JP6966945B2 - フッ化物蛍光体とそれを用いた発光装置 - Google Patents
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Description
組成が下記一般式(1)で表され、嵩密度が0.80g/cm3以上かつ質量メジアン径(D50)が30μm以下であるフッ化物蛍光体。
一般式:A2M(1-n)F6:Mn4+ n ・・・ (1)
(尚、0<n≦0.1、元素Aは少なくともKを含有する1種以上のアルカリ金属元素であり、元素MはSi単体、Ge単体、又はSiとGe、Sn、Ti、Zr及びHfからなる群から選ばれる1種以上の元素との組み合わせである。)
嵩密度が0.80g/cm3以上かつ1.40g/cm3以下である[1]又は[2]記載のフッ化物蛍光体。
質量メジアン径が15μm以上かつ30μm以下である[1]〜[3]に記載のフッ化物蛍光体。
質量基準の累積分布曲線から得られる10%径(D10)および90%径(D90)と、前記質量メジアン径(D50)とから式(2)により算出されるスパン値が、1.5以下である[1]〜[4]に記載のフッ化物蛍光体。
式:(スパン値)=(D90−D10)/D50 ・・・ (2)
安息角が30°以上かつ60°以下である[1]〜[5]記載のフッ化物蛍光体。
[1]〜[6]記載のフッ化物蛍光体と、
発光光源と
を含む、発光装置。
前記発光光源のピーク波長が420nm以上480nm以下である、[7]記載の発光装置。
白色LED装置である、[7]又は[8]記載の発光装置。
実施例、及び比較例のフッ化物蛍光体の製造方法を実施する際に用いるK2MnF6は、非特許文献1に記載されている方法に準拠して準備した。具体的には、容量2000mlのフッ素樹脂製ビーカーに濃度40質量%フッ化水素酸800mlを入れ、フッ化水素カリウム粉末(和光純薬工業社製、特級試薬)260.00g及び過マンガン酸カリウム粉末(和光純薬工業社製、試薬1級)12.00gを溶解させた。このフッ化水素酸溶液をマグネティックスターラーで撹拌しながら、30%過酸化水素水(特級試薬)8mlを少しずつ滴下した。過酸化水素水の滴下量が一定量を超えると黄色粉末が析出し始め、反応液の色が紫色から変化し始めた。過酸化水素水を一定量滴下後、しばらく撹拌を続けた後、撹拌を止め、析出粉末を沈殿させた。沈殿後、上澄み液を除去し、メタノールを加え、撹拌し、静置し、上澄み液を除去し、更にメタノールを加えるという操作を、液が中性になるまで繰り返した。その後、濾過により析出粉末を回収し、更に乾燥を行い、メタノールを完全に蒸発除去することで、K2MnF6粉末を19.00g得た。これらの操作は全て常温で行った。
実施例1として、K2SiF6:Mnで表されるフッ化物蛍光体の製造方法を以下に示す。常温下で、容量500mlのフッ素樹脂製ビーカーに濃度55質量%フッ化水素酸200mlを入れ、KHF2粉末(和光純薬工業社製、特級試薬)25.5gを溶解させ、水溶液(B)を調製した。この溶液に、シリカ(SiO2、デンカ社製、商品名FB−50R)6.9g及びK2MnF6粉末1.1gを入れた。シリカの粉末を水溶液に添加すると溶解熱の発生により水溶液温度が上昇した。溶液温度はシリカを添加して約3分後に最高温度に到達し、その後はシリカの溶解が終了したために溶液温度は下降した。なお、シリカ粉末を添加すると直ぐに水溶液中で黄色粉末が生成し始めていることが目視で確認された。
実施例1で得た黄色粉末について、X線回折装置(リガク社製、商品名Ultima4、CuKα管球使用)を用いて、X線回折パターンを測定した。得られたX線回折パターンを図1に示す。その結果、実施例1で得られたサンプルのX線回折パターンは、K2SiF6結晶と同一パターンであることから、K2SiF6:Mnが単相で得られたことを確認した。
実施例1の仕込み組成を下記の表1に示す配合に変更した以外は実施例1と同様に製造し、実施例2および比較例1〜4を得た。得られた黄色粉末についてX線回折パターンを測定したところ、いずれもK2SiF6結晶と同一パターンを示した。
実施例1、2及び比較例1〜4の各フッ化物蛍光体の発光特性について、以下の方法で吸収率、内部量子効率、外部量子効率を測定することにより評価した。即ち、積分球(φ60mm)の側面開口部(φ10mm)に反射率が99%の標準反射板(Labsphere社製、商品名スペクトラロン)をセットした。この積分球に、発光光源(Xeランプ)から455nmの波長に分光した単色光を光ファイバーにより導入し、反射光のスペクトルを分光光度計(大塚電子社製、商品名MCPD−7000)により測定した。その際、450〜465nmの波長範囲のスペクトルから励起光フォトン数(Qex)を算出した。次に、凹型のセルに表面が平滑になるように蛍光体を充填したものを積分球の開口部にセットし、波長455nmの単色光を照射し、励起の反射光及び蛍光のスペクトルを分光光度計により測定した。実施例1のフッ化物蛍光体から得られた励起・蛍光スペクトルを代表として図2に示す。得られたスペクトルデータから励起反射光フォトン数(Qref)及び蛍光フォトン数(Qem)を算出した。励起反射光フォトン数は、励起光フォトン数と同じ波長範囲で、蛍光フォトン数は、465〜800nmの範囲で算出した。得られた三種類のフォトン数から外部量子効率(=Qem/Qex×100)、吸収率(=(Qex−Qref)/Qex×100)、内部量子効率(=Qem/(Qex−Qref)×100)を求めた。
実施例1〜2及び比較例1〜4の各フッ化物蛍光体の嵩密度を、JIS R 1628:1997に準じて評価した。すなわち、測定容器に定容容器(100cc)を用い、その質量を、はかりによって量りとった。振動や圧力が加わらないように十分注意しながら、測定容器にふるいを通して試料があふれるまで入れた。測定容器の上端面から盛り上がった粉末を、すり切り板を使ってすり切った。このときすり切り板は、粉末を圧縮しないようすりきる方向から後ろへ傾斜させて使用した。測定容器ごと質量をはかりで量り、測定容器の質量を差し引いて試料の質量を計算した。この測定を3回行った。各測定で計算した試料の質量を、測定容器の容積で除した値の平均値を嵩密度として算出した。
実施例1、2及び比較例1〜4の各フッ化物蛍光体の質量メジアン径を、以下の方法で評価した。即ち、50mlのビーカーにエタノール30mlを計量し、その中に蛍光体0.03gを入れた。次に、その容器を事前に出力を「Altitude:100%」に調整したホモジナイザー(日本精機製作所社製、商品名US−150E)にセットし、3分間前処理を実施した。前記のように準備した溶液を対象にして、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラックベル社製、商品名MT3300EXII)を用いて、D10、D50(質量メジアン径)、D90、およびD100を求めた。なおD100とは、上記質量メジアン径と同様に測定する質量基準の累積分布曲線から得られる100%径のことを指す。
実施例1、2及び比較例1〜4の各フッ化物蛍光体の安息角は、JIS R 9301−2−2:1999に準じて注入法により評価した。すなわち、ノズル内径6mmの市販のガラス製ロートの上縁2〜4cmの高さから、測定対象の粉末200gを毎分20〜60gの速さで該ロートを介して基板上に落下させ、生成した円錐状の堆積物の直径及び高さから、安息角を算出した。
実施例1のフッ化物蛍光体を、βサイアロン緑色蛍光体(デンカ社製、商品名GR−MW540K)とともにシリコーン樹脂に添加した。脱泡・混練後、ピーク波長455nmの青色LED素子を接合した表面実装タイプのパッケージにポッティングし、更にそれを熱硬化させることにより実施例3の白色LEDを作製した。フッ化物蛍光体とβサイアロン緑色蛍光体の添加量比は、通電発光時に白色LEDの色度座標(x、y)が(0.28、0.27)になる様に調整した。
実施例3、4及び比較例5〜8を同様の方法で、10回白色LEDを作製し、10回の製造毎に得られたサンプルの発光特性(外部量子効率)を測定し、フッ化物蛍光体の違いによる外部量子効率のバラつきを比較評価した。実施例3の1回目に作製した白色LEDの明るさを100とした時のそれぞれの白色LEDの明るさ、及び平均値、標準偏差を下記の表3に示す。実施例3は、比較例5と比較して外部量子効率が高く、かつ10回測定時の標準偏差が小さいことから、品質のバラつきが少なく、歩留まりが優れて安定することが分かった。また、実施例4でも実施例3と同様の優れた結果が得られた。比較例5〜8はいずれも、外部量子効率が低くかつバラつきが大きかった。
Claims (8)
- 組成が一般式(1)で表され、嵩密度が0.80g/cm3以上かつ質量基準の累積分布曲線から得られる10%径(D10)および90%径(D90)と、質量メジアン径(D50)とから式(2)により算出されるスパン値が1.5以下であり、D50が16μm以上29μm以下であり、かつ内部量子効率が80%以上である、フッ化物蛍光体。
一般式:A2M(1-n)F6:Mn4+ n ・・・ (1)
(尚、0<n≦0.1、元素Aは少なくともKを含有する1種以上のアルカリ金属元素であり、元素MはSi単体、Ge単体、又はSiとGe、Sn、Ti、Zr及びHfからなる群から選ばれる1種以上の元素との組み合わせである。)
式:(スパン値)=(D90−D10)/D50 ・・・ (2) - 前記一般式(1)において、元素AはK単体、元素MはSi単体である請求項1記載のフッ化物蛍光体。
- 嵩密度が0.80g/cm3以上かつ1.40g/cm3以下である請求項1又は2記載のフッ化物蛍光体。
- 安息角が30°以上かつ60°以下である請求項1乃至3記載のフッ化物蛍光体。
- 外部量子効率が57%以上である請求項1乃至4記載のフッ化物蛍光体。
- 請求項1乃至5記載のフッ化物蛍光体と、
発光光源と
を含む、発光装置。 - 前記発光光源のピーク波長が420nm以上480nm以下である、請求項6記載の発光装置。
- 白色LED装置である、請求項6又は7記載の発光装置。
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