以下、実施形態に係るシリンジポンプについて図面を参照して説明する。なお、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
<シリンジポンプの概要>
まずは、実施形態にかかるシリンジポンプ1の概要について、図1A〜図1Cを参照しながら説明する。図1Aは、実施形態に係るシリンジポンプ1の概要を示す斜視図であり、図1Bは、実施形態に係るシリンジポンプ1に注射器100をセットした状態を示す側面図であり、図1Cは、実施形態に係るスライダー20の外観を示す斜視図である。
シリンジポンプ1は、図1Bに示すように、リードスクリュー10と、スライダー20と、モータ30と、ギヤ群40と、ケース50と、を備える。詳細は後述するが、シリンジポンプ1では、モータ30が回転駆動することにより、スライダー20が進行方向Aに向かってスライド移動する。
モータ30は、たとえば、HB(ハイブリッド)ステッピングモータやPM(パーマネントマグネット)ステッピングモータなどである。ギヤ群40は、モータ30により発生された駆動力をリードスクリュー10に伝達する。
リードスクリュー10は、ケース50における所定の箇所に回転可能に軸支される。すなわち、リードスクリュー10は、回転軸L1を有する。そして、モータ30から、ギヤ群40を経由して駆動力が伝達されることにより、回転軸L1を軸に所定の回転方向に回転する。リードスクリュー10には、らせん溝が形成されている。リードスクリュー10の回転軸L1は、スライダー20の進行方向Aに沿って延びている。
ケース50は、モータ30やギヤ群40などを収容可能である。ケース50には、所定の凹部が形成された置き台51と、かかる置き台51に隣接するクランプ52とが設けられる。スライダー20と置き台51とは、対向する位置に設けられる。スライダー20は、動かない置き台51に対して近づく方向である進行方向Aに動く。
そして、置き台51に注射器100がセットされ、図1Aに示すクランプ52で注射器100の注射筒101が固定される。なお、クランプ52は、置き台51から離れる方向に移動可能であるとともに、図示しない付勢部で置き台51に近づく方向に付勢されている。
これにより、実施形態では、クランプ52で注射器100の注射筒101を固定することができる。また、注射器100がセットされる際、注射器100の押し子102の端部102aに当接するように、スライダー20が配置される。
たとえば、図1Cに示すように、スライダー20のカバー23には、進行方向A側の側面に押し子102の端部102aを収容可能であるスリット23aが形成される。そして、かかるスリット23aに円板状である押し子102の端部102aをはめ込むことにより、押し子102がスライダー20にセットされる。
ここで、スライダー20には、スリット23aで露出し、進行方向Aに向かって突出するピン24が備えられる。かかるピン24は、スライダー20内で進行方向Aと平行に移動可能に支持される。そして、押し子102の端部102aがスリット23aに収容された際に、ピン24は端部102aにより進行方向Aとは反対方向である方向Bに押される。
そして、スライダー20内には、ピン24が方向Bに移動したことを検知するセンサ25(図4A参照)が設けられる。すなわち、かかるセンサ25により、押し子102の端部102aがスリット23aにはめ込まれ、押し子102がスライダー20にセットされたことを検知することができる。ピン24およびセンサ25の詳細については後述する。
さらに、スリット23aには、かかるスリット23aの幅を調整するスペーサ26がピン24の周囲に設けられる。そしてかかるスペーサ26を回転させることにより、押し子102の端部102aの厚みが異なる注射器100であっても、問題なくスリット23aにはめ込むことができる。かかるスペーサ26を含むスリット幅調整機構の詳細については後述する。
シリンジポンプ1全体の説明に戻る。図1Bに示すように、モータ30からの駆動力によりリードスクリュー10が所定の回転方向に回転し、リードスクリュー10に連結される噛み合い部21が置き台51に近づく方向である進行方向Aにスライド移動する。これにより、押し子102が注射器100の注射筒101側に押圧され、かかる注射筒101に入った薬液が注射筒101の先端部101aから所定の箇所に注入される。
一方で、押し子102の端部102aに当接するようにスライダー20を移動させて配置する場合、スライダー20とリードスクリュー10とが連結されていると、スライダー20を手動で迅速に移動させることができない。
そこで、実施形態では、スライダー20に設けられる切替レバー22を操作して、噛み合い部21をスライダー20内で移動させることにより、リードスクリュー10に連結される状態(以下、「連結状態」とも呼称する。)とリードスクリュー10から切断される状態(以下、「切断状態」とも呼称する。)とを切り替えることができる。
<噛み合い部および切替レバーの構成>
つづいて、連結状態と切断状態とを切り替え可能に構成される噛み合い部21および切替レバー22の具体的な構成について、図2Aおよび図2Bを参照しながら説明する。なお、図2Aおよび図2Bにおいては、理解を容易にするため、噛み合い部21を覆うカバー23については図示していない。
図2Aは、リードスクリュー10と噛み合い部21とが噛み合って連結される状態を示した図である。噛み合い部21は、本体部21aと、ハーフナット21bと、付勢部21cとを含む。
矩形状の本体部21aには、リードスクリュー10の回転軸L1に沿って挿通される貫通孔21aaが形成される。かかる貫通孔21aaには、リードスクリュー10が挿通する。また、貫通孔21aaの内壁面のうち切替レバー22とは反対側の一面には、ハーフナット21bが固定される。そして、かかるハーフナット21bにおける切替レバー22側の面には、歯形状が形成される。
また、噛み合い部21には、バネなどで構成される付勢部21cが設けられる。付勢部21cは、たとえば、一端側が本体部21aに支持され、他端側がカバー23内の所定の位置に支持される。そして、かかる付勢部21cにより、噛み合い部21は、リードスクリュー10の回転軸L1に沿った方向とは異なる方向であり、切替レバー22に向かう方向である方向C(図では上方向)に付勢されている。
すなわち、付勢部21cによる方向Cへの付勢により、噛み合い部21は方向Cに向かって付勢される。これにより、ハーフナット21bがリードスクリュー10に当接して、噛み合い部21とリードスクリュー10とが噛み合っている状態(すなわち連結状態)が実現される。
また、噛み合い部21の方向C側には、切替レバー22が配置されている。切替レバー22は、噛み合い部21から離れて設けられる操作部22aと、噛み合い部21の近くに設けられる押圧部22bとを有する。また、切替レバー22には、操作部22aと押圧部22bとの間に軸支部22cが設けられる。そして、切替レバー22は、軸支部22cを軸にして回転可能に支持される。
図2Aに示す連結状態では、切替レバー22が作業者などにより操作されていないので、押圧部22bは噛み合い部21から方向Cに向けて押圧される。そして、切替レバー22は、軸支部22cを軸にして、操作部22aと押圧部22bとが回転方向R1に回転する。
図2Bは、リードスクリュー10と噛み合い部21とが離間して切断される状態を示した図である。上述の連結状態から切断状態に切り替えるには、たとえば作業者が切替レバー22の操作部22aを操作して、かかる操作部22aを回転方向R1とは反対の回転方向R2に向けて回転させる。すると、軸支部22cを軸にして、切替レバー22の押圧部22bも回転方向R2に向かって回転し、回転方向R2側に隣接する噛み合い部21を押圧する。
そして、付勢部21cによる方向Cへの付勢力より大きな力が押圧部22bから加わると、噛み合い部21は、方向Cとは反対方向である方向Dにむけて移動する。これにより、ハーフナット21bとリードスクリュー10とが離間して、噛み合い部21とリードスクリュー10とが噛み合っていない状態(すなわち切断状態)が実現される。
このように、実施形態によれば、かかる切断状態において、作業者は、スライダー20を手動で迅速に移動させて、押し子102の端部102aに当接するようにスライダー20を配置することができる。
なお、上述の切断状態において、スライダー20の配置が完了し、作業者が操作部22aへの操作をやめると、噛み合い部21が方向Cに付勢されることにより、ハーフナット21bがリードスクリュー10に当接する。これにより、噛み合い部21とリードスクリュー10とがふたたび噛み合っている状態(すなわち連結状態)となる。
<スライダーの内部構成>
つづいて、実施形態に係るスライダー20の内部構造について、図3〜図4Bを参照しながら説明する。図3は、実施形態に係るピン24の構造を示す斜視図である。
図3に示すように、ピン24は、円筒部24aを有する。そして、円筒部24aの進行方向A側には、R形状(たとえば、半球形状)を有する先端部24bが設けられる。かかる先端部24bは、図1Cに示したように、スリット23aで進行方向Aに向かって突出し、押し子102の端部102aと当接可能に配置される。
また、円筒部24aには、進行方向Aとは反対方向の方向B側から進行方向Aとは垂直方向に立上がる傾斜部24cが設けられる。そして、傾斜部24cは傾斜面24caを有する。かかる傾斜面24caは、進行方向A(すなわち、リードスクリュー10の回転軸L1)に対して傾斜する。具体的には、傾斜面24caは、進行方向Aに進むにしたがい、位置が円筒部24aに近づくように構成される。
また、円筒部24aには、方向B側における傾斜部24cとは異なる箇所から進行方向Aとは垂直方向に立上がり、さらに立ち上がった部位の先から進行方向Aに沿って円筒部24aの半分程度の長さで延びるセンサ感知部24dが設けられる。かかるセンサ感知部24dは、後述するセンサ25に隣接して配置される。センサ感知部24dの具体的な配置については後述する。
また、円筒部24aには、方向B側における傾斜部24cおよびセンサ感知部24dとは異なる箇所から壁状に立上がり、進行方向Aに沿って延びる回転規制部24eが設けられる。かかる回転規制部24eは、スライダー20内に進行方向Aに沿って形成される所定の溝部に摺動可能に配置され、ピン24が回転することを規制する。
図4Aは、実施形態に係るスライダー20の内部構造を示す斜視図であり、カバー23のうち進行方向A側のカバーを外した様子を示した図である。なお、図4Aは、切替レバー22が操作されておらず、かつ押し子102の端部102aがピン24の先端部24bに当接していない状態について示している。
図4Aに示すように、ピン24は、スライダー20内で進行方向Aに沿って配置される。そして、ピン24は、進行方向Aまたは方向Bに沿って摺動可能である。
また、切替レバー22には、上述の回転方向R2に沿って延伸する延伸部22dが設けられる。また、かかる延伸部22dの回転方向R2側には、先端にR形状(たとえば、半球形状)を有するレバー当接部22daが設けられる。そして、かかるレバー当接部22daが、ピン24の傾斜部24cにおける傾斜面24caに向かい合うように配置される。
センサ25は、ピン24に隣接して配置される。かかるセンサ25は、たとえば、略U字形状であり、U字の両端に発光部と光検知部とが設けられる。そして、センサ25は、発光部から発光された光が光検知部で検知されているか否かについての信号を出力する。なお、センサ25は略U字形状に限られず、たとえば、発光部と光検知部とが分割されていてもよい。
そして、センサ25の発光部と光検知部との間に、ピン24のセンサ感知部24dが配置される。図4Aに示すように、切替レバー22が操作されておらず、かつ押し子102の端部102aがピン24の先端部24bに当接していない状態では、センサ25の発光部と光検知部との間がピン24のセンサ感知部24dで遮られている。
ここで、実施形態では、押し子102の端部102aがピン24の先端部24bに当接すると、ピン24は押し子102の端部102aに押されて方向Bに摺動する。これにより、センサ感知部24dは、センサ25の発光部と光検知部との間から外れ、発光部と光検知部との間が遮られていないことを示す信号がセンサ25から外部に発信される。
したがって、実施形態によれば、センサ25から発信されるかかる遮られていないことを示す信号により、押し子102がスライダー20にセットされたことを検知することができる。
また、ピン24は、付勢部24f(図4B参照)により進行方向Aに付勢される。したがって、押し子102がスライダー20から外れると、ピン24は進行方向Aに向かって移動する。これにより、センサ感知部24dは、センサ25の発光部と光検知部との間を遮り、かかる遮られていることを示す信号がセンサ25から外部に発信される。
したがって、実施形態によれば、センサ25から発信されるかかる遮られていることを示す信号により、押し子102がスライダー20から外れたことを検知することができる。
一方で、実施形態では、図1Cに示したように、ピン24の先端部24bがスリット23aで進行方向Aに向かって突出していることから、押し子102の端部102aをスライダー20のスリット23aにはめ込む際に、突出する先端部24bが邪魔になる場合がある。
そこで、実施形態では、押し子102の端部102aをスライダー20のスリット23aにはめ込む際にも、ピン24の先端部24bがスリット23aで突出しないようにした。具体的な構成について、図4Bを参照しながら説明する。
図4Bは、実施形態に係るスライダー20の内部における各部材の動きを説明するための図である。上述したように、押し子102の端部102aをスライダー20のスリット23aにはめ込む際には、作業者が切替レバー22の操作部22aを操作して、かかる操作部22aを回転方向R2に向けて回転させる。
すると、切替レバー22の延伸部22dも回転方向R2に向かって回転し、先端のレバー当接部22daが向かい合うピン24の傾斜部24cにおける傾斜面24caを押圧する。ここで、傾斜面24caは、進行方向Aに進むにしたがい、位置が円筒部24aに近づくように構成されることから、レバー当接部22daに押圧されることにより、ピン24は方向Bに向かって摺動する。
すなわち、押し子102の端部102aをスライダー20のスリット23aにはめ込むため、作業者が切替レバー22の操作部22aを操作すると、ピン24が方向Bに向かって摺動する。これにより、操作部22aを操作した際に、ピン24の先端部24bがスリット23aで突出しないようにすることができる。したがって、押し子102の端部102aをスライダー20のスリット23aにはめ込む際に、突出する先端部24bが邪魔になることを抑制することができる。
ここまで説明したように、実施形態によれば、押し子102の検出機能と、押し子102をスライダー20にはめ込む際の作業性を向上させる機能とを、ギヤなどを用いることなく図3〜図4Bに示したシンプルな構成で実現することができる。
また、実施形態では、ピン24に回転規制部24eが設けられることにより、切替レバー22で傾斜部24cが押圧される際に、ピン24が押圧される方向に回転することを抑制することができる。
これにより、切替レバー22で傾斜部24cが押圧される際に、ピン24が回転してレバー当接部22daが傾斜面24caから外れることを抑制することができる。したがって、実施形態によれば、切替レバー22で傾斜部24cが押圧される際に、ピン24をより確実に方向Bに向かって摺動させることができる。
また、実施形態では、図3および図4Bに示すように、傾斜部24cの傾斜面24caが、切替レバー22の操作部22aに近づくにしたがい、方向Bに進むようにも構成されるとよい。これにより、切替レバー22の回転方向R2への円運動に伴って進むレバー当接部22daが傾斜面24caに当接する際に、方向Bに摺動するピン24の移動量を一定にすることができる。
なお、実施形態では、進行方向Aとは垂直な面に対する傾斜面24caの角度を15(°)以下にするとよい。これにより、切替レバー22でピン24を円滑に押圧することができる。
また、実施形態では、上述のように、レバー当接部22daがR形状を有するとよい。これにより、レバー当接部22daを傾斜面24caで円滑に滑らせながら、ピン24の傾斜部24cを押圧することができる。したがって、実施形態によれば、切替レバー22で傾斜部24cが押圧される際に、ピン24をよりスムーズに摺動させることができる。
<スリット幅調整機構の詳細>
つづいて、図5A〜図8を参照しながら、実施形態に係るスライダー20のスリット幅調整機構の詳細について説明する。実施形態に係るスリット幅調整機構は、スペーサ26(図5A参照)と、スペーサホルダ27(図6参照)と、付勢部28(図7参照)とで構成される。
また、かかるスペーサ26およびスペーサホルダ27には、スペーサ26が回転軸L2(図5A参照)で回転することにより、スペーサホルダ27に対する露出部26b(図5A参照)の位置を変化させる調整部が設けられる。まずはスペーサ26の構造について説明する。
図5Aは、実施形態に係るスペーサ26の構造を示す斜視図であり、図5Bは、実施形態に係るスペーサ26の構造を示す別の斜視図である。具体的には、図5Aはスペーサ26を進行方向A側から見た場合の斜視図であり、図5Bはスペーサ26を方向B側から見た場合の斜視図である。
図5Aに示すように、スペーサ26は、円筒状の収容部26aと、円筒状の露出部26bとを有し、かかる収容部26aと露出部26bとが進行方向Aに沿って積み重なるように構成される。詳細は後述するが、収容部26aはスペーサホルダ27(図6参照)に収容され、露出部26bはスペーサホルダ27から露出する。
スペーサ26のうち、方向B側の収容部26aは、進行方向A側の露出部26bよりも径が小さく、収容部26aと露出部26bとは、進行方向Aに沿って延びる所定の回転軸L2で中心軸が一致する。また、収容部26aおよび露出部26bの中心部には、回転軸L2に沿って延びる円孔であるピン挿入孔26cが形成される。そして、露出部26bには、ピン挿入孔26cから外周側に切り欠かれる一対の切欠部26dが形成される。
図5Bに示すように、露出部26bにおける収容部26a側には、リング状の面であり、スペーサホルダ27の当接面27d(図6参照)と向かい合う対向面26eが設けられる。そして、スペーサ26には、かかる対向面26eから方向Bに向かって突出する複数の凸部26fが形成される。
なお、実施形態では、凸部26fが対向面26eに4つ設けられており、対向面26eの中心に対してそれぞれ点対称な位置および形状になるように配置されている。
また、スペーサ26の収容部26aには、方向B側の縁部に外周に向かって突出するスナップフィット26gが設けられる。かかるスナップフィット26gは、進行方向Aに進むにしたがい、位置が回転軸L2から離れるように突出している。
また、スナップフィット26gに沿って収容部26aに溝部26hが形成されている。かかる溝部26hは、方向B側の縁部から進行方向Aに沿って延びる。これにより、スナップフィット26gは、回転軸L2に近づくようにたわむことができる。なお、実施形態では、スペーサ26にスナップフィット26gが一対設けられる。
つづいて、スペーサホルダ27の構造について、図6を参照しながら説明する。図6は、実施形態に係るスペーサホルダ27の構造を示す斜視図である。スペーサホルダ27は、円筒状の第1本体部27aと、円筒状の第2本体部27bとを有し、かかる第1本体部27aと第2本体部27bとが進行方向Aに沿って積み重なるように構成される。
スペーサホルダ27のうち、方向B側の第1本体部27aは、進行方向A側の第2本体部27bよりも径が小さく、第1本体部27aと第2本体部27bとは、進行方向Aに沿って延びる所定の回転軸L2で中心軸が一致する。また、第1本体部27aおよび第2本体部27bの中心部には、回転軸L2に沿って延びる円孔であるスペーサ挿入孔27cが形成される。
また、第2本体部27bには、進行方向A側でスペーサ26の凸部26fに当接するリング状の当接面27dが設けられる。そして、かかる当接面27dには、異なる深さを有する複数の凹部27e1、27e2、27e3が周方向に並んで形成される。たとえば、実施形態では、凹部27e1が最も深い凹部であり、凹部27e3が最も浅い凹部である。
また、複数の凹部27e1、27e2、27e3は、それぞれスペーサ26の凸部26fと係合可能な形状を有する。なお、実施形態では、凹部27e1、27e2、27e3がそれぞれ当接面27dに4つずつ設けられており、当接面27dの中心に対してそれぞれ点対称な位置および形状になるように配置されている。
また、スペーサホルダ27の第1本体部27aには、方向B側の縁部から進行方向Aに沿って延びる溝部27f、27gおよび27hが形成される。
図7は、実施形態に係るスリット幅調整機構の内部構造を示す透過斜視図である。図7に示すように、スペーサ26の収容部26aは、スペーサホルダ27のスペーサ挿入孔27c(図6参照)に進行方向A側から方向Bに向かって挿通され、かかるスペーサ挿入孔27cに収容される。
また、スペーサホルダ27に収容されたスペーサ26は、スペーサホルダ27のスペーサ挿入孔27c内において、スペーサホルダ27の第2本体部27bとスペーサ26のスナップフィット26gとの間に配置される付勢部28により、方向Bに付勢される。
なお、かかる付勢部28は、たとえばバネなどで構成され、スペーサ26の収容部26aがスペーサホルダ27のスペーサ挿入孔27cに収容された後、スペーサホルダ27のスペーサ挿入孔27cに方向B側から進行方向Aに向かって挿通される。そして、付勢部28における方向B側の端部が、スナップフィット26gで係止される。
このように、スペーサ26の収容部26aにスナップフィット26gを設けて、かかるスナップフィット26gで付勢部28を係止することにより、付勢部28を容易にスペーサ挿入孔27c内に収容させることができるとともに、一度セットした付勢部28をスペーサ挿入孔27c内で保持することができる。なぜなら、付勢部28を収容する際に、スナップフィット26gは回転軸L2に近づくようにたわむことができるからである。
またこの際、スペーサ26の凸部26fは、スペーサホルダ27の凹部27e1、27e2、27e3のうちいずれかに係合される。たとえば、図7に示す例では、スペーサ26の凸部26fがスペーサホルダ27の凹部27e3に係合されている。
また、上述のようにスペーサ26がスペーサホルダ27に対して方向Bに付勢されていることから、スペーサ26の凸部26fは、係合されるスペーサホルダ27の凹部27e1、27e2、27e3のいずれかに押しつけられる。
ここで、実施形態のスリット幅調整機構では、回転軸L2を軸にスペーサ26を所定の回転方向R3に回転させることにより、スペーサホルダ27に対するスペーサ26の突出量を調整することができる。詳細について、図8を参照しながら説明する。
図8は、実施形態に係るスリット幅調整機構の動きを示す斜視図である。図8の(a)では、スペーサ26の凸部26fがスペーサホルダ27の凹部27e1に係合された状態である。
そして、たとえば、スペーサ26のピン挿入孔26cに設けられる一対の切欠部26dにマイナスドライバをはめ込んで、回転軸L2を軸にスペーサ26を所定の回転方向R3に回転させると、スペーサ26の凸部26fは、凹部27e1に隣接する凹部27e2に向かって移動し、かかる凹部27e2と係合する(図8の(b))。
ここで、凹部27e2は凹部27e1より深さが浅いことから、図8の(b)に示すように、スペーサ26はスペーサホルダ27に対して進行方向A側に突出する。
さらに、回転軸L2を軸にスペーサ26を所定の回転方向R3に回転させると、スペーサ26の凸部26fは、凹部27e2に隣接する凹部27e3に向かって移動し、かかる凹部27e3と係合する(図8の(c))。
ここで、凹部27e3は凹部27e2よりさらに深さが浅いことから、図8の(c)に示すように、スペーサ26はスペーサホルダ27に対してさらに進行方向A側に突出する。
さらに、回転軸L2を軸にスペーサ26を所定の回転方向R3に回転させると、スペーサ26の凸部26fは、凹部27e3に隣接する凹部27e1に向かって移動し、かかる凹部27e1と係合して、図8の(a)に示した状態に戻る。
ここまで説明したように、実施形態では、回転軸L2を軸にスペーサ26を所定の回転方向R3に回転させることにより、スペーサホルダ27に対するスペーサ26の突出量を調整することができる。これにより、図1Cに示したスライダー20におけるスリット23aの幅を調整することができる。
なお、実施形態では、凹部27e1、27e2、27e3には、回転方向R3にのみ回転し反対方向には回転しないような斜面が形成されている。これにより、スペーサ26が回転方向R3とは反対の方向に回転することを規制することができる。なお、凹部27e1、27e2、27e3にかかる斜面を形成せず、回転方向R3とは反対の方向にスペーサ26を回転可能に構成してもよい。
ここまで説明したように、実施形態では、スペーサ26に形成される凸部26fと、スペーサホルダ27に形成される複数の凹部27e1、27e2、27e3とにより、スペーサホルダ27に対する露出部26bの位置を変化させる調整部が構成される。
さらに、実施形態では、スペーサ26の収容部26aをスペーサホルダ27のスペーサ挿入孔27cに収容するとともに、かかるスペーサ挿入孔27c内に収容された付勢部28で、スペーサ26をスペーサホルダ27に対して方向Bに付勢する。
これにより、スペーサホルダ27の方向B側に付勢部を設ける必要がなくなることから、スライダー20内に十分なスペースを確保することができる。したがって、実施形態では、スライダー20に新たな機能を付与することができる。
たとえば、図7に示すように、スペーサホルダ27の方向B側に上述のピン24と切替レバー22(図示せず)とを配置することができる。したがって、実施形態によれば、スリット幅調整機構が設けられたスライダー20に対して、上述した押し子102の検出機能と、押し子102をスライダー20にはめ込む際の作業性を向上させる機能とを付与することができる。
図7におけるその他の部位について説明する。ピン24の円筒部24a(図3参照)は、付勢部28がスペーサ挿入孔27cに収容された後に、スペーサ挿入孔27cに収容されたスペーサ26のピン挿入孔26cに、方向B側から進行方向Aに向かって挿通される。
ここで、ピン24の円筒部24aは円柱状であり、中心軸が回転軸L2と一致することから、ピン24が挿通された場合でも、スペーサ26は問題なく所定の回転方向R3に回転することができる。そして、ピン24の先端部24bが、スペーサ26のピン挿入孔26cから突出する。
また、ピン24がスペーサ26のピン挿入孔26cに挿通される際に、ピン24の傾斜部24cがスペーサホルダ27の溝部27fに進行方向Aに沿って摺動可能に配置される。また、ピン24の回転規制部24eが、スペーサホルダ27の溝部27gに進行方向Aに沿って摺動可能に配置される。さらに、ピン24のセンサ感知部24dが、スペーサホルダ27の溝部27h(図6参照)に進行方向Aに沿って摺動可能に配置される。
これにより、切替レバー22で傾斜部24cが押圧される際に、ピン24が押圧される方向に回転することを抑制することができる。
なお、上述のように、一対の切欠部26dにマイナスドライバをはめ込んで、スペーサ26を所定の回転方向R3に回転させる場合、ピン24は方向Bに摺動可能であることから、一対の切欠部26dにマイナスドライバを問題なくはめ込むことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。たとえば、実施形態では、スペーサ26に一対の切欠部26dが設けられ、かかる一対の切欠部26dにマイナスドライバをはめ込むなどして、スペーサ26を所定の回転方向R3に回転させる場合について示したが、スペーサ26を所定の回転方向R3に回転させる方法はかかる場合に限られない。
また、実施形態では、3種類の深さを有する凹部27e1〜27e3がスペーサホルダ27に形成される例について示したが、スペーサホルダ27に形成される凹部の深さの種類は3種類に限られない。
以上のように、実施形態に係るシリンジポンプ1は、リードスクリュー10と、スライダー20と、スペーサ26と、スペーサホルダ27と、調整部と、付勢部28とを備える。スライダー20は、外面に形成されたスリット23aが注射器100の押し子102と嵌まり合い、リードスクリュー10の回転に伴い所定の進行方向Aにスライド移動して押し子102を押圧する。スペーサ26は、スライダー20のスリット23aに露出する露出部26bを有し、進行方向Aに沿った回転軸L2で回転する。スペーサホルダ27は、回転軸L2に沿った円孔であるスペーサ挿入孔27cが形成され、スペーサ挿入孔27c内でスペーサ26を回転可能に保持する。調整部は、スペーサ26が回転軸L2で回転することにより、スペーサホルダ27に対する露出部26bの位置を変化させる。付勢部28は、スペーサホルダ27のスペーサ挿入孔27c内に配置され、スペーサホルダ27に対してスペーサ26を進行方向Aとは反対の方向Bに付勢する。これにより、スペーサホルダ27の方向B側に十分なスペースが得られることから、スライダー20に新たな機能を付与することができる。
また、実施形態に係るシリンジポンプ1において、調整部は、スペーサ26の露出部26bの進行方向Aとは反対側の面(対向面26e)に形成される凸部26fと、凸部26fに当接するスペーサホルダ27の当接面27dに形成され、異なる深さを有し周方向に並んで配置される複数の凹部27e1、27e2、27e3とで構成される。これにより、スペーサホルダ27に対する露出部26bの位置を簡便に変化させることができる。
また、実施形態に係るシリンジポンプ1において、スペーサ26は、スペーサホルダ27のスペーサ挿入孔27cに収容される収容部26aにスナップフィット26gが設けられ、スナップフィット26gが付勢部28に係合することにより、進行方向Aとは反対の方向Bに付勢される。これにより、付勢部28を容易にスペーサ挿入孔27c内に収容させることができるとともに、一度セットした付勢部28をスペーサ挿入孔27c内で保持することができる。
また、実施形態に係るシリンジポンプ1において、スペーサ26には、回転軸L2に沿った円孔であるピン挿入孔26cが形成され、ピン挿入孔26cにピン24が挿入される。これにより、押し子102の検出機能を有するピン24をスリット幅調整機構に設けることができる。
また、実施形態に係るシリンジポンプ1において、ピン24は、スリット23aが押し子102と嵌まり合う際に押し子102に押圧されて回転軸L2に沿って移動することにより、注射器100がスライダー20にセットされたことを検知する検知部の一部として機能する。これにより、スリット幅調整機構が設けられたスライダー20に押し子102の検出機能を付与することができる。
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。