52より主に構成されている。本実施形態では、第1の反応場40に水又は水溶液34を供給する水・水溶液供給手段35と、第2の反応場42に水又は水溶液34を供給する水・水溶液供給手段35とを別々に設けている。ただし、第1の反応場40用の水・水溶液供給手段35と第2の反応場42用の水・水溶液供給手段35とを1つの水・水溶液供給手段35で兼用しても良い。
第1の反応場40用の水・水溶液供給手段35のポンプ52と反応容器32とは配管53で連結されている。すなわち、ポンプ52により吸い込まれたタンク51内の水又は水溶液34は、配管53を通じて反応容器32の上端部32aに設けられた内側給水口54に供給され、上端部32a内に設けられた内側水供給経路55を通じて反応容器32中の第1の反応場40に供給される。また、第2の反応場42用の水・水溶液供給手段35のポンプ52と反応容器32とは配管56で連結されている。すなわち、ポンプ52により吸い込まれたタンク51内の水又は水溶液34は、配管56を通じて反応容器32の上端部32aに設けられた外側給水口57に供給され、上端部32a内に設けられた外側水供給経路58を通じて反応容器32中の第2の反応場42に供給される。
図3〜図5に、反応容器32の上端部32aに設けられたプラズマ供給経路47、内側水供給経路55及び外側水供給経路58を示す。図3は案内部材43とプラズマ供給経路47の内側環状空間47a及び外側環状空間47bとの位置関係を示す図、図4は案内部材43と内側水供給経路55及び外側水供給経路58との位置関係を示す図、図5はプラズマ供給経路47、内側水供給経路55及び外側水供給経路58を横から見た状態の上端部32aの断面図である。
プラズマ供給経路47は、ランプカバーガラス44と案内部材43との間に設けられた環状の内側環状空間47aと、プラズマ供給口46に供給されたプラズマ状の物質36を内側環状空間47aに導く内側プラズマ連通路47dと、案内部材43と周壁部32cとの間に設けられた環状の外側環状空間47bと、プラズマ供給口46に供給されたプラズマ状の物質36を外側環状空間47bに導く外側プラズマ連通路47cより主に構成されている。内側環状空間47aは第1の反応場40に向けて開口し、外側環状空間47bは第2の反応場42に向けて開口している。したがって、プラズマ供給口46に供給されたプラズマ状の物質36は、内側プラズマ連通路47dと外側プラズマ連通路47cとに分かれて流入し、内側プラズマ連通路47dから内側環状空間47aへと流れて第1の反応場40に供給され、又は、外側プラズマ連通路47cから外側環状空間47bへと流れて第2の反応場42に供給される。
内側水供給経路55は、ランプカバーガラス44と案内部材43との間に設けられた環状の内側環状貯留部55aと、内側給水口54に供給された水又は水溶液34を内側環状貯留部55aに導く内側水連通路55bより主に構成されている。内側給水口54に供給された水又は水溶液34は内側水連通路55bを通じて内側環状貯留部55aに流入し一時的に貯留される。図5に示すように、内側環状貯留部55aの内周壁(内側プラズマ連通路47dとの間の周壁)55cは外周壁(案内部材43に対向する周壁)55dよりも高くなっている。そのため、内側環状貯留部55aの液位が上昇して所定値に達すると、内側環状貯留部55a内の水又は水溶液34が外周壁55dを乗り越えて溢れだし、案内部材43の表側面43aを伝わって流れ落ちる。すなわち、内側環状貯留部55a内の水又は水溶液34が第1の反応場40へと供給される。
内側環状貯留部55aの内側にはプラズマ供給経路47の内側プラズマ連通路47dが設けられているが、内側環状貯留部55aの内周壁55cは外周壁55dに比べて十分高くなっており、内側環状貯留部55a内の水又は水溶液34がその表面張力によって内側プラズマ連通路47d側に流入することはない。また、内側環状貯留部55aには、例えば電解研磨等の表面処理が施されており、濡れ性が改善されている。そのため、内側環状貯留部55a内には水又は水溶液34が広がりやすく、全周に亘って液面の高さを等しくすることができ、案内部材43の表側面43aの全周に均等に水又は水溶液34を供給することができる。
外側水供給経路58は、外側給水口57に供給された水又は水溶液34を貯める環状の外側環状貯留部58aと、案内部材43を囲み且つ案内部材43の裏側面43bに向けて開口する環状の環状流路58bと、外側環状貯留部58a内の水又は水溶液34を環状流路58bに導く複数の外側水連通路58cより主に構成されている。外側給水口57に供給された水又は水溶液34は外側環状貯留部58aに流入し一時的に貯留される。そして、外側環状貯留部58a内の液位がある程度高くなると、外側環状貯留部58a内の水又は水溶液34は各外側水連通路58cを通じて環状流路58bに流入し、案内部材43の裏側面43bを伝わって流れ落ちる。すなわち、環状流路58b内の水又は水溶液34が第2の反応場42へと供給される。
反応容器32の下端部32bには、周壁部32cと案内部材43との間の第2の反応場42を通り抜けたプラズマ状の物質36を回収する外側プラズマ回収経路59と、案内部材43とランプカバーガラス44との間の第1の反応場40を通り抜けたプラズマ状の物質36を回収する内側プラズマ回収経路60と、第1及び第2の反応場40,42を通り抜けた水又は水溶液34を回収する水・水溶液回収経路61とが設けられている。
外側プラズマ回収経路59は、周壁部32cと案内部材43との間の空間62に向けて開口する環状溝59aと、環状溝59aに連通する外側プラズマ排出口59bより構成されている。周壁部32cと案内部材43との間の空間62を通り抜けたプラズマ状の物質36は環状溝59aに流入し、外側プラズマ排出口59bから排出される。
内側プラズマ回収経路60は、周壁部32cと案内部材43との間の空間62に形成される第2の反応場42、及び案内部材43とランプカバーガラス44との間の空間63に向けて開口する貯留部64と、貯留部64の比較的高い位置に連通する内側プラズマ排出口60aより構成されている。案内部材43とランプカバーガラス44との間の空間63を通り抜けたプラズマ状の物質36は貯留部64に流入し、内側プラズマ排出口60aから排出される。
水・水溶液回収経路61は、貯留部64と、貯留部64の比較的低い位置に連通する水・水溶液回収排出口61aより構成されている。周壁部32cと案内部材43との間の空間62及び案内部材43とランプカバーガラス44との間の空間63を通り抜けた水又は水溶液34は貯留部64に流入し、水・水溶液回収排出口61aから排出される。すなわち、貯留部64は内側プラズマ回収経路60と水・水溶液回収経路61とで共有されており、流入したプラズマ状の物質36と水又は水溶液34とを気液分離させて内側プラズマ排出口60a又は水・水溶液回収排出口61aから排出する。
相界面反応装置31には、ランプカバーガラス44内の空気を不活性ガスに置き換える不活性ガス置換手段65が設けられている。不活性ガス置換手段65は、例えばヘリウム、窒素、アルゴン等の不活性ガスが加圧された状態で蓄えられたボンベである。この不活性ガス置換手段65と反応容器32とは配管66で連結されている。すなわち、不活性ガス置換手段65から供給される不活性ガスは、配管66を通じて反応容器32の上端部32aの不活性ガス供給口67に供給され、上端部32a内に設けられた不活性ガス供給経路68を通じて紫外線照射手段38とランプカバーガラス44との間の空間69に供給され、この空間69内の空気を不活性ガスに置き換える。紫外線照射手段38とランプカバーガラス44との間の空間69から押し出された空気、及びこの空間69に供給された不活性ガスは、その空間69の上方から排気される。これにより、ランプカバーガラス44内の気密性を高く維持して不活性ガスを充満させることができ、また、プラズマ状の物質36を回収する場合に不活性ガスとの混合を避けることができる。ただし、例えば、内側プラズマ回収経路60の貯留部64から内側プラズマ排出口60aを通じて上記の空気および不活性ガスを排出するようにしても良い。
不活性ガス置換手段65は相界面反応装置31による反応生成物の製造前に使用され、ランプカバーガラス44内を予め不活性ガス雰囲気にしておくものである。ランプカバーガラス44内に酸素が存在すると、紫外線照射手段38が照射する紫外線37によってオゾンが発生し、紫外線37の透過性を悪化させることになるが、相界面反応装置31の使用前に不活性ガス置換手段65によってランプカバーガラス44内を不活性ガス雰囲気にしておくことで、紫外線37の透過性の悪化を防止することができる。
このような相界面反応装置31によって実施される本発明に係る相界面反応を用いた反応生成物製造方法は、反応容器32中にプラズマ状の物質36を供給するプラズマ供給工程と、反応容器32中に水又は水溶液34を供給する水・水溶液供給工程と、反応容器32中のプラズマ状の物質36に紫外線照射手段38によって紫外線37を照射する紫外線照射工程と、を有し、反応容器32中でプラズマ状の物質36と水又は水溶液34に含まれる溶質とを相界面で反応させるもので、相界面が形成される反応場として、紫外線照射手段38により照射された紫外線37を直接受ける第1の相界面39が形成される第1の反応場40と、第1の反応場40を通り抜けた紫外線37を受ける第2の相界面41が形成される第2の反応場42と、を形成するものである。
本実施形態では、第1の相界面39を、反応容器32中に収容され且つ紫外線37の通過が可能な案内部材43の紫外線照射手段38に望む表側面43aに水又は水溶液34を流すことで形成し、この第1の相界面39を、プラズマ状の物質36と水又は水溶液34に含まれる溶質との反応が生じる第1の反応場40としている。また、第2の相界面41を、案内部材43の裏側面43bに水又は水溶液34を流すことで形成し、この第2の相界面41を、プラズマ状の物質36と水又は水溶液34に含まれる溶質との反応が生じる第2の反応場42としている。
また、紫外線照射手段38の発光部38aを円筒形状にすると共に、案内部材43を紫外線照射手段38の発光部38aを囲む筒形状にしている。さらに、図6に示すように、第1の相界面39を通り抜けた紫外線37を反応容器32中で反射させて第2の相界面41に当てるようにしている。
(プラズマ供給工程)
プラズマ供給手段33より配管45を通じて反応容器32のプラズマ供給口46に供給されたプラズマ状の物質36は、プラズマ供給経路47の内側プラズマ連通路47d又は外側プラズマ連通路47cを通じて内側環状空間47a又は外側環状空間47bに導かれる。そして、内側環状空間47aに導かれたプラズマ状の物質36は第1の反応場40に供給され、水又は水溶液34との間で相界面反応を生じさせながら流れ落ち、内側プラズマ回収経路60の貯留部64で気液分離された後、内側プラズマ排出口60aから回収される。一方、外側環状空間47bに導かれたプラズマ状の物質36は第2の反応場42に供給され、水又は水溶液34との間で相界面反応を生じさせながら流れ落ち、外側プラズマ回収経路59の環状溝59aから外側プラズマ排出口59bへと流れて回収される。
(水・水溶液供給工程)
第1の反応場40用の水・水溶液供給手段35より配管53を通じて反応容器32の内側給水口54に供給された水又は水溶液34は、内側水供給経路55を通じて第1の反応場40へと供給され、プラズマ状の物質36との間で相界面反応を生じさせながら流れ落ち、水・水溶液回収経路61の貯留部64で気液分離された後、水・水溶液回収排出口61aから回収される。
また、第2の反応場42用の水・水溶液供給手段35より配管56を通じて反応容器32の外側給水口57に供給された水又は水溶液34は、外側水供給経路58を通じて第2の反応場42へと供給され、プラズマ状の物質36との間で相界面反応を生じさせながら流れ落ち、水・水溶液回収経路61の貯留部64で気液分離された後、水・水溶液回収排出口61aから回収される。
(反応生成物の回収)
第1及び第2の反応場40,42の相界面反応で生成された反応生成物は、水又は水溶液34に溶け込むものについては水又は水溶液34と一緒に回収され、水又は水溶液34に溶け込まないものについてはプラズマ状の物質36と一緒に回収される。
なお、回収した水又は水溶液34やプラズマ状の物質36を再度相界面反応装置31に供給しても良い。この場合には、反応生成物の濃度を高めることができる。
(紫外線照射工程)
第1の反応場40には紫外線照射手段38からの紫外線37を直接照射させることができるので、紫外線37によって予め水又は水溶液34を励起させてから反応を生じさせることが可能となり、その反応速度を向上させることができる。また、第1の反応場40即ち案内部材43を通り抜けた紫外線37は、周壁部32cに設けられた反射部32gによって反射され、第2の反応場42に照射される。そのため、第2の反応場42についても、紫外線37によって予め水又は水溶液34を励起させてから反応を生じさせることが可能となり、その反応速度を向上させることができる。すなわち、紫外線照射手段38によって照射された紫外線37を相界面反応に有効に利用することができ、反応効率を向上させることができる。なお、一般的に波長が10nm以上400nm以下の波長をもつ紫外線37に代えて、紫外線37よりも波長の短い電子線や電磁波(放射線も含む)を用いることもできる。よって、本願における「紫外線」を「紫外線若しくはそれより短波長の電子線若しくは電磁波」と読み替えることもできる。
相界面反応装置31は、紫外線照射手段38の発光部38aを細長い筒形状とし、この発光部38aを囲むように筒形状の案内部材43を配置し、第1及び第2の反応場40,42における水又は水溶液34とプラズマ状の物質36の流れを発光部38aに沿うように形成している。そのため、第1及び第2の反応場40,42の全域にわたって紫外線37を照射することができ、反応効率を向上させることができる。
また、相界面反応装置31は、紫外線照射手段38の発光部38aを案内部材43で囲んでおり、照射される紫外線37を全て第1及び第2の反応場40,42に当てる構成となっている。そのため、紫外線照射手段38から照射される紫外線37を有効に利用することができ、反応効率を向上させることができる。
なお、上述の説明では、第1の反応場40と第2の反応場42との両方に水又は水溶液34を供給して相界面反応を生じさせていたが、第1の反応場40にのみ水又は水溶液34を供給して相界面反応を生じさせるようにしても良い。すなわち、第1の反応場40のみを使用するようにしても良い。
(プラズマ供給工程についての説明)
プラズマ供給工程では、プラズマ供給手段33を稼動させることにより、反応容器32中にプラズマ状の物質36を供給する。ここで、プラズマ供給手段33に酸素ガス(酸素分子)を供給すると、酸素プラズマ(プラズマ状の酸素)として、オゾン(O)及び酸素原子(O)、その他、酸素分子や電離したイオンや電子等の混合物が、配管を通して、反応容器32に供給される。プラズマ供給手段33に窒素ガス(窒素分子)を供給すると、窒素プラズマ(プラズマ状の窒素)として、窒素原子(N)、その他窒素分子や電離したイオンや電子等の混合物が反応容器32に供給される。なお、プラズマ供給手段33に二酸化炭素を供給すると、酸化炭素プラズマ(プラズマ状の酸化炭素)として、一酸化炭素、炭素原子、酸素原子、二酸化炭素、その他イオンや電子等の混合物が反応容器32に供給される。また、プラズマ状態で反応容器32に供給される物質は、これら等の無機物に限定されるものではなく、その他有機物(炭化水素、アルコール、アンモニア等)であってもよい。さらに、1種のみの物質をプラズマ化してもよいし、2種以上の物質の混合物(例えば、空気等)をプラズマ化して反応容器32に供給してもよい。
プラズマ状の物質36の反応容器32への供給速度としては特に制限されず、装置サイズ等に応じて適宜設定されるが、例えば、0.1L/min〜100L/min程度とすることができる。
(紫外線照射工程についての説明)
紫外線37の照射により、反応容器32中でプラズマ状の物質36と水(又は水溶液に含まれる溶質)とが相界面で反応する。このように、プラズマ相とプラズマ相と接触する液相との相界面で、プラズマ状の物質36と水又は水溶液34に含まれる溶質とを反応させるため、2成分の接触面積が広く、高効率で反応を行うことができる。
なお、プラズマ状の物質36としてプラズマ状の酸素(オゾンを含むいわゆる酸素プラズマ)を用いた場合は、以下の反応が進行する。
+hν(UV)→+O (1)
O+HO+hν(UV)→2HO・ (2)
+HO・→HOOO・ (3)
HOOO・+hν(UV)→+HO・ (4)
すなわち、(1)、(2)の反応によりヒドロキシラジカル(OH・ラジカル)が生じ、(3)、(4)の反応によりさらに一重項酸素が生じる。ヒドロキシラジカルおよび一重項酸素は、相界面反応により生成した反応生成物の一例である。
プラズマ状の物質36としてプラズマ状の窒素を用いた場合は、窒素原子(プラズマ)が紫外線37照射により相界面で水と反応し、アンモニア等が生成する。アンモニアは、相界面反応により生成した反応生成物の一例である。ここで、さらに発生したアンモニアをプラズマ発生装置(放電装置)に供給すると、分解し、水素分子(及び窒素分子)を得ることができる(分解反応工程)。このように、原料として窒素(空気)及び水から、アンモニアを経て水素分子を得ることができる。
相界面反応を利用してアンモニアを合成する方法は、プラズマ中に生成する原子状気体が、水との相界面(プラズマ/水の相界面)において、自ら解離プロトンを効率良く供与される現象を利用するものであり、空気あるいは窒素と水を原料とする合成法である。プラズマ発生装置の放電空間に窒素分子を通過させると、窒素のプラズマ化が起こる。この窒素プラズマと水との相界面を速やかに形成すると、アンモニアが生成する。窒素プラズマ/水の相界面に、紫外線37を照射し、反応エネルギーを付与すると、アンモニア合成効率がより向上する。
アンモニアは常圧で気体であるが、水溶解度が非常に高い(20℃において、NH 702g/HO 100g)。このため、合成されたアンモニアは、水相に溶存する(反応系の条件によっては、一部が気体として雰囲気中に存在)。そのため、合成されたアンモニアは、水相溶存により容易に回収できる。また、高温では溶存率が大きく低下するので(例:100℃では溶存率は20℃のときの8分の1)、反応系条件によって気体として回収することも容易である。
古くから公知のハーバー・ボッシュ法は高温・高圧・触媒系にてアンモニアを合成するが、上述の相界面反応は、常温・常圧・無触媒で反応を進行させることが出来る。従って、僅かなエネルギー投入量で、アンモニアの合成反応を進行させることが出来る点で極めて有利である。この技術は、原料がどこでも調達できること(輸送不要)、空気と水を原料としてアンモニアを合成できるので原料費が極めて低いこと、二酸化炭素を生成しないので、環境負荷が小さく、かつ二酸化炭素の輸送費も不要であること、装置が常温・常圧で軽装であること、低エネルギー反応系であること(相界面における非平衡化学反応系であること)、炭化水素燃料から水素を生成する必要がないため、エネルギーコストを大幅に削減できることなどの大きなアドバンテージを有する。空気と水からアンモニアを合成する場合、空気中には酸素があるので、窒素プラズマと酸素プラズマが反応し、気相中にNOが少量生成する。しかし、NOは水相に全く溶存せず、気体として容易に排気可能なので、液相中のアンモニアに混入しないと考えられる。アンモニアに比べてNOの水溶解度が著しく低いことは、NOの分離をしなくても良く、また、安価、かつ安全にアンモニアを製造できる点で優位であると考えられる。
なお、プラズマ状の物質36として、プラズマ状の酸化炭素(一酸化炭素、二酸化炭素)を用いた場合、水等との反応により、炭化水素、アルコール等の有機物の合成が可能となる。なお、複数の物質、例えば、窒素と酸素(空気)等をプラズマ化して用いてもよい。
次に、本発明に係る相界面反応装置の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態における相界面反応装置31との相違点を中心に説明し、同一事項についての説明は省略する。
図7に、相界面反応装置31の第2の実施形態を示す。第2の実施形態の相界面反応装置31では、反応容器32の案内部材43に望む部位即ち周壁部32cを、案内部材43を通り抜けた紫外線37が透過可能な透過部32hとしている。また、反応容器32と紫外線照射手段38と案内部材43とはユニット化されて複数設けられている。そして、ユニット化された装置ユニット70は透過部32hを対向させて複数並べられており、一の装置ユニット70の透過部32hを透過した紫外線37を他の装置ユニット70の第2の相界面41に当てるようにしている。
すなわち、第1の実施形態における相界面反応装置31では、反応容器32の周壁部32cを例えばステンレスパイプ製として反射部32gを形成し、案内部材43を通り抜けた紫外線37を第2の反応場42に向けて反射させていたが、第2の実施形態における相界面反応装置31では、反応容器32の周壁部32cを紫外線37が透過な可能な透過部32hとし、案内部材43を通り抜けた紫外線37を隣の装置ユニット70の第2の反応場42に当てるようにしている。
つまり、第1の実施形態における相界面反応装置31では、案内部材43を通り抜けた紫外線37を、同じ反応容器32内での相界面反応に利用しているが、第2の実施形態における相界面反応装置31では、案内部材43を通り抜けた紫外線37を、別の反応容器32内での相界面反応に利用している。複数の装置ユニット70を並べることで、隣り合う装置ユニット70同士で紫外線37を相互に利用し合うことができる。
この相界面反応装置31でも、第1の実施形態の相界面反応装置31と同様に、案内部材43を通り抜けた紫外線37を相界面反応に有効に利用することができ、反応効率を向上させることができる。
[植物栽培装置]
本発明に係る植物栽培装置について説明する。図8に、植物栽培装置の第1の実施形態を示す。植物栽培装置71は、相界面反応装置31と、相界面反応装置31によって生成した反応生成物を含む液肥72を植物73に与える液肥供給手段74と、を備えている。植物73は、水耕栽培されている。栽培容器75内の支持部材76によって多数の植物73が支持されている。植物73が根を伸ばす支持部材76の下の空間には培養液としての液肥72が満たされている。
本実施形態では、液肥72として、窒素を含む培養液を使用するので、相界面反応装置31でアンモニアを製造し、培養液調整タンク77に供給する。すなわち、窒素供給源49からプラズマ供給手段33に窒素ガスを供給し、プラズマ供給手段33によってプラズマ状の窒素を発生させて反応容器32に供給する。反応容器32内での相界面反応によって製造されたアンモニアは水溶性であり、水又は水溶液34と一緒に回収される。このアンモニアを含む水又は水溶液34を、配管78を通して培養液調整タンク77に供給する。
培養液調整タンク77内の液肥72の成分はセンサ79によって監視されており、液肥72の窒素成分が不足すると相界面反応装置31を作動させて培養液調整タンク77内に窒素成分(アンモニア)が供給される。これにより、培養液としての液肥72中の窒素成分濃度が適切に調整され維持される。培養液調整タンク77内で調整された液肥72は、液肥供給手段74によって栽培容器75に供給され、これによって液肥72が培養液調整タンク77→液肥供給手段74→栽培容器75→培養液調整タンク77へと循環される。
このように、植物栽培装置71では、相界面反応装置31によって製造したアンモニア(反応生成物)を含む液肥72を植物73に与えることができる。植物栽培装置71は相界面反応装置31を備えているので、オンサイトでアンモニアを生成させて液肥72の窒素成分を調整することができる。このため、液肥72の窒素成分調整が極めて容易になる。また、液肥72の窒素成分の調整のために大掛かりな機器類を設置する必要がなくなる。
次に、植物栽培装置の第2の実施形態について説明する。図9に、植物栽培装置の第2の実施形態を示す。植物栽培装置71は、相界面反応装置31と、相界面反応装置31によって生成した反応生成物を含む液肥72を植物73に与える液肥供給手段74と、を備えている。植物73は、養液土栽培されている。培地80としての土に多数の植物73が植え付けられている。各植物73の根元に沿ってチューブ81が設けられている。チューブ81には、各植物73の根元付近に液肥72を供給するための孔(図示せず)が設けられている。
本実施形態でも、液肥72として、窒素を含む培養液を使用するので、相界面反応装置31でアンモニアを製造し、培養液調整タンク77に供給する。すなわち、窒素供給源49からプラズマ供給手段33に窒素ガスを供給し、プラズマ供給手段33によってプラズマ状の窒素を発生させて反応容器32に供給する。反応容器32内での相界面反応によって製造されたアンモニアは水溶性であり、水又は水溶液34と一緒に回収される。このアンモニアを含む水又は水溶液34を、配管78を通して培養液調整タンク77に供給する。
培養液調整タンク77内の液肥72の成分はセンサ79によって監視されており、液肥72の窒素成分が不足すると相界面反応装置31を作動させて培養液調整タンク77内に窒素成分(アンモニア)が供給される。これにより、培養液としての液肥72中の窒素成分濃度が適切に調整され維持される。培養液調整タンク77内で調整された液肥72は、液肥供給手段74によってチューブ81に供給され、各植物73の根元付近に設けられた孔から少量ずつ各植物73の根元付近に供給される。
このように、植物栽培装置71では、相界面反応装置31によって製造したアンモニア(反応生成物)を含む液肥72を植物73に与えることができる。植物栽培装置71は相界面反応装置31を備えているので、オンサイトでアンモニアを生成させて液肥72の窒素成分を調整することができる。このため、液肥72の窒素成分調整が極めて容易になる。また、液肥72の窒素成分の調整のために大掛かりな機器類を設置する必要がなくなる。
なお、上述の説明では、水耕栽培及び養液土栽培に本発明の植物栽培装置71を使用していたが、水耕栽培及び養液土栽培の他の栽培方法にも適用可能である。例えば、上記の窒素や空気に代えて酸素ガスをプラズマ供給手段33に供給することにより反応生成物としてオゾン水を生成させることもできる。生成したオゾン水は、植物工場において、配管などの殺菌に利用できる。この結果、無菌状態での植物育成が可能となり、病気の発生を防止できる。アンモニア、アンモニア水、オゾン、オゾン水等は、反応生成物の一例である。
図10は、放電により窒素プラズマガスを発生させ、紫外線の照射を行わずに窒素プラズマ相と水相との相界面反応を行わせてアンモニアを生成させる方法(A)と、当該(A)の相界面反応の場に紫外線(185nm+254nm)を照射して相界面反応を行わせてアンモニアを生成させる方法(B)と、水相表面に紫外線(185nm+254nm)を1200秒間照射して、その後に上記(B)と同様の方法で相界面反応を行わせてアンモニアを生成させる方法(C)とを比較したグラフである。その他の詳細な条件は、図10に示すとおりである。なお、全ての実験において、生成したアンモニアは、イオンクラマトグラフ装置(島津製作所製)で分析定量した。
この結果、紫外線を照射しない場合(A)に比べ、紫外線を照射した場合(B,C)の方がアンモニアの生成量が多く、また、相界面反応場に水を導く前に、水に紫外線を照射して励起する(C)の方がかかる事前励起のない(B)に比べてアンモニアの生成量が多いということがわかった。この結果は、本発明のように、第1の反応場40および第2の反応場42を形成することによる反応生成物の増大効果を支持するものである。
上記実施形態では、反応容器32中にプラズマ状の物質36を供給するプラズマ供給手段33を、反応容器32に通じる外部に配置しているが、次のように反応容器32の内部に備えることもできる。例えば、第1の反応場40(若しくは第2の反応場42)に供給される水または水溶液、あるいは案内部材43を挟んで対向電極を配置して、当該対向電極間に高電圧を印加すると、上記反応場40,42で放電してプラズマが発生する。このような方法により、反応容器32の内部にプラズマ供給手段を存在せしめても良い。さらには、反応容器32の内外の両方にプラズマ供給手段を存在せしめても良い。
本発明は、アンモニア水やオゾン水等の製造に使用できる。また、植物の栽培にも使用できる。
31 相界面反応装置
32 反応容器
32g 反射部
32h 透過部
33 プラズマ供給手段
34 水又は水溶液
35 水・水溶液供給手段
36 プラズマ状の物質
37 紫外線
38 紫外線照射手段
38a 紫外線照射手段の発光部
39 第1の相界面
40 第1の反応場
41 第2の相界面
42 第2の反応場
43 案内部材
43a 案内部材の表側面
43b 案内部材の裏側面
70 装置ユニット
71 植物栽培装置
72 液肥
73 植物
74 液肥供給手段

Claims (4)

  1. 反応容器と、
    前記反応容器中にプラズマ状の物質を供給するプラズマ供給手段と、
    前記反応容器中に、水又は水溶液を供給する水・水溶液供給手段と、
    前記反応容器中の前記プラズマ状の物質に紫外線を照射する紫外線照射手段と、
    を備え、
    前記反応容器中で前記プラズマ状の物質と前記水又は水溶液に含まれる溶質とを相界面で反応させる相界面反応装置であって、
    前記相界面が形成される反応場として、
    前記紫外線照射手段により照射された紫外線を直接受ける第1の相界面が形成される第1の反応場と、
    前記第1の反応場を挟んで前記紫外線照射手段とは反対側に設けられ、前記第1の反応場を通過した紫外線を受ける第2の相界面が形成される第2の反応場と、
    を有し、
    前記第1の相界面は、前記反応容器中に収容され且つ前記紫外線の通過が可能な案内部材の前記紫外線照射手段に望む表側面に前記水又は水溶液を流すことで形成され、
    前記第2の相界面は、前記案内部材の裏側面に前記水又は水溶液を流すことで形成され、
    前記紫外線照射手段の発光部は柱状を成しており、
    前記案内部材は、金網またはガラス製の部材であって、前記紫外線照射手段の発光部を囲む筒形状を成し、
    前記発光部を覆うランプカバーガラスと前記案内部材との間に、前記プラズマ状の物質が供給される内側環状空間を備え、
    前記案内部材と前記反応容器の周壁部の内周面との間に、前記プラズマ状の物質が供給される外側環状空間を備え、
    前記反応容器の前記周壁部の前記内周面を、前記案内部材を通り抜けた紫外線を前記第2の相界面に向けて反射させる反射部とする相界面反応装置。
  2. 前記反応容器の前記案内部材に望む部位は前記案内部材を通り抜けた紫外線が透過可能な透過部となっており、
    前記反応容器と前記紫外線照射手段と前記案内部材とはユニット化されて複数設けられており、
    前記ユニットは前記透過部を対向させて複数並べられており、
    一のユニットの前記透過部を透過した紫外線を他のユニットの前記第2の相界面に当てる請求項に記載の相界面反応装置。
  3. 請求項1または2に記載の相界面反応装置と、
    前記相界面反応装置によって生成した反応生成物を含む液肥を植物に与える液肥供給手段と、
    を備える植物栽培装置。
  4. 請求項1に記載の相界面反応装置による相界面反応を用いて反応生成物を製造する方法において、
    反応容器中にプラズマ状の物質を供給するプラズマ供給工程と、
    前記反応容器中に、水又は水溶液を供給する水・水溶液供給工程と、
    前記反応容器中の前記プラズマ状の物質に紫外線照射手段によって紫外線を照射する紫外線照射工程と、
    を有し、
    前記反応容器中で前記プラズマ状の物質と前記水又は水溶液に含まれる溶質とを相界面で反応させる相界面反応を用いた反応生成物製造方法であって、
    前記相界面が形成される反応場として、
    前記紫外線照射手段により照射された紫外線を直接受ける第1の相界面が形成される第1の反応場と、
    前記第1の反応場を通り抜けた紫外線を受ける第2の相界面が形成される第2の反応場と、
    を形成する反応生成物製造方法。
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