例示的な実施形態の詳細な説明
本明細書は、本開示の例示的な実施形態及び用途について説明する。しかし、本開示は、これらの例示的な実施形態及び用途に又は例示的な実施形態及び用途が動作若しくは本明細書において説明される様式に限定されない。さらに、図は簡易化された図又は部分図を示し得、図中の要素の寸法は強調又は他の方法で比例していないことがある。加えて、「上」、「に取り付けられる」、「に接続される」、「に結合される」という用語又は同様の用語が本明細書で使用される場合、ある要素(例えば、材料、層、基板等)は、ある要素が他の要素の直接上にある、直接付着する、直接接続される、又は直接結合されるか否かに関係なく、又はある要素と別の要素との間に1つ若しくは複数の介在要素があるか否かに関係なく、別の要素の「上」にあり、別の要素「に付着」し、「に接続」し、又は「に結合」することができる。また、文脈により別のことが示される場合を除き、方向(例えば、上方、下方、上部、下部、横、上、下、の下、の上、上部の、下部の、横、縦、「x」、「y」、「z」等)は、提供される場合、相対的なものであり、単に例として、例示及び考察を容易にするために提供され、限定として提供されるものではない。加えて、要素のリスト(例えば、要素a、b、c)が言及される場合、そのような言及は、リスト自体に列挙された要素のいずれか1つ、列挙された要素の全て未満の任意の組合せ、及び/又は列挙された全ての要素の組合せを包含することが意図される。本明細書でのセクション分割は、検討を容易にすることのみを目的とし、考察されるいかなる要素の組合せも限定しない。
マイクロ流体特徴の寸法が、幅又は面積を有するものとして説明される場合、その寸法は通常、両方ともマイクロ流体デバイスの基板及び/又はカバーに平行する平面内にあるx軸及び/又はy軸次元に相対して説明される。マイクロ流体特徴の高さは、マイクロ流体デバイスの基板及び/又はカバーに平行する平面に直交するz軸方向に相対して説明し得る。幾つかの場合、チャネル又は通路等のマイクロ流体特徴の断面積は、x軸/z軸、y軸/z軸、又はx軸/y軸の面積を参照し得る。
本明細書で使用される場合、「実質的に」は、意図される目的で十分に機能することを意味する。したがって、「実質的に」という用語は、全体的な性能にあまり影響しない、当業者により予期されるような絶対的又は完全な状態、寸法、測定、結果等からの小さく取るに足らない変動を許容する。数値として表現することができる数値、パラメータ、又は特性に関して使用される場合、「実質的に」は10%以内を意味する。
「それぞれ(ones)」という用語は2つ以上を意味する。
本明細書で使用される場合、「複数」という用語は2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11以上であることができる。
本明細書で使用される場合、「配置される(disposed)」という用語は、その意味内に「位置する(located)」を包含する。
本明細書で使用される場合、「マイクロ流体デバイス」又は「マイクロ流体装置」とは、流体を保持するように構成された1つ又は複数の別個のマイクロ流体回路であって、各マイクロ流体回路は、領域、流路、チャネル、チャンバ、及び/又は囲いを含むがこれに限定されない流体的に相互接続された回路要素で構成される、1つ又は複数の別個のマイクロ流体回路と、流体(及び任意選択的に流体中に懸濁した微小物体)をマイクロ流体デバイス内及び/又は外に流すように構成される少なくとも1つのポートとを含むデバイスである。通常、マイクロ流体デバイスのマイクロ流体回路は、マイクロ流体チャネルを含み得るフロー領域及び少なくとも1つのチャンバを含み、約1mL未満、例えば、約750μL未満、約500μL未満、約250μL未満、約200μL未満、約150μL未満、約100μL未満、約75μL未満、約50μL未満、約25μL未満、約20μL未満、約15μL未満、約10μL未満、約9μL未満、約8μL未満、約7μL未満、約6μL未満、約5μL未満、約4μL未満、約3μL未満、又は約2μL未満の容量の流体を保持する。特定の実施形態では、マイクロ流体回路は、約1μL〜約2μL、約1μL〜約3μL、約1μL〜約4μL、約1μL〜約5μL、約2μL〜約5μL、約2μL〜約8μL、約2μL〜約10μL、約2μL〜約12μL、約2μL〜約15μL、約2μL〜約20μL、約5μL〜約20μL、約5μL〜約30μL、約5μL〜約40μL、約5μL〜約50μL、約10μL〜約50μL、約10μL〜約75μL、約10μL〜約100μL、約20μL〜約100μL、約20μL〜約150μL、約20μL〜約200μL、約50μL〜約200μL、約50μL〜約250μL、又は約50μL〜約300μLを保持する。マイクロ流体回路は、マイクロ流体デバイスの第1のポート(例えば、流入口)と流体的に接続される第1の端部と、マイクロ流体デバイスの第2のポート(例えば、流出口)と流体的に接続される第2の端部とを有するように構成し得る。
本明細書で使用される場合、「ナノ流体デバイス」又は「ナノ流体装置」とは、約1μL未満、例えば、約750nL未満、約500nL未満、約250nL未満、約200nL未満、約150nL未満、約100nL未満、約75nL未満、約50nL未満、約25nL未満、約20nL未満、約15nL未満、約10nL未満、約9nL未満、約8nL未満、約7nL未満、約6nL未満、約5nL未満、約4nL未満、約3nL未満、約2nL未満、約1nL未満、又はそれ未満の容量の流体を保持するように構成された少なくとも1つ回路要素を含むマイクロ流体回路を有するタイプのマイクロ流体デバイスである。ナノ流体デバイスは、複数の回路要素(例えば、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、50個、75個、100個、150個、200個、250個、300個、400個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個、1500個、2000個、2500個、3000個、3500個、4000個、4500個、5000個、6000個、7000個、8000個、9000個、10,000個、又はそれ以上)を含み得る。特定の実施形態では、少なくとも1つの回路要素のうちの1つ又は複数(例えば、全て)は、約100pL〜約1nL、約100pL〜約2nL、約100pL〜約5nL、約250pL〜約2nL、約250pL〜約5nL、約250pL〜約10nL、約500pL〜約5nL、約500pL〜約10nL、約500pL〜約15nL、約750pL〜約10nL、約750pL〜約15nL、約750pL〜約20nL、約1nL〜約10nL、約1nL〜約15nL、約1nL〜約20nL、約1nL〜約25nL、又は約1nL〜約50nLの容量の流体を保持するように構成される。他の実施形態では、少なくとも1つの回路要素のうちの1つ又は複数(例えば、全て)は、約20nL〜約200nL、約100nL〜約200nL、約100nL〜約300nL、約100nL〜約400nL、約100nL〜約500nL、約200nL〜約300nL、約200nL〜約400nL、約200nL〜約500nL、約200nL〜約600nL、約200nL〜約700nL、約250nL〜約400nL、約250nL〜約500nL、約250nL〜約600nL、又は約250nL〜約750nLの容量の流体を保持するように構成される。
本明細書で使用される場合、「マイクロ流体チャネル」又は「フローチャネル」は、横寸法及び縦寸法の両方よりも実質的に長い長さを有するマイクロ流体デバイスのフロー領域を指す。例えば、フローチャネルは、横寸法又は縦寸法のいずれかの長さの少なくとも5倍、例えば、長さの少なくとも10倍、長さの少なくとも25倍、長さの少なくとも100倍、長さの少なくとも200倍、長さの少なくとも500倍、長さの少なくとも1,000倍、長さの少なくとも5,000倍、又はそれよりも長い長さであることができる。幾つかの実施形態では、フローチャネルの長さは、間の任意の範囲を含む約100,000μm〜約500,000μmの範囲である。幾つかの実施形態では、横寸法は約100μm〜約1000μm(例えば、約150μm〜約500μm)の範囲であり、縦寸法は約25μm〜約200μmの範囲、例えば、約40μm〜約150μmの範囲である。なお、フローチャネルは、マイクロ流体デバイスにおいて多種多様な異なる空間構成を有し得、したがって、完全に線形の要素に限定されない。例えば、フローチャネルは、以下の構成:曲線、湾曲、螺旋、傾斜、下降、分岐(例えば、複数の異なる流路)、及びそれらの任意の組合せを有する1つ又は複数の部分であり得、又は含み得る。加えて、フローチャネルは、経路に沿って異なる断面積を有し得、広がるか、又は収縮して、所望の流体フローを内部に提供し得る。フローチャネルは弁を含み得、弁は、マイクロ流体の分野で既知の任意のタイプのものであり得る。弁を含むマイクロ流体チャネルの例は、米国特許第6,408,878号及び同第9,227,200号に開示されており、これらのそれぞれは全体的に参照により本明細書に援用される。
本明細書で使用される場合、「障害物」という用語は一般に、マイクロ流体デバイス内の2つの異なる領域又は回路要素間の標的微小物体の移動を部分的に(しかし、完全にではない)妨げるのに十分に大きいバンプ又は同様のタイプの構造を指す。2つの異なる領域/回路要素は、例えば、マイクロ流体隔離囲いの接続領域及び分離領域であることができる。
本明細書で使用される場合、「狭窄」という用語は一般に、マイクロ流体デバイス内の回路要素(又は2つの回路要素間の界面)の幅の狭まりを指す。狭窄は、例えば、本開示のマイクロ流体隔離囲いの分離領域と接続領域との界面に位置することができる。
本明細書で使用される場合、「透明」という用語は、可視光が透過する際、可視光を実質的に変更せずに透過させる材料を指す。
本明細書で使用される場合、「微小物体」という用語は一般に、本発明により分離及び/又は操作し得る任意の顕微鏡的物体を指す。微小物体の非限定的な例としては、微粒子;微小ビーズ(例えば、ポリスチレンビーズ、Luminex(商標)ビーズ等);磁性ビーズ
;微小ロッド;微小ワイヤ;量子ドット等の無生物微小物体、細胞;生物学的細胞小器官;ベシクル又は複合体;合成ベシクル;リポソーム(例えば、合成又は膜標本由来);脂質ナノクラフト(lipid nanoraft)等の生物学的微小物体、又は無生物微小物体と生物学的微小物体との組合せ(例えば、細胞に付着した微小ビーズ、リポソームコーティング微小ビーズ、リポソームコーティング磁性ビーズ等)が挙げられる。ビーズは、蛍光標識、タンパク質、炭水化物、抗原、小分子シグナリング部分、又はアッセイで使用可能な他の化学/生物種等の共有結合又は非共有結合した部分/分子を含み得る。脂質ナノクラフトは、例えば、Ritchieら著、(2009)“Reconstitution of Membrane Proteins in Phospholipid Bilayer Nanodiscs”,Methods Enzymol.,464:211-231において説明されて
いる。
本明細書で使用される場合、「細胞」という用語は用語「生体細胞」と同義で使用される。生体細胞の非限定的な例としては、真核細胞、植物細胞、哺乳類細胞、爬虫類細胞、鳥類細胞、魚類細胞等の動物細胞、原核細胞、細菌細胞、真菌細胞、原生細胞等、筋肉、軟骨組織、脂肪、皮膚、肝臓、肺、神経組織等の組織から解離された細胞、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ等の免疫細胞、胚(例えば、接合子)、卵母細胞、卵子、精子細胞、ハイブリドーマ、培養細胞、細胞株からの細胞、がん細胞、感染細胞、トランスフェクト細胞及び/又は形質転換細胞、レポーター細胞等が挙げられる。哺乳類細胞は、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、霊長類等からの細胞であることができる。
生体細胞のコロニーは、生殖可能なコロニー内の生細胞の全てが、単一の親細胞由来の娘細胞である場合、「クローン」である。特定の実施形態では、クローンコロニー内の全ての娘細胞は、10以下の細胞分裂での単一の親細胞からのものである。他の実施形態では、クローンコロニー内の全ての娘細胞は、14以下の細胞分裂での単一の親細胞からのものである。他の実施形態では、クローンコロニー内の全ての娘細胞は、17以下の細胞分裂での単一の親細胞からのものである。他の実施形態では、クローンコロニー内の全ての娘細胞は、20以下の細胞分裂での単一の親細胞からのものである。「クローン細胞」という用語は、同じクローンコロニーの細胞を指す。
本明細書で使用される場合、生体細胞の「コロニー」は、2つ以上の細胞(例えば、約2〜約20個、約4〜約40個、約6〜約60個、約8〜約80個、約10〜約100個、約20約200個、約40約400個、約60約600個、約80約800個、約100約1000個、又は約1000個を超える細胞)を指す。
本明細書で使用される場合、「細胞を維持する」という用語は、細胞を生存した状態に保ち、及び/又は増殖させるのに必要な状況を提供する流体成分及びガス成分の両方並びに任意選択的に表面を含む環境を提供することを指す。
本明細書で使用される場合、「増殖」という用語は、細胞を指す場合、細胞数の増大を指す。
流体の媒体の「成分」とは、溶媒分子、イオン、小分子、抗生物質、ヌクレオチド及びヌクレオシド、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖、炭水化物、脂質、脂肪酸、コレステロール、代謝産物等を含む、媒体に存在する任意の化学分子又は生化学分子である。
流体媒体を参照して本明細書で使用される場合、「拡散する」及び「拡散」とは、濃度勾配を下がる流体媒体の成分の熱力学的移動を指す。
「媒体の流れ」という語句は、拡散以外の任意のメカニズムに主に起因する流体媒体のバルク移動を意味する。例えば、媒体の流れは、ポイント間の圧力差に起因する流体媒体のあるポイントから別のポイントへの移動を含むことができる。そのようなフローは、液体の連続フロー、パルスフロー、周期的フロー、ランダムフロー、断続的フロー、又は往復フロー、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。ある流体媒体が別の流体媒体中に流れる場合、媒体の乱流及び混合が生じ得る。
「実質的に流れがない」という語句は、流体媒体内への又は流体媒体内の材料(例えば、対象となる検体)の成分の拡散率未満である、経時平均される流体媒体の流量を指す。そのような材料の成分の拡散率は、例えば、成分の温度、サイズ、及び成分と流体媒体との相互作用の強さに依存することができる。
マイクロ流体デバイス内の異なる領域を参照して本明細書で使用される場合、「流体的に接続される」という語句は、異なる領域が流体媒体等の流体で実質的に充填されているとき、各領域内の流体が接続されて、単一の流体を形成することを意味する。これは、異なる領域内の流体(又は流体媒体)の組成が必ずしも同一であることを意味しない。正確に言えば、マイクロ流体デバイスの流体的に接続される異なる領域内の流体は、溶質が各濃度勾配を下に移動し、及び/又は流体がマイクロ流体デバイスを通って流れるとき、流動的である異なる組成(例えば、タンパク質、炭水化物、イオン、又は他の分子等の異なる濃度の溶質)を有することができる。
本明細書で使用される場合、「流路」とは、媒体の流れの軌道を画定し、媒体の流れの軌道を受ける1つ又は複数の流体的に接続された回路要素(例えば、チャネル、領域、チャンバ等)を指す。したがって、流路は、マイクロ流体デバイスの掃引領域の例である。他の回路要素(例えば、非掃引領域)は、流路における媒体の流れを受けることなく、流路を含む回路要素と流体的に接続し得る。
本明細書で使用される場合、「微小物体の分離」は、マイクロ流体デバイス内の画定エリアに微小物体を閉じ込めることを意味する。微小物体はそれでもなお、in situ生成捕捉構造内で動くことが可能であり得る。
マイクロ流体(又はナノ流体)デバイスは、「掃引」領域及び「非掃引」領域を含むことができる。本明細書で使用される場合、「掃引」領域は、流体がマイクロ流体回路を流れているとき、媒体の流れを受ける、マイクロ流体回路の1つ又は複数の流体的に相互接続された回路要素で構成される。掃引領域の回路要素は、例えば、領域、チャネル、及びチャンバの全て又は一部を含むことができる。本明細書で使用される場合、「非掃引」領域は、流体がマイクロ流体回路を流れているとき、流体流動を実質的に受けない、マイクロ流体回路の1つ又は複数の流体的に相互接続された回路要素で構成される。非掃引領域は、流体接続が、掃引領域と非掃引領域との間の拡散は可能であるが、実質的に媒体フローがないような構造を有する場合、掃引領域に流体的に接続することができる。したがって、マイクロ流体デバイスは、実質的に掃引領域と非掃引領域との間の拡散流通のみを可能にしながら、掃引領域内の媒体のフローから非掃引領域を実質的に分離するような構造を有することができる。例えば、マイクロ流体デバイスのフローチャネルは、掃引領域の例であり、一方、マイクロ流体デバイスの分離領域(以下に更に詳細に説明する)は、非掃引領域の例である。
本明細書で使用される場合、「犠牲特徴」とは、本開示のマイクロ流体デバイス及び方法において熱標的として使用し得、気泡、キャビテーション力、又は剪断流を本明細書に記載のように生成するのに十分に照明されると、少なくとも部分的に破壊されるマイクロ流体回路要素を指す。
そのようなマイクロ流体デバイスにおいて、特定の生物学的材料(例えば、抗体等のタンパク質)を生成する生物学的微小物体(例えば、生体細胞)の能力をアッセイすることができる。アッセイの特定の実施形態では、対象となる検体の生産についてアッセイする生物学的微小物体(例えば、細胞)を含む試料材料をマイクロ流体デバイスの掃引領域に装填することができる。生物学的微小物体(例えば、ヒト細胞等の哺乳類細胞)のそれぞれは、特定の特性に関して選択することができ、非掃引領域に配置することができる。次に、残りの試料材料を掃引領域から流出させ、アッセイ材料を掃引領域に流入させることができる。選択された生物学的微小物体は非掃引領域にあるため、選択された生物学的微小物体は、残りの試料材料の流出又はアッセイ材料の流入による影響を実質的に受けない。選択された生物学的微小物体は、対象となる検体を生成することが可能であることができ、検体は非掃引領域から掃引領域中に拡散することができ、掃引領域において、対象となる検体はアッセイ材料と反応して、それぞれを特定の非掃引領域に相関付けることができる、局所化された検出可能反応を生成することができる。検出された反応に関連する任意の非掃引領域を分析して、非掃引領域中の生物学的微小物体のうち、対象となる検体の十分な生産者物体がある場合、それがいずれかを特定することができる。
マイクロ流体デバイス及びそのようなデバイスを操作し観測するシステム
図1Aは、卵子、及び/又は卵母細胞、及び/又は精子の選択及び評価を含め、インビトロでの胚の生成に使用することができるマイクロ流体デバイス100及びシステム150の例を示す。カバー110を一部切り欠き、マイクロ流体デバイス100内の部分図を提供するマイクロ流体デバイス100の斜視図を示す。マイクロ流体デバイス100は、一般に、流路106を含むマイクロ流体回路120を含み、流路106を通って流体培地180が流れることができ、任意選択的に1つ又は複数の微小物体(図示せず)をマイクロ流体回路120内及び/又はマイクロ流体回路120を通して搬送する。1つのマイクロ流体回路120が図1Aに示されているが、適するマイクロ流体デバイスは、複数(例えば、2又は3個)のそのようなマイクロ流体回路を含むことができる。それに関係なく、マイクロ流体デバイス100はナノ流体デバイスであるように構成され得る。図1Aに示されるように、マイクロ流体回路120は、複数のマイクロ流体隔離囲い124、126、128、及び130を含み得、ここで、各隔離囲いは、流路106に流体接続する1つ又は複数の開口部を有し得る。図1Aのデバイスの幾つかの実施形態では、隔離囲いは、流路106と流通する1つのみの開口部を有し得る。更に以下で考察するように、マイクロ流体隔離囲いは、培地180が流路106を通って流れているときであっても、マイクロ流体デバイス100等のマイクロ流体デバイスに微小物体を保持するように最適化された様々な特徴及び構造を含む。しかし、上記を参照する前に、マイクロ流体デバイス100及びシステム150の概説を提供する。
図1Aに概して示されるように、マイクロ流体回路120はエンクロージャ102により画定される。エンクロージャ102は異なる構成で物理的に構造化することができるが、図1Aに示される例では、エンクロージャ102は、支持構造体104(例えば、基部)、マイクロ流体回路構造108、及びカバー110を含むものとして示されている。支持構造体104、マイクロ流体回路構造108、及びカバー110は、互いに取り付けることができる。例えば、マイクロ流体回路構造108は、支持構造体104の内面109に配置することができ、カバー110は、マイクロ流体回路構造108を覆って配置することができる。支持構造体104及びカバー110と一緒に、マイクロ流体回路構造108は、マイクロ流体回路120の要素を画定することができる。
図1Aに示されるように、支持構造体104は、マイクロ流体回路120の下部にあり得、カバー110はマイクロ流体回路120の上部にあり得る。代替的に、支持構造体104及びカバー110は、他の向きで構成され得る。例えば、支持構造体104は、マイクロ流体回路120の上部にあり得、カバー110はマイクロ流体回路120の下部にあり得る。それに関係なく、それぞれがエンクロージャ102内又は外への通路を含む1つ又は複数のポート107があり得る。通路の例としては、弁、ゲート、貫通孔等が挙げられる。示されるように、ポート107は、マイクロ流体回路構造108のギャップにより作られる貫通孔である。しかし、ポート107は、カバー110等のエンクロージャ102の他の構成要素に配置することができる。1つのみのポート107が図1Aに示されているが、マイクロ流体回路120は2つ以上のポート107を有することができる。例えば、流体がマイクロ流体回路120に入るための流入口として機能する第1のポート107があり得、流体がマイクロ流体回路120を出るための流出口として機能する第2のポート107があり得る。ポート107が流入口として機能するか、それとも流出口として機能するかは、流体が流路106を通って流れる方向に依存し得る。
支持構造体104は、1つ又は複数の電極(図示せず)と、基板又は複数の相互接続された基板を含むことができる。例えば、支持構造体104は、1つ又は複数の半導体基板を含むことができ、各半導体基板は電極に電気的に接続される(例えば、半導体基板の全て又はサブセットは、1つの電極に電気的に接続することができる)。支持構造体104は、プリント回路基板組立体(「PCBA」)を更に含むことができる。例えば、半導体基板はPCBA上に搭載することができる。
マイクロ流体回路構造108は、マイクロ流体回路120の回路要素を画定することができる。そのような回路要素は、マイクロ流体回路120に流体が充填される場合、流体的に相互接続することができる、フロー領域(1つ又は複数のフローチャネルを含み得る)、チャンバ、囲い、トラップ等の空間又は領域を含むことができる。図1Aに示されるマイクロ流体回路120では、マイクロ流体回路108は、枠114及びマイクロ流体回路材料116を含む。枠114は、マイクロ流体回路材料116を部分的又は完全に囲むことができる。枠114は、例えば、マイクロ流体回路材料116を実質的に囲む比較的剛性の構造であり得る。例えば、枠114は金属材料を含むことができる。
マイクロ流体回路材料116には、キャビティ等をパターニングして、マイクロ流体回路120の回路要素及び相互接続を画定することができる。マイクロ流体回路材料116は、ガス透過可能であり得る可撓性ポリマー(例えば、ゴム、プラスチック、エラストマー、シリコーン、ポリジメチルシロキサン(「PDMS」)等)等の可撓性材料を含むことができる。マイクロ流体回路材料116を構成することができる材料の他の例としては、成形ガラス、シリコーン(フォトパターニング可能シリコーン又は「PPS」)等のエッチング可能材料、フォトレジスト(例えば、SU8)等が挙げられる。幾つかの実施形態では、そのような材料 − したがって、マイクロ流体回路材料116 − は、剛性及び/又はガスを実質的に不透過であり得る。それに関係なく、マイクロ流体回路材料116は、支持構造体104上及び枠114内部に配置することができる。
カバー110は、枠114及び/又はマイクロ流体回路材料116の一体部分であり得る。代替的に、カバー110は、図1Aに示されるように、構造的に別個の要素であり得る。カバー110は、枠114及び/又はマイクロ流体回路材料116と同じ又は異なる材料を含むことができる。同様に、支持構造体104は、示されるように枠114若しくはマイクロ流体回路材料116とは別個の構造であってもよく、又は枠114若しくはマイクロ流体回路材料116の一体部分であってもよい。同様に、枠114及びマイクロ流体回路材料116は、図1Aに示されるように別個の構造であってもよく、又は同じ構造の一体部分であってもよい。
幾つかの実施形態では、カバー110は剛性材料を含むことができる。剛性材料は、ガラス又は同様との特性を有する材料であり得る。幾つかの実施形態では、カバー110は変形可能材料を含むことができる。変形可能材料は、PDMS等のポリマーであり得る。幾つかの実施形態では、カバー110は、剛性材料及び変形可能材料の両方を含むことができる。例えば、カバー110の1つ又は複数の部分(例えば、隔離囲い124、126、128、130上に位置する1つ又は複数の部分)は、カバー110の剛性材料と界面を接する変形可能材料を含むことができる。幾つかの実施形態では、カバー110は1つ又は複数の電極を更に含むことができる。1つ又は複数の電極は、ガラス又は同様の絶縁材料でコーティングし得る、インジウム−錫−酸化物(ITO)等の導電性酸化物を含むことができる。代替的に、1つ又は複数の電極は、ポリマー(例えば、PDMS)等の変形可能ポリマーに埋め込まれた単層ナノチューブ、多層ナノチューブ、ナノワイヤ、導電性ナノ粒子のクラスタ、又はそれらの組合せ等の可撓性電極であり得る。マイクロ流体デバイスで使用することができる可撓性電極は、例えば、米国特許出願公開第2012/0325665号(Chiouら)に記載されており、この内容は参照により本明細書に援用さ
れる。幾つかの実施形態では、カバー110は、細胞の接着、生存、及び/又は成長を支持するように変更することができる(例えば、マイクロ流体回路120に向かって内側に面する表面の全て又は部分を調整することにより)。変更は、合成ポリマー又は天然ポリマーのコーティングを含み得る。幾つかの実施形態では、カバー110及び/又は支持構造体104は、光を透過することができる。カバー110は、ガス透過可能な少なくとも1つの材料(例えば、PDMS又はPPS)を含むこともできる。
図1Aは、マイクロ流体デバイス100等のマイクロ流体デバイスを動作させ制御するシステム150も示す。システム150は、電源192、撮像デバイス194(撮像モジュール164内に組み込まれ、デバイス194自体は図1Aに示されていない)、及び傾斜デバイス190(傾斜モジュール166の部分であり、デバイス190は図1Aに示されていない)を含む。
電源192は、電力をマイクロ流体デバイス100及び/又は傾斜デバイス190に提供し、バイアス電圧又は電流を必要に応じて提供することができる。電源192は、例えば、1つ又は複数の交流(AC)及び/又は直流(DC)電圧源又は電流源を含むことができる。撮像デバイス194(以下で述べられる撮像モジュール164の一部)は、マイクロ流体回路120内部の画像を捕捉する、デジタルカメラ等のデバイスを含むことができる。幾つかの場合、撮像デバイス194は、高速フレームレート及び/又は高感度(例えば、低光用途用)を有する検出器を更に含む。撮像デバイス194は、刺激放射線及び/又は光線をマイクロ流体回路120内に向け、マイクロ流体回路120(又はマイクロ流体回路120内に含まれる微小物体)から反射されるか、又は発せられる放射線及び/又は光線を収集する機構を含むこともできる。発せられる光線は可視スペクトル内であり得、例えば、蛍光放射を含み得る。反射光線は、LED又は水銀灯(例えば、高圧水銀灯)若しくはキセノンアーク灯等の広域スペクトル灯から発せられた反射放射を含み得る。図3Bに関して考察するように、撮像デバイス194は顕微鏡(又は光学縦列)を更に含み得、これは接眼レンズを含んでもよく、又は含まなくてもよい。
システム150は、1つ又は複数の回転軸の周りでマイクロ流体デバイス100を回転させるように構成される傾斜デバイス190(以下で述べられる傾斜モジュール166の一部)を更に含む。幾つかの実施形態では、傾斜デバイス190は、マイクロ流体デバイス100(したがって、マイクロ流体回路120)を水平向き(すなわち、x軸及びy軸に相対して0°)、垂直向き(すなわち、x軸及び/又はy軸に相対して90°)、又はそれらの間の任意の向きで保持することができるように、少なくとも1つの軸の周りでマイクロ流体回路120を含むエンクロージャ102を支持及び/又は保持するように構成される。軸に相対するマイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)の向きは、本明細書では、マイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)の「傾斜」と呼ばれる。例えば、傾斜デバイス190は、x軸に相対して0.1°、0.2°、0.3°、0.4°、0.5°、0.6°、0.7°、0.8°、0.9°、1°、2°、3°、4°、5°、10°、15°、20°、25°、30°、35°、40°、45°、50°、55°、60°、65°、70°、75°、80°、90°、又はそれらの間の任意の度数でマイクロ流体デバイス100を傾斜させることができる。水平向き(したがって、x軸及びy軸)は、重力により定義される垂直軸に垂直なものとして定義される。傾斜デバイスは、マイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)をx軸及び/又はy軸に相対して90°よりも大きい任意の角度に傾斜させるか、又はマイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)をx軸若しくはy軸に相対して180°に傾斜させて、マイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)を真逆にすることもできる。同様に、幾つかの実施形態では、傾斜デバイス190は、流路106又はマイクロ流体回路120の何らかの他の部分により定義される回転軸の周りでマイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)を傾斜させる。
幾つかの場合、マイクロ流体デバイス100は、流路106が1つ又は複数の隔離囲いの上方又は下方に位置するように、垂直向きに傾斜する。「上方」という用語は、本明細書で使用される場合、流路106が、重力により定義される垂直軸上で1つ又は複数の隔離囲いよりも高く位置する(すなわち、流路106の上方の隔離囲い内の物体が流路内の物体よりも高い重力位置エネルギーを有する)ことを示す。「下方」という用語は、本明細書で使用される場合、流路106が、重力により定義される垂直軸上で1つ又は複数の隔離囲いよりも下に位置する(すなわち、流路106の下方の隔離囲い内の物体が流路内の物体よりも低い重力位置エネルギーを有する)ことを示す。
幾つかの場合、傾斜デバイス190は、流路106と平行な軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜させる。更に、マイクロ流体デバイス100は、流路106が、隔離囲いの真上又は真下に配置されずに、1つ又は複数の隔離囲いの上方又は下方に配置されるように、90°未満の角度に傾斜することができる。他の場合、傾斜デバイス190は、流路106に直交する軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜させる。更に他の場合、傾斜デバイス190は、流路106に平行でもなく直交もしない軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜させる。
システム150は培地源178を更に含むことができる。培地源178(例えば、容器、リザーバ等)は、それぞれが異なる流体培地180を保持する複数のセクション又は容器を含むことができる。したがって、培地源178は、図1Aに示されるように、マイクロ流体デバイス100の外部にある、マイクロ流体デバイス100とは別個のデバイスであり得る。代替的に、培地源178は、全体的又は部分的に、マイクロ流体デバイス100のエンクロージャ102内部に配置することができる。例えば、培地源178は、マイクロ流体デバイス100の部分であるリザーバを含むことができる。
図1Aは、システム150の一部を構成し、マイクロ流体デバイス100と併せて利用することができる制御及び監視機器152の例の簡易ブロック図表現も示す。示されるように、そのような制御及び監視機器152の例は、培地源178を制御する培地モジュール160と、マイクロ流体回路120での微小物体(図示せず)及び/又は培地(例えば、培地の液滴)の移動及び/又は選択を制御する原動モジュール162と、画像(例えば、デジタル画像)を捕捉する撮像デバイス194(例えば、カメラ、顕微鏡、光源、又はそれらの任意の組合せ)を制御する撮像モジュール164と、傾斜デバイス190を制御する傾斜モジュール166とを含むマスタコントローラ154を含む。制御機器152は、マイクロ流体デバイス100に関する他の機能を制御、監視、又は実行する他のモジュール168を含むこともできる。示されるように、機器152は、表示デバイス170及び入/出力デバイス172を更に含むことができる。
マスタコントローラ154は、制御モジュール156及びデジタルメモリ158を含むことができる。制御モジュール156は、例えば、メモリ158内に非一時的データ又は信号として記憶される機械実行可能命令(例えば、ソフトウェア、ファームウェア、ソースコード等)に従って動作するように構成されるデジタルプロセッサを含むことができる。代替的に又は追加として、制御モジュール156は、ハードワイヤードデジタル回路及び/又はアナログ回路を含むことができる。培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び/又は他のモジュール168は、同様に構成され得る。したがって、マイクロ流体デバイス100又は任意の他のマイクロ流体装置に関して実行されるものとして本明細書で考察される機能、プロセス、行動、動作、又はプロセスのステップは、上述したように構成されるマスタコントローラ154、培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び/又は他のモジュール168の任意の1つ又は複数により実行され得る。同様に、マスタコントローラ154、培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び/又は他のモジュール168は、通信可能に結合されて、本明細書において考察される任意の機能、プロセス、行動、動作、又はステップで使用されるデータを送受信し得る。
培地モジュール160は培地源178を制御する。例えば、培地モジュール160は、培地源178を制御して、選択された流体培地180をエンクロージャ102に入れる(例えば、流入口107を介して)ことができる。培地モジュール160は、エンクロージャ102からの培地の取り出し(例えば、流出口(図示せず)を通して)を制御することもできる。したがって、1つ又は複数の培地を選択的にマイクロ流体回路120に入れ、マイクロ流体回路120から搬出することができる。培地モジュール160は、マイクロ流体回路120内部の流路106での流体培地180のフローを制御することもできる。例えば、幾つかの実施形態では、培地モジュール160は、傾斜モジュール166が傾斜デバイス190に所望の傾斜角までマイクロ流体デバイス100を傾斜させる前に、流路106内及びエンクロージャ102を通る培地180のフローを停止させる。
原動モジュール162は、マイクロ流体回路120での微小物体(図示せず)の選択、捕捉、及び移動を制御するように構成され得る。図1B及び図1Cに関して後述するように、エンクロージャ102は、誘電泳動(DEP)構成、光電子ピンセット(OET)構成、及び/又は光電子ウェッティング(OEW)構成(図1Aに示されず)を含むことができ、原動モジュール162は、電極及び/又はトランジスタ(例えば、フォトトランジスタ)のアクティブ化を制御して、流路106及び/又は隔離囲い124、126、128、130で微小物体(図示せず)及び/又は培地の液滴(図示せず)を選択し移動させることができる。
撮像モジュール164は撮像デバイス194を制御することができる。例えば、撮像モジュール164は、撮像デバイス194から画像データを受信し、処理することができる。撮像デバイス194からの画像データは、撮像デバイス194により捕捉された任意のタイプの情報を含むことができる(例えば、微小物体、培地の液滴、蛍光標識等の標識の蓄積の有無等)。撮像デバイス194により捕捉された情報を使用して、撮像モジュール164は、物体(例えば、微小物体、培地の液滴)の位置及び/又はマイクロ流体デバイス100内のそのような物体の移動速度を更に計算することができる。
傾斜モジュール166は、傾斜デバイス190の傾斜移動を制御することができる。代替的に又は追加として、傾斜モジュール166は、重力を介して1つ又は複数の隔離囲いへの微小物体の移送を最適化するように、傾斜率及びタイミングを制御することができる。傾斜モジュール166は、撮像モジュール164と通信可能に結合されて、マイクロ流体回路120での微小物体及び/又は培地の液滴の移動を記述するデータを受信する。このデータを使用して、傾斜モジュール166は、マイクロ流体回路120の傾斜を調整して、マイクロ流体回路120内で微小物体及び/又は培地の液滴が移動する率を調整し得る。傾斜モジュール166は、このデータを使用して、マイクロ流体回路120内での微小物体及び/又は培地の液滴の位置を繰り返し調整することもできる。
図1Aに示される例では、マイクロ流体回路120は、マイクロ流体チャネル122及び隔離囲い124、126、128、130を含むものとして示されている。各囲いは、チャネル122への開口部を含むが、囲いが囲い内部の微小物体を流体培地180及び/又はチャネル122の流路106又は他の囲い内の微小物体から実質的に分離することができるように、その他では閉じられている。隔離囲いの壁は、ベースの内面109からカバー110の内面まで延び、エンクロージャを提供する。マイクロ流体チャネル122への囲いの開口部は、フロー106が囲い内に向けられないように、フロー106に対して傾斜して向けられる。フローは、囲いの開口部の平面に対して接線方向にあり得るか又は直交し得る。幾つかの場合、囲い124、126、128、130は、1つ又は複数の微小物体をマイクロ流体回路120内に物理的に囲い入れるように構成される。本開示による隔離囲いは、以下に詳細に考察し示すように、DEP、OET、OEW、流体フロー、及び/又は重力との併用に最適化された様々な形状、表面、及び特徴を含むことができる。
マイクロ流体回路120は、任意の数のマイクロ流体隔離囲いを含み得る。5つの隔離囲いが示されているが、マイクロ流体回路120は、より少数又はより多数の隔離囲いを有し得る。示されるように、マイクロ流体回路120のマイクロ流体隔離囲い124、126、128、及び130は、ある卵子の隣接卵子からの分離等の胚を生成するに当たり有用な1つ又は複数の利点を提供し得る異なる特徴及び形状をそれぞれ含む。テスト、シミュレーション、及び受精は、全て個々単位で実行し得、幾つかの実施形態では、個々のタイムスケールで実行し得る。幾つかの実施形態では、マイクロ流体回路120は、複数の同一のマイクロ流体隔離囲いを含む。
幾つかの実施形態では、マイクロ流体回路120は、複数のマイクロ流体隔離囲いを含み、その場合、隔離囲いの2つ以上は、胚の生成において異なる利点を提供する異なる構造及び/又は特徴を含む。非限定的な一例として、あるタイプの囲い内に卵子を維持しながら、異なるタイプの囲い内に精子を維持することを挙げることができる、別の実施形態では、隔離囲いの少なくとも1つは、卵子に電気活性化を提供するのに適した電気接点を有するように構成される。更に別の実施形態では、異なるタイプの細胞(例えば、子宮細胞、子宮内膜細胞、卵管(uterine tube)(例えば、卵管(oviduct)若しくはファロー
ピウス管)等)由来のPEG(介在)細胞、卵丘細胞、又はそれらの組合わせ)は、卵子を含む隔離囲いに隣接する隔離囲いに配置し得、それにより、周囲の隔離囲いからの分泌物は各囲いから出て、卵子を含む囲い中に拡散し得、これは、マクロスケールでのインビトロ培養及び受精では不可能である。胚の生成に有用なマイクロ流体デバイスは、隔離囲い124、126、128、及び130又はそれらの変形形態のいずれかを含み得、及び/又は後述するように、図2B、図2C、図2D、図2E、及び図2Fに示されるように構成される囲いを含み得る。
図1Aに示される実施形態では、1つのチャネル122及び流路106が示される。しかし、他の実施形態は、それぞれが流路106を含むように構成される複数のチャネル122を含み得る。マイクロ流体回路120は、流路106及び流体培地180と流体連通する流入弁又はポート107を更に含み、それにより、流体培地180は、流入口107を介してチャネル122にアクセスすることができる。幾つかの場合、流路106は1つの経路を含む。幾つかの場合、1つの経路はジグザグパターンで配置され、それにより、流路106は、交互になった方向で2回以上にわたってマイクロ流体デバイス100にわたり移動する。
幾つかの場合、マイクロ流体回路120は、複数の平行チャネル122及び流路106を含み、各流路106内の流体培地180は同じ方向に流れる。幾つかの場合、各流路106内の流体培地は、順方向又は逆方向の少なくとも一方で流れる。幾つかの場合、複数の隔離囲いは、隔離囲いが標的微小物体と並列に配置されることができるように構成される(例えば、チャネル122に相対して)。
幾つかの実施形態では、マイクロ流体回路120は、1つ又は複数の微小物体トラップ132を更に含む。トラップ132は、一般に、チャネル122の境界を形成する壁に形成され、マイクロ流体隔離囲い124、126、128、130の1つ又は複数の開口部の逆に位置し得る。幾つかの実施形態では、トラップ132は、流路106から1つの微小物体を受け取り、又は捕捉するように構成される。幾つかの実施形態では、トラップ132は、流路106から複数の微小物体を受け取り、又は捕捉するように構成される。幾つかの場合、トラップ132は、1つの標的微小物体の容積に概ね等しい容積を含む。
トラップ132は、標的微小物体のトラップ132へのフローを支援するように構成される開口部を更に含み得る。幾つかの場合、トラップ132は、1つの標的微小物体の寸法に概ね等しい高さ及び幅を有する開口部を含み、それにより、より大きい微小物体が微小物体トラップに入らないようにされる。トラップ132は、トラップ132内への標的微小物体の保持を支援するように構成される他の特徴を更に含み得る。幾つかの場合、トラップ132は、微小流体隔離囲いの開口部と位置合わせされ、微小流体隔離囲いの開口部に関してチャネル122の逆側に配置され、それにより、マイクロ流体チャネル122に平行な軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜されると、捕捉された微小物体は、微小物体を隔離囲いの開口部に落とす軌道でトラップ132を出る。幾つかの場合、トラップ132は、標的微小物体よりも小さく、トラップ132を通るフローを促進し、それによりトラップ132内への微小物体の捕捉確率を増大させるサイド通路134を含む。
幾つかの実施形態では、誘電泳動(DEP)力は、1つ又は複数の電極(図示せず)を介して流体培地180にわたり適用されて(例えば、流路及び/又は隔離囲いにおいて)、内部に配置された微小物体の操作、輸送、分離、及びソートを行う。例えば、幾つかの実施形態では、DEP力は、マイクロ流体回路120の1つ又は複数の部分に適用されて、1つの微小物体を流路106から所望のマイクロ流体隔離囲いに輸送する。幾つかの実施形態では、DEP力を使用して、隔離囲い(例えば、隔離囲い124、126、128、又は130)内の微小物体が隔離囲いから変位しないようにする。更に、幾つかの実施形態では、DEP力を使用して、本開示の形態により前に収集された微小物体を隔離囲いから選択的に取り出す。幾つかの実施形態では、DEP力は、光電子ピンセット(OET)力を含む。
他の実施形態では、光電子ウェッティング(OEW)力が、1つ又は複数の電極(図示せず)を介してマイクロ流体デバイス100の支持構造体104(及び/又はカバー110)での1つ又は複数の位置(例えば、流路及び/又は隔離囲いの画定に役立つ位置)に適用されて、マイクロ流体回路120に配置された液滴の操作、輸送、分離、及びソートを行う。例えば、幾つかの実施形態では、OEW力は支持構造体104(及び/又はカバー110)の1つ又は複数の位置に適用されて、1つの液滴を流路106から所望のマイクロ流体隔離囲いに輸送する。幾つかの実施形態では、OEW力を使用して、隔離囲い(例えば、隔離囲い124、126、128、又は130)内の液滴が隔離囲いから変位しないようにする。更に、幾つかの実施形態では、OEW力を使用して、本開示の形態により前に収集された液滴を隔離囲いから選択的に取り出す。
幾つかの実施形態では、DEP力及び/又はOEW力は、フロー及び/又は重力等の他の力と組み合わせられて、マイクロ流体回路120内の微小物体及び/又は液滴の操作、輸送、分離、及びソートを行う。例えば、エンクロージャ102は傾斜して(例えば、傾斜デバイス190により)、流路106及び流路106内に配置された微小物体をマイクロ流体隔離囲いの上に位置決めすることができ、重力は、微小物体及び/又は液滴を囲い内に輸送することができる。幾つかの実施形態では、DEP力及び/又はOEW力は、他の力の前に適用することができる。他の実施形態では、DEP力及び/又はOEW力は、他の力の後に適用することができる。更に他の場合、DEP力及び/又はOEW力は、他の力と同時に又は他の力と交互に適用することができる。
図1B、図1C及び図2A〜図2Hは、本開示の形態に使用することができるマイクロ流体デバイスの様々な実施形態を示す。図1Bは、マイクロ流体デバイス200が光学作動動電学的デバイスとして構成される実施形態を示す。光電子ピンセット(OET)構成を有するデバイス及び光電子ウェッティング(OEW)構成を有するデバイスを含め、様々な光学作動動電学的デバイスが当技術分野で既知である。適するOET構成の例は、以下の米国特許文献に示されており、各文献は全体的に参照により本明細書に援用される:米国特許第RE44,711号(Wuら)(元々は米国特許第7,612,355号として発行された);及び米国特許第7,956,339号(Ohtaら)。OEW構成の例は、米国特許第6,958,132号(Chiouら)及び米国特許出願公開第2012/0024
708号(Chiouら)に示されており、これらは両方とも全体的に参照により本明細書に援用される。光学作動動電的デバイスの更に別の例は、OET/OEW結合構成を含み、その例は、米国特許出願公開第20150306598号(Khandrosら)及び同第20150306599号(Khandrosら)並びにそれらの対応するPCT公報である国際公開第2015/164846号及び国際公開第2015/164847号に示されており、これらは全て全体的に参照により本明細書に援用される。
卵母細胞、卵子、又は胚を配置し、培養し、及び/又は監視することができる隔離囲いを有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許出願公開第2014/0116881号(出願番号14/060,117、2013年10月22日出願)、米国特許出願公開第2015/0151298号(出願番号14/520,568、2014年10月22日出願)、及び米国特許出願公開第2015/0165436号(出願番号14/521,447、2014年10月22日出願)に記載されており、これらはそれぞれ全体的に参照により援用される。米国特許出願公開第14/520,568号及び同第14/521,447号は、マイクロ流体デバイスで培養された細胞の分泌物を分析する例示的な方法についても記載している。上記の各出願は、光電子ツイーザ(OET)等の誘電泳動(DEP)力を生成するように構成されるか、又は光電子ウェッティング(OEW)を提供するように構成されるマイクロ流体デバイスを更に記載している。例えば、米国特許出願公開第2014/0116881号の図2に示される光電子ツイーザデバイスは、本開示の実施形態で利用して、個々の生物学的微小物体又は生物学的微小物体のグループを選択し移動させることができるデバイスの例である。
原動マイクロ流体デバイス構成
上述したように、システムの制御及び監視機器は、マイクロ流体デバイスのマイクロ流体回路において微小物体又は液滴等の物体を選択し移動させる原動モジュールを含むことができる。マイクロ流体デバイスは、移動される物体のタイプ及び他の考慮事項に応じて様々な原動構成を有することができる。例えば、誘電泳動(DEP)構成を利用して、マイクロ流体回路において微小物体を選択し移動させることができる。したがって、マイクロ流体デバイス100の支持構造体104及び/又はカバー110は、マイクロ流体回路120内の流体培地180内の微小物体に対してDEP力を選択的に誘導し、それにより個々の微小物体又は微小物体群の選択、捕捉、及び/又は移動を行うDEP構成を含むことができる。代替的に、マイクロ流体デバイス100の支持構造体104及び/又はカバー110は、マイクロ流体回路120内の流体培地180内の液滴に対して電子ウェッティング(EW)力を選択的に誘導し、それにより個々の液滴又は液滴群の選択、捕捉、及び/又は移動を行う電子ウェッティング(EW)構成を含むことができる。
DEP構成を含むマイクロ流体デバイス200の一例を図21B及び図1Cに示す。簡潔にするために、図1B及び図1Cは、開放領域/チャンバ202を有するマイクロ流体デバイス200のエンクロージャ102の部分の側面断面図及び上面断面図をそれぞれ示すが、領域/チャンバ202が、成長チャンバ、隔離囲い、フロー領域、又はフローチャネル等のより詳細な構造を有する流体回路要素の部分であり得ることを理解されたい。更に、マイクロ流体デバイス200は他の流体回路要素を含み得る。例えば、マイクロ流体デバイス200は、マイクロ流体デバイス100に関して本明細書に記載される等の複数の成長チャンバ、或いは隔離囲い及び/又は1つ若しくは複数のフロー領域又はフローチャネルを含むことができる。DEP構成は、マイクロ流体デバイス200の任意のそのような流体回路要素に組み込み得るか、又はその部分を選択し得る。上記又は下記の任意のマイクロ流体デバイス構成要素及びシステム構成要素がマイクロ流体デバイス200内に組みこまれ得、及び/又はマイクロ流体デバイス200と組み合わせて使用し得ることを更に理解されたい。例えば、培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び他のモジュール168の1つ又は複数を含む上述した制御及び監視機器152を含むシステム150は、マイクロ流体デバイス200と併用し得る。
図1Bにおいて見られるように、マイクロ流体デバイス200は、下部電極204及び下部電極204に重なる電極活性化基板206を有する支持構造体104と、上部電極210を有するカバー110とを含み、上部電極210は下部電極204から離間される。上部電極210及び電極活性化基板206は、領域/チャンバ202の両面を画定する。したがって、領域/チャンバ202に含まれる培地180は、上部電極210と電極活性化基板206との間に抵抗接続を提供する。下部電極204と上部電極210との間に接続され、領域/チャンバ202でのDEP力の生成のために必要に応じて電極間にバイアス電圧を生成するように構成される電源212も示されている。電源212は、例えば、交流(AC)電源であり得る。
特定の実施形態では、図1B及び図1Cに示されるマイクロ流体デバイス200は、光学作動DEP構成を有することができる。したがって、原動モジュール162により制御し得る光源216からの光218の変更パターンは、電極活性化基板206の内面208の領域214においてDEP電極の変更パターンを選択的に活性化又は非活性化することができる。(以下ではDEP構成を有するマイクロ流体デバイスの領域214を「DEP電極領域」と呼ぶ)。図1Cに示されるように、電極活性化基板206の内面208に向けられる光パターン218は、正方形等のパターンで、選択されたDEP電極領域214a(白色で示される)を照明することができる。照明されないDEP電極領域214(斜線が付される)を以下では「暗」DEP電極領域214と呼ぶ。DEP電極活性化基板206を通る相対電気インピーダンス(すなわち、下部電極204から、フロー領域106において培地180と界面を接する電極活性化基板206の内面208まで)は、各暗DEP電極領域214での領域/チャンバ202において培地180を通る(すなわち、電極活性化基板206の内面208からカバー110の上部電極210まで)相対電気インピーダンスよりも大きい。しかし、照明DEP電極領域214aは、各照明DEP電極領域214aでの領域/チャンバ202での培地180を通る相対インピーダンス未満である電極活性化基板206を通る相対インピーダンスの低減を示す。
電源212が活性化されている場合、上記のDEP構成は、照明DEP電極領域214aと隣接する暗DEP電極領域214との間に流体培地180内で電場勾配を生じさせ、次に、電場勾配は、流体培地180内の付近の微小物体(図示せず)を引き寄せるか、又は排斥する局所DEP力を生成する。したがって、流体培地180内の微小物体を引き寄せるか、又は排斥するDEP電極は、光源216からマイクロ流体デバイス200に投射される光パターン218を変更することにより、領域/チャンバ202の内面208での多くの異なるそのようなDEP電極領域214において選択的に活性化及び非活性化することができる。DEP力が付近の微小物体を引き寄せるか、それとも排斥するかは、電源212の周波数並びに培地180及び/又は微小物体(図示せず)の誘電特性等のパラメータに依存し得る。
図1Cに示される照明DEP電極領域214aの正方形パターン220は単なる例である。マイクロ流体デバイス200に投射される光パターン218により、任意のパターンのDEP電極領域214を照明する(それにより活性化する)ことができ、照明/活性化されるDEP電極領域214のパターンは、光パターン218を変更又は移動させることにより繰り返し変更することができる。
幾つかの実施形態では、電極活性化基板206は、光伝導性材料を含むか、又は光導電性材料からなることができる。そのような実施形態では、電極活性化基板206の内面208は、特徴を有さないことができる。例えば、電極活性化基板206は、水素化非晶質シリコン(a−Si:H)の層を含むか、又はa−Si:Hの層からなることができる。a−Si:Hは、例えば、約8%〜40%の水素を含むことができる(水素原子の数/水素及びケイ素原子の総数に100を掛けたものとして計算)。a−Si:Hの層は厚さ約500nm〜約2.0μmを有することができる。そのような実施形態では、DEP電極領域214は、光パターン218により、電極活性化基板206の内面208上の任意の場所に任意のパターンで作成することができる。したがって、DEP電極領域214の数及びパターンは、固定される必要がなく、光パターン218に対応することができる。上述したような光伝導層を含むDEP構成を有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許第RE44,711号(Wuら)(元々は米国特許第7,612,355号として発行された)に記載されており、その内容全体は参照により本明細書に援用される。
他の実施形態では、電極活性化基板206は、半導体分野で既知等の半導体集積回路を形成する複数のドープ層、絶縁層(又は領域)、及び導電層を含む基板を含むことができる。例えば、電極活性化基板206は、例えば、横型バイポーラフォトトランジスタを含む複数のフォトトランジスタを含むことができ、各フォトトランジスタはDEP電極領域214に対応する。代替的に、電極活性化基板206は、フォトトランジスタスイッチにより制御される電極(例えば、導電性金属電極)を含むことができ、そのような各電極はDEP電極領域214に対応する。電極活性化基板206は、パターンになったそのようなフォトトランジスタ又はフォトトランジスタ制御される電極を含むことができる。パターンは、例えば、図2Bに示される等、行列に配置された実質的に正方形のフォトトランジスタ又はフォトトランジスタ制御される電極のアレイであり得る。代替的に、パターンは、六角形格子を形成する実質的に六角形のフォトトランジスタ又はフォトトランジスタ制御される電極のアレイであり得る。パターンに関係なく、電気回路素子は、電極活性化基板206の内面208におけるDEP電極領域214と下部電極210との間に電気接続を形成することができ、それらの電気接続(すなわち、フォトトランジスタ又は電極)は、光パターン218により選択的に活性化又は非活性化することができる。活性化されない場合、各電気接続は、電極活性化基板206を通る(すなわち、下部電極204から、領域/チャンバ202内の培地180と界面を接する電極活性化電極206の内面208まで)相対インピーダンスが、対応するDEP電極領域214における培地180を通る(すなわち、電極活性化基板206の内面208からカバー110の上部電極210まで)相対インピーダンスよりも大きいような高いインピーダンスを有することができる。しかし、光パターン218内の光により活性化される場合、電極活性化基板206を通る相対インピーダンスは、各照明DEP電極領域214での培地180を通る相対インピーダンス未満であり、それにより、上述したように、対応するDEP電極領域214でのDEP電極を活性化する。したがって、培地180内の微小物体(図示せず)を引き寄せるか、又は排斥するDEP電極は、光パターン218により決まるように、領域/チャンバ202での電極活性化基板206の内面208での多くの異なるDEP電極領域214において選択的に活性化及び非活性化することができる。
フォトトランジスタを含む電極活性化基板を有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許第7,956,339号(Ohtaら)に記載されており(例えば、図21及び図22に示されるデバイス300並びにその説明を参照されたい)、この内容全体は参照により本明細書に援用される。フォトトランジスタスイッチにより制御される電極を含む電極活性化基板を有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許出願公開第2014/0124370号(Shortら)に記載されており(例えば、図面全体を通して示さ
れるデバイス200、400、500、600、及び900並びにその説明を参照されたい)、これらの内容全体は参照により本明細書に援用される。
DEP構成のマイクロ流体デバイスの幾つかの実施形態では、上部電極210はエンクロージャ102の第1の壁(又はカバー110)の一部であり、電極活性化基板206及び下部電極204は、エンクロージャ102の第2の壁(又は支持構造体104)の一部である。領域/チャンバ202は、第1の壁と第2の壁との間にあり得る。他の実施形態では、電極210は第2の壁(又は支持構造体104)の一部であり、電極活性化基板206及び/又は電極210の一方又は両方は、第1の壁(又はカバー110)の一部である。更に、光源216は代替的に、下からエンクロージャ102を照明するのに使用することができる。
DEP構成を有する図1B及び図1Cのマイクロ流体デバイス200を用いて、原動モジュール162は、光パターン218をマイクロ流体デバイス200に投射して、微小物体を囲み捕捉するパターン(例えば、正方形パターン220)で電極活性化基板206の内面208のDEP電極領域214aでの第1の組の1つ又は複数のDEP電極を活性化することにより、領域/チャンバ202での培地180内の微小物体(図示せず)を選択することができる。次に、原動モジュール162は、光パターン218をマイクロ流体デバイス200に相対して移動させて、DEP電極領域214での第2の組の1つ又は複数のDEP電極を活性化することにより、インサイチューで生成され捕捉された微小物体を移動させることができる。代替的に、マイクロ流体デバイス200を光パターン218に相対して移動させることができる。
他の実施形態では、マイクロ流体デバイス200は、電極活性化基板206の内面208でのDEP電極の光活性化に依存しないDEP構成を有することができる。例えば、電極活性化基板206は、少なくとも1つの電極を含む表面(例えば、カバー110)とは逆に位置する、選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を含むことができる。スイッチ(例えば、半導体基板のトランジスタスイッチ)を選択的に開閉して、DEP電極領域214でのDEP電極を活性化又は非活性化し得、それにより、活性化されたDEP電極の近傍での領域/チャンバ202内の微小物体(図示せず)に対する正味DEP力を生成する。電源212の周波数及び培地(図示せず)及び/又は領域/チャンバ202内の微小物体の誘電特性等の特徴に応じて、DEP力は、付近の微小物体を引き寄せるか、又は排斥することができる。DEP電極の組(例えば、正方形パターン220を形成するDEP電極領域214の組における)を選択的に活性化又は非活性化することにより、領域/チャンバ202における1つ又は複数の微小物体を捕捉し、領域/チャンバ202内で移動させることができる。図1Aの原動モジュール162は、そのようなスイッチを制御し、したがって、DEP電極の個々の電極を活性化及び非活性化して、領域/チャンバ202の周囲の特定の微小物体(図示せず)を選択、捕捉、及び移動させることができる。選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を含むDEP構成を有するマイクロ流体デバイスは、当技術分野で既知であり、例えば、米国特許第6,294,063号(Beckerら)及び同第6,942,776号(Medoro)に記載されており、これらの内容全体は参照により本明細書に援用される。
更なる別例として、マイクロ流体デバイス200は電子ウェッティング(EW)構成を有することができ、EW構成は、DEP構成の代わりであってもよく、又はDEP構成を有する部分とは別個のマイクロ流体デバイス200の部分に配置されてもよい。EW構成は、光電子ウェッティング構成又は誘電体上の電子ウェッティング(EWOD)構成であり得、これらは両方とも当技術分野で既知である。幾つかのEW構成では、支持構造体104は、以下に記載するように、誘電層(図示せず)と下部電極204との間に挟まれた電極活性化基板206を有する。誘電層は、疎水性材料を含むことができ、及び/又は疎水性材料でコーティングすることができる。EW構成を有するマイクロ流体デバイス200の場合、支持構造体104の内面208は、誘電層の内面又はその疎水性コーティングである。
誘電層(図示せず)は、1つ又は複数の酸化物層を含むことができ、厚さ約50nm〜約250nm(例えば、約125nm〜約175nm)を有することができる。特定の実施形態では、誘電層は、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム又は酸化ハフニウム)等の酸化物の層を含むことができる。特定の実施形態では、誘電層は、酸化ケイ素又は窒化物等の金属酸化物以外の誘電材料を含むことができる。厳密な組成及び厚さに関係なく、誘電層は約10kオーム〜約50kオームのインピーダンスを有することができる。
幾つかの実施形態では、領域/チャンバ202に向かって内側に面した誘電層の表面は、疎水性材料でコーティングされる。疎水性材料は、例えば、フッ素化炭素分子を含むことができる。フッ素化炭素分子の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(例えば、TEFLON(登録商標)又はポリ(2,3−ジフルオロメチレニル−ペルフルオロテトラヒドロフラン)(例えば、CYTOP(商標))などのパーフルオロポリマーが挙げられる。疎水性
材料を構成する分子は、誘電層の表面に共有結合され得る。例えば、疎水性材料の分子は、シロキサン基、ホスホン酸基、又はチオール基等のリンカーにより、誘電層の表面に共有結合され得る。したがって、幾つかの実施形態では、疎水性材料は、アルキル末端シロキサン、アルキル末端ホスホン酸、又はアルキル末端チオールを含むことができる。アルキル基は長鎖炭化水素(例えば、少なくとも10個の炭素又は少なくとも16個、18個、20個、22個、若しくはそれを超える個数の炭素の鎖を有する)であり得る。代替的に、フッ素化(又はパーフルオロ化)炭素鎖をアルキル基の代わりに使用することができる。したがって、例えば、疎水性材料は、フルオロアルキル末端シロキサン、フルオロアルキル末端ホスホン酸、又はフルオロアルキル末端チオールを含むことができる。幾つかの実施形態では、疎水性コーティングは約10nm〜約50nmの厚さを有する。他の実施形態では、疎水性コーティングは厚さ10nm未満(例えば、5nm未満又は約1.5〜3.0nm)を有する。
幾つかの実施形態では、電子ウェッティング構成を有するマイクロ流体デバイス200のカバー110も同様に疎水性材料(図示せず)でコーティングされる。疎水性材料は、支持構造体104の誘電層のコーティングに使用されるものと同じ疎水性材料であり得、疎水性コーティングは、支持構造体104の誘電層の疎水性コーティングの厚さと略同じである厚さを有することができる。更に、カバー110は、支持構造体104の様式で、誘電層と上部電極210との間に挟まれた電極活性化基板206を含むことができる。電極活性化基板206及びカバー110の誘電層は、電極活性化基板206及び支持構造体104の誘電層と同じ組成及び/又は寸法を有することができる。したがって、マイクロ流体デバイス200は2つの電子ウェッティング表面を有することができる。
幾つかの実施形態では、電子活性化基板206は、上述した光伝導性材料等の光伝導性材料を含むことができる。したがって、特定の実施形態では、電極活性化基板206は、水素化非晶質シリコン(a−Si:H)の層を含むか、又はa−Si:Hの層からなることができる。a−Si:Hは、例えば、約8%〜40%の水素を含むことができる(水素原子の総数及びケイ素原子の総数/水素原子の総数に100を掛けたものとして計算)。a−Si:Hの層は厚さ約500nm〜約2.0μmを有することができる。代替的に、電子活性化基板206は、上述したように、フォトトランジスタスイッチにより制御される電極(例えば、導電性金属電極)を含むことができる。光電子ウェッティング構成を有するマイクロ流体デバイスは当技術分野で既知であり、及び/又は当技術分野で既知の電極活性化基板を用いて構築することができる。例えば、内容全体が参照により本明細書に援用される米国特許第6,958,132号(Chiouら)には、a−Si:H等の光伝導
性材料を有する光電子ウェッティング構成が開示されており、一方、上記で引用した米国特許出願公開第2014/0124370号(Shortら)には、フォトトランジスタスイ
ッチにより制御される電極を有する電極活性化基板が開示されている。
したがって、マイクロ流体デバイス200は光電子ウェッティング構成を有することができ、光パターン218を使用して、電極活性化基板206での光応答性EW領域又は光応答性EW電極を活性化することができる。電極活性化基板206のそのような活性化されたEW領域又はEW電極は、支持構造体104の内面208(すなわち、重なった誘電層の内面又はその疎水性コーティング)において電子ウェッティング力を生成することができる。電子活性化基板206に入射する光パターン218を変更する(又は光源216に相対してマイクロ流体デバイス200を移動させる)ことにより、支持構造体104の内面208に接触する液滴(例えば、水性培地、水溶液又は水性溶媒を含む)は、領域/チャンバ202内に存在する不混和流体(例えば、油媒体)を通って移動することができる。
他の実施形態では、マイクロ流体デバイス200は、EWOD構成を有することができ、電極活性化基板206は、活性化のために光に依存しない、選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を含むことができる。したがって、電極活性化基板206は、パターンになったそのような電子ウェッティング(EW)電極を含むことができる。パターンは、例えば、図2Bに示される等の行列に配置された略正方形のEW電極のアレイであり得る。代替的に、パターンは、六角形格子を形成する略六角形のEW電極のアレイであり得る。パターンに関係なく、EW電極は、電気スイッチ(例えば、半導体基板のトランジスタスイッチ)により選択的に活性化(又は非活性化)することができる。電極活性化基板206でのEW電極を選択的に活性化及び非活性化することにより、重なった誘電層の内面208又はその疎水性コーティングに接触する液滴(図示せず)は、領域/チャンバ202内で移動することができる。図1Aの原動モジュール162は、そのようなスイッチを制御することができ、したがって、個々のEW電極を活性化及び非活性化して、領域/チャンバ202の周囲で特定の液滴を選択し移動させることができる。選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を有するEWOD構成を有するマイクロ流体デバイスは、当技術分野で既知であり、例えば、米国特許第8,685,344号(Sundarsanら)に記載されており、この内容全体は参照により本明細書に援用される。
マイクロ流体デバイス200の構成に関係なく、電源212を使用して、マイクロ流体デバイス200の電気回路に給電する電位(例えば、AC電源電位)を提供することができる。電源212は、図1で参照される電源192と同じ又は電源192の構成要素であり得る。電源212は、上部電極210及び下部電極204にAC電圧及び/又は電流を提供するように構成され得る。AC電圧の場合、電源212は、上述したように、領域/チャンバ202内の個々の微小物体(図示せず)を捕捉して移動させ、及び/又はこれらも上述したように、領域/チャンバ202内の支持構造体104の内面208(すなわち、誘電層及び/又は誘電層上の疎水性コーティング)のウェッティング特性を変更するのに十分に強い正味DEP力(又は電子ウェッティング力)を生成するのに十分な周波数範囲及び平均又はピーク電力(例えば、電圧又は電流)を提供することができる。そのような周波数範囲及び平均又はピーク電力範囲は、当技術分野で既知である。例えば、米国特許第6,958,132号(Chiouら)、米国特許第RE44,711号(Wuら)(元々
は米国特許第7,612,355号として発行された)、並びに米国特許出願公開第2014/0124370号(Shortら)、同第2015/0306598号(Khandrosら)
、及び同第2015/0306599号(Khandrosら)を参照されたい。
隔離囲い。一般的な隔離囲い224、226、及び228の非限定的な例は、図2A〜図2Cに示されるマイクロ流体デバイス230内に示されている。各隔離囲い224、226、及び228は、分離領域240と、分離領域240をチャネル122に流体接続する接続領域236とを画定する分離構造体232を含むことができる。接続領域236は、マイクロ流体チャネル122への基端開口部234及び分離領域240への先端開口部238を含むことができる。接続領域236は、マイクロ流体チャネル122から隔離囲い224、226、228内に流れる流体培地(図示せず)のフローの最大侵入深さが分離領域240内に及ばないように構成され得る。したがって、接続領域236に起因して、隔離囲い224、226、228の分離領域240内に配置された微小物体(図示せず)又は他の材料(図示せず)は、チャネル122内の培地180のフローから分離され、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフローにより実質的に影響されないことができる。
図2A〜図2Cの隔離囲い224、226、及び228は、マイクロ流体チャネル122に対して直接開く単一の開口部をそれぞれ有する。隔離囲いの開口部は、マイクロ流体チャネル122から横に開く。電極活性化基板206がマイクロ流体チャネル122及び隔離囲い224、226、及び228の両方の下にある。隔離囲いのフロアを形成する、隔離囲いのエンクロージャ内の電極活性化基板206の上面は、マイクロ流体デバイスのフローチャネル(又はそれぞれフロー領域)のフロアを形成する、マイクロ流体チャネル122(又はチャネルが存在しない場合、フロー領域)内の電極活性化基板206の上面と同じ高さ又は略同じ高さに配置される。電極活性化基板206は、特徴を有さなくてもよく、又は約3μm未満、約2.5μm未満、約2μm未満、約1.5μm未満、約1μm未満、約0.9μm未満、約0.5μm未満、約0.4μm未満、約0.2μm未満、約0.1μm未満、又はそれを下回って最高隆起部から最低陥没部まで変化する不規則又はパターン化表面を有してもよい。マイクロ流体チャネル122(又はフロー領域)及び隔離囲いの両方にわたる基板の上面の隆起の変動は、隔離囲いの壁の高さ又はマイクロ流体デバイスの壁の高さの約3%未満、約2%未満、約1%未満、約0.9%未満、約0.8%未満、約0.5%未満、約0.3%未満、又は約0.1%未満であり得る。マイクロ流体デバイス200について詳細に説明したが、これは、本明細書に記載される任意のマイクロ流体デバイス100、230、250、280、290、320、400、450、500、700にも当てはまる。
したがって、マイクロ流体チャネル122は掃引領域の例であり得、隔離囲い224、226、228の分離領域240は非掃引領域の例であり得る。述べたように、マイクロ流体チャネル122及び隔離囲い224、226、228は、1つ又は複数の流体培地180を含むように構成され得る。図2A〜図2Bに示される例では、ポート222はマイクロ流体チャネル122に接続され、流体培地180がマイクロ流体デバイス230内に導入又は外に取り出せるようにすることができる。流体培地180を導入する前に、マイクロ流体デバイスは、二酸化炭素ガス等のガスでプライミングし得る。マイクロ流体デバイス230が流体培地180を含むと、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242は選択的に生成及び停止させることができる。例えば、示されるように、ポート222はマイクロ流体チャネル122の異なる位置(例えば、両端部)に配置することができ、流入口として機能するあるポート222から流出口として機能する別のポート222への培地のフロー242を生成することができる。
図2Cは、本開示による隔離囲い224の例の詳細図を示す。微小物体246の例も示されている。
既知のように、隔離囲い224の基端開口部234を越えたマイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242は、隔離囲い224内及び/又は外への培地180の2次フロー244を生じさせることができる。隔離囲い224の分離領域240内の微小物体246を2次フロー244から分離するために、隔離囲い224の接続領域236の長さLcon(すなわち、基端開口部234から先端開口部238まで)は、接続領域236への2次フロー244の侵入深さDpよりも大きい値であるはずである。2次フロー244の侵入深さDpは、マイクロ流体チャネル122内を流れる流体培地180の速度並びにマイクロ流体チャネル122及びマイクロ流体チャネル122への接続領域236の基端開口部234の構成に関連する様々なパラメータに依存する。所与のマイクロ流体デバイスでは、マイクロ流体チャネル122及び開口部234の構成は固定され、一方、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242の速度は可変である。したがって、隔離囲い224毎に、2次フロー244の侵入深さDpが接続領域236の長さLconを超えないことを保証するチャネル122内の流体培地180のフロー242の最高速度Vmaxを識別することができる。マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242の流量が最大速度Vmaxを超えない限り、結果として生成される、マイクロ流体チャネル122及び接続領域236への2次フロー244を制限することができ、分離領域240に入らないようにすることができる。したがって、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242は、微小物体246を分離領域240外に引き込まない。むしろ、分離領域240内に配置された微小物体246は、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242に関係なく、分離領域240内に留まる。
更に、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242の流量がVmaxを超えない限り、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242は、様々な粒子(例えば、微粒子及び/又はナノ粒子)をマイクロ流体チャネル122から隔離囲い224の分離領域240内に移動させない。したがって、接続領域236の長さLconを2次フロー244の最大侵入深さDpよりも大きくすることで、ある隔離囲い224の、マイクロ流体チャネル122又は別の隔離囲い(例えば、図2Dの隔離囲い226、228)からの様々な粒子による汚染を回避することができる。
マイクロ流体チャネル122及び隔離囲い224、226、228の接続領域236は、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242により影響を及ぼすことができるため、マイクロ流体チャネル122及び接続領域236は、マイクロ流体デバイス230の掃引(又はフロー)領域と見なすことができる。他方、隔離囲い224、226、228の分離領域240は、非掃引(又は非フロー)領域と見なすことができる。例えば、マイクロ流体チャネル122内の第1の流体培地180中の成分(図示せず)は、実質的に、マイクロ流体チャネル122から接続領域236を通り分離領域240内の第2の流体培地248への第1の培地180の成分の拡散によってのみ、分離領域240内の第2の流体培地248と混合することができる。同様に、分離領域240内の第2の培地248の成分(図示せず)は、実質的に、分離領域240から接続領域236を通り、マイクロ流体チャネル122内の第1の培地180への第2の培地248の成分の拡散によってのみ、マイクロ流体チャネル122内の第1の培地180と混合することができる。幾つかの実施形態では、拡散による隔離囲いの分離領域とフロー領域との間での流体媒体交換の程度は、流体交換の約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%よりも高い割合である。第1の培地180は、第2の培地248と同じ培地であってもよく、又は異なる培地であってもよい。更に、第1の培地180及び第2の培地248は、同じ培地として開始され、異なるようになることができる(例えば、分離領域240内の1つ又は複数の細胞により又はマイクロ流体チャネル122を通って流れる培地180を変更することにより、第2の培地248を調整することを通して)。
マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242により生じる2次フロー244の最大侵入深さDpは、上述したように、幾つかのパラメータに依存し得る。そのようなパラメータの例としては、マイクロ流体チャネル122の形状(例えば、チャネルは、培地を接続領域236に向けることができ、接続領域236から培地を逸らすことができ、又はマイクロ流体チャネル122への接続領域236の基端開口部234に実質的に直交する方向に培地を向けることができる)、基端開口部234でのマイクロ流体チャネル122の幅Wch(又は断面積)及び基端開口部234での接続領域236の幅Wcon(又は断面積)、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242の速度V、第1の培地180及び/又は第2の培地248の粘度等が挙げられる。
幾つかの実施形態では、マイクロ流体チャネル122及び隔離囲い224、226、228の寸法は、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242のベクトルに対して以下のように向けることができる:マイクロ流体チャネル幅Wch(又はマイクロ流体チャネル122の断面積)は、培地180のフロー242に略直交することができ、開口部234での接続領域236の幅Wcon(又は断面積)は、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242に略平行であり得、及び/又は接続領域の長さLconは、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242に略直交することができる。上記は単なる例であり、マイクロ流体チャネル122及び隔離囲い224、226、228の相対位置は、互いに対して他の向きであり得る。
図2Cに示されるように、接続領域236の幅Wconは、基端開口部234から先端開口部238まで均一であり得る。したがって、先端開口部238での接続領域236の幅Wconは、基端開口部234での接続領域236の幅Wconについて本明細書において識別された任意の範囲内にあり得る。代替的に、先端開口部238での接続領域236の幅Wconは、基端開口部234での接続領域236の幅Wconよりも大きい値であり得る。
図2Cに示されるように、先端開口部238での分離領域240の幅は、基端開口部234での基端領域236の幅Wconと略同じであり得る。したがって、先端開口部238での分離領域240の幅は、基端開口部234での接続領域236の幅Wconについて本明細書において識別された任意の範囲内であり得る。代替的に、先端開口部238での分離領域240の幅は、基端開口部234での接続領域236の幅Wconよりも大きくてもよく、又は小さくてもよい。更に、先端開口部238は基端開口部234よりも小さくてよく、接続領域236の幅Wconは、基端開口部234と先端開口部238との間で狭め得る。例えば、接続領域236は、様々な異なるジオメトリ(例えば、接続領域を面取りする、接続領域に勾配を付ける)を使用して基端開口部と先端開口部との間で狭め得る。更に、接続領域236の任意の部分又はサブ部分を狭め得る(例えば、基端開口部234に隣接する接続領域の部分)。
図2D〜図2Fは、図1Aの各マイクロ流体デバイス100、回路132、及びチャネル134の変形形態であるマイクロ流体回路262及びフローチャネル264を含むマイクロ流体デバイス250の別の例示的な実施形態を示す。マイクロ流体デバイス250は、上述した隔離囲い124、126、128、130、224、226、又は228の追加の変形形態である複数の隔離囲い266も有する。特に、図2D〜図2Fに示されるデバイス250の隔離囲い266をデバイス100、200、230、250、280、290、500、550、560、600、620、640、670、700、720、720、750、760、780、808、810、812、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500での上述した隔離囲い124、126、128、130、224、226、又は228のいずれかで置換可能なことを理解されたい。同様に、マイクロ流体デバイス250は、マイクロ流体デバイス100の別の変形形態であり、上述したマイクロ流体デバイス100、200、230、250、280、290、500、550、560、600、620、640、670、700、720、720、750、760、780、808、810、812、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500と同じ又は異なるDEP構成及び本明細書に記載される任意の他のマイクロ流体システム構成要素を有することもできる。
図2D〜図2Fのマイクロ流体デバイス250は、支持構造体(図2D〜図2Fでは見えないが、図1Aに示されるデバイス100の支持構造体104と同じ又は概して同様であり得る)、マイクロ流体回路構造256、及びカバー(図2F〜図2Fでは見えないが、図1Aに示されるデバイス100のカバー122と同じ又は概して同様であり得る)を備える。マイクロ流体回路構造256は枠252及びマイクロ流体回路材料260を含み、これらは図1Aに示されるデバイス100の枠114及びマイクロ流体回路材料116と同じ又は概して同様であり得る。図2Dに示されるように、マイクロ流体回路材料260により画定されるマイクロ流体回路262は複数のチャネル264(2つが示されるが、より多くのチャネルがあり得る)を含むことができ、チャネル264に複数の隔離囲い266が流体接続される。
各隔離囲い266は、分離構造272、分離構造272内の分離領域270、及び接続領域268を含むことができる。マイクロ流体チャネル264の基端開口部274から分離構造272での先端開口部276まで、接続領域268はマイクロ流体チャネル264を分離領域270に流体接続する。一般に、図2B及び図2Cの上記考察によれば、チャネル264内の第1の流体培地254のフロー278は、マイクロ流体チャネル264から隔離囲い266の各接続領域268内及び/又は外への第1の培地254の2次フロー282をもたらすことができる。
図2Eに示されるように、各隔離囲い266の接続領域268は、一般に、チャネル264の基端開口部274と分離構造272の先端開口部276との間に延びるエリアを含む。接続領域268の長さLconは、2次フロー282の最大侵入深さDpよりも大きい値であり得、その場合、2次フロー282は、分離領域270に向かってリダイレクトされずに接続領域268内に延びる(図2Dに示されるように)。代替的に、図2Fに示されるように、接続領域268は、最大侵入深さDpよりも小さい長さLconを有することができ、その場合、2次フロー282は、接続領域268を通って延び、分離領域270に向かってリダイレクトされる。この後者の状況では、接続領域268の長さLc1及びLc2との和は最大侵入深さDpよりも大きく、したがって、2次フロー282は分離領域270内に延びない。接続領域268の長さLconが侵入深さDpよりも大きいか否か又は接続領域268の長さLc1及びLc2の和が侵入深さDpよりも大きいか否かに関係なく、最大速度Vmaxを超えないチャネル264内の第1の培地254のフロー278は、侵入深さDpを有する2次フローをもたらし、隔離囲い266の分離領域270内の微小物体(示されていないが、図2Cに示される微小物体246と同じ又は概して同様であり得る)は、チャネル264内の第1の培地254のフロー278により分離領域270外に引き出されない。チャネル264内のフロー278は、様々な材料(図示せず)もチャネル264から隔離囲い266の分離領域270内に引き込まない。したがって、マイクロ流体チャネル264内の第1の培地254内の成分をマイクロ流体チャネル264から隔離囲い266の分離領域270内の第2の培地258内に移動させることができる唯一の機構は、拡散である。同様に、隔離囲い266の分離領域270内の第2の培地258内の成分を分離領域270からマイクロ流体チャネル264内の第1の培地254内に移動させることができる唯一の機構も拡散である。第1の培地254は、第2の培地258と同じ培地であり得、又は第1の培地254は、第2の培地258と異なる培地であり得る。代替的に、第1の培地254及び第2の培地258は、同じ培地から始まり、例えば、分離領域270内の1つ又は複数の細胞により又はマイクロ流体チャネル264を通って流れる培地を変更することにより、第2の培地を調整することを通して異なるようになることができる。
図2Eに示されるように、マイクロ流体チャネル264内のマイクロ流体チャネル264の幅Wch(すなわち、図2Dにおいて矢印278で示されるマイクロ流体チャネルを通る流体培地フローの方向を横断してとられる)は、基端開口部274の幅Wcon1に略直交することができ、したがって、先端開口部276の幅Wcon2に略平行であり得る。しかし、基端開口部274の幅con1及び先端開口部276の幅Wcon2は、互いに略直交する必要はない。例えば、基端開口部274の幅Wcon1が向けられる軸(図示せず)と、先端開口部276の幅Wcon2が向けられる別の軸との間の角度は、直交以外であり得、したがって、90°以外であり得る。代替的に向けられる角度の例としては、以下の任意の範囲内の角度を含む:約30°〜約90°、約45°〜約90°、約60°〜約90°等。
隔離囲いの様々な実施形態(例えば、124、126、128、130、224、226、228、又は266)では、分離領域(例えば、240又は270)は、複数の微小物体を含むように構成される。他の実施形態では、分離領域は、1つのみ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は同様の相対的に少数の微小物体を含むように構成され得る。したがって、分離領域の容積は、例えば、少なくとも1×106立方μm、少なくとも2×106立方μm、少なくとも4×106立方μm、少なくとも6×106立方μm、又はこれを超える大きさであり得る。
隔離囲いの様々な実施形態では、基端開口部(例えば、234)でのマイクロ流体チャネル(例えば、122)の幅Wchは、以下の任意の範囲内であり得る:約50〜1000μm、約50〜500μm、約50〜400μm、約50〜300μm、約50〜250μm、約50〜200μm、約50〜150μm、約50〜100μm、約70〜500μm、約70〜400μm、約70〜300μm、約70〜250μm、約70〜200μm、約70〜150μm、約90〜400μm、90〜300μm、約90〜250μm、約90〜200μm、約90〜150μm、約100〜300μm、約100〜250μm、約100〜200μm、約100〜150μm、及び約100〜120μm。幾つかの他の実施形態では、基端開口部(例えば、234)におけるマイクロ流体チャネル(例えば、122)の幅Wchは、約200〜800μm、約200〜700μm、又は約200〜600μmの範囲であり得る。上記は単なる例であり、マイクロ流体チャネル122の幅Wchは、他の範囲(例えば、上記列挙された任意の端点により定義される範囲)であってもよい。更に、マイクロ流体チャネル122の幅Wchは、隔離囲いの基端開口部以外のマイクロ流体チャネルの領域において、これらの任意の範囲であるように選択することができる。
幾つかの実施形態では、隔離囲いは、約30〜約200μm又は約50〜約150μmの高さを有する。幾つかの実施形態では、隔離囲いは、約1×104〜約3×106平方μm、約2×104〜約2×106平方μm、約4×104〜約1×106平方μm、約2×104〜約5×105平方μm、約2×104〜約1×105平方μm、又は約2×105〜約2×106平方μmの断面積を有する。
隔離囲いの様々な実施形態において、基端開口部(例えば、234)におけるマイクロ流体チャネル(例えば、122)の高さHchは、以下の任意の範囲内であり得る:20〜100μm、20〜90μm、20〜80μm、20〜70μm、20〜60μm、20〜50μm、30〜100μm、30〜90μm、30〜80μm、30〜70μm、30〜60μm、30〜50μm、40〜100μm、40〜90μm、40〜80μm、40〜70μm、40〜60μm、又は40〜50μm。上記は単なる例であり、マイクロ流体チャネル(例えば、122)の高さHchは、他の範囲(例えば、上記列挙された任意の端点により定義される範囲)であってもよい。マイクロ流体チャネル122の高さHchは、隔離囲いの基端開口部以外のマイクロ流体チャネルの領域において、これらの任意の範囲であるように選択することができる。
隔離囲いの様々な実施形態において、基端開口部(例えば、234)におけるマイクロ流体チャネル(例えば、122)の断面積は、以下の任意の範囲内であり得る:500〜50,000平方μm、500〜40,000平方μm、500〜30,000平方μm、500〜25,000平方μm、500〜20,000平方μm、500〜15,000平方μm、500〜10,000平方μm、500〜7,500平方μm、500〜5,000平方μm、1,000〜25,000平方μm、1,000〜20,000平方μm、1,000〜15,000平方μm、1,000〜10,000平方μm、1,000〜7,500平方μm、1,000〜5,000平方μm、2,000〜20,000平方μm、2,000〜15,000平方μm、2,000〜10,000平方μm、2,000〜7,500平方μm、2,000〜6,000平方μm、3,000〜20,000平方μm、3,000〜15,000平方μm、3,000〜10,000平方μm、3,000〜7,500平方μm、又は3,000〜6,000平方μm。上記は単なる例であり、基端開口部(例えば、234)におけるマイクロ流体チャネル(例えば、122)の断面積は、他の範囲(例えば、上記列挙された任意の端点により定義される範囲)であってもよい。
隔離囲いの様々な実施形態では、接続領域(例えば、236)の長さLconは、以下の任意の範囲内であり得る:約1〜600μm、5〜550μm、10〜500μm、15〜400μm、20〜300μm、20〜500μm、40〜400μm、60〜300μm、80〜200μm、又は約100〜150μm。上記は単なる例であり、接続領域(例えば、236)の長さLconは、上記例と異なる範囲(例えば、上記列挙される任意の終点により定義される範囲)内であることもできる。
隔離囲いの様々な実施形態では、基端開口部(例えば、234)での接続領域(例えば、236)の幅Wconは、以下の任意の範囲内であり得る:20〜500μm、20〜400μm、20〜300μm、20〜200μm、20〜150μm、20〜100μm、20〜80μm、20〜60μm、30〜400μm、30〜300μm、30〜200μm、30〜150μm、30〜100μm、30〜80μm、30〜60μm、40〜300μm、40〜200μm、40〜150μm、40〜100μm、40〜80μm、40〜60μm、50〜250μm、50〜200μm、50〜150μm、50〜100μm、50〜80μm、60〜200μm、60〜150μm、60〜100μm、60〜80μm、70〜150μm、70〜100μm、及び80〜100μm。上記は単なる例であり、基端開口部(例えば、234)の接続領域(例えば、236)の幅Wconは、上記例と異なることができる(例えば、上記列挙される任意の終点により定義される範囲)。
隔離囲いの様々な実施形態において、基端開口部(例えば、234)における接続領域(例えば、236)の幅Wconは、隔離囲いが意図される微小物体(例えば、T細胞、B細胞、卵子、又は胚であり得る生体細胞)の最大寸法と少なくとも同じ大きさであり得る。例えば、卵母細胞、卵子、又は胚が配置される隔離囲いの基端開口部234における接続領域236の幅Wconは、以下の任意の範囲であり得る:約100μm、約110μm、約120μm、約130μm、約140μm、約150μm、約160μm、約170μm、約180μm、約190μm、約200μm、約225μm、約250μm、約300μm、又は約100〜400μm、約120〜350μm、約140〜200〜200 300μm、又は約140〜200μm。上記は単なる例であり、基端開口部(例えば、234)における接続領域(例えば、236)の幅Wconは、上記例と異なってもよい(例えば、上記列挙される任意の端点により定義される範囲)。
隔離囲いの様々な実施形態において、接続領域の基端開口部の幅Wprは、隔離囲いが意図される微小物体(例えば、細胞等の生物学的微小物体)の最大寸法と少なくとも同じ大きさであり得る。例えば、幅Wprは、約50μm、約60μm、約100μm、約200μm、約300μm、又は約50〜300μm、約50〜200μm、約50〜100μm、約75〜150μm、約75〜100μm、又は約200〜300μmの範囲であり得る。
隔離囲いの様々な実施形態において、接続領域(例えば、236)の長さLconと基端開口部234における接続領域(例えば、236)の幅Wconとの比率は、以下の任意の比率以上であり得る:0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、又はこれを超える比率。上記は単なる例であり、接続領域236の長さLconと基端開口部234における接続領域236の幅Wconとの比率は、上記例と異なってもよい。
マイクロ流体デバイスの様々な実施形態100、200、230、250、280、290、500、550、560、600、620、640、670、700、720、720、750、760、780、808、810、812、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500において、Vmaxは、約0.2マイクロリッター/秒、約0.3マイクロリッター/秒、約0.4マイクロリッター/秒、約0.5マイクロリッター/秒、約0.6マイクロリッター/秒、約0.7マイクロリッター/秒、約0.8マイクロリッター/秒、約0.9マイクロリッター/秒、約1.0マイクロリッター/秒、約1.1マイクロリッター/秒、約1.2マイクロリッター/秒、約1.3マイクロリッター/秒、約1.4マイクロリッター/秒、又は約1.5マイクロリッター/秒に設定することができる。
隔離囲いを有するマイクロ流体デバイスの様々な実施形態において、隔離囲いの分離領域(例えば、240)の容積は、例えば、少なくとも5×105立方μm、少なくとも8×105立方μm、少なくとも1×106立方μm、少なくとも2×106立方μm、少なくとも4×106立方μm、少なくとも6×106立方μm、少なくとも8×106立方μm、少なくとも1×107立方μm、少なくとも5×107立方μm、少なくとも1×108立方μm、少なくとも5×108立方μm、少なくとも8×108立方μm、又はそれを超える容積であり得る。隔離囲いを有するマイクロ流体デバイスの様々な実施形態において、隔離囲いの容積は、約5×105立方μm、約6×105立方μm、約8×105立方μm、約1×106立方μm、約2×106立方μm、約4×106立方μm、約8×106立方μm、約1×107立方μm、約3×107立方μm、約5×107立方μm、又は約8×107立方μm、又はそれを超える容積であり得る。幾つかの他の実施形態では、隔離囲いの容積は、約1ナノリットル〜約50ナノリットル、2ナノリットル〜約25ナノリットル、2ナノリットル〜約20ナノリットル、約2ナノリットル〜約15ナノリットル、又は約2ナノリットル〜約10ナノリットルであり得る。
様々な実施形態において、マイクロ流体デバイスは、本明細書に記載される任意の実施形態でのように構成された隔離囲いを有し、その場合、マイクロ流体デバイスは、約5〜約10個の隔離囲い、約10〜約50個の隔離囲い、約100〜約500個の隔離囲い、約200〜約1000個の隔離囲い、約500〜約1500個の隔離囲い、約1000〜約2000個の隔離囲い、又は約1000〜約3500個の隔離囲いを有する。隔離囲いは、全て同じサイズである必要はなく、様々な構成(例えば、異なる幅、隔離囲い内の異なる特徴を含み得る。
図2Gは、一実施形態によるマイクロ流体デバイス280を示す。マイクロ流体デバイス280は図2Gに示され、マイクロ流体デバイス100の定型化された図である。実際には、マイクロ流体デバイス280及びその構成回路要素(例えば、チャネル122及び隔離囲い128)は本明細書で考察された寸法を有する。図2Gに示されるマイクロ流体回路120は、2つのポート107、4つの別個のチャネル122、及び4つの別個の流路106を有する。マイクロ流体デバイス280は、各チャネル122に通じる複数の隔離囲いを更に含む。図2Gに示されるマイクロ流体デバイスでは、隔離囲いは、図2Cに示される囲いと同様のジオメトリを有し、したがって、接続領域及び分離領域の両方を有する。したがって、マイクロ流体回路120は、掃引領域(例えば、チャネル122及び2次フロー244の最大侵入深さDp内の接続領域236の部分)及び非掃引領域(例えば、分離領域240及び2次フロー244の最大侵入深さDp内にない接続領域236の部分)の両方を含む。
被覆溶液及び被覆剤
理論による限定を意図せずに、マイクロ流体デバイス(例えば、DEP構成及び/又はEW構成マイクロ流体デバイス)内での生物学的微小物体(例えば、生体細胞)の維持は、マイクロ流体デバイスの少なくとも1つ又は複数の内面が、マイクロ流体デバイスと内部に維持される生物学的微小物体との間の主な界面を提供する有機分子及び/又は親水性分子の層を提示するように調整又は被覆される場合に促進し得る(すなわち、生物学的微小物体は、マイクロ流体デバイス内で生存率の増大、より大きい増殖、及び/又はより大きい可搬性を示す)。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの内面の1つ又は複数(例えば、DEP構成マイクロ流体デバイスの電極活性化基板の内面、マイクロ流体のカバー、及び/又は回路材料の表面)は、有機分子及び/又は親水性分子の所望の層を生成するように、被覆溶液及び/又は被覆剤により処理又は修飾し得る。
被覆は、生物学的微小物体を導入する前又は後に塗布してもよく、又は生物学的微小物体と同時に導入してもよい。幾つかの実施形態では、生物学的微小物体は、マイクロ流体デバイスの1つ又は複数の被覆剤を含む流体媒体中に搬入し得る。他の実施形態では、マイクロ流体デバイス(例えば、DEP構成マイクロ流体デバイス)の内面は、生物学的微小物体をマイクロ流体デバイスに導入する前に、被覆剤を含む被覆溶液を用いて処理又は「プライミング」される。
幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの少なくとも1つの表面は、生物学的微小物体の維持及び/又は増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供する(例えば、後述するような調整面を提供する)被覆剤を含む。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの略全ての内面は被覆材料を含む。被覆された内面は、フロー領域(例えば、チャネル)の表面、チャンバの表面、隔離囲いの表面、又はそれらの組合わせを含み得る。幾つかの実施形態では、複数の隔離囲いのそれぞれは、被覆材料で被覆された少なくとも1つの内面を有する。他の実施形態では、複数のフロー領域又はチャネルのそれぞれは、被覆材料で被覆された少なくとも1つの内面を有する。幾つかの実施形態では、複数の隔離囲いのそれぞれ及び複数のチャネルのそれぞれの少なくとも1つの内面は、被覆材料で被覆される。
被覆剤/溶液
限定ではなく、血清又は血清因子、ウシ血清アルブミン(BSA)、ポリマー、洗剤、酵素、及びそれらの任意の組合わせを含む任意の従来の被覆剤/被覆溶液を使用することができる。
ポリマーベースの被覆材料
少なくとも1つの内面は、ポリマーを含む被覆材料を含み得る。ポリマーは、少なくとも1つの表面に共有結合又は非共有結合し得る(又は非特異的に付着し得る)。ポリマーは、ブロックポリマー(及びコポリマー)、星型ポリマー(星型コポリマー)、並びにグラフト又は櫛形ポリマー(グラフトコポリマー)に見られる等の多種多様な構造モチーフを有し得、これらは全て本明細書に開示される方法に適し得る。
ポリマーは、アルキレンエーテル部分を含むポリマーを含み得る。広範囲のアルキレンエーテル含有ポリマーが、本明細書に記載されるマイクロ流体デバイスでの使用に適し得る。アルキレンエーテル含有ポリマーの非限定的で例示的な一クラスは、ポリマー鎖内で異なる比率及び異なる場所にあるポリエチレンオキシド(PEO)サブユニット及びポリプロピレンオキシド(PPO)サブユニットのブロックを含む両親媒性非イオンブロックコポリマーである。Pluronic(登録商標)ポリマー(BASF)は、このタイプのブロックコポリマーであり、生細胞と接触する場合の使用に適することが当技術分野で既知である。ポリマーは、平均分子質量MWで、約2000Da〜約20KDaの範囲であり得る。幾つかの実施形態では、PEO−PPOブロックコポリマーは、約10よりも大きい(例えば、12〜18)の親水性親油性バランス(HLB)を有することができる。被覆された表面をもたらすのに有用な特定のPluronic(登録商標)ポリマーは、Pluronic(登録商標)L44、L64、P85、及びF127(F127NFを含む)を含む。別のクラスのアルキレンエーテル含有ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG MW<100,000Da)又は代替的にポリエチレンオキシド(PEO、MW>100,000)である。幾つかの実施形態では、PEGは約1000Da、5000Da、10,000Da、又は20,000DaのMWを有し得る。
他の実施形態では、被覆材料は、カルボン酸部分を含むポリマーを含み得る。カルボン酸サブユニットは、アルキル、アルケニル、又は芳香族部分含有サブユニットであり得る。非限定的な一例はポリ乳酸(PLA)である。他の実施形態では、被覆材料は、ポリマー骨格の末端又はポリマー骨格からのペンダントのいずれかにリン酸部分を含むポリマーを含み得る。更に他の実施形態では、被覆材料は、スルホン酸部分を含むポリマーを含み得る。スルホン酸サブユニットは、アルキル、アルケニル、又は芳香族部分含有サブユニットであり得る。非限定的な一例はポリスチレンスルホン酸(PSSA)又はポリアネトールスルホン酸である。更なる実施形態では、被覆材料はアミン部分を含むポリマーを含み得る。ポリアミノポリマーは、天然ポリアミンポリマー又は合成ポリアミンポリマーを含み得る。天然ポリアミンの例としては、スペルミン、スペルミジン、及びプトレッシンが挙げられる。
他の実施形態では、被覆材料は、糖類部分を含むポリマーを含み得る。非限定的な例では、キサンタンガム又はデキストラン等のポリサッカリドが、マイクロ流体デバイスにおける細胞の突き刺しを低減又は阻止し得る材料を形成するのに適し得る。例えば、約3kDaのサイズを有するデキストランポリマーを使用して、マイクロ流体デバイス内の表面に被覆材料を提供し得る。
他の実施形態では、被覆材料は、リボヌクレオチド部分又はデオキシリボヌクレオチド部分を有し、高分子電解質表面を提供し得る、ヌクレオチド部分、すなわち、核酸を含むポリマーを含み得る。核酸は、天然ヌクレオチド部分のみを含んでもよく、又は限定ではなく、7−デアザアデニン、ペントース、メチルホスホン酸、又はホスホロチオエート部分等の核酸塩基、リボース、リン酸塩部分類似物を含む非天然ヌクレオチド部分を含んでもよい。
更に他の実施形態では、被覆材料は、アミノ酸部分を含むポリマーを含み得る。アミノ酸部分を含むポリマーは、天然アミノ酸含有ポリマー又は非天然アミノ酸含有ポリマーを含み得、これらのいずれかはペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質を含み得る。非限定的な一例では、被覆剤として、タンパク質は、ウシ血清アルブミン(BSA)並びに/或いはアルブミン及び/又は1つ又は複数の他の同様のタンパク質を含む血清(又は複数の異なる血清の組合わせ)であり得る。血清は、限定ではなく、ウシ胎仔血清、ヒツジ血清、ヤギ血清、ウマ血清等を含む任意の好都合のソースからのものであり得る。特定の実施形態では、被覆溶液中のBSAは、5mg/mL、10mg/mL、20mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、90mg/mL、又はそれを超えるか、若しくはそれらの間の任意の値を含め、約1mg/mL〜約100mg/mLの範囲で存在する。特定の実施形態では、被覆溶液中の血清は、25%、30%、35%、40%、45%、又はそれを超えるか、若しくはそれらの間の任意の値を含め、約20%(v/v)〜約50%v/vの範囲で存在し得る。幾つかの実施形態では、BSAは、5mg/mLで被覆溶液中に被覆剤として存在し得、一方、他の実施形態では、BSAは、70mg/mLで被覆溶液中に被覆剤として存在し得る。特定の実施形態では、血清は、30%で被覆溶液中に被覆剤として存在する。幾つかの実施形態では、フォスター細胞成長への細胞の付着を最適化するために、細胞外基質(ECM)タンパク質を被覆材料内に提供し得る。被覆材料に包含し得る細胞基質タンパク質としては、限定ではなく、コラーゲン、エラスチン、RGD含有ペプチド(例えば、フィブロネクチン)、又はラミニンを挙げることができる。更に他の実施形態では、成長因子、サイトカイン、ホルモン、又は他の細胞シグナリング種をマイクロ流体デバイスの被覆材料内に提供し得る。
幾つかの実施形態では、被覆材料は、アルキレンオキシド部分、カルボン酸部分、スルホン酸部分、リン酸塩部分、サッカリド部分、ヌクレオチド部分、又はアミノ酸部分の2つ以上を含むポリマーを含み得る。他の実施形態では、ポリマーの調整された表面は、被覆材料に独立して又は同時に組み込み得る、アルキレンオキシド部分、カルボン酸部分、スルホン酸部分、リン酸塩部分、サッカリド部分、ヌクレオチド部分、及び/又はアミノ酸部分をそれぞれ有する2つ以上のポリマーの混合物を含み得る。
共有結合される被覆材料
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの内面は、マイクロ流体デバイス内の生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供して、そのような細胞に調整面を提供する共有結合分子を含む。
共有結合分子は結合基を含み、結合基は、後述するように、マイクロ流体デバイスの1つ又は複数の表面に共有結合する。結合基は、生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分にも共有結合する。
幾つかの実施形態では、生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される共有結合部分は、アルキル又はフルオロアルキル(ペルフルオロアルキルを含む)部分;モノ又はポリサッカリド(デキストランを含み得るが、これに限定されない);アルコール(プロパルギルアルコールを含むが、これに限定されない);ポリビニルアルコールを含むが、これに限定されないポリアルコール;ポリエチレングリコールを含み得るが、これに限定されないアルキレンエーテル;高分子電解質(ポリアクリル酸又はポリビニルホスホン酸を含むが、これに限定されない);アミノ基(アルキル化アミン、モルホルニル又はピペラジニル等であるが、これらに限定されない非芳香族化された窒素環原子を含むヒドロキシアルキル化されたアミノ基、グアニジニウム基、及びヘテロ環基等であるが、これらに限定されないその誘導体);プロピオル酸(カルボン酸塩アニオン表面を提供し得る)を含むが、これに限定されないカルボン酸;エチニルホスホン酸(ホスホン酸塩アニオン表面を提供し得る)を含むが、これに限定されないホスホン酸;スルホン酸アニオン;カルボキシベタイン;スルホベタイン;スルファミン酸;又はアミノ酸を含み得る。
様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスにおける生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される共有結合部分は、アルキル部分、フルオロアルキル部分(ペルフルオロアルキル部分を含むが、これに限定されない)等の置換アルキル部分、アミノ酸部分、アルコール部分、アミノ部分、カルボン酸部分、ホスホン酸部分、スルホン酸部分、スルファミン酸部分、又はサッカリド部分等の非ポリマー部分を含み得る。代替的には、共有結合部分は、上述した任意の部分であり得るポリマー部分を含み得る。
幾つかの実施形態では、共有結合部分は、線状鎖(例えば、少なくとも10個の炭素又は少なくとも14、16、18、20、22、若しくはそれを超える個数の炭素の線状鎖)を形成する炭素原子を含むことができ、且つ直鎖アルキル部分であり得る。幾つかの実施形態では、アルキル基は置換アルキル基を含み得る(例えば、アルキル基の炭素の幾つかはフッ素化又はパーフルオロ化することができる)。幾つかの実施形態では、アルキル基は、非置換アルキル基を含み得る第2のセグメントに結合される、ペルフルオロアルキル基を含み得る第1のセグメントを含み得る。第1及び第2のセグメントは、直接又は間接的(例えば、エーテル結合により)に結合され得、ここで、アルキル基の第1のセグメントは、結合基の先端部に配置し得、アルキル基の第2のセグメントは、結合基の基端部に配置し得る。
他の実施形態では、共有結合部分は、2つ以上の種類のアミノ酸を含み得る少なくとも1つのアミノ酸を含み得る。したがって、共有結合部分は、ペプチド又はタンパク質を含み得る。幾つかの実施形態では、共有結合部分は、双性イオン性表面を提供して、細胞成長、生存、可搬性、又はそれらの任意の組合せを支持し得るアミノ酸を含み得る。
他の実施形態では、共有結合部分は、少なくとも1つのアルキレンオキシド部分を含み得、上述した任意のアルキレンオキシドポリマーを含み得る。アルキレンエーテル含有ポリマーの有用な1クラスは、ポリエチレングリコール(PEG Mw<100,000Da)又は代替的にはポリエチレンオキシド(PEO、Mw>100,000)である。幾つかの実施形態では、PEGは約1000Da、約5000Da、約10,000Da、又は約20,000DaのMwを有し得る。
共有結合部分は1つ又は複数のサッカリドを含み得る。共有結合サッカリドはモノ、ジ、又はポリサッカリドであり得る。共有結合サッカリドは、表面に付着するような結合又は加工を可能にする反応ペア部分を導入するように修飾し得る。例示的な反応ペア部分は、アルデヒド、アルキン、又はハロ部分を含み得る。ポリサッカリドは、ランダムに修飾し得、各サッカリドモノマーが修飾されてもよく、又はポリサッカリド内のサッカリドモノマーの一部のみが、表面に直接若しくは間接的に結合され得る反応ペア部分を提供するように修飾される。一例は、直鎖リンカーを介して表面に間接的に結合され得るデキストランポリサッカリドを含み得る。
共有結合部分は1つ又は複数のアミノ基を含み得る。アミノ基は、置換アミン部分、グアニジン部分、窒素含有ヘテロ環部分又はヘテロアリール部分であり得る。アミノ含有部分は、マイクロ流体デバイス内及び任意選択的に隔離囲い及び/又はフロー領域(例えば、チャネル)内の環境のpH変更を可能にする構造を有し得る。
調整面を提供する被覆材料は、一種のみの共有結合部分を含んでもよく、又は2つ以上の異なる種類の共有結合部分を含んでもよい。例えば、フルオロアルキル調整面(ペルフルオロアルキルを含む)は、全て同じ、例えば、表面への同じ結合基及び共有結合、同じ全体長、及びフルオロアルキル部分を含む同数のフルオロメチレン単位を有する複数の共有結合部分を有し得る。代替的には、被覆材料は、表面に付着する2種類以上の共有結合部分を有し得る。例えば、被覆材料は、指定された数のメチレン又はフルオロメチレン単位を有する共有結合アルキル又はフルオロアルキル部分を有する分子を含み得、被覆面においてより嵩張った部分を提示する能力をお提供し得る、より多数のメチレン又はフルオロメチレン単位を有するアルキル又はフルオロアルキル鎖に共有結合した荷電部分を有する更なる組の分子を更に含み得る。この場合、異なる、立体的に要求が余り厳しくない末端及びより少数の骨格原子を有する第1の組の分子は、基板表面全体を官能化し、それにより基板自体を構成するケイ素/酸化ケイ素、酸化ハフニウム、又はアルミナへの望ましくない付着又は接触を回避するのに役立つことができる。別の例では、共有結合部分は、表面上でランダムに交流電荷を提示する両性イオン表面を提供し得る。
調整面特性
調整された表面の組成以外で、疎水性材料の物理的厚さ等の他の要因がDEP力に影響し得る。調整された表面が基板に形成される様式(例えば、蒸着、液相堆積、スピンコーティング、フラッディング、及び静電コーティング)等の様々な要因が調整された表面の物理的厚さを変更し得る。幾つかの実施形態では、調整面は、約1nm〜約10nm、約1nm〜約7nm、約1nm〜約5nm、又はそれらの間の任意の個々の値の厚さを有する。他の実施形態では、共有結合部分により形成される調整面は、約10nm〜約50nmの厚さを有し得る。様々な実施形態では、本明細書において記載されるように準備される調整面は、10nm未満の厚さを有する。幾つかの実施形態では、調整面の共有結合部分は、マイクロ流体デバイスの表面(例えば、DEP構成基板表面)に共有結合した場合、単層を形成し得、10nm未満(例えば、5nm未満又は約1.5nm〜3.0nm)の厚さを有し得る。これらの値は、約30nmの範囲の厚さを有するCYTOP(登録商標)(Asahi Glass Co., Ltd.、日本)フルオロポリマースピンコーティングの厚さとは
対照的である。幾つかの実施形態では、調整面は、DEP構成マイクロ流体デバイス内での動作に適宜機能的であるために、完全に形成された単層を必要としない。
様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスの調整面を提供する被覆材料は、所望の電気特性を提供し得る。理論による限定を意図せずに、特定の被覆材料が被覆された表面の堅牢性に影響する一因子は、本質的に電荷捕獲である。異なる被覆材料は電子を捕獲し得、これは被覆材料の破壊に繋がる恐れがある。被覆材料の欠陥は、電荷捕獲を増大させ、被覆材料の更なる破壊に繋がる恐れがある。同様に、異なる被覆材料は異なる絶縁耐力(すなわち、絶縁破壊が生じる最小印加電場)を有し、これは電荷捕獲に影響を有し得る。特定の実施形態では、被覆材料は、その電荷捕獲量を低減又は制限する全体構造(例えば、高密度単層構造)を有することができる。
調整された表面は、その電気特性に加えて、生体分子との併用に有利な特性を有することもできる。例えば、フッ化(又はパーフルオロ化)炭素鎖を含む調整された表面は、表面ファウリング量を低減するに当たり、アルキル末端鎖と比較して利点を提供し得る。表面ファウリングは、本明細書で使用される場合、タンパク質及びその老廃物、核酸及び各老廃物等のバイオ材料の永久的又は半永久的な堆積を含み得る、マイクロ流体デバイスの表面への無差別材料堆積量を指す。
単一又は複数パートの調整面
共有結合被覆材料は、後述するように、マイクロ流体デバイスにおける生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分を既に含む分子の反応により形成し得る。代替的には、共有結合被覆材料は、生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分を、それ自体が表面に共有結合した表面修飾リガンドに結合することにより、2部シーケンスで形成し得る。
共有結合された被覆材料を準備する方法
幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの表面(例えば、隔離囲い及び/又はフロー領域の少なくとも1つの表面を含む)に共有結合した被覆材料は、式1又は式2の構造を有する。被覆材料は、表面に1ステップで導入される場合、式1の構造を有し、一方、被覆材料は、複数ステッププロセッサで導入される場合、式2の構造を有する。
被覆材料は、DEP構成又はEW構成基板の表面の酸化物に供給結合し得る。DEP又はEW構成基板は、ケイ素、酸化ケイ素、アルミナ、又は酸化ハフニウムを含み得る。酸化物は、基板の元の化学構造の一部として存在してもよく、又は後述するように導入し得る。
被覆材料は、結合基(「LG」)を介して酸化物に結合し得、LGは、シロキサン基又はホスホン酸基と酸化物との反応から形成されるシロキシ又はホスホネートエステル基であり得る。マイクロ流体デバイスにおける生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分は、本明細書に記載される任意の部分であり得る。結合基LGは、マイクロ流体デバイスにおける生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分に直接又は間接的に接続し得る。結合基LGがその部分に直接接続される場合、任意選択的なリンカーLは存在せず、nは0である。結合基LGが部分に間接的に接続される場合、リンカーLが存在し、nは1である。リンカーLは、線状部の骨格が、当技術分野で既知の化学結合制約を受けるケイ素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びリン原子の任意の組合せから選択される1〜200個の非水素原子を含み得る線状部を有し得る。それは、エーテル基、アミノ基、カルボニル基、アミド基、又はリン酸基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、又はヘテロ環基からなる群から選択される1つ又は複数の部分の任意の組合せで中断され得る。幾つかの実施形態では、リンカーLの骨格は10〜20個の炭素を含み得る。他の実施形態では、リンカーLの骨格は約5原子〜約200原子、約10原子〜約80原子、約10原子〜約50原子、又は約10原子〜約40原子を含み得る。幾つかの実施形態では、骨格原子は全て炭素原子である。
幾つかの実施形態では、生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分は、複数ステッププロセスで基板の表面に追加し得、上で示された式2の構造を有する。この部分は、上述した任意の部分であり得る。
幾つかの実施形態では、結合基CGは、反応部分Rxとペアとなる反応部分Rpx(すなわち、反応部分Rxと反応するように構成される部分)との反応の結果生成される基を表す。例えば、典型的な1つの結合基CGはカルボキサミジル(carboxamidyl)基を含み得、これは、アミノ基と、活性化エステル、酸クロリド等のカルボン酸の誘導体との反応の結果である。他のCGは、トリアゾリレン(triazolylene)基、カルボキサミジル(carboxamidyl)、チオアミジル、オキシム、メルカプチル(mercaptyl)、二硫化物、エー
テル、又はアルケニル基、又は反応部分とペアとなる各反応部分との反応時に形成し得る任意の他の適する基を含み得、結合基CGは、リンカーLの第2の端部(すなわち、マイクロ流体デバイスにおける生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分に近い端部)に配置し得、これは上述した要素の任意の組合せを含み得る。幾つかの他の実施形態では、結合基CGは、リンカーLの骨格を中断し得る。結合基CGは、トリアゾリレン(triazolylene)である場合、クリック結合反応からの結果である産物であり得、更に置換し得る(例えば、ジベンゾシクロオクチル溶融トリアゾリレン(triazolylene)基)。
幾つかの実施形態では、被覆材料(又は表面修飾リガンド)は、化学蒸着を使用してマイクロ流体デバイスの内面に堆積する。蒸着プロセスは任意選択的に、例えば、溶媒浴への露出、超音波処理、又はそれらの組合せにより、カバー110、マイクロ流体回路材料116、及び/又は基板(例えば、DEP構成基板の電極活性化基板206の内面208又はEW構成基板の支持構造体104の誘電層)を予めクリーニングすることにより改善することができる。代替又は追加として、そのような事前クリーニングは、カバー110、マイクロ流体回路材料116、及び/又は基板を酸素プラズマクリーナにおいて処理することを含むことができ、酸素プラズマクリーナは、様々な不純物を除去することができ、それと同時に酸化表面(例えば、表面における酸化物、本明細書に記載されるように共有結合的に修飾し得る)を導入することができる。代替的には、塩酸と過酸化水素との混合物又は硫酸と過酸化水素との混合物(例えば、硫酸と過酸化水素との比率が約3:1〜約7:1であり得るピラニア溶液)等の液相処理を酸素プラズマクリーナの代わりに使用することもできる。
幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイス200が組み立てられて、マイクロ流体回路120を画定するエンクロージャ102を形成した後、蒸着を使用して、マイクロ流体デバイス200の内面を被覆し得る。理論による限定を意図せずに、そのような被覆材料を完全に組み立てられたマイクロ流体回路120に堆積させることは、マイクロ流体回路材料116と電極活性化基板206の誘電層及び/又はカバー110との結合の弱化により生じる剥離を回避するに当たり有利であり得る。2ステッププロセスが利用される実施形態では、表面修飾リガンドは、上述したように蒸着を介して導入し得、続けて、生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分が導入される。続く反応は、表面修飾マイクロ流体デバイスを溶液中の適する結合試薬に露出させることにより実行し得る。
図2Hは、調整面を提供する例示的な共有結合被覆材料を有するマイクロ流体デバイス290の断面図を示す。示されるように、被覆材料298(概略的に示される)は、DEP基板であり得る基板286の内面294と、マイクロ流体デバイス290のカバー288の内面292と、の両方に共有結合した高密度分子の単層を含むことができる。被覆材料298は、幾つかの実施形態では、上述したように、マイクロ流体デバイス290内の回路要素及び/又は構造の画定に使用されるマイクロ流体回路材料(図示せず)の表面を含む、マイクロ流体デバイス290のエンクロージャ284に近くエンクロージャ284に向かって内側に面する略全ての内面294、292に配置することができる。代替の実施形態では、被覆材料298は、マイクロ流体デバイス290の内面の1つのみ又は幾つかに配置することができる。
図2Hに示される実施形態では、被覆材料298は、オルガノシロキサン分子の単層を含むことができ、各分子は、シロキシリンカー296を介してマイクロ流体デバイス290の内面292、294に共有結合する。上記の被覆材料298のいずれかを使用することができ(例えば、アルキル末端、フルオロアルキル末端部分、PEG末端部分、デキストラン末端部分、又はオルガノシロキサン部分に正電荷又は負電荷を含む末端部分)、末端部分は、エンクロージャに面する末端に配置される(すなわち、内面292、294に結合されず、エンクロージャ284に近い被覆材料298の単層の部分)。
他の実施形態では、マイクロ流体デバイス290の内面292、294の被覆に使用される被覆材料298はアニオン部分、カチオン部分、両性イオン部分、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。理論による限定を意図せずに、カチオン部分、アニオン部分、及び/又は両性イオン部分をマイクロ流体回路120のエンクロージャ284の内面に提示することにより、被覆材料298は、その結果生成される水和の水が、生物学的微小物体を非生物学的分子(例えば、基板のケイ素及び/又は酸化ケイ素)との相互作用から分離する層(又は「シールド」)として機能するような、強力な水との水素結合を形成することができる。加えて、被覆材料298が被覆剤と併用される実施形態では、被覆材料298のアニオン、カチオン、又は両性イオンは、エンクロージャ284内の媒体180(例えば、被覆溶液)中に存在する非共有結合被覆剤(例えば、溶液中のタンパク質)の荷電部分とイオン結合を形成することができる。
更に他の実施形態では、被覆材料は、エンクロージャに面した末端において親水性被覆剤を含み得るか、又は提示するように化学的に修飾し得る。幾つかの実施形態では、被覆材料は、PEG等のアルキレンエーテル含有ポリマーを含み得る。幾つかの実施形態では、被覆材料は、デキストラン等のポリサッカリドを含み得る。上述した荷電部分(例えば、アニオン部分、カチオン部分、及び両性イオン部分)のように、親水性被覆剤は、その結果生成される水和の水が、生物学的微小物体を非生物学的分子(例えば、基板のケイ素及び/又は酸化ケイ素)との相互作用から分離する層(又は「シールド」)として機能するような、強力な水との水素結合を形成することができる。適切な被覆処理及び修飾の更なる詳細については、2016年4月22日に出願された米国特許出願公開第15/135,707号において見出し得、この特許出願は全体的に参照により本明細書に援用される。
マイクロ流体デバイスの隔離囲い内の細胞の生存性を維持する追加のシステム構成要素
細胞集団の成長及び/又は増殖を促進するために、システムの追加の構成要素により、機能的な細胞の維持を促す環境状況を提供し得る。例えば、そのような追加の構成要素は、栄養素、細胞成長シグナリング種、pH調整、ガス交換、温度制御、及び細胞からの老廃物の除去を提供することができる。
システム動作及び光学制御
図3A〜図3Bは、本開示によるマイクロ流体デバイス(例えば、100、200、230、250、280、290、500、550、560、600、620、640、670、700、720、720、750、760、780、808、810、812、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500)を動作させるため及び観測のために使用することができるシステム150の様々な実施形態を示す。図3Aに示されるように、システム150は、マイクロ流体デバイス100(図示せず)又は本明細書に記載される任意の他のマイクロ流体デバイスを保持するように構成された構造体(「ネスト」)300を含むことができる。ネスト300は、マイクロ流体デバイス320(例えば、光学的に作動される動電学的デバイス100)と界面を接することができ、電源192からマイクロ流体デバイス320への電気接続を提供することができるソケット302を含むことができる。ネスト300は、一体型電気信号生成サブシステム304を更に含むことができる。電気信号生成サブシステム304は、マイクロ流体デバイス320がソケット302により保持されているとき、バイアス電圧がマイクロ流体デバイス320内の電極の対にわたり印加されるように、バイアス電圧をソケット302に供給するように構成され得る。したがって、電気信号生成サブシステム304は電源192の部分であり得る。バイアス電圧をマイクロ流体デバイス320に印加する能力は、マイクロ流体デバイス320がソケット302により保持されている場合には常にバイアス電圧が印加されることを意味しない。むしろ、大半の場合、バイアス電圧は、断続的に、例えば、マイクロ流体デバイス320内での電気泳動又は電子ウェッティング等の動電力の生成を促進するために必要な場合にのみ印加される。
図3Aに示されるように、ネスト300は、プリント回路基板組立体(PCBA)322を含むことができる。電気信号生成サブシステム304は、PCBA322に搭載され、PCBA322に電気的に集積することができる。例示的な支持体は、同様にPCBA322に搭載されるソケット302も含む。
通常、電気信号生成サブシステム304は波形生成器(図示せず)を含む。電気信号生成サブシステム304は、波形生成器から受信される波形を増幅するように構成されたオシロスコープ(図示せず)及び/又は波形増幅回路(図示せず)を更に含むことができる。オシロスコープは、存在する場合、ソケット302により保持されるマイクロ流体デバイス320に供給される波形を測定するように構成され得る。特定の実施形態では、オシロスコープは、マイクロ流体デバイス320の基端位置(及び波形生成器の先端位置)において波形を測定し、それにより、デバイスに実際に印加されている波形を測定するに当たりより大きい精度を保証する。オシロスコープ測定から得られるデータは、例えば、フィードバックとして波形生成器に提供され得、波形生成器は、そのようなフィードバックに基づいて出力を調整するように構成され得る。適する結合された波形生成器及びオシロスコープの例は、Red Pitaya(商標)である。
特定の実施形態では、ネスト300は、電気信号生成サブシステム304の検知及び/又は制御に使用される、マイクロプロセッサ等のコントローラ308を更に含む。適するマイクロプロセッサの例としては、Arduino Nano(商標)等のArduino(商標)マイクロ
プロセッサが挙げられる。コントローラ308を使用して機能及び分析を実行し、又は外部マスタコントローラ154(図1Aに示される)と通信して機能及び分析を実行し得る。図3Aに示される実施形態では、コントローラ308は、インタフェース310(例えば、プラグ又はコネクタ)を通してマスタコントローラ154と通信する。
幾つかの実施形態では、ネスト300は、Red Pitaya(商標)波形生成器/オシロスコープユニット(「Red Pitayaユニット」)を含む電気信号生成サブシステム304と、Red Pitayaユニットにより生成された波形を増幅し、増幅電圧をマイクロ流体デバイス100に渡す波形増幅回路とを含むことができる。幾つかの実施形態では、Red Pitayaユニットは、マイクロ流体デバイス320での増幅電圧を測定し、次に、マイクロ流体デバイス320での測定電圧が所望の値であるように、必要に応じてそれ自体の出力電圧を調整するように構成される。幾つかの実施形態では、波形増幅回路は、PCBA322に搭載されるDC−DCコンバータの対により生成される+6.5V〜−6.5V電源を有することができ、その結果、マイクロ流体デバイス100において13Vppまでの信号が生成される。
図3Aに示されるように、支持構造体300(例えば、ネスト)は、熱制御サブシステム306を更に含むことができる。熱制御サブシステム306は、支持構造体300により保持されるマイクロ流体デバイス320の温度を調整するように構成され得る。例えば、熱制御サブシステム306は、ペルチェ熱電デバイス(図示せず)及び冷却ユニット(図示せず)を含むことができる。ペルチェ熱電デバイスは、マイクロ流体デバイス320の少なくとも1つの表面と界面を接するように構成された第1の表面を有することができる。冷却ユニットは、例えば、液冷アルミニウムブロック等の冷却ブロック(図示せず)であり得る。ペルチェ熱電デバイスの第2の表面(例えば、第1の表面とは逆の表面)は、そのような冷却ブロックの表面と界面を接するように構成され得る。冷却ブロックは、冷却ブロックを通して冷却流体を循環させるように構成された流体路314に接続することができる。図3Aに示される実施形態では、支持構造体300は、流入口316及び流出口318を含む、外部リザーバ(図示せず)から冷却された流体を受け取り、冷却された流体を流体路314に導入し、冷却ブロックを通し、次に、冷却された流体を外部リザーバに戻す。幾つかの実施形態では、ペルチェ熱電デバイス、冷却ユニット、及び/又は流体路314は、支持構造体300のケース312に搭載することができる。幾つかの実施形態では、熱制御サブシステム306は、ペルチェ熱電デバイスの温度を調整して、マイクロ流体デバイス320の標的温度を達成するように構成される。ペルチェ熱電デバイスの温度調整は、例えば、Pololu(商標)熱電電源(Pololu Robotics and Electronics Corp.)等の熱電電源により達成することができる。熱制御サブシステム306は、アナ
ログ回路により提供される温度値等のフィードバック回路を含むことができる。代替的に、フィードバック回路はデジタル回路により提供され得る。
幾つかの実施形態では、ネスト300は、抵抗(例えば、抵抗1kオーム+/−0.1%、温度係数+/−0.02ppm/C0)及びNTCサーミスタ(例えば、公称抵抗1kオーム+/−0.01%を有する)を含むアナログ分圧回路(図示せず)であるフィードバック回路を有する熱制御サブシステム306を含むことができる。幾つかの場合、熱制御サブシステム306は、フィードバック回路からの電圧を測定し、次に、計算された温度値をオンボードPID制御ループアルゴリズムへの入力として使用する。PID制御ループアルゴリズムからの出力は、例えば、Pololu(商標)モーター駆動デバイス(図示せず)上の方向信号及びパルス幅変調信号ピンの両方を駆動して熱電電源を作動させることができ、それにより、ペルチェ熱電デバイスを制御する。
ネスト300はシリアルポート350を含むことができ、シリアルポート324により、コントローラ308のマイクロプロセッサは、インタフェース310(図示せず)を介して外部マスタコントローラ154と通信することができる。加えて、コントローラ308のマイクロプロセッサは、電気信号生成サブシステム304及び熱制御サブシステム306と通信することができる(例えば、Plinkツール(図示せず)を介して)。したがっ
て、コントローラ308、インタフェース310、及びシリアルポート324の組合せを介して、電気信号生成サブシステム304及び熱制御サブシステム306は、外部マスタコントローラ154と通信することができる。このようにして、マスタコントローラ154は、特に、出力電圧調整のためにスケーリング計算を実行することにより電気信号生成サブシステム304を支援することができる。外部マスタコントローラ154に結合された表示デバイス170を介して提供されるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)(図示せず)は、熱制御サブシステム306及び電気信号生成サブシステム304からそれぞれ得られる温度データ及び波形データをプロットするように構成され得る。代替的に又は追加として、GUIは、コントローラ308、熱制御サブシステム306、及び電気信号生成サブシステム304への更新を可能にすることができる。
上述したように、システム150は撮像デバイス194を含むことができる。幾つかの実施形態では、撮像デバイス194は光変調サブシステム330(図3B参照)を含む。光変調サブシステム330は、デジタルミラーデバイス(DMD)又はマイクロシャッタアレイシステム(MSA)を含むことができ、これらのいずれかは、光源332から光を受け取り、受け取った光のサブセットを顕微鏡350の光学縦列に送るように構成され得る。代替的に、光変調サブシステム330は、有機発行ダイオードディスプレイ(OLED)、液晶オンシリコン(LCOS)デバイス、強誘電性液晶オンシリコンデバイス(FLCOS)、又は透過型液晶ディスプレイ(LCD)等のそれ自体の光を生成する(したがって、光源332の必要性をなくす)デバイスを含むことができる。光変調サブシステム330は、例えば、プロジェクタであり得る。したがって、光変調サブシステム330は、構造化光及び非構造化光の両方を発することが可能であり得る。適する光変調サブシステム422の一例は、Andor Technologies(商標)のMosaic(商標)システムである。特定の実施形態では、システム150の撮像モジュール164及び/又は原動モジュール162は、光変調サブシステム330を制御することができる。
特定の実施形態では、撮像デバイス194は顕微鏡350を更に含む。そのような実施形態では、ネスト300及び光変調サブシステム330は、顕微鏡350に搭載されるように個々に構成され得る。顕微鏡350は、例えば、標準の研究等級の光学顕微鏡又は蛍光顕微鏡であるように構成され得る。したがって、ネスト300は、顕微鏡350のステージ344に搭載するように構成され得、及び/又は光変調サブシステム330は、顕微鏡350のポートに搭載されるように構成され得る。他の実施形態では、本明細書に記載されるネスト300及び光変調サブシステム330は、顕微鏡350の一体構成要素であり得る。
特定の実施形態では、顕微鏡350は1つ又は複数の検出器348を更に含むことができる。幾つかの実施形態では、検出器348は撮像モジュール164により制御される。検出器348は、接眼レンズ、電荷結合素子(CCD)、カメラ(例えば、デジタルカメラ)、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。少なくとも2つの検出器348が存在する場合、1つの検出器は、例えば、高速フレームレートカメラであり得、一方、他の検出器は高感度カメラであり得る。更に、顕微鏡350は、マイクロ流体デバイス320から反射された光及び/又は発せられた光を受け取り、反射光及び/又は放射光の少なくとも部分を1つ又は複数の検出器348に結像するように構成された光学縦列を含むことができる。顕微鏡の光学縦列は、各検出器での最終倍率が異なることができるように、異なる検出器で異なるチューブレンズ(図示せず)を含むこともできる。
特定の実施形態では、撮像デバイス194は、少なくとも2つの光源を使用するように構成される。例えば、第1の光源332は構造光の生成(例えば、光変調サブシステム330を介して)に使用することができ、第2の光源334は非構造光の提供に使用することができる。第1の光源332は、光学作動エレクトロキネシス及び/又は蛍光励起の構造光を生成することができ、第2の光源334は明視野照明の提供に使用することができる。これらの実施形態では、原動モジュール164を使用して、第1の光源332を制御することができ、撮像モジュール164を使用して、第2の光源334を制御することができる。顕微鏡350の光学列は、(1)構造光を光変調サブシステム330から受信し、デバイスがネスト300により保持されているとき、構造光を光学作動エレクトロキネシスデバイス等のマイクロ流体デバイス内の少なくとも第1の領域に集束させ、(2)マイクロ流体デバイスから反射光及び/又は放射光を受け取り、そのような反射光及び/又は放射光の少なくとも一部を検出器348に集束させるように構成することができる。光学列は、非構造光を第2の光源から受け取り、デバイスがネスト300により保持されているとき、非構造光をマイクロ流体デバイスの少なくとも第2の領域に集束させるように更に構成することができる。特定の実施形態では、マイクロ流体デバイスの第1及び第2の領域は、重複する領域であることができる。例えば、第1の領域は第2の領域のサブセットであることができる。他の実施形態では、第2の光源334は追加又は代替として、レーザを含み得、レーザは、任意の適する波長の光を有し得る。図3Bに示される光学システムの表現は、概略表現にすぎず、光学システムは、追加のフィルタ、ノッチフィルタ、レンズ等を含み得る。第2の光源334が、明視野及び/又は蛍光励起用の1つ又は複数の光源及びレーザ照明を含む場合、光源の物理的配置は図3Bに示される配置から異なり得、レーザ照明は、光学システムの任意の適する物理的位置に導入し得る。光源432及び光源402/光変調サブシステム404の概略位置も同様に交換することが可能である。
図3Bでは、第1の光源332は、光を光変調サブシステム330に供給して示されており、光変調サブシステム330は、構造光をシステム355(図示せず)の顕微鏡350の光学列に提供する。第2の光源334は、ビームスプリッタ336を介して非構造光を光学列に提供して示されている。光変調サブシステム330からの構造光及び第2の光源334からの非構造光は、ビームスプリッタ336から光学列を通って移動し、第2のビームスプリッタ(又は光変調サブシステム330により提供される光に応じてダイクロイックフィルタ338)に一緒に到達し、第2のビームスプリッタにおいて、光は対物レンズ336を通して試料平面342に向けて下に反射される。次に、試料平面342から反射及び/又は放射された光は、再び対物レンズ340を通り、ビームスプリッタ及び/又はダイクロイックフィルタ338を通り、ダイクロイックフィルタ346に到達する。ダイクロイックフィルタ346に到達した光の一部のみが透過され、検出器348に到達する。
幾つかの実施形態では、第2の光源334は青色光を発する。適切なダイクロイックフィルタ346を用いて、試料平面342から反射された青色光は、ダイクロイックフィルタ346を透過し、検出器348に到達することが可能である。逆に、光変調サブシステム330から来る構造光は、試料平面342から反射されるが、ダイクロイックフィルタ346を透過しない。この例では、ダイクロイックフィルタ346は、495nmよりも長い波長を有する可視光をフィルタリングして除去する。光変調サブシステム330からの光のそのようなフィルタリングは、光変調サブシステムから発せられた光が495nmよりも短いいかなる波長も含まない場合のみ、完了する(示されるように)。実際には、光変調サブシステム330から来る光が495nmよりも短い波長(例えば、青色波長)を含む場合、光変調サブシステムからの光のいくらかは、フィルタ346を透過して検出器348に到達する。そのような実施形態では、フィルタ346は、第1の光源332から検出器348に到達する光の量と第2の光源334から検出器348に到達する光の量のバランスを変更するように機能する。これは、第1の光源332が第2の光源334よりもかなり強い場合、有益であることができる。他の実施形態では、第2の光源334は赤色光を発することができ、ダイクロイックフィルタ346は、赤色光以外の可視光(例えば、650nmよりも短い波長を有する可視光)をフィルタリングして除去することができる。
光学駆動対流及び微小物体変位を使用して1つ又は複数の微小物体を除去するデバイス及び方法
生体細胞又は胚等の微小物体は、限定ではなく、重力、機械ポンプにより誘導される流体フロー、エレクトロウェッティング及び/又は誘電泳動(DEP)を含む幾つかの力により、マイクロ流体デバイス内等の局所環境内で移動し得る。ある場所(例えば、微小物体がマイクロ流体デバイス内で培養された可能性がある特定の場所)から別の場所(例えば、同じマイクロ流体デバイスの別のエリア又はマルチウェルプレート等の別個のデバイス)に微小物体をより効率的に移動させるために、様々な力ベクトルを適用して、細胞の位置替えを達成し得る。誘電泳動(DEP)、流体変位等は、細胞を所望のように移動させるのに十分であり得るが、異なる尺度(例えば、より強力な力又はより局所的な力)、異なる方法(対流力、剪断流力、キャビテーション又は気泡のメニスカスとの接触等の衝撃力、又はそれらの任意の組合せ)、及び/又は異なる時間尺度(例えば、数ミリ秒から数分の持続時間)で適用される力を利用して、現在の位置からの及び/又は選択された位置への細胞の移動を支援することもできる。非限定的な一例では、生体細胞がある時間期間にわたりマイクロ流体デバイス内で培養された動かすために、DEP以外の力の適用が有用であり得る。細胞は、DEP力又は重力が、付着位置から細胞を動かすには十分ではないように、マイクロ流体デバイスの表面に付着していることがある。したがって、他の特性を有する力が、DEP力が十分ではないか、又は重力若しくは機械的にポンピングされた流体フローが、選択された細胞を選択的及び/又は十分に除去することができない1つ又は複数の生体細胞を除去することにおいて有用であり得る。
驚くべきことに、マイクロ流体デバイス上又は内の選択された離散領域の光学照明が、マイクロ流体デバイスのマイクロ流体回路内の流体媒体の一部を加熱して、変位した微小物体の少なくとも一部がなお生存可能であることをなお提供しながら、微小物体(限定ではなく、生体細胞を含む)を除去し、及び/又はマイクロ流体デバイス内で流体媒体(生体細胞を含む微小物体を含み得る)を混合することが可能な、尺度、物理的タイプ、及び/又は時間尺度が異なる様々な変位力を提供可能なことが分かった。そのような変位力の生成は、選択された同じ離散領域又はそれに隣接した領域に2回以上、適用し得、それにより、力を繰り返し適用して、微小物体に向けて十分に非破壊的でありながら、細胞を除去し、及び/又は媒体(微小物体を含み得る)を混合することができる。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスのチャンバ、隔離囲い、又は他のマイクロ流体回路要素であり得るあるエリアから、マイクロ流体デバイス内の別のエリア及び/又は位置に、又は代替的にはマイクロ流体デバイス外の別のデバイス(例えば、マルチウェルプレート)に細胞を位置替えすることは、光学照明パルスをマイクロ流体デバイス内の選択された離散領域に適用することにより達成し得る。光学照明のパルスは、対象となる細胞に又はその近傍内に適用し得る。適用される力ベクトルは、光学照明パルスのエネルギー、持続時間、及び位置の関数である。幾つかの実施形態では、光学照明パルスを使用して、周囲の細胞培地(すなわち、流体媒体)を局所的に加熱し、それにより、局所蒸気圧を増大させ、気泡を生成する蒸気−流体界面を生成することができる。熱誘導気泡生成の周囲流体媒体及び/又は細胞への効果は、持続時間及びマイクロ流体デバイス及び/又は熱標的の構成に応じて様々であり得る。幾つかの種類の効果としては以下を挙げ得る。
キャビテーション
短い光パルスを使用して、熱標的を加熱し、一時的な気泡を生成し得る。気泡は、潰れると、付近に位置し得る細胞を除去し得るキャビテーション力を生成する。幾つかの実施形態では、短い光パルスは1つ又は複数の細胞に向けられ、それらの1つ又は複数の細胞は、そうして形成されたキャビテーション力により除去し得る。
剪断流
他の実施形態では、連続して照明して、付近の細胞に向けられた流体剪断流を生成し、それにより細胞を除去することにより、気泡を成長させ得る。
メニスカス接触
代替的には、熱標的の部分において流体媒体を加熱することにより生成された気泡を細胞に向け得る。気泡が移動するにつれて、気泡のメニスカスは細胞に接触し、表面から細胞を除去し得る。
他の実施形態では、流体媒体内で安定化し持続することが熱力学的に好ましくなるまで、気泡を成長させることができる。次に、気泡は、周囲の液相を変位させ、それにより、細胞を除去し得る。
対流
理論による限定を意図せずに、熱標的の周囲の流体媒体の加熱を生み出す熱標的の照明は、気泡に核を持たせ、気泡を伝搬させ得る。熱勾配を有する持続的な気泡の存在は、熱細管対流(ギブス−マランゴニ効果)を生み出し得る。ギブス−マランゴニ効果とは、表面張力勾配に沿った液体の流れを指す。液体は、表面張力の低いエリアから表面張力の高いエリアに流れ得る。表面張力は高温ほど低くなるため、気泡表面上の温度勾配により、気泡周囲の液体は勾配の方向に(すなわち、高温のエリアから低温のエリアに)流れることができ、対流を形成し得る。説明を簡潔にするために、気泡表面上の温度勾配により生じる流れを本明細書では「マランゴニ効果フロー」と呼ぶ。表面の高温エリアと低温エリアとの温度差が大きいほど、マランゴニ効果フローの速度は大きくなる。光学電力を変更することにより、フローを変調し得る。そのような対流を使用して、細胞を移動させ、又は流体媒体を混合し得る。幾つかの実施形態では、光学照明により誘導される加熱により生み出される循環フローを使用して、隔離囲いの分離領域内で細胞を除去し得る。他の実施形態では、循環フローは、循環フローがなければ流体フローがないマイクロ流体デバイスの局所領域に誘導し得、これを使用して、局所領域において媒体を混合し得る。
細胞を除去した後、限定ではなく、流体変位、DEP、重力等を含む任意の他の適する細胞移動方法を使用することにより、細胞の更なる位置替えを達成し得る。
光学照明
光学照明は、コヒーレント光源(例えば、レーザ)又は非コヒーレント光源であることができる。コヒーレント光源は、可視光スペクトルの波長(例えば、662nm等の赤色波長)を特徴とするレーザであってもよく、スペクトルの赤外線部分の波長(例えば、785nm等の近赤外線波長)を特徴とするレーザであってもよく、又は任意の他の適する波長を有するレーザであってもよい。非コヒーレント光源は、可視範囲の波長を有する光を含んでもよく、及び/又は紫外線(UV)又は赤外線範囲の波長を有する光を含んでもよい。光源は、構造光又は非構造光を提供し得る。光源を用いての照明により誘導される温度勾配は、光源の強度を増減することにより変調し得る。構造光源は、構造光源の特性を制御するように、幾つかの方法で変調し得る(例えば、DMDを使用して、光源を空間的に変調するか、又はアパーチャ及び対物レンズを使用して、図3Bに関して上述したように光源を変調する。
理論により拘束せずに、入射光学照明は、エンクロージャマイクロ流体デバイスの透明、略透明、及び/又は半透明のカバー又はベースを透過し得る。エンクロージャのカバー又はベースを透過した後、入射照明は、後述するように、光学照明を熱エネルギーに変換するように構成される熱標的まで伝達することができる。
電力
非コヒーレント光は、約1ミリワット(mW)〜約1000ミリワット(mW)の範囲で投射し得るが、この範囲に限定されない。幾つかの実施形態では、構造化又は非構造化の非コヒーレント光の電力は、約1ミリワット〜約500ミリワット、約1ミリワット〜約100ミリワット、約1ミリワット〜約50ミリワット、約1ミリワット〜約20ミリワット、約10ミリワット〜約500ミリワット、約10ミリワット〜約200ミリワット、約10ミリワット〜約100ミリワット、約50ミリワット〜約800ミリワット、約50ミリワット〜約500ミリワット、約50ミリワット〜約200ミリワット、約75ミリワット〜約700ミリワット、約75ミリワット〜約400ミリワット、約75ミリワット〜約175ミリワット、又はそれらの間の任意の値の範囲であり得る。光が集束される面積及び照明の持続時間に応じて、非コヒーレント光の電力は、上述した電力レベルの任意のレベルよりも大きい又は小さいレベルであり得る。コヒーレント光は、約1ミリワット〜約1000ミリワットの範囲で投射し得るが、この範囲に限定されない。光が集束される面積及び照明の持続時間に応じて、コヒーレント光の電力は、上述した電力レベルの任意のレベルよりも大きい又は小さいレベルであり得る。幾つかの実施形態では、コヒーレント光の電力は、1ミリワット〜約500ミリワット、約1ミリワット〜約100ミリワット、約1ミリワット〜約50ミリワット、約1ミリワット〜約20ミリワット、約10ミリワット〜約500ミリワット、約10ミリワット〜約200ミリワット、約10ミリワット〜約100ミリワット、約50ミリワット〜約800ミリワット、約50ミリワット〜約500ミリワット、約50ミリワット〜約200ミリワット、約75ミリワット〜約700ミリワット、約75ミリワット〜約400ミリワット、約75ミリワット〜約175ミリワットの範囲、又はそれらの間の任意の値であり得る。
入射光の電力は、所望の除去力のタイプに基づいて異なるように選び得る。例えば、マランゴニ効果フローを組み込み得る循環フローが望ましい場合、入射光の電力は、1ミリワットという低い値であるように選択し得、循環フローが確立され、及び/又は維持されるとき、様々に変調し得る。キャビテーション力、剪断流力、又は気泡接触力の使用により微小物体を除去する場合、電力は、より高い範囲、例えば、約10ミリワット〜約100ミリワットであるように選択し得る。電力はまた、所望の照明の持続時間に基づいて調整することもできる。
照明場所
照明場所は、有用であり得るように、マイクロ流体デバイスの選択された任意の離散領域であるように選択し得る。幾つかの実施形態では、照明の選択された離散領域は、マイクロ流体デバイスの隔離囲い内の位置であり得る。様々な実施形態では、照明の選択された離散領域は、隔離囲いの分離領域内に位置し、隔離囲いは、限定ではなく、124、126、128、130、224、226、228、266、502、504、506、604、606、608、704、732、734、736、738、802、804、806、902、1002、1102、1202、1402、1502を含め、本明細書に記載される任意の隔離囲いのように構成し得る。様々な実施形態では、照明の選択された離散領域は、より完全に後述するように、隔離囲いの変位力生成領域内にあり得る。他の実施形態では、照明の離散領域は循環培養囲い内にあり得る。照明が循環培養囲い内で実行される場合、変位力生成領域、接続領域、細胞培養領域内の選択された離散領域又は循環培養囲いの開口部において、照明をマイクロ流体チャネルに向け得る。更に他の実施形態では、照明の選択された離散領域は、より完全に後述するように、マイクロ流体チャネル内に位置し得る。
マイクロ流体デバイス
本開示は、光学駆動対流生成及び/又は内部の微小物体の変位が可能であるように構成されるマイクロ流体デバイスを提供する。本開示の一態様では、エンクロージャを有するマイクロ流体デバイスが提供され、エンクロージャはフロー領域及び隔離囲いを含み、隔離囲いは、接続領域及び分離領域を含み得、接続領域は、フロー領域への基端開口部及び分離領域への先端開口部を含む。隔離囲いは、分離領域に熱標的を含み得る。様々な実施形態では、隔離囲いは変位力生成領域を更に含み、分離領域は、変位力生成領域への少なくとも1つの流体接続を含み、変位力生成領域は熱標的を更に含む。様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスは、少なくとも1つの隔離囲いを有し得、隔離囲いは、隔離囲い124、126、128、130、224、226、228、266、502、504、506、604、606、608、704、732、734、736、738、802、804、806、902、1002、1102、1202、1402、1502のいずれかとして構成し得る。様々な実施形態では、熱標的又は変位力生成領域は、1つの主方向において、そこに形成される気泡の拡大を制限するように構成し得る。
様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスのエンクロージャは、隔離囲いを部分的に画定するカバーを更に含み得、熱標的はカバーに配置し得る。幾つかの実施形態では、熱標的は、エンクロージャに面するカバーの内面に配置し得る。他の実施形態では、マイクロ流体デバイスのエンクロージャは、隔離囲いを部分的に画定するマイクロ流体回路構造を更に含み得、熱標的はマイクロ流体回路構造に配置し得る。更に他の実施形態では、マイクロ流体デバイスのエンクロージャは、隔離囲いを部分的に画定するベースを更に含み得、熱標的はベースの内面に配置し得る。
本開示の別の態様では、エンクロージャを有するマイクロ流体デバイスが提供され、エンクロージャは、流体媒体を含むように構成されたマイクロ流体回路であって、流体媒体の少なくとも1つの循環フローに対応するように構成される、マイクロ流体回路と、マイクロ流体回路内のエンクロージャの表面に配置される第1の熱標的であって、光学的に照明されると、流体媒体の第1の循環フローを生成するように構成される、第1の熱標的とを含む。
循環フローに対応するように構成されるマイクロ流体回路を含むマイクロ流体デバイスの様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスのエンクロージャは、マイクロ流体チャネル及び隔離囲いを更に含み得、さらに、隔離囲いはマイクロ流体チャネルに隣接して、マイクロ流体チャネルに向かって開き得る。様々な実施形態では、隔離囲いは、隔離囲い124、126、128、130、224、226、228、266、502、504、506、604、606、608、704、732、734、736、738、802、804、806、902、1002、1102、1202、1402、1502のいずれかとして構成し得る。他の実施形態では、循環フローに対応するように構成されるマイクロ流体回路を含むマイクロ流体デバイス、マイクロ流体デバイスのエンクロージャは、マイクロ流体チャネル及び循環培養囲いを更に含み得る。循環培養囲いは、循環培養囲い602、802、1302のいずれかとして構成し得る。循環培養囲いは、マイクロ流体チャネルにおいて開き得、循環培養囲いについて本明細書に記載されるような任意の他の特徴又は寸法を更に有し得る。
循環フローに対応するように構成されるマイクロ流体回路を含むマイクロ流体デバイスの様々な実施形態では、循環流路は、チャネルの一部及び隔離囲いの少なくとも一部を含み得る。他の実施形態では、循環流路は隔離囲い内に配置し得る。幾つかの実施形態では、循環流路は狭窄部を含み得る。
循環フローに対応するように構成されるマイクロ流体回路を含むマイクロ流体デバイスの様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスは、光学的に照明されると、流体媒体の第2の循環フローを生成するように構成される第2の熱標的を含み得る。第2の熱標的は、エンクロージャの表面上に第1の熱標的に隣接して配置し得る。第2の熱標的は、第1の熱標的と同じマイクロ流体回路内に配置し得る。様々な実施形態では、第1の熱標的及び第2の熱標的は、逆方向で流体媒体の第1の循環フロー及び第2の循環フローを提供するように向けられ得る。
循環フローに対応するように構成されるマイクロ流体回路を含むマイクロ流体デバイスの様々な実施形態では、熱標的はマイクロ流体チャネル内の表面に配置される。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスのエンクロージャは、2つ以上のマイクロ流体チャネルを更に含み得、第1のマイクロ流体チャネルは、第2のマイクロ流体チャネルに沿って第1の位置において第2のマイクロ流体チャネルから開くように構成し得、第2の位置において第2のマイクロ流体チャネルに再接続し、それにより、マイクロ流体回路を形成するように更に構成し得、熱標的は、第1のマイクロ流体チャネル内の表面に配置し得る。様々な実施形態では、少なくとも1つの隔離囲いは、第1のマイクロ流体チャネルにおいて開き得る。様々な実施形態では、少なくとも1つの隔離囲いは、隔離囲い124、126、128、130、224、226、228、266、502、504、506、604、606、608、704、732、734、736、738、802、804、806、902、1002、1102、1202、1402、1502のいずれかとして構成し得る。幾つかの実施形態では、第1のチャネルの流体抵抗は、第2のチャネルの流体抵抗の約10倍〜約100倍であり得る。第2のマイクロ流体チャネルは、第1のマイクロ流体チャネルの幅の約1.5倍〜約3倍大きな幅を有し得る。幾つかの実施形態では、第2のマイクロ流体チャネルの幅は、約100μm〜約1000μmである。様々な実施形態では、第1のマイクロ流体チャネルの幅は約20μm〜約300μmであり得る。
更に別の態様では、エンクロージャを有するマイクロ流体デバイスが提供され、エンクロージャは、マイクロ流体チャネル及び隔離囲いを含み、さらに、隔離囲いは、マイクロ流体チャネルに隣接し、マイクロ流体チャネルにおいて開き、熱標的が、隔離囲いへの開口部に隣接するチャネルに配置され、熱標的は、光学的に照明されると、流体媒体のフローを隔離囲いに向けるように更に構成される。様々な実施形態では、少なくとも1つの隔離囲いは、隔離囲い124、126、128、130、224、226、228、266、502、504、506、604、606、608、704、732、734、736、738、802、804、806、902、1002、1102、1202、1402、1502のいずれかとして構成し得る。幾つかの実施形態では、チャネル内に隔離囲い及び熱標的を有するマイクロ流体デバイスが、隔離囲い502、504、506、602、604、606、608、704、732、734、736、738、902として構成された隔離囲いを有する場合、隔離囲いは、隔離囲い自体内に熱標的を有さなくてもよい。幾つかの実施形態では、熱標的は、マイクロ流体チャネル内の表面に配置し得る。
任意のマイクロ流体デバイスでは、エンクロージャは誘電泳動構成を更に含み得る。幾つかの実施形態では、誘電泳動構成は光学的に作動し得る。
任意のマイクロ流体デバイスでは、エンクロージャの少なくとも1つの表面は被覆面を含み得る。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの隔離囲いは、被覆面である少なくとも1つの表面を含み得る。幾つかの実施形態では、被覆面は共有結合的に修飾された表面であり得る。
熱標的
熱標的とは、この目的で設計された別個の特徴であり得るマイクロ流体デバイスのマイクロ流体特徴である。代替的には、熱標的は、光学照明が適用されるマイクロ流体回路内の位置であり得る。熱標的は、受動的なマイクロ流体特徴であり、いかなる自己活性化抵抗又は電気加熱器も含まない。熱標的の受動的な性質は、マイクロ流体デバイスの製作を簡易化する。金属又は微小構造を含む熱標的の場合、後述するように、製作の複雑さは、抵抗等の能動的な熱標的よりもはるかに低い。本開示の受動的な熱標的と異なり、抵抗等の能動的な熱標的は、固定された電気接続を有さなければならず、固定位置に作られる。熱標的がマイクロ流体回路材料又はベースの選択された位置である場合、追加の構造特徴なしで、必要な場所に特に選択的に力を生成する柔軟性が、固定される能動的な熱標的と比較して特に有利である。
図4A〜図4Eは、本開示の幾つかの実施形態による様々な熱標的の幾何学的形状を示す。当業者には理解できるように、図4A〜図4Eに示される熱標的の任意の特性を組み合わせて、様々な所望の機能を有する熱標的を生成することができる。
図4Aは、正方形の熱標的430を示す。図4Aの熱標的430の鈍い角及び均一な辺は、略均一の気泡を核形成するに当たり有利であり得る。同様に、図4Bに示される円形熱標的432も、均一な局所熱源を生成して、略均一の気泡を核形成するように構成された形状を提供する。
逆に、図4C、図4D、図4E、及び図4Gに示される熱標的は非対称形状を有し、非対称形状は、温度勾配を有する気泡の生成に有利であり得る。理論による限定を意図せずに、温度勾配を有する気泡は、上述したように、ギブス−マランゴニ効果(熱細管対流としても知られる)を生み出し得る。図4Cに示される非対称熱標的434は、マランゴニ効果フローの生成に使用することができる温度勾配を有する気泡の生成に使用される涙滴様形状を特徴とする。涙滴様形状の広い部分434aは、涙滴様形状の先細り部分434bよりも大きな表面積を有するため、光学照明により加熱されると、より高い温度を生成する。したがって、図4Cの非対称熱標的434を使用して生成される気泡は、熱標的の広い部分434aにわたり位置する気泡のエリアは、熱標的の先細り部分434bにわたり位置する気泡のエリアよりも高い温度を有する温度勾配を有することができる。
温度勾配は、熱標的の物理的に隔てられた、異なるサイズの部分により変調することもできる。図4Dは、物理的に隔てられるが、同じ構造光源を使用して加熱することができるように近くに配置される、サイズの異なる2つの部分438、440で構成された熱標的436を示す。熱標的436の2つの部分438、440の物理的な隔たりは、より高速のマランゴニ効果フローの生成に使用することができるより大きな温度差を生み出し、したがって、力を増大させる。図4Eは、3つの部分444、446、448に更に分けられた熱標的442を示す。
図4A〜図4Gに示される熱標的430、432、434、436、442、450、452は、連続金属形状又は非連続金属形状をマイクロ流体回路構造108又はカバー110の一表面に堆積させることにより作製することができる。幾つかの実施形態では、熱標的はカバー110の内面に堆積させ得る。熱標的は、流体媒体に接触し得るエンクロージャ102の内部(チャンバ/領域202)に面する。熱標的430、432、434、436、442、450、452は、光源により励起して、熱を生成することができる任意のタイプの金属を含むことができる。適する金属は、クロム、金、銀、アルミニウム、インジウム錫酸化物、又はそれらの任意の組合せを含む。他の金属(及び合金)も当分野で既知である。熱標的440は、連続した金属表面を有することができ、又は非連続形状の金属(例えば、ドット等の金属形状)で構成することができる。様々なパターンを使用して、均一な気泡の加熱及び生成を最適化することができる。
図4Fは、非連続金属形状を含む熱標的450を示す。図4Fに示される実施形態では、形状はドットである。しかし、任意のタイプの金属形状が使用可能である(例えば、正方形、線、円錐形、くねった線)。加えて、様々な異なる金属形状を同じ熱標的で使用することができる。
幾つかの実施形態では、非連続金属形状は、熱標的450の温度勾配を強化するために、ますます増大する濃度で分布し得る。図4Gは、金属形状の勾配がある状態でパターン化された熱標的452を示す。熱標的452の広い部分452aにおける金属ドットの分布密度を上げ、熱標的452の狭い部分452bにおける金属ドットの分布密度を下げることにより、熱標的452の温度勾配を強化し得る。
幾つかの実施形態では、熱標的に連続金属形状又は非連続金属形状として堆積する金属の厚さは、熱標的の温度勾配を強化するように変更し得る。例えば、より厚い金属堆積を使用して、熱標的のより大きな(又はより広い)部分により高い熱を生成し得、それにより、温度勾配を強化し得る。幾つかの実施形態では、熱標的に堆積する金属の厚さは、約3nm〜約50nm、約3nm〜約30nm、約5nm〜約50nm、約5nm〜約30nm、約5nm〜約25nmの範囲、又はそれらの間の任意の値であり得る。
微小構造
上述したように、幾つかの実施形態では、エンクロージャ102のマイクロ流体回路構造108又はカバー110は、光学的に照明されると生成される熱からの気泡有核化及び/又は形成を促進し、熱標的として機能し得る表面トポグラフィを作製するように導入された1つ又は複数の微小構造を有し得る。微小構造は非連続形成であり得る微小構造は、負の特徴(例えば、ベースの表面又は壁の表面に作られた陥没又は窪みであり得る。当分野で既知のように、ピラー、ドット、キャビティ、又は窪み等の微小構造をマイクロ流体回路構造108又はカバー110にパターン化して、気泡核形成に適する場所を作製し得る。図4Hは、気泡核形成に使用し得る窪みを含む熱標的454の様式化された図である。幾つかの実施形態では、表面トポグラフィは様々な方法で金属パターンと組み合わせて、続けて変位力を生成する吸熱に理想的な表面を作製し得る。微小構造は、上から見たとき、x軸及びy軸方向において、約50平方μm、100平方μm、約200平方μm、約300平方μm、約500平方μmの範囲、又はそれらの間の任意の値を超える面積を有し得る。微小構造は、1つのみのユニットを含んでもよく、又は一緒になって上述した総面積を有する複数の微小構造であってもよい。負の微小構造は、ベースに配置し得、又は壁の一部であり得るパターン化可能マイクロ流体回路材料上に光源(例えば、レーザ又は非コヒーレント光)を集束させることにより形成し得、集束光は、パターン化可能マイクロ流体回路材料をパターン化し、陥没又は窪みを形成し得る。
代替的には、微小構造は、正の特徴、例えば、ベースの表面から上に上がるか、又はエンクロージャ、フロー領域、若しくは隔離囲いの壁から延出し得る(非限定的な例として、ピラー又はドット(図示せず)が挙げられる)。微小構造は、エンクロージャ内で任意の都合のよい製作高さを有し得る。微小構造は、それでもなお微小構造にわたり生体細胞等の微小物体を通過させる高さを有し得る。微小構造の高さは、約5μm、約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、又はそれらの間の任意の値であり得る。複数の微小構造のそれぞれは、同じ高さを有する必要がなく、互いと異なる高さを有し得る。正の微小構造は、マイクロ流体回路構造の形成に使用されたものと同じ材料、例えば、PDMS又は任意のフォトパターン化可能なシリコーンから形成し得、壁、隔離囲い、又はチャネル等のマイクロ流体回路の他の要素の作製に使用されるものと同じプロセス中、形成し得る。
幾つかの他の実施形態では、正の微小構造は、光開始ポリマー等のヒドロゲルから形成し得る。光開始ポリマーは、合成ポリマー、修飾合成ポリマー、又は光活性化可能な生体ポリマーであり得る。幾つかの実施形態では、生体ポリマーは、光活性化可能な能力を提供する部分を組み込むように修飾し得る。
幾つかの実施形態では、光開始ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリアクリルアミド(PAM)、修飾ポリアクリルアミド、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド(PNIPAm)、修飾ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合せのコポリマーの少なくとも1つを含み得る。他の実施形態では、ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合せのコポリマーの少なくとも1つを含み得る。更に他の実施形態では、ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、又は任意の組合せのコポリマーの少なくとも1つを含み得る。幾つかの実施形態では、光開始ポリマーはシリコーンポリマーを含まない。幾つかの実施形態では、光開始ポリマーは、ポリ乳酸(PLA)又は修飾ポリ乳酸ポリマーを含まなくてよい。他の実施形態では、光開始ポリマーは、ポリグリコール酸(PGA)又は修飾ポリグリコール酸ポリマーを含まなくてよい。幾つかの実施形態では、光開始ポリマーは、ポリアクリルアミド又は修飾ポリアクリルアミドポリマーを含まなくてよい。更に他の実施形態では、光開始ポリマーは、ポリビニルアルコール(PVA)又は修飾ポリビニルアルコールポリマーを含まなくてもよい。幾つかの実施形態では、光開始ポリマーは、ポリアクリル酸(PAA)又は修飾ポリアクリル酸ポリマーを含まなくてもよい。幾つかの他の実施形態では、光開始ポリマーは、ポリカプロラクトン(PCL)又は修飾ポリカプロラクトンポリマーを含まなくてもよい。他の実施形態では、光開始ポリマーは、フィブロネクチン又は修飾フィブロネクチンポリマーから形成しなくてよい。幾つかの他の実施形態では、光開始ポリマーは、コラーゲン又は修飾コラーゲンポリマーから形成しなくてよい。幾つかの他の実施形態では、光開始ポリマーは、ラミニン又は修飾ラミニンポリマーから形成しなくてよい。
固化ポリマー網目構造で使用するポリマーの安定性を決める物理的特性及び化学的特性としては、分子量、疎水性、可溶性、拡散速度、粘度(例えば、媒体の)、励起、及び/又は放射範囲(例えば、内部で不動化された蛍光試薬の)、既知の背景蛍光、重合化に影響する特性、及び固化ポリマー網目構造の孔のサイズを挙げ得る。光開始ポリマーは、流動性ポリマー(例えば、プレポリマー溶液)が重合化されることで形成し得る。手短に言えば、流動性ポリマー溶液は、本明細書に記載される方法で使用される前、マイクロ流体デバイスに流入し、in situで固化し得る。光開始ポリマーから導出される微小構造を設置する方法については、2016年12月7日に出願された米国特許出願第15/372094号により完全に記載されている。
使用し得る多くのポリマーの中でも特に、1つのタイプのポリマーは、ポリエチレングリコールジアクリラート(PEGDA)である。光開始重合化は、非常に効率的であり、無黄変ラジカルであり、αヒドロキシケトン光開始剤である遊離基開始剤Igracure(登録商標)2959(BASF)の存在下で開始し得るは通常、UV領域(例えば、365nm)の波長での開始に使用されるが、他の開始剤を使用することも可能である。重合化反応に有用な別の光開始剤クラスの例は、リチウムアシルホスフィン酸塩(lithium acyl phosphinate salt)のグループであり、そのリチウムフェニル2,4,6,−トリメチル
ベンゾイルホスフィン酸塩は、αヒドロキシケトンクラスよりも長い波長(例えば、405nm)でのより効率的な吸収に起因して、特定の有用性を有する。
光重合化し得る他のタイプのPEGとしては、PEGジメチルアクリラート及び/又はマルチアームPEG(n−PEG)アクリラート(n−PEG−Acr)が挙げられる。使用し得る他のポリマークラスとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリグリコール酸(PGA)、又はポリカプロラクトン(PCL)が挙げられる。
ポリマーの分子量範囲は、微小構造の性能の必要性に応じて様々であり得る。ポリマーの構造に応じて、広範囲の分子量の流動性ポリマーが適し得る。有用な星型ポリマーは、約500Da〜約20kDa(例えば、4アームポリマー)の範囲のMw(重量平均分子量)、又は各アーム若しくは線状ポリマーに最高で約5kDa、又はそれらの間の任意の値を有し得る。幾つかの実施形態では、高い分子量範囲を有するポリマーほど、低い濃度で流動性ポリマーにおいて使用し得、それでもなお、本明細書に記載される方法で使用し得る微小構造を提供し得る。
限定ではなく、上記列挙したポリマー又はフィブロネクチン、コラーゲン、若しくはラミニン等の生体ポリマーを含め、様々なコポリマークラスが使用可能である。デキストラン又は修飾コラーゲン等のポリサッカリドが使用可能である。
幾つかの実施形態では、微小構造は、本明細書に記載される方法で使用される犠牲特徴の一部であり得、又は一部を形成し得、光学照明を吸収し、微小物体の移動に使用することができる熱的効果を生成した結果として変形又は劣化し得る。
代替的には、熱標的は、マイクロ流体回路構造108又はカバー110に構造光を投射して、熱標的450と同じ幾何学的形状を有する光パターンを作製することにより、in
situで作製し得る。この手法は、いかなる特別な金属堆積又はマイクロ流体回路材料パターン化も必要としない。図4Iは、マイクロ流体回路構造108又はカバー110に円形パターンの光を投射することにより作製される熱標的456の様式化された図を提供する。特定の幾何学的形状を有する光のパターンを投射すること、様々な幾何学的形状、表面トポグラフィ、金属パターン、及びそれらの組合せを含む熱標的と併せて使用することもできる。
更に他の実施形態では、光学照明は、隔離囲いの壁のマイクロ流体回路材料の部分、マイクロ流体デバイスのエンクロージャに面するベースの内面、又はマイクロ流体チャネル壁上の選択されたポイントに集束し、熱標的の上述した特別な特徴のいずれも含まない。しかし、隔離囲い若しくは壁のマイクロ流体回路材料のこれらの選択された離散領域又はベースの内面は、熱標的として利用することもでき、犠牲特徴として機能し得る。
サイズ
熱標的は、約1mm、約0.9mm、約0.7mm、約0.5mm、約0.3mm、約100μm、約80μm、約60μm、約40μm、約20μm、約10μm、約5μm、又はそれらの間の任意の値の第1の寸法(例えば、マイクロ流体エンクロージャの幅又はx軸寸法)を有し得る。選択された離散領域を照明するステップは、約1mm、約0.9mm、約0.7mm、約0.5mm、約0.3mm、約100μm、約80μm、約60μm、約40μm、約20μm、約10μm、約5μm、又はそれらの間の任意の値の第2の寸法(例えば、マイクロ流体エンクロージャ内のy軸寸法)を有する領域を照明することを更に含み得る。x軸寸法又はy軸寸法は、上記寸法の任意の組合せであり得る。幾つかの実施形態では、熱標的は、約100μmのx軸寸法及び約100μmのy軸寸法を有し得る。他の非限定的な実施形態では、熱標的は、約5μmのx軸寸法及び約5μmのy軸寸法を有し得る。
光学駆動対流及び変位の隔離囲い及び循環培養囲いの幾つかの実施形態
上述したように、微小物体の光学駆動対流及び/又は変位に有用な隔離囲いは、隔離囲いの分離領域に流体的に接続される変位力生成領域を有し得、変位力生成領域内に微小物体を配置し、任意選択的に維持し得る。変位力生成領域は、接続領域への分離領域の開口部とは逆の分離領域の先端部分に接続し得る。代替的には、変位力生成領域は、接続領域への分離領域の開口部において又はそれに隣接して、分離領域に接続し得る。幾つかの実施形態では、変位力生成領域は、分離領域への2つ以上の流体接続を有し得る(図7A〜図7F参照)。幾つかの実施形態では、隔離囲いは循環流路を含み得る。循環流路は、分離領域及び変位力生成領域を含み得る(図6A〜図6C参照)。幾つかの実施形態では、循環流路は狭窄部を含み得る(図6A参照)。
幾つかの他の実施形態では、変位力生成領域は、接続領域への分離領域の開口部を妨げる、分離領域への1つ又は複数の流体接続を含み得る。幾つかの実施形態では、分離領域と変位力生成領域との間の少なくとも1つの流体接続は、微小物体が分離領域から変位力生成領域に通過しないように構成される断面寸法を含み得る。微小物体の変位力生成領域への生じ得る進入を阻止することにより、熱又は衝撃からのダメージを低減し得、隔離囲いの分離領域内の微小物体の維持を更に支援し得る。幾つかの実施形態では、分離領域と変位力生成領域との間の少なくとも1つの流体接続は、1つ又は複数のバリアモジュールを含み(図7A〜図7F、726、726a、726b、726c、726d、又は726e参照)、1つ又は複数のバリアモジュールは、微小物体が分離領域から変位力生成領域に通過するのを阻止するように構成される。バリアモジュールは任意のサイズ又は形状のものであり得、バリアモジュールとその隣のバリアモジュールとの間のギャップ(図7A〜図7F、728、728a、728b、728c、728d、728e参照)又はバリアモジュールと隔離囲いの壁との間のギャップは、生体細胞等の微小物体が分離領域から変位力生成領域に通過しないような寸法を有し得る。幾つかの実施形態では、微小ビーズ等の微小物体は、分離領域から変位力生成領域に通過し得るが、生体細胞又は胚等の微小物体は、バリアモジュールにより変位力生成領域中に通過しない。バリアモジュールは、隔離囲いの幅の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、約80%、又はそれらの間の任意の値である隔離囲いにわたる寸法を有し得る。バリアモジュールとその隣のバリアモジュールとの間のギャップ又はバリアモジュールと壁との間のギャップは、分離領域内に配置される微小物体のサイズに応じて、約5μm、約7μm、約9μm、約11μm、約13μm、約15μm、約17μm、約20μm、約25μm、又は40約μmであり得る。
様々な実施形態では、分離領域と変位力生成領域との間の少なくとも1つの流体接続は、拡散によるものを除き、内部に生成された力がない状態で、変位力生成領域からの流体フローを阻止するように構成された断面寸法を有し得る。(図9A〜図9C参照)。変位力生成領域の寸法は、分離領域の寸法に一致し得る。変位力生成領域は、隔離囲いの別個の区画であり得る。様々な実施形態では、変位力生成領域は、二次フローを最小化するように構成し得る。
幾つかの実施形態では、隔離囲いは、光学的に照明されると、流体媒体の第2の循環フローを生成するように構成された第2の熱標的を含み得る。第2の熱標的は、変位力生成領域内に配置し得る。第1の熱標的及び第2の熱標的は、逆方向の流体媒体の第1の循環フロー及び第2の循環フローを提供するように向け得る。
様々な実施形態では、変位力生成領域は1つの開口部を含み得、1つの開口部は、分離領域への変位力生成領域の流体接続であり得る。幾つかの実施形態では、変位力生成領域の流体接続は、流体コネクタを含み得る。(図5Aの流体コネクタ514参照)。幾つかの実施形態では、変位力生成領域の流体コネクタは、少なくとも1つの湾曲部を含み得る(図5Aの流体コネクタ514参照)。幾つかの実施形態では、流体コネクタの少なくとも1つの湾曲部は、約60度〜約180度、約60度〜約120度、約60度〜約90度、約40度〜約180度、約40度〜約120度、約40度〜約90度、又はそれらの間の任意の値のターンを含み得る。他の実施形態では、変位力生成領域の流体コネクタは、少なくとも2つの湾曲部を含み得る。幾つかの実施形態では、流体コネクタの少なくとも2つの湾曲部のそれぞれは、約60度〜約180度、約60度〜約120度、約60度〜約90度、約40度〜約180度、約40度〜約120度、約40度〜約90度、又はそれらの間の任意の値のターンを含み得る。ターンが変位力生成領域と分離領域との間の流体コネクタに含まれる場合、隔離囲いは全体として、「U」字、「N」字、又は逆「N」字のような形状に似た形状を有し得る。
様々な実施形態では、流体コネクタの幅は、分離領域及び/又は変位力生成領域の幅と同じであり得る。幾つかの実施形態では、流体コネクタは、微小物体が分離領域から変位力生成領域に通過するのを阻止するように構成された断面寸法をx軸寸法及びy軸寸法において含み得る。様々な実施形態では、z軸方向における流体コネクタの高さは、微小物体が通過することができないように様々であることができる。分離領域から変位力生成領域に。
様々な実施形態では、隔離囲い内の熱標的又は変位力生成領域は、一主方向において、形成された気泡の拡大を制限するように構成し得る。例えば、変位力領域は長尺状であり得、キャビテーション力/気泡成長/剪断流/対流が、分離領域との流体接続に向かう方向に強制されるように、変位領域の先端部分に配置された熱標的を有し得る。これは、気泡の拡大を制限することができる熱標的又は変位力生成領域の構成を限定する記載ではなく、他の構成も可能である。
様々な実施形態では、熱標的は、分離領域への少なくとも1つの流体接続への先端にある変位力生成領域の部分に位置決めし得る。幾つかの実施形態では、変位力生成領域は、マイクロ流体デバイス内の変位力生成領域の向きに応じて、x軸又はy軸寸法において約20μm〜約100μmの幅を有し得る。幾つかの実施形態では、変位力生成領域は、流体媒体の二次フローを最小化するように構成し得、それにより、分離領域内の細胞に向けられる力を最大化する。
循環培養囲いは、隔離囲いについて上述した特徴又は寸法の任意の組合せを有する接続領域及び変位力生成領域を有し得る。循環培養囲いは、隔離囲いの分離領域について説明した任意の寸法又は特徴を有し得るが、能動的に循環しているとき、循環培養囲いが主チャネルを通り培養領域に入る流れを循環させるように構成されるという点で異なる培養領域を含み得る。様々な実施形態では、循環培養囲いの変位力生成領域は、フロー領域への開口部を更に含み得る。循環培養囲いの一実施形態について、図6Aに関してより完全に以下に説明する。
本開示のマイクロ流体デバイスの構成及びその使用については、図5A〜図8Dを参照することにより、より完全に理解し得る。
図5Aは、マイクロ流体デバイス500に流体媒体フロー530を含むように構成されたチャネル522に向かって開く隔離囲い502の例を示す。隔離囲い502は、本開示の幾つかの実施形態により、微小物体504を隔離囲い502から搬出するのに使用される気泡(図示せず)を生成するように構成された熱標的540を含む。隔離囲い502は、細胞等の微小物体504を貯蔵及び/又は培養する分離領域510を含む。分離領域510及び熱標的540は、変位力生成領域512により物理的に隔てられ、変位力生成領域512は、熱標的540に光(図示せず)を集束させることにより、気泡が核形成され、容積を増大させる(本明細書では「気泡の拡大」と呼ぶ)のに十分な空間を可能にする流体コネクタ514も含む。容積の増大により気泡が成長するにつれて、拡大する気泡は、変位力生成領域(512+514)において流体に対する力を生成し、したがって、経路516に沿って流体の剪断流(図示せず)を生成する。多くの実施形態では、熱標的540は、変位力生成領域512(+514)の先端部に位置決めされて、気泡が拡大するにつれて、主方向において力を及ぼすことを保証し得る。幾つかの実施形態では、熱標的又は変位力生成領域のいずれかは、熱エネルギーが連続照明により供給し続けられているとき、気泡が1つのみの主方向において拡大し得るように気泡の拡大を制限するように構成される。分離領域と変位力生成領域(512+514)との間の流体コネクタ514は、拡散による力を除き、内部に生成される力がない状態で、変位力生成領域(512+514)からの流体フローを阻止するように構成された断面寸法を有し得る。
微小物体が生物学的微小物体(例えば、生体細胞)である場合、変位力生成領域(512+514)は、光学的に照明されると熱標的450により生成される熱から生物学的微小物体を物理的に隔てるようにも機能する。幾つかの場合、拡大しつつある気泡は、微小物体504と熱標的540との間に物理的バリアを提供するようにも機能する。後述するように、隔離囲い502の幾何学的形状は、気泡の核形成及び拡大からの力(及びその結果生じる剪断流)を最大にするように最適化し得る。
図5Aに示される隔離囲い502は、文字「N」を逆にしたもの(すなわち、逆「N」字のような形状)に似た形状を有するが、他の実施形態は、隔離囲い502から微小物体504を変位させるのに十分な剪断流を生成することにおいて有益な異なる形状を有し得る。
さらに、簡潔にするために、隔離囲い502は、重力の力により細胞を所定位置に保持するのに使用される特徴又は微小物体504を収集し、微小物体504を隔離囲い502内に位置決めする、隔離囲い502の向かいに位置するトラップ等の他の望ましい機能を提供するために実際に使用し得るいかなる他の特徴も有さずに示されている。しかし、実際には、これらの特徴又は隔離囲いについて本明細書に記載される任意の他の特徴を隔離囲い502と併せて使用することが可能である。同様に、図5Aに示される隔離囲い502は、均一な気泡の生成に使用される正方形の熱標的540を有して示されている。他の実施形態では、他の形状又は材料の対称な熱標的を使用し得る。更に他の実施形態では、熱標的540は存在せず、光学照明は、熱標的540の近傍のマイクロ流体回路材料506に向けられて、不安定又は安定であり得る気泡を核形成し、気泡は、微小物体504を除去するキャビテーション力、剪断流の流体力、又は気泡接触力を生じさせ得る。
図5Bは、気泡520の形成及び図5Aの隔離囲い502から微小物体504を変位させる、成長しつつある気泡520により生成される剪断流542の使用を示す。光源(図示せず)は熱標的540に集束し、熱標的540を励起させ(すなわち、加熱し)、それにより、気泡520aを核生成する。光源を熱標的540上に集束し続けることにより、気泡520aは容積を拡大して、連続してより大きな気泡520b、520c、520d、520eを生成することができる。気泡520のサイズ増大は、隔離囲い502内の流体媒体(図示せず)に対する力を生み出し、そしてこの力は、微小物体504を分離領域510からチャネル522に変位させる剪断流542を生み出す。微小物体504がチャネル522に変位されると、チャネル522内のフロー530を制御することにより、微小物体504を操作若しくは移動させることができ、又はDEPを使用して移動させることができる。
変位力生成領域512は、流体コネクタ514を含み、変位力生成領域の幾何学的形状及び長さを調整することにより剪断流542を強化するように最適化し得る。例えば、熱標的540と分離領域510との間の変位力生成領域の長さ及び幅は、剪断流542を生成するように最適化し得る。熱標的540は、隔離囲い502の先端部分に位置決めして、気泡520が一方向において拡大することを保証し得る。同様に、熱標的540を含む変位力生成領域512+514の先端部分の幅を狭めて、核形成された気泡520が主に一方向で拡大することを保証し得る。変位力生成領域512+514の先端部分の適する幅は、約20μm〜約100μmの範囲であることができる。幾つかの実施形態では、変位力生成領域の流体コネクタ領域514は、変位力生成領域512の先端部分と同じ幅を有し得る。
幾つかの実施形態では、変位力生成領域512+514は、剪断流542を干渉し得る二次フローを最小化するように最適化し得る。後述するように、変位力生成領域512+514は、変位力生成領域514+512の幅が大幅に小さくなる狭窄部を含み得る。実施形態に応じて、狭窄部の幅は、変位力生成領域512+514の幅の1/2〜1/20であり得る。例えば、狭窄部は約5μm〜約50μmの範囲の幅を有し得、変位力生成領域512+514は、約20μm〜約100μmの範囲の幅を有し得る。幾つかの実施形態では、変位力生成領域512+514は、変位力生成領域の流体コネクタ領域514に1つ又は複数(2つ、3つ、4つ、又は5つ)のターンを含む。
図5Bに示される場合では、気泡520は微小物体504に接触せず、微小物体650は、気泡の成長により生成された剪断流542を受けるだけである。しかし、隔離囲い502の使用の他の実施形態では、気泡520のメニスカスを微小物体504に接触させて、微小物体504を分離領域510から変位させ、任意選択的に微小物体504を隔離囲い502から搬出する接触力を提供することが望ましい又は更には有利なことがある。搬出は、気泡の流れにより駆動される能動的搬出であってもよく、又は単に、DEP等の別の力により細胞504を隔離囲い502から搬出し得るように細胞を除去してもよい。幾つかの実施形態では、変位力生成領域512+514の長さは、気泡520のメニスカスを分離領域510内の微小物体504に接触させるために、短くし得る。実施形態に応じて、変位力生成領域512+514は、分離領域510に部分的に重なり得、さらに、任意のターンを含む流体コネクタ514を有さなくてもよい。
他の場合、隔離囲い502を通って移動し、チャネル522に入る気泡520を核形成することが有利であり得る。幾つかの場合、気泡520を使用して、微小物体をチャネル522内に搬出し得る。他の場合、気泡520を使用して、チャネル522をブロックし(例えば、微小物体がチャネル522を通って移動しないようにし)、及び/又はチャネル522において流体媒体(図示せず)のフロー530をリダイレクトし得る。例えば、複数のチャネル122を含むマイクロ流体回路(図2Fに示されるマイクロ流体回路280等)では、気泡520を誘導し、流路106を第1のチャネル122から他のチャネル122の1つにリダイレクトするブロック機構として使用し得る。
代替的には、この構成を使用して、気泡フロー、剪断流、気泡のメニスカスとの接触、又は対流力により微小物体504を除去する任意のモードを実施し得る。
隔離囲いからチャネル又は他の回路要素への微小物体の光学駆動変位及び搬出と併せて、他の方法及び技法を使用し得る。例えば、傾斜装置190を使用して、マイクロ流体回路を傾斜(すなわち、水平軸上のマイクロ流体回路を回転させる)又は反転させ、それにより、微小物体に重力を受けさせ得、これは、光学駆動方法を使用することと同時に又はその予備ステップとして使用し得る。同様に、幾つかの場合、磁性ビーズを使用して、微小物体を邪魔又は除去し得る。これらの場合、磁性ビーズは、磁力を使用して隔離囲いに配置し得、取り出し得る。磁性ビーズが隔離囲いから取り出されるときの磁性ビーズの動きは、隔離囲いに貼り付いた微小物体の変位及び/又は除去を支援し得る。
図5Cは、熱標的541に向けられた光学照明の使用を示し、熱標的541は単に、マイクロ流体デバイス500の隔離囲い502内に気泡521を生成するのに使用することができる、変位力生成領域の内面の選択された離散領域である。熱標的541を形成する、選択された離散領域は、いかなる金属堆積もマイクロ流体回路材料又はベースの内面のいかなる特別なパターン化も必要としない。図5Cに示される実施形態では、光源は、正方形パターンの光(図示せず)で隔離囲い502のエリアに集束し得る。この正方形パターンの光は、マイクロ流体回路構造108、内面109、及び/又はカバー110を加熱することができ、それにより、任意の選択された位置に熱標的541を作製し、熱標的541は、微小物体504を隔離囲い502から搬出するのに十分な剪断力542を生成する気泡521を核形成し成長させるのに使用することができる。代替的には、この構成を使用して、気泡フロー、剪断流、気泡のメニスカスとの接触、又はキャビテーション力により微小物体504を除去する任意の方法を実施し得る。
図5Dは、繰り返される番号の要素が上記のように定義される、マイクロ流体デバイス550の隔離囲い544を示す。隔離囲い544は、本開示の幾つかの実施形態により、光学駆動変位力を生成するように構成され、微小物体504の搬出に使用される。図5Dに示される隔離囲い544は、文字「U」(すなわち、「U」字のような形状)に似た形状を特徴とし、分離領域554は、基端開口部534及び接続領域552の真下にある。熱標的543は、変位力生成領域556内の隔離囲い544の先端部に配置される。図5Aと同様に、変位力生成領域556は、気泡(図示せず)の核形成及びキャビテーション力、剪断力、微小物体504に接触することができる気泡、又は分離領域554内で微小物体504を除去することができる気泡の流れを作製し、任意選択的に微小物体504をチャネル522に変位させるための気泡の使用を可能にするのに十分な距離を分離領域554と熱標的543との間に提供する。気泡、剪断流、又はキャビテーション力の経路は、経路546により示される。
図5Eは、繰り返される番号の要素が上記のように定義される、マイクロ流体デバイス560の隔離囲い548を示す。隔離囲い548は、本開示の幾つかの実施形態により、光学駆動変位力を生成するように構成され、微小物体504の搬出に使用される。図5Eに示される隔離囲い548はまた、図5A及び図5Bに示される隔離囲い502と同様の逆「N」字形を有する。しかし、この実施形態における変位力生成領域は、熱標的545と分離領域564とを隔てる3つのサブ領域566、567、及び568を含み、分離領域564は接続領域562に更に接続される。変位力生成領域は、熱標的545も含む先端部分566と、変位力生成領域/の先端部分566と同じ寸法を有する第1の流体コネクタ567を含む。変位力生成領域は、分離領域564に接続する第2の狭窄流体コネクタ568を更に含み、流体コネクタ568の幅(図を見たときx軸平面における寸法)は、第1の流体コネクタ567及び/又は分離領域564と比較して狭められる。第2の流体コネクタ567の狭窄幅は、熱標的545において生成された気泡が分離領域564内の微小物体504と接触するのを阻止するように機能する。加えて、第2の流体コネクタ567の狭窄幅は、微小物体504の変位に使用される剪断流若しくはキャビテーション力を妨げるか、又は剪断流若しくはキャビテーション力に干渉する異常な流れを生み出し得る望ましくない二次フローを回避する。さらに、第2の流体コネクタ567の狭窄幅は、微小物体504が分離領域から変位力生成領域(566、567、及び568)に通過するのを阻止する。
図6Aは、本開示の一実施形態による、マランゴニ効果フロー680の生成に使用されるマイクロ流体デバイス600の循環培養囲い602及び熱標的622を示す。熱標的622は、光源660を使用して加熱されたとき、循環マランゴニ効果フロー680を生じさせる温度勾配を有する気泡675を作る非対称涙滴様形状を有する。図4C、図4D、図4E、及び図4Gに関して上述したように、様々な異なる非対称熱標的を使用して、マランゴニ効果フロー680を生成し得る。
図6Aに示される実施形態では、より大きな表面積を含む熱標的622の部分は、より小さな表面積を含む熱標的622の部分の下に位置決めされる。したがって、その結果、気泡上の温度勾配により生成することができるマランゴニ効果フロー680は、気泡675の下部から気泡675の上部に(変位力生成領域614の基端開口部634に向けられ、変位力生成領域614+616の流体コネクタ616から離れて向けられる)移動し、この場合では反時計回りの循環マランゴニ効果フロー680を生成する。
図6Aに示される実施形態では、マイクロ流体デバイス600の循環培養囲い602は、接続領域610と、培養領域612と、流体コネクタ616を含む変位力生成領域614とを有する。循環培養囲い602は隔離囲いと同様であり得るが、能動的に循環しているとき、主チャネルを通る流れを循環させるように構成される。変位力生成領域614は、マイクロ流体チャネル522への基端開口部634と、その流体コネクタ616から培養領域612への先端開口部636とを有する。繰り返される番号の要素は、上で定義されたようなものである。熱標的622が光660で照明されると、気泡675が核形成され、循環培養囲い602及びチャネル522の両方を通って循環する循環フロー680(マランゴニ効果フロー)を生み出す。循環フロー680を使用して、流体を混合し、及び/又は循環培養囲い602及び隣接するチャネル522内の任意の場所に微小物体(例えば、細胞)を変位させることができる。フローの速度、ひいてはその変位力は、開始に必要な電力がわずか1ミリワットであり得る照明の電力を変調することにより変調し得る。幾つかの場合、循環フロー680は、媒体モジュール160及び媒体源178により制御される媒体530のフローと同じ方向にフローのベクトルの少なくとも一部を有し得る。循環フロー680を使用して、チャネル522内の媒体を培養領域612に流し得る。同様に、循環フロー680を使用して、循環培養囲い602内の微小物体を変位及び搬出することもできる。
幾つかの他の実施形態では、隔離囲いは、循環(マランゴニ効果)フロー680を生成する回路を含み得る他の幾何学的形状を含み得る。図6Aに示される循環培養囲い602は、主チャネル522(本明細書では「開ループ」循環培養囲い602と呼ばれる)を組み込む回路を含むが、他の囲いの幾何学的形状は、「閉ループ」隔離囲い(すなわち、主チャネル522のいかなる部分も含まない回路)を生成する、隔離囲い内のマイクロ流体回路構造の円形部分を含み得る。
実施形態及び気泡により生成されるマランゴニ効果フローの力に応じて、開ループ循環培養囲い及び閉ループ隔離囲いは異なるサイズ及び形状を有することができる。例えば、開ループ及び閉ループ隔離囲い内に含まれる回路は、異なる容量の流体を収容し得る。同様に、回路の長さは、マランゴニ効果フロー680の力及び使用される熱標的622のタイプに従って様々であり得る。図8C及び図8Dに関して後述するように、回路はチャネル全体を含み得る。
図6Bは、循環マランゴニ効果フロー682を生成するように構成されたマイクロ流体デイス620の「閉ループ」隔離囲い604を示す。隔離囲い604は、小文字「b」に似た形状(すなわち、「b」字のような形状)を有する。図6Bに示される隔離囲いでは、分離領域632は接続領域630の真下に位置決めされ、接続領域630はマイクロ流体チャネル522への基端開口部534を有する。閉ループ隔離囲い604は円形チャネルを有するが、任意のタイプの回路(例えば、正方形又は多角形チャネル)が使用可能である。隔離囲い604は非対称熱標的624を更に含み、この熱標的は、分離領域632への2つの流体接続、例えば、分離領域630から及び分離領域630への円形チャネルの2つのアームを有する変位力生成領域638内に配置される。熱標的624は、光源662を使用して加熱されて、温度勾配を有する気泡672を生成し得、そして気泡672は、閉ループ円形チャネル内にマランゴニ効果フロー682を生成することができる。円形チャネルは主チャネル522に対して開かないため、マランゴニ効果フロー682を使用して、主チャネル522内の流体媒体から独立して、物体又は流体媒体を混合し得る。
図6Cは、マランゴニ効果フロー684を生成するように構成されたマイクロ流体デバイス640の隔離囲い606を示す。隔離囲い606は、接続領域642の真下に位置する分離領域664を含み、接続領域642はチャネル530への基端開口部534を有する。隔離囲い606はまた、変位力生成領域646から分離領域644への2つの流体接続を有する閉ループ円形チャネルを提供するマイクロ流体回路材料の部分を囲む。変位力生成領域646内の非対称熱標的626は、光源664を使用して加熱されて、マランゴニ効果フロー684を生成する温度勾配を有する気泡674を生成することができる。
図6Dは、交互の方向にマランゴニ効果フローを生成するように構成されたマイクロ流体デバイス670の隔離囲い608を示す。マイクロ流体デバイス640の隔離囲い606と同様に、隔離囲い608は、分離領域654と、2つの流体接続(循環チャネルのアーム)を介して分離領域に接続される変位力生成領域656と、チャネル522への基端開口部534を有する接続領域652とを有する。隔離囲い608は、交互の方向にマランゴニ効果フロー(図示せず)を生成するように構成された2つの熱標的628、629を有する。マランゴニ効果フローの方向を交互にすることを使用して、隔離囲い608内の微小物体又は流体媒体への攪拌運動を生み出すことができ、攪拌運動は、微小物体及び媒体の混合及び除去における効果の強化を提供するように機能し得る。
図7A〜図7Fは、光学駆動対流及び微小物体変位に有用な隔離囲いの他の実施形態を示す。図7A〜図7Fに示される各実施形態では、バリアは、隔離囲いの分離領域からの変位力生成領域の物理的な分離を生み出す。1つのバリアモジュールであってもよく、又は複数のバリアモジュールであってもよいバリアと隔離囲いの壁との間のギャップは、2つの領域間に流体接続を提供するが、微小物体の分離領域から変位力生成領域への通過を阻止するように構成される。同様に、バリアモジュールと隣接するバリアモジュールとの間のギャップは、2つの領域間に流体接続を提供するが、微小物体が分離領域から変位力生成領域に通過するのを阻止するように構成される。それぞれの場合において、バリアモジュールは、光学駆動対流により生成される力及び変位力の直接衝撃から微小物体へのダメージを回避するように構成することもでき、分離領域内の微小物体をより効率的に除去するように、チャネル剪断流、キャビテーション力、又は気泡力を支援することもできる。同じ番号を有する付番要素は同等である。
図7Aにおいて、マイクロ流体デバイス700の隔離囲い704は、流体媒体706のフローを含むように構成されたマイクロ流体チャネル722に向かって開く。マイクロ流体チャネル706及び隔離囲いの壁は、マイクロ流体回路材料716から作製し得る。隔離囲い704は、マイクロ流体チャネル722への基端開口部710を有する接続領域714を有する。接続領域は、微小物体702を配置及び/又は維持し得る分離領域712に流体的に接続される。分離領域712は変位力生成領域718に更に接続され、変位力生成領域718は、本明細書に記載される任意の熱標的であり得る熱標的724を含む。隔離囲い704は、分離領域714と変位力生成領域718との間に境界を形成する1つのバリアモジュール726も含む。分離領域714と変位力生成領域718との間には2つの流体接続があり、これらは、バリア728と隔離囲い704の壁との間のギャップ728である。隔離囲い704は、光学駆動対流及び微小物体変位の方法で使用し得る。幾つかの実施形態では、熱標的は光源により照明し得、光源は、コヒーレント光源又は非コヒーレント光源であり得、構造化されていてもよく、又は構造化されていなくてもよい。幾つかの実施形態では、熱標的は、隔離囲い704内の追加の特徴であり、隔離囲い704の上のカバーに堆積してもよく、又はベース708の表面に堆積してもよい金属、パターン化可能なマイクロ流体回路材料、又は光開始ヒドロゲルポリマーから作製し得る。幾つかの実施形態では、この目的で作製された熱標的は犠牲特徴である。他の実施形態では、照明される選択された離散領域は、変位力生成領域の上面708又は壁のマイクロ流体回路材料726上の選択された位置である。通常、上面708又はマイクロ流体回路材料716は、照明されると、犠牲特徴として挙動し、熱を生成するが、プロセスにより破壊されもする。照明の持続時間は、どの種類の変位力が生成中であるかを決め得る。非限定的な一例では、約10マイクロ秒〜約200マイクロ秒の範囲である、本明細書に記載される短パルスは、変位のためのキャビテーション力を生み出し得る。非限定的な一例では、約1000ミリ秒〜約2000ミリ秒というより長い持続時間の照明は、分離領域712内の1つ又は複数の微小物体を除去することができる気泡接触力、気泡流力、気泡メニスカス力、又は剪断流力の1つを提供し得る。1つ又は複数の微小物体を除去する力は、細胞を全体的に分離領域からマイクロ流体チャネル722に変位させるのに十分であり得、又は分離領域712の表面から微小物体を除去するのに十分であり得るが、隔離囲い704から細胞を搬出するには十分ではない。
図7Bは、マイクロ流体デバイス720の隔離囲い730が、変位力生成領域718を分離領域712から隔てる複数のバリアモジュール726aを有する別の構成を示す。変位力生成領域718は、複数の流体接続、ギャップ728aを介して分離領域712に流体的に接続される。
図7Cは、複数の長尺状バリアモジュール726bが変位力生成領域718を分離領域712から隔てるマイクロ流体デバイス740の隔離囲い732の別の変形を表す。変位力生成領域718は、複数の流体接続、ギャップ728bを介して分離領域712に流体的に接続される。
図7Dは、マイクロ流体デバイス750の隔離囲い734を有する更に別の変形である。1つのバリアモジュール726cは、微小物体を直接衝撃から保護し得る弧を構成に有する。変位力生成領域718は、2つの流体接続、ギャップ728cを介して分離領域712に流体的に接続される。
図7Eは、マイクロ流体デバイス760の隔離囲い736を有する更なる変形である。1つのバリアモジュール726dは、微小物体を変位するように変位力をより効率的に向けるのに役立ち得る幅の狭い突起を構成に有する。変位力生成領域718は、2つの流体接続、ギャップ728dを介して分離領域712に流体的に接続される。
図7Fは、マイクロ流体デバイス780の隔離囲い738の別の変形を表し、この変形では、複数のバリアモジュール726eが、熱標的724を囲み、領域718を分離領域712から隔てる円形領域として変位力生成領域718を画定する。変位力生成領域718は、複数の流体接続、ギャップ728eを介して分離領域712に流体的に接続される。
隔離囲い730、732、734、736、及び/又は738は、隔離囲い704の作製と任意の同様の様式で作製し得、隔離囲い704について説明した方法として、光学駆動対流及び/又は微小物体変位の任意の方法において利用し得る。
図8Aは、チャネル内に配置され、隔離囲い802、804、806内に延びる非対称熱標的840、842、844を有する一連の隔離囲い802、804、806を含むマイクロ流体デバイスを示す。熱標的842は、光源860を使用して加熱されて、温度勾配を有する気泡870を核形成し得、そして、温度勾配は、隔離囲い804内の微小物体504を妨げる又はチャネル822に変位させるのに使用され、隔離囲い804内に循環フローを生成することができるマランゴニ効果フロー880を生成する。マランゴニ効果フロー880は、流体媒体をチャネル822から隔離囲い804に導入するのに使用することもできる。図8Aに示される熱標的840、842、844は、隔離囲い802、804、806の上に位置決めされ、流体媒体を隔離囲い802、804、806の非掃引位置に導入するのに使用することができるが、マランゴニ効果フロー880を生成するように構成される熱標的は、流体を掃引領域から非掃引領域に導入することが有益な場合、マイクロ流体回路内の任意の場所に位置決めし得る。速度、その結果としての循環フローの力は、照明の電力を増減することにより変調し得、それにより、循環フローの速度を加速又は減速させ得る。
図8Bは、チャネル822の終端に配置される非対称熱標的846を有するマイクロ流体デバイス810を示す。熱標的846が、温度勾配を有する気泡872の生成に使用される場合、その結果生成されるマランゴニ効果フロー882をチャネル内の流路830の代わり又は流路830と組み合わせて使用して、チャネル822内の物体を移動させることができる。
図8Cは、主チャネル824及び主チャネル824から垂直に延びる10のサイドチャネル826a〜jを含む別のマイクロ流体デバイス812を示す。10のサイドチャネルのそれぞれは、別のサイドチャネルに接続して、主チャネル824を有するマイクロ流体回路を形成する。特に、826aは826bに接続し、826cは826dに接続し、826eは826fに接続し、826gは826hに接続し、826iは826jに接続して、回路を形成する。そうして形成された5つのマイクロ流体回路のそれぞれは、マランゴニ効果フローを生じさせる気泡を生成するように構成される非対称熱標的848a〜eを含む。図8Cに示される実施形態では、主チャネル824にはサイドチャネル826a〜eよりもはるかに低い流体抵抗がある。主チャネル824とサイドチャネル826a〜eとの流体抵抗差に起因して、主チャネル824に導入される流体媒体のフローは、サイドチャネル826a〜eに入らない。換言すれば、サイドチャネル826a〜eは、光学照明により誘導される循環フローが存在しない場合、マイクロ流体デバイス812の非掃引領域である。
実施形態に応じて、主チャネル824とサイドチャネルとの流体抵抗の比率は変化し得る。大半の実施形態では、サイドチャネル826に分岐するポイントにおける主チャネル824での流体抵抗は、サイドチャネル826の流体抵抗の1/10〜1/100である。流体抵抗は、チャネルの長さに比例し、チャネルの幅に反比例するため、サイドチャネルは通常、主チャネルよりも長く、かつ狭く、主チャネルとサイドチャネルとの流体抵抗の最適な比率を達成する。幾つかの実施形態では、主チャネルはサイドチャネルよりも1.5倍〜3倍広い幅を有することができる。例えば、主チャネルは100μm〜1000μmの範囲の幅を有することができ、サイドチャネルは20μm〜300μmの範囲の幅を有することができる。
しかし、図8Dに示されるように、気泡874a及び874bが非対称熱標的848a及び848cを使用して生成される場合、その結果として気泡874a及び874bにより生成されるマランゴニ効果フローを主チャネル824内のフローと併せて使用して、主チャネル824からサイドチャネル826a、826b、826e、826fに流体媒体を選択的に導入し得る。このようにして、マランゴニ効果フローを使用して、検体、試薬、及び又は微小物体(例えば、ビーズ)を含む媒体を対象となるチャネルに選択的に導入して、アッセイを実行し、又は微小物体を培養し得る。
キット
対流及び/又は微小物体変位の光学駆動デバイス及び方法のキットが提供され、キットは、本明細書に記載される任意のマイクロ流体デバイスであって、任意の組合せで本明細書に記載される任意の特徴を含み得る、マイクロ流体デバイスと、被覆面を提供する試薬とを含む。マイクロ流体デバイスは、任意のマイクロ流体デバイス100、200、230、250、280、290、500、550、560、600、620、640、670、700、720、720、750、760、780、808、810、812、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500から選択し得る。被覆面の試薬は、その目的で本明細書に記載される任意の試薬であり得る。被覆面を提供するための試薬は、共有結合表面を提供する試薬を含み得る。
キットの幾つかの実施形態では、1つ又は複数の流体媒体を提供し得る。他の実施形態では、キットは光開始可能ヒドロゲルを含み得、これは、流動性ポリマーとして既に形成されてもよく、又は乾燥粉末若しくは凍結乾燥された製品であってもよい。幾つかの実施形態では、キットは光開始剤を更に含み得る。キットの構成要素は1つ又は複数の容器内で提供し得る。
熱標的を有する隔離囲いを作製する方法
熱標的は、マイクロ流体デバイスの所定の製造中に作製し得る。金属標的は、電気接続に金属接点を追加する等の同じ動作中、マイクロ流体デバイスのカバーに堆積し得る。マイクロ流体回路材料から作製される熱標的は、ソフトリソグラフィ中、マスクに含め得る。このようにして設置された熱標的は犠牲標的を含み得る。気泡生成の表面トポグラフィは、作製中、マイクロ流体回路構造108又はカバー110にパターン化し得、又は光源(図示せず)を使用してin situでパターン化し得る。パターン化可能材料が使用される実施形態では、構造光源を使用し得る。ヒドロゲル熱標的は、マイクロ流体デバイスが作製された後であるが、本開示の方法で使用される前に設置し得る。
1つ又は複数の微小物体を除去及び/又は流体媒体を混合する方法
したがって、1つ又は複数の微小物体(例えば、細胞等の生物学的微小物体)をマイクロ流体デバイス内の表面から除去する方法が提供され、マイクロ流体デバイスのエンクロージャにおける流体媒体内に配置される1つ又は複数の微小物体を含む又は微小物体に隣接する、選択された離散領域を照明することであって、エンクロージャは、フロー領域及び基板を含むマイクロ流体回路を含む、照明すること、除去力の生成に十分な第1の時間期間の選択された離散領域の照明を維持すること、表面から1つ又は複数の微小物体を除去すること。
方法は、選択された離散領域を照明するステップを実行する前、第2の時間期間にわたり、1つ又は複数の微小物体をエンクロージャ内の流体媒体内に維持するステップを含み得る。エンクロージャ内の流体媒体内の細胞の維持中、幾つかのタイプの細胞は、マイクロ流体デバイスのエンクロージャの1つ又は複数の内面に付着し得る。付着は、細胞と1つ又は複数の表面との非特異的又は特異的相互作用であり得る。特異的相互作用は、細胞のカルボン酸等の表面部分と表面の酸化物部分との共有結合又は非共有結合による付着を含み得、これは、会合されると、水素結合又はエステル結合を形成し得る。1つ又は複数の細胞の付着は、1つ又は複数の表面に対して直接的又は非直接的であり得る。直接付着の非限定的な例は、1つ又は複数の細胞の一部と、表面に酸化物部分を有する表面の酸化物部分との相互作用である。1つ又は複数の細胞と表面との間接的な付着の非限定的な例は、細胞の一部(限定ではなく、細胞の表面上の部分を含む)と、それ自体が、エンクロージャ内に存在する他の細胞により生成されるタンパク質が付着した表面等であるがこれに限定されない表面に関連付けられることになる介在物質又は材料との相互作用を含み得る。これらは、細胞が維持される、細胞と表面との可能な付着のタイプの非限定的な例である。任意の種類の付着が、1つ又は複数の細胞の可搬性を低減し得る。
様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスのエンクロージャは、少なくとも1つの隔離囲いを更に含み得る。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、複数の隔離囲いを含み得る。複数の隔離囲いのそれぞれは、フロー領域への基端開口部を有し得る。幾つかの実施形態では、フロー領域はマイクロ流体チャネルを含み得る。
幾つかの実施形態では、1つ又は複数の微小物体が維持される表面は、基板の表面であり得る。1つ又は複数の微小物体が維持される基板の表面は、少なくとも1つの隔離囲い内の基板の表面であり得る。
様々な実施形態では、選択された離散領域を照明するステップは、約1mm、約0.9mm、約0.7mm、約0.5mm、約0.3mm、約100μm、約80μm、約60μm、約40μm、約20μm、約10μm、約5μm、又はそれらの間の任意の第1の寸法(例えば、マイクロ流体エンクロージャの幅又はx軸寸法)を有する領域を照明することを含み得る。選択された離散領域を照明するステップは、約1mm、約0.9mm、約0.7mm、約0.5mm、約0.3mm、約100μm、約80μm、約60μm、約40μm、約20μm、約10μm、約5μm、又はそれらの間の任意の第2の寸法(例えば、マイクロ流体エンクロージャ内の高さ又はy軸寸法)を有する領域を照明することを更に含み得る。x軸寸法又はy軸寸法は、上記寸法の任意の組合せであり得る。照明の選択された離散領域は、約200平方μm、約150平方μm、約100平方μm、約80平方μm、約70平方μm、約50平方μm、約25平方μm、約10平方μm、又はそれらの間の任意の値の面積を有し得る。
照明の期間
照明するステップは、本明細書に記載される任意の光源を使用して実行し得、コヒーレント光又は非コヒーレント光であり得る。光は構造光又は非構造光であり得る。簡潔にするために、以下の説明はレーザ照明を参照するが、本発明はそのように限定されない。
様々な実施形態では、選択された離散領域を照明するステップは、選択された離散領域をレーザで照明することを含み得る。レーザは、約450nm〜約800nmの領域の波長を有する光で照射し得る。レーザは、約0.5アンペア、約0.7アンペア、約0.9アンペア、約1.1アンペア、約1.4アンペア、約1.6アンペア、約1.6アンペア、約2.0アンペア、約2.2アンペア、約2.5アンペア、約2.7アンペア、約3.0アンペア、又はそれらの間の任意の値の電流を有し得る。
レーザ照明は、約1mW〜約1000mW、約100mW〜約1000mW、約100mW〜約800mW、約100mW〜約600mW、約100mW〜約500mW、又はそれらの間の任意の値の範囲の入射電力を有し得る。
様々な実施形態では、選択された離散領域をレーザ照明で照明するステップは、約10マイクロ秒〜約8000ミリ秒の範囲の時間期間にわたり実行し得、それらの間の任意の値であり得る。幾つかの他の実施形態では、選択された離散領域を照明するステップは、約100ミリ秒〜約3分の範囲の時間期間にわたり実行し得る。
様々な実施形態では、レーザ照明は、約50ミリ秒、約75ミリ秒、約100ミリ秒、約150ミリ秒、約250ミリ秒、約500ミリ秒、約750ミリ秒、又は約1000ミリ秒にわたり、選択された離散領域に向けられ得る。様々な実施形態では、レーザ照明は、約50ミリ秒〜約2000ミリ秒、約50ミリ秒〜約1000ミリ秒、約50ミリ秒〜約500ミリ秒、約50ミリ秒〜約300ミリ秒、約100ミリ秒〜約1000ミリ秒、約200ミリ秒〜約1000ミリ秒、約200ミリ秒〜約700ミリ秒、約300ミリ秒〜約600ミリ秒、又はこれらの任意の範囲の間の任意の値の範囲の時間期間にわたり、選択された離散領域に向けられ得る。他の実施形態では、レーザ照明は、約1ミリ秒〜約200ミリ秒、約1ミリ秒〜約150ミリ秒、約1ミリ秒〜約100ミリ秒、約1ミリ秒〜約50ミリ秒、約1ミリ秒〜約30ミリ秒、約25ミリ秒〜約200ミリ秒、約25ミリ秒〜約100ミリ秒、約25ミリ秒〜約75ミリ秒、約50ミリ秒〜約200ミリ秒、約50ミリ秒〜約125ミリ秒、約50ミリ秒〜約90ミリ秒の範囲の時間期間にわたり、選択された離散領域に向けられ得、又はこれらの任意の範囲の間の任意の値であり得る。これらの範囲の1つ内で選択された照明期間は、微小物体に接触し、それにより、微小物体を除去する気泡の生成を光学的に駆動するのに十分であり得る。
様々な他の実施形態では、レーザ照明は、約500ミリ秒〜約3000ミリ秒、約1000ミリ秒〜約2700ミリ秒、約1000ミリ秒〜約2500ミリ秒、約1000ミリ秒〜約2000ミリ秒、約1000ミリ秒〜約1500ミリ秒、約1300ミリ秒〜約3000ミリ秒、約1300ミリ秒〜約2700ミリ秒、約1300ミリ秒〜約2300ミリ秒、約1300ミリ秒〜約2000ミリ秒、約1300ミリ秒〜約1700ミリ秒、約1500ミリ秒〜約3000ミリ秒、約1500ミリ秒〜約2600ミリ秒、約1500ミリ秒〜約2300ミリ秒、約1500ミリ秒〜約2000ミリ秒、約1700ミリ秒〜約3000ミリ秒、約1700ミリ秒〜約2600ミリ秒、約1700ミリ秒〜約2000ミリ秒の範囲、又はそれらの間の任意の値の時間期間にわたり、選択された離散領域に向けられ得る。これらの範囲の1つ内で選ばれた照明期間は、光学駆動剪断流又は気泡流接触力の生成に適し得る。
更に他の実施形態では、選択された離散領域を照明するステップは、約10マイクロ秒〜約200ミリ秒、約10マイクロ秒〜約100ミリ秒、約10マイクロ秒〜約1ミリ秒、約10マイクロ秒〜約1ミリ秒、約10マイクロ秒〜約500マイクロ秒、約50マイクロ秒〜約1ミリ秒、約50マイクロ秒〜約500マイクロ秒、約50マイクロ秒〜約300マイクロ秒、約1ミリ秒〜約200ミリ秒、約1ミリ秒〜約150ミリ秒、約1ミリ秒〜約100ミリ秒、約1ミリ秒〜約50ミリ秒、約1ミリ秒〜約30ミリ秒、約25ミリ秒〜約200ミリ秒、約25ミリ秒〜約100ミリ秒、約25ミリ秒〜約75ミリ秒、約50ミリ秒〜約200ミリ秒、約50ミリ秒〜約125ミリ秒、約50ミリ秒〜約90ミリ秒にわたり実行し得、又はこれら任意の範囲の間の任意の値であり得る。そのような照明範囲内の照明期間は、微小物体を含むか、又は微小物体に隣接する離散した選択領域内にキャビテーション力を生成し、それにより、微小物体の1つ又は複数を除去するのに十分であり得る。幾つかの実施形態では、照明の時間期間は、約10マイクロ秒〜約500マイクロ秒又は約10マイクロ秒〜約100ミリ秒の範囲であり得る。
幾つかの他の実施形態では、選択された離散領域を照明するステップは、約100ミリ秒〜約3分、約100ミリ秒〜約2分、約100ミリ秒〜約1分、約100ミリ秒〜約10,000ミリ秒、約100ミリ秒〜約5,000ミリ秒、約100ミリ秒〜約1000ミリ秒、約500ミリ秒〜約3分、約500ミリ秒〜約1分、約500ミリ秒〜約10,000ミリ秒、約500ミリ秒〜約3,000ミリ秒、又はそれらの間の任意の値にわたり実行し得る。これらの範囲の1つから選択された範囲内の照明期間は、流体媒体及び/又は微小物体を混合する循環フロー(マランゴニ効果)を生成するのに十分であり得る。循環フローの照明期間は、選択された離散領域の照明に使用される電力に応じて、増減し得る。
これらの範囲は単なる例示であり、本開示を限定する意図はない。本開示の範囲内になお残りながら、各タイプの対流又は変位力について記載した範囲外の照明期間も識別し使用することが可能である。
幾つかの実施形態では、離散領域を照明するステップは、1つ又は複数の微小物体の少なくとも1つを含む選択された離散領域にレーザ照明を向けることを含む。これは、マイクロ流体デバイスのエンクロージャ内の任意の場所で実行し得る。幾つかの実施形態では、照明される離散領域は隔離囲い内にあり得、さらに、隔離囲い内の基板の表面であり得る。隔離囲い内の1つ又は複数の微小物体の少なくとも1つの微小物体を照明するとき、選択された離散領域は、フロー領域への隔離囲いの基端開口部への先端にある位置(例えば、隔離囲いの下部又は基部)又は少なくとも1つの隔離囲い内の中央位置)であるように選択し得る。
レーザ照明は、1つ又は複数の微小物体の少なくとも1つに対する除去力を直接生じさせ得る。理論により拘束されずに、照明は追加又は代替として、1つ又は複数の微小物体の周囲の流体媒体の部分を加熱し、1つ又は複数の微小物体の少なくとも幾つかを除去することができるキャビテーション除去力を生成し得る。
方法の他の実施形態では、照明される選択された離散領域は、1つ又は複数の微小物体に隣接し得る。選択された離散領域は、除去すべき1つ又は複数の微小物体から約1mm、約0.9mm、約0.7mm、約0.5mm、約0.3mm、約100μm、約80μm、約60μm、約40μm、約20μm、約10μm、約5μm、又はそれらの間の任意の値、離れて位置し得る。1つ又は複数の微小物体に隣接したレーザ照明は、マイクロ流体デバイスのエンクロージャ内の任意の場所で実行し得る。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の微小物体に隣接した、選択された離散領域を照明するステップは、基板上、壁のマイクロ流体回路材料上、又は熱標的で実行し得、熱標的は、さらに犠牲特徴であり得る、本明細書に記載される任意の熱標的であり得る。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の微小物体が隔離囲い内に維持される場合、基板を照明するステップは、フロー領域への少なくとも1つの隔離囲いの基端開口部近くの基板上の選択された離散領域で実行し得る。他の実施形態では、1つ又は複数の微小物体が少なくとも1つの隔離囲い内に維持される場合、選択された離散領域を照明するステップは、少なくとも1つの隔離囲いのマイクロ流体回路材料の選択された離散領域を照明することを含み得る。更に他の実施形態では、1つ又は複数の微小物体が少なくとも1つの隔離囲い内に維持される場合、選択された離散領域を照明するステップは、少なくとも1つの隔離囲い内に配置された犠牲特徴を照明することを含み得る。
犠牲特徴は、レーザ照明からのエネルギーを吸収し得る任意の適する材料で作ることができ、金属パッド又はマイクロ流体回路材料(例えば、隔離囲いの壁及びフロー領域(例えば、マイクロ流体チャネル)の壁と同じ又は同様の材料)を含むことができる。幾つかの実施形態では、犠牲特徴は、基板の上面(追加の被覆又は共有結合修飾された表面層を含んでもよく、又は含まなくてもよい)又はマイクロ流体デバイス内に含み得る任意の他の材料を含み得る。
照明(例えば、レーザ照明を含むが、これに限定されない)は、1つ又は複数の微小物体の少なくとも1つに対して除去力を直接生じさせ得る。理論により拘束されずに、照明は追加又は代替として、1つ又は複数の微小物体の周囲の流体媒体の部分を加熱し、1つ又は複数の微小物体を除去することができるキャビテーション除去力を生み出し得る。
レーザ照明は、1つ又は複数の微小物体の少なくとも1つに対して除去力を直接生じさせ得る。理論により拘束されずに、1つ又は複数の微小物体に隣接した選択領域を照明するステップは追加又は代替として、流体媒体の第1の部分を加熱し、1つ又は複数の微小物体の周囲の流体媒体の第2の部分を変位する持続的な気泡を生成し、それにより、1つ又は複数の微小物体を除去し得る。流体媒体の第2の部分を除去するステップは、第1の照明期間中、流体媒体の循環流体フローを生成することを更に含み得る。他の実施形態では、方法は、流体媒体の第1の部分を加熱することと、1つ又は複数の気泡を生成し、それにより、1つ又は複数の微小物体に向かう流体媒体の剪断流を生成することとを更に含み得る。更に他の実施形態では、方法は、流体媒体の第1の部分を加熱することと、1つ又は複数の微小物体に向かって流れるように構成された複数の気泡を生成することと、1つ又は複数の微小物体を複数の気泡の少なくとも1つの気泡のメニスカスに接触させることとを更に含み得る。
レーザ照明は、上述した任意の場所に向け得る。代替的には、1つ又は複数の微小物体がエンクロージャ内の隔離囲い内に維持される場合、選択された離散は、隔離囲いの先端部を形成する壁の少なくとも一部を含み得、壁はフロー領域への基端開口部とは逆に位置決めされる。隔離囲いのベースにおける照明は、1つ又は複数の微小物体へのダメージを回避し得る。
代替的には、1つ又は複数の微小物体がエンクロージャ内の隔離囲い内に配置される場合、選択された離散領域は、隔離囲いの変位力生成領域に位置し得る。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の微小物体は、隔離囲いの分離領域内に配置し得、変位力生成領域は分離領域に流体的に接続される。
マイクロ流体デバイス内の1つ又は複数の微小物体を除去する方法の様々な実施形態では、方法は、少なくとも1つの隔離囲いから1つ又は複数の微小物体を搬出するステップを更に含み得る。少なくとも1つの隔離囲いから1つ又は複数の微小物体を搬出するステップは、誘電泳動力を用いて1つ又は複数の微小物体を移動させることを含み得る。
マイクロ流体デバイス内の1つ又は複数の微小物体を除去する方法の様々な実施形態では、方法は、マイクロ流体デバイスのエンクロージャのフロー領域から1つ又は複数の微小物体を搬出するステップを更に含み得る。1つ又は複数の微小物体をフロー領域から搬出するステップは、重力、流体フロー、誘電泳動力、又はそれらの任意の組合せを使用することを含み得る。
特定の実施形態では、本開示は、上記方法を実行する非一時的機械可読命令を記憶する機械可読記憶装置を更に提供する。機械可読命令は更に、画像の取得に使用される撮像デバイスを制御することができる。
別の態様では、マイクロ流体デバイスのエンクロージャ内で流体媒体及び/又は流体媒体に含まれる微小物体を混合する方法が提供され、方法は、少なくとも1つの流体媒体及び/又は微小物体を含むマイクロ流体回路内のエンクロージャの表面に配置された熱標的に光源を集束させるステップであって、それにより、少なくとも1つの流体媒体の第1の部分を加熱する、集束させるステップと、マイクロ流体回路内の少なくとも1つの流体媒体の循環フローを誘導させるステップであって、それにより、内部に配置された流体媒体及び/又は微小物体を混合する、誘導させるステップを含む。方法の幾つかの実施形態では、熱標的が第1のマイクロ流体チャネル内に配置され、第1のマイクロ流体チャネルが、第1の位置において第2の流体チャネルに分岐するように構成されるとともに、第2の位置において第2の流体チャネルに再結合するようにも構成され、熱標的はそれらの間の表面に配置される。
実験
システム及びマイクロ流体デバイス:Berkeley Lights, Inc.製。システムは、少なく
ともフローコントローラ、温度コントローラ、流体媒体調整及びポンプ構成要素、光活性化DEP構成用の光源、レーザ、Berkeley Lights, Inc. OptoFluidic(商標)マイクロ
流体デバイスの搭載ステージ、及びカメラを含んだ。Berkeley Lights, Inc. OptoFluidic(商標)マイクロ流体デバイスは、約7×105立方μmの容積を有するNanoPen(商標)チャンバを含んだ。
材料:細胞は、別段のことが記される場合を除き、ATCCから取得した、マウス骨髄腫ハイブリドーマ細胞株であるOKT3細胞(ATCC(登録商標)カタログ番号CRL−8001(商標))であった。細胞は懸濁細胞株として提供された。空気中の5%二酸化炭素をガス環境として使用して、1mL当たり約1×105〜約2×105個の生存細胞を播種し、37℃で培養することにより、培養を維持した。細胞を2〜3日ごとに分割した。OKT3細胞の数及び生存率をカウントし、マイクロ流体デバイスに装填するために、細胞密度を5×105/mLに調整した。
培養培地:イスコフ改変ダルベッコ培地(ATCC(登録商標)カタログ番号30−2005)500mL、ウシ胎仔血清(ATCC(登録商標)カタログ番号30−2020)200mL、及びペニシリン−ストレプトマイシン(Life Technologies(登録商標)
カタログ番号15140−122)1mLを混合して、培地を作製した。完成した培地を0.22μmフィルタで濾して、使用まで光を避けて4℃で貯蔵した。
プライミング手順:250μLの100%二酸化炭素を12μL/秒の流量で流入させた。この後、0.1%のPluronic(登録商標)F27(Life Technologies(登録商標)
カタログ番号P6866)を含む250μLのPBSを12μL/秒の流量で流入させた。プライミングの最終ステップは、250μLのPBSを12L/秒の流量で流入させることを含んだ。その後、培地の導入が続いた。
灌流方式(チップ上での細胞培養中:灌流方法は以下の2つの方法のいずれかであった。
1.0.01μL/秒で2時間灌流、2μL/秒で64秒間灌流、そして繰り返す。
2.0.02μL/秒で100秒間灌流、フローを500秒間停止、2μL/秒で64秒間灌流、そして繰り返す。
光学システム:実施例1及び2では、光学システムは785nmレーザOlympus顕微鏡Prosilicaカメラ及びレーザ用に専用コリメート光学系を有する落射光学列を含んだ。
実施例1.金属熱標的の光学照明
図9A〜図9Dは、隔離囲いから細胞を搬出するのに使用される気泡を生成するための熱標的の使用を示す。図9A〜図9Cに示されるマイクロ流体デバイス900の隔離囲い902は、図5Aに示される隔離囲いと同様の逆「N」字のような幾何学的形状を有し、接続領域906と、ヒトハイブリドーマ細胞904が培養された分離領域908と、分離領域に接続する基端狭窄セグメント912及び変位力生成領域910のリザーバ領域913に接続する先端狭窄セグメント914を有する3部流体コネクタ909を含む変位力生成領域910(図9Cにおいて記される)とを含む。変位力生成領域910の基端狭窄セグメント912は、細胞の直径よりも小さい幅を有し、いかなる細胞も分離領域908から変位力生成領域910に移動しないようにし、特に、光学照明が集束し、加熱強度が最も高いリザーバ領域913から細胞を分離する。変位力生成領域は、マイクロ流体デバイスのカバーの内面に堆積した金(Au)から形成された連続金属形状である熱標的916をリザーバ領域913内に更に含む。図9Aは、光学照明前、分離領域内で3日間培養した後の複数の細胞を有する隔離囲いを示した。
0.8アンペア〜1.0アンペアの範囲の電流を用いる785nmレーザを使用して、熱標的を5秒〜10秒間、加熱した。図9Bは、照明期間内の時点で撮像した写真であり、この写真では、気泡(図示せず)が熱標的916において形成され、細胞を分離領域908から変位させ、細胞904を接続領域906及び隔離囲い902に近いマイクロ流体チャネル922に搬出した。図9Cは、細胞が搬出された後の時点における隔離囲いを示す。搬出された細胞904を標準ウェルプレートに移し、個々に播種した。ウェルプレート内で3日間培養した後、細胞904は、より大きな細胞集団(図9D)に増殖することにより生存性を実証した。
実施例2.気泡流力を生成する犠牲特徴の光学照明
図10A及び図10Bは、接続領域1006及び分離領域1008を有する隔離囲い1002からのヒトハイブリドーマ細胞の搬出を示した。この例では、隔離囲いは離散又は別個の変位力生成領域を有さなかった。
細胞をマイクロ流体デバイス1000の隔離囲い1002内で3日間培養した(図示せず)。1.4アンペア電流を有するレーザ(電力は90ミリワットであった)を、誘電移動基板及びインジウム錫酸化物(「ITO」)を含むカバーであったマイクロ流体回路の内面(熱標的)に5秒〜10秒間、集束させることにより、搬出を実行した。照明した特定の位置は、マイクロ流体チャネル1022への隔離囲いの開口部とは逆の、隔離囲い1002のベースにおける内面の選択された離散領域1020であった。熱標的は、光学照明を吸収し、照明を熱エネルギーに変換し、それにより、周囲の流体媒体を加熱した基板であった。このプロセスでは、犠牲特徴として機能する基板の一部を破壊した。気泡の流れを核形成するのに十分に流体媒体を加熱した。図10Aは、光を基板に集束させることにより、気泡1024が隔離囲い1002の下部に形成された照明期間中の時点を示した。細胞1004を分離領域1008から接続領域1006隔離囲いに移動させた。図10Bは、気泡1024の流れの容積が成長し、細胞1004の大半が囲い1002からマイクロ流体チャネル1022内に搬出された、後の時点における隔離囲い1002を示した。搬出された細胞1004をウェルプレートに移し、更に培養するために、個々に播種した。図10Cは、3日後のウェルプレートのうちの1つのウェルを示し、個々に播種した細胞が生存しており、増殖したことを示す。
実施例3及び4の光学システム
785nmレーザであるChroma ZT745spxrxt-UF1ダイクロイックフィルタ(Chroma、Below Falls,バーモント州)、ZET785nf(Chroma)放射フィルタ、及び4X Nikon対物レンズを組み込むように、光学列を変更した。
実施例3及び4のプロトコール。785nmレーザを隔離囲いの内面(誘電泳動基板)及び囲いの上方のカバーに集束させ、90ミリワット(mW)の電力を約1秒間、生成し、流体媒体を加熱し、1つ又は複数の気泡を生成した。気泡により生成される気泡接触力及び剪断流により、細胞を各分離領域から除去した。除去後、OET力を使用して、除去された個々の細胞を隣接する囲いに送出し位置決めした。培養下で24時間後、新たに位置替えされた細胞を観測して、細胞の生存性及び増殖に対する効果を特定した。
実施例3.OKT3細胞の光学駆動変位及び生存性
図11A〜図11Cは、OKT3細胞の光学駆動変位及び位置替えの前後からの実験結果を示す。図11Aは、隔離囲い1102からの細胞1104の搬出前のマイクロ流体デバイス1100の一連の隔離囲いを示す。熱標的として機能する、隔離囲い1102の表面である犠牲特徴1120に光学照明を向けた。その結果、細胞1104を除去した。1つの細胞を隣接する隔離囲いに位置決めした。図11Bは、OETを用いて変位し位置替えした後の、除去され、新たに占有される囲い内に位置決めされた個々の1つの細胞1104b、1104c、1104d、及び1104eを示した。当初占有されていた隔離囲い1102内の細胞1104aの数は減り、細胞は除去されたが、隔離囲い1103内に残っている可能性がある。図11Cは、数時間後の同じ隔離囲い20を示した。図12Cに示されるように、細胞1104b、1104c、1104d、及び1104eは、除去、搬出、及び位置替え後、引き続き分裂し増殖した。さらに、元々占有されていた隔離囲い1102内の残留細胞も増殖した。これらの結果により、光学照明、加熱、除去、及び位置替えのプロセスが、この実験では細胞生存性に検出可能な影響を有さなかったことが示された。図12Cに示されるように、2から4に増大した細胞1104cの数、細胞1104dの数は1から4に増大し、細胞1104eは1から2に増大した。
実施例4.JIMT−1細胞の光学駆動変位及びその結果としての生存性
培地:培地調整添加剤B−27(登録商標)補足剤(2%v/v)を有する無血清培地(ThermoFisher Scientificカタログ番号12045−096)。
図12A〜図12Cは、付着ヒト乳がん細胞株であるJIMT−1細胞(AddexBioカタログ番号C0006055から市販されている)の光学駆動変位及び位置替え前後からの実験結果を示す。図12Aは、隔離囲い1202からの細胞1204の変位前のマイクロ流体デバイス1200の一連の隔離囲いを示した。光学照明を隔離囲い1202の表面である犠牲特徴1220(熱標的に)に向け、細胞1204を除去した。図14Bは、除去され、当初占有していた隔離囲い1202に隣接する空の隔離囲いに新たに位置替えされた個々の細胞1204aを示した。図14Cは、細胞1204aが生存しており、20時間培養期間内に1つから2つに2倍になったことを示す、変位及び位置替え後、20時間後の時点を示す。
実施例5.循環(マランゴニ効果)フローの導入
図13A〜図13Cは、循環培養囲いジオメトリを使用する循環マランゴニ効果フローを示す実験結果を示す。図13Aは、レーザが熱標的1320に向けられて、マイクロ流体デバイス1300の循環培養囲い1302及び隣接するチャネル1322内にマランゴニ効果フローを生じさせる気泡1330を生成した第1の時点における幾つかの微小物体1305(直径6μmのポリスチレンビーズ)を示す。図13Bは、微小物体1305がマランゴニ効果フローにより培養囲い1302を通り反時計回りに循環した(白色矢印はフロー方向を示す)第2の時点(気泡1330aが核形成の部分から離れて壊れた後)における微小物体1305を有する同じ循環培養囲い1302を示す。図13Cは、レーザ照明がなお存在した第3の時点を示す。微小物体1305は、熱標的1320を超えてチャネル1322内に押し出され、循環して循環培養囲い1302の第2の側に戻っている。図13A〜図13Cに示される実験では、785レーザをマイクロ流体デバイスのカバーの内面に堆積した金の熱標的に集束させることにより、気泡を核形成した。特に、レーザは、直径40μmの光点の生成に使用され、1.4kW/cm2に対応する90mWを有した。
実施例6.より短い照明期間でのOKT3細胞の光学駆動変位
OKT3マウスハイブリドーマ細胞を示されるマイクロ流体デバイス1400の隔離囲い内の流体媒体内で培養した。図14Aは、中央隔離囲い1402内に維持された細胞1440のコロニーを示す。細胞群は白色楕円形内で強調表示され、レーザ照明はまだ導入されていない。図14Bは、レーザが、1.4アンペアを使用して約50ミリ秒〜約1000ミリ秒の範囲の持続時間にわたり、細胞の幾つかが含まれた隔離囲い1302の表面の選択された離散領域1420(犠牲特徴である熱標的)に向けられている間の、図の中央隔離囲い1402内の細胞1440の同じ群(白色楕円形内)を示す。図14Cは、レーザ照明により導入された熱から核形成された気泡のキャビテーション及び崩壊が、隔離囲い1402から細胞1404bの群を完全に除去し、マイクロ流体チャネル1422内に変位させたことを示した。細胞1404aの残りは、いくらか変位されたが、隔離囲い1402から搬出されなかった。
実施例7.より長い照明期間でのOKT3細胞の光学駆動変位
OKT3マウスハイブリドーマ細胞1504をマイクロ流体デバイス1500の隔離囲い内の流体媒体内に維持し、あらゆるレーザ照明前の細胞1504を図15Aに示し、図15Aでは、白色楕円形は除去すべき細胞のコロニーを指摘している。レーザ照明は図15Bに示される。レーザ電力は1.4アンペアであり、レーザパルスの持続時間は約2000ミリ秒であった。白色楕円形は、除去すべき細胞1504を囲み、照明1520の離散領域は隔離囲い1502の下部にあり、特に、隔離囲いの壁を形成するマイクロ流体回路材料に向けられた。標的とされたエリアは犠牲特徴(例えば、熱標的)として機能した。図15Cは、2000ミリ秒レーザ照明の終わり近くの時点を示し、この時点では、細胞1504(白色楕円形内)は除去され、細胞1504の群(見えない)下で気泡により押されて、フロー領域(例えば、マイクロ流体チャネル)への隔離囲いの基端開口部に向けて変位した。隔離囲いのベースに見られる黒色化は、隔離囲い1502内の基板材料及び隔離囲いの壁のいくらかの破壊を示す(図15Dにおける照明後の犠牲特徴1524も参照)。図15Dは光学照明の完了後の時点を示し、この時点では、光学作動した誘電泳動力が適用されて、ここでは除去された細胞1504を隔離囲い1504から更に遠くに動かし続けた。図15Dでは、白色バー1530、1532、1534、1536は、基板表面に表示された光(OET)パターンであり、基板はそこに誘電泳動構成を含んだ。光パターンバー1530、1532、1534、1536は、マイクロ流体チャネル1522への隔離囲いの開口部に向かう方向に移動したため、各光バーパターンにより生成された誘電泳動力により捕捉及び排斥された細胞は、隔離囲いの開口部に向かって移動した(白色楕円形内の細胞1504b及び1504c参照)。細胞1504cは、光パターンバー1530により排斥され、隔離囲いから完全に搬出され、フロー領域(例えば、マイクロ流体チャネル1522)に再配置された。図15Eは、光学作動した誘電泳動光パターン1530、1532、1534、1536が、一連の細胞の捕捉、排斥、及び隔離囲いからの搬出を完了し、流体フローフロー領域に回復した、後の時点を示す。レーザパルス方法により除去され、隔離囲いからフロー領域に更に搬出された細胞は、マイクロ流体デバイスから搬出された。細胞1504d(強調のために白色楕円形内)はなお、隔離囲い内に残っているが、レーザ照明前の隔離囲い1502内の元の位置から明らかに除去された(図15Aと比較して)。光学作動誘電泳動による選択及び移動の追加のシーケンスにより、残りの細胞を隔離囲い外に搬出し得る。
実施形態の記載
1.フロー領域及び隔離囲いを更に含むエンクロージャを含むマイクロ流体デバイスであって、隔離囲いは、接続領域、分離領域、及び変位力生成領域を含み、接続領域は、フロー領域への基端開口部及び分離領域への先端開口部を含み、分離領域は、変位力生成領域への少なくとも1つの流体接続を含み、変位力生成領域は、熱標的を更に含む、マイクロ流体デバイス。
2.分離領域と変位力生成領域との間の少なくとも1つの流体接続は、微小物体を分離領域から変位力生成領域に通さないように構成される断面寸法を含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
3.分離領域と変位力生成領域との間の少なくとも1つの流体接続は、拡散による力を除き、内部に生成される力がない場合、流体が変位力生成領域から流れないようにするよう構成される断面寸法を含む、実施形態1又は2に記載のマイクロ流体デバイス。
4.分離領域と変位力生成領域との間の少なくとも1つの流体接続は、1つ又は複数のバリアモジュールを含み、1つ又は複数のバリアモジュールは、微小物体が分離領域から変位力生成領域に通さないようにするよう構成される、実施形態1〜3のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
5.変位力生成領域は、フロー領域への開口部を更に含む、実施形態1〜5のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
6.変位力生成領域は、分離領域への2つ以上の流体接続を有する、実施形態1〜5のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
7.隔離囲いは循環流路を含む、実施形態6に記載のマイクロ流体デバイス。
8.循環流路は狭窄部を含む、実施形態7に記載のマイクロ流体デバイス。
9.光学的に照明されると、流体媒体の第2の循環フローを生成するように構成される第2の熱標的を更に含む、実施形態6〜8のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
10.第1の熱標的及び第2の熱標的は、逆方向での流体媒体の第1の循環フロー及び第2の循環フローを提供するように向けられる、実施形態9に記載のマイクロ流体デバイス。
11.変位力生成領域は1つの開口部を含み、1つの開口部は、分離領域への流体接続である、実施形態1〜5のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
12.変位力生成領域の流体接続は、少なくとも1つの湾曲部を含む流体コネクタを含む、実施形態1〜11のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
13.流体コネクタの少なくとも1つの湾曲部は、約60度〜約180度のターンを含む、実施形態12に記載のマイクロ流体デバイス。
14.変位力生成領域の流体コネクタは、少なくとも2つの湾曲部を含む、実施形態12又は13に記載のマイクロ流体デバイス。
15.流体コネクタの少なくとも2つの湾曲部のそれぞれは、約60度〜約180度のターンを含む、実施形態14に記載のマイクロ流体デバイス。
16.流体コネクタの幅は、分離領域及び/又は変位力生成領域の幅と同じである、実施形態12〜15のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
17.流体コネクタは、微小物体を分離領域から変位力生成領域に通さないようにするよう構成される断面寸法を含む、実施形態12〜15のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
18.マイクロ流体デバイスのエンクロージャは、隔離囲いを部分的に画定するカバーを更に含み、熱標的はカバーに配置される、実施形態1〜17のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
19.熱標的は、エンクロージャに面するカバーの内面に配置される、実施形態18に記載のマイクロ流体デバイス。
20.マイクロ流体デバイスのエンクロージャは、隔離囲いを部分的に画定するマイクロ流体回路構造を更に含み、熱標的はマイクロ流体回路構造に配置される、実施形態1〜17のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
21.マイクロ流体デバイスのエンクロージャは、隔離囲いを部分的に画定するベースを更に含み、熱標的はベースの内面に配置される、実施形態1〜17のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
22.熱標的は金属を含む、実施形態1〜21のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
23.熱標的は連続形状を有する、実施形態1〜22のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
24.熱標的は非連続形状を有する、実施形態1〜22のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
25.熱標的は複数の微小構造を含む、実施形態1〜22又は24のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
26.熱標的は犠牲特徴である、実施形態1〜21又は23〜25のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
27.熱標的又は変位力生成領域は、1つの主方向において形成される気泡の拡大を制限するように構成される、実施形態1〜26のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
28.熱標的は、分離領域への少なくとも1つの流体接続への先端の変位力生成領域の部分に位置決めされる、実施形態1〜27のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
29.変位力生成領域は、約20μm〜約100μmの幅を有する、実施形態28に記載のマイクロ流体デバイス。
30.エンクロージャは、誘電泳動構成を更に含む、実施形態1〜29のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
31.誘電泳動構成は光学的に作動する、実施形態30に記載のマイクロ流体デバイス。
32.隔離囲いは、被覆面である少なくとも1つの表面を含む、実施形態1〜31のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
33.被覆面は共有結合表面である、実施形態32に記載のマイクロ流体デバイス。
34.エンクロージャを含むマイクロ流体デバイスであって、エンクロージャは、流体媒体を含むように構成されるマイクロ流体回路であって、マイクロ流体回路は、流体媒体の少なくとも1つの循環フローに対応するように構成される、マイクロ流体回路と、マイクロ流体回路内のエンクロージャの表面に配置される第1の熱標的であって、第1の熱標的は、光学的に照明されると、流体媒体の第1の循環フローを生成するように構成される、第1の熱標的とを含む、マイクロ流体デバイス。
35.熱標的は連続形状を有する、実施形態34に記載のマイクロ流体デバイス。
36.熱標的は形状のパターンを有する、実施形態34に記載のマイクロ流体デバイス。
37.熱標的は、エンクロージャの表面上に非均一な厚さを含み、非均一な厚さは、光学的に照明されると、熱標的による流体媒体の異なる加熱を提供するように構成される、実施形態34〜36のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
38.形状のパターンは、光学的に照明されると、熱標的による流体媒体の異なる加熱を提供するように構成される、実施形態36又は37に記載のマイクロ流体デバイス。
39.熱標的は金属を含む、実施形態34〜38のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
40.熱標的は複数の微小構造を含む、実施形態34〜39のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
41.複数の微小構造は、光学的に照明されると、熱標的により流体媒体の異なる加熱を提供するように構成される微小構造の密度増大パターンを含む、実施形態40に記載のマイクロ流体デバイス。
42.マイクロ流体デバイスのエンクロージャは、マイクロ流体チャネル及び隔離囲いを更に含み、さらに、隔離囲いはマイクロ流体チャネルに隣接して、マイクロ流体チャネルに向かって開く、実施形態34〜41のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
43.循環流路は、チャネルの部分及び隔離囲いの少なくとも一部を含む、実施形態42に記載のマイクロ流体デバイス。
44.隔離囲いは循環流路を含む、実施形態42に記載のマイクロ流体デバイス。
45.循環流路は狭窄部を含む、実施形態34〜44のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
46.光学的に照明されると、流体媒体の第2の循環フローを生成するように構成される第2の熱標的を更に含む、実施形態34〜45のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
47.第1の熱標的及び第2の熱標的は、逆方向での流体媒体の第1の循環フロー及び第2の循環フローを提供するように向けられる、実施形態46に記載のマイクロ流体デバイス。
48.熱標的は、マイクロ流体チャネル内の表面に配置される、実施形態42に記載のマイクロ流体デバイス。
49.マイクロ流体デバイスのエンクロージャは、2つ以上のマイクロ流体チャネルを更に含み、第1のマイクロ流体チャネルは、第2のマイクロ流体チャネルに沿って第1の位置において第2のマイクロ流体チャネルから開くように構成され、第2の位置において第2のマイクロ流体チャネルに再接続し、それにより、マイクロ流体回路を形成するように更に構成され、熱標的は第1のマイクロ流体チャネル内の表面に配置される、実施形態34〜41のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
50.少なくとも1つの隔離囲いは、第1のマイクロ流体チャネルにおいて開く、実施形態49に記載のマイクロ流体デバイス。
51.第1のチャネルの流体抵抗は、第2のチャネルの流体抵抗の約10倍〜約100倍である、実施形態49又は50に記載のマイクロ流体デバイス。
52.第2のマイクロ流体チャネルは、第1のマイクロ流体チャネルの幅の約1.5倍〜約3倍の幅を含む、実施形態49〜51のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
53.第2のマイクロ流体チャネルの幅は、約100μm〜約1000μmである、実施形態52に記載のマイクロ流体デバイス。
54.第1のマイクロ流体チャネルの幅は、約20μm〜約300μmである、実施形態49〜53のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
55.エンクロージャを含むマイクロ流体デバイスであって、エンクロージャは、マイクロ流体チャネル及び隔離囲いを含み、さらに、隔離囲いはマイクロ流体チャネルに隣接し、マイクロ流体チャネルにおいて開き、熱標的が、隔離囲いへの開口部に隣接するチャネルに配置され、熱標的は、光学的に照明されると、流体媒体のフローを隔離囲いに向けるように更に構成される、マイクロ流体デバイス。
56.熱標的は、マイクロ流体チャネル内の表面に配置される、実施形態55に記載のマイクロ流体デバイス。
57.熱標的は連続形状を有する、実施形態55又は56に記載のマイクロ流体デバイス。
58.標的熱は形状のパターンを有する、実施形態55又は56に記載のマイクロ流体デバイス。
59.熱標的は、エンクロージャの表面上に非均一な厚さを含み、非均一な厚さは、光学的に照明されると、熱標的による流体媒体の異なる加熱を提供するように構成される、実施形態55〜58のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
60.形状のパターンは、光学的に照明されると、熱標的による流体媒体の異なる加熱を提供するように構成される、実施形態58又は59に記載のマイクロ流体デバイス。
61.熱標的は金属を含む、実施形態55〜60のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
62.熱標的は複数の微小構造を含む、実施形態55〜60のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
63.複数の微小構造は、光学的に照明されると、熱標的により流体媒体の異なる加熱を提供するように構成される微小構造の密度増大パターンを含む、実施形態62に記載のマイクロ流体デバイス。
64.実施形態1〜63のいずれか1つ記載のマイクロ流体デバイスと、マイクロ流体デバイスのエンクロージャ内に少なくとも1つの被覆面を提供するように構成される1つ又は複数の試剤とを含む、微小物体を培養するキット。
65.少なくとも1つの流体媒体をさらに含む、実施形態64に記載のキット。
66.マイクロ流体デバイス内で1つ又は複数の微小物体を除去する方法であって、マイクロ流体デバイスのエンクロージャにおける流体媒体内に配置される1つ又は複数の微小物体を含むか、又は隣接する選択された離散領域を照明するステップであって、エンクロージャは、フロー領域及び基板を含むマイクロ流体回路を含む、照明するステップと、除去力の生成に十分な第1の時間期間、選択された離散領域の照明を維持するステップであって、それにより、1つ又は複数の微小物体を表面から除去する、維持するステップとを含む、方法。
67.選択された離散領域は約100平方μmの面積を有する、実施形態66に記載の方法。
68.選択された離散領域は約25平方μmの面積を有する、実施形態66に記載の方法。
69.照明するステップは、レーザで選択された離散領域を照明することを含む、実施形態66に記載の方法。
70.1つ又は複数の微小物体は、基板の表面に配置される、実施形態66〜69のいずれか1つに記載の方法。
71.選択された離散領域を照明するステップを実行する前、第2の時間期間にわたり流体媒体内の1つ又は複数の微小物体をエンクロージャに維持するステップを更に含む、実施形態66〜70のいずれか1つに記載の方法。
72.マイクロ流体デバイスのエンクロージャは、少なくとも1つの隔離囲いを含む、実施形態66〜71のいずれか1つに記載の方法。
73.1つ又は複数の微小物体は、少なくとも1つの隔離囲い内の基板の表面に配置及び/又は維持される、実施形態72に記載の方法。
74.選択された離散領域を照明するステップは、約1mW〜約1000mWの範囲の入射電力を有する照明で照明することを含む、実施形態66〜73のいずれか1つに記載の方法。
75.第1の時間期間は、約10マイクロ秒〜約3000ミリ秒又は約100ミリ秒〜約3分の範囲である、実施形態74に記載の方法。
76.照明するステップは、1つ又は複数の微小物体の少なくとも1つを照明することを含む、実施形態66〜75のいずれか1つに記載の方法。
77.第1の時間期間は、約10マイクロ秒〜約200ミリ秒の範囲であり、それにより、1つ又は複数の微小物体を除去するキャビテーション力を生成する、実施形態76に記載の方法。
78.1つ又は複数の微小物体が、エンクロージャ内の少なくとも1つの隔離囲い内に配置及び/又は維持される場合、選択された離散領域は、フロー領域への隔離囲いの基端開口部への先端の位置又は少なくとも1つの隔離囲いの中央位置にある、実施形態76又は77に記載の方法。
79.選択された離散領域は、1つ又は複数の微小物体に隣接した選択されたポイントである、実施形態66〜78のいずれか1つに記載の方法。
80.選択された離散領域を照明するステップは、照明を基板、壁のマイクロ流体回路材料、又は熱標的に向けることを含む、実施形態79に記載の方法。
81.熱標的は、金属堆積物、金属堆積物のパターン、又は表面上にパターン化された微小構造を含む、実施形態80に記載の方法。
82.熱標的は犠牲特徴を含む、実施形態80又は81に記載の方法。
83.1つ又は複数の微小物体は、エンクロージャ内の少なくとも1つの隔離囲い内に配置され、選択された離散領域は、フロー領域への少なくとも1つの隔離囲いの基端開口部の近くに配置される、実施形態79〜82のいずれか1つに記載の方法。
84.1つ又は複数の微小物体が、エンクロージャ内の少なくとも1つの隔離囲い内に配置される場合、選択された離散領域は、少なくとも1つの隔離囲いの画定に役立つマイクロ流体回路材料の選択されたポイントを含む、実施形態79〜82のいずれか1つに記載の方法。
85.1つ又は複数の微小物体が、エンクロージャ内の少なくとも1つの隔離囲い内に維持される場合、選択された離散領域は、少なくとも1つの隔離囲い内に配置される犠牲特徴を含む、実施形態79〜82のいずれか1つに記載の方法。
86.犠牲特徴はマイクロ流体回路材料を含む、実施形態85に記載の方法。
87.第1の時間期間は、10マイクロ秒〜200ミリ秒の範囲である、実施形態79〜86のいずれか1つに記載の方法。
88.選択された離散領域を照明するステップは、選択された離散領域内に又は隣接して配置される流体媒体の第1の部分を加熱し、それにより、キャビテーション力を生成することを更に含む、実施形態79〜87のいずれか1つに記載の方法。
89.方法は、流体媒体の第1の部分を加熱することと、持続的気泡を生成することであって、それにより、1つ又は複数の微小物体を囲む流体媒体の第2の部分を変位させる、持続的な気泡を生成することとを更に含む、実施形態79〜87のいずれか1つに記載の方法。
90.流体媒体の第2の部分を変位するステップは、照明の第1の期間中、流体媒体の循環流体フローを生成することを更に含む、実施形態89に記載の方法。
91.方法は、流体媒体の第1の部分を加熱することと、1つ又は複数の気泡を生成することであって、それにより、1つ又は複数の微小物体に向かう流体媒体の剪断流を生成する、気泡を生成することとを更に含む、実施形態79〜87のいずれか1つに記載の方法。
92.方法は、流体媒体の第1の部分を加熱することと、1つ又は複数の微小物体に向けて流れるように構成される複数の気泡を生成することと、複数の気泡の少なくとも1つの気泡のメニスカスを用いて1つ又は複数の微小物体に接触することとを更に含む、実施形態79〜87のいずれか1つに記載の方法。
93.第1の時間期間は約100ミリ秒〜約3000分の範囲である、実施形態89〜92のいずれか1つに記載の方法。
94.第1の期間は、約1000ミリ秒〜約2000ミリ秒の範囲である、実施形態91又は92に記載の方法。
95.1つ又は複数の微小物体が、エンクロージャ内の隔離囲い内に維持される場合、選択された離散領域は、隔離囲いの先端部を形成する壁の少なくとも一部を含み、壁は、フロー領域への基端開口部とは逆に位置決めされる、実施形態79〜94のいずれか1つに記載の方法。
96.1つ又は複数の微小物体がエンクロージャ内の隔離囲い内に配置される場合、選択された離散領域は、隔離囲いの変位力生成領域内に位置する、実施形態79〜94のいずれか1つに記載の方法。
97.前記1つ又は複数の微小物体は、前記隔離囲いの分離領域内に配置され、前記変位力生成領域は、前記分離領域に流体的に接続される、実施形態96に記載の方法。
98.前記1つ又は複数の微小物体を前記エンクロージャ内に配置される少なくとも1つの隔離囲いから搬出するステップを更に含む、実施形態66〜93のいずれか1つに記載の方法。
99.1つ又は複数の微小物体を少なくとも1つの隔離囲いから搬出するステップは、誘電泳動力を用いて1つ又は複数の微小物体を移動させることを含む、実施形態98に記載の方法。
100.1つ又は複数の微小物体をマイクロ流体デバイスのエンクロージャのフロー領域から搬出するステップを更に含む、実施形態66〜99のいずれか1つに記載の方法。
101.1つ又は複数の微小物体をフロー領域から搬出するステップは、流体フロー又は誘電泳動力を使用することを含む、実施形態100に記載の方法。
102.マイクロ流体デバイスのエンクロージャ内で流体媒体及び/又は流体媒体に含まれる微小物体を混合する方法であって、少なくとも1つの流体媒体及び/又は微小物体を含むマイクロ流体回路内のエンクロージャの表面に配置された熱標的に光源を集束させることであって、それにより、少なくとも1つの流体媒体の第1の部分を加熱する、集束させることと、マイクロ流体回路内に少なくとも1つの流体媒体の循環フローを誘導することであって、それにより、流体媒体及び/又は流体媒体内に配置された微小物体を混合する、誘導することとを含む、方法。
103.熱標的は、第1の位置において第2の流体チャネルに分岐するように構成されるとともに、第2の位置において第2の流体チャネルに再結合するようにも構成される第1のマイクロ流体チャネル内に配置され、熱標的はそれらの間の表面に配置される、実施形態102に記載の方法。
本開示の特定の実施形態及び応用例について本明細書に記載したが、これらの実施形態及び応用例は単なる例示であり、多くの変形が可能である。