JP6965318B2 - 変速機のシフトドラム角度検出装置 - Google Patents
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Description
シフトドラムに設けられているポテンショメータにて構成される角度センサであるギアポジションセンサは、この24度の間隔を精度良く検出する必要がある。
そこで、リード溝が360度を超えて形成され、リード溝の軸方にずれた両端部に異なるギアポジションを設定して、ギアポジションを増やすことが考えられる。
いずれのシフトドラム角度でも、第一角度センサと第二角度センサの出力電圧がともに0電圧、すなわち、同時に電圧の切替りがあると、いずれの角度センサも出力電圧が不安定で、このシフトドラムの回動角度を精度良く検出することができず、アクチュエータ制御に影響する。
複数の駆動ギアが支持されるメイン軸と、複数の前記駆動ギアと互いに噛合う複数の被動ギアが支持されるカウンタ軸とを具備する常時噛合い式の変速機に用いられ、
前記駆動ギアおよび前記被動ギアが有するシフタギアに係合されるシフトフォークと、
該シフトフォークの一端が係止されるリード溝が外周面に形成されるシフトドラムと、
前記シフトドラムに設けられ、該シフトドラムと一体に回動する第一センサ軸と、
前記第一センサ軸の回動を増速機構により所定の増速比で増速して回動する第二センサ軸と、
前記第一センサ軸の軸回動角に対応する第一センサ出力値を出力する第一角度センサと、
前記第二センサ軸の軸回動角に対応する第二センサ出力値を出力する第二角度センサと、を備え、
前記第一センサ出力値は、前記シフトドラムが1回転する間に、1回、第一センサ切替角度で最大値と最小値の切替えを生じ、
前記第二センサ出力値は、前記シフトドラムが1回転する間に、前記増速機構の増速比に相当する回数、第二センサ切替角度で最大値と最小値の切替えを生じ、
所定のタイミングで入力した前記第一センサ出力値と前記第二センサ出力値とを用いて前記シフトドラムの回動角度を検出するシフトドラム角度検出装置において、
前記第一センサ切替角度と前記第二センサ切替角度は、互いに異なる前記シフトドラムの回動角度に設定される変速機のシフトドラム角度検出装置を提供する。
特に、リード溝がシフトドラムの外周に360度を超えて形成され、リード溝の軸方にずれた両端部に異なるギアポジションが設定され、シフトドラムが360度を超えて回動するような場合に有効である。
前記第一角度センサが前記第一センサ切替角度を検出していると判断されたときは、前記シフトドラムの検出回動角度の前回値と、前記第二角度センサの検出した軸回動角を前記シフトドラムの回動角度に換算した第二センサ角度の変化量とに基づき前記シフトドラムの回動角度を検出し、
前記第二角度センサが前記第二センサ切替角度を検出していると判断されたときは、前記シフトドラムの検出回動角度の前回値と、前記第一角度センサの検出した軸回動角を前記シフトドラムの回動角度に換算した第一センサ角度の変化量とに基づき前記シフトドラムの回動角度を検出する。
前記第一センサ切替角度と前記第二センサ切替角度は、ともに前記シフトドラムのニュートラル位置のみを含む回動角度領域内に設定される。
前記シフトドラムには、該シフトドラムと一体に回動する星型カムが設けられ、
前記星型カムは、その外周面に各変速段に対応する湾曲した凹部と先細に尖った凸部とが周方向に交互に連続して形成され、
付勢手段により付勢されたローラが前記星型カムの外周面に押圧され、前記ローラが前記星型カムの所要の変速段の凹部に嵌り込むことにより前記シフトドラムの回動を規制して所要の変速段を確立するディテント機構が構成され、
前記星型カムの前記ニュートラル位置の凹部の中央の底位置の回動角度と同凹部に連続する両側の前記凸部のいずれかの前記凸部の頂点の回動角度との間で、前記凸部寄りに、前記第一センサ切替角度を設定する
本構成によれば、星型カムの凹部の中央の底位置の回動角度と同凹部に連続する凸部の頂点の回動角度との間で、凸部寄りに、第一角度センサの出力値が不安定になる第一センサ切替角度を設定するので、変速段が確立する星型カムの凹部の中央付近のシフトドラムの回動角度を、高精度に検出することができる。
前記ローラは、前記付勢手段により付勢されて揺動するディテントアームの端部に回転自在に軸支され、
前記星型カムの前記ニュートラル位置の凹部に前記ローラが嵌り込んだ状態で、同凹部に連続する両側の前記凸部のうち前記ディテントアームの揺動中心より遠い側の前記凸部寄りの回動角度に、前記第一センサ切替角度を設定する。
回動不安定角度領域は、シフトドラムの回動が停止する可能性のある角度領域であるので、第一センサ切替角度が回動不安定角度領域にあると、益々検出回動角度も不明確となるため、第一センサ切替角度は回動不安定角度領域を避けて設定する必要がある。
星型カムのニュートラル位置の凹部にローラが嵌り込んだ状態で、同凹部に連続する両側の凸部にそれぞれ回動不安定角度領域があるが、ディテントアーム(88b)の揺動中心より遠い側の凸部の回動不安定角度領域の方が、ディテントアーム(88b)の揺動中心近い側の凸部の回動不安定角度領域より狭い角度範囲である。
前記シフトドラム(80)は、外周面に形成されたリード溝のシフトダウン側端部の最下位置変速段とシフトアップ側端部の最上位置変速段が同じ回動角度位置にあって軸方向に互いにずれた位置にあり、
起動時に、前記シフトドラムが最下位置変速段または最上位置変速段の回動位置にある場合は、前記シフトドラムを一方向に回動させ、変速段の切換えが実行されたか否かで最下位置変速段または最上位置変速段のいずれの変速段にあったかを判別する。
特に、リード溝がシフトドラムの外周に360度を超えて形成され、リード溝の軸方にずれた両端部に異なるギアポジションが設定され、シフトドラムが360度を超えて回動するような場合に有効である。
図1は、本発明を適用した一実施の形態に係る変速機のシフトドラム角度検出装置が用いられたパワーユニットPの一部省略した正面図である。
図2は、図1のII矢視によるパワーユニットPの左側面図である。
エンジンブロック11内のピストン(不図示)は、コンロッド(不図示)を介してクランク軸16に連結されており、燃焼室(不図示)内の燃焼によるピストンの摺動に連動してクランク軸16が回転駆動されるようになっている。
また、エンジンブロック11の下部に、後述する変速機31が収納される変速機室17が左右クランクケース半体13L,13Rにより画成されて設けられている。
なお、変速機室17は、二点鎖線で図示されている。
リアカバー25の下部中央後方にはクラッチカバー26が取付けられている。
また、ミッションホルダ22の前面には、ミッションホルダ22の中央から下部にかけて変速機31の変速段を操作するチェンジ機構60を保持するためのチェンジ系ホルダ23が取付けられている。
また、チェンジ系ホルダ23の左端部後面には、変速駆動装置30の動力源であるシフトモータ51が設けられている。
図3に示されるように、ミッションホルダ22の後面には、メイン軸32、カウンタ軸34、ギア変速機構36、シフトドラム80、シフトフォーク軸72が小組されてカセットユニットとして一体に構成されている。
そのカセットユニットが、左右クランクケース半体13L,13Rで構成された変速機室17に挿入され、ミッションホルダ22が、変速機室17の前方を塞ぐようにクランクケース13の前面に取付けられている。
また、図2に示されるように、メイン軸32は、クランク軸16の下方に配置され、カウンタ軸34は、メイン軸32の右方に配置されている。シフトドラム80は、変速機室17の下部中央に配置され、シフトドラム80の左右方向であってメイン軸32とカウンタ軸34の下方には二本のシフトフォーク軸72が配置されている。
図4に示されるように、変速機31は、入力軸たるメイン軸32、出力軸たるカウンタ軸34、ギア変速機構36およびクランク軸16からの回転駆動力の伝達を油圧によって断続する油圧クラッチ40を備えている。
第一メイン軸32Aは、第二メイン軸32Bとの軸方向相対位置を固定されて第二メイン軸32Bを貫通し、第一メイン軸32Aと第二メイン軸32Bとの間には、複数のニードルベアリング(不図示)が介装されている。
第二メイン軸32Bは、第二メイン軸32Bの中間部がリアカバー25を貫通し、ボールベアリング33bを介してリアカバー25に回転自在に支持されている。
カウンタ軸34の後端部34b近傍には、セカンダリ被動ギア19bと噛合うセカンダリ駆動ギア19aがスプライン嵌合されている。
カウンタ軸34におけるミッションホルダ22とリアカバー25との間には、駆動ギアMに対応してこれらに常時噛合う七個の被動ギアCとリバース用の駆動スプロケットCTが支持されている。
これら駆動ギアM、被動ギアC、駆動スプロケットCTおよび被動スプロケットMTによりギア変速機構36が構成されている。
三速駆動ギアM3および七速駆動ギアM7は、第一メイン軸32Aと相対回転可能かつ軸方向に移動不能に固定されるフリーギアFGである。
被動スプロケットMTは、第一メイン軸32Aと相対回転可能かつ軸方向に移動不能に固定されている。
五速駆動ギアM5は、第一メイン軸32Aに一体に嵌合したハブh5の外周にスプライン嵌合されて、ハブh5を介して第一メイン軸32Aと一体に回転するとともに軸方向に移動可能なスリーブ状のシフタギアSGである。
この五速駆動ギアM5と三速駆動ギアM3との間および同五速駆動ギアM5と七速駆動ギアM7との間には、それぞれブロッキングリングbr等からなるシンクロ機構Sが構成されている。
二速駆動ギアM2は、第二メイン軸32Bに一体に形成されて第二メイン軸32Bと一体に回動される固定ギアXGである。
四速駆動ギアM4は、第二メイン軸32Bと相対回転可能かつ軸方向に移動不能に固定されるフリーギアFGである。
六速駆動ギアM6は、第二メイン軸32Bに一体に嵌合したハブh6の外周にスプライン嵌合されて、ハブh6を介して第二メイン軸32Bと一体に回転するとともに軸方向に移動可能なスリーブ状のシフタギアSGである。
この六速駆動ギアM6と四速駆動ギアM4との間および同六速駆動ギアM6と被動スプロケットMTとの間には、それぞれブロッキングリングbr等からなるシンクロ機構Sが構成されている。
七速被動ギアC7は、カウンタ軸34に相対回転不能かつ軸方向に移動不能に固定される固定ギアXGである。
一速被動ギアC1、二速被動ギアC2、五速被動ギアC5および六速被動ギアC6は、カウンタ軸34と相対回転可能かつ軸方向に移動不能に固定されるフリーギアFGである。
三速被動ギアC3は、カウンタ軸34に一体に嵌合したハブh3の外周にスプライン嵌合されて、ハブh3を介してカウンタ軸34と一体に回転するとともに軸方向に移動可能なスリーブ状のシフタギアSGである。
この三速被動ギアC3と一速被動ギアC1との間および同三速被動ギアC3と五速被動ギアC5との間には、それぞれブロッキングリングbr等からなるシンクロ機構Sが構成されている。
この四速被動ギアC4と二速被動ギアC2との間および同四速被動ギアC4と六速被動ギアC6との間には、それぞれブロッキングリングbr等からなるシンクロ機構Sが構成されている。
油圧クラッチ40は、第一メイン軸32Aに連結される第一油圧クラッチ40Aと第二メイン軸32Bに連結される第二油圧クラッチ40Bとクラッチアウタ42とを有するいわゆるデュアルクラッチ(ツインクラッチ)方式として構成されている。
第一油圧クラッチ40Aの第一クラッチインナ41aは、第二メイン軸32Bの後端部32Bbから後方に突出して配置される第一メイン軸32Aの後端部32Ab近傍に軸方向の移動を制限されてスプライン嵌合されている。
第二油圧クラッチ40Bの第二クラッチインナ41bは、第二メイン軸32Bの後端部32Bb近傍に軸方向の移動を制限されてスプライン嵌合されている。
プライマリ被動ギア16bは、クランク軸16に嵌着されたプライマリ駆動ギア16aと噛合い、クランク軸16から供給される回転駆動力が所定の減速比で減速されて油圧クラッチ40に伝達されるようになっている。
また、クラッチアウタ42と第二クラッチインナ41bとの間には、クラッチアウタ42と一緒に回転する駆動摩擦板44b1と第二クラッチインナ41bと一緒に回転する被動摩擦板44b2とが交互に配列された第二摩擦板群44bが、第二加圧プレート45Bにより加圧可能に設けられている。
そして、クランク軸16からメイン軸32へ伝達された動力は、ギア変速機構36により選択的に確立された変速段にてセカンダリ駆動ギア19aに伝達され、セカンダリ被動ギア19b、ドライブ軸19を介して後輪7へと出力されるようになっている。
図6に示されるように、変速駆動装置30は、変速に必要な動力がシフトモータ51から減速ギア機構53を介して減速してチェンジ機構60へ伝達され、チェンジ機構60により変速機31の変速段が切替えられる。
図6に示されるように、シフトモータ51の前方には、チェンジ系ホルダ23と減速機カバー24とにより減速機室18が画成され、シフトモータ51の駆動は、減速機室18内に配置された減速ギア機構53を介して減速されてシフトスピンドル61の回動に伝達される。
シフトスピンドル61は、シフトドラム80の左前方に位置し、シフトドラム80と軸方向が平行になるように回動軸を前後方向に指向して配設されており、シフトスピンドル61の後端側には減速ギア機構53の大径ギア61aがセレーション嵌合され、シフトスピンドル61の前端側には、マスターアーム63が基端部を嵌着されていて、シフトスピンドル61の回動によりマスターアーム63は揺動する。
図7に示されるように、マスターアーム63は、略三角形状の板状に形成されている。
マスターアーム63に形成された規制孔63bを貫通するストッパピン64がミッションホルダ22に突設され、シフトスピンドル61にコイル部を巻回して支持されたねじりコイルばね65は、その同方向に延びた両端部65a,65aがマスターアーム63に形成された係止片63dとストッパピン64を両外側から挟むようにして取り付けられている。
したがって、マスターアーム63が揺動すると、ねじりコイルばね65のねじりばね力によりマスターアーム63を中立位置に戻そうとする付勢力が働く。
図6および図7に示されるように、ポールラチェット機構66は、マスターアーム63の揺動先端部に形成された長孔63cに摺動自在に嵌合される突起66aが形成されたラチェット入力部材67と、シフトドラム80と一体に回動するラチェット出力部材68と、ラチェット入力部材67の円筒部の外周とラチェット出力部材68の内周との間に内蔵される一対のポール69とを備えている。
ラチェット入力部材67は、第一センサ軸83に回動自在に軸支され、ラチェット出力部材68は、第一センサ軸83およびシフトドラム80と一体に回動する。
シフトドラム80と一体に回動するラチェット出力部材68の外周部に、ディテント機構88の星型カム85が形成されている。
図7に示されるように、星型カム85の外周面85aには、変速段に対応する湾曲した凹部86が先細に尖った凸部87と周方向に交互に連続して形成されている。
各凹部86は、前述したギアポジションGPに対応し、本実施の形態では15個の凹部86が星型カム85の外周面85aにシフトドラム80の回動中心Y1を中心に24度ずつ均等に形成されている。
このように、星型カム85の外周面85aには、凹部86と凸部87が12度毎に交互に配置されたカムプロファイル85Prが形成されている。
星型カム85の凹部86は円弧面をなし、ローラ89rの半径は、星型カム85の凹部86の曲率半径に略等しい。
ディテントアーム89aは、ねじりコイルばね89sにより揺動付勢されて、ローラ89rを星型カム85の凹部86と凸部87が形成された外周面85aに押圧する。
ディテント機構88は、以上のように構成され、星型カム85の外周面85aに押圧されるローラ89rが所要の凹部86に嵌ることで、星型カム85およびシフトドラム80が所要の回動位置に位置決めされ、シフトドラム80のギアポジションGPが確立される。
本実施の形態では、回動不安定角度領域Z1の角度範囲は約1.7度であり、回動不安定角度領域Z2の角度範囲は約5.1度である。
シフトドラム80には、リバース位置P(RVS)、第一ニュートラル位置P(r-n)、第二ニュートラル位置P(n-n)、一速位置P(1-n)、一速二速予備位置P(1-2)、二速位置P(n-2)、二速三速予備位置P(3-2)、三速位置P(3-n)、三速四速予備位置P(3-4)、四速位置P(n-4)、四速五速予備位置P(5-4)、五速位置P(5-n)、五速六速予備位置P(5-6)、六速位置P(n-6)、六速七速予備位置P(7-6)および七速位置P(7-n)の16個の各ギアポジションGPが24度ずつの間隔をあけて順次設定されている。
リード溝81は、部分的にシフトドラム80の軸方向にオフセットして、シフトドラム80の周方向に沿うようなパターンとして形成されている。
図5に示されるように、第一リード溝81Aには第一シフトフォーク71Aのピン部71Abが、第二リード溝81Bには第二シフトフォーク71Bのピン部71Bbが、第三リード溝81Cには第三シフトフォーク71Cのピン部71Cbが、第四リード溝81Dには第四シフトフォーク71Dのピン部71Dbが、それぞれスライド可能に係合されている。
なお、各リード溝によって決定される各シフトフォーク71A,71B,71C,71Dと各シフタギアM3,M6,C4,C5は、「後方位置」または「中央位置」または「前方位置」の3つの移動位置を有する。
すなわち、シフトドラム80のリード溝81は、シフトダウン側端部のリバース位置P(r-2)から周方向に所定箇所で軸方向に移動しながら周方向に延び、六速七速予備位置P(7-6)でシフトドラム80を360度一周し、シフトアップ側端部の七速位置P(7-n)は、360度を超えてリバース位置P(r-2)と同じ回動角度位置にあって軸方向に互いにずれた位置にある。
しかし、本変速機31のように、シンクロ機構Sが組み込まれていていると、変速段の切換えに際して負荷が比較的に高いので、一速位置P(1-n)からシフトダウンするときに、一気に第一ニュートラル位置P(n-r)に切換えることが円滑にできないので、一速を抜いた第二ニュートラル位置P(n-n)を第一ニュートラル位置P(r-n)との間に設けている。
シフトドラム80の外径を大きくすることなく、16個の各ギアポジションGPをシフトドラム80の外周360度内に収めることは、リード溝81の軸方向変位が急傾斜となって困難である。
図9のシフトドラム80のリード溝81の展開図には、第一ニュートラル位置P(r-n)にギアポジションがあるときの、第一シフトフォーク71Aのピン部71Ab,第二シフトフォーク71Bのピン部71Bb,第三リード溝81Cには第三シフトフォーク71Cのピン部71Cb,第四リード溝81Dには第四シフトフォーク71Dのピン部71Dbの位置が示されている。
このとき、第一油圧クラッチ40Aおよび第二油圧クラッチ40Bには油圧が供給されておらず、いずれも接続されていない。
他のシフタギアM3,C4,C5も、移動せずにフリーギアFGと係合されていない中央位置にあって、第二ニュートラル位置P(n-n)となる。
ここで、シフトドラム80は、星型カム85が24度回動される際に凸部87を乗越えたローラ89rが、星型カム85の第二ニュートラル位置P(n-n)に対応する凹部86に嵌り押圧されることで第二ニュートラル位置P(n-n)に固定される。
ここで、シフトドラム80は、星型カム85が24度回動される際に凸部87を乗越えたローラ89rにより、星型カム85の一速位置P(1-n)に対応する凹部86が押圧されることで一速位置P(1-n)に固定される。
そして、シフトドラム80は、ローラ89rにより星型カム85の一速二速予備位置P(1-2)に対応する凹部86が押圧されることで一速二速予備位置P(1-2)に固定される。
このような状態を「予備変速」といい、一速位置P(1-n)から七速位置P(7-n)までのシフト操作で同様に実行されている。
この切替動作により、いわゆるトルク抜けを生じさせずに滑らかに二速へのシフトアップが行われ、第二油圧クラッチ40B、第二メイン軸32B、二速駆動ギアM2、二速被動ギアC2、四速被動ギアC4、カウンタ軸34の順で回転駆動力が伝達される。
このとき、シフトドラム80は、ローラ89rにより星型カム85の二速位置P(n-2)に対応する凹部86が押圧されることで二速位置P(n-2)に固定される。
前記したように、シフトドラム80の前端から回転中心軸上に前方に延びた延長軸である第一センサ軸83の前端部には、第一角度センサ84が設けられている。
そして、シフトドラム角度検出装置100は、第一角度センサ84のほかに、第二角度センサ94を備えている(図6参照)。
第二センサ軸92の前端部92aには、第二センサ軸92の軸回動角を検出する第二角度センサ94が接続されている。
本実施の形態では、増速機構90の増速比Raは、「15」に設定されている。
ギアポジションGPが一つ変わるごとに第二センサ軸92は1回転し、シフトドラム80が1回転すると、第二センサ軸92は15回転することとなる。
第一角度センサ84は、シフトドラム80と一体に回動する第一センサ軸83の軸回動角a1を検出し、第一センサ軸83の軸回動角a1に基づいて出力される電圧である第一センサ出力値Vout1は、ECU(不図示)が入力する。
第二角度センサ94は、第二センサ軸92の軸回動角a2を検出し、第二センサ軸92の軸回動角a2に基づいて出力される電圧である第二センサ出力値Vout2は、ECUが入力する。
図10の出力プロファイル図において、横軸がシフトドラム80の回動角度を示している。
図10の出力プロファイル図では、このシフトドラム角度Sを横軸としている。
すなわち、ディテント機構88の揺動付勢されたディテントアーム89aの先端に設けられたローラ89rが、シフトドラム80と一体に回動する星型カム85のリバース位置P(RVS)に対応する凹部86と第一ニュートラル位置P(r-n)に対応する凹部86との間に位置する凸部87の頂点87aを押圧している。
シフトドラム80がシフトドラム角度で0度から372度回動した七速位置P(7-n)は、シフトドラム80としては0度から12度回動したリバース位置P(RVS)と同じ回動角度位置となり、シフトドラム80の同じ回動角度位置にリバース位置P(RVS)と七速位置P(7-n)の異なる変速段が存在することになる。
なお、使用される角度センサによっては、最小値と最大値の間の出力値を正確に出力できない、いわゆる不感帯を有する場合がある。
第二角度センサ94の第二センサ出力値Vout2は、各ギアポジションGPが存在するシフトドラム角度が0度〜24度,24度〜48度,48度〜72度,…、 …,360度〜384度では、シフトアップ側に最小値0.5Vから最大値4.5Vに一定の増加率で増加するので、図10に示されるように、第二センサ出力値Vout2は、鋸歯状の出力プロファイルを示す。
このギアポジションGPの回動角度位置は、最も精度良く検出されることが肝要であり、第二角度センサ94は、第二センサ出力値Vout2が不安定な第二センサ切替角度R2をギアポジションGPの回動角度位置から最も離れた位置に設定し、ギアポジションGPの回動角度位置を第二センサ出力値Vout2が一定の変化率で変化する範囲の中央位置に設定することで、ギアポジションGPの回動角度位置を高い精度で検出することができる。
なお、第二角度センサ94の第二センサ出力値Vout2が不安定な第二センサ切替角度R2もニュートラル位置(第一ニュートラル位置P(r-n)と第二ニュートラル位置P(n-n))のみを含む角度範囲内にある。
本実施の形態では、星型カム85の凹部85の中央の底位置86cの回動角度と同凹部85に連続するシフトアップ側の凸部87の頂点87tの回動角度との間で、同凸部87寄りに、第一角度センサ84の第一センサ出力値Vout1が不安定になる第一センサ切替角度R1を設定するので、変速段が確立する星型カム85の凹部85の中央付近のシフトドラム80の回動角度を、高精度に検出することができる。
ECUによりシフトドラム角度Sを検出する過程を、図12ないし図15に示すフローチャートに基づき説明する。
第一センサ軸83の軸回動角a1は、第一センサ切替角度R1からのシフトドラム80の回動角であり、第二センサ軸92の軸回動角a2は、シフトドラム80の回動が「15」の増速比Raで増速された第二センサ軸92の第二センサ切替角度R2からの軸回動角である。
ステップS3での作業は、図13のセンサ角度A(n)決定サブルーチンとして示されている。
こうして算出されたインデックス番号Anoは、基準点(シフトドラム角度24度)からシフトアップ側に配列される第一ニュートラル位置P(r-n)、第二ニュートラル位置P(n-n)、一速位置P(1-n)、一速二速予備位置P(1-2)、二速位置P(n-2)、二速三速予備位置P(3-2)、三速位置P(3-n)、三速四速予備位置P(3-4)、四速位置P(n-4)、四速五速予備位置P(5-4)、五速位置P(5-n)、五速六速予備位置P(5-6)、六速位置P(n-6)、六速七速予備位置P(7-6)、七速位置P(7-n)のギアポジションを、0から15の番号で示すものである。
A(n)=Ano*24+A2(n)
すなわち、インデックス番号Anoに24度を乗算して、第2センサ角度A2(n)を加算することで、基準点からのセンサ角度A(n)が求められる。
すなわち、ステップS23では、ステップS22で算出したセンサ角度A(n)と第1センサ角度A1(n)の差が許容誤差内にあるか否かを判別し、許容誤差内にあれば、そのまま本ルーチンを抜け、ステップS22で算出したセンサ角度A(n)を選択して決定する。
本実施の形態では許容誤差を8度としている。
すなわち、ステップS22で算出したセンサ角度A(n)とインデックス番号Anoが1つ上の場合のセンサ角度A(n)(=A(n)+24)とインデックス番号Anoが1つ下の場合のセンサ角度A(n)(=A(n)−24)のうちで、第1センサ角度A1(n)に8度以内で最も近いセンサ角度A(n)を選択する。
このようにして最も可能性のあるセンサ角度A(n)を選択して決定し、センサ角度A(n)決定サブルーチンを抜ける。
ステップS4での作業は、図14のシフトドラム角度S(n)変換サブルーチンとして示されている。
図10の出力プロファイル図を参照して、シフトドラム角度Sは、リバース位置P(RVS)(七速位置P(7-n))に対応する凹部86のシフトダウン側の凸部87の頂点87aが0度であり、六速七速予備位置P(7-6)に対応する凹部86のシフトアップ側の凸部87の頂点87aが360度である。
ステップS32で、ステップS31で求めたシフトドラム角度S(n)が360度以上であると判別されたときは、ステップS33に進み、シフトドラム角度Sの前回値S(n-1)が60度未満であるか否かを判別する。
しかし、第2センサ角度A2(n)の変化量ΔA2の絶対値|ΔA2|が3度を超えているときは、第2センサ角度A2は、第二センサ切替角度R2にあって第二センサ切替角度R2を検出している可能性があり、第2センサ角度A2は不安定な値であり、センサ角度A(n)の決定に利用することができない。
ステップS7では、第2センサ角度A2(n)の変化量ΔA2の絶対値|ΔA2|が3度以下か否かを判別し、|ΔA2|が3度以下であれが本ルーチンを抜け、|ΔA2|が3度を超えていれば、ステップS8に飛ぶ。
|ΔA1|が3度を超えていて、第1センサ角度A1が第一センサ切替角度R1を検出して不安定な値で利用できないが、|ΔA2|が3度以下で第2センサ角度A2は利用可能であるときは、ステップS6からステップS9に飛び、ステップS9からステップS10に進み、シフトドラム角度Sの前回値S(n-1)に利用可能な第2センサ角度A2の変化量ΔA2を加算してシフトドラム角度S(n)として本ルーチンを抜ける。
図15に示すシフトドラム角度S(n)決定制御フローは、起動時にシフトドラム角度Sの前回値S(n-1)が失われている場合において、起動時に実行される。
すなわち、第一センサ出力値Vout1を第一センサ軸83の軸回動角a1に換算し、第二センサ出力値Vout2を第二センサ軸92の軸回動角a2に換算し、軸回動角a1,a2からそれぞれ第1センサ角度A1(n)と第2センサ角度A2(n)を求め、第1センサ角度A1(n)と第2センサ角度A2(n)からセンサ角度A(n)を決定し、センサ角度A(n)をシフトドラム角度S(n)に変換して、シフトドラム角度S(n)を導出する。
そして、次のステップS57では、先のステップS51と同じ処理作業を行って、第一センサ出力値Vout1と第二センサ出力値Vout2からシフトドラム角度S(n)を導出する。
ステップS54からステップS58のステップが繰り返されて、繰り返しの度にインクリメントされるカウント値iが所定カウント値Iを超えるまでに、ステップS56のシフトアップ指令が繰り返されても、ステップS57で導出したシフトドラム角度S(n)が24度を超えることがないときは、変速段がシフトアップ側端部の最上位置変速段である七速位置P(7-n)にある可能性があり、このときは、ステップS55からステップS60に飛ぶ。
ギアポジションは、第一ニュートラル位置P(r-n)または第二ニュートラル位置P(n-n)にある。
そして、次のステップS63では、先のステップS51と同じ処理作業を行って、第一センサ出力値Vout1と第二センサ出力値Vout2からシフトドラム角度S(n)を導出する。
ステップS60からステップS64のステップが繰り返されて、繰り返しの度にインクリメントされるカウント値jが所定カウント値Jを超えるまでに、ステップS62のシフトダウン指令が繰り返されても、ステップS63で導出したシフトドラム角度S(n)が360度以下とならなければ、変速段がシフトアップ側端部の最上位置変速段である七速位置P(7-n)にない可能性があり、このときは、ステップS61からステップS70に飛ぶ。
ギアポジションは、六速七速予備位置P(7-6)または六速位置P(n-6)にある。
この場合は、ステップS61からステップS70に飛び、シフトドラム80を第二ニュートラル位置P(n-n)に強制的に回動するNN位置出し制御を行い、次のステップS71でシフトドラム角度S(n)を60度にしておく。
ギアポジションは、第二ニュートラル位置P(n-n)にある。
P…パワーユニット、S…シンクロ機構、br…ブロッキングリング、
C…被動ギア、M…駆動ギア、GP…ギアポジション、SG…シフタギア、Ra…増速比、
11…エンジンブロック、11L…左エンジンブロック半体、11R…右エンジンブロック半体、12L…左シリンダブロック、12R…右シリンダブロック、13L…左クランクケース半体、13R…右クランクケース半体、14…シリンダヘッド、15…ヘッドカバー、16…クランク軸、17…変速機室、18…減速機室、19…ドライブ軸、21…フロントカバー、22…ミッションホルダ、23…チェンジ系ホルダ、24…減速機カバー、25…リアカバー、26…クラッチカバー、
30…変速駆動装置、31…変速機、32…メイン軸、34…カウンタ軸、36…ギア変速機構、37…リバース用チェーン、
40…油圧クラッチ、40A…第一油圧クラッチ、40B…第二油圧クラッチ、41a…第一クラッチインナ、41b…第二クラッチインナ、42…クラッチアウタ、43…緩衝部材、46…油圧回路、
51…シフトモータ、53…減速ギア機構、54…第一中間軸、55…第二中間軸、
60…チェンジ機構、61…シフトスピンドル、63…マスターアーム、64…ストッパピン、65…ねじりコイルばね、66…ポールラチェット機構、67…ラチェット入力部材、68…ラチェット出力部材、69…ポール、70…ガイドプレート、71…シフトフォーク、72…シフトフォーク軸、
80…シフトドラム、81…リード溝、82…ボールベアリング、83…第一センサ軸、84…第一角度センサ、85…星型カム、86…凹部、86c…底位置、87…凸部、87t…頂点、88…ディテント機構、89a…ディテントアーム、89c…支軸、89r…ローラ、89s…ねじりコイルばね、
90…増速機構、91…増速駆動ギア、92…第二センサ軸、93…増速被動ギア、94…第二角度センサ、
100…シフトドラム角度検出装置。
Claims (6)
- 複数の駆動ギア(M)が支持されるメイン軸(32)と、複数の前記駆動ギア(M)と互いに噛合う複数の被動ギア(C)が支持されるカウンタ軸(34)とを具備する常時噛合い式の変速機(31)に用いられ、
前記駆動ギア(M)および前記被動ギア(C)が有するシフタギア(SG)に係合されるシフトフォーク(71)と、
該シフトフォーク(71)の一端が係止されるリード溝(81)が外周面(80c)に形成されるシフトドラム(80)と、
前記シフトドラム(80)に設けられ、該シフトドラム(80)と一体に回動する第一センサ軸(83)と、
前記第一センサ軸(83)の回動を増速機構(90)により所定の増速比(Ra)で増速して回動する第二センサ軸(92)と、
前記第一センサ軸(83)の軸回動角(a1)に対応する第一センサ出力値(Vout1)を出力する第一角度センサ(84)と、
前記第二センサ軸(92)の軸回動角(a2)に対応する第二センサ出力値(Vout2)を出力する第二角度センサ(94)と、を備え、
前記第一センサ出力値(Vout1)は、前記シフトドラム(80)が1回転する間に、1回、第一センサ切替角度(R1)で最大値と最小値の切替えを生じ、
前記第二センサ出力値(Vout2)は、前記シフトドラム(80)が1回転する間に、前記増速機構(90)の増速比(Ra)に相当する回数、第二センサ切替角度(R2)で最大値と最小値の切替えを生じ、
所定のタイミングで入力した前記第一センサ出力値(Vout1)と前記第二センサ出力値(Vout2)とを用いて前記シフトドラム(80)の回動角度(S)を検出するシフトドラム角度検出装置において、
前記第一センサ切替角度(R1)と前記第二センサ切替角度(R2)は、互いに異なる前記シフトドラム(80)の回動角度に設定されることを特徴とする変速機のシフトドラム角度検出装置。 - 前記第一角度センサ(84)が前記第一センサ切替角度(R1)を検出していると判断されたときは、前記シフトドラム(80)の検出回動角度(S)の前回値(S(n-1))と、前記第二角度センサ(94)の検出した軸回動角(a2)を前記シフトドラム(80)の回動角度に換算した第二センサ角度(A2)の変化量(ΔA2)とに基づき前記シフトドラム(80)の回動角度(S)を検出し、
前記第二角度センサ(94)が前記第二センサ切替角度(R2)を検出していると判断されたときは、前記シフトドラム(80)の検出回動角度(S)の前回値(S(n-1))と、前記第一角度センサ(84)の検出した軸回動角(a1)を前記シフトドラム(80)の回動角度に換算した第一センサ角度(A1)の変化量(ΔA1)とに基づき前記シフトドラム(80)の回動角度(S)を検出することを特徴とする請求項1に記載の変速機のシフトドラム角度検出装置。 - 前記第一センサ切替角度(R1)と前記第二センサ切替角度(R2)は、ともに前記シフトドラム(80)のニュートラル位置のみを含む回動角度領域内に設定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の変速機のシフトドラム角度検出装置。
- 前記シフトドラム(80)には、該シフトドラム(80)と一体に回動する星型カム(85)が設けられ、
前記星型カム(85)は、その外周面(85a)に各変速段に対応する湾曲した凹部(86)と先細に尖った凸部(87)とが周方向に交互に連続して形成され、
付勢手段(89s)により付勢されたローラ(89r)が前記星型カム(85)の外周面(85a)に押圧され、前記ローラ(89r)が前記星型カム(85)の所要の変速段の凹部(86)に嵌り込むことにより前記シフトドラム(80)の回動が規制されて所要の変速段を確立するディテント機構が構成され、
前記星型カム(85)の前記ニュートラル位置の凹部(86)の中央の底位置(86c)の回動角度と同凹部(86)に連続する両側の前記凸部(87)のいずれかの前記凸部(87)の頂点(87t)の回動角度との間で、同凸部(87)寄りに、前記第一センサ切替角度(R1)を設定することを特徴とする請求項3に記載の変速機のシフトドラム角度検出装置。 - 前記ローラ(89r)は、前記付勢手段(89s)により付勢されて揺動するディテントアーム(89a)の端部に回転自在に軸支され、
前記星型カム(85)の前記ニュートラル位置の凹部(86)に前記ローラ(89r)が嵌り込んだ状態で、同凹部(86)に連続する両側の前記凸部(87)のうち前記ディテントアーム(89a)の揺動中心(Y2)より遠い側の前記凸部(87)寄りの回動角度に、前記第一センサ切替角度(R1)を設定することを特徴とする請求項4に記載の変速機のシフトドラム角度検出装置。 - 前記シフトドラム(80)は、外周面(80c)に形成されたリード溝(81)のシフトダウン側端部の最下位置変速段とシフトアップ側端部の最上位置変速段が同じ回動角度位置にあって軸方向に互いにずれた位置にあり、
起動時に、前記シフトドラム(80)が最下位置変速段または最上位置変速段の回動位置にある場合は、前記シフトドラム(80)を一方向に回動させ、変速段の切換えが実行されたか否かで最下位置変速段または最上位置変速段のいずれの変速段にあったかを判別することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の変速機のシフトドラム角度検出装置。
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