JP6965615B2 - 複合伸縮部材 - Google Patents
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複合伸縮部材を製造するための装置として、ホットメルト材が塗布されたシートの表面に弾性部材が伸長した状態で配置された後、弾性部材を覆う状態で別のシートが配置される手法が提案されている。これにより、シート間に弾性部材が配置された状態で、2枚のシートと弾性部材との各相互間が接合されて複合伸縮部材が製造される(特許文献1参照)。
また、紙おむつが着用者に装着された状態(以下「装着状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向Tとし、長手方向Lと厚み方向Tの何れにも直交する方向を幅方向Wとする。そのほか、厚み方向Tから視ることを平面視とする。
また、紙おむつを構成する物品についても、長手方向L,厚み方向Tおよび幅方向Wはこれに倣うものとする。
また、製造装置については、シート材や糸ゴムの搬送方向が紙おむつの幅方向Wに対応し、搬送方向に直交する幅方向が紙おむつの長手方向Lに対応する。
各実施形態における紙おむつおよびギャザーの製造装置に共通する構成について説明する。
[1−1.紙おむつの構成]
まず、図1を参照して、紙おむつ1の基本的な構成を説明する。
ここでは、幅方向Wの中心線CLを基準として対称に紙おむつ1が形成されている。この紙おむつ1は、長手方向Lに沿って前身頃1A、股下部1Bおよび後身頃1Cの三つの領域に大別される。
はじめに、紙おむつ1のシート類について述べる。
図1に示すように、紙おむつ1には、前身頃1A、股下部1Bおよび後身頃1Cに亘って長手方向Lに延びる吸収体10(太破線で示す)が内蔵されている。ここでは、展開状態の正面視において、前身頃1Aおよび後身頃1Cよりも股下部1Bのほうが幅方向W寸法の小さい砂時計形状の吸収体10を例示する。
吸収体10に対して、肌面側にはセンターシート11が積層され、非肌面側にはバックシート12が積層されている。これらのシート11,12の幅方向W側方にはサイドシート13が配置されている。
つぎに、図1〜図3を参照して、紙おむつ1のギャザー15について述べる。
ギャザー15は伸縮性を備えた複合伸縮部材として構成される。
ギャザー15として、ギャザー16,17,18を例示する。一つは、サイドシート13の肌面側端縁部に設けられた立体ギャザー16である、もう一つは、前身頃1Aと後身頃1Cとに設けられたタミーギャザー17である、更にもう一つは、サイドシート13の非肌面側において幅方向端縁部に設けられたセカンド立体ギャザー18(図1では図示省略)である。
また、糸ゴム20の外周には、糸ゴム20よりも融点の低いステアリン酸マグネシウムからなる被覆層が設けられている。
図4を参照して、ギャザー15の製造装置100(複合伸縮部材の製造装置)について、製造対象をタミーギャザー17とする製造装置100を例に取り説明する。
製造装置100は、シート材15a,15bの間に糸ゴム20挟み込んだ状態で、糸ゴム20とシート材15a,15b、および、シート材15a,15bどうしを超音波溶着させて接合する接合装置200を有する。接合装置200は、アンビルローラ210と、ホーン220とを有する。
[2−1.ギャザーの構成]
本実施形態のギャザー15について、タミーギャザー17の一例(以下「タミーギャザー17Aという」)を例に取り図5を参照して説明する。
タミーギャザー17Aは、上述したように、シート材15a,15bに糸ゴム20を挟んだ状態において、これらシート材15a,15b及び糸ゴム20が、糸ゴム20を横切るように形成された溶着線30により相互に溶着(接合)されて構成される。
また、溶着線31A,31Bを一組のパターンとし、このパターンが伸縮方向Wに沿って繰り返し形成されている。
溶着部31−1,溶着部31−2と糸ゴム20との各交差点が、糸ゴム20がシート材15a,15bに溶着(溶着)される溶着点P1,P2となる。
寸法a(最小ピッチ)は、隣接する溶着線31A,31Bが最接近する相互間距離(幅方向Wの相互間距離の最短距離)であり、例えば0.8mmである。
寸法dは、隣接する溶着線31A,31Bが、同じ糸ゴム20を溶着する溶着点P1,P2の幅方向Wの相互間距離であり、例えば0.8mmである。
この理由は次のとおりである。後述するように、溶着線31A,31Bの形状・配置パターンは、図4に示す接合装置200のアンビルローラ210に設けられた凸条の形状・配置パターンに対応している。
寸法c(糸ゴムピッチ)は、糸ゴム20のピッチ、すなわち、隣接する糸ゴム20,20の中心線の相互間距離である。この寸法cが短すぎると、タミーギャザー17Aの破断強度が低下すると共にタミーギャザー17Aが固くなることら、好適な範囲は、3mm以上、10mm以下の範囲である。
角度θは、糸ゴム20の伸縮方向W(すなわち延在方向)に対する溶着部31−1,31−2の傾斜角度であり、特に制限はない。なお、図5には、60°の角度θを例示する。
本実施形態のアンビルローラ210の凸条について、タミーギャザー17Aの製造に使用されるものを例に取り説明する。
タミーギャザー17Aの溶着線31A,31Bは、本実施形態のアンビルローラ210の凸条が転写されたパターンに対応し、タミーギャザー17Aの糸ゴム20のピッチは、アンビルローラ210の外周面に供給された糸ゴム20のピッチに対応する。
したがって、図5(c)を参照して説明した各寸法a,b,c,d及び角度θも、アンビルローラ210の各種寸法の説明として置き換えることができる。
(1)本発明によれば、ギャザー15を、ホットメルト材を使用せずに製造することができるので、新規なギャザー15を容易に製造することができる。
(2)図5(c)に示す溶着線31A,31Bの寸法a,dを適切な範囲に設定することにより、シート材15a,15b及び糸ゴム20の相互間を接合する強度のばらつきを抑えることができる。
また、糸ゴム20のピッチである寸法cを適切な範囲に設定することにより、ギャザー17の破断強度を確保することができると共に、柔軟性を保持して紙おむつ1のフィット性を良好なものとすることができる。
溶着線31A,31Bの各寸法a,b,c,d及び角度θは図1に示すものに限定されず、各寸法a,b,c,d及び角度θを変更してもよい。
図6に示すタミーギャザー17A′のように、上述した第一実施形態のタミーギャザー17Aと比較して、寸法aを大きく設定してもよく(ここでは5mm)、角度θを大きく設定してもよい(ここでは85°)。なお、このタミーギャザー17A′では、寸法c(糸ゴムピッチ)は5mmに設定され、溶着線31A,31Bの幅寸法は1mmに設定されている。
第一変形例によれば、溶着線31A,31Bどうしが幅方向Wに沿って離間する寸法が確保されるため、紙おむつ1の通気性を高めることができる。また、シート材15a,15bにおいて溶着線31A,31Bで接合された箇所に形成される筒状の空間(いわゆる「フルート」)の内径が確保されることからも、紙おむつ1の通気性を向上させることができる。
図13に示すタミーギャザー17A″ように、角度θを90°に設定し、上述したように二種の配向に設けられた溶着線31A,31Bに変えて、直線状の溶着線37が一種だけ設けられてもよい。
このタミーギャザー17A″によれば、溶着線31A,31Bどうしが幅方向Wに沿って離間する寸法が確実に確保され、紙おむつ1の通気性を確実に高めることができる。
この構成においても、溶着線37の幅寸法jは、0.3mm以上が好適であり、ここでは1mmに設定されている。また、隣接する溶着線37の相互間距離k(パタンピッチ)は5mmであり、寸法c(糸ゴムピッチ)は5mmに設定されている。
[3−1.構成]
本実施形態について、タミーギャザー17の一例(以下「タミーギャザー17B」という)を例に取り図7を参照して説明する。なお、第一実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態のタミーギャザー17Bは、第一実施形態に対して溶着線30をなす溶着線32A,32Bのそれぞれを構成する溶着部31−1,31−2が複数の糸ゴム20と交差する点が異なる。
溶着線32A,32Bを一組のパターンとし、このパターンが幅方向Wに繰り返し形成されている。
その他の構成は第一実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態によれば、第一実施形態の作用・効果に加えて以下の作用・効果が得られる。
溶着線32A,32Bが、それぞれ長手方向Lに対して傾斜し且つ中心線CL1に対して対称な形状となっているので、糸ゴム20によって、単一の溶着線32Aや単一の溶着線32Bにより溶着される溶着点の位置が、幅方向Wに関して相違する。
この結果、隣接する溶着線32A,32Bの相互間の幅方向Wの距離が、長手方向Lの位置によって異なるようになり、溶着線32A,32Bの相互間でシート材15a,15bが皺寄せられることにより形成される襞の高さも幅方向W位置によって異なる。
[4−1.構成]
本実施形態について、タミーギャザー17の一例(以下「タミーギャザー17C」という)を例に取り図8を参照して説明する。なお、第一実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態のタミーギャザー17Cは、タミーギャザー17Cは、第1実施形態のタミーギャザー17Aに対して、溶着線31A,31Bからなるパターンの一部が省略されている。
図8(b)に示す構成では、中央領域S1において、2パターン分について、溶着線31A,31Bからなるパターンに替えて溶着線31A′,31B′からなるパターンが使用されている。溶着線31A′,31B′は、溶着線31A,31Bと比較すると、長手方向Lに関する寸法が短く、長手方向Lに関して溶着部が一部形成されていない。
その他の構成は第一実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態によれば、第一実施形態の作用・効果に加えて以下の作用・効果が得られる。
つまり、溶着線の形成されない領域を設けることにより、溶着線によってシート材15a,15bや糸ゴム20が溶着される位置(溶着位置)の分布を、タミーギャザー17Cの領域によって変化させることができる。したがって、第二実施形態と同様に、着用者の肌に触れる面積を減少させる領域を設けたり、襞を従来よりも高くして襞と着用者の肌との間に通気孔として機能する大きな隙間を設けたりすることができ、装着時の快適性及び通気性を向上することが可能となる。
[5−1.構成]
本実施形態について、タミーギャザー17の一例(以下「タミーギャザー17D」という)を例に取り図9を参照して説明する。なお、第一実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態のタミーギャザー17Dは、図9に示すように構成されている。このタミーギャザー17Dは、溶着線30として、第一実施形態の第一変形例で上述した溶着線31A,31B(図6参照)のそれぞれを断続的に構成した溶着線33A(第一溶着線)と溶着線33B(第二溶着線)とを備える点が異なる。
その他の構成は第一実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態によれば、第一実施形態の効果に加えて以下の効果が得られる。
溶着部31−1′と溶着部31−2′との間の隙間では、シート材15a,15bや糸ゴム20が溶融しないことから、溶着部31−1′,31−2′に較べて、タミーギャザー17Dが柔軟となり、タミーギャザー17Dの肌触りや装着部へのフィット性を向上することができる。さらに、溶着部31−1′,31−2′の相互間に隙間の寸法hを調整することで、タミーギャザー17Dの全体的な柔軟性を容易に調整できる。
(1)上記の図9に示す実施形態において、溶着部31−1′,31−2′の相互間に図10(a),(b)に示すようにドット状の溶着部を設けてもよい。このようにして破線間に短線(あるいは点)を加えた一点鎖線状の溶着線を採用することにより、シート材15a,15bおよび糸ゴム20の接合強度を強化することができる。
図10(b)に示すタミーギャザー17Fでは、溶着線35A,35Bは、溶着部31−1′,31−2′の相互間に、縦1mm×横0.5mmの長方形の溶着部31−4′が設けられている。
溶着線34A,34Bと溶着線35A,35Bを較べると、溶着部31−3′よりも溶着部31−4′の面積が小さい分だけ、溶着線35A,35Bのほうが接合強度を低めに調整されている。
すなわち、溶着部31−1′,31−2′の相互間に設けるドット状の溶着部の面積を調整することで溶着線の溶着強度を適宜調整することができる。
図11(a)に示すタミーギャザー17Gでは、長手方向Lに真っ直ぐに延在する間欠構造の溶着線36が、幅方向Wに複数並設されている。
このような構成においても、図9に示す実施形態と同様に、溶着部31−5の相互間の隙間の寸法を調整することで、タミーギャザー17Gの全体的な柔軟性を容易に調整できるといった効果が得られる。
これにより、溶着線36の存在により、紙おむつ1において吸収体10が配置された箇所のタミーギャザー17Hによる収縮変形を抑えることができる。そのため、吸収体10を柔軟性の低下を抑制でき、着用者へのフィット性を高めることができる。
この領域Sbは、前記領域S0を包囲するよう形成されているが、この領域S0よりもやや大きく設定されており、長手方向Lの前端〔図11(c)の紙面における上側の端部〕から、長手方向Lの中央よりも僅か手前まで形成されている。
(1)図11(b),(c)に示す第四実施形態の変形例において、吸収体10と平面視において重なる領域S0について溶着線を設けない領域Sa,Sbを有する構成を例示したが、他の実施形態(変形例も含む)において、領域S0について溶着線を設けない領域Sa,Sbを有する構成を採用してもよい。
或いは、各実施形態(変形例も含む)において、領域S0については、他の領域よりも溶着線のピッチを大きく設定してもよい。
伸縮性部材に用いられる糸ゴム20に替えてまたは加えて、伸縮性のフィルム(弾性部材)を用いてもよい。この場合には、上述した糸ゴム20と同様に、フィルムの外周に低融点の被覆層が設けられる。
15 ギャザー(複合伸縮部材)
15a,15b シート材
16 立体ギャザー(複合伸縮部材)
17,17A,17A′,17A″,17B,17C,17D,17E,17F タミーギャザー(複合伸縮部材)
18 セカンド立体ギャザー(複合伸縮部材)
20 糸ゴム(弾性部材)
30,36,37 溶着線
31A,31A′,32A,33A,34A,35A 第一溶着線
31B,31B′,32B,33B,34B,35B 第二溶着線
31−1,31−1′ 第一溶着部
31−2,31−2′ 第二溶着部
31−3′,31−4′ ドット状の溶着部
40 襞
CL1 タミーギャザー17の長手方向Lの中心線
CL2 タミーギャザー17の幅手方向Wの中心線
L 長手方向(糸ゴム20の並び方向)
W 幅方向(糸ゴム20の伸縮方向)
S1 溶着線の形成されていない領域
Claims (3)
- 2枚のシート材と、前記シート材の相互間において伸縮方向と交差する並び方向に複数並設された弾性部材とを、前記複数並設された弾性部材のそれぞれを横切るように形成された複数の溶着線によって溶着した複合伸縮部材であって、
前記溶着線は、いずれも、前記並び方向に対して同じ角度で正反対に傾斜した第一溶着部と第二溶着部とを交互に並べて構成され、
隣接する前記溶着線は、前記並び方向に沿った中心線に対して互いに線対称であり、
前記弾性部材によって、単一の溶着線により溶着される溶着点の位置が、前記伸縮方向に関して相違し、
前記伸縮方向に隣接する前記溶着線の相互間の前記伸縮方向の距離が、前記並び方向の位置によって異なる
ことを特徴とする、複合伸縮部材。 - 前記伸縮方向に関する所定位置に、前記溶着線の少なくとも一部が形成されない領域が設けられた
ことを特徴とする、請求項1に記載の複合伸縮部材。 - 前記第一溶着部と前記第二溶着部との間に隙間が設けられた
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の複合伸縮部材。
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