以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、部品実装装置、検査装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図2、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図2における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図2における上下方向)が示される。図3、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(図3における上下方向)が示される。Z方向は、部品実装装置が水平面上に設置された場合の上下方向である。
まず図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は、基板に部品を実装して実装基板を製造する機能を有するものであり、半田印刷装置M1、部品実装装置M2,M3および検査装置M4を備えている。これら装置は通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に接続されている。
半田印刷装置M1は、実装対象の基板に部品接合用のクリーム半田をスクリーン印刷する。部品実装装置M2,M3は、部品実装部12(図2参照)によって部品接合用のクリーム半田が印刷された基板に部品供給部から取り出した部品を移送搭載する部品実装作業を行う。検査装置M4は、部品実装装置M2,M3(実装用装置)によって部品を実装された実装後の基板における部品の実装状態を検査して正しい実装位置からの位置ずれ状態などを検出する。管理コンピュータ3はライン管理機能と併せて、検査装置M4によって取得された部品の位置ずれ量を含む検査情報に基づいて、部品実装装置M2,M3にフィードバックする部品実装作業における補正量を算出する機能を有している。
次に図2、図3を参照して、部品実装装置M2,M3の構成を説明する。なお図3は、図2におけるA−A断面を模式的に示している。図2において、基台4の上面の中央にはX方向に延びる基板搬送機構5が配設されている。基板搬送機構5は、上流側装置から受け渡された基板6を搬送して、以下に説明する部品実装部12による実装作業位置に基板6を位置決め保持する。
基板搬送機構5の両側方には部品供給部7が配置されている。部品供給部7には、複数のテープフィーダ8がX方向に並設されている。テープフィーダ8は実装対象の部品を保持したキャリアテープをピッチ送りして、部品実装部12の実装ヘッドが部品を吸着する部品吸着位置に部品を供給する。基台4の上面においてX方向の一方側の端部には、Y方向に延びるリニア駆動機構を備えたY軸ビーム9が配設されている。Y軸ビーム9には、リニア駆動機構を備えた2基のX軸ビーム10が、Y方向に移動自在に結合されている。2基のX軸ビーム10には、それぞれ実装ヘッド11がX方向に移動自在に装着されている。
図3において、実装ヘッド11には、複数の保持ヘッド11aが備えられている。それぞれの保持ヘッド11aの下端部には、部品を吸着して保持し、個別に昇降可能な実装ノズル11bが装着されている。
図2において、Y軸ビーム9、X軸ビーム10を駆動することにより、実装ヘッド11はX方向、Y方向に移動する。すなわちY軸ビーム9、X軸ビーム10は、実装ヘッド11を水平方向に移動させる移動機構を構成する。これにより2つの実装ヘッド11は、それぞれ対応した部品供給部7のテープフィーダ8の部品吸着位置から部品を実装ノズル11bによって吸着保持して取り出して、基板搬送機構5に位置決めされた基板6の実装位置に移送搭載する。Y軸ビーム9、X軸ビーム10および実装ヘッド11は、部品を基板6に実装する部品実装部12を構成する。
部品供給部7と基板搬送機構5との間には、部品認識カメラ13が配設されている。部品供給部7から部品を取り出した実装ヘッド11が部品認識カメラ13の上方を移動する際に、部品認識カメラ13は実装ヘッド11に保持された状態の部品を撮像して認識する。実装ヘッド11が取り付けられたプレート10aには、X軸ビーム10の下面側に位置して、それぞれ実装ヘッド11と一体的に移動する基板認識カメラ14が装着されている。実装ヘッド11が移動することにより、基板認識カメラ14は基板搬送機構5に位置決めされた基板6の上方に移動し、基板6を撮像して認識する。
実装ヘッド11による基板6への部品実装作業においては、部品認識カメラ13による部品の認識結果と、基板認識カメラ14による基板認識結果と、部品実装装置M2,M3または管理コンピュータ3で算出される補正量を加味して実装位置の補正が行われる。このように、部品実装装置M2,M3は、部品を基板6に実装する実装ノズル11bと実装ノズル11bを水平方向に移動させる移動機構(Y軸ビーム9、X軸ビーム10)とを有し、補正量に基づいて実装位置を補正して部品を基板6に実装する実装用装置となる。
図3に示すように、部品供給部7にはフィーダベース15aに予め複数のテープフィーダ8が装着された状態の台車15がセットされる。フィーダベース15aには、個々のテープフィーダ8が装着されたフィーダ位置を特定するためのフィーダアドレスが設定されている。フィーダベース15aにセットされた個々のテープフィーダ8は、これらのフィーダアドレスを介して特定される。部品供給部7に装着された台車15には、部品を収納したキャリアテープ17を巻回状態で収納する供給リール16が保持されている。供給リール16から引き出されたキャリアテープ17は、テープフィーダ8によって実装ノズル11bによる部品吸着位置までピッチ送りされる。
次に図4を参照して実装ヘッド11の構成を説明する。実装ヘッド11は複数の保持ヘッド11aを備えており、各保持ヘッド11aは駆動機構を備えている。駆動機構を駆動することにより、各保持ヘッド11aの下端部に装着された実装ノズル11bを昇降させる(矢印b)とともに、実装ノズル11bをノズル軸AN廻りに回転させる(矢印c)ことが可能となっている。
次に図5を参照して、部品実装装置M2,M3、検査装置M4を備える部品実装システム1の制御系の構成を説明する。図5において、管理コンピュータ3、部品実装装置M2、M3および検査装置M4は、通信ネットワーク2を介して接続されている。部品実装装置M2、M3は、実装制御部20、実装記憶部21、部品実装部12、表示部22、入力部23、認識処理部24を備えている。実装記憶部21には前述の部品実装作業を実行するための実装プログラム、実装データの他、位置ずれ量データ21a、補正量21bが記憶されている。位置ずれ量データ21aには、後述する検査装置M4から送信された基板6に実装された部品の位置ずれ量が含まれる。
実装制御部20はCPUなどの演算装置であり、実装記憶部21に記憶されたプログラムやデータに基づいて以下の各部を制御し、また内部処理機能として、補正量算出部20aを備えている。補正量算出部20aは、記憶される位置ずれ量データ21aに含まれる位置ずれ量に基づいて、部品実装装置M2、M3(実装用装置)が実装位置を補正して部品を基板6に実装するための補正量21bを算出する補正量算出処理を実行する。算出された補正量21bは、実装記憶部21に記憶される。
入力部23は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。表示部22は液晶パネルなどの表示装置であり、入力部23による操作のための操作画面などの各種画面の他、位置ずれ量データ21a、補正量21bなどの各種情報を表示する。
認識処理部24は、基板認識カメラ14による撮像結果を認識処理することにより、基板6の位置を検出する。また、認識処理部24は、部品認識カメラ13による撮像結果を認識処理することにより、実装ヘッド11に保持された状態における部品の位置を検出する。実装制御部20は実装プログラムに基づいて部品実装部12を制御し、認識処理部24による基板6と部品の位置検出結果と、記憶される補正量21bとを加味して実装位置を補正して部品実装作業を実行する。
図5において、検査装置M4は、検査制御部30、検査記憶部31、検査処理部32、表示部34、入力部35を備えている。検査制御部30はCPUなどの演算装置であり、内部処理機能として判定部30a、送信部30b、判断部30c、ばらつき算出部30dを備えている。検査記憶部31は記憶装置であり、実装データ31a、閾値情報31b、検査情報31c、統計情報31dなどを記憶する。実装データ31aは、部品を基板6に実装する際に参照されるデータであって、基板6における部品の実装位置の座標、実装される部品の種類、部品の大きさなどの情報が含まれている。
検査処理部32は、検査用カメラ33による撮像結果に基づいて、後述する基板6に実装された部品の位置ずれ量、部品の大きさを含む検査情報31cを検出する検査処理を実行する。すなわち、検査処理部32と検査用カメラ33は、基板6に実装された部品の位置ずれ量、部品の大きさを含む検査情報31cを検出する検出部となる。検出結果は、部品P毎に実装する部品実装装置M2,M3、実装ヘッド11、保持ヘッド11a、実装ノズル11b、テープフィーダ8(フィーダアドレス)などに紐付けられて、検査情報31cとして検査記憶部31に記憶される。すなわち、検査記憶部31は、検出部(検査処理部32、検査用カメラ33)によって検出された位置ずれ量を記憶する検査結果記憶部となる。
ここで図6(a)、図6(b)を参照して、検査情報31cに含まれる、検出部によって検出される基板6に実装された部品の位置ずれ量、部品の大きさの一例について説明する。まず、図6(a)を参照して部品の位置ずれ量について説明する。部品実装作業では、部品供給部7のテープフィーダ8から実装ヘッド11の実装ノズル11bによって取り出した部品Pを、基板6に設定された実装位置Mを目標位置として移送搭載する。このとき部品Pの部品中心Cが必ずしも実装位置Mに対して正しく一致するとは限らず、X方向に位置ずれ量ΔX,Y方向に位置ずれ量ΔY、θ方向(XY面内での回転方向)に位置ずれ量Δθだけ位置ずれした状態にある。
この位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθは、基板6に実装された部品Pを検査用カメラ33によって撮像した結果を検査処理部32によって認識処理することにより取得(検出)される。位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθは部品Pの位置ずれ情報であり、1つの基板6に実装される複数の部品Pについて位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが取得されて検査情報31cとして記憶される。
次に、図6(b)を参照して部品の大きさについて説明する。基板6に実装された部品PのX方向の部品の大きさSx、Y方向の部品の大きさSyは、検査用カメラ33の撮像結果を検査処理部32によって認識処理することにより取得(検出)される。部品Pが正常に実装された場合、検出される部品の大きさSx,Sy(以下「検出部品サイズSx*,Sy*」と称する)は、実装データ31aに含まれる部品の大きさSx,Syと一致する。
一方、実装位置Mの近傍にあった異物Wに乗り上げるなどして部品Pが傾いた状態で基板6に搭載された場合、検出部品サイズSx*,Sy*は部品の大きさSx,Syより小さくなる。図6(b)の例では、部品P下の異物Wによって、部品Pの右端が上方(Z方向)に持ち上がった状態で基板6に搭載されている。そのため、X方向の検出部品サイズSx*が部品の大きさSxより差分ΔSxだけ小さく検出されている。このように検出された検出部品サイズSx*,Sy*と実装データ31aに含まれる部品の大きさSx,Syとを比較することで、部品Pが傾いて基板6に搭載された異常な状態を検出することができる。
図5において、閾値情報31bには、上方送信閾値、下方送信閾値、上方警告閾値、下方警告閾値、部品の大きさの警告範囲Rsなどが含まれている。上方送信閾値は、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθがこの閾値を上回ると、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを部品実装装置M2,M3に送信させない閾値である。下方送信閾値、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθがこの閾値を下回ると、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを部品実装装置M2,M3に送信させない閾値である。上方送信閾値と下方送信閾値の間は、送信判定範囲Rt(第1の範囲)となる。すなわち、送信判定範囲Rt外の位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθは、部品実装装置M2,M3(実装用装置)に送信(フィードバック)されない。
上方送信閾値より小さな上方警告閾値は、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθがこの閾値を上回ると、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθの部品実装装置M2,M3への送信を保留(以下、「送信保留」と称す)させる閾値である。下方送信閾値より大きな下方警告閾値は、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθがこの閾値を上回ると、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを送信保留させる閾値である。上方警告閾値と下方警告閾値の間は、送信判定範囲Rtより小さい送信警告範囲Rw(第2の範囲)となる。部品Pの大きさの警告範囲Rsは、検出された検出部品サイズSx*,Sy*がこの範囲外である場合に、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを送信保留させる閾値である。
図5において、判定部30aは、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信判定範囲Rt(第1の範囲)内か否かを判定する判定処理を実行する。また、判定部30aは、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信判定範囲Rt外と判定した場合、表示部34にその旨を報知させる。なお、判定部30aは、部品実装装置M2、M3の表示部22、または、後述する管理コンピュータ3の表示部42にその旨を報知させるようにしてもよい。
送信部30bは、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを部品実装装置M2,M3(実装用装置)に送信する送信処理を実行する。また、送信部30bは、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθ、検出部品サイズSx*,Sy*を含む検査情報31cを管理コンピュータ3に送信する。判断部30cは、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを部品実装装置M2,M3(実装用装置)に送信するか否かを判断する判断処理を実行する。
また、判断部30cは、判定部30aによって位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信判定範囲Rt(第1の範囲)内と判定され、かつ、次に述べる所定の条件を満たすと判断した場合、送信部30bが位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを部品実装装置M2,M3(実装用装置)に送信することを保留(送信保留)させる。これにより、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信判定範囲Rtより小さい場合であっても、部品Pの実装精度を低下させる可能性がある位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθをそのまま実装位置Mの補正には使用せずに、作業者が状況を判断して補正に使用するか否かを判断することができる。
または、判断部30cは、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信判定範囲Rt(第1の範囲)内と判定され、かつ所定の条件を満たすと判断した場合、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを部品実装装置M2,M3(実装用装置)に送信させないようにしてもよい。これにより、部品Pの実装精度を低下させる可能性がある位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθは実装位置Mの補正に使用されず、部品Pの実装精度を向上させることができる。
上記の所定の条件の一つは、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信警告範囲Rw(第2の範囲)より大きいことである。これにより、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが突発的に大きくなって送信警告範囲Rwを超えた場合に、作業者が状況を確認して適切に判断することができる。また、所定の条件の一つは、検出部品サイズSx*,Sy*(検出された部品の大きさ)が、部品の大きさの警告範囲Rs(所定の大きさの範囲)外であることである。これにより、部品Pが傾いて基板6に実装された可能性がある場合に、作業者が状況を確認して適切に判断することができる。また、指定と異なる部品Pが実装された場合も検出することができる。
また、所定の条件の一つは、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを部品実装装置M2,M3(実装用装置)に送信した後に検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθの方向(プラス、マイナス)が、送信前の位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθの方向と変わらないことである。これにより、部品実装装置M2,M3において実装位置Mが一方にシフトし続けている不具合や検出部の故障などが発生している場合に、作業者が状況を確認して適切に判断することができる。
このように、上記の所定の条件は、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信判定範囲Rt(第1の範囲)より小さい所定の送信警告範囲Rw(第2の範囲)より大きいこと、検査情報31cに含まれる検出部品サイズSx*,Sy*(検出された部品の大きさ)が、部品の大きさの警告範囲Rs(所定の大きさの範囲)外であること、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを部品実装装置M2,M3(実装用装置)に送信した後に検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθの方向が、送信前の位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθの方向と変わらないことのいずれかである。すなわち、所定の条件は、検査情報31cを部品実装装置M2,M3にフィードバックして実装位置Mを補正すると、かえって部品Pの実装精度を低下させる可能性がある条件である。
ここで、図7(a)を参照して、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθの検出結果例を説明する。図7(a)では、基板6に実装された部品PのX方向の位置ずれ量ΔX(Y軸)を、部品Pが実装された基板6毎に時系列(X軸)で示している。部品Pが実装された基板6は、古い方から基板6(1)、基板6(2)、・・・のように表示している。
図7(a)において、基板6(2)の位置ずれ量ΔXは上方警告閾値を上回り、基板6(4)の位置ずれ量ΔXは下方警告閾値を下回っており、それぞれ送信警告範囲Rw外であるため、判断部30cによって送信保留と判断される。基板6(8)から基板6(12)の位置ずれ量ΔXは、送信警告範囲Rw内ではあるが5回連続してマイナスである。すなわち、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθをフィードバックして実装位置Mを補正したにもかかわらず、送信前の位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθの方向と変わらないため、判断部30cによって送信保留と判断される。なお、送信保留の判断は、5回連続マイナスまたは5回連続プラスに限定されることなく、3回、4回、または6回以上連続など適宜設定可能である。
図7(a)において、基板6(5)の位置ずれ量ΔXは上方送信閾値を上回り、基板6(7)の位置ずれ量ΔXは下方送信閾値を下回っており、それぞれ送信判定範囲Rt外である。そのため、それぞれ判定部30aによって送信判定範囲Rt外と判定されて表示部34にその旨が報知され、送信部30bは位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを部品実装装置M2,M3に送信しない。
図5において、ばらつき算出部30dは、検査記憶部31に検査情報31cとして記憶された所定の期間の位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを統計処理して位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθのばらつき範囲Rvを算出するばらつき算出処理を実行する。統計処理は、例えば、所定期間の位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθから算出した標準偏差σの±3σの範囲をばらつき範囲Rvとする処理である。図7(b)に、基板6に実装された部品PのX方向の位置ずれ量ΔX(X軸)の頻度(Y軸)と、この分布から算出されたばらつき範囲Rv(±3σの範囲)を示している。なお、ばらつき範囲Rvとして、上位25%から75%までの範囲である四分位範囲など他の統計量を用いてもよい。
判断部30cは、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθがばらつき範囲Rv外であることを所定の条件の一つとし、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを送信保留させる。これにより、最近の検出実績(所定期間の位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθ)を基に統計的に判断し、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが大きい場合に、作業者が状況を確認して適切に判断することができる。すなわち、所定の条件は、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが算出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθのばらつき範囲Rv外であることである。
入力部35は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。表示部34は液晶パネルなどの表示装置であり、入力部35による操作のための操作画面などの各種画面の他、検査情報31c、統計情報31dに含まれる位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθなどの各種情報を表示する。すなわち、検査装置M4は、検査情報31cを表示する表示部34と、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを部品実装装置M2,M3(実装用装置)に送信するか否かが入力される入力部35とを備えている。
判断部30cが送信保留すると判断した場合、表示部34は、送信が保留された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを表示し、入力部35は指示が入力されるのを待機する。そして、作業者は、表示部34に表示された情報を基に、この位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθに基づいて実装位置Mを補正させるか否かを判断し、送信が保留された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを部品実装装置M2,M3に送信させるか否かを指示する。すなわち、判断部30cが検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを部品実装装置M2,M3(実装用装置)に送信することを保留(送信保留)すると判断した場合に、表示部34は、送信が保留された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを表示し、入力部35は、送信が保留された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを部品実装装置M2,M3に送信するか否の入力を待機する。
このように、検査装置M4は、基板6に実装された部品Pの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを含む検査情報31cを検出する検出部(検査処理部32、検査用カメラ33)と、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが所定の送信判定範囲Rt(第1の範囲)内か否かを判定する判定部30aと、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを部品実装装置M2,M3(実装用装置)に送信する送信部30bと、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを部品実装装置M2,M3に送信するか否かを判断する判断部30cとを備えており、部品実装装置M2,M3によって部品Pが実装された基板6を検査する。
そして、判断部30cは、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信判定範囲Rt内と判定され、かつ所定の条件を満たすと判断した場合、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを部品実装装置M2,M3に送信することを保留させる。これによって、検査装置M4は、部品Pの実装精度を向上させることができる部品Pの位置ずれ情報(位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθ、検出部品サイズSx*,Sy*)のみを部品実装装置M2,M3にフィードバックすることができる。
図5において、管理コンピュータ3は、管理制御部40、管理記憶部41、表示部42、入力部43を備えている。管理制御部40はCPUなどの演算装置であり、内部処理機能として補正量算出部40a、判定部40b、送信部40c、判断部40d、ばらつき算出部40eを備えている。管理記憶部41は記憶装置であり、実装データ41a、閾値情報41b、検査情報41c、統計情報41d、補正量41eなどを記憶する。
実装データ41aと閾値情報41bには、それぞれ検査装置M4の検査記憶部31に記憶される実装データ31aと閾値情報31bと同様の情報が含まれている。検査情報41cには、検査装置M4で検出された検査情報31cが送信されて記憶されている。補正量算出部40aは、部品実装装置M2,M3が備える補正量算出部20aと同様の機能を備えている。すなわち、補正量算出部40aは、管理記憶部41に記憶される検査情報41cに含まれる位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθに基づいて、部品実装装置M2,M3(実装用装置)が実装位置Mを補正して部品Pを基板6に実装するための補正量41eを算出して管理記憶部41に記憶させる。
図5において、判定部40b、送信部40c、判断部40d、ばらつき算出部40eは、管理記憶部41に記憶された検査情報41cに基づいて、それぞれ検査装置M4が備える判定部30a、送信部30b、判断部30c、ばらつき算出部30dと同様の判定処理、送信処理、判断処理、ばらつき算出処理を実行する。すなわち、判定部40bは、検査装置M4が備える検出部(検査処理部32、検査用カメラ33)によって検出されて管理記憶部41に記憶された検査情報41cに含まれる基板6に実装された部品Pの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信判定範囲Rt(所定の第1の範囲)内か否かを判定する。ばらつき算出部40eによるばらつき算出処理によって得られた統計情報41dは、管理記憶部41に記憶される。
入力部43は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。表示部42は液晶パネルなどの表示装置であり、入力部43による操作のための操作画面などの各種画面の他、検査情報41c、統計情報41dに含まれる位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθなどの各種情報を表示する。
次に図8のフローに則して、検査装置M4によって検出された検査結果(位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθなど)を部品実装装置M2,M3に送信する検査結果送信方法について説明する。検査装置M4による検査は、基板6毎に実装された複数の部品Pに対して実行され、その検査結果を送信(フィードバック)するか否かを判断された後に、それぞれその部品Pを実装した部品実装装置M2,M3に送信(フィードバック)される。便宜上、以下の説明では基板6に実装された(実装される)一つの部品Pに限定して説明する。
まず、検出部(検査処理部32、検査用カメラ33)は検査処理を実行し、基板6に実装された部品Pの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθ、検出部品サイズSx*,Sy*を含む検査情報31cを検出する(ST1)。次いでばらつき算出部30dはばらつき算出処理を実行して、記憶された所定期間の位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを統計処理して位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθのばらつき範囲Rvを算出する(ST2)。
次いで判定部30aは判定処理を実行し、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが所定の送信判定範囲Rt(第1の範囲)内か否かを判定する(ST3)。位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信判定範囲Rt内ではない場合(ST3においてNo)(図7(a)の基板6(5)、基板6(7))、表示部34はその旨(エラー)を報知する(ST4)。そして、部品実装装置M2,M3(実装用装置)には位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを送信させない。位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信判定範囲Rt内の場合(ST3においてYes)、判定部30aは判定処理を実行し、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信警告範囲Rw(第2の範囲)外か否かを判定する(ST5)。
図8において、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信警告範囲Rw外ではない場合(ST5においてNo)、判定部30aは、検出部品サイズSx*,Sy*(検出された部品Pの大きさSx,Sy)が部品Pの大きさの警告範囲Rs(所定の大きさの範囲)外であるか否かを判定する(ST6)。検出部品サイズSx*,Sy*が部品Pの大きさの警告範囲Rs外ではない場合(ST6においてNo)、判定部30aは判定処理を実行し、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが部品実装装置M2,M3に送信(フィードバック)されて実装位置Mが補正された後に部品Pが実装された基板6における部品Pの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθの方向が送信(フィードバック)前と同じか否かを判定する(ST7)。
補正後の位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθの方向が同じではない場合(ST7においてNo)、判定部30aは判定処理を実行し、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθがばらつき範囲Rv内であるか否かを判定する(ST8)。位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθがばらつき範囲Rv内の場合(ST8においてYes)、判断部30cは判断処理を実行して所定の条件を満たさないと判断する。そして、送信部30bが送信処理を実行して、その部品Pを実装した部品実装装置M2,M3に位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを送信(フィードバック)する(ST9)。受信した部品実装装置M2,M3では、受信した位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを位置ずれ量データ21aとして記憶し、補正量算出部20aによって補正量21bが算出されて、部品Pの実装位置Mが補正される。
このように、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信警告範囲Rw内かつばらつき範囲Rv内で、さらに検出部品サイズSx*,Sy*が部品Pの大きさの警告範囲Rs内で、さらに補正後の位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθの方向が同じではない場合(所定の条件を満たさない場合)に、部品実装装置M2,M3に位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信(フィードバック)される。これによって、部品Pの実装精度を向上させることができる部品Pの位置ずれ情報(位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθ)のみを部品実装装置M2,M3にフィードバック(送信)することができる。
図8において、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信警告範囲Rw外の場合(ST5においてYes)(図7(a)の基板6(2)、基板6(4))、または、検出部品サイズSx*,Sy*が部品Pの大きさの警告範囲Rs外の場合(ST6においてYes)、または、補正後も位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθの方向が同じ場合(ST7においてYes)(図7(a)の基板6(8)〜基板6(12))、または、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθがばらつき範囲Rv内ではない場合(ST8においてNo)、判断部30cによる判断処理によって、所定の条件を満たすと判断される。そして、判断部30cによって、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθの送信が保留される。
すなわち、所定の条件を満たすと判断された場合、部品実装装置M2,M3(実装用装置)に検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを送信(フィードバック)することが保留される。そして、表示部34はその部品Pの情報と検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを表示し(ST10)、入力部35は作業者による指示入力を待機する(ST11)。
表示部34に表示される情報を確認した作業者が、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを送信(フィードバック)すると判断すると(ST11においてYes)、(ST9)に進んで送信部30bによってその部品Pを実装した部品実装装置M2,M3に検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信される。一方、作業者が検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθは、実装ノズル11bによる吸着ミスや基板6上の異物Wなど突発的な事象が原因と判断し、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθは送信しない判断すると(ST11においてNo)、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθは部品実装装置M2,M3に送信されない(ST12)。これによって、部品Pの実装精度の低下を防止することができる。
次に図9、図10のフローに則して、部品実装装置M2,M3(実装用装置)と検査装置M4とを備える部品実装システム1において部品Pを基板6に実装する部品実装方法について説明する。便宜上、以下の説明では基板6に実装された(実装される)一つの部品Pに限定して説明する。
図9において、部品実装装置M2,M3は、補正量21bを加味して実装位置Mを補正して部品Pを基板6に実装する(ST21)。その後、部品Pが実装された基板6は検査装置M4に搬送され、検査装置M4において検査情報31cが検出されて管理コンピュータ3に送信され、管理コンピュータ3において補正量41eが決定される(ST22:補正量決定工程)。決定された補正量41eは部品実装装置M2,M3に送信(フィードバック)されて補正量21bとして実装記憶部21に記憶され、(ST21)において実装位置Mが補正されて部品Pが実装される。
次に図10を参照して、補正量決定工程(ST22)(補正量決定方法)の詳細について説明する。まず、基板6が搬送された検査装置M4において、基板6に実装された部品Pの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを含む検査情報31cが検出される(検出工程)。そして、送信部30bによって検査情報31cが管理コンピュータ3に送信され、管理コンピュータ3において検査情報41cとして管理記憶部41に記憶される(ST31)。以下の処理は、管理コンピュータ3において実行される。
補正量算出部40aは補正量算出処理を実行し、検査情報41cに含まれる検査装置M4において検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθに基づいて、部品実装装置M2,M3(実装用装置)が実装位置Mを補正して部品Pを基板6に実装するための補正量41eを算出する(ST32:補正量算出工程)。次いでばらつき算出部40eはばらつき算出処理を実行し、所定の期間の位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを統計処理して位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθのばらつき範囲Rvを算出する(ST33:ばらつき算出工程)。
図10において、判定部40bは判定処理を実行し、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信判定範囲Rt(所定の第1の範囲)内か否かを判定する(ST34)。位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信判定範囲Rt内ではない場合(ST34においてNo)、表示部42はその旨(エラー)を報知する(ST35)。そして、部品実装装置M2,M3(実装用装置)には補正量41eまたは位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを送信させない。位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信判定範囲Rt内の場合(ST34においてYes)、判定部40bは判定処理を実行し、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信警告範囲Rw(第2の範囲)外であるか否かを判定する(ST36)。
位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信警告範囲Rw外ではない場合(ST36においてNo)、判定部40bは判定処理を実行し、検出部品サイズSx*,Sy*(検出された部品Pの大きさSx,Sy)が部品Pの大きさの警告範囲Rs(所定の大きさの範囲)外であるか否かを判定する(ST37)。検出部品サイズSx*,Sy*が部品Pの大きさの警告範囲Rs外ではない場合(ST37においてNo)、判定部40bは判定処理を実行し、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが部品実装装置M2,M3に送信(フィードバック)されて実装位置Mが補正された後に部品Pが実装された基板6における部品Pの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθの方向が送信(フィードバック)前と同じか否かを判定する(ST38)。
図10において、補正後の位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθの方向が同じではない場合(ST38においてNo)、判定部40bは判定処理を実行し、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθがばらつき範囲Rv内であるか否かを判定する(ST39)。位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθがばらつき範囲Rv内の場合(ST39においてYes)、判断部40dは判断処理を実行して所定の条件を満たさないと判断する。そして、送信部40cが送信処理を実行して、その部品Pを実装した部品実装装置M2,M3に補正量41eを送信(フィードバック)する(ST40)。受信した部品実装装置M2,M3では、受信した補正量41eを補正量21bとして記憶し、部品Pの実装位置Mが補正される。
このように、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信警告範囲Rw内かつばらつき範囲Rv内で、さらに検出部品サイズSx*,Sy*が部品Pの大きさの警告範囲Rs内で、さらに補正後の位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθの方向が同じではない場合(所定の条件を満たさない場合)に、部品実装装置M2,M3に補正量41eが送信(フィードバック)される。これによって、部品Pの実装精度を向上させることができる部品Pの位置ずれ情報(補正量41e)のみを部品実装装置M2,M3にフィードバック(送信)することができる。
図10において、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信警告範囲Rw外の場合(ST36においてYes)、または、検出部品サイズSx*,Sy*が部品Pの大きさの警告範囲Rs外の場合(ST37においてYes)、または、補正後も位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθの方向が同じ場合(ST38においてYes)、または、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθがばらつき範囲Rv内ではない場合(ST39においてNo)、判断部40dによる判断処理によって、所定の条件を満たすと判断される。そして、判断部40dによって、補正量41eまたは位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθの送信が保留される。
すなわち、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信判定範囲Rt(第1の範囲)内と判定された場合、さらに所定の条件を満たすか否かを判断し、所定の条件を満たすと判断された場合、算出された補正量41eに基づいて部品実装装置M2,M3(実装用装置)に実装位置Mの補正をさせることが保留される。
そして、表示部42はその部品Pの情報と算出された補正量41eまたは検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを表示し(ST41)、入力部43は作業者による指示入力を待機する(ST42)。すなわち、部品実装装置M2,M3(実装用装置)に実装位置Mの補正をさせることを保留している際に、表示部42に補正することを保留された補正量41eまたは位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを表示し、補正することを保留された補正量41eに基づいて部品実装装置M2,M3に実装位置Mの補正をさせるか否かが入力部43より入力されることを待機する。
図10において、表示部42に表示される情報を確認した作業者が、算出された補正量41eを送信(フィードバック)すると判断すると(ST42においてYes)、(ST40)に進んで送信部40cによってその部品Pを実装した部品実装装置M2,M3に補正量41eまたは位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信される。
一方、作業者が補正量41eまたは位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθは、実装ノズル11bによる吸着ミスや基板6上の異物Wなど突発的な事象が原因と判断し、補正量41eまたは位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθは送信しない判断すると(ST42においてNo)、補正量41eまたは位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθは部品実装装置M2,M3には送信されない(ST43)。すなわち、所定の条件を満たすと判断された場合、算出された補正量41eに基づいて部品実装装置M2,M3(実装用装置)に実装位置Mの補正をさせない。これによって、部品Pの実装精度の低下を防止することができる。
上記説明したように、本実施の形態の部品実装方法では、検査装置M4において、基板6に実装された部品Pの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを含む検査情報31cを検出している。そして、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθに基づいて、部品実装装置M2,M3(実装用装置)が実装位置Mを補正して部品Pを基板6に実装するための補正量41eを算出し、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信判定範囲Rt(所定の第1の範囲)内か否かを判定し、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが送信判定範囲Rt内と判定された場合、さらに所定の条件を満たすか否かを判断し、所定の条件を満たすと判断された場合、算出された補正量41eに基づいて部品実装装置M2,M3に実装位置Mの補正をさせることを保留している。
これによって、部品Pの実装精度を低下させるおそれのある突発的に発生した大きな位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθに基づく補正量41eは部品実装装置M2,M3にフィードバックさせずに、部品Pの実装精度を向上させるための部品Pの位置ずれ情報(補正量41e)のみをフィードバック(送信)することができる。
なお、補正量41eの決定は、管理コンピュータ3での実行に限定されることはない。例えば、検査装置M4において検査情報31cの検出、判定処理、判断処理、ばらつき算出処理、送信処理を実行して、所定の条件を満たさない(部品Pの実装精度を向上させる)部品Pの位置ずれ情報(位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθ)を部品実装装置M2,M3に送信し、部品実装装置M2,M3において補正量算出処理を実行して補正量21bを算出するようにしてもよい。
また、ばらつき算出処理(検査結果送信方法におけるST2、補正量決定方法におけるST33)の実行は、判定処理の前に限定されることはない。ばらつき算出処理は、検出された位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθがばらつき範囲Rv内か否かを判定する(検査結果送信方法におけるST8、補正量決定方法におけるST39)前までに実行されていればよい。