本発明の一実施の形態に係る車載カメラは、デフロスタの上方に設置されたフロントガラスを通して車両の前方を撮像するレンズ部を有するカメラ本体と、第1のケースおよび第1のケースに取付けられる第2のケースを有し、第1のケースおよび第2のケースにカメラ本体が収容される本体ケースとを備え、第2のケースとフロントガラスとの間に隙間が形成されるようにしてフロントガラスに取付けられる車載カメラであって、第1のケースは、フロントガラスの延びる方向の下方側の下端部に前壁を有し、前壁は、開口部を有し、開口部は、フロントガラスとの間でデフロスタからフロントガラスに吹き当てられるデフロスタ風を本体ケースの内部に取り入れる通気口を形成しており、車両の下面視において、前壁は、車両の幅方向の中心部がフロントガラスの延びる方向の下方側に最も突出する頂点を有し、前壁は、頂点から車両の幅方向に向かってフロントガラスの延びる方向の上方側に傾斜しており、開口部は、車両の幅方向で頂点を挟むように前壁に設けられている。
これにより、カメラ本体が熱害を受けることを防止し、かつ、カメラ本体のレンズ部に結露や曇りが生じることを防止できる。
以下、本発明の一実施例に係る車載カメラについて、図面を用いて説明する。
図1から図11は、本発明の一実施例に係る車載カメラを示す図である。図1から図11において、上下前後左右方向は、車両に設置された状態の車載カメラを基準とし、前後方向に対して直交する方向が左右方向、車載カメラの高さ方向が上下方向である。
まず、構成を説明する。
図1において、車両1は、車体2を備えており、車体2は、ボンネットフード3およびルーフパネル4を含んで構成されている。ボンネットフード3とルーフパネル4との間には、フロントガラス5が設けられており、フロントガラス5は、車両1の前方から斜め後方に向かって傾斜している。
車両1の車室1Aにおいて、フロントガラス5の傾斜方向の下端部にはデフロスタ6が設置されている。デフロスタ6は、図示しない空調装置によってフロントガラス5の結露や曇りを防止するためのデフロスタ風Wを発生する。デフロスタ風Wは、デフロスタ6からフロントガラス5に吹き当てられ、フロントガラス5に沿ってフロントガラス5の後斜め上方に流れる。
フロントガラス5の車室1A側には、車載カメラ10(図2、図3参照)が設置されている。車載カメラ10は、車両1の前方の画像を撮影するための撮像装置を構成しており、カメラ本体11と(図7参照)、本体ケース12を含んで構成されている。
カメラ本体11は、レンズ部11L、11Rを有するとともに、いずれも図示しないCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子、撮像素子が出力する画像データの処理回路、画像データを記憶するストレージ等を内蔵している。
レンズ部11L、11Rは、車両1の幅方向(左右方向、以下、車幅方向という)に離れて設けられており、フロントガラス5を通して入射する車両1の前方の光像を撮像素子に結像させる。
カメラ本体11は、本体ケース12に収容されている。本体ケース12は、アッパブラケット13およびロアケース14を有する。本実施例のロアケース14は、本発明の第1のケースを構成し、アッパブラケット13は、本発明の第2のケースを構成する。
図3、図8に示すように、アッパブラケット13は、板状に形成されている。図5、図6において、ロアケース14は、底壁14Uと、底壁14Uの前部に設けられた前壁14Fと、底壁14Uの後部に設けられた後壁14Bと、底壁14Uの左側部に設けられた左側壁14Lと、底壁14Uの右側部に設けられた右側壁14Rとを有する。
前壁14Fは、底壁14Uからフロントガラス5に向かって突出しており、後壁14B、左側壁14Lおよび右側壁14Rは、底壁14Uから鉛直方向上方に突出している。
図3、図8において、ロアケース14は、カメラ本体11を収容している。アッパブラケット13は、カメラ本体11に対してフロントガラス5側に設置されており、カメラ本体11を覆うようにしてロアケース14に取付けられている。これにより、カメラ本体11は、アッパブラケット13とロアケース14とによって囲まれる空間に収容される。
図3に示すように、アッパブラケット13の周囲には連結部13a、13b、13c、13d、13e、13fが設けられている。
図7に示すように、ロアケース14の周囲には連結部14a、14b、14c、14d、14e、14fが設けられている。
連結部14a、14bは、前壁14Fに設けられており、車幅方向に離隔している。連結部14cは、左側壁14Lに設けられており、連結部14dは、右側壁14Rに設けられている。
連結部14e、14fは、フレーム15によって連結されており、それぞれ左側壁14L側と右側壁14R側に設置されている。フレーム15は、左側壁14Lから後壁14Bおよび右側壁14Rに亘って設置されているとともに、カメラ本体11の下方に潜り込む図示しない支持部を有する。
カメラ本体11は、図示しないクリップ等によってアッパブラケット13に固定される。これにより、カメラ本体11は、図7、図8に示すように、前壁14F、後壁14B、左側壁14L、右側壁14Rおよび底壁14Uから離れた状態でロアケース14に収容される。なお、カメラ本体11は、図示しないクリップ等によってロアケース14に取付けられてもよく、アッパブラケット13とロアケース14に取付けられてもよい。
連結部13aから連結部13fと連結部14aから14fとは、アッパブラケット13とロアケース14とが位置決めされた状態において合致し、互いに連結される。これにより、アッパブラケット13およびロアケース14が連結されて一体化される。
図8において、カメラ本体11の下面11aと後面11bとには後部にはそれぞれ放熱用のフィン11A、11Bが設けられており、フィン11A、11Bは、カメラ本体11から熱を放出させる機能を有する。
図2において、アッパブラケット13の前面には複数のガラス取付部17F、17L、17Rが設けられている。ガラス取付部17Fは、ロアケース14の前壁14F側に設置されている。
ガラス取付部17L、17Rは、それぞれロアケース14の左側壁14L側と右側壁14R側に設置されている。ガラス取付部17F、17L、17Rは、三角形状に配置されるようにしてアッパブラケット13の前面に設置されている。アッパブラケット13の前面は、フロントガラス5に対向する面である。ガラス取付部17F、17L、17Rは、例えば、粘着テープから構成されている。
図8において、フロントガラス5の後面には遮光部材16が取付けられており、遮光部材16は、例えば、セラミック樹脂から構成されている。遮光部材16は、焼成によってフロントガラス5に取付けられている。遮光部材16の材質は、セラミック樹脂に限定されるものでなく、遮光性を有するものであればよい。図4において、遮光部材16をハッチングで示す。
ガラス取付部17F、17L、17Rが遮光部材16を介してフロントガラス5に固定されると、アッパブラケット13がフロントガラス5に取付けられる。これにより、カメラ本体11とロアケース14がフロントガラス5に取付けられる。
ガラス取付部17F、17L、17Rは、その板厚方向に厚みを有するので、アッパブラケット13とフロントガラス5との間に隙間S(図8参照)が形成される。なお、ガラス取付部17F、17L、17Rは、粘着テープに限定されるものではなく、アッパブラケット13をフロントガラス5に固定できるものであればよい。
図2において、フロントガラス5の延びる方向Aのロアケース14の下端部には一対の切り欠き18L、18Rが形成されており、切り欠き18L、18Rとフロントガラス5の間には通気口19L(図5、図8、図9、図10参照)、19R(図6参照)が形成されている。本実施例の切り欠き18L、18Rは、本発明の開口部を構成する。
図5、図8、図9、図10には図示していないが、通気口19Rは、通気口19Lと同一の形状を有するので、詳細な図示は省略する。ここで、フロントガラス5の延びる方向とは、斜め上下方向である。
図2において、アッパブラケット13には一対のレンズ口21L、21Rが形成されており、レンズ口21L、21Rは、レンズ部11L、11Rが車両1の前方を撮像可能なようにレンズ部11L、11Rに向かって開口している。
すなわち、レンズ口21L、21Rは、レンズ部11L、11Rと前後方向に対向しており、レンズ部11L、11Rと同じ高さ位置となるようにアッパブラケット13に形成されている(図8参照)。
レンズ口21L、21Rは、本体ケース12の内部と、フロントガラス5とアッパブラケット13の間の隙間Sとを連通している。
アッパブラケット13には一対の視界規制部22L、22Rが設けられている。視界規制部22L、22Rは、それぞれ下規制部22aと、下規制部22aからフロントガラス5に向かって延びる一対の側方規制部22b、22cとを有し、レンズ口21L、21Rからフロントガラス5の延びる方向の下方に扇状に広がっている。本実施の形態の視界規制部22L、22Rは、本発明の扇状部を構成する。
視界規制部22L、22Rは、レンズ部11L、11Rの撮像範囲を規制するとともに、反射光等がレンズ部11L、11Rに映り込むことを防止する機能を有する。
アッパブラケット13には一対の案内部23L、23Rが設けられている。案内部23L、23Rは、視界規制部22L、22Rのフロントガラス5の延びる方向の下端部22dからフロントガラス5と平行にフロントガラス5の下方に向かって延びている(図8の案内部23Lを参照)。
図8においては、案内部23Lのみを図示しているが、案内部23Rも案内部23Lと同様に、視界規制部22Rのフロントガラス5の延びる方向の下端部22dからフロントガラス5と平行にフロントガラス5の下方に向かって延びている。
ここで、アッパブラケット13とフロントガラス5との間の隙間Sのうち、案内部23L、23Rとフロントガラス5の間の隙間を隙間S1とし、視界規制部22L、22Rとフロントガラス5の間の隙間を隙間S2とする。隙間S1は、フロントガラス5の延びる方向において同一の長さの隙間を維持している。
図9、図10において、通気口19Lに対してフロントガラス5の延びる方向の上側において、切り欠き18Lと案内部23Lの下端部23aとの間には取入れ口24Lが形成されている。取入れ口24Lは、通気口19Lと本体ケース12の内部とを連通している。
図示していないが、通気口19Rに対してフロントガラス5の延びる方向の上側には切り欠き18Rと案内部23Rの下端部23aとの間に取入れ口が形成されており、この取入れ口は、通気口19Rと本体ケース12の内部とを連通している。
切り欠き18L、18Rは、フロントガラス5に対向する底面18aを有する(図2参照)。
案内部23Lの下端部23aは、フロントガラス5の面に沿った平行視B(図10参照)で切り欠き18Lの底面18aに重なっている。すなわち、案内部23Lの下端部23aは、フロントガラス5の面に沿った平行視Bで切り欠き18Lの底面18aに対向している。または、案内部23Lの下端部23aは、フロントガラス5の面に沿った平行視Bで切り欠き18Lの底面18aと並んでいる。
換言すれば、案内部23Lの下端部23aと切り欠き18Lの底面18aとは、フロントガラス5の延びる方向において同一の平面上に位置している。フロントガラス5の面とは、斜め上下方向に沿って延びるフロントガラス5の面である。
これにより、案内部23Lは、フロントガラス5に吹き当てられるデフロスタ風Wを、通気口19Lからフロントガラス5と案内部23Lの間の隙間S1を通してフロントガラス5と視界規制部22Lの間の隙間S2に流れるデフロスタ風W1と、取入れ口24Lを通して本体ケース12の内部に流れるデフロスタ風W2とに分流することができる。
図9、図10においては案内部23L側を図示しているが、案内部23Rの下端部23aは、フロントガラス5の面に沿った上下方向の平行視Bで切り欠き18Rの底面18aに重なっている。すなわち、案内部23Rの下端部23aは、フロントガラス5の面に沿った上下方向の平行視Bで切り欠き18Rの底面18aに対向している。または、案内部23Rの下端部23aは、フロントガラス5の面に沿った上下方向の平行視Bで切り欠き18Rの底面18aと並んでいる。
換言すれば、案内部23Rの下端部23aと切り欠き18Rの底面18aとは、フロントガラス5の延びる方向において同一の平面上に位置している。
案内部23Rは、フロントガラス5に吹き当てられるデフロスタ風を、通気口19Rからフロントガラス5と案内部23Rの間の隙間S1を通してフロントガラス5と視界規制部22Rの間の隙間S2に流れるデフロスタ風と、案内部23Rの下端部23aと切り欠き18Rの間の隙間S3によって形成される取入れ口を通して本体ケース12の内部に流れるデフロスタ風とに分流する。
図10において、案内部23Lとフロントガラス5の間の隙間S1は、取入れ口24Lの隙間S3、すなわち、取入れ口24Lを構成する案内部23Lの下端部23aと切り欠き18Lの間の隙間S3よりも大きく形成されている。
図10には図示しないが、案内部23Rとフロントガラス5の間の隙間S1は、切り欠き18R側の取入れ口の隙間S3、すなわち、切り欠き18R側の取入れ口を構成する案内部23Rの下端部23aと切り欠き18Rの隙間S3よりも大きく形成されている。
図9に示すように、切り欠き18Lの底面18aにおいてフロントガラス5の延びる方向の上端部には面取り部18rが形成されている。フロントガラス5に対向する案内部23Lの対向面23bにおいて、フロントガラス5の延びる方向の下端部23aには面取り部23rが形成されている。
図9には図示していないが、切り欠き18Rの底面18aにおいてフロントガラス5の延びる方向の上端部には面取り部が形成されており、フロントガラス5に対向する案内部23Rの対向面23bにおいて、フロントガラス5の延びる方向の下端部には面取り部が形成されている。
図6、図8において、ロアケース14の底壁14Uには複数の排気口14gが設けられており、排気口14gは、車幅方向に延び、前後方向に並ぶようにして底壁14Uに形成されている。
排気口14gは、本体ケース12の内部と車室1Aとを連通しており、本体ケース12の内部を流れるデフロスタ風を本体ケース12から車室1Aに排出する。
図8において、カメラ本体11の上面11cとアッパブラケット13の間には隙間S4が形成されている。カメラ本体11の後面11bとロアケース14の後壁14Bとの間には隙間S5が形成されている。カメラ本体11の下面11aとロアケース14の底壁14Uとの間に隙間S6が形成されている。
レンズ口21L、21Rは、フロントガラス5に対向するアッパブラケット13に設けられているので、レンズ口21L、21Rから本体ケース12に導入されるデフロスタ風は、S4、S5、S6に沿って流れた後、排気口14gから排出される。
すなわち、レンズ口21L、21Rから本体ケース12に導入されるデフロスタ風は、カメラ本体11の上面11c、後面11bおよび下面11aを迂回して排気口14gから排出される。
排気口14gは、前後方向においてカメラ本体11の前面11dと後面11bとの間で、かつ車両1の下面視においてカメラ本体11に重なるように底壁14Uに形成されている(図6参照)。カメラ本体11の前面11dは、排気口14gの前端14mよりも通気口19L、19R側に位置している。
図5、図6において、ロアケース14の底壁14Uには窪み部26L、26Rが形成されている。窪み部26Lは、アッパブラケット13の下端部を構成する前壁14Fと排気口14gとの間に形成されており、排気口14gに対して鉛直方向上方に窪む形状を有する。窪み部26Rは、窪み部26Lと同一の形状を有し、排気口14gに対して鉛直方向上方に窪む形状を有する。
アッパブラケット13の底壁14Uには窪み部26Mが形成されている。窪み部26Mは、前壁14Fと排気口14gとの間で、かつ、車幅方向において窪み部26Lと窪み部26Rとの間に形成されている。
窪み部26Mは、排気口14gに対して鉛直方向下方に窪む形状を有し、鉛直方向において本体ケース12のうち最も下方に位置する。
図6に示すように、車両1の下面視において、フロントガラス5の延びる方向のロアケース14の前壁14Fは、車幅方向の中心部がフロントガラス5の延びる方向の下方側に最も突出する頂点14tを有する。
車両1の下面視において、前壁14Fは、頂点14tから左側壁14Lと右側壁14Rに向かってフロントガラス5の延びる方向Aの上方側に傾斜している。車幅方向において、切り欠き18Lは、左側壁14Lと頂点14tとの間に位置しており、切り欠き18Rは、右側壁14Rと頂点14tとの間に位置している。
図3において、アッパブラケット13において、案内部23L、23Lの下端部23aの車幅方向の長さT1に対して、切り欠き18L、18Rの車幅方向の長さT2は、長く形成されている。
図4に示すように、遮光部材16は、車両1の前面視V1(図1参照)において、本体ケース12と重なっている。なお、図4は、車両1の前方の斜め上方V2(図1参照)から車載カメラ10を見た図であり、遮光部材16は、車両1の前方の斜め上方V2から見ても本体ケース12と重なっている。
遮光部材16には切り欠き16L、16Rが形成されており、車両1の前面視V1において、切り欠き16L、16Rは、視界規制部22L、22Rと重なる部位に形成されている。切り欠き16L、16Rは、視界規制部22L、22Rよりも大きい面積で切り欠かれている。
図5、図8において、左側壁14Lと右側壁14Rとにはそれぞれ複数の排気口14h、14iが形成されており、排気口14h、14iは、前後方向に延び、上下方向に並ぶようにして左側壁14Lと右側壁14Rとに形成されている。
排気口14h、14iは、本体ケース12の内部と車室1Aとを連通しており、本体ケース12の内部を流れるデフロスタ風を本体ケース12から車室内に排出する。
次に、図10、図11に基づいて作用を説明する。
デフロスタ6からフロントガラス5に吹きつけられるデフロスタ風Wは、フロントガラス5に沿って後斜め上方に流れ、通気口19Lに導入される。
なお、図10、図11においては通気口19L側に流れるデフロスタ風について説明するが、通気口19R側に流れるデフロスタ風については通気口19L側に流れるデフロスタ風と同じ流れとなるので、説明を省略する。
車載カメラ10は、フロントガラス5の延びる方向において通気口19Lに対向する案内部23Lを有し、案内部23Lは、フロントガラス5に吹き当てられるデフロスタ風Wを、通気口19Lからフロントガラス5と案内部23Lの間の隙間S1を通してフロントガラス5と視界規制部22Lの間の隙間S2に流れるデフロスタ風W1と、取入れ口24Lを通して本体ケース12の内部に流れるデフロスタ風W2とに分流する。
視界規制部22Lとフロントガラス5の隙間S2に流れるデフロスタ風W1は、フロントガラス5とアッパブラケット13との間の隙間S2を通ってフロントガラス5の後斜め上方に流れるデフロスタ風W3と、レンズ口21Lから本体ケース12の内部に導入されるデフロスタ風W4とに分流される。
本体ケース12に導入されるデフロスタ風W4は、カメラ本体11の上面11cとアッパブラケット13の間の隙間S4からカメラ本体11の後面11bとロアケース14の後壁14Bとの間の隙間S5を通してカメラ本体11の下面11aとロアケース14の底壁14Uとの間に隙間S6を流れることにより、カメラ本体11の周囲を迂回する。
このとき、デフロスタ風W4がフィン11A、11Bに接触することにより、カメラ本体11の放熱が促進され、カメラ本体11が冷却される。カメラ本体11を冷却したデフロスタ風W4は、排気口14gから車室1Aに排出される。
一方、通気口19Lを通して分流されたデフロスタ風W2は、切り欠き18Lと案内部23Lの下端部23aとの間に形成された隙間S3を有する取入れ口24Lから本体ケース12の内部に流入する。
取入れ口24Lの開口面積は、レンズ口21Lの開口面積よりも小さいので、案内部23Lによって分流されたデフロスタ風W2は、取入れ口24Lによって絞られて速い流速で本体ケース12に流入する。
本体ケース12に流入したデフロスタ風W2は、窪み部26Lによってカメラ本体11の前面11dに指向されてカメラ本体11の前面11dに衝突する。これにより、カメラ本体11が冷却される。
カメラ本体11の前面11dに衝突したデフロスタ風W2は、カメラ本体11の下面11aと底壁14Uの隙間S6を流れ、排気口14gから車室1Aに排出される。このとき、デフロスタ風W2がフィン11Aに接触することにより、カメラ本体11の放熱が促され、カメラ本体11が冷却される。
このように本実施例の車載カメラ10によれば、ロアケース14は、フロントガラス5の延びる方向の下方側のロアケース14の下端部に切り欠き18L、18Rを有する。切り欠き18L、18Rは、フロントガラス5との間でデフロスタ6からフロントガラス5に吹き当てられるデフロスタ風Wを本体ケース12の内部に取り入れる通気口19L、19Rを形成している。
アッパブラケット13は、レンズ部11L、11Rが車両1の前方を撮像可能なようにレンズ部11L、11Rに向かって開口するレンズ口21L、21Rと、レンズ口21L、21Rからフロントガラス5の延びる方向の下方に扇状に広がり、レンズ部11L、11Rの撮像範囲を規制する視界規制部22L、22Rを有する。
さらに、アッパブラケット13は、視界規制部22L、22Rの下端部22dからフロントガラス5と平行にフロントガラス5の下方に向かって延びる案内部23L、23Rを備えている。
案内部23L、23Rの下端部23aは、フロントガラス5の面に沿った上下方向の平行視Bで切り欠き18L、18Rの底面18aに重なっている。これにより、案内部23L、23Rは、フロントガラス5に吹き当てられるデフロスタ風Wを、通気口19L、19Rからフロントガラス5と案内部23Lの間の隙間S1を通してフロントガラス5と視界規制部22L、22Rの間の隙間S2に流れるデフロスタ風W1と、取入れ口24Lおよび通気口19R側の取入れ口を通して本体ケース12の内部に流れるデフロスタ風W2とに分流することができる。
ここで、案内部23L、23Rがフロントガラス5の延びる方向において切り欠き18L、18Rよりもフロントガラス5側に位置していると、フロントガラス5に吹き当てられるデフロスタ風Wが通気口19L、19Rを通して本体ケース12の内部に片寄って過剰に流れ、案内部23L、23Rとフロントガラス5の隙間S1に少量しか流れなくなる。
一方、案内部23L、23Rが切り欠き18L、18Rよりもフロントガラス5から離れる方向に位置していると、フロントガラス5に吹き当てられるデフロスタ風Wが通気口19L、19Rから本体ケース12の内部に流入し難くなる。
これに対して、本実施例の案内部23L、23Rの下端部23aは、フロントガラス5の面に沿った上下方向の平行視B(図10参照)で切り欠き18Lの底面18aに重なっている。
これにより、フロントガラス5に吹き当てられるデフロスタ風Wを、通気口19L、19Rからフロントガラス5と案内部23Lの間の隙間S1を通してフロントガラス5と視界規制部22L、22Rの間の隙間S2に流れるデフロスタ風W1と、取入れ口24Lと通気口19R側の取入れ口を通して本体ケース12の内部に流れるデフロスタ風W2とに最適化して分流できる。
このため、カメラ本体11をデフロスタ風W2で冷却してカメラ本体11が熱害を受けることを防止できる。具体的には、カメラ本体11に内蔵される撮像素子、画像データの処理回路およびストレージ等が熱害を受けることを防止できる。
これに加えて、視界規制部22L、22Rからレンズ口21L、21Rに供給されるデフロスタ風W1、W4によってレンズ部11L、11Rの結露や曇りが発生することを防止できる。この結果、カメラ本体11の撮像性能が低下することを防止でき、撮像された画像の画質が低下することを防止できる。
また、本実施例の車載カメラ10によれば、案内部23L、23Rが、視界規制部22L、22Rのフロントガラス5の延びる方向の下端部22dからフロントガラス5と平行にフロントガラス5の下方に向かって延びている。
これにより、アッパブラケット13に案内部23L、23Rが設置される分だけ、アッパブラケット13をフロントガラス5の延びる方向の下方に延ばすことができる。このため、ガラス取付部17Fをガラス取付部17L、17Rに対してフロントガラス5の延びる方向に離すことができる。この結果、フロントガラス5に対する車載カメラ10の支持剛性を高くできる。
また、案内部23L、23Rは、フロントガラス5と平行に延びており、フロントガラス5との間に隙間S1を有するので、案内部23L、23Rとフロントガラス5の間の一定の隙間S1によってデフロスタ風W1を整流して視界規制部22L、22Rとフロントガラス5の間の隙間S2に導入できる。このため、レンズ部11L、11Rの周辺の結露や曇りが発生することをより効果的に防止できる。
また、本実施例の車載カメラ10によれば、ロアケース14の底壁14Uに、本体ケース12を流れるデフロスタ風W2を本体ケース12から車室1Aに排出する排気口14gが設けられている。
さらに、レンズ口21L、21Rから本体ケース12に導入されるデフロスタ風W4がカメラ本体11の上面11c、後面11bおよび下面11aを迂回するように、カメラ本体11とアッパブラケット13、ロアケース14の後壁14Bおよび底壁14Uとの間に隙間S4、S5、S6が形成されている。
これに加えて、排気口14gは、前後方向においてカメラ本体11の前面11dと後面11bとの間で、かつ、車両1の下面視においてカメラ本体11に重なるように底壁14Uに形成されており、カメラ本体11の前面11dは、排気口14gの前端14mよりも通気口19L、19R側に位置している。
これにより、通気口19L、19Rから取入れ口24L、24Rを通して本体ケース12に導入されたデフロスタ風W2によってカメラ本体11を冷却した後、デフロスタ風W2を排気口14gから車室1Aに排出できる。
また、カメラ本体11の前面11dは、排気口14gの前端14mよりも通気口19L、19R側に位置しているので、カメラ本体11を通気口19L、19Rに近づけることができ、カメラ本体11にデフロスタ風W2を効率よく衝突させてカメラ本体11の冷却効率を向上できる。
また、隙間S4、S5、S6を流れるデフロスタ風W4によってカメラ本体11の上面11c、後面11bおよび下面11aを冷却することにより、カメラ本体11の冷却効率をより効果的に向上できる。
また、排気口14gは、前後方向においてカメラ本体11の前面11dと後面11bとの間で、かつ、車両1の下面視においてカメラ本体11に重なるように底壁14Uに形成されているので、カメラ本体11の下面11a全体を前後方向からデフロスタ風W2、W4によって冷却した後、デフロスタ風W2、W4を合流して排気口14gから車室1Aに排出できる。
このため、カメラ本体11の周囲の雰囲気が高温になることを防止でき、冷たいデフロスタ風をカメラ本体11に供給することができる。この結果、カメラ本体11の冷却効率をより効果的に向上できる上に、デフロスタ風W2、W4の排気性能を向上できる。
このように本体ケース12の内部においてデフロスタ風W2、W4の循環効率を向上でき、カメラ本体11の冷却効率を向上できる。
また、本実施例の車載カメラ10によれば、ロアケース14は、フロントガラス5の延びる方向の下端部を構成する前壁14Fと排気口14gとの間に、排気口14gに対して鉛直方向上方に窪む窪み部26L、26Rを有する。
これに加えて、ロアケース14は、フロントガラス5の延びる方向の下端部を構成する前壁14Fと排気口14gとの間に、排気口14gに対して鉛直方向下方に窪む窪み部26Mを有する。
これにより、通気口19L、19Rに導入されなかったデフロスタ風Wがロアケース14の底壁14Uを回り込んで排気口14gに流れようとした場合に、図5のデフロスタ風W5、W6に示すように、窪み部26L、26M、26Rによって遮ることができ、排気口14gから本体ケース12の内部に流入することを防止できる。
このため、本体ケース12の内部においてデフロスタ風W2、W4の循環効率をより効果的に向上でき、カメラ本体11の冷却効率をより効果的に向上できる。
なお、本実施例の窪み部26L、26Rは、排気口14gに対して鉛直方向上方に窪んでいるが、排気口14gに対して鉛直方向下方に窪んでいてもよい。また、窪み部26Mは、排気口14gに対して鉛直方向下方に窪んでいるが、排気口14gに対して鉛直方向上方に窪んでいてもよい。
また、本実施例の車載カメラ10によれば、案内部23L、23Rとフロントガラス5の間の隙間S1は、案内部23Lの下端部23aと切り欠き18Lの間の隙間S3よりも大きく形成されている。
これにより、案内部23L、23Rによって本体ケース12の内部に分流されるデフロスタ風W2の風量よりも、案内部23L、23Rによって案内部23L、23Rとフロントガラス5の間の隙間S1を通してフロントガラス5と視界規制部22Lの間の隙間S2に分流されるデフロスタ風W1の風量を多くできる。
すなわち、案内部23L、23Rによって本体ケース12の内部に分流されるデフロスタ風W2の風量と案内部23L、23Rとフロントガラス5の間の隙間S1を通してフロントガラス5と視界規制部22Lの間の隙間S2に分流されるデフロスタ風W1の風量とを調整できる。
このため、レンズ部11L、11Rの周辺により多くのデフロスタ風W1、W4を供給でき、レンズ部11L、11Rの結露や曇りが発生することをより効果的に防止できる。
この結果、カメラ本体11の撮像性能が低下することをより効果的に防止でき、撮像された画像の画質が低下することをより効果的に防止できる。
また、切り欠きの18L、18Rの底面18aにおいて、フロントガラス5の延びる方向の上端部に面取り部18rが形成されており、フロントガラス5に対向する案内部23L、23Rの対向面23bにおいて、フロントガラス5の延びる方向の下端部23aに面取り部23rが形成されている。
これにより、案内部23L、23Rによって分流されるデフロスタ風W2を面取り部18rによって取入れ口24L、24Rに円滑に送り込むことができ、デフロスタ風W2の流速が低下することを防止できる。
これに加えて、案内部23L、23Rによって分流されるデフロスタ風W1を面取り部23rによって案内部23L、23Rとフロントガラス5の間の隙間S1に円滑に送り込むことができ、デフロスタ風W1の流速が低下することを防止できる。
このため、カメラ本体11をデフロスタ風W2で冷却してカメラ本体11が熱害を受けることを防止できる。これに加えて、視界規制部22L、22Rからレンズ口21L、21Rを流れるデフロスタ風W1、W4によってレンズ部11L、11Rの結露や曇りが発生することを防止できる。この結果、カメラ本体11の撮像性能が低下することを防止でき、撮像された画像の画質が低下することを防止できる。
ここで、図6に示すように、フロントガラス5の延びる方向に沿って流れるデフロスタ風Wは、フロントガラス5の延びる方向に沿って通気口19L、19Rに取り入れられる一方、デフロスタ風Wmに示すように、車幅方向の頂点14tに衝突する。
本実施例の車載カメラ10によれば、本体ケース12の下面視において、フロントガラス5の延びる方向のロアケース14の下端部である前壁14Fは、車幅方向の中心部がフロントガラス5の延びる方向の下方側に最も突出する頂点14tを有する。
これにより、車幅方向の頂点14tに衝突するデフロスタ風Wmを、デフロスタ風W7、W8に示すように、頂点14tからロアケース14の前壁14Fの下端部に沿って左側壁14Lと右側壁14Rとに指向させて通気口19L、19Rに導くことができる。
これに加えて、本実施例の車載カメラ10によれば、フロントガラス5の延びる方向の案内部23L、23Rの下端部23aの車幅方向の長さT1に対して、切り欠き18L、18Rの車幅方向の長さT2は、長く形成されている。
これにより、通気口19L、19Rから取入れ口24Lおよび切り欠き18R側の取入れ口を通して本体ケース12の内部にさらに多くのデフロスタ風W2を取り入れることができ、カメラ本体11の冷却効率をより効果的に向上できる。このため、カメラ本体11が熱害を受けることをより効果的に防止できる。
また、フロントガラス5の延びる方向の案内部23L、23Rの下端部23aの車幅方向の長さT1を切り欠き18L、18Rの車幅方向の長さT2よりも短くできるので、以下の効果を得ることができる。
本実施例の視界規制部22L、22Rは、レンズ口21L、21Rからフロントガラス5の延びる方向の下方に扇状に広がり、案内部23L、23Rは、視界規制部22L、22Rの下端部22dからフロントガラス5と平行にフロントガラス5の下方に向かって延びている。
換言すれば、視界規制部22L、22Rは、下端部22dからレンズ口21L、21Rに向かうに従って車幅方向の幅が狭くなる。
これにより、案内部23L、23Rによってフロントガラス5と案内部23L、23Rの間の隙間S1に分流されたデフロスタ風W1は、視界規制部22L、22Rとフロントガラス5の間の隙間S2においてレンズ口21L、21R側に流れるに従って絞られる。
図3に視界規制部22L、22Rからレンズ口21L、21Rに向かって絞られるデフロスタ風W9を示す。図3に示すように、視界規制部22L、22Rからレンズ口21L、21Rに向かってデフロスタ風W9が絞られることにより、デフロスタ風W9の流速が速くなる。
このため、視界規制部22L、22Rとフロントガラス5の間の隙間S2を流れるデフロスタ風W2の流速を速くでき、レンズ部11L、11Rの結露や曇りが発生することをより効果的に防止できる。この結果、カメラ本体11の撮像性能が低下することを防止でき、撮像された画像の画質が低下することをより効果的に防止できる。
また、本実施例の車載カメラ10において、フロントガラス5に、非透光性を有し、車両1の前面視V1において本体ケース12と重なる遮光部材16が設けられている。
遮光部材16は、焼成によってフロントガラス5に取付けられるので、焼成の過程でセラミック樹脂が熱を持ち、フロントガラス5に熱歪みが発生することがある。レンズ部11L、11Rの撮像範囲に熱歪みが発生すると、レンズ部11L、11Rが認識する視差のずれが生じ、レンズ部11L、11Rから対象物までの距離を正確に測定できないおそれがある。
これに対して、本実施例の車載カメラ10によれば、遮光部材16は、車両1の前面視V1において、視界規制部22L、22Rと重なる部位に切り欠き16L、16Rを有する。
これにより、レンズ部11L、11Rの撮像範囲にセラミック樹脂の焼成による熱歪みが発生することを予め防止できる。このため、レンズ部11L、11Rが認識する視差のずれが生じることを防止でき、レンズ部11L、11Rから対象物までの距離を正確に測定できる。
なお、視界規制部22L、22Rに偏光板を取付け、反射光がレンズ部11L、11Rに入射することを防止するように構成してもよい。
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。