図1は本発明が適用される液晶表示装置の平面図である。図1において、TFT基板100と対向基板200とがシール材40によって接着し、TFT基板100と対向基板200との間に液晶が挟持されている。TFT基板100は対向基板200よりも大きく形成されており、TFT基板100が1枚となっている部分は端子部150となっている。端子部150には、液晶表示パネルを駆動するICドライバ160、液晶表示パネルに電源、映像信号、クロック等を供給するためのフレキシブル配線基板を接続するための端子等が形成されている。
図1において、表示領域500には走査線10が第1の方向に延在し、第2の方向に配列している。また、映像信号線20が第2の方向に延在し、第1の方向に配列している。走査線10と映像信号線20とで囲まれた領域が画素30となっている。高精細になるとこの画素30の面積が映像信号線の延在方向に78μm以下、走査線の延在方向に26μm以下というように小さくなる。画素30には、赤画素、緑画素、青画素が存在する。なお、赤画素、緑画素、青画素のセットを画素と呼ぶこともあるが、本明細書では、特に断らない場合は、各赤画素、緑画素、青画素を画素30と呼ぶ。
図2はTFT基板100における画素30の平面図である。図2では、画素30が水平方向に2個並んだ構成が記載されている。図2は、IPS(In Plane Switching)方式の液晶表示装置における画素部の平面図である。本明細書では、IPS(In Plane Switching)方式を例にとって説明するが、本発明は、これに限らず、他の液晶表示装置についても適用することが出来る。
図2において、走査線10が横方向に延在し、縦方向に配列しており、映像信号線20が縦方向に延在し、横方向に配列している。走査線10と映像信号線20とで囲まれた領域に画素電極111が形成されている。図2において、スルーホール140から半導体層103がUの字型に延在して走査線10の下を2回通過するような構成となっている。半導体層103が走査線10を通過する部分がTFTとなっている。すなわち、この部分では走査線10がゲート電極となっている。半導体層103はスルーホール120においてコンタクト電極107と接続し、コンタクト電極107はコンタクトホール130において画素電極111と接続している。画素電極111は内部にスリット1111を有する。図2では、画素電極111はスリット1111を有する複数の線状電極となっているが、画素電極111はスリットを有さない1本の線状電極の場合もある。
本明細書では、半導体層103と映像信号線20、あるいは、半導体層103とコンタクト電極107とを接続する箇所をスルーホールといい、コンタクト電極107と画素電極112とを接続する箇所をコンタクトホール130と呼ぶ。スルーホールもコンタクトホールも機能は同じである。コンタクトホール130は、有機パッシベーション膜に孔を形成するために、孔の径が大きくなる。
コンタクトホールはすり鉢状の凹部であるが、図2のコンタクトホール130は、コンタクトホールの底部における孔を意味している、図2において、108はコンタクトホール底部における有機パッシベーション膜の端部を、110はコンタクトホール底部における容量絶縁膜の端部を示している。また、図2において、109はコモン電極109の開口部を示している。108と110とは矩形となっているが、多角形や円形であってもよい。
コンタクトホール130の部分には大きな凹部が形成されるので、この部分に配向膜材料塗布時に配向膜材料がはじかれて、入り込みにくくなる。以後配向膜材料を単に配向膜とよぶこともある。配向膜がコンタクトホールのみからはじかれているだけでは表示ムラが視認される可能性は低いが、配向膜がはじかれる影響でコンタクトホール近傍の配向膜が厚くなり、表示品質が低下する可能性が高くなる。更に、コンタクトホールにおいてはじかれた領域が複数のコンタクトホールに亘ってつながると、配向膜が形成されない領域が大きくなり、更なる表示むらが発生する場合もある。以後、配向膜が形成されない領域を配向膜のはじけともいう。
図3は、図2のA−Aに対応する断面図である。図3におけるTFTは、いわゆるトップゲートタイプのTFTであり、使用される半導体としては、LTPS(Low Temperature Poly−Si)が使用されている。図3において、ガラス基板100の上にSiNからなる第1下地膜101およびSiO2からなる第2下地膜102がCVD(Chemical Vapor Deposition)によって形成される。第1下地膜101および第2下地膜102の役割はガラス基板100からの不純物が半導体層103を汚染することを防止することである。
第2下地膜102の上には半導体層103が形成される。この半導体層103は第2下地膜102の上にCVDによってa−Si膜を形成し、これをレーザアニールすることによってpoly−Si膜に変換したものである。このpoly−Si膜をフォトリソグラフィによってパターニングする。
半導体膜103の上にはゲート絶縁膜104が形成される。このゲート絶縁膜104はTEOS(テトラエトキシシラン)によるSiO2膜である。この膜もCVDによって形成される。その上にゲート電極105が形成される。ゲート電極105は図2に示す走査線10が兼ねている。半導体層は2回走査線10の下を通過するので、図3において、ゲート電極105は2個配置している。ゲート電極105は例えば、MoW膜によって形成される。
ゲート電極105を覆って層間絶縁膜106をSiO2によって形成する。層間絶縁膜106はゲート電極105とコンタクト電極107を絶縁するためである。層間絶縁膜106およびゲート絶縁膜104には、半導体層103をコンタクト電極107と接続するためのスルーホール120が形成される。層間絶縁膜106とゲート絶縁膜104にスルーホール120を形成するためのフォトリソグラフィは同時に行われる。
層間絶縁膜106の上には映像信号線20が形成されている。映像信号線20は、図2に示すスルーホール140において、半導体層103と接続している。つまり、図2に示すスルーホール140とスルーホール120の間に2個のTFTが形成されていることになる。層間絶縁膜106の上にコンタクト電極107が映像信号線20と同層で形成される。コンタクト電極107は、コンタクトホール130を介して画素電極112と接続する。映像信号線20およびコンタクト電極107は例えばAl合金あるいはMoW、または、これらの積層体によって形成される。
映像信号線20およびコンタクト電極107を覆って有機パッシベーション膜108が形成される。有機パッシベーション膜108は感光性のアクリル樹脂で形成される。有機パッシベーション膜108は、アクリル樹脂の他、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等でも形成することが出来る。有機パッシベーション膜108は平坦化膜としての役割を持っているので、厚く形成される。有機パッシベーション膜108の膜厚は2〜4μmであるが、本発明では、3.5μm程度である。
画素電極111とコンタクト電極107との導通を取るために、有機パッシベーション膜108にコンタクトホール130が形成される。感光性の樹脂を塗付後、この樹脂を露光すると、光が当たった部分のみが特定の現像液に溶解する。すなわち、感光性樹脂を用いることによって、フォトレジストの形成を省略することが出来る。有機パッシベーション膜108にコンタクトホール130を形成したあと、230℃程度で有機パッシベーション膜を焼成することによって有機パッシベーション膜108が完成する。
その後コモン電極109となるITO(Indium Tin Oxide)をスパッタリングによって形成し、その後、コンタクトホール130およびその周辺からITOを除去するようにパターニングする。コモン電極109は各画素共通に平面状に形成することが出来る。その後、容量絶縁膜110となるSiNをCVDによって全面に形成する。その後、コンタクトホール130内において、コンタクト電極107と画素電極111の導通をとるためのスルーホールを容量絶縁膜110に形成する。その後、ITOをスパッタリングによって形成し、パターニングして画素電極111を形成する。画素電極111の平面形状は図2に示すとおりである。
画素電極111の上に配向膜材料をフレキソ印刷あるいはインクジェット等によって塗布する。配向膜材料は塗布時は液体であるが、表面張力によってコンタクトホール130には、入り込まない場合がある。
配向膜材料を塗布後、焼成して配向膜112とする。この配向膜112をラビング処理または紫外線による光配向処理によって配向処理する。画素電極111とコモン電極109の間に電圧が印加されると図3に示すような電気力線が発生する。この電界によって液晶分子301を回転させ、液晶層300を通過する光の量を画素毎に制御することによって画像を形成する。
図3において、液晶層300を挟んで対向基板200が配置されている。対向基板200の内側には、カラーフィルタ201が形成されている。カラーフィルタ201は画素毎に、赤、緑、青のカラーフィルタが形成されており、これによってカラー画像が形成される。カラーフィルタ201とカラーフィルタ201の間にはブラックマトリクス202が形成され、画像のコントラストを向上させている。なお、ブラックマトリクス202はTFTの遮光膜としての役割も有し、TFTに光電流が流れることを防止している。また、ブラックマトリクスは、平面で視てコンタクトホールを覆っている。
カラーフィルタ201およびブラックマトリクス202を覆ってオーバーコート膜203が形成されている。オーバーコート膜203によって、カラーフィルタ202の成分が液晶層に拡散することを防止する。オーバーコート膜203の上には、液晶の初期配向を決めるための配向膜112が形成される。配向膜112の配向処理はTFT基板100側の配向膜112と同様、ラビング法あるいは光配向法が用いられる。
図4は、配向膜の膜厚が不均一となることによる表示ムラの例である。このような、表示むらは、コンタクトホールに配向膜が入り込まない領域が生ずることに起因する。コンタクトホールは対向基板に形成されたブラックマトリクスによって覆われているが、配向膜の膜厚が不均一となる領域が遮光されていない領域に及ぶ場合、ムラとして視認される。また、配向膜が形成されない領域がつながると、光もれの問題がより大きくなる。
図5乃至図7は、コンタクトホール内に配向膜が形成されない原因を説明する図である。図5は、図2における、コンタクトホール130付近の拡大平面図である。図5では、図を複雑化しないために、半導体層等は省略している。図5において、109はコモン電極の開口部を指している。130は図3におけるコンタクトホールの底部における開口を指している。110は容量絶縁膜110の開口部を指し、108は、有機パッシベーション膜108のコンタクトホールの底部における開口部を指している。以後のコンタクトホール付近の平面図も同様である。その他は図2で説明したとおりである。
図6は図5のB−B断面図である。図6は、層間絶縁膜以下は省略している。また、図6では配向膜は省略されている。図6において、有機パッシベーション膜108にコンタクトホールが形成されている、有機パッシベーション膜108にフォトリソグラフィによってコンタクトホールが形成され、その上に容量絶縁膜110が形成され、容量絶縁膜110にフォトリソグラフィによって開口が形成されている。この開口において、コンタクト電極107と画素電極111が接続している。有機パッシベーション膜108の上にコモン電極109が形成されているが、このコモン電極109は、コンタクトホール130およびその周辺からは除去されている。このようなコンタクトホール130の形状の場合、コンタクトホール内に配向膜が形成されない現象が生ずる。
図7はこれを説明する模式断面図である。有機パッシベーション膜108は、膜厚が厚く、コンタクトホールの形状に対して圧倒的な影響を持つため、図7では、有機パッシベーション膜108のみ記載している。実際には、容量絶縁膜110、画素電極111等が有機パッシベーション膜の上に形成されるが、断面形状は、ほぼ、有機パッシベーション膜108に沿うと考えればよい。図7(a)は、有機パッシベーション膜108にコンタクトホールを形成した後、有機パッシベーション膜108の上に液体である配向膜材料112を塗布した状態を示している。図7(a)において、コンタクトホールの底部に空気60が巻き込まれている。この空気は、矢印に示すように、上に向かう。
図7(b)では、配向膜材料112が気泡60によって分断されると、配向膜材料112は、安定な位置である、コンタクトホールの周辺に向かうことを示している。矢印は、配向膜材料の向かう方向である。図7(c)は配向膜材料112が安定して存在する領域を示す断面図である。図7(c)に示すように、配向膜材料112は、コンタクトホールの外周の土手において安定して存在し、コンタクトホール内に配向膜材料112は形成されない。更に、コンタクトホール近傍において配向膜の膜厚が厚くなる。これが、表示むらの原因になる。
図8は、これを対策するための、本発明の構成を示す平面図である。図8はコンタクトホール130付近の平面図であり、基本的な構成は図5で説明したのと同様である。図8が図5と異なる点は、有機パッシベーション膜108において、コンタクトホール130の近傍に領域70で示すような凹部を形成している点である。
図9は、図8のC−C断面図である。図9において、有機パッシベーション膜108のコンタクトホールの近傍の土手の上に深さh1の凹部70が形成されている。この深さh1は、0.3乃至1μm程度である。深さh1は有機パッシベーション膜108の土手の頂点と凹部の底点の差(基板表面、或いは、層間絶縁膜表面からの距離の差)をいう。このような、有機パッシベーション膜108の凹部70は、ハーフ露光を用いることによって形成することが出来る。すなわち、コンタクトホール130部分の露光量の数十%を露光することによって、凹部70を形成することが出来る。ハーフ露光の露光量によって、凹部70の深さを制御することが出来る。
凹部70は、ハーフ露光によって形成できるので、プロセス負荷が増大することは無い。有機パッシベーション膜108にこのような凹部70を形成することによって、有機パッシベーション膜108の上に形成されるコモン電極109、容量絶縁膜110、画素電極111は有機パッシベーション膜108の形状に沿って形成されることになる。
図10は、コンタクトホール付近を図9のような形状にすることによって、配向膜112がコンタクトホール130に塗布されない現象を除去することが出来ることを説明する模式断面図である。図10(a)において、コンタクトホールおよび凹部が形成された有機パッシベーション膜108の上に配向膜材料112が塗布されている。コンタクトホールの底部には、気泡60が存在することは、図7(a)と同様である。そして、この気泡60は上に向かって移動することも図7(a)と同様である。
図10(b)は、コンタクトホールから気泡が抜けた状態を示している。図10(b)において、有機パッシベーション膜108のコンタクトホールの土手の周辺に凹部が形成されたことによって、コンタクトホールの周辺に凸部が形成されている。凸部が存在することによって、コンタクトホールの周辺は、配向膜材料にとって、安定した場所ではなくなる。この凸部の存在によって、配向膜材料112は、凸部よりコンタクトホール側と凸部より凹側のいずれかに分断されるように移動する。
そうすると、コンタクトホール側に移動した配向膜材料112はコンタクトホール底部に流れ込み、コンタクトホールも配向膜材料112によって充填されることになる。この様子を図10(c)に示す。
図11は、コンタクトホールの周辺の凹部の両側において、有機パッシベーション膜108の高さが異なる場合の模式断面図である。図11は、コンタクトホールに近い側の有機パッシベーション膜108の厚さが、他の領域の有機パッシベーション膜108よりも厚くなっていない領域に、凹部が形成されている。その結果、凸部の厚さが有機パッシベーション膜のバルク部分(表示領域)の厚さよりも小さくなっている場合である。つまり、有機パッシベーション膜108の凸部の厚さ(基板表面からの高さ)は、有機パッシベーション膜のバルク部分の厚さ(基板表面からの高さ)よりも。h2だけ薄くなっている。このような形状の場合であっても、凹部の深さは、凸部の頂点と凹部の底点との差h1と考えればよい。
図12は、有機パッシベーション膜108の詳細形状を示す断面図である。本発明における有機パッシベーション膜108の凹部およびその結果形成される凸部はコンタクトホールからあまり離れてしまうと効果がなくなる。図8および図12は、凹部および凸部の位置を示す図である。図12に示すように、凹部の幅d2は、コンタクトホール近傍の凸部から、有機パッシベーション膜が一定の膜厚になる部分までと定義する。また、有機パッシベーション膜108のコンタクトホールの端部から凸部の頂点のまでの距離をd1と定義する。図8のd1とd2は、図12のd1とd2に対応する平面図である。
d1の値は、2μm乃至5μmの範囲において効果が大きい。また、d2の値は、2μm乃至5μmの範囲において効果が大きい。また、凹部の深さh1は0.3μm乃至1μmである。なお、図8における凹部の映像信号線からの距離d3は、d1、d2ほど大きな影響は無いが、本実施例では1μm以上である。
図12に示すように、本発明の特徴は、有機パッシベーション膜108のコンタクトホール付近を映像信号線の延在方向と同じ方向の断面で視た場合、有機パッシベーション膜108の断面形状は、コンタクトホールの端部から遠ざかるに従い、最初に凸部が現れ、続いて凹部が表れている。つまり、図12の有機パッシベーション膜108の形状は、有機パッシベーション膜108のコンタクトホールにおける端部をゼロとし、映像信号線の延在方向と同じ方向(図12で横方向)をxとし、基板の鉛直方向をyとした場合、有機パッシベーション膜108の上辺の曲線y=f(x)で表した場合、曲線yのxに対する2次微分の符号が一回変わることを意味している。
図12において、有機パッシベーション膜108の凸部付近R1では、f(x)の2次微分は負であり、凹部の底付近R2では、f(x)の2次微分は正である。その後、さらに、xが大きくなるにしたがって、f(x)の2次微分の符号は再び負になる。
本発明の特徴は、このように、f(x)の符号が1回変化する領域が有機パッシベーション膜108のコンタクトホール端部から4乃至10μm以内で生じている点である。より好ましくは、このようなf(x)の符号が1回変化する領域が有機パッシベーション膜108のコンタクトホール端部から3乃至8μm以内で生じていることである。
ところで、図12に示すf(x)は、多くの場合、ax2+bx4で近似できる場合が多い。すなわち、有機パッシベーション膜108の上辺の曲線yをax2+bx4で表した場合、曲線yのxに対する2次微分の符号が一回変わると言い換えることが出来る。
図13は本実施例における他の態様を示すコンタクトホール付近の平面図である。図13が図8と異なる点は、有機パッシベーション膜に形成された凹部70の、走査線が延在している方向における幅が、小さいことである。凹部70は、配向膜材料がコンタクトホール内に流動するきっかけを作るものである。したがって、レイアウトの都合上、凹部70の幅を大きくできない場合は、図13のような形状でもよい。なお、d1、d2等の寸法は、図8で説明したのと同様である。また、凹部の深さも図9で説明したのと同様、或いは、それよりも浅いものであってもよい。
図14は、走査線の延在方向の幅が小さい凹部70を走査線の延在方向に3個形成したものである。個々の凹部70は、図13で説明したのと同様である。画素内のレイアウトの要請から、このように凹部を分離することが必要な場合もあるが、本発明の効果は維持することが出来る。
図15は有機パッシベーション膜に形成する凹部70を複数の画素について共通に形成した場合である。凹部70は、ハーフ露光で形成するので、プロセス条件から凹部を一括で形成したほうが良い場合もある。このような構成の場合も、本発明の効果を維持することが出来る。なお、図15では、2個の画素について、凹部70を共通に形成したものであるが、3個以上の画素に共通に形成しても良い。
以上の実施形態では、有機パッシベーション膜108の凹部70を映像信号線の延在方向において、コンタクトホールを挟むように2個形成しているが、いずれか一方のみに、凹部を形成しても、本発明の効果を得ることが出来る。尚、有機パッシベーション膜に凹部を形成するのに替え、容量絶縁膜110の一部に開口(除去部)を設ける構成であってもよい。この場合、画素電極とコモン電極と接続を避けるため、コモン電極の開口部の端部から十分に離間した領域で容量絶縁膜を除去させる必要がある。
図16は本発明の実施例2を示すコンタクトホール付近の平面図である。本実施例の特徴は、コンタクトホール130の近傍に、凸部80を形成することである。すなわち、実施例1では、有機パッシベーション膜108に凹部を形成することによって、結果的に凹部を形成することよりコンタクトホールに近い側に凸部を形成して配向膜材料112をコンタクトホール130内に流動しやすくしている。本発明は、コンタクトホール130付近の有機パッシベーション膜108の上に直接凸部80を形成して、コンタクトホール130内に配向膜材料112を流動しやすくしている。
図16において、映像信号線20が縦方向に延在しているが、平面で視て、映像信号線20とオーバーラップして、コモン金属配線90が形成されている。また、走査線線10とオーバーラップして、コモン金属配線90が形成されている。抵抗の高いITOで形成されるコモン電極109における電圧降下を防止するためにコモン金属配線90が使用されている。図17は、図16のE−E断面図である。図17において、TFT基板100上に、第1下地膜101、第2下地膜102、ゲート絶縁膜104、層間絶縁膜106、が形成され、層間絶縁膜106の上に映像信号線20が配置している。映像信号線20を覆って、有機パッシベーション膜108が形成され、その上にITOによるコモン電極109が形成されている。映像信号線20とオーバーラップしてコモン金属配線90が形成され、コモン金属配線90を覆って容量絶縁膜110が形成され、その上に配向膜112が形成されている。
コモン金属配線90は、Alをコアとしたものであり、かつ、厚さは150nmから500nmと比較的厚く形成されているので、抵抗が低いため、コモン電極における電圧降下を防止することが出来る。なお、コモン金属配線90は、Alをコアとし、下層にITOによる酸化防止層として、10nm程度のMoW、上層にバリア層として、10nm程度のMoW層を形成する場合もある。コモン金属配線は、映像信号線と同じ構造で形成される場合もある。また、図17では、コモン金属配線90は、コモン電極109の上側に形成されているが、コモン電極109の下側に形成してもよい。
本実施例の特徴は、このコモン金属配線90を有機パッシベーション膜109のコンタクトホールのテーパ部分からバルク部分の一部に形成することによって、凸部80を形成することである。図18に本実施例の断面図を示す。図18は、図16のD−D断面図である。図18において、有機パッシベーション膜109のコンタクトホールの土手部分にコモン金属配線90による凸部80を形成している。
図18では、凸部80をコモン電極109の開口部よりも内側に形成しているので、凸部80用のコモン金属配線90は、有機パッシベーション膜108の上に直接形成されている。コモン金属配線109を覆って、容量絶縁膜110、画素電極111、配向膜112が形成されている。図18において、コンタクトホールの土手付近では、まず、凸部80が形成され、続いて凹部が形成されている。
図18において、コンタクトホールにおける有機パッシベーション膜108の端部をゼロとしてコンタクトホールから離れる方向の距離をxとし、配向膜112の上面の曲線をy=f(x)とした場合、f(x)は、コンタクトホールから離れるにしたがって、2次微分の符号が少なくとも1回変化する。すなわち、図18において、R1で示す領域付近は、2次微分の符号は負であり、R2で示す領域においては、2次微分の符号は正である。そして、この2次微分の符号が変化する領域は、コンタクトホールの内側端部から、4乃至10nmの範囲に存在し、より好ましくは5乃至8μmの範囲に存在している。
なお、図18の配向膜上辺の曲線f(x)は、多くの場合、ax2+bx4で近似できる。すなわち、図18の場合も、配向膜上辺の曲線yをax2+bx4で表した場合、曲線yのxに対する2次微分の符号が一回変わると言い換えることが出来る。
図19は、本実施例における第2の形態を示すコンタクトホール付近の平面図である。図19においても、コンタクトホール近傍の土手に凸部80を形成することは図16と同様である。しかし、本実施形態では、凸部80の作り方が異なっている。本実施形態では、凸部80は、TFT基板側に形成されるクロス柱250と同時に形成される。
TFT基板と対向基板の間隔を維持するために、表示領域においてもスペーサが必要である。図20は、このスペーサの形状を示す斜視図である。図20において、TFT基板側に例えば、映像信号線20と同じ方向に延びる棒状の第1のスペーサ250を形成し、対向基板側に走査線10と同じ方向に延びる棒状の第2のスペーサ251を形成し、この第1のスペーサ250と第2のスペーサ251をクロス状に接触させてTFT基板と対向基板のスペースを確保している。
図19はこれを平面図として記載している。図19の走査線10と映像信号線20の交点において、平面で視て、第1のスペーサ250が映像信号線20上に形成されている。また、第2のスペーサ251は、平面で視て、走査線10上に形成されている。なお、第2のスペーサ251は対向基板側に形成されるので、図19では点線で示している。
図19において、コンタクトホール130を挟んで、凸部80が形成されている。この凸部80は、第1のスペーサ250と同時に形成される。凸部80の高さは、第1のスペーサ250の高さよりもはるかに低い。第1のスペーサ250はフォトリソグラフィで形成されるので、ハーフ露光技術を使用することによって、高さの低い凸部80を第1のスペーサ250と同時に形成することが出来る。
図19におけるF−F断面は、図18と同様である。しかし、凸部80を構成するコモン金属配線の代わりに、柱状スペーサと同じ材料、すなわち、有機材料で形成された突起が形成されている点が異なっている。図19の場合も、効果は、図16および図18において説明した本実施例と同様である。
本実施例も、凸部は、映像信号線の延在方向にコンタクトホールを挟むように2個形成されているが、どちらか一方のみに形成しても本発明の効果を得ることが出来る。
以上の説明では、画素電極がコモン電極よりも上側に存在している場合について行った。一方、平面状の画素電極の上に、容量絶縁膜を介して、スリットを有するコモン電極を配置した構成も存在する。本発明は、このような構成のIPS方式の液晶表示装置についても適用することが出来る。
さらに、本発明は、IPS方式の液晶表示装置以外であっても、有機パッシベーション膜を有し、有機パッシベーション膜にコンタクトホールを形成する構成を有する液晶表示装置についても適用することが出来る。