JP6961753B1 - 延線用治具、電線・ケーブル及び電線・ケーブルの延線方法 - Google Patents
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Description
そのため、ケーブルグリップを電線・ケーブルに被せて長手方向に引っ張ることで電線・ケーブルを牽引して延線することができる。
中間引き型ケーブルグリップ20は、ワイヤネット21と複数の引手部22とを備えて構成されており、引手部22を引っ張るとワイヤネット21が収縮して電線・ケーブル10を締め付けるため、電線・ケーブル10を牽引して延線することができる。
そして、例えば電線・ケーブル10を図中左側に引っ張って延線する場合、第2の電線・ケーブル12を図中左側に引っ張ると、接続部13に負荷が掛かり接続部13での接続が破壊されてしまい導通不良になる可能性がある。そのため、このような場合には、第1の電線・ケーブル11を第2の電線・ケーブル側12に引っ張ることで電線・ケーブル10を延線することになっている。
特に第2の電線・ケーブル12に巻きぐせが残っていると、第2の電線・ケーブル12の先端Aが、図18(A)に示すようにラック100等に引っ掛かったり、図18(B)に示すようにラック100の裏面側に潜り込んだりするため、延線をスムーズに行えなくなる。
しかし、こうした場合、第2の電線・ケーブル12の先端Aはそのまま図中左向きに進んでしまうため、電線・ケーブル10全体をラック100に沿って引っ張ることができない。
しかし、第2の電線・ケーブル12に張力が加わり、接続部13に負荷が掛かってしまうことになる。
接続部を介して第2の電線・ケーブルと接続されている第1の電線・ケーブルを前記第2の電線・ケーブル側に引っ張って延線する際に用いられる延線用治具において、
前記第1の電線・ケーブルに取り付けられる中間引き型ケーブルグリップと、
前記中間引き型ケーブルグリップに取り付けられ、前記第2の電線・ケーブル側に延びるように配置された牽引具と、
少なくとも前記第2の電線・ケーブルの先端又は先端の近傍の部分に固定され、前記牽引具を、当該牽引具との間に隙間ができる状態で保持する保持具と、
を備えることを特徴とする。
前記保持具は、前記牽引具が挿通される筒状部材を有しており、
前記筒状部材が、少なくとも前記牽引具の1か所で前記第2の電線・ケーブルの先端又は先端の近傍の部分に固定具で固定されており、かつ、前記第2の電線・ケーブルに沿うように配設されていることを特徴とする。
前記固定具は、先端側が半球状、半長球状又は略錐体状に閉塞されており、
前記第2の電線・ケーブルの先端が前記固定具内に収容されることを特徴とする。
第1の電線・ケーブルと第2の電線・ケーブルとが接続部を介して接続されて形成された電線・ケーブルの延線方法において、
前記第1の電線・ケーブルに中間引き型ケーブルグリップを取り付け、
少なくとも前記第2の電線・ケーブルの先端又は先端の近傍の部分に固定された保持具で、牽引具を、当該牽引具との間に隙間ができる状態で保持し、
前記牽引具を前記中間引き型ケーブルグリップに取り付けて延線用治具を形成し、
前記牽引具を牽引して前記第1の電線・ケーブルを前記第2の電線・ケーブル側に引っ張ることで前記電線・ケーブルを延線する
ことを特徴とする。
また、以下の各図では、電線・ケーブル10が1本の電線・ケーブルで構成されている場合を示すが、電線・ケーブル10は、例えば3本の電線・ケーブルを撚り合わせるなどして束ねたものであってもよい。
本実施形態では、牽引具3は、延線用ロープで構成されており、以下、延線用ロープ3として説明するが、他の形態であってもよい。
以下、構成例をいくつか示して具体的に説明する。
図1は、本実施形態に係る延線用治具の構成例1を表す斜視図であり、図2は、構成例1の延線用治具が取り付けられた電線・ケーブルを表す斜視図である。図2では、構成例1の延線用治具が取り付けられた電線・ケーブル10がラック100上に配置された状態が示されている。
そして、中間引き型ケーブルグリップ2の引手部には、アイ金具5を介して延線用ロープ3(牽引具3)が取り付けられており、延線用ロープ3は、第2の電線・ケーブル12側に延びるように配置されている。
また、延線用ロープ3には、少なくとも第2の電線・ケーブル12の先端A又は先端Aの近傍の部分に固定され、延線用ロープ3を、当該延線用ロープ3との間に隙間ができる状態で保持する保持具4が挿通されている。
筒状部材41は、延線用ロープ3の1か所で固定具42により第2の電線・ケーブル12の先端Aやその近傍の部分に固定されており、かつ、第2の電線・ケーブル12に沿うように(すなわち筒状部材41の軸方向が第2の電線・ケーブル12の長手方向に略平行になるように)配設されている。
保持具4は、筒状部材41に挿通された延線用ロープ3をこのような状態で保持するようになっている。
なお、第2の電線・ケーブル12の先端Aには、先端Aを保護するためのキャップ14が取り付けられている。
このように構成すれば、図5(A)に示すように固定具42の各部分42aを開いて固定具42内に第2の電線・ケーブル12を入れると、図5(B)に示すように各部分42aがバネ付き蝶番42bにより閉じる方向に付勢されて第2の電線・ケーブル12を把持する状態になる。そのため、固定具42が第2の電線・ケーブル12に固定され、固定具42を介して筒状部材41を第2の電線・ケーブル12に固定することができる。
そのため、この構成例1によれば、第2の電線・ケーブル12を引っ張らないため接続部13に負荷を掛けることなく、電線・ケーブル10を延線することが可能となる。
さらに、第2の電線・ケーブル12に巻きぐせが残っていても、第2の電線・ケーブル12の先端Aが保持具4に保持されているため、第2の電線・ケーブル12の先端Aを強制的に延線用ロープ3の動きに追従して移動させることができる。
そのため、この構成例1によれば、例えば電線・ケーブル10をラック100上で延線する際、延線用ロープ3をラック100から多少離れた状態で牽引することで、延線用ロープ3に追従して移動する第2の電線・ケーブル12の先端Aがラック100やラック100上の他の設置物等に引っ掛かったりラック100の裏面側に潜り込んだりすることなく、電線・ケーブル10をスムーズに、かつ、接続部13に負荷を掛けることなく延線することが可能となる。
その際、上記と同様に、第2の電線・ケーブル12には少なくともその長手方向には力が加わらないため、接続部13には負荷が掛らない。
そのため、この構成例1によれば、このように電線・ケーブル10全体をラック100から引き出したりラック100が湾曲しているような場合でも、電線・ケーブル10をスムーズに、かつ、接続部13に負荷を掛けることなく延線することが可能となる。
また、上記の延線用治具1において、例えば図6に示すように、保持具4の固定具42を長手方向に長く延びるように形成することも可能である。なお、図6では、延線用治具1が取り付けられた電線・ケーブル10がラック100上に配置された状態が示されている。
保持具4の固定具42を長手方向に長く延びるように形成する場合、図6に示すように、保持具4の固定具42を第2の電線・ケーブル12に固定し、長手方向に長く延びるように形成された固定具42の複数か所に、筒状部材41が取り付けられた複数のリング状の固定具42Aを固定するように構成する。
その際、図7(B)に示した固定具42の長手方向の後端部に巻き付けられたテープ43等が接続部13に掛かってもよい。
以上のように構成すれば、筒状部材41が第2の電線・ケーブル12に沿うように配設されるようになり、第2の電線・ケーブル12の先端Aがより確実に延線用ロープ3の動きに追従して移動する状態になる。そのため、接続部13を有する電線・ケーブル10を延線する際に、接続部13に負荷を掛けることなく、スムーズに延線することが可能となる。
保持具4の固定具42が可撓性を有していないと、例えば上記のようにラック100が湾曲しており、延線用ロープ3も曲がっている所で、保持具4の固定具42が延線用ロープ3に追従して曲がることができなくなるなど、電線・ケーブル10の延線作業に支障が生じ得るが、保持具4の固定具42が可撓性を有していれば、このような問題を生じることなく、電線・ケーブル10をスムーズに延線することが可能となる。
また、上記のように長手方向に長く延びるように形成された固定具42を用いる代わりに、例えば図8に示すように、長手方向に長く延びるように形成された筒状部材41の所定の箇所を固定具42で固定し、筒状部材41に延線用ロープ3を挿通して構成することも可能である。
そして、この場合も、筒状部材41に蛇腹を設けるように構成すれば、筒状部材41が可撓性を有するようになり、長手方向に長く延びるように形成された筒状部材41が延線用ロープ3に追従して曲がることが可能となり、電線・ケーブル10をスムーズに延線することが可能となる。
なお、上記の構成例1〜3では、第2の電線・ケーブル12の先端Aは、保持具4の固定具42より先で外部に露出されており、先端Aにキャップ14が取り付けられている場合について説明した。
しかし、このように構成する代わりに、例えば図9(A)に示すように、固定具42の先端側を半球状に閉塞するように構成して、第2の電線・ケーブル12の先端Aを固定具42内に収容するように構成することも可能である。
なお、半長球状とは、長球体(楕円体)をその長軸方向に2等分した場合の片方の形状をいう。
また、保持具4の固定具42の先端が半球状等に形成されているため、例えば電線・ケーブル10をラック100上で延線する際に、第2の電線・ケーブル12の先端Aやそれを収容する保持具4の固定具42の先端がラック100やラック100上の他の設置物等に引っ掛かることなく、電線・ケーブル10をスムーズに、かつ、接続部13に負荷を掛けることなく延線することが可能となる。
そのため、固定具42が第2の電線・ケーブル12から抜けにくくなる。
その際、固定具42に、筒状部材41が取り付けられたリング状の固定具42Aを固定したり(図10(A)参照)、筒状部材41を固定具42にテープ巻きする(図10(B)参照)などして、筒状部材41を固定具42に取り付けるように構成することが可能である。
このように止め具50を取り付ければ、止め具50に阻まれて筒状部材41が移動できなくなるため、固定具42が第2の電線・ケーブル12から抜けることを防止することができる。なお、止め具50は専用の器具である必要はなく、例えば作業現場にある把手等を用いることができる。また、延線用ロープ3に止め具50を取り付ける場合は、図11に示したテープ43等の巻き付けは必ずしも行わなくてもよい。
また、図12に示すように、例えば保持具4の固定具42の先端等に引き寄せ具44を取り付ける等して設け、引き寄せ具44で、延線用ロープ3を第2の電線・ケーブル12の中心に向かう方向に引き寄せて固定するように構成することも可能である。
このように構成すれば、引き寄せ具44で延線用ロープ3を第2の電線・ケーブル12の中心に向かう方向に引き寄せて、延線用ロープ3を、第2の電線・ケーブル12を収容する保持具4の固定具42の先端に近づけることができる。
なお、この場合、「第2の電線・ケーブル12の中心」とは、第2の電線・ケーブル12が1本の電線・ケーブルである場合には、その円形断面の中心をいう。また、複数本の電線・ケーブルを撚り合わせたものである場合にはそれらの外接円の中心をいう。
一方、図6や図7(A)、(B)では、長手方向に長く延びるように形成された固定具42の複数か所に筒状部材41が取り付けられた複数のリング状の固定具42Aを固定するように構成した場合について説明したが、例えば、図13(A)に示すように、リング状に形成した固定具42Aを、第2の電線・ケーブル12に直接固定するように構成することも可能である。
また、例えば上記のようにラック100が湾曲していても、延線用ロープ3が曲がる所で第2の電線・ケーブル12が延線用ロープ3に追従して確実に曲がる。そのため、電線・ケーブル10を引っ張ってスムーズに延線することが可能となる。また、長手方向に長く延びるように形成された固定具42が不要になるため、延線用治具1の保持具4の構成が非常に単純になる。
次に、本実施形態に係る電線・ケーブル10の延線方法について説明する。
なお、以下では、上記の構成例1(図2等参照)の場合を例示して本実施形態に係る電線・ケーブル10の延線方法について説明するが、上記の構成例2〜6等の場合でも同様に説明される。
本実施形態に係る電線・ケーブル10の延線方法は、上記のように、第1の電線・ケーブル11と第2の電線・ケーブル12とが接続部13を介して接続されて形成された電線・ケーブル10の延線方法である。
そして、(C)延線用ロープ3(牽引具)を、第1の電線・ケーブル11に取り付けた中間引き型ケーブルグリップにアイ金具5を介して取り付ける。このようにして本実施形態に係る延線用治具1を形成する。
なお、上記の(A)〜(C)の順番は適宜変更可能である。
このようにして電線・ケーブル10を延線すれば、上記の本実施形態に係る延線用治具1の効果が効果的に発揮され、接続部13を有する電線・ケーブル10を延線する際に、接続部13に負荷を掛けることなく、スムーズに延線することが可能となる。
以上のように、本実施形態に係る延線用治具、電線・ケーブル及び電線・ケーブルの延線方法によれば、第1の電線・ケーブル11と第2の電線・ケーブル12とが接続部13を介して接続されて形成された電線・ケーブル10を、第1の電線・ケーブル11を第2の電線・ケーブル12側に引っ張って延線する際に、第2の電線・ケーブル12を引っ張ることがないため、接続部13に負荷を掛けることがない。
また、第2の電線・ケーブル12やその先端Aが牽引具(延線用ロープ3)に追従して移動するようになるため、例えば電線・ケーブル10をラック100上で延線する際に、第2の電線・ケーブル12の先端Aがラック100やラック100上の他の設置物等に引っ掛かったりラック100の裏面側に潜り込んだりすることがなく、電線・ケーブル10をスムーズに延線することが可能となる。
そのため、例えば電線・ケーブル10全体をラック100から引き出す場合でも、牽引具(延線用ロープ3)がラック100の湾曲部分に取り付けられたケーブルローラーに従って向きを変える際に第2の電線・ケーブル12やその先端Aがそれに追従してスムーズに向きを変える。また、ラック100が曲がっていて、それに沿って延線する場合も、牽引具(延線用ロープ3)に追従して第2の電線・ケーブル12やその先端Aがスムーズに向きを変える。そのため、そのような場合でも、接続部13に負荷を掛けることなく、電線・ケーブル10をスムーズに延線することが可能となる。
例えば、上記の実施形態では、電線・ケーブル10の接続部13で分岐がない場合について説明したが、電線・ケーブル10の接続部13で分岐がある場合(すなわち接続部13から分岐線が出ている場合)についても本発明を適用することができる。
このように構成すれば、電線・ケーブル10を延線する際に分岐線が第2の電線・ケーブル12とともに移動するようになるため、例えば電線・ケーブル10をラック100上で延線する際に、分岐線がラック100やラック100上の他の設置物等に引っ掛かったりラック100の裏面側に潜り込んだりすることがなく、電線・ケーブル10をスムーズに延線することが可能となる。
このように構成することで、電線・ケーブル10が1本の電線・ケーブルで構成されている場合について説明した上記の実施形態における有益な作用効果を、電線・ケーブル10が複数の電線・ケーブルを束ねて構成されている場合においても全く同様に発揮させることが可能となる。
2 中間引き型ケーブルグリップ
3 延線用ロープ(牽引具)
4 保持具
10 電線・ケーブル
11 第1の電線・ケーブル
12 第2の電線・ケーブル
13 接続部
41 筒状部材
42 固定具
42A リング状の固定具(固定具)
44 引き寄せ具
A 第2の電線・ケーブルの先端
Claims (10)
- 接続部を介して第2の電線・ケーブルと接続されている第1の電線・ケーブルを前記第2の電線・ケーブル側に引っ張って延線する際に用いられる延線用治具において、
前記第1の電線・ケーブルに取り付けられる中間引き型ケーブルグリップと、
前記中間引き型ケーブルグリップに取り付けられ、前記第2の電線・ケーブル側に延びるように配置された牽引具と、
少なくとも前記第2の電線・ケーブルの先端又は先端の近傍の部分に固定され、前記牽引具を、当該牽引具との間に隙間ができる状態で保持する保持具と、
を備えることを特徴とする延線用治具。 - 前記牽引具は、延線用ロープであることを特徴とする請求項1に記載の延線用治具。
- 前記保持具は、前記牽引具が挿通される筒状部材を有しており、
前記筒状部材が、少なくとも前記牽引具の1か所で前記第2の電線・ケーブルの先端又は先端の近傍の部分に固定具で固定されており、かつ、前記第2の電線・ケーブルに沿うように配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の延線用治具。 - 前記固定具は、可撓性を有していることを特徴とする請求項3に記載の延線用治具。
- 前記固定具は、先端側が半球状、半長球状又は略錐体状に閉塞されており、
前記第2の電線・ケーブルの先端が前記固定具内に収容されることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の延線用治具。 - 前記固定具に、前記牽引具を前記第2の電線・ケーブルの中心に向かう方向に引き寄せる引き寄せ具が設けられていることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の延線用治具。
- 前記固定具は、リング状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の延線用治具。
- 前記筒状部材は、可撓性を有していることを特徴とする請求項3に記載の延線用治具。
- 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載された延線用治具が取り付けられた電線・ケーブル。
- 第1の電線・ケーブルと第2の電線・ケーブルとが接続部を介して接続されて形成された電線・ケーブルの延線方法において、
前記第1の電線・ケーブルに中間引き型ケーブルグリップを取り付け、
少なくとも前記第2の電線・ケーブルの先端又は先端の近傍の部分に固定された保持具で、牽引具を、当該牽引具との間に隙間ができる状態で保持し、
前記牽引具を前記中間引き型ケーブルグリップに取り付けて延線用治具を形成し、
前記牽引具を牽引して前記第1の電線・ケーブルを前記第2の電線・ケーブル側に引っ張ることで前記電線・ケーブルを延線する
ことを特徴とする電線・ケーブルの延線方法。
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