JP6960107B2 - 粗面化された車道用の舗装コンクリートの製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、より一層、車両に対する滑り止め機能を十分に発揮することができれば、望ましい。また、滑り止め機能を付与するにあたり、作業性に十分に優れることも、望ましい。
すなわち、車道用の舗装コンクリート表面に酸水溶液を添加する場合には、該表面に凹部が存在すると、この凹部に酸水溶液が溜まって局所的に偏在するおそれがある。また、該表面が勾配を有する場合には、添加された酸水溶液が勾配に沿って流れ出すおそれがある。このような場合には、舗装コンクリート表面と酸水溶液との接触時間を十分確保することが困難になり、その結果、所望の滑り止め機能を発揮し得ないおそれがある。
一方、所望の滑り止め機能を発揮させようとすれば、何回も酸水溶液の添加を行う必要があるため、作業工程や作業時間が増加したり、施工管理が困難になったりする結果、作業効率が低下するおそれがあり、作業性に十分に優れているとはいい難い。
また、液体を散布する装置は、通常、金属製であるため、酸水溶液を散布する場合、酸水溶液による腐食対策やメンテナンスを十分に行う必要がある等、事前準備や事後の機器整備が煩雑となるため、この点でも作業性に十分に優れているとはいい難い。
車道用の舗装コンクリート表面に固体状の酸材料を添加することによって、前記表面を粗面化処理する。
また、固体状の酸材料を添加すると、舗装コンクリート表面の周囲の環境において発生した、降雨、湿気(空気中の水分)、山水等によって、上記酸材料が徐々に溶解し、高濃度の酸水溶液が発生するため、セメント水和物中の酸に溶脱する成分を、より効率的に溶脱することが可能となる。よって、より十分な滑り止め機能を発揮させ得る。
さらに、舗装コンクリート表面が傾斜を有するような場合には、該表面に酸水溶液を添加すると、この傾斜に沿って該表面上を不意に流れて移動してしまい、所望の箇所に酸水溶液を留めておくことが困難となるおそれがある。しかし、固体状の酸材料を添加することによって、かかる不意な移動が生じることを抑制し得る。よって、所望の箇所に、より十分な滑り止め機能を発揮させ得る。
このようにして得られた粗面化された車道用の舗装コンクリートは、車両に対する滑り止め機能が十分に高められたものとなる。
従って、経済的に、且つ切削時の騒音が発生しないように、車両に対して従来よりも十分な滑り止め機能を発揮できる車道用の舗装コンクリートを、十分に優れた作業性で製造できる。
前記表面が傾斜しており、その勾配が3%以上であってもよい。
しかし、上記構成によれば、そのような傾斜を有する舗装コンクリート表面であっても、固体状の酸材料を添加することによって、酸水溶液を添加する場合よりも、傾斜に沿って流れて移動し難くなる。
よって、車道用舗装コンクリート表面の勾配が3%以上である場合に、上記製造方法がより有用になる。
前記表面に前記酸材料を添加した後、さらに水を添加することによって、前記表面を粗面化処理してもよい。
一方、水を添加することにより、周囲の環境に依存することなく、固体状の酸材料を水に溶解させることができるため、より確実に、滑り止め機能を発揮させ得る。
前記酸材料は、有機酸を含んでいてもよい。
これにより、酸によって作業者に及ぼされる健康被害の影響を低減しつつ、経済的に、且つ切削時の騒音が発生しないように、車道用の舗装コンクリート表面を粗面化できる。
前記表面の上方は、構造物で覆われていてもよい。
これにより、経済的に、且つ切削時の騒音が発生しないように、車道用の舗装コンクリート表面を粗面化できる。
本実施形態の製造方法は、車両の通行などにより箒目が摩耗されて(磨かれて)、滑り止め機能を十分に発揮できなくなった車道用の舗装コンクリート表面に採用されることが好ましい。
また、1回の添加、または、複数の添加によって、上記添加量を、200g/m2以上1000g/m2以下としてもよい。
例えば、固体状の酸材料を舗装コンクリート表面に添加すると、固体状の酸材料が全て舗装コンクリート表面の成分と反応するまで、中和反応が進行する。よって、より深い凹凸をより多く形成するという観点を考慮すると、上記接触させる総時間は、長い程、好ましい。
また、自然由来の水分(雨やトンネル内の湿気)によって固体状の酸材料を溶解させる場合にも、上記接触させる総時間は、長い程、好ましい。なお、このように自然由来の水分を利用する場合には、添加した固体状の酸材料をそのまま放置(静置)してもよく、放置された固体状の酸材料は、車両の通行によって消散され、これによって、中和反応が終了することになる。
このように反応効率を向上させたり、人工的に水を添加したりする、といったように作業性を向上させようとする場合には、作業性の向上の程度に応じて上記接触させる時間を適宜設定することができる。この場合には、例えば、0分を超えて60分以下とすることが好ましく、5分以上30分以下であることがより好ましい。
このようにして得られた粗面化された車道用の舗装コンクリートは、車両に対する滑り止め機能が十分に高められたものとなる。
水の添加量を60g/m2以上とすることによって、舗装コンクリートの表面を全体にわたって十分に水で濡らすことができる。
水の添加量を180g/m2以下とすることによって、舗装コンクリートの表面から水が流れ出してしまうことを抑制し得る。
また、このように、水の添加量を60g/m2以上180g/m2以下とし、前述した通り、固体状の酸材料の添加量を150g/m2以上1000g/m2以下としてもよい。
なお、上方が構造物で覆われているとは、粗面化される車道用の舗装コンクリート表面の上方にトンネルなどの構造物が形成されていて、該舗装コンクリート表面の上方が該構造物で覆われていることを意味する。
車道用の舗装コンクリート表面に固体状の酸材料を添加することによって、前記表面を粗面化処理する。
また、固体状の酸材料を添加すると、舗装コンクリート表面の周囲の環境において発生した、降雨、湿気(空気中の水分)、山水等によって、上記酸材料が徐々に溶解し、高濃度の酸水溶液が発生するため、セメント水和物中の酸に溶脱する成分を、より効率的に溶脱することが可能となる。よって、より十分な滑り止め機能を発揮させ得る。
さらに、舗装コンクリート表面が傾斜を有するような場合には、該表面に酸水溶液を添加すると、この傾斜に沿って該表面上を不意に流れて移動してしまい、所望の箇所に酸水溶液を留めておくことが困難となるおそれがある。しかし、固体状の酸材料を添加することによって、かかる不意な移動が生じることを抑制し得る。よって、所望の箇所に、より十分な滑り止め機能を発揮させ得る。
このようにして得られた粗面化された車道用の舗装コンクリートは、車両に対する滑り止め機能が十分に高められたものとなる。
従って、経済的に、且つ切削時の騒音が発生しないように、車両に対して従来よりも十分な滑り止め機能を発揮できる車道用の舗装コンクリートを、十分に優れた作業性で製造できる。
前記表面が傾斜しており、その勾配が3%以上であってもよい。
しかし、上記構成によれば、そのような傾斜を有する舗装コンクリート表面であっても、固体状の酸材料を添加することによって、酸水溶液を添加する場合よりも、傾斜に沿って流れて移動し難くなる。
よって、車道用舗装コンクリート表面の勾配が3%以上である場合に、上記製造方法がより有用になる。
また、かかる観点を考慮すれば、勾配が、5%以上であることがより好ましい。
一方、車道用舗装コンクリート表面の勾配は、特に限定されるものではないが、例えば45%以下とされることができ、通常、12%以下とされ得る。
前記表面に前記酸材料を添加した後、さらに水を添加することによって、前記表面を粗面化処理してもよい。
一方、水を添加することにより、周囲の環境に依存することなく、固体状の酸材料を水に溶解させることができるため、より確実に、滑り止め機能を発揮させ得る。
前記酸水溶液は、有機酸を含んでいてもよい。
これにより、酸によって作業者に及ぼされる健康被害の影響を低減しつつ、経済的に、且つ切削時の騒音が発生しないように、車道用の舗装コンクリート表面を粗面化できる。
前記車道用の舗装コンクリート表面の上方は、構造物で覆われていてもよい。
表1に示す配合で、各成分を強制2軸ミキサによって練り混ぜてコンクリート組成物(混練物)を調製した後、角柱供試体用型枠(10×10×40cm)内に打設した。打設翌日、コンクリート組成物を該型枠から脱型し、材齢28日まで水中養生して、コンクリート供試体を作製した。
なお、表1において、W/Cは水セメント比、Wは水、Cはセメント、sは細骨材の容積、aは細骨材と粗骨材の合計容積を意味する。また、表中のC*%は、セメントの質量に対する、減水剤の質量百分率を意味する。
セメントとして、普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント社製)を用いた。
水中から取り出した供試体をそのまま用い(固体状の酸材料の添付量が0g/m2)、この供試体を、実際に道路構造令(平成23年改正)で示される一般的な道路の最大勾配である12%の勾配となるように、斜めに設置した。この供試体について、舗装調査・試験法便覧(平成19年6月版、社団法人日本道路協会編)のS021−2「振り子スキッドレジスタンステスタによるすべり抵抗測定方法」に準拠して、表面(上面)のBPN値(すべり抵抗値)を測定した。結果を表4に示す。
水中から取り出した供試体を、上記と同様、12%の勾配となるように設置し、その濡れた状態の表面(上面)に、表2に示す各固体状の酸材料(クエン酸、グルコン酸)を、表3の散布量となるようにそれぞれ散布し、表2に示す酸水溶液(乳酸水溶液、クエン酸水溶液)を、表3に示す各塗布量でそれぞれ塗布し、5分間静置した。静置後、供試体の表面を水で洗い流し、表乾状態となるまで拭き取った後、上記と同様にして、表面(上面)のBPN値を測定した。結果を表3に示す。
しかし、固体状の酸材料の方が、酸水溶液よりも、すべり抵抗値が大きくなった。
供試体の勾配を考慮すると、コンクリートの表面に酸水溶液を添加した場合には、その多くが勾配によって流れ出し、所望の接触時間を確保できなかったため、固体状の酸材料よりも、すべり抵抗値が小さくなった。
固体状の酸材料においては、添加量が800g/m2と多量になると、勾配によって一部が流れ出し、すべり抵抗値がそれ以上上昇しなくなる(頭打ちとなる)傾向が見られた。
これに対し、供試体を水平(勾配0%)にした状態で水を散布した場合には、200g/m2程度を超えた辺りから周囲に流れ出す状況が確認され、勾配を大きくするほど少ない量で流れ始める傾向が見られた。
Claims (6)
- 車道用の硬化した舗装コンクリート表面に固体状の酸材料を添加し、人工的に水を添加する、又は、自然由来の水分を利用することによって、該舗装コンクリートに含まれるセメント水和物中の酸に溶脱する成分を溶脱させ、骨材を前記舗装コンクリート表面に残存させることで、前記表面を粗面化処理する、粗面化された車道用の舗装コンクリートの製造方法。
- 前記表面が傾斜しており、その勾配が3%以上である、請求項1に記載の粗面化された車道用の舗装コンクリートの製造方法。
- 前記表面に前記酸材料を添加した後、さらに人工的に水を添加することによって、前記表面を粗面化処理する、請求項1または2に記載の粗面化された車道用の舗装コンクリートの製造方法。
- 前記酸材料は、有機酸を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の粗面化された車道用の舗装コンクリートの製造方法。
- 前記表面の上方が、構造物で覆われている、請求項1〜4のいずれかに記載の粗面化された車道用の舗装コンクリートの製造方法。
- 人工的に添加する水の添加量が60g/m 2 以上180g/m 2 以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の粗面化された車道用の舗装コンクリートの製造方法。
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