JP6961532B2 - 光電変換素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換素子に関する。
光電変換素子として、安価で、高い光電変換効率が得られることから色素を用いた光電変換素子が注目されている。
このような色素を用いた光電変換素子として、下記特許文献1に記載の色素増感太陽電池素子が知られている。この色素増感太陽電池素子は、基板と、少なくとも1つの光電変換セルとを備えており、光電変換セルは、基板上に設けられる第1透明導電層と、第1透明導電層に対向する対向基板と、第1透明導電層及び対向基板を接合させる封止部とを有している。そして、基板上であって第1透明導電層の外側には、第2透明導電層が設けられており、第2透明導電層と第1透明導電層との間には溝が形成されている。
特開2014−211951号公報(図10)
しかし、上記特許文献1に記載の色素増感太陽電池素子は以下の課題を有していた。
すなわち、上記特許文献1に記載の色素増感太陽電池素子は耐久性の向上の点で改善の余地を有していた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、耐久性を向上させることができる光電変換素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、第1基板と、前記第1基板の一面上に設けられる導電部と、前記第1基板の一面上で前記導電部の周囲に沿って設けられる周辺部とを有し、前記導電部が電極を有する光電変換素子であって、光電変換セルを有し、前記光電変換セルが、前記電極と、前記電極に対向する第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板を接合させる封止部とを有し、前記導電部と前記周辺部とは絶縁溝を介して配置され、前記光電変換素子を前記第1基板の前記一面に直交する方向に見た場合に、前記封止部の少なくとも一部が前記絶縁溝と重なるように配置され、前記周辺部が、前記絶縁溝に連通し前記絶縁溝から前記周辺部の外周縁まで延びる少なくとも1本の分断溝によって複数の分断周辺部に分断されている、光電変換素子である。
この光電変換素子によれば、第1基板において絶縁溝に沿って微細なクラックが形成される場合がある。この場合、絶縁溝にクラックを通して空気中の水分が溜まっても、その水分は絶縁溝から分断溝を通って周辺部の外周縁まで押し出されて排出される。すなわち分断溝が水分の逃げ道となる。このため、水分が絶縁溝から封止部を通って光電変換セルの内側に侵入することが十分に抑制される。その結果、本発明の光電変換素子は、周辺部が少なくとも1本の分断溝によって複数の分断周辺部に分断されていない場合に比べて、耐久性を向上させることができる。
上記光電変換素子においては、前記分断溝が、前記光電変換セルの前記封止部の外周縁の外側で前記周辺部に形成されていることが好ましい。
この場合、光電変換セルの封止部の外側で、絶縁溝に溜まった水分が、分断溝を通って周辺部の外周縁まで押し出される。すなわち、水分が封止部の外周縁より内側に入る前に、水分の量が低減される。このため、光電変換素子は、分断溝が光電変換セルの封止部の外周縁の外側で周辺部に形成されていない場合に比べて、耐久性をより十分に向上させることができる。
上記光電変換素子においては、前記絶縁溝が、前記分断溝と交差する少なくとも1つの交差部を有し、前記交差部が、複数の前記分断溝同士が交差する分断溝交差部を含むことが好ましい。
この場合、絶縁溝の交差部の分断溝交差部で複数の分断溝が交差するため、水分が絶縁溝の分断溝交差部において、1つの分断溝のみから排出されるのではなく複数の分断溝から排出される。このため、絶縁溝の分断溝交差部において絶縁溝からの水分の排出をより十分に促進することができる。
上記光電変換素子は、前記第1基板の一面上に設けられる絶縁材をさらに有し、前記少なくとも1本の分断溝が、前記絶縁材が全部に入り込む第1分断溝と、前記絶縁材が全部に入り込まない第2分断溝で構成されることが好ましい。
この場合、絶縁材で全部覆われた第1分断溝への水分の侵入を十分に抑制しつつ、第2分断溝で絶縁溝からの水分の排出を促進することができる。
本発明によれば、耐久性を向上させることができる光電変換素子が提供される。
本発明の光電変換素子の第1実施形態を示す平面図である。 図1のII−II線に沿った断面図である。 図1の光電変換素子における導電部及び周辺部のパターンを示す平面図である。 実施例2の光電変換素子を示す平面図である。 実施例3の光電変換素子を示す平面図である。 実施例4の光電変換素子を示す平面図である。 実施例5の光電変換素子を示す平面図である。 比較例1の光電変換素子を示す平面図である。
以下、本発明の光電変換素子の好適な実施形態について図1〜図3を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の光電変換素子の第1実施形態を示す平面図、図2は、図1のII−II線に沿った断面図、図3は、図1の光電変換素子における導電部及び周辺部のパターンを示す平面図である。
図1〜図3に示すように、光電変換素子100は、第1基板としての透明基板11と、透明基板11の一面11a上に設けられる導電部12と、透明基板11の一面11a上で導電部12の周囲に沿って設けられる周辺部60とを有する導電性基板15を備えている。導電部12は、電極12Aと、電極12Aと離間して配置される第1電流取出し部12Bと、電極12Aと一体となっており、第1電流取出し部12Bと離間して配置される第2電流取出し部12Cとを有する。なお、図3に示すように、導電部12は2点鎖線で囲まれた領域である。
導電部12と周辺部60とは絶縁溝90を介して配置されている。また、導電部12において、第1電流取出し部12Bと、電極12A及び第2電流取出し部12Cとは、内部絶縁溝90Aを介して配置されている。
周辺部60は、絶縁溝90に連通し絶縁溝90から周辺部60の外周縁60aまで延びる複数の分断溝91(以下、必要に応じて分断溝91a〜91gと呼ぶ)によって複数の分断周辺部60A〜60Hに分断されている。絶縁溝90は分断溝91と交差する複数の交差部92を有し、交差部92は、交差部92a,92b,92d,92e、92gで構成されている。これらの交差部92のうち、交差部92b及び92eは、複数の分断溝同士が交差する分断溝交差部となっており、分断溝交差部92bでは複数の分断溝91b、91cが交差しており、分断溝交差部92eでは分断溝91e、91fが交差している。一方、残部の分断溝91a、91d、91gはそれぞれ単独で交差部92a、92d、92gと交差している。ここで、分断溝91a,91b,91f,91gは分断溝91c,91d,91eよりも短くなっている。また分断溝91a〜91gはいずれも封止部30の外周縁30aの外側で周辺部60に形成されている(図1参照)。
光電変換素子100は、1つの光電変換セル(以下、単に「セル」と呼ぶ)50を備えている。
セル50は、電極12Aと、電極12A上に設けられる酸化物半導体層13と、電極12Aに対向する第2基板としての対極20と、透明基板11及び対極20を接合させる封止部30と、電極12Aと対極20との間で封止部30によって包囲される電解質40と、透明基板11の一面11a側に設けられ、絶縁材料からなる絶縁材33とを備えている。
酸化物半導体層13は、封止部30の内側に配置されている。また酸化物半導体層13には色素が担持されている。
封止部30の一部は、光電変換素子100を透明基板11の一面11aに直交する方向に見た場合に、絶縁溝90と重なるように配置されている。
対極20は、金属基板21と、金属基板21の電極12A側に設けられて電解質40の還元に寄与する触媒層22とを備えている。
絶縁材33は、封止部30と電極12Aとの間で封止部30に沿って設けられる内側絶縁材33aと、光電変換素子100を透明基板11の一面11aに直交する方向に見た場合に、封止部30から互いに反対の方向に延びる外側絶縁材33bとを備えている。
そして、封止部30の外側の絶縁溝90及び内部絶縁溝90Aではそれぞれ、外側絶縁材33bが全部に入り込み、分断溝91c、91d、91e(第1分断溝)ではそれぞれ、外側絶縁材33bが全部に入り込んでいる。また、分断溝91a、91b、91f、91g(第2分断溝)ではそれぞれ、外側絶縁材33bが一部に入り込んでいる。なお、外側絶縁材33bは、必ずしもその下の導電性基板15の構成を透視できるわけではないが、図1においては、外側絶縁材33bと分断溝91との位置関係の理解を容易にするため、分断溝91を透視できるように示してある。
また第1電流取出部12Bの上には、セル50から電流を取り出すための第1外部接続端子18aが設けられ、第2電流取出部12Cの上には、セル50から電流を取り出すための第2外部接続端子18bが設けられていている(図1参照)。
この光電変換素子100によれば、透明基板11においては絶縁溝90に沿って微細なクラックが形成される場合がある。この場合、絶縁溝90にクラックを通して空気中の水分が溜まっても、その水分は絶縁溝90から分断溝91を通って周辺部60の外周縁60aまで押し出されて排出される。すなわち分断溝91が水分の逃げ道となる。このため、水分が絶縁溝90から封止部30を通ってセル50の内側に侵入することが十分に抑制される。その結果、光電変換素子100は、周辺部60が複数の分断溝91によって複数の分断周辺部60A〜60Hに分断されていない場合に比べて、耐久性を向上させることができる。
また、光電変換素子100では、分断溝91a〜91gがいずれも封止部30の外周縁30aの外側で周辺部60に形成されている。この場合、セル50の封止部30の外周縁30aの外側で、絶縁溝90に溜まった水分が、分断溝91を通って周辺部60の外周縁60aまで押し出される。すなわち、水分が封止部30の外周縁30aより内側に入る前に水分の量が低減される。このため、光電変換素子100が、分断溝91がセル50の封止部30の外周縁30aの外側で周辺部60に形成されていない場合に比べて、耐久性をより十分に向上させることができる。
さらに光電変換素子100では、複数の分断溝91a〜91gのうちの分断溝91c、91d、91eでそれぞれ、外側絶縁材33bが全部に入り込んでいる。一方、複数の分断溝91のうちの分断溝91a,91b、91f、91gではそれぞれ、外側絶縁材33bが一部に入り込んでいる。すなわち、分断溝91a、91b、91f、91gはそれぞれ、外側絶縁材33が入り込まない部分を有する。このため、外側絶縁材33bが全部に入り込んだ分断溝91c、91d、91eへの水分の侵入を十分に抑制しつつ、外側絶縁材33bが一部に入り込み、外側絶縁材33bが入り込まない部分を有する分断溝91a、91b、91f、91gで絶縁溝90からの水分の排出を促進することができる。特に、光電変換素子100では、分断溝91a,91b,91f,91gが分断溝91c,91d,91eよりも短くなっていて水分の排出促進効果が高く、この短い方の分断溝91a,91b,91f,91gが、外側絶縁材33が入り込まない部分を有する。このため、光電変換素子100は、分断溝91a,91b,91f,91gの長さが、分断溝91c,91d,91eの長さ以上である場合に比べて、水分をより効率よく排出でき、耐久性をより十分に向上させることができる。
さらに光電変換素子100においては、分断溝交差部92bで複数の分断溝91b、91cが交差しており、分断溝交差部92eで分断溝91e、91fが交差している。このため、水分が絶縁溝90の分断溝交差部92b,92eにおいて、1つの分断溝91のみから排出されるのではなく複数の分断溝91から排出される。このため、絶縁溝90の分断溝交差部92b,92eにおいて絶縁溝90からの水分の排出をより十分に促進することができる。
次に、第1外部接続端子18a、第2外部接続端子18b、絶縁材33、透明基板11、導電部12、周辺部60、対極20、酸化物半導体層13、色素、封止部30及び電解質40について詳細に説明する。
(第1外部接続端子)
第1外部接続端子18aは金属材料を含む。金属材料としては、例えば銀、銅及びインジウムなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いてもよい。
(第2外部接続端子)
第2外部接続端子18bは金属材料を含む。金属材料としては、第1外部接続端子18aに含まれる金属材料と同様の材料を用いることができる。
(絶縁材)
絶縁材33は、絶縁材料で構成されていればよいが、封止部30を構成する材料よりも高い融点を有する材料で構成されていることが好ましい。このため、上記絶縁材料としては、例えばガラスフリットなどの無機絶縁材料、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂が挙げられる。中でも、ガラスフリットなどの無機絶縁材料又は熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。この場合、封止部30が高温時に流動性を有するようになっても、絶縁材33は、熱可塑性樹脂からなる場合に比べて高温時でも流動化しにくい。このため、電極12Aと対極20との接触が十分に抑制され、電極12Aと対極20との間の短絡を十分に抑制できる。この中でも、ガラスフリットなどの無機絶縁材料が好ましい。この場合、絶縁材料が有機絶縁材料である場合に比べて、光電変換素子100において、耐久性をより向上させることができる。絶縁材33の透明基板11からの厚さは通常、10〜30μmであり、好ましくは15〜25μmである。
絶縁材33は、着色されていても着色されていなくてもよいが、着色されていることが好ましい。絶縁材33が着色されていると、絶縁材33の色を酸化物半導体層13の色に近づけることが可能となり、より良好な外観が実現できる。ここで、「着色されている」とは、絶縁材33のL色空間のL*が35未満であることを言う。ここで、Lは、CIEのD65標準光に対する700nmの分光反射率をx、546.1nmをy、435.8nmをzとしたときに下記式で定義される。
=116×(0.2126z+0.7152y+0.0722x)1/3−16
絶縁材33の色は特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の色を用いることが可能である。例えば導電部12及び周辺部60に文字やデザインを表示させないのであれば、絶縁材33の色は、酸化物半導体層13と同系統の色にすればよい。ここで、同系統の色とは、L色空間のL、a、bの差がそれぞれ±5以内になる色を言う。
(透明基板)
透明基板11を構成する材料は、例えば透明な材料であればよく、このような透明な材料としては、例えばホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラスなどのガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、及び、ポリエーテルスルフォン(PES)などが挙げられる。透明基板11の厚さは、光電変換素子100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば50μm〜10mmの範囲にすればよい。
(導電部)
導電部12は、セル50で発生した電流の通路となる部分である。導電部12を構成する材料としては、例えばスズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)などの導電性金属酸化物が挙げられる。導電部12は、単層でも、異なる導電性金属酸化物を含む複数の層の積層体で構成されてもよい。導電部12が単層で構成される場合、導電部12は、高い耐熱性及び耐薬品性を有することから、FTOを含むことが好ましい。導電部12の厚さは例えば0.01〜2μmの範囲にすればよい。
(周辺部)
周辺部60は、セル50で発生した電流の通路とならない部分である。周辺部60を構成する材料は、導電材料でも絶縁材料でもよい。周辺部60を構成する材料としては、例えば導電部12を構成する材料と同様のものを用いることができる。周辺部60は、単層でも、異なる導電性金属酸化物を含む複数の層の積層体で構成されてもよい。周辺部60の厚さは例えば0.01〜2μmの範囲にすればよい。
(対極)
対極20は、上述したように、金属基板21と、触媒層22とを備える。
金属基板21は、金属で構成されればよいが、この金属は、不動態を形成し得る金属であることが好ましい。この場合、金属基板21が電解質40によって腐食されにくくなるため、光電変換素子100は、耐久性をより十分に向上させることができる。不動態を形成し得る金属としては、例えばチタン、ニッケル、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ステンレス又はこれらの合金等が挙げられる。金属基板21の厚さは、光電変換素子100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば0.005〜0.1mmとすればよい。
触媒層22は、白金、炭素系材料又は導電性高分子などから構成される。ここで、炭素系材料としては、カーボンブラックやカーボンナノチューブが好適に用いられる。
(酸化物半導体層)
酸化物半導体層13は、酸化物半導体粒子で構成されている。酸化物半導体粒子は、例えば酸化チタン(TiO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)、酸化ニオブ(Nb)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化スズ(SnO)、又はこれらの2種以上で構成される。
酸化物半導体層13の厚さは特に制限されるものではないが、例えば0.1〜100μmとすればよい。
(色素)
色素としては、例えばビピリジン構造、ターピリジン構造などを含む配位子を有するルテニウム錯体や、ポルフィリン、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素などの光増感色素や、ハロゲン化鉛系ペロブスカイト結晶などの有機−無機複合色素などが挙げられる。ハロゲン化鉛系ペロブスカイトとしては、例えばCHNHPbX(X=Cl、Br、I)が用いられる。上記色素の中でも、ビピリジン構造又はターピリジン構造を含む配位子を有するルテニウム錯体が好ましい。この場合、光電変換素子100の光電変換特性をより向上させることができる。なお、色素として光増感色素を用いる場合には、光電変換素子100は色素増感光電変換素子となる。
(封止部)
封止部30は、光電変換素子100を透明基板11の一面11aに直交する方向に封止部30を見た場合に無端状となっており、内側に開口を有する。開口の形状は、特に制限されるものではなく、開口の形状としては、例えば円形状、及び、四角形などの多角形状が挙げられる。
封止部30を構成する材料としては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等を含む変性ポリオレフィン樹脂、紫外線硬化樹脂、及び、ビニルアルコール重合体などの樹脂が挙げられる。
封止部30の厚さは通常、20〜90μmであり、好ましくは40〜80μmである。
(電解質)
電解質40は、酸化還元対と有機溶媒とを含んでいる。有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、バレロニトリル、ピバロニトリル、などを用いることができる。酸化還元対としては、ヨウ化物イオン/ポリヨウ化物イオン(例えばI/I )、臭化物イオン/ポリ臭化物イオンなどのハロゲン原子を含む酸化還元対のほか、亜鉛錯体、鉄錯体、コバルト錯体などのレドックス対が挙げられる。また電解質40は、有機溶媒に代えて、イオン液体を用いてもよい。イオン液体としては、例えばピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知のヨウ素塩であって、室温付近で溶融状態にある常温溶融塩が用いられる。このような常温溶融塩としては、例えば、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、又は、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイドが好適に用いられる。
また、電解質40は、上記有機溶媒に代えて、上記イオン液体と上記有機溶媒との混合物を用いてもよい。
また電解質40には添加剤を加えることができる。添加剤としては、LiI、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、4−t−ブチルピリジン、グアニジウムチオシアネート、1−メチルベンゾイミダゾール、1−ブチルベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
さらに電解質40としては、SiO、TiO、カーボンナノチューブなどのナノ粒子を混練してゲル様となった擬固体電解質であるナノコンポジットゲル電解質を用いてもよく、また、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体などの有機系ゲル化剤を用いてゲル化した電解質を用いてもよい。
なお、電解質40は、ヨウ化物イオン/ポリヨウ化物イオン(例えばI/I )からなる酸化還元対を含み、ポリヨウ化物イオン(例えばI )の濃度が0.010mol/リットル以下であることが好ましく、0.005mol/リットル以下であることがより好ましく、2×10−4mol/リットル以下であることがさらにより好ましい。この場合、電子を運ぶポリヨウ化物イオンの濃度が低いため、漏れ電流をより減少させることができる。このため、開放電圧をより増加させることができるため、光電変換特性をより向上させることができる。
次に、光電変換素子100の製造方法について図3を参照しながら説明する。
まず1つの透明基板11の上に連続した1つの透明導電膜を形成してなる積層体を用意する。
透明導電膜の形成方法としては、スパッタ法、蒸着法、スプレー熱分解法又はCVD法などが用いられる。
次に、図3に示すように、透明導電膜に対して絶縁溝90、内部絶縁溝90A及び分断溝91を形成し、導電部12及び周辺部60を形成する。このとき、導電部12は、絶縁溝90及び内部絶縁溝90Aによって、電極12A、第1電流取出し部12B及び第2電流取出し部12Cを有するように形成される。また、周辺部60は、複数の分断溝91a〜91gによって分断され、複数の分断周辺部60A〜60Hを有するように形成される。
絶縁溝90、内部絶縁溝90A及び分断溝91は、例えばYAGレーザ又はCOレーザ等を光源として用いたレーザスクライブ法によって形成することができる。
次に、第1電流取出し部12B及び第2電流取出し部12C上にはそれぞれ外部に電流を取り出すための第1外部接続端子18aの前駆体及び第2外部接続端子18bの前駆体を形成する。第1外部接続端子18aの前駆体及び第2外部接続端子18bの前駆体は、例えば銀ペーストを塗布し乾燥させることで形成することができる。
さらに、封止部30が接着される予定の領域(以下、「封止部接着予定領域」と呼ぶ)、及び、封止部接着予定領域全体を包囲する領域(以下、「包囲領域」と呼ぶ)のうち封止部接着予定領域から互いに反対方向に延びる2つの突出領域に絶縁材33の前駆体を形成する。このとき、封止部接着予定領域には絶縁溝90が形成されているため、絶縁材33の前駆体は絶縁溝90の全部を埋めるように且つ電極12Aの縁部をも覆うように形成される。また包囲領域のうちの突出領域には、電極12Aの一部、第1電流取出し部12B及び第2電流取出し部12Cの全部を覆い隠し、分断周辺部60A,60B、60C、60F,60G,60Hの一部を覆うように絶縁材33の前駆体が形成される。このとき、絶縁材33の前駆体は、封止部30の外側の絶縁溝90及び内部絶縁溝90Aに全部が入り込み、分断溝91c、91d、91eに全部が入り込み、分断溝91a、91b、91f、91gには一部が入り込むように形成される。絶縁材33の前駆体は、例えば絶縁材料を含むペーストを塗布し乾燥させることによって形成することができる。
続いて、電極12Aの上に酸化物半導体層13の前駆体を形成する。
酸化物半導体層13の前駆体は、酸化物半導体層13を形成するための酸化物半導体層用ペーストを印刷した後、乾燥することによって得られる。酸化物半導体層用ペーストは、酸化チタンのほか、ポリエチレングリコール、エチルセルロースなどの樹脂及び、テルピネオールなどの溶媒を含む。
酸化物半導体層用ペーストの印刷方法としては、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法、又はバーコート法などを用いることができる。
次に、第1外部接続端子18aの前駆体、第2外部接続端子18bの前駆体、絶縁材33の前駆体及び酸化物半導体層13の前駆体を一括して焼成し、第1外部接続端子18a、第2外部接続端子18b、絶縁材33及び酸化物半導体層13を形成する。このとき、絶縁材33は、封止部形成予定領域上の内側絶縁材33aと、突出領域上の外側絶縁材33bとを有することになる。
このとき、焼成温度は酸化物半導体粒子やガラスフリットの種類により異なるが、通常は350〜600℃であり、焼成時間も、酸化物半導体粒子等の種類により異なるが、通常は1〜5時間である。こうして、作用極が得られる。
次に、作用極の酸化物半導体層13に色素を担持させる。このためには、例えば作用極を、色素を含有する溶液の中に浸漬させ、その色素を酸化物半導体層13に吸着させた後に上記溶液の溶媒成分で余分な色素を洗い流し、乾燥させればよい。
次に、封止部を形成するための封止部形成体を準備する。封止部形成体は、封止部を構成する材料からなる1枚の封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムに四角形状の開口を形成することによって得ることができる。そして、この封止部形成体を封止部接着予定領域の上に配置する。このとき、封止部接着予定領域上には既に絶縁材33の一部である内側絶縁材33aが設けられているので、封止部形成体は絶縁材33の内側絶縁材33aと重なるように配置する。
次に、酸化物半導体層13の上に電解質40を配置する。
次に、対極20を用意する。対極20は、金属基板21上に触媒層22を形成することにより得ることができる。
次に、封止部形成体と対極20とを重ね合わせ、封止部形成体を加圧しながら加熱溶融させる。こうして作用極と対極20との間に封止部30が形成される。封止部30の形成は、大気圧下で行っても減圧下で行ってもよいが、減圧下で行うことが好ましい。
次に、セル50の金属基板21と第1電流取出し部12Bとを接続するように配線材を形成する。具体的には、配線材を構成する材料を含むペーストを用意し、このペーストを、金属基板21と第1電流取出し部12Bとを結ぶように塗布し、硬化させることにより、配線材を形成する。
以上のようにして光電変換素子100が得られる。
なお、上述した説明では、第1外部接続端子18a、第2外部接続端子18b、絶縁材33及び酸化物半導体層13を形成するために、第1外部接続端子18aの前駆体、第2外部接続端子18bの前駆体、絶縁材33の前駆体及び酸化物半導体層13の前駆体を一括して焼成する方法を用いているが、第1外部接続端子18a及び第2外部接続端子18b、絶縁材33、及び酸化物半導体層13はそれぞれ別々に前駆体を焼成して形成してもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、絶縁材33が内側絶縁材33a及び外側絶縁材33bで構成されているが、絶縁材33は内側絶縁材33aのみで構成されていてもよい。また、光電変換素子100が絶縁材33を有しているが、光電変換素子100は必ずしも絶縁材33を有していなくてもよい。
さらに上記実施形態では、封止部30が対極20と電極12Aとの間に設けられているが、封止部30は対極20と透明基板11との間に設けられていればよく、必ずしも対極20と電極12Aとの間に設けられていなくてもよい。
また、上記実施形態では、光電変換素子100を透明基板11の一面11aに直交する方向に見た場合に、封止部30の一部が絶縁溝90と重なるように配置されているが、封止部30の全部が絶縁溝90と重なるように配置されていてもよい。
さらに、上記実施形態では、分断溝91a〜91gがいずれもセル50の封止部30の外周縁30aの外側で周辺部60に形成されているが、分断溝91a〜91gのうちの一部の分断溝のみがセル50の封止部30の外周縁30aの外側で周辺部60に形成されていてもよく、分断溝91a〜91gのいずれもがセル50の封止部30の外周縁30aの外側で周辺部60に形成されていなくてもよい。
また、上記実施形態では、分断溝91c,91d,91eで絶縁材33の外側絶縁材33bが全部に入り込み、分断溝91a,91b,91f,91gには絶縁材33の外側絶縁材33bが一部に入り込んでいるが、図4に示す光電変換素子200のように、分断溝91a〜91gの各々で外側絶縁材33bが全部に入り込んでいてもよい。
また、上記実施形態では、分断溝91c,91d,91eでは絶縁材33の外側絶縁材33bが全部に入り込み、分断溝91a,91b,91f,91gで絶縁材33の外側絶縁材33bが一部に入り込んでいるが、図5に示す光電変換素子300のように、分断溝91c,91d,91eで絶縁材33の外側絶縁材33bが一部に入り込み、分断溝91a,91b,91f,91gで絶縁材33の外側絶縁材33bが全部に入り込んでいてもよい。
さらに、上記実施形態では、複数の交差部92の一部が分断溝交差部となっているが、複数の交差部92の全部が分断溝交差部で構成されてもよいし、複数の交差部92の全部が分断溝交差部で構成されていなくてもよい。
また、上記実施形態では、分断溝91a,91b,91f,91gが分断溝91c,91d,91eよりも短くなっているが、分断溝91a,91b,91f,91gの長さは分断溝91c,91d,91eの長さ以下であってもよい。
さらに、上記実施形態では、分断溝91が7本の分断溝91a〜91gで構成されているが、分断溝91の本数は少なくとも1本であれば特に限定されるものではない。但し、分断溝91の本数は2本以上であることが好ましい。この場合、分断溝91の本数が2本未満である場合に比べて、正極としての対極20と負極としての電極12Aとの間の抵抗値を増加させることができ、正極及び負極間の絶縁性を向上させることができる。分断溝91の本数は、正極及び負極間の絶縁性をより向上させる観点からは、5本以上であることがより好ましい。
また上記実施形態では、対極20が金属基板21と触媒層22とを有しているが、光電変換素子100が透明基板11の一面11a側にセル50を覆うバックシートを有しないならば、金属基板21に代えて透明導電性基板を用いてもよい。この場合、導電性基板15の透明基板11や導電部12は必ずしも透明でなくてもよい。例えば導電性基板15の透明基板11や導電部12に代えて、不透明な基板や不透明な導電部が用いられてもよい。
また上記実施形態では、酸化物半導体層13が導電性基板15上に設けられているが、酸化物半導体層13は、第2基板である対極20の金属基板21上に設けられてもよい。但し、この場合、触媒層22は導電性基板15上に設けられることになる。
さらに上記実施形態では、1つのセル50が用いられているが、本発明の光電変換素子は複数のセルを有していてもよい。
また上記実施形態では、第2基板として、対極20に代えて、絶縁性基板を用いてもよい。この場合、絶縁性基板と酸化物半導体層13との間に対極が設けられる。
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まずガラスからなる厚さ2.2mmの透明基板の上に、厚さ0.6μmのFTOからなる透明導電膜を形成してなる積層体を準備した。次に、図3に示すように、COレーザ(ユニバーサルシステム社製V−460)によって連続した1つの透明導電膜に絶縁溝90、内部絶縁溝90A及び分断溝91を形成し、導電部12及び周辺部60を形成した。このとき、分断溝91a〜91gを形成することによって周辺部60を複数の分断周辺部60A〜60Hに分断した。また、絶縁溝90、内部絶縁溝90A及び分断溝91の幅は0.1mmとした。さらに、分断溝91c,91d,91eの長さは2.5mmとし、分断溝91a,91b,91f,91gの長さは1mmとした。
また、第1電流取出し部12f及び第2電流取出し部12h上にそれぞれ外部に電流を取り出すための第1外部接続用端子18aの前駆体及び第2外部接続用端子18bの前駆体を形成した。第1外部接続用端子18a,第2外部接続用端子18bの前駆体は、スクリーン印刷により銀ペーストを塗布し乾燥させることで形成した。
さらに、封止部接着予定領域、及び、その包囲領域のうち互いに反対方向に突出する2つの突出領域に絶縁材33の前駆体を形成した。このとき、絶縁材33の前駆体は、分断周辺部60D、60E、第1電流取出し部12B、第2電流取出し部12C及び封止部30の外側に突出する電極12Aのみを全部覆い、分断周辺部60A〜60C及び60F〜60Hを一部のみ覆うようにすることで、分断溝91c,91d,91e、絶縁溝90及び内部絶縁溝90Aを全部覆い、分断溝91a,91b,91f,91gを一部のみ覆うようにした。絶縁材33は、スクリーン印刷によりガラスフリットを含むペーストを塗布し乾燥させることによって形成した。
さらに電極12Aの上に酸化物半導体層13の前駆体を形成した。このとき、酸化物半導体層13の前駆体は、酸化チタンを含有する酸化チタンナノ粒子ペーストを、スクリーン印刷により塗布し、150℃で10分間乾燥させることにより得た。
次に、第1外部接続用端子18a,第2外部接続用端子18bの前駆体、絶縁材33の前駆体、酸化物半導体層13の前駆体を460℃で90分間焼成した後、室温まで冷却し、第1外部接続用端子18a,第2外部接続用端子18b、絶縁材33及び酸化物半導体層13を形成した。このとき、絶縁材33は、分断溝91c,91d,91e、絶縁溝90及び内部絶縁溝90Aを全部覆い、分断溝91a,91b,91f,91gを一部のみ覆っていた。このような絶縁材33の被覆状態を「部分被覆1」とした。こうして、導電性基板15を有する作用極を得た。
次に、上記のようにして得られた作用極を、Z907からなる光増感色素を含み、溶媒を、アセトニトリルとtertブタノールとを混合してなる混合溶媒とした色素溶液中に一晩浸漬させた後、取り出して乾燥させ、酸化物半導体層13に光増感色素を担持させた。
次に、封止部を形成するための封止部形成体を準備した。封止部形成体は、10.1cm×4.6cm×50μmの無水マレイン酸変性ポリエチレン(商品名:バイネル、デュポン社製)からなる1枚の封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムに、四角形状の開口を形成することによって得た。このとき、開口が9.7cm×4.2cm×50μmの大きさとなるように封止部形成体を作製した。そして、この封止部形成体を、作用極上の絶縁材33上に置いた。
次に、酸化物半導体層13の上に、1,2−ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド及びIを含む混合物に3−メトキシプロピオニトリルを加えて得られる電解質40を滴下した。
次に、対極20を用意した。対極20は、10.0cm×4.6cm×50μmのチタン箔からなる金属基板21の上にスパッタリング法によって厚さ5nmの白金からなる触媒層22を形成することによって用意した。
そして、封止部形成体と対極20とを対向させ、封止部形成体と対極20とを重ね合わせた。そして、この状態で封止部形成体を加圧しながら封止部形成体を熱プレスによって190℃で加熱溶融させた。こうして作用極と対極20との間に封止部30を形成した。
次に、第2電流取出し部12Cとセル50の金属基板21とを接続するように銀ペーストを塗布し、硬化させることによって配線材を形成した。
以上のようにして光電変換素子を得た。
(実施例2)
絶縁材33の前駆体を形成する際に、絶縁材33の前駆体によって分断周辺部60A〜60Hの全部が覆われるようにすることで分断溝91a〜91gで絶縁材33の前駆体が全部に入り込むようにしたこと以外は実施例1と同様にして、図4に示す光電変換素子200を作製した。なお、外側絶縁材33bは、必ずしもその下の導電性基板15の分断溝91を透視できるわけではないが、図4においては、外側絶縁材33bと分断溝91との位置関係の理解を容易にするため、分断溝91を透視できるように示してある。
(実施例3)
絶縁材33の前駆体を形成する際に、絶縁材33の前駆体によって封止部30の外側に突出する電極12A、分断周辺部60B及び60Gを全部覆い、分断周辺部60A,60C、60D,60E,60F,60Hを一部のみ覆い、第1電流取出し部12B、第2電流取出し部12Cを一部のみ覆うようにすることで、絶縁材33の前駆体が分断溝91a,91b,91f,91gの全部を覆い、分断溝91c,91d,91e、絶縁溝90及び内部絶縁溝90Aの一部のみを覆うようにしたこと以外は実施例1と同様にして、図5に示す光電変換素子300を作製した。得られた光電変換素子300においては、絶縁材33は、分断溝91a,91b,91f,91gを全部覆い、分断溝91c,91d,91e、絶縁溝90及び内部絶縁溝90Aを一部のみ覆っていた。このような絶縁材33の被覆状態を「部分被覆2」とした。なお、外側絶縁材33bは、必ずしもその下の導電性基板15の分断溝91を透視できるわけではないが、図5においては、外側絶縁材33bと分断溝91との位置関係の理解を容易にするため、分断溝91を透視できるように示してある。
(実施例4)
1つの透明導電膜に分断溝91を形成する際に、分断溝91a,91b,91f,91gを形成せず、分断溝91c,91d,91eのみを形成することによって周辺部60を複数の分断周辺部60A,60D,60E,60Hに分断し、絶縁材33の前駆体を形成する際に、絶縁材33の前駆体によって分断周辺部60A,60D,60E,60Hの全部を覆うことにより絶縁材33の前駆体が分断溝91c,91d,91eで全部に入り込むようにしたこと以外は実施例1と同様にして、図6に示す光電変換素子400を作製した。なお、外側絶縁材33bは、必ずしもその下の導電性基板15の分断溝91を透視できるわけではないが、図6においては、外側絶縁材33bと分断溝91との位置関係の理解を容易にするため、分断溝91を透視できるように示してある。
(実施例5)
1つの透明導電膜に分断溝91を形成する際に、分断溝91a,91b,91c、91e、91f,91gを形成せず、分断溝91dのみを形成することによって周辺部60を複数の分断周辺部60A,60Hに分断し、絶縁材33の前駆体を形成する際に、絶縁材33の前駆体によって分断周辺部60A,60Hの全部が覆われるようにすることで絶縁材33の前駆体が分断溝91dで全部に入り込むようにしたこと以外は実施例1と同様にして、図7に示す光電変換素子500を作製した。なお、外側絶縁材33bは、必ずしもその下の導電性基板15の分断溝91を透視できるわけではないが、図7においては、外側絶縁材33bと分断溝91との位置関係の理解を容易にするため、分断溝91を透視できるように示してある。
(比較例1)
1つの透明導電膜に分断溝91を形成する際に、周辺部60を分断溝91によって分断せず、絶縁材33の前駆体を形成する際に、絶縁材33の前駆体によって周辺部60の全部が覆われるようにしたこと以外は実施例1と同様にして、図8に示す光電変換素子600を作製した。なお、外側絶縁材33bは、必ずしもその下の導電性基板15の分断溝91を透視できるわけではないが、図8においては、外側絶縁材33bと分断溝91との位置関係の理解を容易にするため、分断溝91を透視できるように示してある。
(実施例6)
絶縁材33の前駆体を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。
(実施例7)
絶縁材33の前駆体を形成しなかったこと以外は実施例4と同様にして光電変換素子を作製した。
(実施例8)
絶縁材33の前駆体を形成しなかったこと以外は実施例5と同様にして光電変換素子を作製した。
(比較例2)
絶縁材33の前駆体を形成しなかったこと以外は比較例1と同様にして光電変換素子を作製した。
[特性評価]
上記のようにして得られた実施例1〜8及び比較例1〜2の光電変換素子について、耐久性並びに、正極及び負極間の絶縁性を評価した。
(耐久性)
実施例1〜5および比較例1で得られた光電変換素子について、出力(η)を測定した。続いて、実施例1〜5および比較例1で得られた光電変換素子について、第1外部接続端子18a及び第2外部接続端子18bを、ポリイミド製テープ(商品名:tesa67350、tesa社製)を1つの外部接続端子上に貼り付けることによって防水保護した上で、対極20は浸水させずに第1電流取出し部12B及び第2電流取出し部12Cを浸水させて90時間放置した後、出力(η)を測定した。そして、下記式:
出力の保持率(%)=η/η×100
に基づき、出力の保持率(出力保持率)を算出した。結果を表1に示す。実施例6〜8および比較例2で得られた光電変換素子についても同様にして出力保持率を測定した。結果を表2に示す。

Figure 0006961532
Figure 0006961532
(正負極間の絶縁性)
実施例1〜5および比較例1で得られた光電変換素子について、第1外部接続端子18a及び第2外部接続端子18b間の抵抗値を、暗幕で覆われた暗所においてテスター(商品名:KT−2011、カイセ株式会社製)を用いて測定することによって正極(対極20)及び負極(電極12A)間の抵抗値を測定し、この抵抗値を正極及び負極間の絶縁性の指標とした。結果を表1に示す。実施例6〜8および比較例2で得られた光電変換素子についても同様にして第1外部接続端子18a及び第2外部接続端子18b間の抵抗を測定することによって正極及び負極間の抵抗値を測定した。結果を表2に示す。
表1に示すように、実施例1〜5の光電変換素子では、比較例1の光電変換素子に比べて、出力の保持率が十分に大きくなっていた。また、表2に示すように、実施例6〜8の光電変換素子では、比較例2の光電変換素子に比べて、出力の保持率が十分に大きくなっていた。
以上の結果から、本発明の光電変換素子によれば、耐久性を向上させることができることが確認された。
11…透明基板(第1基板)
12…導電部
12A…電極(導電部)
12B…第1電流取出し部(導電部)
12C…第2電流取出し部(導電部)
20…対極(第2基板)
30…封止部
30a…封止部の外周縁
33…絶縁材
50…光電変換セル
60…周辺部
60a…周辺部の外周縁
60A〜60H…分断周辺部
90…絶縁溝
91,91a〜91g…分断溝
92a、92b,92d,92e,92g…交差部
92b,92e…分断溝交差部
100〜500…光電変換素子

Claims (4)

  1. 第1基板と、
    前記第1基板の一面上に設けられる導電部と、
    前記第1基板の一面上で前記導電部の周囲に沿って設けられる周辺部とを有し、
    前記導電部が電極を有する光電変換素子であって、
    光電変換セルを有し、
    前記光電変換セルが、
    前記電極と、
    前記電極に対向する第2基板と、
    前記第1基板及び前記第2基板を接合させる封止部とを有し、
    前記導電部と前記周辺部とは絶縁溝を介して配置され、
    前記光電変換素子を前記第1基板の前記一面に直交する方向に見た場合に、前記封止部の少なくとも一部が前記絶縁溝と重なるように配置され、
    前記周辺部が、前記絶縁溝に連通し前記絶縁溝から前記周辺部の外周縁まで延びる少なくとも1本の分断溝によって複数の分断周辺部に分断されていて、
    前記分断溝が、前記光電変換セルの前記封止部の外周縁の外側で前記周辺部に形成されている、光電変換素子。
  2. 前記絶縁溝が、前記分断溝と交差する少なくとも1つの交差部を有し、前記交差部が、複数の前記分断溝同士が交差する分断溝交差部を含む、請求項に記載の光電変換素子。
  3. 前記第1基板の一面上に設けられる絶縁材をさらに有し、
    前記少なくとも1本の分断溝が、前記絶縁材が全部に入り込む第1分断溝と、前記絶縁材が全部に入り込まない第2分断溝で構成される、請求項1又は2のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  4. 第1基板と、
    前記第1基板の一面上に設けられる導電部と、
    前記第1基板の一面上で前記導電部の周囲に沿って設けられる周辺部とを有し、
    前記導電部が電極を有する光電変換素子であって、
    光電変換セルを有し、
    前記光電変換セルが、
    前記電極と、
    前記電極に対向する第2基板と、
    前記第1基板及び前記第2基板を接合させる封止部とを有し、
    前記導電部と前記周辺部とは絶縁溝を介して配置され、
    前記光電変換素子を前記第1基板の前記一面に直交する方向に見た場合に、前記封止部の少なくとも一部が前記絶縁溝と重なるように配置され、
    前記周辺部が、前記絶縁溝に連通し前記絶縁溝から前記周辺部の外周縁まで延びる少なくとも1本の分断溝によって複数の分断周辺部に分断されていて、
    前記第1基板の一面上に設けられる絶縁材をさらに有し、
    前記少なくとも1本の分断溝が、前記絶縁材が全部に入り込む第1分断溝と、前記絶縁材が全部に入り込まない第2分断溝で構成される、光電変換素子。
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