JP6968673B2 - 吐出材吐出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体または液状の吐出材を吐出する吐出装置に関する。
従来、液体または液状の吐出材を収容する収容容器に収容された吐出材を吐出ヘッドの吐出口から媒体上に吐出する吐出装置が知られている。特許文献1には、収容容器の内部を可撓性部材によって2つの収容部に分け、一方の収容部に吐出材を収容し、他方の収容部に他の液体を収容し、他方の収容部内の圧力を調整することによって収容容器全体の内圧を調整する構成が記載されている。
特許文献1の構成によると、収容容器の内部において、一方の収容部と他方の収容部の内圧は等しくなる。そのため、可撓性部材に破損が生じても内圧の変化を生じることがなく、破損の発生を検出(検知)することが困難である。これに対し特許文献2には、他方の収容部に他の液体として吐出材とは物性が異なり且つ混ざり合わない液体を収容し、物性を測定するセンサによって他方の収容部内の液体の物性変化を検知することで、可撓性部材の破損を検知する構成が記載されている。
特開2015−092549号公報 特開2016−032103号公報
しかしながら、特許文献2の構成によると、吐出材と他の液体とは検知可能な異なる物性を有する必要があり、使用することのできる材料が制限される。また、可撓性部材に破損が生じると、破損箇所を介して吐出材と他の液体との接触が始まるものの、その後、吐出材および他の液体が互いの収容部に移動してセンサによる物性変化の検知が可能となるまでに時間が掛かる。そのため、可撓性部材の破損を発生後すぐに検知することができない。
また、吐出材の種類によっては、他の液体と混ざり合わなくても他の液体と接触するだけで品質が劣化してしまうものもある。その場合、吐出材と他の液体とが接触した状態で吐出材の吐出を行うと、吐出ヘッドから吐出材を吐出した分だけ、品質が劣化した物を製造し続けることとなる。
他にも、収容部の可撓性部材以外の場所で破損が発生した場合であっても、収容部内の吐出材の物性が変化する場合がある。
よって本発明は、吐出材の品質劣化を抑制可能な吐出材吐出装置を提供することを目的とする。
そのための本発明の吐出材吐出装置は、吐出口から吐出材を吐出する吐出ヘッドと、内部空間が可撓性隔壁によって吐出材を充填し前記吐出ヘッドと連通する第1収容空間と作動液を充填する第2収容空間とに分離された収容容器と、前記第2収容空間と連通し、前記第2収容空間の内圧を制御する圧力制御手段と、を備える吐出材吐出装置であって、前記可撓性隔壁は、互いに関して連動可能に部分的に接合されるとともに互いの間に膜間空間を含む前記第1収容空間を覆う第1フィルムと前記第2収容空間を覆う第2フィルムとを含み、前記第1収容空間または前記第2収容空間が前記第1収容空間または前記第2収容空間の外部と連通したことに伴う、前記第1収容空間の内部または前記第2収容空間の内部の圧力変化の発生を検知する検知手段を備えることを特徴とする
本発明によれば、吐出材の品質劣化を抑制可能な吐出材吐出装置を提供することができる。
第1の実施形態の吐出装置の構成を示す図である。 第1の実施形態の吐出装置の制御系の構成を示すブロック図である。 図1に示す吐出装置の吐出ヘッド近傍の構成を示す図である。 可撓性部材の構成を説明する図である。 可撓性部材の構成を説明する図である。 フィルムの一部に破損が生じた状態の吐出装置の一部を示す図である。 第2の実施形態の吐出装置の構成を示す図である。 第3の実施形態の吐出装置の構成を示す図である。 第4の実施形態の吐出装置の構成を示す図である。 第5の実施形態の吐出装置の構成を示す図である。 第6の実施形態の吐出装置の構成を示す図である。 第7の実施形態の吐出装置の構成を示す図である。 第8の実施形態の吐出装置の構成を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<第1の実施形態>
(吐出材吐出装置の構成)
図1は、本発明による第1の実施形態の吐出材吐出装置の構成を示す概略図である。本実施形態の吐出材吐出装置は、インクのような液体を1pL(ピコリットル)程度またはそれ以下の液量で吐出可能なインクジェット方式のプリント装置に適用可能な吐出材吐出装置である。吐出材吐出装置を、以下、単に吐出装置ともいう。
図1に示すように、本実施形態の吐出装置は、大気連通し作動液35を貯留するメインタンク34と、大気連通しメインタンク34と連通可能なサブタンク26と、サブタンク26と連通する吐出材収容ユニット100と、を備える。
吐出材収容ユニット100は、吐出材を収容する吐出材収容容器(以下、単に収容容器ともいう)13と、収容容器13に装着された吐出ヘッド14と、を含む。なお、収容容器13と吐出ヘッド14とは、別体として構成されていてもよく、一体的に構成されていてもよい。収容容器13はカートリッジ式であってもよい。吐出ヘッド14は、吐出ヘッドの外面(吐出面)に開口する吐出口15から吐出材を吐出可能となっている。本例の吐出口15は、吐出ヘッド14の吐出面において1インチ当たり500から1000個の密度で配設されている。
図1に示すように、吐出ヘッド14の吐出面に対向するように、ベースプレート63に搭載された搬送部62が配置されている。搬送部62は、不図示の吸着手段によって吐出対象物である媒体61を吸着して保持しつつ、ベースプレート63上を移動して、吐出ヘッド14に対する媒体61の位置を相対移動させることができる。収容容器13内に収容されている吐出材は、吐出ヘッド14の吐出口15から、搬送部62に吸着されつつ吐出口15に対向する位置に搬送された媒体61の吐出材付与領域に対して吐出される。これによって、所望の吐出材パターン(例えば、記録画像)が形成される。
(吐出材)
吐出材は、収容容器13内においておよび吐出ヘッド14から吐出される際に、固体とは異なり定まった形を有さず流動性を示すが体積変化が気体のようには大きくない物質であり、液体または液状の物質である。吐出材は、ペースト状物質、高分子材料等の物質であってもよい。本実施形態の吐出材として、インクを用いることができる。インクの非限定的な例としては、画像記録用のインク、電子回路製造用の導電性インク、UV硬化性インク等の多様なインクが挙げられる。導電性インクの例としては、金属粒子を含んだインク、特には、数〜数十ナノメートルの粒径の金属ナノ粒子が液中分散した金属ナノインク、例えば、銀ナノインクが挙げられる。半導体デバイス等の製造プロセスにおいて、基板上のインプリント材に対してパターンが形成されたモールドを接触させ、インプリント材にモールドの形状を転写してパターンを形成する、いわゆるインプリント技術がある。インプリント材としては光硬化型樹脂や熱硬化型樹脂等のレジストが用いられる。吐出材の別の例として、このようなインプリント材も挙げられる。
(作動液)
作動液は、気体に比べて、外的な温度および圧力による密度(体積)の変化が無視できるほど小さい、非圧縮性を有する物質である。そのため、吐出装置の周辺の気温または気圧が変化しても、作動液の体積はほとんど変化しない。作動液として、例えば、水のような液体、およびゲル状物質から選択される物質を用いることができる。通常、吐出材の密度と作動液の密度との差は、吐出材の密度と気体の密度との差に比べて小さくなる。
例えば、本発明に係る吐出装置をプリント装置のインク吐出装置として使用する場合、吐出材には当然のことながらインクが用いられるが、作動液としては高価なインクを使用する必要はなく、インクと比重の近い水を使用することができる。より具体的には、水の腐敗や雑菌の繁殖を防止する目的で防腐作用のある添加剤を添加した水を作動液として使用することができる。
(制御系)
図2を参照して、本実施形態に係る制御系を説明する。図2は、本実施形態における制御系の構成を示すブロック図である。CPU202は、ROM204に記憶された制御プログラムに従って搬送駆動部210および吐出駆動部208の制御を行う。CPU202には、ホスト装置220から入カインターフェイス216を介して吐出データ(記録データ)等の情報が入力される。入力された情報は、RAM206に書き込まれる。
CPU202は、後述するように、サブタンク26に設けられた液面センサ41の検知結果に基づいて、液量調整駆動部212を介して制御弁31およびポンプ32を駆動する。CPU202は、また、搬送駆動部210を介して搬送部62を駆動し、吐出駆動部208を介して吐出ヘッド14を駆動し、循環駆動部214を介して制御弁21およびポンプ22を駆動する。
図3は、吐出口15近傍の拡大図である。吐出ヘッド14において、吐出口15のそれぞれに対応して設けられた圧力室19内には、アクチュエータ(不図示)が実装されている。アクチュエータは、吐出材を微細液滴、例えば1pLなどの液滴として吐出可能なエネルギを発生することができるものであればよく、具体例として、ピエゾ素子(圧電素子)、発熱抵抗体素子等を挙げることができる。ピエゾ素子を用いる場合は、発熱抵抗体素子を用いる場合と比べて温度変化(昇温)による吐出特性への影響が小さいため、高温下での使用が可能となる。そのため、粘性の高い樹脂など幅広い種類の吐出材を用いることができる。また、発熱抵抗体素子を用いる場合は、一般的に製造コストが相対的に廉価であり得る。本例のアクチュエータはピエゾ素子であり、ピエゾ素子の駆動を制御することで圧力室19内の容積を変化させ、吐出口内の吐出材を外部に吐出させる。ピエゾ素子は、MEMS(Micro Electro Mechanical System:微小電気機械システム)技術を用いて実装されていてもよい。
図3に示すように、吐出ヘッド14において、各圧力室19は共通液室20と連通している。また、共通液室20は、収容容器13の第1収容空間5と連通している。吐出口15から吐出されるべき吐出材は、第1収容空間5から共通液室20を経て圧力室19に供給される。吐出ヘッド14は、第1収容空間5との間に制御弁を持たない。そのため、第1収容空間5の内圧は、吐出ヘッド14の吐出口15の外部の大気圧(外気圧)よりも若干負圧であるように制御される。この負圧制御により、吐出口15内の吐出材は外気との界面でメニスカス17を形成し、意図しないタイミングでの吐出口からの吐出材の漏出(滴下)が防止される。本例では、第1収容空間5の内圧は外気圧よりも0.40±0.04kPaだけ負圧になるように制御されている。
図1に示すように、収容容器13は筺体11と筺体12とにより外郭および内容積が画定されている。筺体11と筺体12との間には、可撓性部材(可撓性隔壁)が配置されている。可撓性部材は、可撓性のあるフィルム(第1フィルム)1と可撓性のあるフィルム(第2フィルム)2とを層構成に含む多層構造を有する。第1フィルム1および第2フィルム2は、それぞれ10〜100マイクロメートルの厚さの薄膜であり、結合部3によって互いに対して連動可能に固定されている。結合部3は、接着剤または溶着などの手段により形成され得る。結合部3は、第1フィルム1と第2フィルム2との接合面において部分的に設けられており、第1フィルム1および第2フィルム2は、接合面において互いに関して固定されていない非固定領域を有する。
筺体11は、筺体12に対向する側に開口する第1開口部と、吐出ヘッド14に対向する側に開口する第2開口部と、を有する。第1開口部は第1フィルム1によって全面が覆われて密封されており、筺体11の内面と第1フィルム1との間には第1収容空間5が形成されている。第2開口部は吐出ヘッド14の共通液室20と連通しており、これにより、第1収容空間5は吐出ヘッド14を介して外部空間と連通している。第1収容空間5は吐出材によって満たされており、吐出材と外気との界面は、吐出口15内に位置付けられている。
筺体12は、筺体11に対向する側に開口する開口部を有する。この開口部は第2フィルム2によって全面が覆われて密封されており、筺体12の内面と第2フィルム2との間には第2収容空間6が形成されている。第2収容空間6は、作動液35で満たされており、また、作動液35を貯留する液体収容部であるサブタンク26の内部と、管24を介して連通していると共に、制御弁21およびポンプ22を途中に備える管23を介して連通可能となっている。サブタンク26は、作動液35を貯留する液体収容部である。
作動液35は第2収容空間内において液状充填剤として機能する。第1フィルム1および第2フィルムは、それぞれ、第1収容空間と第2収容空間との間において隔壁として機能する。
(フィルム)
第1フィルム1および第2フィルム2の材質としては、接液性等の観点から、吐出材および作動液に対して耐性のある材質であればよい。例えば、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキル ビニルエーテル共重合体)、ETFE(エチレンテトラフルオロエチレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)のようなテフロン(登録商標)系のフッ素樹脂を用いることができる。また、例えば、PE(ポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PVAL(ポリビニルアルコール)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、ナイロン等のポリアミド合成樹脂が挙げられる。第1フィルム1および第2フィルム2は、同一の材料(材質、厚さ)であってもよく、異なる材料であってもよい。例えば、第1フィルム1には吐出材に対して耐性のあるPTFEのような材質を用い、第2フィルム2には作動液に対して耐性があるナイロン系の材質を用いることができる。
以上の構成によると、第1収容空間5と第2収容空間6との間で内圧に差が生じると、それぞれ可撓性を有する第1フィルム1および第2フィルム2は一体となって内圧の低い側へと移動し、内圧差が無くなった時点で移動を停止する動きを繰り返す。そのため、第1収容空間5および第2収容空間6の内圧を相互に等しい状態に保つことができる。
より具体的に説明する。吐出ヘッド14から吐出材が吐出されると、吐出された吐出材の分だけ第1収容空間5内の吐出材の容積が減ることとなり、その分だけ第1収容空間5の内圧が下がる。このとき、第2収容空間6内の作動液の容積は変わっていないので、相対的に、第2収容空間6の内圧が第1収容空間5の内圧よりも高くなる。第1フィルム1および第2フィルム2は可撓性を有し、かつ結合部3によって連動可能に結合されている。そのため、収容容器13内において、第1フィルム1および第2フィルム2は一体となって、吐出された吐出材の体積分だけ第1収容空間5側へ移動する。それと同時に、サブタンク26から管24を介して作動液35が第2収容空間6内に吸い上げられる。これにより、第1収容空間5および第2収容空間6の内圧は、再び等しくなって平衡状態となる。
図1に示すように、サブタンク26は管25によって外部空間と連通しているので、サブタンク内の圧力は大気圧と等しい。サブタンク26内には作動液35が貯留されている。サブタンク26内の作動液35は、管24および第2収容空間6を連続的に満たす作動液35と連続しており、且つ、鉛直方向における液面位置(以下、液面高さともいう)が吐出ヘッド14の吐出口15よりも低くなるように調整されている。
サブタンク26内の作動液35の液面位置と吐出口15が開口する吐出面の位置との高さの差(鉛直方向における距離)をΔHとする。本実施形態の吐出装置では、吐出ヘッド14内の吐出材が吐出口15内でメニスカス17を形成する状態(図3に示す状態)を維持させようとしている。つまり、吐出材が吐出口から外部に漏出または滴下したり、メニスカスが過度に奥部(例えば、共通液室近傍)に引込んだりすることがないようにしようとしている。そのために、第1収容空間5の内圧を外気圧に対して0.40±0.04kPaだけ低い値に制御したいので、高さの差ΔHを41±4mmとなるように調整している。
なお、本実施形態は、上述のように、1pL(ピコリットル)程度またはそれ以下の液量の吐出が可能なプリント装置に適用可能な吐出材吐出装置である。本例において、吐出材は画像記録用のインクであり、吐出口15の直径は直径10μm(ミクロン)程度である。また、本例において、吐出材および作動液はそれぞれ水とほぼ等しい密度を有するものとする。このような条件の下、本実施形態では、吐出口15内で吐出材のメニスカス17が成立するための、サブタンク26内の作動液35の液面位置と吐出口15が開口する吐出面の位置との高さの差ΔHの値を、上述した41mm±4mmの範囲に設定している。これに対し、例えば解像度の粗いプリント装置であれば吐出口15の直径は数十μmであり、また、樹脂等を吐出材として用いる3Dプリンタにおける吐出口の直径は数百μmである。このように、吐出装置の適用機種によっては吐出口15の直径が異なり、また吐出材の物性(例えば、密度、粘性等)も異なるので、重力、毛管力、表面張力等の影響により、吐出装置の適用対象によって高さの差ΔHの数値は変更され得る。
基準となる液面高さ(本実施形態においては吐出口15より41mmだけ低い高さ)に対して、サブタンク内の作動液の液面高さが所定の範囲(本実施形態においては基準となる液面高さ±4mmの範囲)から外れると、補正動作が作動する。補正動作とは、メインタンク34とサブタンク26との間における作動液の遣り取り(移動)によってサブタンク26内の作動液の液面高さを所定の範囲に収める「液面調整」の動作をいう。
サブタンク26には、液面センサ41が設置されている。本実施形態に適用可能な液面センサ41は、サブタンク26内の作動液の液面高さおよびその変化(変位)を検知することのできるセンサである。
メインタンク34とサブタンク26とは、制御弁31およびポンプ32を途中に備える管33を介して連通可能となっている。制御弁31およびポンプ32を駆動して、液面高さを所望の範囲内に制御する(液面調整を行う)。具体的には、液面センサ41がサブタンク26内の作動液35の液面高さが所定の範囲の下限を切ったことを検知した場合には、制御弁31を開放させ、ポンプ32を駆動させて、メインタンク34からサブタンク26に向けて作動液を供給する。液面センサ41がサブタンク26内の作動液35の液面高さが所定の範囲内であることを検知した場合には、ポンプ32の駆動を停止して、制御弁31を閉鎖する。また、液面センサ41がサブタンク26内の作動液35の液面高さが所定の範囲の上限を超えたことを検知した場合には、制御弁31を開放させ、ポンプ32を駆動させて、サブタンク26からメインタンク34に向けて作動液を戻す。これにより、サブタンク26内の液面高さは所定の範囲内に維持される。
(好ましい態様)
本実施形態の好ましい態様において、サブタンク26は、その内部の天井面(鉛直方向における最上部)が吐出ヘッド14の吐出口15よりも鉛直方向において低くなるように配置される。この構成によれば、上述の液面調整において仮にサブタンク26が満水状態になるまでメインタンク34からサブタンク26に作動液を供給したとしても、サブタンク26内の作動液35の液面位置が吐出口15の吐出面の位置よりも高くなることはない。つまり、天井面によって液面高さは制限されるため、作動液35の液面と吐出口との鉛直方向における相対的な位置関係(高低関係)は維持されて、ΔHの値は0(零)に至ることは無い。したがって、第1収容空間5および第2収容空間6の内圧を、外気圧に対して常に負圧に保つことが可能となっている。この構成によれば、吐出口15から吐出材が漏出または滴下することが防止される。
(循環系)
第2収容空間6とサブタンク26とは、上述の通り、管24を介して連通しているのに加え、制御弁21およびポンプ22を途中に備える管23を介して連通可能となっている。収容容器13を吐出装置に関して一度取り外して再度取り付けた場合、管24に泡が入る可能性がある。その場合には、制御弁21を開いてポンプ22を作動させ、作動液35を、管24、第2収容空間6および管23を通して循環させてサブタンク26に送ることによって、管24内の泡を取り除くことができる。ポンプ22を使用しないときには制御弁21を閉じておく。ポンプ22を使用するときは制御弁21を開く。
(ポンプ)
ポンプ22およびポンプ32の例として、シリンジポンプ、チューブポンプ、ダイアフラムポンプ、ギアポンプ等が挙げられる。ただし、ポンプ22およびポンプ32は送液手段の機能を有していればよいため、ポンプに限定されるわけではなく、吐出材吐出装置に適した送液手段を選定することが可能である。
先に説明したように、図1に示す吐出装置では、収容容器13の内部空間は、隔壁として機能する2枚のフィルムを含む可撓性部材によって、第1収容空間5と第2収容空間6とに分離されている。もし第1フィルム1と第2フィルム2とがそれぞれ独立して変形および移動することが可能であるならば、サブタンク26内における液面高さを調整しても、それによって吐出ヘッド14内の圧力を上述のように制御することはできない。しかしながら、本発明の実施形態においては、第1フィルム1と第2フィルム2とが連動して一体的に変形し移動することが可能であるため、吐出ヘッド14内の圧力を制御することができる。以下に具体的に説明する。
第1フィルム1と第2フィルム2とがそれぞれ独立して変形および移動する構成において、サブタンク26内における作動液の液面位置(液面高さ)を吐出口15が開口する吐出面の位置よりも低い高さに調整しようとする場合について説明する。第2収容空間6内の作動液は重力によって鉛直方向下方のサブタンク26内に移動しようとする。第2フィルム2は、第1フィルム1とは無関係に移動可能であるので、第2収容空間6内の作動液35がサブタンク26に移動していくのに伴い、図中のX方向に移動を続ける。高さの差ΔHが小さくなり所定値未満になると、サブタンク26の液面調整機能が作動し、作動液35は、ポンプ32によって、サブタンク26からメインタンク34にさらに送られる。あるいはまた、系内の作動液35は、サブタンク26の吸気口としても機能する大気連通した管25から外部に溢れ出る。いずれの場合にも、最終的には第2収容空間6から流出可能な作動液が無くなって、第2フィルム2は筺体12の内壁面に張りついた状態に至ることとなる。このとき、第2フィルム2が移動しても、第1フィルム1は移動しないので、第1収容空間5の内圧は変化しない。
このように、第1フィルム1と第2フィルム2とが連動しない構成の場合は、作動液35の液面位置の調整によって吐出ヘッド14内の圧力を制御することができない。
これに対し、本発明の実施形態では、第1フィルム1および第2フィルム2は、接合面に分布する結合部3によって複数箇所で連結されているため、第1フィルム1および第2フィルム2は連動して同時に同方向に移動する。
ここで、第1収容空間5は、吐出ヘッドの吐出口15を介して外気と連通している。吐出口内の吐出材と外気との界面において、吐出材にはその高さでの大気圧、吐出材の重力、および吐出口の内壁による流抵抗および表面張力等の力が働く。力の釣り合いの関係から、吐出材は吐出口から外部に流れ出ようとし、第1フィルム1を図中のX方向とは反対の−X方向に移動させようとする。
本実施形態の構成によれば、第2フィルム2を図中のX方向に移動させようとする力と第1フィルム1をその反対方向である−X方向に移動させようとする力とのバランスにより、第1収容空間5および第2収容空間6の内圧が等しい状態が維持される。そのため、高さの差ΔHを所定の範囲に保つことによって、吐出口15内にメニスカス17が形成される負圧で、第1収容空間5および第2収容空間6の内圧が釣り合った状態となる。したがって、サブタンク26内の作動液35の液面位置の調整によって吐出ヘッド14内の圧力制御を行うことができる。
図4は、本実施形態に係る可撓性部材の構成を説明する図である。可撓性部材を構成する第1フィルム1および第2フィルム2は共に、筺体11の収容部の内壁の形状、つまり第1収容空間を形成する壁に沿う形状に合わせて成形された凸形状部を有する。第1フィルム1および第2フィルム2の成形方法としては、加熱しながらの熱成形が挙げられる。例えば、加熱しながらの真空成形や、ブロー成形、金型成型等が挙げられる。しかし、これらに限定されるものではなく、材質および必要形状に適した成形方法を選択することができる。
この2枚のフィルムを図4(a)に示すように重ね合わせ、次いで図4(b)に示す溶着ライン71に合わせてレーザー加工機によってレーザーを照射して被照射部分を熱溶着させることによって、2枚のフィルムが部分的に連結された積層体が得られる。溶着ライン71の部分が結合部3となる。溶着ライン71の形態および数等の仕様は、本発明の趣旨に直接影響を及ぼさないので、ここでは詳細な説明を省略する。
かかる積層体を含む可撓性部材は、吐出材収容ユニット100に組み付けられる前の段階で、凸形状である凸形状部を有する。可撓性部材は、凸形状が第2収容空間6の側から第1収容空間5の側に向かって突出するように組み付けられる。第1収容空間5および第2収容空間6がそれぞれ吐出材および液体等で満たされておらず、可撓性部材が空気のみに接触している部分を有する状態において、凸形状部は凸形状を示す。可撓性部材は変形可能であり、第1収容空間5を形成する筺体11の一部の壁に沿って変形し、第1収容空間5を縮小させるようにして第2収容空間6を拡張することが可能である。
可撓性部材の凸形状部をテーパー状に形成してもよい。凸形状部の角部、隅部には、湾曲形状の部分(湾曲部)Rを設けてもよい。このようにすることで、可撓性部材の変形を容易にすることが可能となる。この可撓性部材の形状に沿う形状に、第1収容空間5および第2収容空間6の内面形状を加工してもよい。
上述のように、第1フィルム1および第2フィルム2は、吐出材の吐出に伴って一体的にスムーズに移動する必要がある。そのため、フィルムの接合面における結合部3の面密度(単位面積当たりの量(数、面積))は、テーパー状の部分(テーパー部)Tおよび湾曲部Rと比べて、テーパー部Tおよび湾曲部Rに囲まれた領域である中央領域8において、高いことが好ましい。中央領域8は、フィルムを連動させる押圧力を直接的に受ける領域となり、平坦であることが好ましいが、例えば緩やかに湾曲していてもよく、厳密に平坦でなくてもよい。また、テーパー部T、湾曲部Rおよび中央領域8のうち、湾曲部Rにおいて結合部3の面密度が最も低いことが好ましい。結合部3の面密度が高い程、剛性が高くなるためである。
第1フィルムおよび第2フィルムの少なくとも一方に柔らかい材質または薄い厚さを用いて可撓性部材全体としての剛性を下げ、第1フィルムおよび第2フィルムの一体的な移動がスムーズに行われるようにしてもよい。
フィルム自体の形状についても、例えば図5に示すように、場所によって厚さを変更して、部分的な強度に変化を持たせてもよい。例えば、フィルムの変形容易のために湾曲部Rおよびテーパー部Tの厚さを相対的に薄くし、フィルムを連動させる押圧力を受けた際に変形することを望まない中央領域8および外縁部7を相対的に厚くしてもよい。このような厚さの仕様についても、本発明の趣旨に直接影響を及ぼさないので、ここでの詳細な説明は省略する。
図1に示すように、可撓性部材の2枚のフィルムの間は通気口18によって外気(大気)と連通するように構成される。第1収容空間5および第2収容空間6は、外気圧(大気圧)に対して等しく負圧状態を保つように内圧が制御される。そのため、2枚のフィルムの溶着していない部分である非固定領域は、それぞれのフィルムが覆う第1収容空間5および第2収容空間6に向かって引っ張られ、第1フィルム1と第2フィルム2との間には膨張した状態の空間4が形成される。以下、第1フィルム1と第2フィルム2との間の空間4を、膜間空間ともいう。
収容空間(第1収容空間5および第2収容空間6)が、収容空間の外部と連通した場合の挙動について説明する。図6は、本実施形態による吐出装置において、第2フィルム2の一部に破損が生じた場合の装置の状態と挙動を説明する図である。この場合、第1フィルム1と第2フィルム2との間の膜間空間4が、収容空間の外部となる。本実施形態において、膜間空間4は開放空間であり大気連通しているため、膜間空間4内の気圧は大気圧と等しい。また、第1収容空間5および第2収容空間6は、図1で説明したように、共に大気圧よりも0.4±0.04kPaだけ負圧となるように内圧が調整されている。図6に示すように、第2フィルム2の一部が破損して孔73が開くと、孔73を通って、相対的に圧力の高い膜間空間4から圧力の低い第2収容空間6に向かって空気が気泡74となって吸い込まれる。気泡74の内圧は大気圧と等しいので、気泡の吸い込みによって第2収容空間6の内圧は上昇し、第2収容空間6内の作動液は管24を介してサブタンク26側に押し出される。
押し出された作動液により、サブタンク26内の作動液の液面が上昇する。この上昇をサブタンク26に設置された液面センサ41(図1参照)が検知することで、フィルムに破損が生じて気泡が収容空間に入り込んだことを検知することができる。ここでいうフィルムは第1フィルム1および第2フィルム2を総称しており、また、収容空間は第1収容空間5および第2収容空間6を総称している。以下、本明細書において用語「フィルム」および「収容空間」を同様に用いることがある。
ここで、フィルムの破損とは異なる別の理由でサブタンク26内の作動液35の液面高さが変化する場合について検討する。
まず、先に説明したように図1に示す高さの差ΔHの値を所定の範囲内に維持するためにメインタンク34からサブタンク26に作動液35を補給する場合には、当然のことながら、サブタンク26内の作動液35の液面上昇が発生する。しかしながらこの場合には液送量がわかっているので、作動液補給による液面高さの変化と、予期せぬ異常な液面高さの変化とを区別することが可能である。
また、吐出口15から吐出材が吐出された場合には、吐出された分だけ、サブタンク26から第2収容空間6側へ作動液が吸い出される(供給される)。これによりサブタンク26内の作動液の液面高さは変化するが、この場合には液面が下降する方向に変化する。そのため、吐出材吐出による液面高さの変化と、液面が上昇する方向に変化するフィルム破損による液面高さの変化と、を明確に区別することが可能である。
このように、第2フィルム2の一部に破損が発生した場合には、サブタンク26における作動液35の液面上昇の検知によって、フィルムの破損の発生を検知することができる。
続いて、第1フィルム1の一部に破損が発生した場合について説明する。この場合の吐出装置の状態と挙動は、図6を参照して第2フィルム2について上述したものと同様となる。具体的には、第1フィルム1の一部に破損が生じると、上述の圧力の大小関係から、破損箇所を通って第1収容空間5内に気泡74が吸い込まれる。気泡74の内圧は大気圧と等しい圧力であるので、気泡74が吸い込まれた第1収容空間5内の内圧は上昇する。そして、第1収容空間5の内圧が第2収容空間6の内圧よりも高くなるために、隔壁として機能する第1フィルム1および第2フィルム2が一体的に第2収容空間6側へ移動して、作動液35がサブタンク26へ押し出される。押し出された作動液によりサブタンク26内の作動液の液面が上昇し、この上昇をサブタンク26に設置された液面センサ41(図1参照)が検知する。予期せぬ異常な液面高さが検知されることにより、フィルムに破損が生じて気泡74が収容空間に入り込んだことを検知できる。
以上のように、第1フィルム1および第2フィルム2のどちらが破損しても、サブタンク26に設置した液面センサ41によって予期せぬ液面高さの上昇が検知されることで、いずれかのフィルムが破損したことを検知することが可能となっている。
本発明の実施形態によれば、第1フィルム1および第2フィルム2のどちらが破損した場合でも、吐出材と作動液は分離されているので互いに接触することは無い。
以上の説明によれば、フィルムに破損が発生すると、第1収容空間5の内圧は外気圧と等しくなるまで上昇する可能性がある。従って、吐出口15内で吐出材がメニスカス17を形成する状態を維持することができず、吐出材が意図しないタイミングで吐出口15から滴下してしまう可能性が出てくる。しかしながら、本発明の実施形態による吐出装置では、第1収容空間5の内圧が上昇に転じた時点で異常を検知することができ、それに基づき異常警報を発報できるので、吐出材が滴下する前に滴下防止手段を作動させることが可能である。滴下防止手段の例としては、例えば、吐出口のキャッピング、および圧力制御手段による第2収容空間の負圧制御などが挙げられる。
(変形例)
上記において、第1フィルム1と第2フィルム2との間の膜間空間4が外気と連通しているために大気圧と等しい気圧を有する構成を示した。しかしながら、外気との連通を制御するためのバルブを設け、膜間空間4内の気圧を外気によって予め大気圧に調整した後にバルブを閉じ、膜間空間4を密閉空間としても、膜間空間4と第1収容空間5および第2収容空間6のそれぞれとの差圧を保つことができる。この状態で、第1フィルム1および第2フィルム2のいずれかが破損すると、第1フィルム1と第2フィルム2との間の膜間空間4にある気体が、吐出材を含む第1収容空間5または作動液を含む第2収容空間6に流入する。この場合、最大でも第1フィルム1と第2フィルム2との間の容積分までしか気体が流入することがない。そのため、膜間空間4が外気と連通している構成と比べて非常に少ない流入量で、フィルム破損の発生を検知できるとともに、吐出口からの吐出材の滴下を抑制することができる。
フィルムに破損が発生する原因は様々である。インクを吐出材とするプリント装置では、製造上のバラツキにより、隔壁としてのフィルムに孔が開いてしまっているものがある場合がある。また、隔壁としてのフィルムが収容容器13内で移動・変形を繰り返すことで孔が開いてしまう場合がある。特許文献1に示される従来例のようにフィルムに孔が開くと同時に吐出材と作動液とが接触して吐出材中に作動液が混入してしまう構成であると、多くの問題が発生する。すなわち、画像記録用のインクに対して作動液としての水が混入して拡散すると、インクが水で薄まり記録画像がかすれてしまう。また、作動液は不純物である添加剤を含んでいるので、直径が10μm程度の吐出口15に作動液中の析出物または作動液中のパーティクルが詰まって、吐出不能な状況に陥る場合がある。従って、隔壁としてのフィルムに孔が開いたとしても、吐出材と作動液とが接触したり混入したりしないことは非常に重要となる。
本発明の実施形態による吐出装置が、半導体露光装置用の感光レジスト塗布装置に適用される場合は、吐出材と作動液とが接触しないことによる効果はさらに大きい。感光レジスト塗布装置では、吐出パターンの密度が細かいので、吐出口15の口径は高密度のプリント装置と同様に10μm程度である。そのため、不純物の詰りが重大な問題となる。さらに、感光レジストの必要条件として、レジスト内に溶出するNa、Mg等の金属イオンの濃度は数ppb未満であることが要求される。感光レジストに作動液が混入するに至らなくても、接触が発生しただけで、作動液中の金属イオンが感光レジスト内に移動して、金属イオン汚染が発生する。しかも、金属イオン汚染の発生した感光レジストがウエハに塗布されると、このウエハと接触した次工程以降の全ての生産装置に金属イオン汚染が拡散して重大な問題となる。このように、吐出材と作動液とが接触することなく、フィルム破損の発生を検知できることの重要性は非常に大きい。
(フィルム破損に起因する液面上昇の検知)
再度、図1を参照し、図1に示した高さの差ΔHを調整する方法に話を戻す。上述の例では、高さの差ΔHの値を41mm±4mmに設定することによって、吐出材を含む第1収容空間5の内圧を外気圧に対して0.40±0.04kPaだけ低い値に制御することを説明した。このとき、サブタンク26内の作動液35の液面は、吐出口15が開口する吐出面の位置に対して、鉛直方向に沿った図中のZ方向において−37mmから−45mmの範囲の位置にあればよい。従って、液面調整のためには、吐出口15に対して、Z方向において−37mmから−45mmの位置に上限センサおよび下限センサを配置して、液面が常に両センサの間に維持されるように、液面位置を調整すればよい。上限センサおよび下限センサは、液面が設定した上限レベルに達したことおよび設定した下限レベルに達したことを検知するレベルセンサである。
これに対して、フィルムが破損した場合のサブタンク26内の液面上昇を検知するためには、液面の変化を検知可能な変位センサが必要となる。そのため、本実施形態の液面センサ41は、吐出口15に対して、Z方向において−25mmから−55mmの範囲で液面位置の変化を検知可能な変位センサを構成している。本構成の液面センサ41は、液面調整のための上限センサおよび下限センサの機能と、フィルム破損を検知するための液面変位センサの機能と、を両立している。
高さの差ΔHを算出する上で、液面センサ41によって計測された液面高さから、制御装置(図2のCPU202)によって、液面位置の変化量と、時間ごとの液面位置の変化率(以下、液面変化速度ともいう)と、の2種類の値が算出される。サブタンク26内の作動液35の液面は、例えば地震などの振動によって、位置が急激に変化したように検知されることがある。しかしながら、地震による液面変動では、液面変化速度は正負の値が入れ替わりに検知される。これに対して、先に説明したフィルム破損によるサブタンク26内の作動液の液面上昇は、正方向の液面変化速度だけが検知される。よって、制御装置では、液面変化速度の挙動によって、地震などの振動による液面変化と、フィルムの破損による液面変化と、を分離して認知することができる。
また、高さの差ΔHの値を一定の範囲内に保つためにメインタンク34から作動液35をサブタンク26へと供給することは先に説明した。このような供給動作では、先に説明したように送液量は既知であり、液面変化速度も、制御装置によって算出されている。液送の途中にフィルムの破損が発生した場合には、液面変化速度が既知の値よりも大きく検知されるので、異常な状態を認知できる。
本構成によれば、高さの差ΔHの補正の際にメインタンク34からサブタンク26に補充された作動液の量の積算値を算出することも可能である。補充された作動液の量の積算値は、すなわち第1収容空間5内の吐出材が減少した量と等しい。そのため、吐出された吐出材の総量と、第1収容空間5に残っている吐出材の残量とを、同時に把握することが可能である。このような機能によって、収容容器13の使用時間と残液量の相対関係を把握して、余命予測を算出することも可能である。
<第2の実施形態>
以下、図面を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態は、フィルムの破損によってサブタンク26に押し出される作動液を、第1の実施形態とは異なる手段によって検知する構成である。本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
図7は、本発明による第2の実施形態を示したものである。同図において、第2収容空間6とサブタンク26の内部とを連通させる管24に、流速センサ77が設置されている。第1フィルム1および第2フィルム2のいずれかに破損が発生すると、第2収容空間6から作動液35がサブタンク26側に押し出される。このとき作動液は管24を経由するので、流速センサ77によって流速が検知できる。
これに対し、吐出口15から吐出材が吐出された場合は、吐出された分だけ、サブタンク26から第2収容空間6側へ作動液が吸い出される(供給される)。このとき作動液は管24を経由するので、流速センサ77によって流速が検知できるが、流れの向きは、フィルムに破損が発生したときの逆になる。そのため、吐出材吐出による作動液の流れと、フィルム破損による作動液の流れとでは、流速の値の正負の符号が逆になり、明確に区別することが可能である。
また、高さの差ΔHの値を所定の範囲内に維持するためにメインタンク34からサブタンク26に作動液35を補給する場合には、送液は管33を介して行われ、管24は関与しないため、流速センサ77によって流速は検知されない。
したがって、本実施形態の構成によれば、流速センサ77による流速の検知に基づき、フィルムの破損の発生を検知することができる。なお、流速センサ77の代わりに流量センサを用いても、同様の効果を得ることができる。すなわち、流量センサにより、第2収容空間6からサブタンク26に向かう作動液35の流量を検知することによって、フィルムの破損の発生を検知することができる。
本実施形態においても、第1フィルム1および第2フィルム2のどちらが破損した場合でも、吐出材と作動液は分離されているので互いに接触することは無い。そのため、接触による吐出材の劣化を防止することができる。
また、フィルムに破損が発生すると、第1収容空間5の内圧は外気圧と等しくなるまで上昇する可能性がある。従って、吐出口15内で吐出材がメニスカス17を形成する状態を維持することができず、吐出材が意図しないタイミングで吐出口15から滴下してしまう可能性が出てくる。しかしながら、本実施形態による吐出装置では、第1収容空間5の内圧が上昇に転じた時点で異常を検知することができ、それに基づき異常警報を発報できるので、吐出材が滴下する前に滴下防止手段を作動させることが可能である。
<第3の実施形態>
以下、図面を参照して本発明の第3の実施形態を説明する。第3の実施形態は、フィルムの破損を内圧変化により直接的に検知する構成である。本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
図8は、本発明による第3の実施形態を示したものである。図8では、第1収容空間5および第2収容空間6のそれぞれの内圧を監視する内圧監視用の圧力センサ75および76が設置されている。第1フィルム1および第2フィルム2のいずれかに破損が発生すると、膜間空間4から破損箇所を通って気泡が第1収容空間5または第2収容空間6に入り込む。上述のように、気泡の内圧は大気圧であり、第1収容空間5および第2収容空間6の内圧は大気圧よりも負圧であるので、気泡が入り込んだ収容空間において内圧が上昇する。したがって、内圧監視用の圧力センサ75および76による内圧上昇の検知に基づき、フィルムの破損の発生を検知することができる。
本実施形態の構成によると、内圧上昇を直接的に検知することができるため、異常を発生後速やかに検知することができ、それに基づき異常警報を発報できるので、吐出材が滴下する前に滴下防止手段を作動させることが可能である。
本実施形態においても、第1フィルム1および第2フィルム2のどちらが破損した場合でも、吐出材と作動液は分離されているので互いに接触することは無い。そのため、接触による吐出材の劣化を防止することができる。
本実施形態では、圧力センサを各収容空間に対して1つずつ、計2つ設けているが、圧力センサはいずれか一方の収容空間に対して設けるものであっても、同様の効果が得られる。
<第4の実施形態>
以下、図面を参照して本発明の第4の実施形態を説明する。第4の実施形態は、フィルムの破損の発生を検知する手段を複数有する構成である。。本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
図9は、本発明による第4の実施形態を示したものである。図9において、サブタンク26の内部の天井面は、吐出ヘッド14の吐出口15よりも低い位置に配置されている。また、図9において、サブタンク26の内部は、吸気口としても機能する管25によって外気と連通している。管25の出口には満水センサ28が配置されている。満水センサ28は具体的には作動液に反応する漏出センサである。満水センサ28の例として、例えば、光学式のセンサ、通電・短絡検知式のセンサ等のセンサが挙げられる。また、第1フィルム1と第2フィルム2との間の通気口18の下方には、漏出センサ42が配置されている。漏出センサ42は、作動液および/または吐出材に反応するセンサである。漏出センサ42の例として、例えば、光学式のセンサ、通電・短絡検知式のセンサ等のセンサが挙げられる。
この構成において、フィルムが破損すると、気泡が収容空間に吸い込まれることによって、負圧に調整されていた第2収容空間6の内圧の上昇が始まり、作動液35が第2収容空間6からサブタンク26へ流入していく。サブタンク26の内部の天井面高さは吐出ヘッド14の吐出口15よりも低いので、第2収容空間6の内圧が大気圧と等しい圧力に達する前に、サブタンク26は満水となる。続いて、作動液35は管25を通ってサブタンク26の内部から外部へと溢れ出す。溢れ出した作動液35は、満水センサ28によって検知される。
また、フィルムが破損して気泡が収容空間に吸い込まれる際に、収容空間から膜間空間4に吐出材または作動液が移動(漏出)すると、吐出材または作動液は重力に従って滴下する。滴下した吐出材または作動液は、漏出センサ42によって検知される。
以上の構成によれば、フィルムの破損が発生すると、収容空間の内圧が大気圧と等しくなる前に、サブタンク26の満水が検知できる。例えば、液面センサ41が故障して、液面高さの変化が検知されないことでフィルムの破損を見逃したとしても、満水センサ28が作動液35の漏出を検知することによって、フィルムの破損を検知することができる。あるいはまた、漏出センサ42が吐出材または作動液の漏出を検知することによって、フィルムの破損を検知することができる。
このように、本実施形態では複数の検知手段を用いた二重・三重の検知機能でフィルムの破損の見逃しを防止している。なお、本例では、液面センサ41と、満水センサ28と、漏出センサ42と、の3つの検知手段を用いているが、本発明においてはこれに限定されない。すなわち、本発明においては、フィルム破損の発生の検知手段または検知機能は1つであってもよく、あるいは2つ以上の検知手段または検知機能を用いてフィルム破損の発生の見逃し防止効果を高めてもよい。
本実施形態においても、第1フィルム1および第2フィルム2のどちらが破損した場合でも、吐出材と作動液は分離されているので互いに接触することは無い。そのため、接触による吐出材の劣化を防止することができる。
フィルムに破損が発生すると、第1収容空間5の内圧は外気圧と等しくなるまで上昇する可能性がある。従って、吐出口15内で吐出材がメニスカス17を形成する状態を維持することができず、吐出材が意図しないタイミングで吐出口15から滴下してしまう可能性が出てくる。しかしながら、本実施形態によると、吐出ヘッドの内圧が大気圧に達する前に異常を検知することができ、それに基づき異常警報を発報できるので、吐出材が滴下する前に滴下防止手段を作動させることが可能である。
<第5の実施形態>
以下、図面を参照して本発明の第5の実施形態を説明する。第5の実施形態は、膜間空間が閉空間である構成である。本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
図10は、本発明による第5の実施形態を示したものである。第5の実施形態は、膜間空間4を閉空間に構成した上で、閉空間に流入する気体の流れを測定する測定手段をさらに備える。具体的には、図10に示す第5の実施形態において、第1フィルム1および第2フィルム2は、間に結合部3および膜間空間4を挟み、且つ一端に開口部を有するように、袋状に閉じられている。この開口部には、ガスタンク37の接続口が、間から空気が漏れないように気密に接続されている。この接続部は、膜間空間4の外部であるガスタンク37の内部から膜間空間4内部へ向かう空気の吸込口となる。この接続部(吸込口)を通る空気の流量を計測するために、流量センサ78が配置されている。
ガスタンク37の本体は、収容容器13の外部に飛び出ており、ガスタンク37の本体の内部空間(空気溜まり)は、膜間空間4と連通している。ガスタンク37には、本実施形態における使用条件下(圧力条件下)において、内圧の変化に同期して変形することのない強度のものを用いる。
上述のように、第1フィルム1および第2フィルム2のいずれかが破損すると、膜間空間4の空気は、フィルムの破損箇所を通って、気泡74となって、第1収容空間または第2収容空間に吸い込まれる。また、それに伴う収容空間の圧力上昇によって、作動液35は第2収容空間6からサブタンク26側へ押し出される。このとき、収容空間に吸い込まれていった気泡74の体積分の空気を補うべく、膜間空間4の外部、すなわちガスタンク37の内部空間からの空気が膜間空間4の内部に吸い込まれ、空気の流れが生じる。
流量センサ78が、ガスタンク37の内部空間から膜間空間4に向かう有意な流量の空気の流れを検知することによって、フィルムの破損の発生を検知することができる。
また、同様に、流量センサ78の代わりに流速センサを用いても、同じ効果を得ることができる。すなわち、流速センサが、ガスタンク37の内部空間から膜間空間4に向かう有意な流速の空気の流れを検知することによって、フィルムの破損の発生を検知することができる。流速センサによる検知精度を高めるために、流速センサの吸込口を絞って、流速を上げることが望ましい。
本実施形態においても、第1フィルム1および第2フィルム2のどちらが破損した場合でも、吐出材と作動液は分離されているので互いに接触することは無い。そのため、接触による吐出材の劣化を防止することができる。
フィルムに破損が発生すると、第1収容空間5の内圧は外気圧と等しくなるまで上昇する可能性がある。従って、吐出口15内で吐出材がメニスカス17を形成する状態を維持することができず、吐出材が意図しないタイミングで吐出口15から滴下してしまう可能性が出てくる。しかしながら、本実施形態による吐出装置では、フィルム破損が生じると、それによって生じる、膜間空間4の外部から内部への空気の移動によって異常を発生後速やかに検知することができ、それに基づき異常警報を発報できる。そのため、吐出材が滴下する前に滴下防止手段を作動させることが可能である。
膜間空間4を密閉空間とする構成によると、フィルム破損が発生した際に膜間空間4から収容空間へ流入する気体の容積が限定され、収容空間の内圧増加が抑制される。そのため、少ない気体流入量で、フィルム破損を検知できるとともに、吐出口からの吐出材の滴下を抑制することができる。
<第6の実施形態>
以下、図面を参照して本発明の第6の実施形態を説明する。第6の実施形態は、サブタンク26の内圧を複数の圧力に調整可能な圧力調整機構を設けた構成である。本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
図11は、本発明による第6の実施形態を示したものである。サブタンク26には、先端は大気に開放され途中には三方向弁46が接続された管25が接続されて、サブタンク26の内部を大気連通可能にしている。三方向弁46には、圧力調整管45が連通可能に接続されている。圧力調整管45には、レギュレーター47とポンプ48とが接続されている。
吐出口から吐出材を吐出する吐出動作を行う際は、サブタンク26は大気と連通しており圧力調整管45とは連通していないように、三方向弁46の開閉を制御する。
サブタンク26の内圧を大気圧よりも低い圧力(負圧)にするには、レギュレーター47を所定の圧力に設定しておき、ポンプ48を動作させ、サブタンク26と圧力調整管45とが連通するように三方向弁46の開閉を制御する。その結果、サブタンク26の内圧を負圧に制御することができる。
レギュレーター47を制御して、サブタンク26の内圧を複数の圧力に制御することも可能である。例えば、レギュレーター47で制御するサブタンク26の内圧を、吐出動作に適した圧力(第1圧力)よりも低く、且つ吐出口15における吐出材のメニスカスが破壊されない圧力(第2圧力)に制御することができる。吐出動作に適した圧力(第1圧力)とは、換言すると、吐出動作を行う際の吐出ヘッドの定常内圧として適する圧力である。また、第1圧力よりも低く、且つ吐出口15における吐出材のメニスカスが破壊されない圧力とは、吐出口内に吐出材のメニスカスが形成されつつも、メニスカス形成位置が吐出口の奥部となる圧力である。
吐出口15における吐出材のメニスカスが破壊されない圧力は、吐出口の直径および吐出材の表面張力等の要因により異なるが、例えば、外気圧に対して0.40kPaだけ低い値が挙げられる。
吐出される吐出材の量や吐出材の飛翔速度の変化を防止するために、上述のサブタンク26の内圧の制御を、吐出動作を行わない非吐出動作時に行うことが望ましい。
サブタンク26の内圧を変化させると、第1収容空間5および第2収容空間6の内圧も変化し、第1収容空間5と連通する吐出口15から吐出材の漏出または滴下が生じる可能性ある。これを考慮すると、サブタンク26の内圧の切り替え制御は、吐出材が吐出ヘッド14から吐出される吐出位置(例えば、図3に示すメニスカスを形成する位置)に配置されていない状態となる場合に行うことが望ましい。
また、吐出材の漏出または滴下が生じた場合の被害を少なくするために、サブタンク26の内圧の切り替え制御は、吐出ヘッド14が移動していないとき、吐出材収容容器の交換時、および吐出ヘッド14のメンテナンス時に行うことが望ましい。
本実施形態では、サブタンク26の内部を閉空間とし、サブタンク26の内圧を大気圧よりも低く設定することにより、フィルム破損によって第2収容空間6から作動液35がサブタンク26側へ流れる流速を増大させることができる。その結果、サブタンク26内の液面の上昇を早く検知することが可能となり、フィルムの破損の発生を早く検知することが可能となる。
本実施形態においても、第1フィルム1および第2フィルム2のどちらが破損した場合でも、吐出材と作動液は分離されているので互いに接触することは無い。そのため、接触による吐出材の劣化を防止することができる。
<第7の実施形態>
図12は、本発明による第7の実施形態を示したものである。第7の実施形態は、第2の実施形態の変形例であり、第2の実施形態の構成に対して、第6の実施形態において示したサブタンク26の内圧を調整する圧力調整機構をさらに設けた構成である。本実施形態の基本的な構成は第2および第6の実施形態と同様であるため説明を省略する。
本実施形態では、サブタンク26の内部を閉空間とし、サブタンク26の内圧を大気圧よりも低く設定することにより、フィルム破損によって第2収容空間6から管24を経由してサブタンク26側へ流れる作動液35の流速を増大させることができる。その結果、流速センサ77による流速の検知を早く且つ精度よく行うことが容易となり、フィルムの破損の発生を早く且つ容易に検知することができる。
本実施形態においても、第1フィルム1および第2フィルム2のどちらが破損した場合でも、吐出材と作動液は分離されているので互いに接触することは無い。そのため、接触による吐出材の劣化を防止することができる。
<第8の実施形態>
図13は、本発明による第8の実施形態を示したものである。第8の実施形態は、第5の実施形態の変形例であり、第5の実施形態の構成に対して、第6の実施形態において示したサブタンク26の内圧を調整する圧力調整機構をさらに設けた構成である。本実施形態の基本的な構成は第5および第6の実施形態と同様であるため説明を省略する。
本実施形態では、サブタンク26の内部を閉空間とし、サブタンク26の内圧を大気圧よりも低く(負圧に)設定する。内圧を小さく(負圧の絶対値を大きく)制御することで、フィルム破損の発生時に、第2収容空間6からサブタンク26側へ向かう流体の流れを増大させることができる。これに伴い、膜間空間4から第2収容空間6に流入する空気の流れが増大し、さらに、ガスタンク37の内部空間から接続部(吸込口)を通って膜間空間4に流入する空気の流れを増大させることができる。その結果、流量センサ78による流量の検知が容易になり、検知制度が向上して、より確実にフィルムの破損を検知することが可能となる。流量センサ78の代わりに流速センサ77を用いて流速を検知しても同様の効果が得られる。
本実施形態においても、第1フィルム1および第2フィルム2のどちらが破損した場合でも、吐出材と作動液は分離されているので互いに接触することは無い。そのため、接触による吐出材の劣化を防止することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。各実施形態に示した構成の一部または全体を組み合わせたものも、本発明の実施形態の範囲に含まれる。
以上の実施形態において、液面センサ、流速センサ、流量センサ等の種々の検知手段を示した。これらの検知手段は、フィルムの破損に起因する、膜間空間から第1収容空間または第2収容空間への気体の流入と、第1収容空間または第2収容空間から膜間空間への液体の漏出と、の少なくとも一方に伴う圧力変化の発生を検知するための手段として用いられる。これらの検知手段は、単独または任意に組み合わせて使用することができる。組み合わせて使用することにより、フィルムの破損の見逃しを防止する効果が高まる。
また、第1の実施形態における液面センサを、変位センサであって、上限/下限センサとしての機能と、変位センサとしての機能を両立するものとして説明した。しかしながら、他の検知手段と共に使用する際には、他の検知手段をフィルム破損検知のために用いて、液面センサを、単に上限/下限を検知する上限/下限センサとして、液面調整の目的のみに用いてもよい。
上述の実施形態において、可撓性部材は第1フィルムおよび第2フィルムの2枚のフィルムを層構成に含むものとして説明した。しかしながら、本発明において、隔壁としてのフィルムは複数枚であればよく、2枚に限定されるものではない。フィルムの枚数が3枚以上ある構成であっても、フィルム間が結合部3で部分的に連結されていて、接合面において固定されていない非固定領域を有しつつ、連動する関係が保持されていれば、フィルムの枚数が2枚であるものと効果に変わりはない。
なお、これまで、第1フィルム1や第2フィルム2の破損に伴い、第1収容空間5や第2収容空間6の圧力変化が発生し、この圧力変化を検知する例を説明したが、本発明はこれに限られない。第1収容空間5や第2収容空間6の第1フィルム1や第2フィルム2以外の場所が破損し、破損個所から収容空間に気体が流入したり、収容空間から液体が漏出したりした場合であっても、同様にして効果を発現することができる。例えば図1に関して、筺体11や筺体12の一部に破損が生じた場合であっても、第1収容空間5および第2収容空間6が外部の空間に対して負圧であることには変わりない。このため、破損個所から第1収容空間5や第2収容空間6に外気が吸引されて、第2収容空間6内の作動液が管24を介してサブタンク26側に押し出される。従ってサブタンク26の液面変化が生じることで、検出が可能となる。
1 第1フィルム
2 第2フィルム
3 結合部
4 膜間空間
5 第1収容空間
6 第2収容空間
11 筐体
12 筐体
13 収容容器
14 吐出ヘッド
15 吐出口
17 メニスカス
18 通気口
19 圧力室
21、31 制御弁
22、32 ポンプ
23、24、25 管
26 サブタンク
35 作動液
34 メインタンク
41 : 液面センサ
100 吐出材吐出装置

Claims (16)

  1. 吐出口から吐出材を吐出する吐出ヘッドと、
    内部空間が可撓性隔壁によって、吐出材を充填し前記吐出ヘッドと連通する第1収容空間と、作動液を充填する第2収容空間と、に分離された収容容器と、
    前記第2収容空間と連通し、前記第2収容空間の内圧を制御する圧力制御手段と、
    を備える吐出材吐出装置であって、
    前記可撓性隔壁は、互いに関して連動可能に部分的に接合されるとともに、互いの間に膜間空間を含む、前記第1収容空間を覆う第1フィルムと前記第2収容空間を覆う第2フィルムとを含み、
    前記第1収容空間または前記第2収容空間が、前記第1収容空間または前記第2収容空間の外部と連通したことに伴う、前記第1収容空間の内部または前記第2収容空間の内部の圧力変化の発生を検知する検知手段を備えることを特徴とする吐出材吐出装置。
  2. 前記圧力制御手段は、前記圧力制御手段と前記第2収容空間との間の前記作動液の移動によって前記第2収容空間の内圧を制御する請求項1に記載の吐出材吐出装置。
  3. 前記検知手段は、前記第2収容空間と前記圧力制御手段との間を移動する前記作動液の量および速度の少なくとも一方を検知する請求項1または2に記載の吐出材吐出装置。
  4. 前記検知手段は、前記第2収容空間と前記圧力制御手段とを連通する管を流れる前記作動液の量および速度の少なくとも一方を検知する請求項1から3のいずれか一項に記載の吐出材吐出装置。
  5. 前記圧力制御手段は、前記第2収容空間と連通し前記作動液を貯留する液体収容部を備え、
    前記検知手段は、前記液体収容部における前記作動液の変位を検知する請求項1から4のいずれか一項に記載の吐出材吐出装置。
  6. 前記圧力制御手段は、前記第2収容空間と連通し前記作動液を貯留する液体収容部を備え、
    前記検知手段は、前記液体収容部の満水を検知する請求項1から5のいずれか一項に記載の吐出材吐出装置。
  7. 前記検知手段は、前記第1収容空間および前記第2収容空間の少なくとも一方の内圧を検知する請求項1から6のいずれか一項に記載の吐出材吐出装置。
  8. 前記膜間空間の内圧を大気圧と等しい圧力とする請求項1から7のいずれか一項に記載の吐出材吐出装置。
  9. 前記圧力制御手段は、前記第2収容空間の内圧を大気圧よりも低い圧力に制御する請求項1から8のいずれか一項に記載の吐出材吐出装置。
  10. 前記圧力制御手段は、前記第2収容空間と連通し前記作動液を貯留する液体収容部を備え、前記液体収容部における前記作動液の液面を前記吐出口よりも鉛直方向下方に位置付けることにより、前記第2収容空間の内圧を大気圧よりも低い圧力に制御する請求項1から9のいずれか一項に記載の吐出材吐出装置。
  11. 前記圧力制御手段は、前記第2収容空間と連通し前記作動液を貯留する液体収容部を備え、前記液体収容部における前記作動液の液面を前記吐出口よりも鉛直方向下方の所定の範囲内の高さに位置付けることにより、前記吐出口内に前記吐出材のメニスカスを形成させる請求項1から10のいずれか一項に記載の吐出材吐出装置。
  12. 前記圧力制御手段は、前記第2収容空間の内圧を複数の圧力に切り替え可能に制御し、
    前記複数の圧力は、前記吐出ヘッドが吐出動作を行う際の定常内圧に適した第1圧力と、前記第1圧力よりも低い第2圧力と、を含む請求項1から11のいずれか一項に記載の吐出材吐出装置。
  13. 前記圧力制御手段は、前記複数の圧力の切り替えを、前記吐出ヘッドの吐出動作が行われないときに行う請求項12に記載の吐出材吐出装置。
  14. 前記圧力制御手段は、前記第2収容空間と連通する液体収容部を備え、
    前記液体収容部は、大気連通可能に構成されており、
    前記圧力制御手段は、前記液体収容部の内部に収容される作動液の液面位置を前記吐出ヘッドよりも鉛直方向下方の所定の範囲の高さに調整することで、前記第2収容空間の内圧を大気圧よりも低い圧力であって、前記吐出ヘッドの吐出動作を行う際の定常内圧に適した第1圧力に維持する、請求項1から13のいずれか一項に記載の吐出材吐出装置。
  15. 前記膜間空間は開放空間であり、前記検知手段は、前記第1収容空間から前記膜間空間への前記吐出材の漏出、および前記第2収容空間から前記膜間空間への前記作動液の漏出の少なくとも一方を検知する請求項1から14のいずれか一項に記載の吐出材吐出装置。
  16. 前記膜間空間は一端に吸込口を有する閉空間であり、前記検知手段は、前記吸込口を介して前記膜間空間の外部から内部へ流入する気体の量および速度の少なくとも一方を検知する請求項1から14のいずれか一項に記載の吐出材吐出装置。
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