JP6957317B2 - ディーゼル燃料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ディーゼル燃料組成物に関する。
世界経済は、その根幹となるエネルギー供給のほとんどを石油等の化石資源に依存している。しかし、化石資源の継続的使用は、地球温暖化や環境汚染に象徴される深刻な社会問題の要因となり、さらに急激かつグローバルな産業の拡大は化石資源の枯渇という人類社会発展の土台をゆるがす危機をもたらしている。
このような状況の下、化石燃料に替わる再生可能エネルギーの利用促進が提唱されるようになっている。再生可能エネルギーとしては,自然エネルギー(太陽光、風力、地熱等)の利用のほか、生物が持つ能力を活用したバイオマスの利用も検討されており、これらの実用化に向けた技術開発が近年盛んに行なわれている。
バイオマスを利用した燃料として、動植物油脂由来のバイオマス燃料が注目されている。現在、ディーゼル車用バイオマス燃料の主流となっているFAME(Fatty Acid Methyl Ester)は、エステル交換反応により、動植物油脂を軽油の物性に近づけたバイオマス燃料である。しかし、FAMEは,既存の石油系燃料とは異なる性状を有する燃料であるため,エンジン内で様々な問題を生じさせる。このため、FAMEよりも優れた性能のバイオマス燃料が望まれている。
FAMEに代わるバイオマスの燃料化技術として、動植物油脂を水素化改質して軽油組成物を得る技術が注目されている。そのような技術として、たとえば、特許文献1〜3に記載されているものが知られている。
特許文献1〜3には、動植物油脂および/または動植物油脂由来の成分と含硫黄炭化水素化合物とを含む原料を、硫化物触媒と接触した留分を、更に結晶性モレキュラシーブを含有する担体に担持された金属触媒を用いて水素化した留分を含む軽油組成物が記載されている。
特開2007−332359号公報 特開2009−161669号公報 特開2007−308576号公報
しかしながら、これらの特許文献1に記載されている軽油組成物は、目詰まり点が−8℃、−12℃、流動点が−10.0℃、−12.5℃といずれも高めであり、低温流動性に優れているとはいえないものである。特許文献2に記載されている軽油組成物は、目詰まり点が−15℃のものもあるが、セタン指数が低いものである。また、特許文献3に記載される軽油組成物は、流動点が−12.5〜−15.0℃と高めであり、低温流動性に優れているとはいえないものである。
そこで、本発明は、セタン指数が高く、かつ低温流動性に優れるディーゼル燃料組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の発明により解決できることを見出した。すなわち本発明は、下記の構成を有するディーゼル燃料組成物を提供するものである。
1.動植物油脂及び/又は動植物油脂由来の成分を含む原料を水素化脱酸素処理し、異性化処理した燃料基材A、並びに直留軽油と分解軽油との混合軽油を水素化処理した燃料基材Bを含有するディーゼル燃料組成物。
2.更に、脱硫直留軽油を含有する上記1に記載のディーゼル燃料組成物。
3.更に、低温流動性向上剤を含有する上記1又は2に記載のディーゼル燃料組成物。
4.前記燃料基材Aの組成物全量基準の含有量が、5容量%以上60容量%以下である上記1〜3のいずれか1つに記載のディーゼル燃料組成物。
5.前記燃料基材Bの組成物全量基準の含有量が、10容量%以上95容量%以下である上記1〜4のいずれか1つに記載のディーゼル燃料組成物。
6.前記脱硫直留軽油の組成物全量基準の含有量が、1容量%以上65容量%以下である上記2〜5のいずれか1つに記載のディーゼル燃料組成物。
7.セタン指数が55以上であり、流動点が−15℃以下であり、かつ目詰まり点が−12℃以下である上記1〜6のいずれか1つに記載のディーゼル燃料組成物。
本発明によれば、セタン指数が高く、かつ低温流動性に優れるディーゼル燃料組成物を提供することができる。
〔ディーゼル燃料組成物〕
本発明における実施形態(以後、単に本実施形態と称する場合がある。)に係るディーゼル燃料組成物は、動植物油脂及び/又は動植物油脂由来の成分を含む原料を水素化脱酸素処理し、異性化処理した燃料基材A、並びに直留軽油(基材X)と分解軽油(基材Y)との混合軽油を水素化処理した燃料基材Bを含有するものである。
(燃料基材A)
燃料基材Aは、動植物油脂及び/又は動植物油脂由来の成分を含む原料を水素化脱酸素処理し、かつ異性化処理したものである。
<動植物油脂及び/又は動植物油脂由来の成分を含む原料>
本明細書において、動植物油脂とは、動植物原料を圧搾したり、有機溶剤で抽出したりして得られる油脂であり、植物から得られるものを植物油脂といい、動物から得られるものを動物油脂といい、これらを合わせて動植物油脂という。
動植物油脂及び/又は動植物油脂由来の成分としては、例えば、ヤシ油、パーム核油、パーム油、カカオ脂、アマニ油、サフラワー油、ゴマ種子油、キリ油、綿実油、ナタネ油、ゴマ油、コーン油、大豆油、ヒマワリ油、カポック油、オリーブ油、カラシ油、落花生油、ヒマシ油、ツバキ油、ヤトロファ油、カメリナ油、カリナタ油、マンダリ油、微細藻類由来の油等の植物油;牛乳脂、ヤギ乳脂、水牛乳脂、牛脂、豚脂、羊脂、魚油、肝油、牛脚油等の動物油脂及び動物油等が挙げられる。これらを単独でまたは2以上組み合わせて使用することができる。
また、動植物油脂及び/又は動植物油脂由来の成分には、これらの動植物油脂、動植物油脂由来の成分を民生用、産業用、食用等の用途で使用した後の廃油も含まれる。この場合、該廃油としては、雑物等を除去したものを用いることが好ましい。
動植物油脂及び/又は動植物油脂由来の成分としては、取扱いの容易性、生産性が高いこと等を考慮すると、植物油脂、植物油脂由来の成分を用いることが好ましく、軽油の規格を容易に満足させる観点から、特にヤトロファ油、パーム油組成物、大豆油が好ましい。
また、動植物油脂及び/又は動植物油脂由来の成分としては、微細藻類由来の油も好ましく用いることができる。
微細藻類由来の油における微細藻類とは、体内の栄養分の一部を炭化水素または油脂の形に変換する性質を有する藻類を意味する。そのような微細藻類には、たとえば、オーランチオキトリウム、ボツリオコッカスブラウニー、シュードコリシスチス エリプソイディア、シュードココミクサ、クロレラ、イカダモ、スピルリナ、ユーグレナ、ソラリス、及びナンノクロロプシス等が挙げられる。
動植物油脂及び/又は動植物油脂由来の成分は、脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸モノグリセリド、(遊離)脂肪酸、及び脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種の脂肪酸及びその誘導体を主成分とする。これらの脂肪酸及びその誘導体の脂肪酸部分における炭素数は、好ましくは12以上、より好ましくは16以上であり、上限として好ましくは24以下、より好ましくは18以下である。炭素数が上記範囲内であると、高いセタン指数と優れた低温流動性が得られ、また軽油の規格を容易に満足させることができる。また、水素化脱酸素処理による燃料基材の収率を高めることもできる。なお、本明細書において、数値範囲の記載に関する「以上」、「以下」に係る数値は任意に組み合わせることができる数値である。
燃料基材Aに用いられる原料は、上記動植物油脂及び/又は動植物油脂由来の成分を含むものであれば、とくに限定されない。燃料基材Aに用いられる原料としては、上記動植物油脂及び/又は動植物油脂由来の成分の他に、例えば、微細藻類が動植物油脂等と併産する、ボトリオコッセン、スクアレン、これらの炭素−炭素二重結合を水素化又は部分的に水素化した物質(例としてスクアラン等)を含んでもよい。
原料に含まれる上記動植物油脂及び/又は動植物油脂由来の成分の割合は、セタン指数の向上の観点から、好ましくは20容量%以上、より好ましくは30容量%以上、更に好ましくは40容量%以上である。また、上記割合の上限値は100容量%である。
<水素化脱酸素処理>
原料の水素化脱酸素処理に用いる水素化脱酸素触媒は、第6A族及び第8族の元素から選ばれる少なくとも一種の金属を触媒担体に担持させたものが好ましい。また、触媒担体に、更にリンを担持させてもよく、活性金属含浸液にリンを含有させてもよい。
好ましい第6A族及び第8族の元素から選ばれる少なくとも一種の金属としては、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステンが好ましく挙げられ、これらを組み合わせた、例えば、Ni−Mo、Ni−W、Co−Mo、Ni−Co−Mo等も好ましく挙げられる。
酸化物基準で、水素化脱酸素触媒におけるニッケル又はコバルトの担持量は、好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、水素化脱酸素触媒におけるモリブデン又はタングステンの担持量は、好ましくは10質量%以上40質量%以下であり、水素化脱酸素触媒におけるリンの担持量は、好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
触媒担体は、好ましくはアルミナを50質量%以上含むものであり、そのアルミナは好ましくはγ−アルミナである。触媒担体は、更にチタニアを含んでもよい。
触媒担体の平均細孔径は、好ましくは5nm以上、より好ましくは6nmであり、上限として好ましくは15nm以下であり、より好ましくは14nm以下である。触媒担体の形態は、粉体でもよく、円柱、三つ葉、四つ葉等の成形体でもよい。
第6A族及び第8族の元素から選ばれる少なくとも一種の金属を触媒担体に担持させる方法としては、好ましくは含浸法が挙げられる。
含浸法で、ニッケルを触媒担体に担持させるためのニッケル化合物としては、好ましくは、炭酸ニッケル、塩基性炭酸ニッケル、及び硝酸ニッケルから選ばれる少なくとも一種の化合物が挙げられる。含浸法で、コバルトを触媒担体に担持させるためのコバルト化合物としては、好ましくは、炭酸コバルト、塩基性炭酸コバルト、及び硝酸コバルトから選ばれる一種の化合物が挙げられる。含浸法で、モリブデンを触媒担体に担持させるためのモリブデン化合物としては、好ましくは、三酸化モリブデン、及びモリブデン酸アンモニウムから選ばれる少なくとも一種の化合物が挙げられる。含浸法で、タングステンを触媒担体に担持させるためのタングステン化合物としては、好ましくは、三酸化タングステン、及びタングステン酸アンモニウムから選ばれる少なくとも一種の化合物が挙げられる。また、含浸法で、リンを触媒担体に担持させるためのリン化合物としては、好ましくは、五酸化リン、及び正リン酸から選ばれる少なくとも一種の化合物が挙げられる。
水素化脱酸素触媒を使用する前に、水素化脱酸素触媒を水素下で還元してもよい。水素下で還元するときの条件は、還元温度が好ましくは300℃以上400℃以下であり、還元時間が好ましくは1時間以上36時間以下である。
水素化脱酸素触媒は、反応系内において硫化してから用いてもよい。水素化脱酸素触媒の硫化方法としては、例えば、原料中にジメチルジスルフィド等の硫化剤を混合して触媒中に供給して行われる液相硫化、HS混合ガスを供給して行われる気相硫化等が挙げられる。
水素化脱酸素処理のエネルギー効率等の観点から、水素化脱酸素処理における圧力は、好ましくは2MPa以上、より好ましくは3MPa以上であり、上限として好ましくは8MPa以下、より好ましくは7MPa以下である。反応温度は、好ましくは250℃以上、より好ましくは330℃以上であり、上限として好ましくは450℃以下、より好ましくは400℃以下である。
これと同様の観点から、液空間速度(LHSV)は、好ましくは0.2hr−1以上、より好ましくは0.3hr−1以上であり、上限として好ましくは3.0hr−1以下であり、より好ましくは2.0hr−1以下である。また、水素/油比としては、好ましくは1000Nm/kL以上、より好ましくは1500Nm/kL以上、更に好ましくは1800Nm/kL以上であり、上限として好ましくは3000Nm/kL以下、より好ましくは2500Nm/kL以下、更に好ましくは2200Nm/kL以下である。
<異性化処理>
水素化脱酸素処理された原料を異性化処理する工程とは、原料に含まれる上記脂肪酸誘導体の脂肪酸部分に由来する長鎖炭化水素部分を分岐させる異性化反応を行う工程をいう。この工程により、水素化脱酸素処理された原料の低温性能を向上させることができる。
異性化処理に用いる異性化触媒は、第8族〜第10族の元素から選ばれる少なくとも一種の金属を触媒担体に担持させたものが好ましい。異性化触媒に用いられる第8族〜第10族の元素としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の白金族の元素が好ましく、中でも第10族のパラジウム、白金がより好ましい。
異性化触媒における上記金属元素の担持量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であり、上限として好ましくは5質量%以下、より好ましくは1.5質量%である。
触媒担体は、酸性質を有する担体が好ましく、例えば、アルミナ、ゼオライト、シリカアルミナ、アルミナボリア、アルミナチタニア、シリカジルコニア、シリコアルミノフォスフェート等が挙げられる。これらの担体は、一種を単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
触媒担体の形態は、粉体でもよく、円柱、三つ葉、四つ葉等の成形体でもよい。
第8族〜第10族の元素から選ばれる少なくとも一種の金属を触媒担体に担持させる方法としては、好ましくは含浸法が挙げられる。
含浸法で用いられる上記金属元素成分を含む化合物としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、錯化合物、塩化物等の各種金属塩が挙げられる。例えば、触媒担体にルテニウムを担持させる場合、ルテニウムを含む化合物としては、塩化ルテニウム、硝酸ルテニウム、ニトロシル硝酸ルテニウム、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム等を用いればよい。触媒担体にロジウムを担持させる場合、ロジウムを含む化合物としては、塩化ロジウム、硝酸ロジウム、酢酸ロジウム、硫酸ロジウム等を用いればよい。触媒担体にパラジウムを担持させる場合、パラジウムを含む化合物としては、塩化パラジウム、塩化パラジウム酸ナトリウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム等を用いればよい。触媒担体にオスミウムを担持させる場合、オスミウムを含む化合物としては、塩化オスミウム、ヘキサクロロオスミウム酸塩等を用いればよい。触媒担体にイリジウムを担持させる場合、イリジウムを含む化合物としては、塩化イリジウム、ヘキサクロロイリジウム酸塩等を用いればよい。また、触媒担体に白金を担持させる場合、白金を含む化合物としては、硝酸白金、硫酸白金、塩化白金酸、テトラクロロ白金酸、塩化テトラアンミン白金、テトラアンミン白金硝酸塩、テトラアンミン白金酢酸塩、テトラアンミン白金炭酸塩、ジクロロテトラアンミン白金、ジニトロジアンミン白金、ジニトロジアンミン白金硝酸塩、ヘキサクロロ白金酸カリウム等を用いればよい。これらの化合物は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
異性化触媒を使用する前に、異性化触媒を水素下で還元してもよい。水素下で還元するときの条件は、還元温度が好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上であり、上限として好ましくは500℃以下であり、より好ましくは400℃以下である。また、還元時間は、好ましくは1時間以上36時間以下である。
異性化反応において、実質的に水素が存在しなくても反応は進行するが、異性化触媒のコーク劣化を抑制する観点から、水素と共存させて異性化反応を行うことが好ましい。優れた低温流動性が得られ、かつ異性化処理のエネルギー効率等の観点から、異性化処理における圧力は、好ましくは1.5MPa以上、より好ましくは2MPa以上であり、上限として好ましくは7MPa以下、より好ましくは5MPa以下である。反応温度は、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上であり、上限として好ましくは460℃以下、より好ましくは360℃以下である。
これと同様の観点から、液空間速度(LHSV)は、好ましくは0.2hr−1以上、より好ましくは0.3hr−1以上であり、上限として好ましくは3.0hr−1以下であり、より好ましくは2.0hr−1以下である。また、水素/油比としては、好ましくは150Nm/kL以上、より好ましくは500Nm/kL以上、更に好ましくは900Nm/kL以上であり、上限として好ましくは1500Nm/kL以下、より好ましくは1300Nm/kL以下、更に好ましくは1100Nm/kL以下である。
動植物油脂及び/又は動植物油脂由来の成分を含む原料が水素化脱酸素処理、異性化処理を経て得られる燃料基材Aにおいて、全脂肪酸誘導体中の異性体(イソパラフィン)の含有量は、好ましくは40モル%以上、より好ましくは45モル%以上、更に好ましくは50モル%以上である。異性体の含有量が上記範囲内であると、より優れた低温流動性が得られ、また軽油の規格を容易に満足させることができる。本明細書において、異性体の含有量は、ガスクロマトグラフ/水素炎イオン化型検出器(無極性カラム:キャピラリーカラム DB−1MS(アジレント・テクノロジー株式会社製)を用い、キャリアガス(He)流量2.0mL/分とし、カラム恒温層温度:50℃から340℃まで5℃/分で昇温し、サンプル注入温度:360℃、検出器温度:360℃の温度条件で測定した値に基づき算出される値である。
<燃料基材Aの性状>
燃料基材Aの性状としては、より高いセタン指数、かつより優れた低温流動性を得る観点から、また軽油の規格を容易に満足させる観点から、セタン指数は、好ましくは70以上、より好ましくは80以上、さらに好ましくは90以上である。本明細書において、セタン指数は、JIS K 2280−5(石油製品−オクタン価、セタン価及びセタン指数の求め方−第5部:セタン指数)に規定する4変数方程式を用いたセタン指数の算出方法に準拠して測定した値である。
燃料基材Aの流動点は、好ましくは3℃以下、より好ましくは2℃以下、更に好ましくは1℃以下であり、下限としては特に制限はないが、通常−15℃以上である。本明細書において、流動点は、JIS K 2269(原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法)に規定する流動点試験方法に準拠して測定した値である。
燃料基材Aの目詰まり点は、好ましくは3℃以下、より好ましくは2℃以下、更に好ましくは1℃以下であり、下限としては特に制限はないが、通常−10℃以上である。本明細書において、目詰まり点は、JIS K 2288(石油製品−軽油−目詰まり点試験方法)に規定する目詰まり点試験方法に準拠して測定した低温ろ過器目詰まり点(CFPP)である。
燃料基材Aの15℃における密度は、好ましくは0.70g/cm以上、より好ましくは0.73g/cm以上、更に好ましくは0.75g/cm以上であり、上限として好ましくは0.90g/cm以下、より好ましくは0.87g/cm以下であり、更に好ましくは0.85g/cm以下である。本明細書において、15℃の密度は、JIS K2249(原油及び石油製品の密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表)に準拠して測定される値である。
燃料基材Aの30℃における動粘度は、好ましくは2.5mm/s以上、より好ましくは3.0mm/s以上、更に好ましくは3.5mm/s以上であり、上限として好ましくは5.0mm/s以下、より好ましくは4.7mm/s以下、更に好ましくは4.5mm/s以下である。本明細書において、30℃の動粘度は、JIS K2283(原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法)に準拠して測定される値である。
燃料基材Aの留出温度としては、50容量%留出温度(T50)が好ましくは250℃以上320℃以下、90容量%留出温度(T90)が好ましくは260℃以上340℃以下である。本明細書における留出温度は、JIS K2254(石油製品−蒸留試験方法)に準拠する蒸留試験により測定される留出温度である。
燃料基材Aの引火点は、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上である。本明細書において、引火点は、JIS K 2265−3(引火点の求め方−第3部:ペンスキーマルテン密閉法)により測定される値である。
燃料基材Aの硫黄分は、少ないほど好ましく、具体的に好ましくは3質量ppm以下、より好ましくは2質量ppm以下、更に好ましくは1質量ppm以下である。本明細書において、硫黄分は、JIS K 2541−6(石油及び石油製品−硫黄分試験方法−第6部:紫外蛍光法)に準拠して測定される値である。
また、燃料基材Aのアロマ分は、好ましくは0.3容量%以下、より好ましくは0.1容量%以下である。本明細書において、アロマ分は、JPI−5S−49−2007(石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法)に準拠して測定される値である。
(燃料基材B)
燃料基材Bは、直留軽油(基材X)と分解軽油(基材Y)との混合軽油を水素化処理したものである。
<直留軽油(基材X)>
本実施形態で用いられる直留軽油(基材X)は、原油の常圧蒸留装置から得られる軽油である。
直留軽油(基材X)の性状としては、より高いセタン指数、かつより優れた低温流動性を得る観点から、また軽油の規格を容易に満足させる観点から、直留軽油のセタン指数は、好ましくは50以上、より好ましくは55以上である。
直留軽油(基材X)の流動点は、好ましくは0℃以下、より好ましくは−2.5℃以下、更に好ましくは−5.0℃以下であり、下限としては特に制限はないが、通常−10.0℃以上である。
直留軽油(基材X)の目詰まり点は、好ましくは2℃以下、より好ましくは0℃以下、更に好ましくは−2℃以下であり、下限としては特に制限はないが、通常−5℃以上である。
直留軽油(基材X)の15℃における密度は、好ましくは0.800g/cm以上、より好ましくは0.810g/cm以上、更に好ましくは0.815g/cm以上であり、上限として好ましくは0.900g/cm以下、より好ましくは0.880g/cm以下、更に好ましくは0.860g/cm以下である。
直留軽油(基材X)の30℃における動粘度は、好ましくは2.5mm/s以上、より好ましくは2.7mm/s以上、更に好ましくは3.0mm/s以上であり、上限として好ましくは6.5mm/s以下、より好ましくは6.0mm/s以下、更に好ましくは5.5mm/s以下である。
直留軽油(基材X)の留出温度としては、50容量%留出温度(T50)が好ましくは250℃以上320℃以下、90容量%留出温度(T90)が好ましくは290℃以上375℃以下である。
直留軽油(基材X)の引火点は、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上である。
直留軽油(基材X)の硫黄分は、少ないほど好ましく、具体的に好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.6質量%以下、更に好ましくは1.2質量%以下である。
また、直留軽油(基材X)のアロマ分は、好ましくは35容量%以下、より好ましくは30以下であり、下限としては、通常20容量%以上である。
<分解軽油(基材Y)>
本発明で用いられる分解軽油としては、接触分解装置、残油接触分解装置から得られる軽油留分(LCO)、又は重油脱硫装置から得られる分解軽油(DSGO)等が挙げられる。具体的には、例えば、原料油としての重質軽油、減圧軽油、これらの混合油を、減圧軽油脱硫装置により水添脱硫を行い、その後、蒸留塔にて分留して得られた間接脱硫重質軽油を、接触分解装置で接触分解して得られる軽油等が挙げられる。
また、分解軽油(基材Y)としては、接触分解装置から副生する接触分解軽油だけでなく、例えば、これを更に水素化精製して硫黄分等の不純物含有量を低下させた精製接触分解軽油、接触分解軽油を蒸留し、軽質分と重質分とに分留した後の軽質分解軽油(沸点:170℃以上280℃以下の留分)を用いることもできる。
分解軽油(基材Y)の性状としては、より高いセタン指数、かつより優れた低温流動性を得る観点から、また軽油の規格を容易に満足させる観点から、分解軽油のセタン指数は、好ましくは15以上、より好ましくは18以上、更に好ましくは20以上である。
分解軽油(基材Y)の流動点は、好ましくは−5℃以下、より好ましくは−7℃以下、更に好ましくは−10℃以下であり、下限としては特に制限はないが、通常−40℃以上である。
分解軽油(基材Y)の目詰まり点は、好ましくは−3℃以下、より好ましくは−5℃以下、更に好ましくは−8℃以下であり、下限としては特に制限はないが、通常−30℃以上である。
分解軽油(基材Y)の15℃における密度は、好ましくは0.850g/cm以上、より好ましくは0.870g/cm以上であり、上限として好ましくは0.990g/cm以下、より好ましくは0.970g/cm以下である。
分解軽油(基材Y)の留出温度としては、10容量%留出温度(T10)が好ましくは180℃以上240℃以下、50容量%留出温度(T50)が好ましくは250℃以上300℃以下、90容量%留出温度(T90)が好ましくは310℃以上380℃以下である。
分解軽油(基材Y)の引火点は、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上である。
分解軽油(基材Y)の硫黄分は、少ないほど好ましく、具体的に好ましくは0.7質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは、0.3質量%以下である。
また、分解軽油(基材Y)のアロマ分は、好ましくは85容量%以下、より好ましくは80容量%以下であり、下限としては、通常35容量%以上である。
<混合軽油>
直留軽油(基材X)と分解軽油(基材Y)との混合軽油中の分解軽油の含有量は、好ましくは2容量%以上、より好ましくは5容量%以上、更に好ましくは10容量%以上であり、上限として好ましくは30容量%以下、より好ましくは25容量%以下、更に好ましくは23容量%以下である。分解軽油の含有量が上記範囲内であると、より高いセタン指数、かつより優れた低温流動性が得られやすく、また軽油の規格を容易に満足させることができる。
<混合軽油の水素化処理>
燃料基材Bは、上記の直留軽油(基材X)と分解軽油(基材Y)との混合軽油を水素化処理したものである。
水素化処理は、例えば、好ましくはアルミナ、チタニア等の金属酸化物担体上に、好ましくは第6族、第8族〜第10族の金属元素、より好ましくはモリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等、更に好ましくはモリブデン、コバルト、ニッケル等の活性金属を担持した触媒存在下で行われる。ここで活性金属としては、上記金属を単独、又は複数種を組み合わせて用いることができ、モリブデン、コバルト、ニッケルの担持量は、好ましくは各々2質量%以上30質量%以下、1質量%以上10質量%以下、1質量%以上10質量%以下程度である。
水素化処理は、上記触媒の存在下、例えば、以下の条件で行われる。
水素分圧としては、好ましくは2MPa以上13MPa以下、より好ましくは3MPa以上12MPa以下、更に好ましくは4MPa以上11MPa以下である。温度条件としては、好ましくは300℃以上400℃以下、より好ましくは310℃以上390℃以下である。
液空間速度(LHSV)としては、好ましくは0.2hr−1以上3.0hr−1以下、より好ましくは0.3hr−1以上1.5hr−1以下、更に好ましくは0.4hr−1以上1.2hr−1以下である。
また、水素/混合軽油比としては、触媒の劣化防止の観点から、好ましくは180Nm/kL以上、より好ましくは200Nm/kL以上、更に好ましくは、240Nm/kL以上である。上限としては効果の点から、好ましくは500Nm/kL以下、より好ましくは400Nm/kL以下、更に好ましくは300Nm/kL以下である。
<燃料基材Bの性状>
燃料基材Bの性状としては、より高いセタン指数、かつより優れた低温流動性を得る観点から、また軽油の規格を容易に満足させる観点から、セタン指数は、好ましくは40以上、より好ましくは45以上、さらに好ましくは50以上である。
燃料基材Bの流動点は、好ましくは0℃以下、より好ましくは−2.5℃以下、更に好ましくは−5℃以下であり、下限としては特に制限はないが、通常−10℃以上である。
燃料基材Bの目詰まり点は、好ましくは2℃以下、より好ましくは0℃以下、更に好ましくは−2℃以下であり、下限としては特に制限はないが、通常−5℃以上である。
燃料基材Bの15℃における密度は、好ましくは0.800g/cm以上、より好ましくは0.810g/cm以上、更に好ましくは0.820g/cm以上であり、上限として好ましくは0.900g/cm以下、より好ましくは0.880g/cm以下、更に好ましくは0.860g/cm以下である。
燃料基材Bの30℃における動粘度は、好ましくは2.5mm/s以上、より好ましくは2.8mm/s以上、更に好ましくは3.0mm/s以上であり、上限として好ましくは6.0mm/s以下、より好ましくは4.5mm/s以下、更に好ましくは4.0mm/s以下である。
燃料基材Bの留出温度としては、10容量%留出温度(T10)が好ましくは160℃以上230℃以下、50容量%留出温度(T50)が好ましくは240℃以上320℃以下、90容量%留出温度(T90)が好ましくは300℃以上370℃以下である。
燃料基材Bの引火点は、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上である。
燃料基材Bの硫黄分は、少ないほど好ましく、具体的に好ましくは15質量ppm以下、より好ましくは10質量ppm以下、更に好ましくは8質量ppm以下である。
また、燃料基材Bのアロマ分は、好ましくは40容量%以下、より好ましくは35容量%以下であり、下限としては、通常20容量%以上である。アロマ分の含有量が上記範囲内であると、より優れた低温流動性が得られる。
(ディーゼル燃料組成物)
本実施形態のディーゼル燃料組成物は、上記燃料基材A及び燃料基材Bを含有するものである。燃料基材Aはセタン指数が高いという利点があるものの、流動点、目詰まり点が高く低温流動性が十分ではないという性状を有する基材であり、燃料基材Bは流動点、目詰まり点が低く低温流動性に優れているという利点があるものの、セタン指数が比較的低いという性状を有する基材である。本実施形態のディーゼル燃料組成物は、これらの燃料基材AとBの利点により、互いの欠点を補い合い、セタン指数が高く、かつ低温流動性に優れるものとなった。
本実施形態のディーゼル燃料組成物において、燃料基材Aの組成物全量基準の含有量は、好ましくは5容量%以上、より好ましくは10容量%以上、更に好ましくは15容量%以上、特に好ましくは25容量%以上であり、上限として好ましくは60容量%以下、より好ましくは55容量%以下、更に好ましくは50容量%以下である。燃料基材Aの含有量が上記範囲内であると、より高いセタン指数、かつより優れた低温流動性が得られ、また軽油の規格を容易に満足させることができる。
本実施形態のディーゼル燃料組成物において、燃料基材Bの組成物全量基準の含有量は、好ましくは10容量%以上、より好ましくは20容量%以上、更に好ましくは30容量%以上、特に好ましくは45容量%以上であり、上限として好ましくは95容量%以下、より好ましくは90容量%以下、更に好ましくは85容量%以下であり、特に好ましくは75容量%以下である。燃料基材Bの含有量が上記範囲内であると、より高いセタン指数、かつより優れた低温流動性が得られ、また軽油の規格を容易に満足させることができる。
本実施形態のディーゼル燃料組成物は、更に製品軽油、直留軽油(基材X)を水素化処理した脱硫直留軽油(燃料基材C)(DGOとも称する。)を含有してもよい。ここで、脱硫直留軽油(燃料基材C)の性状は、硫黄分以外の性状は上記の直留軽油(基材X)の性状と同じである。脱硫直留軽油(燃料基材C)の硫黄分は、通常、15質量ppm以下、10質量ppm以下、8質量ppm以下である。
ディーゼル燃料組成物において、脱硫直留軽油(燃料基材C)の組成物全量基準の含有量は、好ましくは1容量%以上、より好ましくは5容量%以上、更に好ましくは10容量%以上であり、上限として好ましくは65容量%以下、より好ましくは60容量%以下、更に好ましくは50容量%以下である。直留軽油の含有量が上記範囲内であると、より高いセタン指数が得られ、また軽油の規格を容易に満足させることができる。
本実施形態のディーゼル燃料組成物は、発明の効果を阻害しない範囲であれば、更に、脱硫灯油(DK)、水素化分解軽油(HCGO)、及び水素化分解灯油(HCK)から選ばれる少なくとも一種を含んでもよい。
また、本実施形態のディーゼル燃料組成物は、発明の効果を阻害しない範囲であれば、燃料組成物に汎用される添加剤、例えば、硝酸エステル、有機過酸化物等のセタン価向上剤;リノール酸、オレイン酸、ステアリン酸等のカルボン酸類、該カルボン酸類とアルキルアルコールとのエステル類等の潤滑性向上剤;アルケニルコハク酸イミド等の清浄剤;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン共重合体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等の飽和脂肪酸のビニルエステル、アルケニルコハク酸アミド等の低温流動性向上剤;アミン系、フェノール系等の酸化防止剤;帯電防止剤等の添加剤を含んでもよい。
これらの添加剤の中でも、ディーゼル燃料組成物の流動点及び目詰まり点のいずれもがより低くなり、低温流動性の向上が期待されることから、低温流動性向上剤を用いることが好ましい。
低温流動性向上剤を用いる場合、その組成物全量基準の含有量その含有量は、好ましくは10質量ppm以上、より好ましくは100質量ppm以上、更に好ましくは250質量ppm以上であり、上限として好ましくは800質量ppm以下、より好ましくは700質量ppm以下、更に好ましくは500質量ppm以下である。低温流動性向上剤の含有量が上記範囲内であると、低温流動性の優れた向上効果が得られる。
<ディーゼル燃料組成物の性状>
本実施形態のディーゼル燃料組成物の性状としては、セタン指数は、好ましくは50以上、より好ましくは53以上、更に好ましくは55以上、特に好ましくは58以上である。
本実施形態のディーゼル燃料組成物の流動点は、好ましくは−15℃以下、より好ましくは−16℃以下、更に好ましくは−17℃以下、特に好ましくは−20℃以下であり、下限としては特に制限はないが、通常−25℃以上である。
本実施形態のディーゼル燃料組成物の目詰まり点は、好ましくは−5℃以下、より好ましくは−8℃以下、更に好ましくは−12℃以下であり、下限としては特に制限はないが、通常−20℃以上である。
本実施形態のディーゼル燃料組成物は、上記流動点及び目詰まり点のいずれもが低いため、優れた低温流動性を有するものとなる。例えば、流動点が低くても、目詰まり点が高い場合、ディーゼルエンジンを低温環境下で始動させようとすると、燃料噴射ポンプ、燃料サプライポンプに装着されるフィルターがワックスにより閉塞し、エンジンが停止する恐れがある。このように、優れた低温流動性を得るには、流動点及び目詰まり点がいずれも低いことが肝要である。
本実施形態のディーゼル燃料組成物の15℃における密度は、好ましくは0.800g/cm以上、より好ましくは0.810g/cm以上、更に好ましくは0.815g/cm以上であり、上限として好ましくは0.860g/cm以下、より好ましくは0.850g/cm以下、更に好ましくは0.840g/cm以下である。
本実施形態のディーゼル燃料組成物の30℃における動粘度は、好ましくは2.7mm/s以上、より好ましくは2.8mm/s以上、更に好ましくは3.0mm/s以上であり、上限として好ましくは4.5mm/s以下、より好ましくは4.3mm/s以下、更に好ましくは4.0mm/s以下である。
本実施形態のディーゼル燃料組成物の留出温度としては、50容量%留出温度(T50)が好ましくは260℃以上320℃以下、90容量%留出温度(T90)が好ましくは290℃以上360℃以下である。
本実施形態のディーゼル燃料組成物の引火点は、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上である。
本実施形態のディーゼル燃料組成物の硫黄分は、少ないほど好ましく、具体的に好ましくは10質量ppm以下、より好ましくは8質量ppm以下、更に好ましくは6質量ppm以下である。
また、本実施形態のディーゼル燃料組成物のアロマ分は、好ましくは30容量%以下、より好ましくは28容量%以下であり、下限としては、通常5容量%以上である。
このように、本実施形態のディーゼル燃料組成物は、高いセタン指数、かつ優れた低温流動性を有する、バイオマス燃料を含む燃料組成物であり、またJIS特1号軽油、JIS1号軽油、JIS2号軽油等の軽油の規格に適合し得る組成物である。
〔ディーゼル燃料組成物の製造方法〕
本実施形態に係るディーゼル燃料組成物は、例えば、動植物油脂及び/又は動植物油脂由来の成分を含む原料を水素化脱酸素処理し、かつ異性化処理して燃料基材Aを調製する工程、直留軽油(基材X)と分解軽油(基材Y)とを混合した混合軽油を水素化処理して燃料基材Bを調製する工程、及び燃料基材Aと燃料基材Bとを混合する工程、を順に含む製造方法により得ることができる。この製造方法により、高いセタン指数、かつ優れた低温流動性を有する、本実施形態に係るディーゼル燃料組成物を得ることができる。
動植物油脂及び/又は動植物油脂由来の成分を含む原料、これを水素化脱酸素処理し、かつ異性化処理することについての説明(燃料基材Aを調製することについての説明)は、上述の本実施形態のディーゼル燃料組成物における燃料基材Aについて行った説明と同じであるため、省略する。また、燃料基材Bについても、上述の本実施形態のディーゼル燃料組成物における燃料基材Bについて行った説明と同じであるため、省略する。
なお、動植物油脂及び/又は動植物油脂由来の成分を含む原料の水素化脱酸素処理を行う工程の前に、更にアルカリ金属、アルカリ土類金属及び塩素等の不純物を原料から除去する工程を含んでもよい。これらの不純物は、水素化脱酸素処理を行うときの触媒毒となる、また水素化脱酸素処理を行う反応器を腐食させる場合がある。よって、水素化脱酸素処理を行う前に、これらの不純物を原料から除去することが好ましい。
これらの不純物を原料から除去する方法としては、シリカ等の極性カラムを使用するカラム精製、食用油の精製方法として用いられる、脱ガム−脱酸−脱色−脱臭の適用等がある。脱ガム−脱酸−脱色−脱臭については、4工程全てを選択しても一部だけを選択してもよい。例えば、脱ガム−脱色、脱ガム−脱酸−脱色等の2又は3工程のみでも不純物の除去に効果がある。
また、上記のディーゼル燃料組成物の製造方法は、燃料基材Aと燃料基材Bとの混合に際し、更に脱硫直留軽油(燃料基材C)も加えて混合する工程、また脱硫灯油(DK)、水素化分解軽油(HCGO)、及び水素化分解灯油(HCK)から選ばれる少なくとも一種を加えて混合する工程を有していてもよい。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
[評価方法]
(燃料基材Aの調製)
<水素化脱酸素触媒調製>
特開2010−235944号公報を参照して触媒を調製した。まず、国際公開2002/049963号パンフレットに基づき、チタン含有水溶液を調製した。500℃で4時間焼成することにより求めた酸化チタン(IV)(TiO)の割合が85質量%である含水酸化チタン粉末12.7gと70gの純水を、内容積1Lのガラス製ビーカーに入れ、攪拌しスラリー化した。次に、35質量%の過酸化水素水78.7gと26質量%のアンモニア水26.5gとを混合した水溶液を該含水酸化チタンスラリーに添加した。その後、25℃を維持したまま3時間攪拌し、黄緑色で透明なチタン含有水溶液を得た。そこへ、クエン酸第1水和物28.4gを添加した。その後、30℃以下の温度で6時間保持した後、80〜95℃で12時間保持することによりpH6.2で透明なチタン含有水溶液120gを得た。得られたチタン含有水溶液を58.5g分取し、純水で希釈し80mLとし、細孔容量0.8mL/gで四葉のγ‐アルミナ100gに、常圧下で含浸(ポアフィリング法)した。その後、ロータリーエバポレータを用い減圧下、70℃で1時間乾燥した後に、120℃で3時間乾燥し、最後に500℃で4時間焼成し、TiO−5質量%担持アルミナ担体を得た。
次に、500℃で4時間焼成することにより求めた酸化ニッケル(NiO)の割合が58.4質量%である塩基性炭酸ニッケル75.3g(NiOとして44.0g)、三酸化モリブデン220g、正リン酸34.5g(Pとして29.3g)に、純水を250mL加え、攪拌しながら80℃で溶解し、室温にて冷却後、純水にて264mLに定容したニッケル・モリブデン含浸液を調製した。該含浸液を60mL採取し、トリエチレングリコール6gを添加して、該TiO−5質量%担持アルミナ担体100gの吸水量に見合うように、純水にて希釈・定容し、常圧にて含浸した。次いで、70℃で1時間ロータリーエバポレータを用いて減圧下で乾燥した後、120℃で16時間熱処理し、触媒前躯体Aを調製した。触媒は仕込み量換算でアルミナが57質量%、TiOが3質量%、NiOが6質量%、MoOが30質量%、Pが4質量%であった。
<異性化触媒の調製>
ジニトロジアンミン白金硝酸塩溶液(50gPt/L、田中貴金属工業株式会社製)19.9mLに、イオン交換水を加えて、62.9gのジニトロジアンミン白金硝酸塩水溶液(白金含浸液)を調製し、これシリカアルミナ担体(N632HN(品番)、ペレット状、日揮触媒化成株式会社製)98.4gに常圧にて含浸した。次いで、ロータリーエバポレータを用いて、30℃、真空の条件下で20分乾燥し、更に70℃で2時間の乾燥処理を行った後、焼成炉を用いて、120℃で10時間、次いで400℃で3時間の焼成を行い、仕込み量換算で1質量%白金担持のシリカアルミナ触媒を調製した。
<原料油の前処理>
ヤトロファの種子を圧搾して得られた油から、粉砕された種子殻等の圧搾粕を除去したヤトロファ原油を、脱ガム・脱酸処理したヤトロファ油(日本植物燃料株式会社製)を用いた。
<水素化脱酸素処理>
固定床流通式反応装置に、上記水素化脱酸素触媒10ccを充填し、水素気流中、375℃にて18時間還元処理を行った。その後、375℃の反応温度、0.5hr−1の液空間速度(LHSV)、2000Nm/kLの水素/油比、6MPaの圧力の条件にてヤトロファ油の水素化脱酸素処理を行った。そして、約500時間反応を継続して、水素化脱酸素ヤトロファ油を得た。
<異性化処理>
固定床流通式反応装置に、上記異性化触媒10ccを充填し、水素気流中、380℃にて18時間還元処理を行った。その後、320℃の反応温度、1.0hr−1の液空間速度(LHSV)、1000Nm/kLの水素/油比、3MPaの圧力の条件にて、水素化脱酸素ヤトロファ油の異性化処理を行った。そして、約250時間反応を継続して、2Lの燃料基材A(異性化ヤトロファ油)を得た。得られた燃料基材Aの諸性状について、第1表に示す。
(燃料基材B)
第1表に示される性状を有する直留軽油(燃料基材X)と分解軽油(燃料基材Y)とを各々80容量%、20容量%となるように混合した混合軽油を、コバルト・モリブデン触媒(担体 アルミナ;コバルト含有量 6質量%;モリブデン含有量 25質量%)の存在下で水素化処理して、燃料基材Bを得た。水素化処理の条件は、燃料基材Bに含まれる硫黄分が0.0006質量%(6質量ppm)となるような条件とした。得られた燃料基材Bの諸性状について、第1表に示す。
(燃料基材C)
本実施例で用いられる燃料基材C(脱硫直留軽油;DGO)の諸性状について、第1表に示す。
Figure 0006957317
(実施例1〜3、比較例1)
上記燃料基材A、燃料基材B、及び燃料基材Cを、第2表に示される配合組成で混合し、更に低温流動性向上剤(「Infineum R240」、インフィニアムジャパン社製)を400質量ppm添加して、各実施例及び比較例の燃料組成物を得た。得られた燃料組成物について、セタン指数、流動点、目詰まり点、その他、諸性状を測定した。測定結果を第2表に示す。
Figure 0006957317
実施例1〜3のディーゼル燃料組成物は、セタン指数が58.5〜65.4であり、流動点は−22.5〜−20.0℃、目詰まり点は−15.0〜−14.0℃であり、高いセタン指数を有し、かつ流動点及び目詰まり点のいずれもが低く、優れた低温流動性を有するものであることが確認された。一方、燃料基材Bを含まない比較例1の燃料組成物は、セタン指数、流動点は実施例1〜3のディーゼル燃料組成物と同等であったものの、目詰まり点が高く、低温流動性が十分ではないことが確認された。
第1表に示される燃料基材Aと実施例1〜3のディーゼル燃料組成物との対比によれば、燃料基材Aの目詰まり点は0℃と高く、低温流動性が十分ではないところ、実施例1〜3のディーゼル燃料組成物では目詰まり点は−15.0〜−14.0℃と低くなり、低温流動性が向上していることが分かる。
また、第1表に示される燃料基材Bと実施例1〜3のディーゼル燃料組成物との対比によれば、実施例1〜3のディーゼル燃料組成物は、燃料基材Bの流動点及び目詰まり点を維持しつつセタン指数が向上していることが確認された。

Claims (5)

  1. 動植物油脂及び/又は動植物油脂由来の成分を含む原料を水素化脱酸素処理し、かつ異性化処理した燃料基材A、並びに直留軽油と分解軽油との混合軽油を水素化処理した燃料基材Bを含有するディーゼル燃料組成物であって、
    前記燃料基材Aの組成物全量基準の含有量が、5容量%以上60容量%以下であり、
    前記燃料基材Bの組成物全量基準の含有量が、10容量%以上95容量%以下であり、
    前記燃料基材Aは、下記(A−1)〜(A−8)に示す性状を有し、
    (A−1)セタン指数が、70以上
    (A−2)流動点が、−15℃以上3℃以下
    (A−3)目詰まり点が、−10℃以上3℃以下
    (A−4)15℃における密度が、0.70g/cm 以上0.90g/cm 以下
    (A−5)30℃における動粘度が、2.5mm /s以上5.0mm /s以下
    (A−6)50容量%留出温度(T50)が、250℃以上320℃以下
    (A−7)90容量%留出温度(T90)が、260℃以上340℃以下
    (A−8)アロマ分が、0.3容量%以下
    前記燃料基材Bが、下記(B−1)〜(B−9)に示す性状を有する、ディーゼル燃料組成物。
    (B−1)セタン指数が、40以上
    (B−2)流動点が、−10℃以上0℃以下
    (B−3)目詰まり点が、−5℃以上2℃以下
    (B−4)15℃における密度が、0.800g/cm 以上0.900g/cm 以下
    (B−5)30℃における動粘度が2.5mm /s以上6.0mm /s以下
    (B−6)10容量%留出温度(T10)が、160℃以上230℃以下
    (B−7)50容量%留出温度(T50)が、240℃以上320℃以下
    (B−8)90容量%留出温度(T90)が、300℃以上、370℃以下
    (B−9)アロマ分が、40容量%以下
  2. 更に、脱硫直留軽油を含有する請求項1に記載のディーゼル燃料組成物。
  3. 更に、低温流動性向上剤を含有する請求項1又は2に記載のディーゼル燃料組成物。
  4. 前記脱硫直留軽油の組成物全量基準の含有量が、1容量%以上65容量%以下である請求項2〜のいずれか1項に記載のディーゼル燃料組成物。
  5. セタン指数が50以上であり、流動点が−15℃以下であり、かつ目詰まり点が−5℃以下である請求項1〜のいずれか1項に記載のディーゼル燃料組成物。
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