JP6955855B2 - 甘味後引き改善用組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、エリトリトールを用いてレバウジオシドを含む高甘味度の甘味料の甘味の後引きを低減させる方法が開示されている。また、例えば、特許文献2には、羅漢果抽出物を用いてレバウジオシドを含む高甘味度の甘味料の甘味後引きを低減させる方法が開示されている。特許文献3には、ナリンゲニン、その塩を用いてレバウジオシドを含む高甘味度の甘味料の甘味後引きを低減させる方法が開示されている。
しかしながら、その効果は限定的であったり、添加物に特有の香味があるため、良好な香味にならないなどの課題があった。
より詳細には、本発明はTRPアンタゴニスト活性を有する物質のうち一つ以上からなる物質を含む組成物を摂取することによって甘味の後引きを改善できる方法である。
(1) (i)トランジェント・レセプター・ポテンシャルA1(TRPA1)阻害活性を有する物質およびトランジェント・レセプター・ポテンシャルV1(TRPV1)阻害活性を有する物質からなる群より選択される少なくとも一つを含む、飲料又は食料の甘味後引きを防止するための組成物および、
(ii)甘味料
を含む飲食品。
(2) 甘味料が甘味後引きをもつ甘味料である、(1)に記載の飲食品。
(3) 前記甘味料がステビオール配糖体である、(1)または(2)に記載の組成物。
(4) 前記ステビオール配糖体は、レバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドМ、ステビオシドからなる群より選択される1つ以上のものである、(3)に記載の飲食品。
(5) 前記甘味料が糖である、(1)に記載の飲食品。
(6) 前記糖は、スクロース、フルクトース、グルコース、エリスリトール、キシリトール、マルチトールからなる群より選択される1つ以上のものである、(5)に記載の飲食品。
(7) TRPA1阻害活性を有する物質がユーカリプトール、ボルネオール、メントールからなる群より選択される1つ以上である、(1)〜(6)のいずれかに記載の飲食品。
(8) TRPA1阻害活性を有する物質がユーカリプトールもしくはボルネオールであるか、又はユーカリプトールとボルネオールとの組み合わせである、(1)〜(7)のいずれかに記載の飲食品。
(9) TRPV1阻害活性を有する物質がサリチル酸メチル、カプサゼピンからなる群より選択される1つ以上である、(1)〜(8)のいずれかに記載の飲食品。
(10) TRPV1阻害活性を有する物質がサリチル酸メチルである、(1)〜(9)のいずれかに記載の飲食品。
(11) TRPA1阻害活性を有する物質は飲料又は食料の総重量に対し終濃度が0.001〜1000ppbとなるように飲料又は食料に添加されるものである、(1)〜(10)のいずれかに記載の飲食品。
(12) TRPV1阻害活性を有する物質は飲料又は食料の総重量に対し終濃度が0.1〜20ppbとなるように飲料又は食料に添加されるものである、(1)〜(11)のいずれかに記載の飲食品。
(13) トランジェント・レセプター・ポテンシャルA1(TRPA1)阻害活性を有する物質およびトランジェント・レセプター・ポテンシャルV1(TRPV1)阻害活性を有する物質からなる群より選択される少なくとも一つを飲料又は食料に添加する工程を含む、甘味後引きを防止する方法。
(14) 前記甘味後引きがステビオール配糖体の甘味の後引きである、(13)に記載の方法。
(15) 前記ステビオール配糖体は、レバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドМ、ステビオシドからなる群より選択される1つ以上である、(13)又は(14)に記載の方法。
(16) 前記甘味後引きが糖の甘味の後引きである、(13)に記載の方法。
(17) 前記糖は、スクロース、フルクトース、グルコース、エリスリトール、キシリトール、マルチトールからなる群より選択される1つ以上である、(16)に記載の方法。
(18) TRPA1阻害活性を有する物質がユーカリプトール、ボルネオール、メントールからなる群より選択される1つ以上である、(13)〜(17)のいずれかに記載の方法。
(19) TRPA1阻害活性を有する物質がユーカリプトールもしくはボルネオールであるか、又はユーカリプトールとボルネオールとの組み合わせである、(13)〜(18)のいずれかに記載の方法。
(20) TRPV1阻害活性を有する物質がサリチル酸メチル、カプサゼピンからなる群より選択される1つ以上である、(13)〜(19)のいずれかに記載の方法。
(21) TRPV1阻害活性を有する物質がサリチル酸メチルである、(13)〜(20)のいずれかに記載の方法。
(22) TRPA1阻害活性を有する物質は飲料又は食料の総重量に対し終濃度が0.001〜1000ppbとなるように飲料又は食料に添加される、(13)〜(21)のいずれかに記載の方法。
(23) TRPV1阻害活性を有する物質は飲料又は食料の総重量に対し終濃度が0.1〜24ppbとなるように飲料又は食料に添加される、(13)〜(22)のいずれかに記載の方法。
(24) (1)〜(12)のいずれかに記載の組成物を含む飲料又は食料。
本発明は、甘味の後引きの改善するものである。ここで、甘味の後引きについてはDuBois and Prakash(“Non-Caloric Sweeteners, Sweetness Modulators, and Sweetener Enhancers” Annual Reviews of Food Science And Technology, 3, pp.353-380)に記載がありその概略を図1に示す。
甘味の後引きは、例えば食品および飲料に含まれる甘味料の甘味の後引きであってもよい。ここで、甘味料としては、糖、糖アルコール及び高甘味度の甘味料が例として挙げられるが、これに限定されるものではない。
本願発明における糖としては、スクロース、フルクトース、グルコース、糖アルコールとしては、エリスリトール、キシリトール、マルチトールなどの甘味料が挙げられる。また、高甘味度の甘味料には、ステビオール配糖体(ステビア抽出物およびステビアを酵素処理してブドウ糖を付加した酵素処理ステビア等のステビア誘導体及びステビアの甘味成分の中で最も甘味質のよいレバウオシドAやレバウオシドDを含む);ペプチド系甘味料、例えばネオテーム、アリテーム等;カンゾウ抽出物等;ショ糖誘導体、例えばスクラロース等;合成甘味料、例えばアセスルファムK、サッカリン等の高甘味度甘味料が挙げられる。
また、ステビオール配糖体としては、レバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドМ、ステビオシドなどが挙げられる。レバウジオシドAおよびレバウジオシドDの構造式を図2に示す。
TRPチャンネルとは、トランジェント・レセプター・ポテンシャル(Transient Receptor Potential)チャンネルの略で、細胞膜に存在し、陽イオンを透過させるチャンネルの一種で、環境の化学的・物理的変化により活性化される。TRPチャンネルは、痛み・温度・pHなどの様々な感覚に関与することが知られており、味覚とは直接関連しないが、温感・冷感などを介して一部影響することが知られている。
TRPチャンネルについては例えば、Peier et al “A TRP Channel that Senses Cold Stimuli and Menthol” Cell 108 pp.705-715, Montell et al 1989 Neuron 2 pp.1313-1323, Clapham 2003 “” Nature 426pp.517-524の文献を参照することができる。
TRPチャンネルを構成するタンパク質であるTRPには、いくつかのファミリーが知られる。これらには、トランジェント・レセプター・ポテンシャルA1(TRPA1)やトランジェント・レセプター・ポテンシャルV1が含まれる。TRPのファミリーについては例えば、沼田ら 2009”TRPチャンネルの構造と多様な機能” 生化学 81 pp.962-983の文献を参照することができる。
トランジェント・レセプター・ポテンシャルA1(TRPA1)阻害活性とはTRPA1の活性部位への結合を妨げるような活性をいう。トランジェント・レセプター・ポテンシャル阻害活性は、下記の方法で測定することができる(Luo J1, Zhu Y, Zhu MX, Hu H..
“Cell-based calcium assay for medium to high throughput screening of TRP channel functions using FlexStation 3.”, J Vis Exp. 2011 Aug 17;(54). pii: 3149. doi: 10.3791/3149)。HEK293T 細胞にTRP チャネル遺伝子を強制発現させ,TRP チャネルのカルシウムイオン透過性を利用してCa2+ イメージングを用いる。Ca2+イメージングでは、TRPA1活性部位への結合の強さを表すCa2+流入量が蛍光強度として測定される。この蛍光強度を,アンタゴニスト投与の前後で比較することでアンタゴニストの阻害活性の指標を得る。例えば、アゴニストのみの場合に比べてアンタゴニストを含む場合における蛍光強度の低下の割合を阻害活性の指標とする。トランジェント・レセプター・ポテンシャルA1(TRPA1)阻害活性については例えば、Preti, Saponaro, Szallasi 2015 “Transient receptor potential Ankyrin 1 (TRPA1) antagonists” Future Science 4, 75-94の文献を参照することができる。
トランジェント・レセプター・ポテンシャルV1(TRPV1)阻害活性とはTRPV1の活性化を妨げるような活性をいう。トランジェント・レセプター・ポテンシャル阻害活性は下記の方法で測定することができる。HEK293T 細胞にTRP チャネル遺伝子を強制発現させ,TRP チャネルのカルシウムイオン透過性を利用してCa2+ イメージングを用いる。Ca2+イメージングでは、TRPA1活性部位への結合の強さを表すCa2+流入量が蛍光強度として測定される。この蛍光強度を,アンタゴニスト投与の前後で比較することでアンタゴニストの阻害活性の指標を得る。例えば、アゴニストのみの場合に比べてアンタゴニストを含む場合における蛍光強度の低下の割合を阻害活性の指標とする。トランジェント・レセプター・ポテンシャルV1(TRPV1)阻害活性については例えば、Kim, Son, Kim,Kweon, Suh, Lyall, Rhyu 2014 “Selective activation of hTRPV1 by N-geranyl cyclopropylcarboxamide, an amiloride-insensitive salt taste enhancer”, PLoSOne, 9, e89062の文献を参照することができる。
本明細書において、TRPA1阻害活性を有する物質としては、テルペン類などが挙げられる。本明細書において、テルペン類には、メントール(Menthol)、リモネン、リナロール、ネラール、ゲラニアール、α−ピネン、β−ピネン、β−イオノン、カルバクロール、オイゲノール、カルボン、ターピネオール、アネトール、カンファー、メントール、チモール、ネロリドール、ファルネソール、フィトール、ペリリルアルコール、ユーカリプトール(eucalyptol)(シネオール(cineol))、ボルネオール(borneol)、β−ミルセン、カレン、α−ターピネン、γ−ターピネンなどが含まれるが、これらに限定されない。これらのうち、ユーカリプトール(シネオール(cineol))、ボルネオール、メントール等のモノテルペンが好ましい。また、これらのテルペン類を組み合わせて用いてもよく、ユーカリプトールとボルネオールとの組み合わせが好ましい効果を有する。また、TRPA1阻害活性を有する物質としては、HC30031、AP18、ポリゴジアール等のTRPA1のアンタゴニストが挙げられる。
本明細書において、TRPV1阻害活性を有する物質には、サリチル酸メチル等のフェノール類、カプサゼピン(Capsazepine)、I−RTX、SB−366791、BCTC、AMG 9810、A 784168、JNJ 17203212等のTRPV1のアンタゴニストが挙げられる。本発明の一態様では、サリチル酸メチルが好ましい。
TRPA1阻害活性またはTRPV1阻害活性を有する物質は飲料又は食料の食味を損なわない範囲で添加するのが好ましく、例えば以下に示す終濃度となるように添加することが好ましい。
TRPA1阻害活性またはTRPV1阻害活性を有する物質は飲料又は食料の総重量に対し終濃度が0.001ppb〜1000ppb、より好ましくは0.01ppb〜100ppb、0.1ppb〜48ppb、0.2ppb〜48ppb、飲料又は食料の総重量に対し終濃度が0.1ppb〜24ppbとなる範囲が好ましい。
TRPA1阻害活性またはTRPV1阻害活性を有する物質がユーカリプトールである場合は飲料又は食料の総重量に対し終濃度が0.1ppb〜100ppb、1ppb〜50ppb、5ppb〜28ppb、より好ましくは飲料又は食料の総重量に対し終濃度が10ppb〜14ppbとなる範囲が好ましい。
TRPA1阻害活性またはTRPV1阻害活性を有する物質がボルネオールである場合は飲料又は食料の総重量に対し終濃度が0.001ppb〜100ppb、0.01ppb〜10ppb、0.05ppb〜2.4ppb、より好ましくは飲料又は食料の総重量に対し終濃度が0.1ppb〜1.2ppbとなる範囲が好ましい。
TRPA1阻害活性またはTRPV1阻害活性を有する物質がサリチル酸メチルである場合は飲料又は食料の総重量に対し終濃度が0.01ppb〜1000ppb、0.1ppb〜100ppb、0.5ppb〜24ppb、1ppb〜24ppb、より好ましくは飲料又は食料の総重量に対し終濃度が0.5ppb〜12ppbとなる範囲が好ましい。
本明細書において、阻害活性を有する物質には、アンタゴニストが含まれる。アンタゴニストとは、生体内の受容体分子に働いて神経伝達物質やホルモンなどの働きを阻害する薬のことである。拮抗剤、遮断薬、ブロッカーなどとも呼ばれる。本明細書におけるアンタゴニストには、上記のTRPA1阻害活性を有する物質およびTRPV1阻害活性を有する物質が含まれる。
本発明において飲料はコーヒー飲料、茶飲料(緑茶飲料、ブレンド茶飲料、紅茶飲料、烏龍茶飲料が含まれる)、果実・野菜飲料、清涼飲料、炭酸飲料、乳飲料、乳性飲料、スポーツドリンク、果汁入り清涼飲料、果実または野菜入り飲料、ビール、発泡酒、ビールテイスト飲料、チューハイ、カクテル、ウイスキー、ブランデー、リキュール、スピリッツ、焼酎、マッコリ、ワイン、梅酒、その他アルコール飲料、ビールテイストのノンアルコール飲料、カクテル・チューハイテイストのノンアルコール飲料、梅酒テイストのノンアル−ルコール飲料、ノンアルコールソーダ、ニアウォーター、ニアウォーターフレーバー飲料、天然水、ミネラルウォーター、スパークリングウォーター、天然水加工飲料、栄養補助食品としての飲料やその他の栄養飲料、健康飲料、各種の健康茶、その他の飲料等が挙げられる。本発明において、食料の種類は特に限定されず、穀類、魚介・肉類・乳類・野菜・果実の加工食品や、菓子類(例えば、飴、ジャム、チューインガム、アイスクリーム等)、調味料、特定保健用食品、特殊栄養食品、栄養補助食品等が挙げられる。また、その剤型は特に制限されず任意である。本発明の飲料には、通常の飲料と同様、各種添加剤等を配合してもよい。各種添加剤としては、例えば、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を配合することができる。これらは、飲料用ベース中に予め含有させておいてもよいし、飲料用ベースと果実粉砕物とを組み合わせた後に添加してもよい。
本発明において、「添加する」とは、阻害活性を有する物質と活性が阻害される物質が接触するような状態とすることを包含するものであり、例えば、TRPA1阻害活性を有する物質またはTRPV1阻害活性を有する物質を、液体の形態で飲料又は食料に加えること、粉末の形態で飲料又は食料に加えること、内包したカプセルの形態で飲料又は食料に加えること、上記の飲料用ベースに調整した形態で飲料又は食料に加えることを指す。それらの飲料又は食料を経口で摂取するという工程により、TRPA1またはTRPV1に送達されることが含まれる。
また、「防止する」とは、TRPアンタゴニストや香料などの防止剤を添加した場合に、甘味の後味の指標、例えば「後味の全体の強さ」や「後味の甘味の持続性」などに関して、評価値が低減することを指す。それには、「後味の全体の強さ」と「後味の甘味の持続性」の評価値をもとに後述の方法で算出した後引きの総合評価に関して、防止剤が入っていない飲料に比べて防止剤が入った飲料の方が弱くなったと回答した被験者の数が強くなったと回答した被験者の数を上回ることを含む。
「後味全体の強さ」、もしくは「後味の甘味の持続性」の評価方法
(1)基準溶液(甘味料を含む飲料)と比較溶液(基準溶液に加え、TRPA1阻害活性を有する物質またはTRPV1阻害活性を有する物質を含む溶液)を各自別個のカップに準備する。
(2)口の中を水で良くゆすぎ、吐き出す。このゆすぎ作業を4回繰り返す。
(3)規定量(10ml)の上記基準溶液1を一気に口に含み、5秒後に吐き出す。
(4)口の中を水で良くゆすぎ、 吐き出す。このゆすぎ作業を4回繰り返す。
(5)規定量(10ml)の上記基準溶液2を一気に口に含み、5秒後に吐き出す。
(6)口の中を水で良くゆすぎ、 吐き出す。このゆすぎ作業を4回繰り返す。
(7)コントロールサンプルに比べ、評価サンプルがどう感じるかを記録する。
比較溶液が基準溶液と比べて、「強い」、「同じ」、「弱い」の三段階で評価し、それぞれの評価について、強いを+1、同じを±0、弱いを−1として合計値を計算した。「後味全体の強さ」、もしくは「後味の甘味の持続性」の両評価の合計値を合算して後引きの総合評価とした。
ユーカリプトールの甘味の後引き改善効果について検討した。
基準溶液として、RebDを593ppmの濃度で脱イオン水に溶解した。
比較溶液として、基準溶液に対して後引き改善剤として以下に示される物質を下記の表に示す濃度で混合した溶液を調製した。
・ユーカリプトール 10ppb
ユーカリプトールはTRPA1アンタゴニスト活性を有するが知られている。ユーカリプトールの不快な臭いの知覚について調べた参考文献(Saliba et al 2009:ConsumerRejectionThreshold.pdf)によると、臭いから嫌だという反応を生じる、すなわち不快臭が感じられるのは24ppb以上であるとされている。統制条件として甘味の後引き改善剤を入れないRebDのみを含む比較溶液も調製した。
官能評価に熟練した官能パネル(N=7)が評価に参加した。まず水で口をよくゆすぎ、基準溶液10mlを口に含み5秒後に吐き出した。その10秒後に4回水で口をよくゆすぎ、比較溶液10mlを口に含み5秒後に吐き出した。10秒後に4回水で口をよくゆすいだ後に評価を行った。
パネリストは、次に示す二つの観点で比較飲料と基準飲料とを比較した。
「後味全体の強さ」 基準溶液と比べて比較溶液の方が強い、同じ、弱い(三段階)
「後味の甘味の持続性」 基準溶液と比べて比較溶液の方が強い、同じ、弱い(三段階)
それぞれの評価について、強いを+1、同じを±0、弱いを−1として合計値を計算した。両評価の合計値を合算して後引きの総合評価とした。
これらに基づき、濃度と後引き改善の総合効果および消費者が好まない臭いとの関係をまとめたのが下表である。
ユーカリプトールを添加することにより、甘味の後引きが低減された。
ユーカリプトールだけではなく、同じように甘味知覚に関与が考えられるTRPV1チャンネルのアンタゴニストであるサリチル酸メチルと組み合わせた場合の効果について、実施例1,2と同じ方法で検証した。すなわち、甘味知覚に関与するTRPA1とTRPV1の両チャンネルを抑えることにより、TRPA1チャンネル単独を抑える場合よりも効率的に甘味の後引きが低減できる可能性を検証する。ここでは、ユーカリプトールの濃度を半減させた場合でも、TRPV1アンタゴニストと同時に与えることにより、後引き改善効果が得られることを確認する。
・ユーカリプトール5ppbとサリチル酸メチル5ppbの組合せ
サリチル酸メチルはTRPV1アンタゴニスト活性を有する。社内パネル1名により、予備的に評価を行い、少なくとも10ppbまでの濃度であれば不快だと感じられないことを確認した。ここでは、ユーカリプトールとサリチル酸メチルともに、不快だと感じられない上限の濃度10ppbの半分5ppbで組み合わせることとした。パネルにより次の結果が得られた。
ユーカリプトールとサリチル酸メチルを添加することにより、甘味の後引きが低減された。
Claims (21)
- (i)トランジェント・レセプター・ポテンシャルA1(TRPA1)阻害活性を有する物質を含む、飲料又は食料の甘味後引きを防止するための組成物および、
(ii)甘味料
を含み、TRPA1阻害活性を有する物質がボルネオールを含む、飲食品。 - 前記甘味料が甘味後引きをもつ甘味料である、請求項1に記載の飲食品。
- 前記甘味料がステビオール配糖体である、請求項1または2に記載の飲食品。
- 前記ステビオール配糖体は、レバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドМ、ステビオシドからなる群より選択される1つ以上のものである、請求項3に記載の飲食品。
- 前記甘味料が糖である、請求項1に記載の飲食品。
- 前記糖は、スクロース、フルクトース、グルコース、エリスリトール、キシリトール、マルチトールからなる群より選択される1つ以上のものである、請求項5に記載の飲食品。
- TRPA1阻害活性を有する物質がユーカリプトールをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の飲食品。
- トランジェント・レセプター・ポテンシャルV1(TRPV1)阻害活性を有する物質をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の飲食品。
- TRPV1阻害活性を有する物質がサリチル酸メチルを含む、請求項8に記載の飲食品。
- TRPV1阻害活性を有する物質は飲料又は食料の総重量に対し終濃度が0.1〜20ppbとなるように飲料又は食料に添加されるものである、請求項8または9に記載の飲食品。
- TRPA1阻害活性を有する物質は飲料又は食料の総重量に対し終濃度が0.001〜1000ppbとなるように飲料又は食料に添加されるものである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の飲食品。
- トランジェント・レセプター・ポテンシャルA1(TRPA1)阻害活性を有する物質を飲料又は食料に添加する工程を含み、前記TRPA1阻害活性を有する物質がボルネオールを含む、甘味後引きを防止する方法。
- 前記甘味後引きがステビオール配糖体の甘味の後引きである、請求項12に記載の方法。
- 前記ステビオール配糖体は、レバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドМ、ステビオシドからなる群より選択される1つ以上である、請求項13に記載の方法。
- 前記甘味後引きが糖の甘味の後引きである、請求項12に記載の方法。
- 前記糖は、スクロース、フルクトース、グルコース、エリスリトール、キシリトール、マルチトールからなる群より選択される1つ以上である、請求項15に記載の方法。
- TRPV1阻害活性を有する物質が飲料又は食料にさらに添加される、請求項12〜16のいずれか一項に記載の方法。
- TRPV1阻害活性を有する物質がサリチル酸メチルを含む、請求項17に記載の方法。
- TRPV1阻害活性を有する物質は飲料又は食料の総重量に対し終濃度が0.1〜24ppbとなるように飲料又は食料に添加される、請求項17または18に記載の方法。
- TRPA1阻害活性を有する物質は飲料又は食料の総重量に対し終濃度が0.001〜1000ppbとなるように飲料又は食料に添加される、請求項12〜19のいずれか一項に記載の方法。
- ボルネオールを含む、飲料又は食料の甘味後引きを防止するための組成物。
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