JP6955998B2 - ポリスチレン系樹脂多層発泡シート - Google Patents
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Description
しかし、該共重合体樹脂を主成分とする発泡シートは、耐熱性に優れるが、耐衝撃性が劣るという問題を有している。また、発泡シートの製造時、ダイリップ口から押出された発泡シートを引き取るときに、発泡シートの折れやヒビ割れ等が起こるなど、シーティング性にも劣るという該共重合体樹脂の脆性に由来する問題もある。
[1]ポリスチレン系樹脂発泡層、接着層及びポリプロピレン系樹脂層が共押出により積層されてなるポリスチレン系樹脂発泡シートにおいて、該ポリスチレン系樹脂発泡層が、ポリスチレン系樹脂(x1)と、ポリプロピレン系樹脂(x2)と、スチレン系熱可塑性エラストマー(x3)とを含む混合樹脂(X)からなり、該ポリスチレン系樹脂(x1)が、共重合成分としてメタクリル酸成分を10重量%以上含んでおり、該ポリスチレン系樹脂(x1)の含有割合が80重量%を超え98.5重量%以下であり、該ポリプロピレン系樹脂(x2)の含有割合が1重量%以上15重量%未満であり、該スチレン系熱可塑性エラストマー(x3)の含有割合が0.5重量%以上5重量%以下であり(但し、該ポリスチレン系樹脂(x1)と、該ポリプロピレン系樹脂(x2)と該スチレン系熱可塑性エラストマー(x3)の含有量の合計は100重量%である。)、該接着層がポリスチレン系樹脂(y1)とポリプロピレン系樹脂(y2)とを含む混合樹脂(Y)からなることを特徴とするポリスチレン系樹脂多層発泡シート。
[2]ポリスチレン系樹脂(x1)のビカット軟化温度(Tx1)と、ポリプロピレン系樹脂(x2)の融点(Tx2)との差[Tx2−Tx1]が5℃以上40℃以下であることを特徴とする前記1に記載の耐熱性ポリスチレン系樹脂多層発泡シート。
[3]前記多層発泡シートの見掛け密度が0.035〜0.7g/cm3であり、該多層発泡シートの独立気泡率が75%以上であることを特徴とする前記1または2に記載の耐熱性ポリスチレン系樹脂多層発泡シート。
[4]前記樹脂層の坪量が25g/m2以上であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の耐熱性ポリスチレン系樹脂多層発泡シート。
[5]式(1)で定義されるポリスチレン系樹脂(y1)とポリプロピレン系樹脂(y2)との混合状態を表す相構造指数PIが1.3を超え3以下であることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の耐熱性ポリスチレン系樹脂多層発泡シート。
PI=(ηy2×φy1)/(ηy1×φy2) ・・・(1)
ηy1:190℃、剪断速度100sec−1でのポリスチレン系樹脂の溶融粘度
φy1:混合樹脂(Y)中のポリスチレン系樹脂の体積分率
ηy2:190℃、剪断速度100sec−1でのポリプロピレン系樹脂の溶融粘度
φy2:混合樹脂(Y)中のポリプロピレン系樹脂の体積分率
[6]前記ポリスチレン系樹脂多層発泡シートから樹脂層を剥離させる際の剥離強度が80cN/25mm以上であることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂多層発泡シート。
[7]前記樹脂層を構成するポリプロピレン系樹脂(z)の融点が150℃以上であることを特徴とする前記1〜6のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂多層発泡シート。
[8]ポリプロピレン系樹脂(x2)の融点が150℃以上であることを特徴とする前記1〜7のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂多層発泡シート。
本発明の耐熱性ポリスチレン系樹脂多層発泡シート(以下、単に多層発泡シートともいう。)は、ポリスチレン系樹脂発泡層、接着層及びポリプロピレン系樹脂層が共押出によりこの順に積層されてなる多層発泡シートである。次に、ポリスチレン系樹脂発泡層(以下、単に発泡層ともいう。)、接着層、ポリプロピレン系樹脂層(以下、単に樹脂層ともいう。)について、この順で説明する。
以下、発泡層を構成するスチレン系熱可塑性エラストマー、及び後述する接着層に配合されるスチレン系熱可塑性樹脂エラストマーを単にスチレン系エラストマーともいう。
尚、ポリスチレン系樹脂(x1)とポリプロピレン系樹脂(x2)との混合状態をより良化させることができる観点から、スチレン系エラストマー中のスチレンに由来する構造単位が10〜65重量%のものを使用することが好ましく、30〜55重量%のものを使用することがより好ましい。
本発明においては、従来の耐熱性多層発泡シートより耐熱性及び耐油性に優れ、脆性にも優れる多層発泡シートを得るために発泡層を構成する混合樹脂(X)における各成分の比率を下記のように特定の範囲とすることが重要である。
一方、該含有割合が少なすぎると発泡層における脆性の改善が不十分となり、多層発泡シートの耐衝撃性が不足するおそれがある。かかる観点から、該含有割合の下限は3重量%であることが好ましく、より好ましくは5重量%である。また、該含有割合の上限は12重量%であることが好ましく、より好ましくは10重量%である。
即ち、丼等の成形体を得るための熱成形においては、生産効率を確保するために大面積の多層発泡シートが用いられ、一度の熱成形によって複数の成形体が形成されたシート状物から、該成形体をトリミングすることにより最終的な成形体が得られる。熱成形後には、成形体が切り出された、多層発泡シートの残りの部分がトリミング屑などと呼ばれる端材となる。該端材は、耐熱性の発泡層にポリプロピレン系樹脂層が積層された多層発泡シートの端材であるため、このトリミング屑をリサイクルすることにより得られた原料は、主たる成分として、スチレン−メタクリル酸共重合体とポリプロピレン系樹脂とを含有する混合樹脂である。
なお、混合樹脂(X)にリサイクル原料を配合する場合、適宜新たな原料を配合することで、前記混合樹脂(X)における各成分の含有割合となるように混合樹脂(X)の含有割合を調整することができる。なお、発泡層にリサイクル原料を配合する場合、リサイクル原料中のポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びスチレン系熱可塑性エラストマーは、それぞれが混合樹脂(X)中のポリスチレン系樹脂(x1)、ポリプロピレン系樹脂(x2)及びスチレン系熱可塑性エラストマー(x3)を構成するものとして、混合樹脂(X)中の各成分の含有割合を定める。
接着層を構成する混合樹脂(Y)は、ポリスチレン系樹脂(y1)とポリプロピレン系樹脂(y2)とを含むものである。接着層がポリスチレン系樹脂(y1)とポリプロピレン系樹脂(y2)とを含むことにより、ポリスチレン系樹脂(x1)を多く含む発泡層と、ポリオレフィン系樹脂(z)からなる樹脂層とを良好に接着させることができる。
まず、スチレン系樹脂0.1gをテトラヒドロフラン10mlに溶解させ、23℃のヘプタン約250ml中に滴下して樹脂を析出させる。次に、樹脂を濾別した濾液に内部標準としてトリフェニルメタンを加えた後、約20mlまで濃縮し、ガスクロマトグラフ質量分析計で測定を行うことで、スチレン二量体及びスチレン三量体の含有量を求めることができる。なお、ガスクロマトグラフ質量分析の測定条件は次の通りである。
使用機器:島津製作所製ガスクロマトグラフ質量分析計 GC/MS QP5050A、カラム:J&W Scientific性DB−5MS 0.25mm×30m(固定相…5%ジフェニル−95%ジメチル−ポリシロキサン)、キャリアガス:ヘリウム カラム流量:1.6ml/min、試料注入量:1μL。
ηy1:190℃、剪断速度100sec−1でのポリスチレン系樹脂(y1)の溶融粘度
φy1:該混合樹脂中のポリスチレン系樹脂(y1)の体積分率
ηy2:190℃、剪断速度100sec−1でのポリプロピレン系樹脂(y2)の溶融粘度
φy2:該混合樹脂中のポリプロピレン系樹脂(y2)の体積分率
多層発泡シートから樹脂層を剥離させる際の剥離強度は80cN/25mm以上であることが好ましい。該剥離強度がこの範囲内であれば、発泡層と樹脂層との間における接着力が十分であり、熱成形時や電子レンジによる加熱調理時に樹脂層の発泡層からのデラミネーションの発生が防止される。この観点から、該剥離強度は100cN/25mm以上であることがより好ましく、200cN/25mm以上であることがさらに好ましく、300cN/25mm以上であることが特に好ましい。なお、該剥離強度の上限は、概ね700cN/25mmである。
なお、剥離試験を行なった際に剥離が生じる界面としては、発泡層と接着層との間、接着層と樹脂層との間の2つの界面が想定され、層間の接着力によっては、発泡層の材料破壊や、接着層の凝集破壊が生じることがある。本発明における剥離強度は、それらのうちの最も弱い強度を意味する。例えば、剥離試験において、一方の治具で発泡層を固定し、他方の治具で接着層及び樹脂層を固定して剥離試験を行うと、接着力が弱い方の界面で剥離が起きるので、一の試験で求めた剥離強度が、発泡層と接着層間、接着層と樹脂層間のどちらか弱い方の接着強度となる。なお、樹脂層が薄すぎて治具で固定できない場合または樹脂層が試験中に破断してしまう場合には、補強フィルムで樹脂層を裏打ちしてもよい。
なお、スチレンオリゴマーの抽出量をより低く抑えることができるという観点から、剥離試験を行なった際に、接着層と樹脂層との間で剥離することが好ましい。このような場合、接着層において、の抽出量をより低く抑えることができる良好なモルフォロジーが形成されていると考えられる。
同様の理由で、多層発泡シート全体の坪量は、100〜600g/m2であることが好ましく、より好ましくは150〜500g/m2であり、さらに好ましくは200〜450g/m2、特に好ましくは300〜400g/m2である。
多層発泡シートの独立気泡率を高める方法としては、接着層を構成する樹脂として、押出温度域における溶融粘度が低い樹脂を用いて共押出を行う方法や、押出時、接着層形成用溶融樹脂に揮発性可塑剤を添加して共押出を行う方法が挙げられる。
なお、共押出により、接着層を介して、ポリプロピレン系樹脂を配合した混合樹脂(X)からなる発泡層と樹脂層とを積層すると、多層発泡シートの独立気泡率が低下しやすくなる傾向にあり、このことが多層発泡シートの熱成形可能範囲が狭くなる原因の一つとして考えられる。
本発明においては、押出時における接着層形成用溶融樹脂の溶融粘度を低くし、接着層を発泡層に近い温度で積層することにより、独立気泡率の高い発泡層が得ることができたと考えられる。
Vx:前記方法で測定されたカットサンプルの真の体積(cm3)であり、カットサンプルを構成する樹脂の容積と、カットサンプル内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。
Va:測定に使用されたカットサンプルの外寸から計算されたカットサンプルの見かけ上の体積(cm3)。
W:測定に使用されたカットサンプル全重量(g)。
ρ:発泡シートを脱泡して求められる樹脂の密度(g/cm3)
本発明の多層発泡シートは、共押出法により、特定の混合樹脂(X)からなる発泡層の片面に特定の混合樹脂(Y)からなる接着層と、ポリプロピレン系樹脂(z)からなる樹脂層とを、表面から樹脂層、接着層、発泡層の順に積層接着することにより得ることができる。具体的には、発泡層形成用押出機の出口に共押出用ダイが取り付けられ、その共押出用ダイに接着層形成用押出機と樹脂層形成用押出機が連結された装置を用いて、特定の混合樹脂(X)からなる発泡層形成用溶融樹脂と、特定の混合樹脂(Y)と揮発性可塑剤とからなる接着層形成用溶融樹脂と、ポリプロピレン系樹脂(z)からなる樹脂層形成用溶融樹脂とを共押出用ダイ内で、発泡層形成用溶融樹脂、接着層形成用溶融樹脂、樹脂層形成用溶融樹脂の順で合流、積層してから押出し、引取ることにより、発泡層形成用溶融樹脂が発泡してなる発泡層の表面に接着層、さらに樹脂層が形成された多層発泡シートが製造される。
またクエン酸と重炭酸ナトリウム、クエン酸のモノアルカリ塩と重炭酸ナトリウム等を組み合わせたもの等も気泡調整剤として用いることができる。これらの気泡調整剤は2種以上を混合して用いることができる。
ポリスチレン系樹脂(y1)及びポリプロピレン系樹脂(y2)の含有割合は、前記接着層について説明したようにすれば良い。
本発明者らの検討の結果、共押出により、接着層を介して、ポリプロピレン系樹脂を配合した混合樹脂からなる発泡層と樹脂層とを積層すると、多層発泡シートの独立気泡率が低下しやすくなる傾向があることが判明した。この独立気泡率の低下が多層発泡シートの熱成形可能範囲が狭くなる原因の一つとして考えられる。本発明においては、特に、押出時に揮発性可塑剤を添加し、接着層形成用溶融樹脂が揮発性可塑剤を含む状態で共押出を行うことで、多層発泡シートの独立気泡率を高くすることができ、熱成形可能な範囲の広い多層発泡シートを安定して得ることができる。
なお、接着層形成用溶融樹脂が揮発性可塑剤を含む状態で共押出を行うことで多層発泡シートの独立気泡率を高くすることができる理由については、定かではないが、揮発性可塑剤の可塑化効果により、押出時の接着層形成用溶融樹脂の温度を下げることができるため、混合樹脂(X)により構成され、独立気泡率が低下しやすい状態の発泡層へ接着層を積層しても、接着層付近の発泡層の発泡状態を大きく悪化させることがなく、発泡層の独立気泡率、更に多層発泡シートの独立気泡率を高く維持できるためと考えられる。
揮発性可塑剤の例に挙げた炭素数2以上7以下の飽和炭化水素としては、例えば、エタン、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンが挙げられる。
なお、取扱い性や樹脂に対する可塑化効果に優れることから、揮発性可塑剤としてブタンを用いることが好ましい。
[発泡層形成用のポリスチレン系樹脂(x1)]
(1)PSジャパン(株)製スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体「MM290」〔スチレン成分83重量%、メタクリル酸成分12重量%、メタクリル酸メチル成分5重量%〕(略称:MM290、溶融粘度3948Pa・s、MFR(200℃、荷重5kg)1.0g/10min、ビカット軟化温度123℃)
(2)PSジャパン(株)製スチレン−メタクリル酸共重合体「G9001」〔スチレン成分93重量%、メタクリル酸成分7重量%〕(略称:G9001、溶融粘度:2646Pa・s、MFR(200℃、荷重5kg):1.6g/10min、ビカット軟化温度:118℃)
(1)日本ポリプロ(株)製ホモポリプロピレン系樹脂「FY4」(略称:FY4、溶融粘度:761Pa・s、MFR(230℃、荷重2.16kg):5.0g/10min、融点160℃)
(2)日本ポリプロ(株)製ブロックポリプロピレン系樹脂「BC3AD」(略称:BC3AD、溶融粘度:532Pa・s、MFR(230℃、荷重2.16kg):10g/10min、融点158℃)
(1)JSR(株)製スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、グレード名「DYNARON9901P」(略称:9901P、溶融粘度1284Pa・s、スチレン成分含有量53重量%」
(1)実施例1で得られた多層発泡シートを加熱溶融したリサイクル原料(略称:RE1、ポリスチレン系樹脂79.1重量%、ポリプロピレン系樹脂19.2重量%、スチレン系熱可塑性エラストマー1.7重量%)
(1)PSジャパン(株)製ポリスチレン「G0002」(略称:G0002、スチレンオリゴマー含有量:1056重量ppm、溶融粘度1580Pa・s)
(1)(株)プライムポリマー製ポリプロピレン系樹脂「E111G」(略称:E111G、溶融粘度:1512Pa・s、MFR(230℃、荷重2.16kg):0.5g/10min、融点:160℃)
(2) 日本ポリプロ(株)製ポリプロピレン系樹脂「EC9」(略称:EC9、溶融粘度1900Pa・s、MFR(230℃、荷重2.16kg):0.5g/10min、融点161℃)
発泡層形成用のスチレン系エラストマーと同一のものを使用した。
発泡層形成用のポリプロピレン系樹脂と同一のものを使用した。
タルク:松村産業株式会社製、グレード名「ハイフィラー#12」を用いた。
発泡層形成用の押出機として、バレル内径90mmの第一押出機とバレル内径120mmの第二押出機からなるタンデム押出機を用い、接着層形成用の押出機としてバレル内径40mm第三押出機を用い、樹脂層形成用の押出機としてバレル内径65mm第四押出機を用いた。更に、共押出用環状ダイに、第二押出機と第三押出機と第四押出機の夫々の出口を連結し、夫々の溶融樹脂を共押出用環状ダイ内で積層可能にした。
発泡層を構成するポリスチレン系樹脂(x1)として「MM290」を90.6重量%、ポリプロピレン系樹脂(x2)として「FY4」を7.5重量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(x3)として「9901P」を1.9重量%用いて混合樹脂(x)とし、混合樹脂(x)100重量部に対して1.7重量部のタルクを配合した原料を、第一押出機に供給し、加熱混練し、これに0.31mol/kgとなる割合で混合ブタンを圧入して発泡層形成用溶融樹脂とし、次いで、第二押出機に移送して樹脂温度を183℃に調整し、表3に示す坪量構成となるように共押出用環状ダイに導入した。
なお、発泡層を構成するポリスチレン系樹脂(x1)のビカット軟化温度(Tx1)が123℃であり、発泡層を構成するポリプロピレン系樹脂(x2)の融点(Tx2)が160℃であることから、その差[Tx2−Tx1]は、37℃であった。
樹脂層を構成するポリプロピレン系樹脂を「BC3AD」とし、接着層を構成するポリプロピレン系樹脂を「EC9」とした以外は実施例1と同様にして多層発泡シートを得た。なお、発泡層を構成するポリスチレン系樹脂(x1)のビカット軟化温度(Tx1)が123℃であり、発泡層を構成するポリプロピレン系樹脂(x2)の融点(Tx2)が158℃であることから、その差[Tx2−Tx1]は、35℃であった。
発泡層を構成するポリスチレン系樹脂として「MM290」を74.8重量%、ポリプロピレン系樹脂として「FY4」を3.6重量%、スチレン系エラストマーとして「9901P」を1.6重量%用い、さらにリサイクル原料として「RE1」を20重量%使用し、発泡層を構成するポリスチレン系樹脂(x1)を90.6重量%、ポリプロピレン系樹脂(x2)を7.5重量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(x3)を1.9重量%とした以外は、実施例1と同様にして多層発泡シートを得た。なお、発泡層を構成するポリスチレン系樹脂(x1)のビカット軟化温度(Tx1)が123℃であり、発泡層を構成するポリプロピレン系樹脂(x2)の融点(Tx2)が160℃であることから、その差[Tx2−Tx1]は、37℃であった。
発泡層を構成するポリスチレン系樹脂として「G9001」を用い、配合量を90.6重量%とした以外は実施例1と同様にして多層発泡シートを得た。
なお、発泡層を構成するポリスチレン系樹脂(x1)のビカット軟化温度(Tx1)が118℃であり、発泡層を構成するポリプロピレン系樹脂(x2)の融点(Tx2)が160℃であることから、その差[Tx2−Tx1]は、42℃であった。
溶融粘度の測定は、測定装置として(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1Dを用い、前記の方法で行った(n=3)。
ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度は、前記方法で測定した。
ポリプロピレン系樹脂の融点は、前記方法で測定した。
接着層における混合樹脂(Y)の混合状態を表す相構造指数PIの値は、前記方法で測定した。
多層発泡シートから全幅に亘って幅100mmの試験片(試験片サイズ:100mm×1040mm)を切り出し、試験片の重量をその面積(10400mm2)で割算し、g/m2に単位換算することにより、多層発泡シートの坪量を求めた(n=3)。
坪量構成は、多層発泡シートの総坪量をもとに各層の吐出量比から求めた。
多層シートの幅方向に亘って10mm間隔で厚みを測定し、算術平均することにより平均厚みを求めた。
多層発泡シートの坪量をその平均厚みで割算し、g/cm3に単位換算することにより、多層発泡シートの見掛け密度を求めた。
株式会社島津製作所製の乾式自動密度計アキュピックII1340型を用い、測定圧力10KPa(ゲージ圧力)、平衡圧レート0.05KPa/minの条件とした以外は、前記方法により測定した。
多層シートの無作為に選択した10か所から、多層発泡シートの幅方向と試験片の長さ方向とを一致させて、長さ80mm×幅10mm×厚み:多層発泡シートの厚み、の試験片10個をそれぞれ切り出した。該試験片を23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室に24時間載置して試験片の状態調節を行った。状態調節を行った試験片(ノッチなし)を用いて、23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室内で、JIS K7111−1:2012に基づき、フラットワイズ垂直衝撃により樹脂層が打撃面となるようにして試験片のシャルピー衝撃強度を測定し、測定値の算術平均値を多層シートのシャルピー衝撃強度とした。得られたシャルピー衝撃強度の測定値を表3の脆性改善(シャルピー衝撃強度)の欄に記入した。
熱成形性の評価は次の基準で行った。なお、実施例、比較例で得られた多層発泡シートを25℃の温度で21日間養生した後、下記の熱成形を行った。
熱成形機(浅野研究所製:品番「FKS−0631−10」)を使用し、マッチモールド真空成形により、樹脂層が積層された面が成形体の内側になるようにして、ヒータ温度315℃で多層発泡シートを所定秒数加熱した後、口径142mm、展開倍率2.6倍の成形体を9個取りすることができるカップ状の成形金型(3列×3段)を用いて熱成形を行った。加熱時間を変化させ、9個取り金型の中央部に位置する金型により成形された成形体に対して、良好な成形体を得ることができる加熱時間を測定し、良好な成形体を得ることができた最短の加熱時間(最短加熱時間)と最長の加熱時間(最長加熱時間)から加熱時間範囲を算出した。得られた加熱時間範囲を表3の熱成形成の欄に記入した。
まず、多層発泡シートを樹脂層を内面側に向けて熱成形して、開口部142mm×底部95mm×高さ86mmの皿形状の成形体(容器)を得た。容器に各温度(85〜165℃、5℃間隔)に熱したサラダ油300mlを入れた。1分間保持後の、容器内面の発泡層への油の浸食の有無を観察し、発泡層への油の侵食が発生しない最高の温度を表3の耐油性の欄に記入した。
まず、多層発泡シートを樹脂層を内面側に向けて熱成形して、開口部142mm×底部95mm×高さ86mmの皿形状の成形体(容器)を得た。容器に各温度(85〜165℃、5℃間隔)に熱したサラダ油300mlを入れた。1分間保持後の容器変形の有無を観察した。容器変形が発生しない最高の温度を表3の耐熱性の欄に記入した。
Claims (5)
- ポリスチレン系樹脂発泡層、接着層及びポリプロピレン系樹脂層が共押出により積層されてなるポリスチレン系樹脂発泡シートにおいて、
該ポリスチレン系樹脂発泡層が、ポリスチレン系樹脂(x1)と、ポリプロピレン系樹脂(x2)と、スチレン系熱可塑性エラストマー(x3)とを含む混合樹脂(X)からなり、該ポリスチレン系樹脂(x1)が、共重合成分としてメタクリル酸成分を10重量%以上含んでおり、該ポリスチレン系樹脂(x1)の含有割合が80重量%を超え98.5重量%以下であり、該ポリプロピレン系樹脂(x2)の含有割合が1重量%以上15重量%未満であり、該スチレン系熱可塑性エラストマー(x3)の含有割合が0.5重量%以上5重量%以下であり(但し、該ポリスチレン系樹脂(x1)と、該ポリプロピレン系樹脂(x2)と該スチレン系熱可塑性エラストマー(x3)の含有量の合計は100重量%である。)、該接着層がポリスチレン系樹脂(y1)とポリプロピレン系樹脂(y2)とを含む混合樹脂(Y)からなることを特徴とするポリスチレン系樹脂多層発泡シート。
- ポリスチレン系樹脂(x1)のビカット軟化温度(Tx1)と、ポリプロピレン系樹脂(x2)の融点(Tx2)との差[Tx2−Tx1]が5℃以上40℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂多層発泡シート。
- 前記多層発泡シートの見掛け密度が0.035〜0.7g/cm3であり、該多層発泡シートの独立気泡率が75%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリスチレン系樹脂多層発泡シート。
- 前記樹脂層の坪量が25g/m2以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂多層発泡シート。
- 式(1)で定義されるポリスチレン系樹脂(y1)とポリプロピレン系樹脂(y2)との混合状態を表す相構造指数PIが1.3を超え3以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂多層発泡シート。
PI=(ηy2×φy1)/(ηy1×φy2) ・・・(1)
ηy1:190℃、剪断速度100sec−1でのポリスチレン系樹脂(y1)の溶融粘度
φy1:混合樹脂(Y)中のポリスチレン系樹脂(y1)の体積分率
ηy2:190℃、剪断速度100sec−1でのポリプロピレン系樹脂(y2)の溶融粘度
φy2:混合樹脂(Y)中のポリプロピレン系樹脂(y2)の体積分率
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