JP6895720B2 - 分岐付ケーブル及びその布設方法 - Google Patents
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Description
中高層ビルに布設された分岐付ケーブルの幹線ケーブルは、その上端部が最上階付近に固定されて鉛直向きに懸架され、その途中部分が中途の階に適宜支持固定されており、各支線ケーブルが各階に引き込まれて分電盤に接続されている。
また、幹線ケーブルの下端部は、下層階を通って、各階の分電盤に電源を供給する配電盤に接続されている。
そして、近年のビルの中高層化に伴い、中高層ビルの受電容量が大容量化している。それに応じて分岐付ケーブルのサイズも大型化し、ケーブルの重量が増大する傾向にある。そのため、分岐付ケーブルを吊り上げてビル内に敷設する施工コストも増大する傾向にある。
一方、現在広く普及している分電盤や配電盤は、銅導体との接続を前提に設計されているため、アルミニウム導体を接続する場合には異種金属接触腐食が問題となる。つまり、その接続箇所に結露が生じるなどして水分が介在すると、アルミニウム導体が損傷してしまうので、分電盤等での結露・湿気対策が必要になる。
その場合、途中部分を環状にして束取りを行ったり、他の経路を迂回させるなどして長さを調節する方法もあるが、束取りしたケーブルの設置スペースを確保できない場合には、横引き幹線の一部を切除して長さを調節する必要がある。
しかし、途中部分に工場で高品質で形成された接続部を有するケーブルを使用する場合、横引き幹線の配電盤側の端部を切除すると、切除する長さによっては、銅導体のケーブルが全て切除されてしまい、異種金属接触腐食の問題が解決できなくなってしまう。また、横引き幹線の途中部分を切除して長さを調整しようとすると、新たに接続部を形成する必要があるが、この場合は、工場で事前に形成された接続部を避けて中間接続部を形成しなければならず、他の構造物が先にある場合は、作業スペースや設置スペースを確保することが難しかった。
建造物の上層階から下層階に渡って配設するための幹線ケーブルと、前記幹線ケーブルに分岐接続された複数の支線ケーブルとを備えている分岐付ケーブルであって、
前記幹線ケーブルは、一端部を前記上層階において懸架するための第1幹線ケーブルと、前記第1幹線ケーブルの他端部と電源とを電気的に接続するための第2幹線ケーブルとを有しており、
前記支線ケーブルは、前記第1幹線ケーブルに接続されており、
前記第1幹線ケーブルの導体の材料がアルミニウム又はアルミニウム合金であり、
前記第2幹線ケーブルは、
導体の材料がアルミニウム又はアルミニウム合金であって、前記第1幹線ケーブルと接続可能な主ケーブルと、
導体の材料が銅、銅合金、銀若しくは銀合金のいずれかである金属又は銅、銅合金、銀、銀合金、錫、錫合金若しくはニッケルのいずれかからなる被覆層で覆われた金属であって、電源に接続するための副ケーブルと、
前記主ケーブルの一端部側の導体と前記副ケーブルの一端部側の導体とを連結した連結体と、これらの導体と前記連結体とを封止樹脂で被覆した被覆絶縁体とを有する幹線ケーブル接続部とを備え、
前記第1幹線ケーブルの導体が連結され、前記第2幹線ケーブルの主ケーブルの導体を挿入するための開口部を有する、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる導体接続管が前記第1幹線ケーブルの前記他端部に設けられていることにより、前記第1幹線ケーブルの前記他端部と前記第2幹線ケーブルとが接続可能であることを特徴とする。
前記導体接続管の開口部の内側に導電性のコンパウンドが内包されていることを特徴とする。
建造物の上層階から下層階に渡って配設するための幹線ケーブルと、前記幹線ケーブルに分岐接続された複数の支線ケーブルとを備えている分岐付ケーブルであって、
前記幹線ケーブルは、一端部を前記上層階において懸架するための第1幹線ケーブルと、前記第1幹線ケーブルの他端部と電源とを電気的に接続するための第2幹線ケーブルとを有しており、
前記支線ケーブルは、前記第1幹線ケーブルに接続されており、
前記第1幹線ケーブルの導体の材料がアルミニウム又はアルミニウム合金であり、
前記第2幹線ケーブルの導体の材料が銅若しくは銅合金である金属又は銅若しくは銅合金からなる被覆層で覆われた金属であり、
前記第1幹線ケーブルの導体が連結され、前記第2幹線ケーブルの導体を挿入するための開口部を有する、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる導体接続管が前記第1幹線ケーブルの前記他端部に設けられていることにより、前記第1幹線ケーブルの前記他端部と前記第2幹線ケーブルとが接続可能であり、
前記導体接続管の開口部の内側には錫又はニッケルの被覆層が施されており、
前記導体接続管の一方の端部の外周面から前記第1幹線ケーブルの他端部の最外周の外周面にかけて形成された被覆絶縁体と、
前記被覆絶縁体の前記第2幹線ケーブル側の端部の外周面から前記第2幹線ケーブルの端部の最外周の外周面にかけて形成された補強絶縁層とを備え、
前記被覆絶縁体は、拡径部と前記第2幹線ケーブル側の端部に前記拡径部よりも薄い等径部を有することを特徴とする。
前記第1幹線ケーブルの他端部と前記導体接続管の間をシールする被覆絶縁体を備えることを特徴とする。
前記導体接続管が取り付けられている端部を前記下層階側にして前記第1幹線ケーブルを懸架状態で布設する第1幹線ケーブル布設工程と、
前記第2幹線ケーブルを布設する第2幹線ケーブル布設工程と、
前記第2幹線ケーブルの電源側とは逆側の端部を切除して長さを調節する長さ調節工程と、
長さ調節後の前記第2幹線ケーブルの電源側とは逆側の端部の導体を前記導体接続管の開口部に挿入接続する幹線ケーブル連結工程とを、順番に行うことを特徴とする。
前記導体接続管が取り付けられている端部を前記下層階側にして前記第1幹線ケーブルを懸架状態で布設する第1幹線ケーブル布設工程と、
前記第2幹線ケーブルを布設する第2幹線ケーブル布設工程と、
前記第2幹線ケーブルの電源側とは逆側の端部を切除して長さを調節する長さ調節工程と、
長さ調節後の前記第2幹線ケーブルの電源側とは逆側の端部の導体を前記導体接続管の開口部に挿入接続する幹線ケーブル連結工程とを、順番に行い、
前記第2幹線ケーブル布設工程以前に、
前記第2幹線ケーブルの前記幹線ケーブル接続部の形成作業を、予め、前記分岐付きケーブルの布設作業現場とは異なる場所で行う接続部形成工程、及び、
前記幹線ケーブル接続部の形成後の前記第2幹線ケーブルを前記布設作業現場に搬入する搬入工程を行うことを特徴とする。
図1は、本実施形態の分岐付ケーブル100を示す外観図である。
分岐付ケーブル100は、例えば、図1に示すように、幹線ケーブル150と、幹線ケーブル150に分岐接続された複数の支線ケーブル110とを備えている。
分岐付ケーブル100は、中高層ビルに電力を供給するためのケーブルであり、例えば、中高層ビルの階数に応じた本数の支線ケーブル110が幹線ケーブル150に接続されている。
前記幹線ケーブルは、一端部を上にして懸架される第1幹線ケーブル50を有する。その懸架の一態様として、分岐付ケーブル100は、幹線ケーブル150(第1幹線ケーブル50)の上端部(一端部)に取り付けられた吊り下げ治具100aによって、最上階(上層階)側の天井1に固定されている。なお、幹線ケーブル150(第1幹線ケーブル50)の途中部分は、各階の壁面などに適宜支持固定されている。
幹線ケーブル150は、主たる第1幹線ケーブル50と、第1幹線ケーブル50の下端部(他端部)に設けられた導体接続管40に接続することができる第2幹線ケーブル60とを有している。
第1幹線ケーブル50は、上端部が吊り下げ治具100aに沿って懸架された縦引き幹線であって、幹線ケーブル150の半分以上を占める長さを有している。実際には、幹線ケーブル150の大部分(例えば、90%以上)を占める長さを有している。
この第1幹線ケーブル50の導体51の材料には、アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられている(図3参照)。
導体51は、複数の素線が撚り合わされてなる。例えば、導体51は、素線を19本撚りした断面積が100mm2の導体である。この導体51は絶縁材料からなる絶縁層52で覆われている。なお、絶縁層52は図示しないシースにより覆われていてもよい。
図2は第1幹線ケーブル50の下端部に設けられた導体接続管40の斜視図、図3は導体接続管40について第1幹線ケーブル50の中心線方向に沿った断面を示した断面図である。
この導体接続管40は、アルミニウム又はアルミニウム合金製の円管状であって、両端部にそれぞれ開口部41,42が形成されており、一端部側の開口部41には、第1幹線ケーブル50の下端部の絶縁層52が除去されて露出した導体51が挿入されている。第1幹線ケーブル50の下端部の導体51は、導体接続管40の一端部に対する圧縮、圧着によるかしめ、ボルト締め、溶接又はハンダ付けなどにより接続されている。
また、他端部側の開口部42は、第2幹線ケーブル60の後述する主ケーブル61の導体62を挿入することを予定して形成されている。導体接続管40は円管状なので、第2幹線ケーブル60の主ケーブル61の絶縁層63を除去して露出させた導体62を開口部42に挿入し、外から例えば圧縮すれば、第2幹線ケーブル60を容易に接続することが可能である。
なお、導体接続管40の一方の開口部41と他方の開口部42とは、隔壁43により仕切られており、開口部41,42同士は連通しておらず、開口部41,42間での水分の移動も発生しない。
この被覆絶縁体45の内側には、図示しないシール層が形成されている。このシール層はブチルゴムを主成分とした自己融着性の混和物であり、水密性及び絶縁性を有し、導電性のコンパウンドに対して反応が生じない材料からなる。このシール層と被覆絶縁体45とによって、第1幹線ケーブル50の下端部及び導体接続管40の一端部の内側の水分の侵入を防いでいる。また、シール層は、導電性のコンパウンドの漏れも防止している。
このような形状となっているのは、導体接続管40の他端部に第2幹線ケーブル60が接続されると、第2幹線ケーブル60側の等径部47から第2幹線ケーブル60の端部にかけて絶縁テープの巻き付けにより新たに補強絶縁層49が形成されるからである(図7参照)。等径部47を薄くすることで、第2幹線ケーブル60を圧縮接続する際の妨げとなることを防ぐことが出来る。補強絶縁層49は、絶縁シートやレジン、収縮チューブ又はパテでも形成しても良い。
上記第1幹線ケーブル50の下端部の導体51に対する導体接続管40の一端部取り付け及び被覆絶縁体45のモールド加工は、ケーブル布設作業の前に、第1幹線ケーブル50の下端部及び導体接続管40の開口部41内への水分の侵入を厳格に防止することが可能であって、温度、湿度などの品質管理の行き届いた工場等の理想的な環境下で、酸化被膜を除去するブラッシングやコンパウンドの塗布と共に行われている。そして、被覆絶縁体45が形成され、導体接続管40が接続された第1幹線ケーブル50が、布設対象の建造物に搬入されてから、第1幹線ケーブル50の布設作業が行われるようになっている。
なお、被覆絶縁体45の両端部(等径部46,47)の内周は、それぞれ、第1幹線ケーブル50の絶縁層52の外周及び導体接続管40の外周と密接しているが、これらの間には水密用の接着材を介挿させて内部への水分の侵入をより厳重に防ぐ構造とすることが望ましい。
なお、上記の環境下で被覆絶縁体45を形成する場合には、モールド加工に限らず、絶縁テープや絶縁シートの巻き付け作業、レジンや収縮チューブ又はパテにより形成しても良い。
従って、第1幹線ケーブル50は、布設後しばらく第2幹線ケーブル60が未接続の状態が続くことになるが、第1幹線ケーブル50の下端部には導体接続管40と被覆絶縁体45とが設けられているので、第1幹線ケーブル50の下端部から導体51の内部への水分の侵入を効果的に抑止することが可能である。
第2幹線ケーブル60は、幹線ケーブル150を既存の電源設備である配電盤101に電気的に接続するために、第1幹線ケーブル50の下端部に接続されている。
この第2幹線ケーブル60は、導体接続管40を介して第1幹線ケーブル50と接続可能な主ケーブル61と、配電盤101に接続するための副ケーブル64と、主ケーブル61の一端部側の導体62と副ケーブル64の一端部側の導体65とを連結する幹線ケーブル接続部67とを備えている。
主ケーブル61は、アルミニウム又はアルミニウム合金製の導体62と、この導体62を被覆する絶縁材料からなる絶縁層63とからなる。また、絶縁層63は図示しないシースにより覆われていてもよい。
主ケーブル61の導体62は、複数の素線が撚り合わされてなる。
副ケーブル64は、銅又は銅合金製の導体65と、この導体65を被覆する絶縁材料からなる絶縁層66とからなる。また、この絶縁層66も図示しないシースにより覆われていてもよい。
導体65は、銅又は銅合金製の複数の素線が撚り合わされてなる。例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金製の導体62の断面積を100mm2とすると、導体65は、断面積が60mm2の導体である。
ここで、銅の導電率を100とした場合、アルミニウムの導電率は約60であるので、副ケーブル64の銅製の導体65と主ケーブル61のアルミニウム製の導体62とで略同じ通電容量を得るために導体62,65の抵抗を等しくするには、アルミニウム製の導体62の断面積に対し、銅製の導体65の断面積は約60%でよい。
幹線ケーブル接続部67は、主ケーブル61の導体62の一端部と副ケーブル64の導体65の一端部とを圧縮、圧着といったかしめ、ボルト締め、溶接又はハンダ付け等の接続方法により連結した連結体68と、主ケーブル61の絶縁層63の一端部から副ケーブル64の絶縁層66の一端部にかけて、導体62,65及び連結体68とを被覆する被覆絶縁体69とを備えている。
従って、アルミニウム又はアルミニウム合金製の主ケーブル61の導体62とアルミニウム又はアルミニウム合金製の連結体68とが電気的に良好に導通する。
従って、主ケーブル61の導体62と副ケーブル64の導体65は連結体68を介して電気的に良好に導通する。
なお、連結体68の一方の開口部と他方の開口部との間には隔壁を設けてもよい。
連結体68による主ケーブル61及び副ケーブル64の導体62,65の圧縮等の接続ならびに被覆絶縁体69のモールド加工は、水分の侵入を厳格に防止することが可能であって、温度、湿度などの品質管理の行き届いた工場等の理想的な環境下でケーブル布設作業の前に行われている。
従って、布設現場でのケーブル接続を行う場合に比べて、異種金属接続における水分の侵入による腐食をより長期にわたって効果的に防止することが可能である。
なお、上記の環境下で被覆絶縁体69を形成する場合には、モールド加工に限らず、絶縁テープや絶縁シートの巻き付け作業、レジンや収縮チューブ又はパテにより形成しても良い。
また、被覆絶縁体69の両端部の内周には水密用の接着材を介挿させて内部への水分の侵入をより厳重に防ぐ構造とすることが望ましい。
分岐付ケーブル100の支線ケーブル110は、中高層ビルの各階に引き込んで分電盤に接続するためのケーブルである。
支線ケーブル110は、一端部が第1幹線ケーブル50に接続された第1支線ケーブル10と、第1支線ケーブル10の他端部に接続された第2支線ケーブル20を有している。
この第1支線ケーブル10の導体11の材料には、アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられている。
導体11は、複数の素線が撚り合わされてなる。導体11は、例えば、断面積が60mm2の導体である。この導体11は絶縁材料からなる絶縁層12で覆われている。なお、絶縁層12は図示しないシースにより覆われていてもよい。
この第2支線ケーブル20の導体21の材料には、銅又は銅合金が用いられている。
導体21は、複数の素線が撚り合わされてなる。導体21は、断面積が38mm2の導体である。この導体21は絶縁材料からなる絶縁層22で覆われている。なお、絶縁層22は図示しないシースにより覆われていてもよい。
ここで、銅の導電率を100とした場合、アルミニウムの導電率は約60であるので、銅製の導体とアルミニウム製の導体とで略同じ通電容量を得るために導体の抵抗を等しくするには、アルミニウム製の導体の断面積に対し、銅製の導体の断面積は約60%でよい。
従って、第1幹線ケーブル50の導体51と第1支線ケーブル10の一端側の導体11とは電気的に良好に導通する。
なお、この被覆絶縁体80の内側にも、水密性及び絶縁性を有し、導電性のコンパウンドに対して反応が生じないブチルゴムを主成分とした自己融着性の混和物からなるシール層を形成することが望ましい。
なお、この被覆絶縁体80からなる絶縁層は、樹脂のモールド加工に限らず、絶縁テープや絶縁シートの巻き付け作業、レジンや収縮チューブ又はパテにより形成しても良い。
支線ケーブル接続部30は、第1支線ケーブル10の導体11の一端部と第2支線ケーブル20の導体21の一端部とを圧縮、圧着といったかしめ、ボルト締め、溶接又はハンダ付け等の接続方法により連結する連結体31と、第1支線ケーブル10の絶縁層12の一端部から第2支線ケーブル20の絶縁層22の一端部にかけて、導体11,21及び連結体31とを被覆する被覆絶縁体32とを備えている。
従って、第1支線ケーブル10の導体11と第2支線ケーブル20の導体21とは電気的に良好に導通する。
なお、連結体31における、第1支線ケーブル10の導体11が挿入される開口部と第2支線ケーブル20の導体21が挿入される開口部との間には隔壁が設けられている。
被覆絶縁体32は、上記形状を形成するための金型にポリ塩化ビニル、ポリエチレンやEPゴムその他の絶縁性と防水性を有する樹脂を供給するモールド加工によって形成されている。
連結体31による第1及び第2支線ケーブル10,20の導体11,21の圧縮等の接続ならびに被覆絶縁体32のモールド加工は、温度、湿度などの品質管理の行き届いた水分の侵入を厳格に防止することが可能な工場等の理想的な環境下でケーブル布設作業の前に行われている。
従って、布設現場でのケーブル接続を行う場合に比べて、異種金属接続における水分の侵入による腐食をより長期にわたって効果的に防止することが可能である。
なお、被覆絶縁体32の両端部の内周には水密用の接着材を介挿させて内部への水分の侵入をより厳重に防ぐ構造とすることが望ましい。
また、上記の環境下で被覆絶縁体32を形成する場合には、モールド加工に限らず、絶縁テープや絶縁シートの巻き付け作業、レジンや収縮チューブ又はパテにより形成しても良い。
一方、第2支線ケーブル20は、既存の設備である分電盤に接続する際に切断される余長も見込んで長さ調整されている。
同様に、第2幹線ケーブル60の主ケーブル61も経路の迂回等が生じる場合を考慮して十分な余長を見込んで長さ調整されている。
上記構成からなる分岐付きケーブル100の布設方法について図1〜図3及び図6,図7に基づいて説明する。図6は第1幹線ケーブル50と第2幹線ケーブル60の接続前の状態、図7は接続後の状態を示す斜視図である。
なお、第2幹線ケーブル60の両端部は、製造後から布設作業を行うまでの間、ケーブルキャップを被せて保護しておくことが望ましい。
また、同様に、上記工場において、第1支線ケーブル10における支線ケーブル接続部30とは逆側の端部の導体11は、第1幹線ケーブル50において絶縁層52が部分的に除去されて露出した導体51に対して分岐コネクタ70により接続され、さらに、被覆絶縁体80の樹脂によるモールド加工を行う
なお、上記接続部形成工程、導体接続管接続工程、支線接続工程は、いずれの順番で行っても良い。
まず、第2幹線ケーブル60及び複数の支線ケーブル110が接続された状態の第1幹線ケーブル50に対して、導体接続管40側の端部を下にした状態でその逆側の端部をビルの最上階まで引き上げて、最上階側の天井1に固定された吊り下げ治具100aに連結し、第1幹線ケーブル50を懸架状態とする(第1幹線ケーブル布設工程)。
第1幹線ケーブル50の導体接続管40に対する第2幹線ケーブル60との接続は第1幹線ケーブル50の布設から期間をおいて行われる場合があるので、導体接続管40の開口部42の内側に対して、導電性のコンパウンドの内包と共に又は内包に替えて、錫又はニッケルのメッキ処理、ワセリンの塗布を行っても良い。これらは出荷の前段階で行っても良いし、第1幹線ケーブル50の布設時に行っても良い。
そして、第2幹線ケーブル60の副ケーブル64における幹線ケーブル接続部67とは逆側の端部において、絶縁層66を除去して導体65を露出させ、当該露出した導体65の端部を配電盤101の接続端子に接続する。
従って、第2幹線ケーブル60の主ケーブル61における幹線ケーブル接続部67とは逆側の端部(電源側とは逆側の端部)を切断して、第1幹線ケーブル50に接続された導体接続管40の開口部42に連結するために丁度良い長さに調節する(長さ調節工程)。
なお、開口部42には導電性のコンパウンド44が内包されていることを前述したが、このコンパウンド44は、主ケーブル61の導体62を開口部42に挿入するまでに内包させればよい。また、開口部42内に導電性のコンパウンド44を内包させる際には、その前に当該開口部42の内側と主ケーブル61の導体62とをそれぞれ研磨して酸化皮膜を除去しておくことが望ましい。
これにより、導体接続管40と第2幹線ケーブル60の主ケーブル61との間の絶縁処理に加えて防水処理を施すことができる。
以上のように、分岐付きケーブル100では、第2幹線ケーブル60が、導体62の材料がアルミニウム又はアルミニウム合金である主ケーブル61と導体62の材料が銅又は銅合金であって配電盤101に接続される副ケーブル64と、これらを連結する連結体68を封止樹脂で被覆した被覆絶縁体69とを備え、連結体68による連結作業と封止樹脂による被覆絶縁体69のモールド加工を品質管理の行き届いた工場等の理想的な環境下で行っているので、被覆絶縁体69の内部への水分の侵入を抑えて異種金属接続による腐食の発生を効果的に抑制する性能を安定的に得ることができる。
従って、第1幹線ケーブル50と第2幹線ケーブル60の主ケーブル61の導体51,62をアルミニウム又はアルミニウム合金としてケーブル全体の軽量化を実現しつつ、配電盤101との接続における異種金属接続による腐食の発生を低減することができ、発熱を効果的に抑制することが可能となる。
このため、第2幹線ケーブル60が大きく余りを生じた場合でも、第2幹線ケーブル60の配電盤側ではなく第1幹線ケーブル50側の端部(主ケーブル61)を切除して長さを調節することが可能となる。これにより、長さ調節作業において、銅の導体を有する副ケーブル64側を残すことができるので、配電盤101との異種金属接続による腐食を抑制し得る構造を維持することが可能である。
このため、第1幹線ケーブル50の布設時期から第2幹線ケーブル60の布設時期までに隔たりがある場合でも、布設作業を中断している第1幹線ケーブル50の導体51内への水分等の侵入を防ぐことが可能である。
そして、第1幹線ケーブル50の布設と第2幹線ケーブル60の布設とを別々の時期に行うことができるので、第2幹線ケーブル60の布設の際に、主ケーブル61側の端部を切除することで第2幹線ケーブル60の長さ調節を行うことが可能となる。
導体接続管及び第2幹線ケーブルが上記とは異なる分岐付きケーブルを第2実施形態として、図8に基づいて説明する。なお、この第2実施形態では、第1実施形態の分岐付きケーブル100と異なる点のみについて説明する。
従って、第1幹線ケーブル50と第2幹線ケーブルを連結する際には、導体接続管40Aの開口部42に対して、第2幹線ケーブルの端部から露出させられた銅又は銅合金からなる導体が挿入され、圧縮等により連結される。また、連結後は、補強絶縁層49が形成される点は同じである。
導体接続管及び第2幹線ケーブルが上記とは異なる分岐付きケーブルを第3実施形態として、図9及び図10に基づいて説明する。なお、この第3実施形態では、第2に実施形態の分岐付きケーブルと異なる点である導体接続管40Bのみについて説明する。
なお、この第3実施形態の分岐付きケーブルの第2幹線ケーブルの導体も全長に渡って銅又は銅合金の導体を有している。
即ち、導体接続管40Bにおける開口部41B側の半分は、第1幹線ケーブル50の導体51と同じアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、開口部42B側の半分は、第2幹線ケーブルの導体と同じ材料、即ち銅又は銅合金から形成されている。
この導体接続管40Bの形成は、温度、湿度などの品質管理の行き届いた工場等の理想的な環境下で行われるので、開口部41B側の半分と開口部42B側の半分の圧着面に水分等が侵入せず、長期にわたって異種金属による腐食の発生を抑制することができる。また、第1幹線ケーブル50の絶縁層52の下端部から導体接続管40の一方の端部にかけて形成される被覆絶縁体45は、少なくとも導体接続管40Bにおける異種金属間の境界部分の外周を覆う位置まで形成して、当該境界部分に水分が侵入しないようにすることが望ましい。
次に、本発明に係る分岐付ケーブルの第4実施形態について説明する。なお、第1〜3実施形態と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
その場合、銀若しくは銀合金からなる導体を使用しても良い。
また、或いは、銅又は銅合金ではない他の金属材料からなる導体の表面を覆うように、銅、銅合金、銀、銀合金、錫、錫合金又はニッケルからなる被覆層を設けてもよい。
その場合、第2の導体接続管40Aについては、被覆層42aを電気化学的に、アルミニウムと変更した他の金属材料又は導体の被覆層の材料の中間の電位を持つ金属材料とすべきである。
また、第2の導体接続管40Bの開口部42B側の半分については変更した他の金属材料又は導体の被覆層の材料と同一材料としてもよい。
なお、導体接続管40の各開口部41,42に対するよる第1幹線ケーブル50の導体51及び第2幹線ケーブル60の主ケーブル61の導体62の接続は、圧縮接続に限らず、かしめ、ボルト締め、溶接又はハンダ付け等、電気的に良好に導通する他の方法を用いても良い。
導体接続管40A,40Bについても異種金属による腐食を抑えられる範囲でこれらに変更可能である。
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
11,21 導体
12,22 絶縁層
20 第2支線ケーブル
30 支線ケーブル接続部
31 連結体
32 被覆絶縁体
40,40A,40B 導体接続管
41,41B,42,42B 開口部
42a 被覆層
43 隔壁
44 導電性のコンパウンド
45 被覆絶縁体
49 補強絶縁層
50 第1幹線ケーブル
51,62 導体
60 第2幹線ケーブル
61 主ケーブル
62 導体
64 副ケーブル
65 導体
67 幹線ケーブル接続部
68 連結体
69 被覆絶縁体
70 分岐コネクタ
80 被覆絶縁体
100 分岐付ケーブル
101 配電盤(電源)
102 分電盤
110 支線ケーブル
150 幹線ケーブル
Claims (6)
- 建造物の上層階から下層階に渡って配設するための幹線ケーブルと、前記幹線ケーブルに分岐接続された複数の支線ケーブルとを備えている分岐付ケーブルであって、
前記幹線ケーブルは、一端部を前記上層階において懸架するための第1幹線ケーブルと、前記第1幹線ケーブルの他端部と電源とを電気的に接続するための第2幹線ケーブルとを有しており、
前記支線ケーブルは、前記第1幹線ケーブルに接続されており、
前記第1幹線ケーブルの導体の材料がアルミニウム又はアルミニウム合金であり、
前記第2幹線ケーブルは、
導体の材料がアルミニウム又はアルミニウム合金であって、前記第1幹線ケーブルと接続可能な主ケーブルと、
導体の材料が銅、銅合金、銀若しくは銀合金のいずれかである金属又は銅、銅合金、銀、銀合金、錫、錫合金若しくはニッケルのいずれかからなる被覆層で覆われた金属であって、電源に接続するための副ケーブルと、
前記主ケーブルの一端部側の導体と前記副ケーブルの一端部側の導体とを連結した連結体と、これらの導体と前記連結体とを封止樹脂で被覆した被覆絶縁体とを有する幹線ケーブル接続部とを備え、
前記第1幹線ケーブルの導体が連結され、前記第2幹線ケーブルの主ケーブルの導体を挿入するための開口部を有する、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる導体接続管が前記第1幹線ケーブルの前記他端部に設けられていることにより、前記第1幹線ケーブルの前記他端部と前記第2幹線ケーブルとが接続可能であることを特徴とする分岐付きケーブル。 - 前記導体接続管の開口部の内側に導電性のコンパウンドが内包されていることを特徴とする請求項1記載の分岐付きケーブル。
- 建造物の上層階から下層階に渡って配設するための幹線ケーブルと、前記幹線ケーブルに分岐接続された複数の支線ケーブルとを備えている分岐付ケーブルであって、
前記幹線ケーブルは、一端部を前記上層階において懸架するための第1幹線ケーブルと、前記第1幹線ケーブルの他端部と電源とを電気的に接続するための第2幹線ケーブルとを有しており、
前記支線ケーブルは、前記第1幹線ケーブルに接続されており、
前記第1幹線ケーブルの導体の材料がアルミニウム又はアルミニウム合金であり、
前記第2幹線ケーブルの導体の材料が銅若しくは銅合金である金属又は銅若しくは銅合金からなる被覆層で覆われた金属であり、
前記第1幹線ケーブルの導体が連結され、前記第2幹線ケーブルの導体を挿入するための開口部を有する、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる導体接続管が前記第1幹線ケーブルの前記他端部に設けられていることにより、前記第1幹線ケーブルの前記他端部と前記第2幹線ケーブルとが接続可能であり、
前記導体接続管の開口部の内側には錫又はニッケルの被覆層が施されており、
前記導体接続管の一方の端部の外周面から前記第1幹線ケーブルの他端部の最外周の外周面にかけて形成された被覆絶縁体と、
前記被覆絶縁体の前記第2幹線ケーブル側の端部の外周面から前記第2幹線ケーブルの端部の最外周の外周面にかけて形成された補強絶縁層とを備え、
前記被覆絶縁体は、拡径部と前記第2幹線ケーブル側の端部に前記拡径部よりも薄い等径部を有することを特徴とする分岐付きケーブル。 - 前記第1幹線ケーブルの他端部と前記導体接続管の間をシールする被覆絶縁体を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の分岐付きケーブル。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載の分岐付きケーブルの布設方法であって、
前記導体接続管が取り付けられている端部を前記下層階側にして前記第1幹線ケーブルを懸架状態で布設する第1幹線ケーブル布設工程と、
前記第2幹線ケーブルを布設する第2幹線ケーブル布設工程と、
前記第2幹線ケーブルの電源側とは逆側の端部を切除して長さを調節する長さ調節工程と、
長さ調節後の前記第2幹線ケーブルの電源側とは逆側の端部の導体を前記導体接続管の開口部に挿入接続する幹線ケーブル連結工程とを、順番に行うことを特徴とする分岐付きケーブルの布設方法。 - 請求項1又は2記載の分岐付きケーブルの布設方法であって、
前記導体接続管が取り付けられている端部を前記下層階側にして前記第1幹線ケーブルを懸架状態で布設する第1幹線ケーブル布設工程と、
前記第2幹線ケーブルを布設する第2幹線ケーブル布設工程と、
前記第2幹線ケーブルの電源側とは逆側の端部を切除して長さを調節する長さ調節工程と、
長さ調節後の前記第2幹線ケーブルの電源側とは逆側の端部の導体を前記導体接続管の開口部に挿入接続する幹線ケーブル連結工程とを、順番に行い、
前記第2幹線ケーブル布設工程以前に、
前記第2幹線ケーブルの前記幹線ケーブル接続部の形成作業を、予め、前記分岐付きケーブルの布設作業現場とは異なる場所で行う接続部形成工程、及び、
前記幹線ケーブル接続部の形成後の前記第2幹線ケーブルを前記布設作業現場に搬入する搬入工程を行うことを特徴とする分岐付きケーブルの布設方法。
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