JP6971469B2 - トイレ用ドア開閉スイッチおよびトイレ用自動ドアシステム - Google Patents

トイレ用ドア開閉スイッチおよびトイレ用自動ドアシステム Download PDF

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Description

本発明はトイレ用自動ドアシステム、詳しくは空港、駅構内など多くの人が集まる施設に設置され「多機能トイレ」等と称されるトイレに構築される自動ドアシステム、及びトイレ用自動ドアシステムの操作に用いられるトイレ用ドア開閉スイッチに関する。
従来のトイレ用自動ドアシステムではトイレの出入口にドアを構築し、トイレの外側と内側に例えば図11に示すようなトイレ外側用ドア開閉スイッチ1、トイレ内側用ドア開閉スイッチ2を配設している。トイレ外側用ドア開閉スイッチ1とトイレ内側用ドア開閉スイッチ2は略同様の外観をしており、トイレの状態を示す状態表示部5を間にして、どこを押しても操作が可能で体の不自由な人でも使いやすい大型の開き用押しボタン部3と閉じ用押しボタン部4を配設している。またそれぞれの押しボタン部には発光部6が配設され、状況に応じて操作可能な押しボタン部のみを連続又は間欠的に発光させることで、トイレの利用者に適切なスイッチ操作を促し、利便性を向上させている。
また、トイレ用自動ドアシステムにはさらに音声案内装置が配設されたものもあり、例えば「開くボタンを押すとドアが開きます」のような案内メッセージで操作者に適切なスイッチ操作を促し、さらに利便性を向上させている。また多国籍の人が利用する施設においては、さらに複数言語による音声案内を行なう音声案内装置も配設されている。
特開2013−60799号公報 特開2016−84616号公報
図11に示す従来のトイレ用ドア開閉スイッチ1、2には、視覚障害者が開き用押しボタン部3と閉じ用押しボタン部4を識別するための点字部7が配設されている。しかし視覚障害者の中でも点字識字者の比率は必ずしも高くないことに加え、点字は言語ごとに異なるため、多国籍の人が利用する施設において、特定の言語、例えば日本語の点字を配設しただけでは充分とは言い難い。
また音声案内は視覚障害者にとっても利便性を向上させる有効な手段の1つだが、従来の「開くボタンを押すとドアが開きます」のような案内メッセージでは目視で開くボタンを認識できない視覚障害者の利便性を向上させる効果は限定的であった。
本発明は上記従来事情に鑑みて、トイレ利用者のうち、これまで対応が遅れていた視覚障害者に対する操作アシスト機能を高めて、さらに操作性、利便性に優れたトイレ用ドア開閉スイッチ及びトイレ用自動ドアシステムを提供することを目的とする。
本発明のトイレ用ドア開閉スイッチは、上記課題を解決するために、少なくとも以下の構成を具備するものである。
状態表示部と、開き用と閉じ用の2つの押しボタン部が配設され、
前記2つの押しボタン部のそれぞれの押圧部に、開き用と閉じ用に対応し形状の異なる触知記号が、周囲面から凸状に形成され
前記2つの押しボタン部のそれぞれの押圧部に、前記開き用と閉じ用に対応する異なる点字が、周囲面から凸状に形成され、
前記2つの押しボタン部のそれぞれの押圧部の中央付近に、前記開き用と閉じ用に対応し向きの異なる2本の矢印が配置され、
少なくとも前記触知記号の一部は前記2本の矢印の上側もしくは下側の一方の側の前記2本の矢印の隙間に形成され、少なくとも前記点字の一部は前記2本の矢印の上側もしくは下側の他方の側の前記2本の矢印の隙間に形成されたことを特徴とする。
また、本発明のトイレ用自動ドアシステムは、上記課題を解決するために、少なくとも以下の構成を具備するものである。
トイレの出入口に配したドアと、前記トイレの室外と室内にそれぞれ配置されて前記ドアの開閉を操作する2つのトイレ用ドア開閉スイッチと、前記2つのトイレ用ドア開閉スイッチからの開信号及び閉信号に基づいて駆動装置を制御して前記ドアを開閉させる駆動用コントローラとを備え、
前記トイレ用ドア開閉スイッチは、状態表示部と、開き用と閉じ用の2つの押しボタン部が配設され、前記2つの押しボタン部のそれぞれの押圧部に、開き用と閉じ用に対応し形状の異なる触知記号が、周囲面から凸状に形成され、
前記2つの押しボタン部のそれぞれの押圧部に、前記開き用と閉じ用に対応する異なる点字が、周囲面から凸状に形成され、
前記2つの押しボタン部のそれぞれの押圧部の中央付近に、前記開き用と閉じ用に対応し向きの異なる2本の矢印が配置され、
少なくとも前記触知記号の一部は前記2本の矢印の上側もしくは下側の一方の側の前記2本の矢印の隙間に形成され、少なくとも前記点字の一部は前記2本の矢印の上側もしくは下側の他方の側の前記2本の矢印の隙間に形成されたことを特徴とする。
本発明によれば、視覚障害者に対する利便性を高め、更なるユニバーサルデザインを実現したトイレ用ドア開閉スイッチとトイレ用自動ドアシステムが提供される。具体的には本発明のトイレ用ドア開閉スイッチは触覚によって、視覚障害者でも各押しボタン部の位置が容易に理解できるものであり、またこのトイレ用ドア開閉スイッチを備えた本発明のトイレ用自動ドアシステムは、更に視覚障害者に適した音声による操作案内が提供されるものである。
本発明の実施形態に係る自動ドアシステムを備えたトイレの概要平面図である。 本発明の実施形態に係るトイレ用自動ドアシステムの概要を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係るトイレ用ドア開閉スイッチの要部を示す正面図と断面図である。 本発明の実施形態に係るトイレ用ドア開閉スイッチの触知記号周辺の拡大図と断面図である。 本発明の実施形態に係る室外用と室外用のトイレ用ドア開閉スイッチのそれぞれの状態表示部の表示状態を示す正面図である。 本発明の実施形態に係るトイレ用自動ドアシステムにおいて、利用者がトイレに入室する際にドアを開けるまでの操作アシスト及び案内メッセージの発声態様を例示するフローチャートである。 本発明の実施形態に係るトイレ用自動ドアシステムにおいて、利用者がトイレのドアを開けて入室し、トイレ内でドアを閉めるまでの操作アシスト及び案内メッセージの発声態様を例示するフローチャートである。 本発明の実施形態に係るトイレ用自動ドアシステムにおいて、利用者がトイレ内でドアを開けて退室し、ドアを閉めるまでの操作アシスト及び案内メッセージの発声態様を例示するフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係るトイレ用ドア開閉スイッチの要部を示す正面図と断面図である。 本発明の第3の実施形態に係るトイレ用ドア開閉スイッチの要部を示す正面図と側面図である。 従来のトイレ用ドア開閉スイッチの正面図及び側面図である。
本発明のトイレ用自動ドアシステムの実施形態の概要を図1及び図2により説明する。
(実施例1)
トイレ21は、その間口21aに引き戸式のドア22が開閉自在に配置され、その間口21aの上部の無目内に図示省略したモータ、エンコーダ等のドア位置検出部、タイミングベルト等の動力伝達機構を備えた駆動装置23と、その駆動装置23の駆動動作を適宜の出力信号により駆動させる駆動用コントローラ24が配設されている。駆動用コントローラ24には、電気錠コントローラ26を介して電気錠25が接続され、ドア22の開閉動作に対応して適時に施錠または解錠するようにしている。
なお、トイレ21内には便器21bや洗面台21cが設置されるとともに便器21bの近傍には緊急呼出スイッチ34を設けており、その他に図示しないが室内灯や換気扇などが適宜に装備されるものである。
また、トイレ21の室外側にトイレ室外用ドア開閉スイッチ1が配設され、室内側にトイレ室内用ドア開閉スイッチ2が配設されている。トイレ室外用ドア開閉スイッチ1とトイレ室内用ドア開閉スイッチ2とは略同様の外観を有し、トイレ用ドア開閉スイッチと総称され、それぞれ開き用押しボタン部3、閉じ用押しボタン部4及び状態表示部5を備えている。
トイレ室外用ドア開閉スイッチ1およびトイレ室内用ドア開閉スイッチ2は、それらの動作を制御する操作案内コントローラ27を介し前記駆動用コントローラ24に接続してドア22の開閉動作に連係するようにしている。すなわち、ドア22は、トイレ室外用ドア開閉スイッチ1とトイレ室内用ドア開閉スイッチ2の開き用押しボタン部3、閉じ用押しボタン部4の押圧操作により開信号又は閉信号が発信されたときに、前記駆動用コントローラ24により駆動装置23を制御してドア22が開閉動作するようにしている。
また、開き用押しボタン部3、閉じ用押しボタン部4は一般的な押しボタンとしてもよいが、それぞれに発光部を形成し、それら発光部を操作案内コントローラ27の制御に基づき連続又は間欠的に発光させ、次に操作すべき押しボタン部を利用者に示唆する操作アシスト機能を付与している。
なおトイレ室外用ドア開閉スイッチ1及びトイレ室内用ドア開閉スイッチ2は、図1のように各押しボタン部を横型配置としてもよいが、図2に示すように縦型配置とする方が好ましい。
音声案内装置28は、図2に示すようにスピーカ29と、所望の案内メッセージを予め録音しファイルとして登録しておく記憶部(ROM)30と、その記憶部30から所定のメッセージを適宜に選択してスピーカ29へ出力させる音声コントローラ31とにより構成される。音声コントローラ31は、開き用押しボタン部3、閉じ用押しボタン部4の発光を制御する操作案内コントローラ27に接続し、トイレ室外用ドア開閉スイッチ1およびトイレ室内用ドア開閉スイッチ2の各押しボタン部の操作等に連携してスピーカ29から利用者に案内メッセージを発声させる。
また、トイレ21の室外には、トイレ室外用ドア開閉スイッチ1の内部もしくは周辺に利用者を非接触で検出する室外用近接センサ32を配設し、その近接センサ32を、操作案内コントローラ27を介して前記音声コントローラ31に接続する。それにより、トイレ室外用ドア開閉スイッチ1に近づいた利用者が近接センサ32に検出されたとき、音声コントローラ31が所定の音声メッセージをスピーカ29から発声させる。
近接センサ32は静電容量型のセンサ等でもよいが、通常の自動ドアに使用され検出エリアを細分化して通行者の位置を検出できる起動用の光学センサを使用してもよい。これにより通行者がドア22に近づいたときと、トイレ室外用ドア開閉スイッチ1に近づいたときを区別できるので、より最適な音声メッセージを発声させることができる。
またトイレ21の室内にも、トイレ室内用ドア開閉スイッチ2の内部もしくは周辺に、利用者を非接触で検出する室内用近接センサ33を配置してもよい。これによりトイレ内の利用者にも、より最適なタイミングで音声メッセージを発声させることができる。
スピーカは、図1のようにトイレ室外用ドア開閉スイッチ1、トイレ室内用ドア開閉スイッチ2の内部もしくは近傍にスピーカ29a、29bを1つずつ配設してもよいが、トイレ21の間口21a上部の無目内にスピーカ29を1つ取り付けて案内メッセージが便房1の内外にそれぞれ聞き取れるようにしてもよい。
また記憶部30は、ドア22の開閉状態、トイレドア開閉スイッチ1、2の押しボタン部の操作状況、案内目的などに応じた案内メッセージが多言語で種別音声ごとに予め録音しファイルとして登録されたものである。
案内メッセージは状況別に複数言語で記憶部30に登録され、音声コントローラ31は操作案内コントローラ27と連携してドア22の開閉状態、トイレドア開閉スイッチ1、2の押しボタン部や緊急呼出スイッチ33の操作状況、近接センサ32、33の検出状況等に応じた案内メッセージを記憶部30の中から選択し、選択した案内メッセージをスピーカ29より発声させる。
次に本発明のトイレ用ドア開閉スイッチ1、2の押しボタン部の構造を、トイレ室外用ドア開閉スイッチ1を例に図3により説明する。トイレ室内用ドア開閉スイッチ2も同様の構造であり、両者を総称する場合はトイレ用ドア開閉スイッチと呼ぶ。
図3(a)において状態表示部5を間にして、開き用押しボタン部3と閉じ用押しボタン部4が配設されている。また薄型の枠部11がトイレ室内用ドア開閉スイッチの外周に全体を囲むように配設され、枠部11に沿って上下する両押しボタン部3、4は枠部11よりも突出して配設されているため、両押しボタン部3、4は略全面が操作可能な押圧部となっており、体の不自由な人でも容易に操作できる構造となっている。
開き用押しボタン部3の押圧部の中央付近には開き用触知記号8が、また閉じ用押しボタン部4の押圧部の中央付近には閉じ用触知記号9が、それぞれの触知記号の周囲面から突出して形成されている。触知記号は点字の読めない視覚障害者でも、指先でそれに触れることにより、触れた押しボタン部が開き用か閉じ用かを識別可能とするものである。図3(a)では矢印の終点の矢尻の形状を模した二等辺三角形の2つの等辺を2つ組合せ、異なる方向に対向させることで、開き用と閉じ用で異なる触知記号を形成している。この触知記号は画数が少なくて形状も単純であるため識別しやすく、初めて触った人でも直感的に理解しやすいという特長がある。ただし開き用と閉じ用を識別するための触知記号の形状はこれに限定されるものではなく、例えばシャフトのある矢印全体を2つ組合せてもよいし、エレベータのドア開閉に用いられる2つの二等辺三角形等を組合せた触知記号でもよいが、上記の例に比べると形状が複雑で、慣れないと認識が難しい。
なお両押しボタン部3、4の押圧部には、両触知記号8、9に加えて、点字部7が周囲面から突出して形成されている。視覚障害者の混乱を避けるため、点字部7は両触知記号8、9から離れた位置にするとよい。少なくとも点字部は触知記号に外接する長方形の外側に配置すべきであり、触知記号に外接する長方形から10mm以上離れた位置に配置すると更によい。これにより視覚障害者の誤認識等も含む混乱を防止することができる。
本発明では両触知記号8、9と点字部7は共に両押しボタン部3、4の押圧部に配設されているため、利用者が触知記号又は点字部により触れて、その押しボタン部が操作したい押しボタン部と認識した時点で、その触知記号又は点字部をそのまま押圧操作することが可能であり、視覚障害者にとって使いやすいものとなっている。従来は押圧部に触知記号と点字部を両方配設した例は見られず、例えば点字部が押しボタン部の押圧部の外側に配設されている場合には、利用者が点字部により押しボタン部が操作したい押しボタン部と認識した後に、押しボタン部の押圧部を再度探す必要があり、視覚障害者にとって使い勝手のよいものとは言えなかった。
両押しボタン部3、4の押圧部のベース面3B、4Bは平面でも曲面でもよい。押圧部のベース面3B、4Bは、点字部7や両触知記号8、9等が突出する元になる面である。図3(b)は開き用押しボタン部3の押圧部のベース面3Bが平面の場合のA−A断面図であり、図3(c)は押圧部のベース面3Bを緩やかな凸状の曲面として操作性や意匠性を向上させた場合の例を示すA−A断面図である。どちらも触知記号8は周囲面である押圧部のベース面3Bから、突出して形成されている。また状態表示部5の表示面は、図3(b)の例では両押しボタン部3、4の押圧部のベース面に合せて平面とし、図3(c)の例では両押しボタン部3、4の押圧部のベース面に合せて凸状の曲面としてもよい。これにより意匠性が向上する。また両押しボタン部3、4の押圧部のベース面と状態表示部5の表示面が、全体として略1つの面を形成するようにしてもよい。これにより更に意匠性が向上する。
また開き用押しボタン部3、閉じ用押しボタン部4の押圧部には、周囲面から円周状に突出する比較的大きな案内部10が形成されている。案内部10は、直径が少なくとも両押しボタン部3、4の押圧部の縦横の幅の小さい方の半分以上とされ、両触知記号8、9を囲むように両触知記号8、9の周囲に形成されている。
両押しボタン部3、4の押圧部のベース面と状態表示部5の表示面が、全体として1の面を形成している場合、健常者が見た場合の意匠性が向上している反面、両押しボタン部3、4の押圧部と状態表示部5の表示面の間に段差がないため、視覚障害者にとって、トイレ用ドアスイッチのどこに両押しボタン部3、4があるかを、触覚で判断するのは容易とはいえなかった。これに対し押圧部上に凸状の案内部10を配設することにより、状態表示部5の表示面に対して両押しボタン部3、4の押圧部上の案内部10が高く突出することになるため、視覚障害者でも触覚により案内部10を突出部と認識することができ、更には突出した案内部10もしくは案内部10で囲まれた部分に両押しボタン部3、4があると比較的容易に認識できるようになる。案内部10は両押しボタン部3、4の押圧部上にあるため、案内部10やその内側を押圧することで、押しボタン部3、4を操作できることは言うまでもない。
また案内部10を設けることにより、視覚障害者に対して触知記号8、9の存在を想起させるとともに、触知記号8、9の位置を認識させる効果がある。すなわち両押しボタン部3、4の押圧部上で突出した案内部10を触覚で認識する際に、案内部10の内部に突出して形成された触知記号8、9にも触れる可能性が高いからである。
なお図3では案内部10は円周状に突起させているが、これには限定されず、楕円状、長円状、角丸四角形など、案内部10が形成される押しボタン部の押圧部の形状や、案内部10が囲む触知記号の形状に合わせて選択してもよい。ただし案内部10はそれ自体が触知記号と認識されないように、屈曲部のない連続的な形状であることが望ましい。
また案内部10の内側の触知記号8、9の突起の無い部分に、触知記号の突起よりも低い凸型の点を上下左右に繰返し配置した点テクスチャや、触知記号の突起よりも低い凸型の線を平行に繰返し配置した線テクスチャなどのテクスチャ12を配置してもよい。テクスチャ12を構成する点の大きさや高さや間隔、線の太さや高さは、テクスチャ12部を指先で触知したとき指先が底面に触れるようにするとよい。これにより触知記号の存在や形状がより認識しやすくなる場合もある。
また開き用押しボタン部3、閉じ用押しボタン部4には、押圧部の裏面側に配設された図示省略したLED等が発光したとき、そのLED等からの光を透過して発光する発光部6が設けられている。発光部6は発光したときに開き用と閉じ用の識別を目視で容易にできるように、ここでは2つの二等辺三角形を組合せ、異なる方向に対向させるように配設している。図3(b)、(c)では押しボタン部3の裏面にはLEDがマウントされた回路基板や、押しボタン部の操作によりオンオフするスイッチや、押しボタン部の戻しバネなどが配設されるが、全て図示省略している。また図3は光を透過する発光部6と、光を透過しない非発光部の構成を模式的に図示したもので、これらの機能が実現できれば構成は限定されない。例えば全体を透光性の樹脂で構成し、非発光部のみ光を通さない塗装や印刷などを施してもよいし、非発光部を非透光性樹脂で形成し、発光部に透光性の樹脂を装着してもよい。
このように開き用押しボタン部3と閉じ用押しボタン部4に形状が異なる発光部6を設け、状況に応じて操作可能な押しボタン部の発光部6のみを発光させれば、目視で直感的に開き用と閉じ用とを容易に識別可能な発光部6の形状が高コントラストで表示されるので、ロービジョン者(社会的弱視者)でも比較的容易に操作が可能となる。
また両押しボタン部3、4上の触知記号8、9は全体が発光部6に含まれるように発光部6上に突出して形成されており、触知記号8、9もLED等からの光を透過して発光する発光部6の一部となっている。触知記号の機能としては発光する必要はないが、触知記号8、9も発光部6も押しボタン部3、4の中央部に配設され、それぞれが形状の違いにより配設された押しボタン部が開き用か閉じ用かを識別するためのものであり、少なくともある程度以上大きい必要があることから、状況に応じて重なり合うように配設されてもよい。触知記号8、9と発光部6とは形状と大きさを一致させてもよいが、触知で識別しやすい触知記号8、9の形状と目視で識別しやすい2つの発光部6の形状は必ずしも一致せず、発光部6の方をより大きな面積とした方が好ましいことが多い。従って、触知記号8、9の全てが発光部6に含まれるように形成されるか、少なくとも触知記号8、9の一部が発光部6に含まれるように形成されるとよい。
次に触知記号8、9の大きさや形状について、図4により開き用触知記号8を例に説明するが、閉じ用触知記号9も同様に考えてよい。図4(a)のように触知記号の大きさを外接する長方形で表したとき、長方形の長辺の長さDは10mm以上、60mm以下とするとよい。またさらに好ましくは15mm以上、60mm以下とするとよい。また短辺の長さCも10mm以上とすることが好ましく、15mm以上にできればさらによい。長辺の長さDが60mmを超えると、触知記号の全体を認識しづらくなるが、上記範囲内では触知記号を大きくした方が触知経験の少ない人でも触知が容易となる場合が多い。また触知記号を構成する直線の長さは5mm以上とすることが好ましく、これ以上短いと線として認識しづらくなる。また案内部10は触知記号8を囲むように形成されるが、触知記号8と最も接近した部位において、案内部10の上面と触知記号8の上面との間に少なくとも1mm以上、より好ましくは2mm以上の隙間を空けるとよい。
図4(b)はB−B断面図であり、触知記号8の周囲面からの高さHaは0.3mm以上、1.5mm以下とし、さらに好ましくは0.5mm以上、1.3mm以下とするとよい。また触知記号8の上部の触知部分の幅Waは0.5mm以上、1.5mm以下とし、さらに好ましくは0.5mm以上、1.3mm以下とするとよい。断面形状は長方形、台形などでもよいが、これには限定されず、周囲面からの高さと上部の幅が上記範囲に入っていればよい。また周囲面が平面でなく曲面の場合も、その曲面からの高さが上記範囲に入っていればよい。
同様に案内部10の周囲面からの高さHbは0.3mm以上、1.5mm以下とし、さらに好ましくは0.5mm以上、1.3mm以下とするとよい。また案内部10の上部の触知部分の幅Wbは0.5mm以上、1.5mm以下とし、さらに好ましくは0.5mm以上、1.3mm以下とするとよい。断面形状は長方形、台形などでもよいが、これには限定されず、周囲面からの高さと上部の幅が上記範囲に入っていればよい。また周囲面が平面でなく曲面の場合も、その曲面からの高さが上記範囲に入っていればよい。
次に図5により、トイレ室外用ドア開閉スイッチ1とトイレ室内用ドア開閉スイッチ2の状態表示部5について説明する。図5(a)(b)はトイレ室外用ドア開閉スイッチ1の表示を説明する図である。図5(a)はトイレが使用中の状態であり、状態表示部5には使用中の文字が発光してトイレが使用中であることを示し、このとき開き用と閉じ用の押しボタン部3、4は操作できないので、両押しボタン部3、4上の発光部6は共に非発光状態である。図5(b)はトイレが空室で使用可能な状態であり、状態表示部5には空室の文字が発光してトイレが空室であることを示し、このとき開き用押しボタン部3は操作してドアを開けることができるのでの開き用押しボタン部3上の発光部6は発光する一方、閉じ用押しボタン部4は操作できないので閉じ用押しボタン部4上の発光部6は非発光状態である。このように本発明のトイレ室外用ドア開閉スイッチ1では、トイレが利用可能な空室時には状態表示部5の使用中の文字を非発光とするだけでなく、空室の文字を発光させて表示させるので、利用者は安心して発光している開き用押しボタン部3を操作してドアを開け、トイレを利用することができる。
これに対して従来のトイレ室外用ドア開閉スイッチでは図5(b)と同じトイレが利用可能な空室時に、状態表示部5の使用中の文字を非発光とするだけで、空室の文字を発光させることができなかった。従って使用中の文字が点灯しない状態でうっすらと見えているか、殆ど見えていないかのどちらかである。使い慣れている人は開き用押しボタン部3の発光部6が発光しているときはトイレが空室と分かるが、そうでないと空室かどうか判断に迷うことがあったが、本発明のように状態表示部5に使用中の時だけ使用中と表示させるのでなく、空室時にも空室と明確に表示させることで、初めて利用する人でも安心して利用できるようになる。
図5(c)(d)はトイレ室内用ドア開閉スイッチ2の表示を説明する図である。図5(c)はドア2の電気錠25が施錠中の状態であり、状態表示部5には施錠中の文字が発光してドア2が施錠中であることを示し、このとき開き用押しボタン部3は操作して電気錠25を解錠するとともにドア2を開けることができるので、開き用押しボタン部3上の発光部6は発光する一方、閉じ用押しボタン部4は操作できないので閉じ用押しボタン部4上の発光部6は非発光状態である。図5(d)はトイレが未施錠の状態であり、状態表示部5には未施錠の文字が点灯してトイレが未施錠であることを示している。このとき開き用押しボタン部3は操作してドアを開けることができるので、開き用押しボタン部3上の発光部6は発光している。一方、閉じ用押しボタン部4は条件によっては操作してドアを施錠することができる場合があり、そのときは閉じ用押しボタン部4上の発光部6も発光している。このように本発明のトイレ室内用ドア開閉スイッチ2では、状態表示部5に未施錠時には施錠中の文字を非発光とするだけでなく、未施錠の文字を発光させて表示させているので、利用者は施錠するのを忘れることがなく、発光している閉じ用押しボタン部4を操作してドアを施錠し、トイレを利用することができる。
これに対して従来のトイレ室内用ドア開閉スイッチ2では図5(d)のとき、状態表示部5の施錠中の文字が非発光状態となるだけで未施錠の文字は発光させることができなかった。従って施錠中の文字が発光しない状態でうっすらと見えているか、殆ど見えていないかのどちらかである。使い慣れている人は閉じ用押しボタン部4の発光部6が発光しているときはトイレが未施錠と分かるようになるが、それまでは未施錠かどうか判断が難しかったが、本発明のように状態表示部に施錠中の時だけ施錠中と表示させるのでなく、未施錠時にも未施錠と明確に表示させることで、初めて利用する人でも施錠するのを忘れず安心して利用できるようになる。
次に図6〜8のフローチャートを用いて、トイレ用自動ドアシステムの動作と音声案内方法について説明する。
図6において、まずトイレ21が使用中か否かを判断し(STEP1)、トイレ21が使用中の場合はトイレ室外用ドア開閉スイッチ1の近傍に利用者が近付いて室外用近接センサ32がONしたか否かを判断し(STEP2)、近接センサがONした場合には、トイレが使用中であることを利用者に伝える案内メッセージとして、例えば音声(1)「トイレは使用中です。」を発声する(STEP3)。従来のトイレ用の自動ドアシステムでは、例えば利用者が開き用押しボタン部3を操作したとき、トイレが使用中であることを利用者に知らせる案内メッセージを発声するものはあったが、例えば視覚障害者にとって開き用押しボタン部3を探して操作する前にトイレが使用中であることが分かれば、負担を大幅に軽減することができる。
なお、上記の例ではトイレが使用中のときに室外用近接センサ32により利用者の接近を検出したときに音声メッセージを発声するようにしたが、室外用近接センサ32によらず、トイレが使用中のときトイレが使用中であることを知らせる音声メッセージを所定の時間間隔で繰返し発声するようにしてもよい。
またトイレ室外用ドア開閉スイッチの近傍をトイレ利用者以外の通行人が通過するようなところでは、室外用近接センサ23が利用者を検出した後、所定の時間検知が継続したときに、トイレが使用中であることを知らせる音声メッセージを発声するようにしてもよい。これにより本当にトイレを利用したい人にだけ、トイレが使用中であることを知らせることができるので、余計な発声を抑制することができる。
またトイレ21が使用中か否かを判断し(STEP1)、トイレ21が空室の場合はトイレ室外用ドア開閉スイッチ1の近傍に利用者が近付いて室外用近接センサ32がONしたか否かを判断し(STEP4)、近接センサ32がONした場合は、開き用押しボタン部3の操作を促す案内メッセージとして、例えば音声(2)「上側のボタンを押すとドアが開きます。」を発声する(STEP5)。従来のトイレ用自動ドアシステムでは、例えば「開くボタンを押すとドアが開きます。」のような案内メッセージが使われてきたが、例えば開き用押しボタン部3を目視で認識できない視覚障害者にとっては必ずしも有効性の高い案内メッセージとは言えなかった。これに対し上記音声(2)の例では操作すべきボタンの位置や方向を知らせることができるため、視覚障害者の負担を軽減することができる。
また案内メッセージとして例えばさらに情報量の多い音声(2)「上側の光るボタンを押すとドアが開きます。」を発声するようにしてもよい。この例では操作すべきボタンの位置や方向に加え、操作すべきボタンが光っていることを利用者に伝えることができるため、文字の認識が容易でないロービジョン者の負担も軽減することができる。
開き用押しボタン部3の操作を促す案内メッセージである音声(2)が発声され(STEP5)、開き用押しボタン部が操作されてONになると(STEP6)、注意喚起の案内メッセージとして例えば音声(3)「ドアが開きます。ご注意下さい。」を発声してから(STEP7)、ドア22が開動する(STEP8)。
図7において、ドアが開動した(STEP8)後、トイレの中に移動するように促す案内メッセージとして、例えば音声(4)「ドアが開きました。右前方のドアから中にお入り下さい。」を発声する(STEP9)。従来のトイレ用自動ドアシステムでは、例えば「ドアが開きました。中にお入り下さい。」のような案内メッセージが使われてきたが、例えばドア22がトイレ室外用ドア開閉スイッチ1の左右どちらにあるか目視で認識できない視覚障害者にとっては必ずしも有効性の高い案内メッセージとは言えなかった。これに対し上記音声(4)の例では開いたドア22の位置や方向を知らせることができるため、視覚障害者の負担を軽減することができる。その後利用者がトイレ内に移動し、トイレ室内用ドア開閉スイッチ2の近傍まで到達して室内用近接センサ33がONしたか否かを判断し(STEP10)、近接センサ33がONした場合は、閉じ用押しボタン部4の操作を促す案内メッセージとして、例えば音声(5)「下側のボタンを押すとドアが閉まります。」もしくは「下側の光るボタンを押すとドアが閉まります。」を発声する(STEP11)。これらの案内メッセージによれば、音声(2)と同様に、視覚障害者やロービジョン者の負担を軽減することができる。
閉じ用押しボタン部4の操作を促す案内メッセージである音声(5)が発声され(STEP11)、閉じ用押しボタン部4が操作されてONになると(STEP12)、注意喚起の案内メッセージとして例えば音声(6)「ドアが閉まります。ご注意下さい。」を発声してから(STEP13)、ドア22が閉動する(STEP14)。ドア22の閉動作が完了すると電気錠25が施錠され、ドア22が施錠されたことを知らせる案内メッセージとして、例えば音声(7)「ドアは施錠されました。」を発声し(STEP15)、トイレは使用中となる(STEP16)。
なお室内側近接センサ33は省略することもできる。その場合、例えば音声(4)「ドアが開きました。中にお入り下さい。」を発声してから、所定の時間経過後の利用者がトイレ室内用ドア開閉スイッチ2の近傍に到達するころに、例えば音声(5)「下側のボタンを押すとドアが閉まります。」、もしくは「下側の光るボタンを押すとドアが閉まります。」を発声するようにしてもよい。
図8において、トイレが使用中において(STEP16)、トイレ使用が終了して利用者がトイレ室内用ドア開閉スイッチ2の近傍に近付いて室内用近接センサ33がONしたか否かを判断し(STEP17)、近接センサ33がONした場合は、例えば音声(2)「上側のボタンを押すとドアが開きます。」もしくは「上側の光るボタンを押すとドアが開きます。」を発声する(STEP18)。トイレ室内用ドア開閉スイッチ2の開き用押しボタン部3が操作されてONになると(STEP19)、注意喚起の案内メッセージとして例えば音声(3)「ドアが開きます。ご注意下さい。」を発声してから(STEP20)、ドア22が開動する(STEP21)。
ドア22が開動した(STEP21)後、トイレの外に移動するように促す案内メッセージとして、例えば音声(8)「ドアが開きました。右手のドアから外に出て、ドアを閉めて下さい。」を発声する(STEP22)。従来のトイレ用自動ドアシステムでは、例えば「ドアが開きました。外に出てからドアを閉めて下さい。」のような案内メッセージが使われてきたが、例えばドア22がトイレ室外用ドア開閉スイッチ1の左右どちらにあるか目視で認識できない視覚障害者にとっては必ずしも有効性の高い案内メッセージとは言えなかった。これに対し上記音声(8)の例では開いたドア22の位置や方向を知らせることができるため、視覚障害者の負担を軽減することができる。
音声(8)「ドアが開きました。右手のドアから外に出て、ドアを閉めて下さい。」を発声(STEP22)した後、所定の時間待機して(STEP23)利用者がトイレの外に出たくらいのタイミングで、例えば音声(5)「下側のボタンを押すとドアが閉まります。」、もしくが「下側の光るボタンを押すとドアが閉まります。」などの、利用者にトイレ室外用ドア開閉スイッチ1の閉じ用押しボタン部4の操作を促す案内メッセージを発声する。この案内メッセージは室外用近接センサ32が外に出た利用者を検出したときに発声してもよいが、外に出た利用者がドアを閉めることを忘れてトイレ室外用ドア開閉スイッチ1に近付かない場合もあるため、音声(8)発声後所定時間待機後に音声(5)を発声する方が好ましい。なお音声(5)に代えて「下側のボタンを押してドアを閉めて下さい。」や「下側の光るボタンを押してドアを閉めて下さい。」のような、より強く操作を促す案内メッセージを発生させてもよい。
音声(5)の案内メッセージを発声後に、トイレ室外用ドア開閉スイッチ1の閉じ用押しボタン部4が操作されてONになると(STEP25)、注意喚起の案内メッセージとして例えば音声(6)「ドアが閉まります。ご注意下さい。」を発声してから(STEP26)、ドア22が閉動し(STEP27)、トイレ21は空室となる(STEP28)。
以上の説明において音声案内装置は1つの言語で案内メッセージを発生するものとして説明したが、これには限定されず、2ヶ国語以上の複数言語の案内メッセージを順次発声させてもよい。また案内メッセージの種類により発声する言語の数を変えてもよい。また案内メッセージの種類により、案内メッセージの繰返しの回数や、繰返しの際の時間間隔を変えてもよい。
(実施例2)
実施例2は実施例1に対し、トイレ用ドア開閉スイッチ1、2の構成、特に案内部10とそれに関連する部分の構成のみが異なるため、その異なる構成のみを説明し、他の実施例1と同じ構成の部分については詳細説明を省略する。
本発明の実施例2のトイレ用ドア開閉スイッチ1、2の押しボタン部の構造を、トイレ室外用ドア開閉スイッチ1を例に図9により説明する。
図9(a)において状態表示部5を間にして、開き用押しボタン部3と閉じ用押しボタン部4が配設され、両押しボタン部3、4の押圧部の中央付近には、周囲面である押圧部のベース面から円柱状に突出する比較的大きな案内部10が形成されている。案内部10が円周状でなく円柱状に形成されている点で実施例1と異なるが、両押しボタン部3、4の押圧部のベース面と状態表示部5の表示面が、全体として1つの面を形成している場合でも、状態表示部5の表示面に対し両押しボタン部3、4の押圧部上の柱状の案内部10が高く突出することになるため、視覚障害者でも触覚により突出した案内部10の部分を両押しボタン部3、4と比較的容易に認識できる点は実施例1と変わらない。
両押しボタン部3、4の押圧部の中央付近には更に開き用と閉じ用とで形状の異なる触知記号8、9が、周囲面である案内部10の上面から突出して形成されている。すなわち触知記号8、9の周囲面は両押しボタン部3、4の押圧部のベース面から突出した案内部10の上面であり、そこから突出して形成されている点で実施例1と異なっているが、視覚障害者が案内部10を触覚により認識する際に、案内部10の上面から突出して形成された触知記号8、9に自然に触れる可能性が高いため、触知記号8、9の存在や位置を認識させる効果は実施例1と同様に期待できる。
また発光部6も押圧部のベース面から突出した円柱状の案内部10の上面に集中して形成され、製造しやすい構造となっている。
案内部10は、直径が少なくとも両押しボタン部3、4の押圧部の縦横の幅の小さい方の半分以上とされ、両触知記号8、9を内包する大きさに形成されている。案内部10の形状は円柱には限定されず、底面の形状が楕円、長円、角丸四角形等の柱状でもよい。
(実施例3)
実施例3は実施例1に対して、トイレ用ドア開閉スイッチ1、2の構成のみが異なるため、その異なる部分のみを説明し、他の実施例1と同じ構成の部分については詳細説明を省略する。
本発明の実施例3のトイレ用ドア開閉スイッチ1、2の押しボタン部の構造を、トイレ室外用ドア開閉スイッチ1を例に図10により説明する。図10は実施例3のトイレ室外用ドア開閉スイッチ1の正面図と左側面図であるが、実施例3のトイレ室内用ドア開閉スイッチ2も、状態表示部5に表示される文字以外は、図10と同じである。
図10において状態表示部5を間にして、開き用押しボタン部3と閉じ用押しボタン部4が配設されている。実施例3の両押しボタン部3、4は、押圧部に円周状や円柱状に突出する案内部10がない点で実施例1や実施例2と異なるが、左側面図に示す通り、両押しボタン部3、4の押圧部全体が状態表示部5の表示面より突出して形成されているので、視覚障害者が触覚により両押しボタン部3、4を容易に認識できる点は変わらない。
両押しボタン部3、4の押圧部の中央付近には、押圧部の裏面側に配設され図示省略したLED等が発光した時、その光を透過して発光する発光部6が設けられている。開き用押しボタン部3の発光部6は外向きの2本の矢印、閉じ用押しボタン部4の発光部6は内向きの2本の矢印で構成され、発光部6は発光時のコントラストが高いため、健常者のみならずロービジョン者も、開き用と閉じ用を目視で容易に識別することができる。また図10のように2本の矢印の間に少し隙間をあけた方が識別しやすく、少なくとも5mm以上、できれば10mm以上の隙間をあけるとよい。また発光する矢印の線の太さも、ある程度以上太い方が、ロービジョン者には見やすく、具体的には5mm以上にするとよい。なお発光部6の形状は2本の矢印に限定されるものではないが、2本の矢印の組合せは分かりやすいことに加え、大きな面積を必要としないので、他の文字、点字部、触知記号等の大きさや配置の自由度が高く、それぞれを最適化しやすいという特長がある。
また、ここでは2本の矢印が発光するものとして説明したが、逆に2本の矢印は不透明の例えば黒色として、矢印の周囲を発光部6としてもよい。また両押しボタン部3、4の発光部6のうち、一方は2本の矢印を発光部6とし、他方を2本の矢印の周囲を発光部6としてもよい。
開き用押しボタン部3の押圧部には触知記号8が、閉じ用押しボタン部4の押圧部には触知記号9が、それぞれの触知記号の周囲面から突出して形成されている。触知記号8、9の形状は実施例1や実施例2と同様であるが、触知記号8、9が発光部6の内部に含まれるのでなく、発光部6から少し離れた下側に配設されている点で実施例1や実施例2とは異なる。しかし触知記号8、9は視覚障害者が指先で触れることにより形状が認識できればよいので、触知記号8、9が発光部6に含まれる必要はない。健常者やロービジョン者はコントラストの高い発光部6の形状により開き用と閉じ用の押しボタン部3、4を識別できること、視覚障害者は触知記号8、9を指で触ることにより開き用と閉じ用の押しボタン部3、4を識別できることから、触知記号8、9は目視で識別できる必要はなく、逆に目立たない方が分かりやすいので、触知記号8、9は背景色と同色で構成するよい。また触知記号8、9が発光部6に含まれていなくても、触知記号8、9は両押しボタン部3、4の押圧部に配設されているため、触知記号8、9により押しボタン部が開き用か閉じ用かを識別した後にあらためて押圧部を探す必要はなく、触知記号やその周囲をそのまま押すだけで押しボタン部を操作することができる点は、実施例1や実施例2と同じである。なお触知記号8、9の大きさや形状については、実施例1と同じでよい。
両押しボタン部3、4の押圧部には、触知記号8、9に加えて、点字部7が周囲面から突出して形成されている。視覚障害者の混乱を防止するため、点字部7は触知記号8、9のそれぞれに外接する長方形から10mm以上離れた位置に配設するとよい。更に点字部7と触知記号8、9は、左右よりも上下に離して配設することが望ましい。図10では触知記号8、9を発光部6の下側、点字部7を発光部6の上側に配設しているが、逆に触知記号8、9を発光部6の上側、点字部7を発光部6の下側に配設してもよい。また実施例3でも点字部7は両押しボタン部3、4の押圧部に配設されているため、点字部7により押しボタン部が開き用か閉じ用かを識別した後にあらためて押圧部を探す必要はなく、点字部やその周囲をそのまま押すだけで押しボタン部を操作することができる点は、実施例1や実施例2と同じである。
実施例3では押圧部に円周状や円柱状に突出する案内部10がなく、発光部6、触知記号8、9、点字部7、文字等の全体の配置に自由度があることに加え、発光部6の2本の矢印が大きな面積を必要としないことから、「あける」「OPEN」等の文字を実施例1や実施例2よりも大きくし、ロービジョン者にも見やすいものとしている。文字をさらに見やすくするため、文字を発光部6の一部として発光させてもよい。逆に文字は不透明の例えば黒色として、文字の周囲を発光部6としてもよい。また両押しボタン部3、4のそれぞれの発光部6の発光色を異なるものとして、更に識別しやすくしてもよい。
1 :トイレ室外用ドア開閉スイッチ
2 :トイレ室内用ドア開閉スイッチ
3 :開き用押しボタン部
3B:開き用押しボタン部の押圧部ベース面
4 :閉じ用押しボタン部
4B:閉じ用押しボタン部の押圧部ベース面
5 :状態表示部
6 :発光部
7 :点字部
8 :開き用触知記号
9 :閉じ用触知記号
10:案内部
11:枠部
12:テクスチャ
21:トイレ
22:ドア
23:駆動装置
24:駆動用コントローラ
25:電気錠
26:電気錠コントローラ
27:操作案内コントローラ
28:音声案内装置
29、29a、29b:スピーカ
30:記憶部
31:音声コントローラ
32:室外用近接センサ
33:室内用近接センサ
34:緊急呼出スイッチ
35:安全光線

Claims (10)

  1. 状態表示部と、開き用と閉じ用の2つの押しボタン部が配設され、
    前記2つの押しボタン部のそれぞれの押圧部に、開き用と閉じ用に対応し形状の異なる触知記号が、周囲面から凸状に形成され
    前記2つの押しボタン部のそれぞれの押圧部に、前記開き用と閉じ用に対応する異なる点字が、周囲面から凸状に形成され、
    前記2つの押しボタン部のそれぞれの押圧部の中央付近に、前記開き用と閉じ用に対応し向きの異なる2本の矢印が配置され、
    少なくとも前記触知記号の一部は前記2本の矢印の上側もしくは下側の一方の側の前記2本の矢印の隙間に形成され、少なくとも前記点字の一部は前記2本の矢印の上側もしくは下側の他方の側の前記2本の矢印の隙間に形成されたことを特徴とするトイレ用ドア開閉スイッチ。
  2. 前記開き用と閉じ用に対応し向きの異なる2本の矢印のうち、一方は2本の矢印が発光部であり、他方は2本の矢印の周囲が発光部であることを特徴とする請求項1に記載のトイレ用ドア開閉スイッチ。
  3. 前記2つの押しボタン部のそれぞれの押圧部の上下両端部に、前記開き用と閉じ用に対応する異なる文字が配置されていることを特徴とする請求項1又はに記載のトイレ用ドア開閉スイッチ。
  4. 前記2つの押しボタン部のそれぞれの押圧部の上端部に配置された前記開き用と閉じ用に対応する文字は、ひらがなの「あける」と「しめる」であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のトイレ用ドア開閉スイッチ。
  5. 前記2つの押しボタン部のそれぞれの押圧部の下端部に配置された前記開き用と閉じ用に対応する文字は、英語の「OPEN」と「CLOSE」であることを特徴とする請求項3に記載のトイレ用ドア開閉スイッチ。
  6. 前記開き用と閉じ用に対応する異なる文字のうち、一方は文字が発光部であり、他方は文字の周囲が発光部であることを特徴とする請求項3乃至5の何れか一項に記載のトイレ用自動ドア開閉スイッチ。
  7. 前記点字は前記触知記号に外接する長方形から10mm以上離れた位置に配設されたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載のトイレ用ドア開閉スイッチ。
  8. 前記2つの押しボタン部のそれぞれの押圧部全体が、前記状態表示部の表示面よりも突出していることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載のトイレ用ドア開閉スイッチ。
  9. トイレの出入口に配したドアと、前記トイレの室外と室内にそれぞれ配置されて前記ドアの開閉を操作する2つのトイレ用ドア開閉スイッチと、前記2つのトイレ用ドア開閉スイッチからの開信号及び閉信号に基づいて駆動装置を制御して前記ドアを開閉させる駆動用コントローラとを備え、
    前記トイレ用ドア開閉スイッチは、状態表示部と、開き用と閉じ用の2つの押しボタン部が配設され、前記2つの押しボタン部のそれぞれの押圧部に、開き用と閉じ用に対応し形状の異なる触知記号が、周囲面から凸状に形成され
    前記2つの押しボタン部のそれぞれの押圧部に、前記開き用と閉じ用に対応する異なる点字が、周囲面から凸状に形成され、
    前記2つの押しボタン部のそれぞれの押圧部の中央付近に、前記開き用と閉じ用に対応し向きの異なる2本の矢印が配置され、
    少なくとも前記触知記号の一部は前記2本の矢印の上側もしくは下側の一方の側の前記2本の矢印の隙間に形成され、少なくとも前記点字の一部は前記2本の矢印の上側もしくは下側の他方の側の前記2本の矢印の隙間に形成されたことを特徴とするトイレ用自動ドアシステム。
  10. 前記2つの押しボタン部には発光部がさらに配設され、
    前記トイレの状態に応じて、利用者が操作できる前記2つの押しボタン部の発光部のみを発光させて、その操作を促す操作案内コントローラを更に備えたことを特徴とする請求項9に記載のトイレ用自動ドアシステム。
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