JP6965198B2 - 気体精製装置及び気体精製方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、主吸着剤、次に副吸着剤の順に積層した吸着塔を有する圧力スイング吸着装置が開示されている。特許文献1に記載の圧力スイング吸着装置では、主吸着剤が一酸化炭素を優先して吸着し、副吸着剤が水素以外の残部ガス成分を吸着する。さらに主吸着剤及び副吸着剤の脱着処理では、吸着塔内を吸引することで吸着した成分を吸着剤から脱離させている。
そのため、特許文献1に記載の圧力スイング吸着装置のように、吸引ポンプを用いて吸着塔内を減圧するだけでは、強吸着成分が吸着剤から脱離しにくい。このように、特許文献1に記載の圧力スイング吸着装置にあっては、吸着剤の吸着能が再生工程で回復しにくいため、製品ガスの純度が低下するおそれがある。したがって、通常のPSA装置は強吸着成分を含む混合ガスの精製に適用しにくいという問題を有している。
[1] 第1の気体と第2の気体と第3の気体とを含む原料ガスから、圧力変動吸着方式で製品ガスを精製する気体精製装置であって、前記第3の気体を吸着する第1の吸着剤を有する第1の吸着塔と、前記第2の気体を吸着する第2の吸着剤を有する第2の吸着塔と、前記第1の吸着塔の二次側と前記第2の吸着塔の一次側とを接続し、前記第1の気体及び前記第2の気体が流れる接続ラインと、前記第2の吸着塔の二次側と接続され、前記第1の気体が流れる第1の導出ラインと、前記第1の導出ラインと接続され、前記第1の気体が流れる複数の再生ガスラインと、を備え、前記第3の気体は、第1の成分と第2の成分とを少なくとも含み、前記第1の吸着剤は、前記第1の成分を吸着する第1の吸着層と、前記第2の成分を吸着する第2の吸着層とを少なくとも有し、前記第1の吸着層と前記第2の吸着層とが、前記第1の吸着塔の一次側から二次側の順に第1の吸着塔内で積層され、各吸着層に吸着している各成分の種類に合わせて前記第1の気体の温度を調節しながら、前記第1の気体を各前記吸着層の二次側に供給するように、各前記再生ガスラインが、前記第1の吸着塔と接続される、気体精製装置。
[2] 各前記第2の吸着塔の一次側と接続され、前記第2の気体が流れる第2の導出ラインと、前記第2の導出ラインに設けられ、前記第2の吸着剤から前記第2の気体を脱離させる吸引手段と、をさらに備える、[1]の気体精製装置。
[3] 各前記吸着層の二次側に位置する部分の前記第1の吸着塔に、前記第1の気体が導入される複数の導入口がそれぞれ形成され、各前記導入口と各前記再生ガスラインとが接続される、[1]又は[2]の気体精製装置。
[4] 複数の前記再生ガスラインの少なくとも一つが、前記第1の気体の温度を調節する温度調節器を有する、[1]〜[3]いずれかの気体精製装置。
[5] 前記第1の気体と前記第2の気体との組み合わせが、プロパンとプロペンとの組み合わせであり、前記第1の成分が、トルエン、ベンゼン、アセトン、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、水蒸気からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記第2の成分が窒素、酸素、アルゴン、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[4]いずれかの気体精製装置。
[6] [1]〜[5]いずれかの気体精製装置を用いる圧力変動吸着方式の気体精製方法であって、前記第1の吸着剤を再生する際に、前記第1の導出ラインに前記第1の気体を導出し、各前記吸着層に吸着している前記各成分の種類に合わせて前記第1の気体の温度を調節しながら、前記第1の気体を各前記吸着層の二次側に供給する、気体精製方法。
[7] 前記第2の吸着層の二次側に前記第1の気体を供給した後に、前記第1の吸着層の二次側に前記第1の気体を供給する、[6]の気体精製方法。
「PSA」は、Pressure Swing Adsorptionの略である。本明細書では圧力変動吸着方式を「PSA方式」と記し、PSA方式で気体を精製する装置を「PSA装置」と記す。
吸着剤の「再生」とは、除去対象成分が吸着された吸着剤を再び除去対象成分が吸着され得る状態に戻すことを意味する。
「再生ガス」とは、再生の対象となる吸着剤を有する吸着塔に、吸着剤を再び除去対象成分が吸着され得る状態に戻すために供給される気体を意味する。
「再生排ガス」とは、再生の対象となる吸着剤を有する吸着塔から排出される気体であり、吸着剤の再生に使用された気体を意味する。
「強吸着成分」とは、吸着剤に対する吸着力が相対的に強いガス成分を意味する。
「弱吸着成分」とは、吸着剤に対する吸着力が相対的に弱いガス成分を意味する。
本実施形態の気体精製装置は、第1の気体と第2の気体と第3の気体とを含む原料ガスから、第2のガスを製品ガスとして精製する装置である。
第1の気体、第2の気体は特に限定されない。第1の気体、第2の気体の具体例としては、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、ブタン、ブテン等の炭化水素が例示される。
第1の成分、第2の成分及び他の成分としては、窒素、酸素、アルゴン、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素からなる群より選ばれる少なくとも1種の弱吸着成分;トルエン、ベンゼン、アセトン、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、水蒸気からなる群より選ばれる少なくとも1種の強吸着成分等が例示される。
以下の実施形態においては、原料ガスがプロパン(第1の気体)及びプロペン(第2の気体)を含み、第3の気体が第1の成分としてブチルアルコールを、第2の成分として二酸化炭素を含み、製品ガスとしてプロペンを回収する場合を一形態例として説明する。
以下に気体精製装置10の各構成要素に関して詳しく説明を行う。
第1のPSAユニット2は、原料ガスから第3の気体(本形態例では二酸化炭素とブチルアルコールとを含む混合気体である。)を除去する。第1のPSAユニット2は、第1の吸着塔2a,2bを有する。第1の吸着塔2a,2bは、中空円筒状である。第1の吸着塔2a,2bは内部に第1の吸着剤を有する。
第2の吸着層7a,7bは、第2の成分(本形態例では二酸化炭素である。以下、「二酸化炭素」と記す。)を吸着する。第2の吸着層7a,7bの具体例としては、分子篩炭(MSC)、ゼオライト等が例示される。これらは一種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第1の導出ラインL3は、第1の再生ガスラインL5及び第2の再生ガスラインL6と接続されている。具体的に第1の導出ラインL3は、接続点d1で第1の再生ガスラインL5と接続され、接続点d2で第2の再生ガスラインL6と接続される。
第1の再生ガスラインL5は、第1の端部が接続点d1で第1の導出ラインL3と接続され、第2の端部が分岐ラインL5aと分岐ラインL5bとに分岐される。第1の再生ガスラインL5の分岐した第2の端部のそれぞれは、導入口8a,8bと接続される。
第2の再生ガスラインL6は、第1の端部が接続点d2で第1の導出ラインL3と接続され、第2の端部が分岐ラインL6aと分岐ラインL6bとに分岐される。第2の再生ガスラインL6は、冷却器5を有する。第2の再生ガスラインL6の分岐した第2の端部のそれぞれは、導入口9a,9bと接続される。
第2の吸着層7a,7bに供給されるプロパンの温度は、二酸化炭素(第2の成分)の脱離に適した温度T2に調節される。温度T2は特に限定されないが、例えば、0〜45℃とすることができる。温度T2の調整は、冷却器5で行うことができる。
なお、冷却器5は、第2の再生ガスラインL6内のプロパンの温度を調節する温度調節器の一例である。
以上説明した気体精製装置10にあっては、第1の再生ガスラインL5と第2の再生ガスラインL6とを備え、各吸着層に吸着している各成分の種類に合わせてプロパンの温度を調節しながら、各吸着層の二次側に供給可能な構成を採用している。そのため、各吸着層から脱離させる各成分の脱離に適した温度で各吸着層の再生を行うことができる。その結果、強吸着成分が第1の吸着層に吸着しても、各吸着層の再生が容易であるから、吸着能が回復しやすくなり、製品ガスの純度がよくなる。
気体精製装置10は吸引ポンプ4を備えるため、第2のPSAユニット3によって分離されたプロパンの一部を第2の吸着塔3a,3b内に供給せずに、第2の吸着剤からプロペンを脱離させることができる。そのため、製品ガスであるプロペンにプロパンが混入しにくくなる。その結果、プロペンの純度が高くなり、高純度でプロペンを精製できる。
一方で第2の吸着層7a,7bにおける二酸化炭素の脱離は、脱離効率の点から、相対的に低い温度下で行われる。そこで、冷却器5によって第2の再生ガスラインL6内の温度を下げる必要がある。
・第1の再生ガスラインL5を備えない点。
・非再生式の除去器30を備える点。
・第1のPSAユニット2が第1のPSAユニット20に置換されている点。
非再生式の除去器30は、ブチルアルコール等の強吸着成分を除去する。非再生式であるため、一度ブチルアルコールが除去器30内に吸着すると、脱離が困難である。
これに対し、気体精製装置10は強吸着成分に適した温度でプロパンを第1の吸着層に供給することで、第1の吸着層の再生を可能としているため、低コストで製品ガスを製造できる。
以下、上述した気体精製装置10を用いる本実施形態の気体精製方法について説明する。本実施形態の気体精製方法は、PSA方式の気体精製方法である。そのため、以下の実施形態においては、一般的な(即ち、本発明の特徴との関連性が低い)PSA方式の気体精製方法で行われる脱圧及び均圧等の操作に関する説明を省略する。
即ち、以下の実施形態では、第1の吸着塔2aで第3の気体の吸着工程が行われ、第1の吸着塔2bで第1の吸着剤の再生工程が行われている。そして、第2の吸着塔3aでプロペンの吸着工程が行われ、第2の吸着塔3bでプロペンの脱離による回収工程が行われている。
次いで、プロパンとプロペンとを含む気体を第1の吸着塔2aから接続ラインL2に導出し、プロパン及びプロペンを第2の吸着塔3aに供給する。そして、第2の吸着塔3a内の図示略の第2の吸着剤にプロペンを吸着させる。これにより、プロパンとプロペンとが分離される。なお、第2の吸着塔3b内では、図示略の第2の吸着剤からプロペンがプロペンを脱離させている。
その後、第2の再生ガスラインL6内の相対的に低温のプロパンが、分岐ラインL6bを経由し、導入口9bを介し、第2の吸着層7bの二次側に供給される。これにより、第2の吸着層7bに吸着している二酸化炭素が脱離に適した温度下で脱離する。脱離した二酸化炭素は、プロパンとともに第2の吸着層7bから第1の吸着層6bに向かって流れ、再生排ガスラインL7にプロパンとともに導出される。
ここで、第1の再生ガスラインL5内のプロパンは、相対的に高温であり、その温度は、第1の吸着層6bに吸着するブチルアルコールの脱離温度に近い。すなわち、第1の再生ガスラインL5内のプロパンは、すでに第1の導出ラインL3への導出によって、第1の吸着層6bに吸着するブチルアルコールの脱離温度に合わせて、調節済であることが多い。そのため、本実施形態では、さらなるプロパンの冷却又は加熱等の温度調節を行っても、行わなくてもよい。
以上説明した本実施形態の気体精製方法では、気体精製装置10を用い、各吸着層に吸着している各成分の種類に合わせてプロパンの温度を調節しながら、プロパンを各吸着層の二次側に供給するため、原料ガスが強吸着成分を含む場合でも、強吸着成分が吸着剤から脱離しやすい。このように、本実施形態にあっては、第1の吸着層6bの吸着能が再生工程で回復しやすいため、製品ガスの純度が高くなる。したがって、気体精製装置10は強吸着成分を含む混合ガスの精製に適用可能である。
他にも、第2の吸着塔3aは、スチーム等の外部熱源により加温されてもよい。この場合において、第2の吸着塔3aから導出されるプロパンを第1の吸着塔2a,2bの再生ガスとして使用しても、同様の作用効果が得られる。
例えば、接続ラインL2、第1の再生ガスラインL5、第2の再生ガスラインL6のそれぞれには、各ラインを流れる気体の流量の変動を抑制して安定化させることを目的とし、気体を貯蔵するタンクが設けられてもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
VL4:第2のPSAユニット3における製品ガス(プロペン)の流量[Nm3/h]。
PL2:第1のPSAユニット2の吸着時の圧力[kPaG]。
TL5:第1の再生ガスラインL5内のプロパンの温度[℃]。
TL6:冷却器5の二次側の第2の再生ガスラインL6内のプロパンの温度[℃]。
VL5:第1の再生ガスラインL5内のプロパンの流量[Nm3/h]。
VL6a,L6b:第2の再生ガスラインL6の分岐した各端部(分岐ラインL6a,L6b)内のプロパンの流量[Nm3/h]。
「V1:V2」:第1の吸着塔内で、第1の吸着層が占める容積V1と第2の吸着層が占める容積V2との比。
t1:第2の再生ガスラインL6から第1の供給塔へのプロパンの供給時間[秒間]。
t2:第1の再生ガスラインL5から第1の供給塔へのプロパンの供給時間[秒間]。
実施例1では気体精製装置10を用いて、PSA方式で原料ガスを精製し、プロペンを製品ガスとして回収した。実施例1で使用した原料ガスは、プロパンを45体積%、プロペンを25体積%、ブチルアルコールを5体積%、二酸化炭素を25体積%含んでいた。
実施例1ではまず、原料ガスを第1のPSAユニット2に供給し、ブチルアルコールと二酸化炭素とを除去した。第1のPSAユニット2では、第1の吸着層6a,6bとしてシリカアルミナを使用し、第2の吸着層7a,7bとしてMSC(分子篩活性炭)を使用した。第1のPSAユニット2における第1の吸着塔の吸着と脱離の切替時間は、180秒とした。
次いで、第2のPSAユニット3にプロパン及びプロペンを供給し、プロパンとプロペンとを分離した。第2のPSAユニット3におけるプロペンの吸着温度は150℃とした。第2のPSAユニット3では、第2の吸着剤としてゼオライトを使用した。
その後、本実施形態で説明した方法に従い、第1の吸着層及び第2の吸着層の再生を行い、表1に示す条件下でプロペンを製品ガスとして第2の導出ラインL4から回収した。なお、実施例1では、第1の吸着塔におけるブチルアルコールと二酸化炭素との脱離は、大気圧下で行った。
比較例1では気体精製装置100を用いた以外は、実施例1と同様にし、表1に示す条件下でプロペンを製品ガスとして回収した。なお比較例1でも、第1の吸着塔におけるブチルアルコールと二酸化炭素との脱離は、大気圧下で行った。
Claims (6)
- 第1の気体と第2の気体と第3の気体とを含む原料ガスから、圧力変動吸着方式で製品ガスを精製する気体精製装置であって、
前記第3の気体を吸着する第1の吸着剤を有する第1の吸着塔と、
前記第2の気体を吸着する第2の吸着剤を有する第2の吸着塔と、
前記第1の吸着塔の二次側と前記第2の吸着塔の一次側とを接続し、前記第1の気体及び前記第2の気体が流れる接続ラインと、
前記第2の吸着塔の二次側と接続され、前記第1の気体が流れる第1の導出ラインと、
前記第1の導出ラインと接続され、前記第1の気体が流れる複数の再生ガスラインと、
を備え、
前記第3の気体は、第1の成分と第2の成分とを少なくとも含み、
前記第1の吸着剤は、前記第1の成分を吸着する第1の吸着層と、前記第2の成分を吸着する第2の吸着層とを少なくとも有し、
前記第1の吸着層と前記第2の吸着層とが、前記第1の吸着塔の一次側から二次側の順に第1の吸着塔内で積層され、
各吸着層に吸着している各成分の種類に合わせて前記第1の気体の温度を調節しながら、前記第1の気体を各前記吸着層の二次側に供給するように、各前記再生ガスラインが、前記第1の吸着塔と接続され、
前記第1の気体と前記第2の気体との組み合わせが、プロパンとプロペンとの組み合わせであり、
前記第1の成分が、トルエン、ベンゼン、アセトン、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、水蒸気からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記第2の成分が窒素、酸素、アルゴン、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素からなる群より選ばれる少なくとも1種である、気体精製装置。 - 各前記第2の吸着塔の一次側と接続され、前記第2の気体が流れる第2の導出ラインと、
前記第2の導出ラインに設けられ、前記第2の吸着剤から前記第2の気体を脱離させる吸引手段と、
をさらに備える、請求項1に記載の気体精製装置。 - 各前記吸着層の二次側に位置する部分の前記第1の吸着塔に、前記第1の気体が導入される複数の導入口がそれぞれ形成され、
各前記導入口と各前記再生ガスラインとが接続される、請求項1又は2に記載の気体精製装置。 - 複数の前記再生ガスラインの少なくとも一つが、前記第1の気体の温度を調節する温度調節器を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の気体精製装置。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の気体精製装置を用いる圧力変動吸着方式の気体精製方法であって、
前記第1の吸着剤を再生する際に、前記第1の導出ラインに前記第1の気体を導出し、
各前記吸着層に吸着している前記各成分の種類に合わせて前記第1の気体の温度を調節しながら、前記第1の気体を各前記吸着層の二次側に供給する、気体精製方法。 - 前記第2の吸着層の二次側に前記第1の気体を供給した後に、前記第1の吸着層の二次側に前記第1の気体を供給する、請求項5に記載の気体精製方法。
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