JP6955741B2 - 保護層付ポリアミドフィルム、その製造方法、およびそれを含有する積層体 - Google Patents

保護層付ポリアミドフィルム、その製造方法、およびそれを含有する積層体 Download PDF

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Description

本発明は、保護層を有するポリアミドフィルムに関するものである。
従来から、リチウムイオン二次電池外装材として、ポリアミドフィルム/アルミニウム箔/シーラント層がこの順に積層した積層体が知られている。この外装材を用いたリチウムイオン二次電池は、積層体を構成するポリアミドフィルムが電池の外側に、シーラント層が内側(電池内部)になるように容器状に加工され、外装材の内側(容器内部)には電池電解液が注入されている。
このリチウムイオン二次電池製造の際の、電解液を電池内部に注入する工程や、注入後外装材をヒートシールする工程などにおいて、電解液がこぼれ、外装材の外側のポリアミドフィルムに付着することがあった。ポリアミドフィルムは、電解液に対する耐性(耐電解液性)に劣るため、電解液が付着すると、白化や分解反応などが起って劣化するという問題があった。さらには、電解液が、ポリアミドフィルムの劣化した部分からアルミニウム箔に付着し、アルミニウム箔が腐食するという問題があり、リチウムイオン二次電池外装材に必要な強度が消失してしまう問題があった。
そこで、この問題を解決するため、ポリアミドフィルムのさらに外側に、耐電解液性を有する保護層を設けた外装材が提案されている。例えば、特許文献1では、保護層としてポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた外装材、特許文献2では、ポリエステルフィルムとポリアミドフィルムの積層体を延伸したフィルムを用いた外装材、特許文献3では、保護層として特定の樹脂からなるコーティング層を用いた外装材が提案されている。
特開2002−56824号公報 特開2013−240938号公報 特開2000−123799号公報
しかしながら、上記特許文献1記載の外装材の製造方法は、ポリアミドフィルムを有する従来の外装材の製造方法に対して、接着剤を設ける工程や、ポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネートする工程がさらに必要となり、加工が複雑でコスト高になっていた。また、得られる外装材は、近年では電池の軽量化が必要となってきているのに対し、重量増加の問題もあった。
また、特許文献2記載の、ポリエステルフィルムとポリアミドフィルムの積層体を延伸したフィルムは、ポリアミドフィルムの含有割合が減少するため、同じ厚みのポリアミドフィルムと比較すると、外装材の強度が低下する問題があった。
また、特許文献3記載の、ポリ塩化ビニリデンやポリウレタン等の樹脂からなるコーティング層は、保護層としての性能が不十分であった。具体的には、十分な保護機能を付与するためには、一定以上の厚みを確保する必要があり、保護層自体のコストに加え、乾燥工程で必要となるエネルギーコストが高くなるため、経済的に好ましくないものであった。
本発明は、上記の従来技術の欠点を解消し、電解液や酸性の液体などの腐食性の液が付着しても、白化や分解反応などが起って劣化するという問題が生じにくいポリアミドフィルムを、工業的に安価に提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するために検討した結果、ポリアミドフィルムの表面に特定の保護層を形成することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)リチウムイオン二次電池の外装材用のフィルムであって、
ポリアミドフィルムの少なくとも片面に、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとを含有する保護層を有し、
保護層におけるポリアルコール系ポリマーのOH基とポリカルボン酸系ポリマーのCOOH基とのモル比(OH基/COOH基)が0.01〜2.5であり、
耐電解液性能が12時間以上であることを特徴とする保護層付ポリアミドフィルム
(2)ポリアルコール系ポリマーが、ポリビニルアルコールおよび/またはエチレン−ビニルアルコール共重合体を含むことを特徴とする(1)記載の保護層付ポリアミドフィルム。
)保護層の厚みが0.05〜3.0μmであることを特徴とする(1)または(2)記載の保護層付ポリアミドフィルム。
)上記(1)記載の保護層付ポリアミドフィルムを製造するための方法であって、未延伸ポリアミドフィルムに、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとを含有する保護層形成用塗料を塗布した後、保護層形成用塗料が塗布された未延伸ポリアミドフィルムを、210℃以下で二軸延伸した後、200〜220℃で熱処理することを特徴とする保護層付ポリアミドフィルムの製造方法。
)上記(1)〜()のいずれかに記載の保護層付ポリアミドフィルムを含有し、保護層/ポリアミドフィルム/アルミニウム箔/シーラント層の順に積層されてなることを特徴とする積層体。
本発明の保護層付ポリアミドフィルムは、電解液や酸性の液体などの腐食性の液が付着しても、ポリアミドフィルムの劣化を抑えることができ、強度を保持することが可能となるものである。このため、本発明の保護層付ポリアミドフィルムは、リチウムイオン二次電池の外装材や、缶の内部に酸性の液(例えば、リチウムイオン二次電池の電解液)などの腐食性の液を貯留する場合の缶の内袋用に好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の保護層付ポリアミドフィルムは、ポリアミドフィルムの少なくとも片面に保護層を有するものであり、ポリアミドフィルムを構成するポリアミドとしては、たとえば、ε−カプロラクタムを主原料とするナイロン6を挙げることができる。また、その他のポリアミドとしては、3員環以上のラクタム、ω−アミノ酸、二塩基酸とジアミン等の重縮合によって得られるポリアミドを挙げることができる。
具体的には、ラクタム類としては、先に示したε−カプロラクタムの他に、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタムなどを挙げることができる。
ω−アミノ酸類としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸などを挙げることができる。
二塩基酸類としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコサジエンジオン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸などを挙げることができる。
ジアミン類としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4′−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミン等を挙げることができる。
そして、これらを重縮合して得られる重合体またはこれらの共重合体として、たとえばナイロン6、7、11、12、6.6、6.9、6.11、6.12、6T、9T、10T、6I、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)、6/6.6、6/12、6/6T、6/6I、6/MXD6等を用いることができる。中でも、耐熱性と機械特性のバランスに優れるナイロン6が好ましい。
本発明において、ポリアミドフィルムは、上記ポリアミド単独からなるものでも、あるいは、2種以上を混合したものでもよく、また単層フィルムでも複層フィルムでもよい。
ポリアミドの相対粘度は、特に制限されるものではないが、1.5〜5.0であることが好ましく、2.0〜4.0であることがより好ましい。ポリアミドは、相対粘度が1.5未満であると、得られるフィルムの力学的特性が著しく低下しやすくなる。一方、ポリアミドは、相対粘度が5.0を超えると、フィルムの製膜性に支障をきたしやすくなる。なお、上記相対粘度は、ポリアミドを96%硫酸に濃度1.0g/dlとなるよう溶解させた試料溶液(液温25℃)を、ウベローデ型粘度計を用いて測定されたものである。
本発明の保護層付ポリアミドフィルムは、後述する製造方法で得ることが好ましいものであり、ポリアミドフィルムは、二軸延伸されたものであることが好ましい。
本発明において、ポリアミドフィルムが二軸延伸されたものである場合、ポリアミドフィルムの厚みは、4〜30μmであることが好ましく、4〜25μmであることがより好ましい。ポリアミドフィルムは、厚みが4μm未満では機械的強度が足りず、成形性が低下し、30μmを超えると重量増加の問題が生じる。機械的強度が十分であれば、厚みは薄い方が、電解液をより多く封入できるため、内容物量や電気容量の確保の点で好ましい。
また、ポリアミドフィルムは、積層体とした際の積層体を構成する各層間の密着力を向上させるため、少なくとも片面にコロナ処理やプラズマ処理、オゾン処理などの公知の表面処理がされていることが好ましい。
ポリアミドフィルムは、本発明の特性を損なわない範囲において、金属イオン、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離形剤、強化剤等を含有してもよい。例えば、熱安定剤や酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール類、燐化合物、ヒンダードアミン類、硫黄化合物、銅化合物、アルカリ金属ハロゲン化物等が挙げられる。
また、ポリアミドフィルムは、フィルムのスリップ性などの向上のために、各種無機系滑剤や有機系滑剤を含有してもよい。滑剤の具体例としては、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイド、層状ケイ酸塩、エチレンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。
本発明の保護層付ポリアミドフィルムを構成する保護層は、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとを含有することが必要である。
保護層における、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーの含有量は、ポリアルコール系ポリマーのOH基とポリカルボン酸系ポリマーのCOOH基とのモル比(OH基/COOH基)が0.01〜20であることが好ましく、0.01〜10であることがより好ましく、0.02〜5であることがさらに好ましく、0.04〜2であることが最も好ましい。OH基の割合が上記範囲よりも少ないと、ポリアミドフィルム面への保護層形成が困難になるおそれがある。一方、COOH基の割合が上記範囲よりも少ないと、ポリカルボン酸系ポリマーは、ポリアルコール系ポリマーとの間に充分な架橋密度をもって架橋構造を形成することができず、保護層の機能を充分に発現することができないおそれがある。
ポリアルコール系ポリマーは、分子内に2個以上の水酸基を有するアルコール系重合体であり、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコールの共重合体などが好例として挙げられる。
ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体は、ケン化度が95モル%以上であることが好ましく、さらに好ましくは98モル%以上である。また平均重合度が50〜4000であることが好ましく、200〜3000であることがより好ましい。
上記のポリアルコール系ポリマーは、それぞれ単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。
ポリカルボン酸系ポリマーは、カルボキシル基または酸無水物基とエチレン性不飽和二重結合とを有するモノマーを重合して得られる、カルボキシル基または酸無水物基を含有するポリマーである。上記モノマーは、アクリロイル基またはメタクリロイル基(以下、両者を合わせて「(メタ)アクリロイル基」という。)を有するものが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、および無水イタコン酸が好ましい。
これらのモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができ、これら以外のモノマーと組み合わせて使用することもできる。すなわち、モノマーを重合してなるポリマーとしては、これらモノマーをそれぞれ単独で重合してなるホモポリマー(H)や、モノマー同士を複数共重合してなるコポリマー(C1)や、モノマーを他のモノマーと共重合してなるコポリマー(C2)などを挙げることができる。
モノマーと共重合し得る他のモノマーとしては、カルボキシル基や水酸基を有しないモノマーであって、上記モノマーと共重合し得るモノマーを適宜用いることができる。例えば、クロトン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸のエステル化物であって水酸基やカルボキシル基を有しないモノマー;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、スチレンスルホン酸、ビニルトルエン、エチレンなどの炭素数2〜30のα−オレフィン類、アルキルビニルエーテル類、ビニルピロリドン等が挙げられる。これらの他のモノマーも、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリカルボン酸系ポリマーは、上述のホモポリマー(H)、モノマー同士のコポリマー(C1)、モノマーと他モノマーとのコポリマー(C2)を任意に組み合わせて用いることができる。たとえばホモポリマー(H)を2種以上、モノマー同士のコポリマー(C1)を2種以上、またはモノマーと他モノマーとのコポリマー(C2)を2種以上、それぞれ用いることができる。あるいは、ホモポリマー(H)とコポリマー(C1)、ホモポリマー(H)とコポリマー(C2)、コポリマー(C1)とコポリマー(C2)、ホモポリマー(H)とコポリマー(C2)とコポリマー(C3)のような組み合わせを用いることができる。
このようなポリマーの1つとして、オレフィン−マレイン酸共重合体を好適に用いることができ、特にエチレン−マレイン酸共重合体(以下、「EMA」と略記する。)を好ましく用いることができる。このEMAは、無水マレイン酸とエチレンとを溶液ラジカル重合などの公知の方法で共重合することにより得られる。
EMA中のマレイン酸単位は、乾燥状態では隣接カルボキシル基が脱水環化した無水マレイン酸構造となりやすく、湿潤時や水溶液中では開環してマレイン酸構造となる。したがって、本明細書においては、特記しない限り、マレイン酸単位と無水マレイン単位とを総称してマレイン酸単位という。EMA中のマレイン酸単位は、5モル%以上であることが好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上がさらに好ましく、35モル%以上が最も好ましい。
EMAの重量平均分子量は、1000〜1000000であることが好ましく、3000〜500000であることがより好ましく、7000〜300000であることがさらに好ましく、10000〜200000であることが特に好ましい。
上記のポリカルボン酸系ポリマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
保護層は、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとを含有する保護層形成用塗料を、ポリアミドフィルムの少なくとも片面に塗布することによって形成することができる。保護層形成用塗料をポリアミドフィルムの表面に塗布した後に熱処理することによって、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとの両者がエステル結合によって架橋して、緻密な架橋構造が形成される。
保護層形成用塗料は、作業性の面から、水溶液または水分散液であることが好ましく、水溶液であることがより好ましい。したがって、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーは、水溶性であることが好ましい。
上記水溶液の調製は、撹拌機を備えた溶解釜等を用いて公知の方法で行えばよい。例えば、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとを別々に水溶液とし、使用前に混合して用いる方法が好ましい。このとき、アルカリ化合物をポリカルボン酸系ポリマーの水溶液に加えておくと、その水溶液の安定性を向上させることができる。アルカリ化合物の添加量は、ポリカルボン酸系ポリマーのカルボキシル基に対して0.1〜20当量%であることが好ましい。また、アルカリ化合物を添加することにより、カルボン酸単位の含有量が少なく親水性が低いポリカルボン酸系ポリマーでも水溶液が得られ、また、アルカリ化合物を適正量添加した保護層形成用塗料を塗布して得られる保護層は、電解液などの酸性の液体に対する耐性が格段に向上される。
また、水溶液の調製は、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとを同時に、溶解釜中の水に加えてもよく、アルカリ化合物を最初に水に添加しておくと、ポリカルボン酸系ポリマーの溶解性が良好となる。
アルカリ化合物は、ポリカルボン酸系ポリマー中のカルボキシル基を中和できるものであればよく、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、有機水酸化アンモニウム化合物等が挙げられ、アルカリ金属水酸化物が好ましい。
保護層形成用塗料は、ポリカルボン酸系ポリマーの水に対する溶解性を高める目的や、乾燥工程の短縮の目的や、水溶液の安定性改善の目的などのために、アルコールなどの有機溶媒を少量含有してもよい。
保護層形成用塗料の固形分濃度は、塗装装置や乾燥・加熱装置の仕様によって適宜変更され得るものである。ただし、あまりに希薄な塗料は、電解液などの酸性の液体に対する耐性を発現するのに充分な厚みの保護層を形成することが困難となり、また、その後の乾燥工程において長時間を要するという問題を生じやすい。他方、濃度が高すぎる塗料は、均一になりにくく、塗装性に問題を生じ易い。この様な観点から、塗料の固形分濃度は、5〜70質量%であることが好ましい。
保護層形成用塗料は、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとの架橋反応を促進させて電解液などの酸性の液体に対する耐性を向上させるために、架橋剤を含有してもよく、さらに架橋反応の触媒を含有してもよい。
架橋剤の含有量は、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとの合計100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。架橋剤は、含有量が0.1質量部未満では、架橋剤を含有する効果が得られず、一方、架橋剤は、含有量が30質量部を超えると、電解液などの酸性の液体に対する耐性の発現を阻害することがある。
架橋剤は、自己架橋性を有する架橋剤でもよく、カルボキシル基および/または水酸基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、または多価の配位座を持つ金属錯体等でもよい。架橋剤としては、例えば、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、ジルコニウム塩化合物等が、優れた電解液などの酸性の液体に対する耐性を発現できることから好ましい。これらの架橋剤は、複数種を組み合わせて使用してもよい。
さらに、保護層形成用塗料は、その特性を大きく損なわない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、強化材、顔料、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、滑剤などを含有してもよい。
上記熱安定剤、酸化防止剤および劣化防止剤としては、例えばヒンダートフェノール類、リン化合物、ヒンダートアミン類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
強化材としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウィスカー、セラミックウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。
さらに、保護層形成用塗料は、電解液などの酸性の液体に対する耐性をより高めるために、その特性を大きく損なわない限りにおいて、無機層状化合物を含有してもよい。無機層状化合物は、単位結晶層が重なって層状構造を形成する無機化合物であり、具体的には、燐酸ジルコニウム(燐酸塩系誘導体型化合物)、カルコゲン化物、リチウムアルミニウム複合水酸化物、グラファイト、粘土鉱物などが例示でき、特に、溶媒中で膨潤、劈開するものが好ましい。
保護層形成用塗料から保護層を形成する際には、まず、塗料をポリアミドフィルム上に、またはポリアミドフィルム上に形成されたアンカーコート層上に塗布する。塗料の塗布方法は、特に限定されず、たとえば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、エアーナイフコーティング等の通常の方法を用いることができる。
上記アンカーコート層を予めポリアミドフィルム上に形成しておくことにより、ポリアミドフィルムと保護層との密着性を向上することができる。アンカーコート層形成に使用するコート剤としては、公知のものを特に制限されずに使用することができる。例えば、イソシアネート系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリオレフィン系、アルキルチタネート系等のアンカーコート剤が挙げられる。これらの中で本発明の効果を勘案すると、イソシアネート系、ポリウレタン系、ポリエステル系のアンカーコート剤が好ましい。さらには、イソシアネート化合物、ポリウレタンおよびウレタンプレポリマーの1種または2種以上の混合物および反応生成物;ポリエステル、ポリオールおよびポリエーテルの1種または2種以上とイソシアネートとの混合物および反応生成物;またはこれらの溶液または分散液であることが好ましい。アンカーコート剤も、保護層形成用塗料の塗布方法と同様な方法で、ポリアミドフィルムに塗布することができる。
保護層形成用塗料をポリアミドフィルムまたはアンカーコート層に塗布した後は、直ちに加熱処理を行うことで、塗料の乾燥皮膜の形成と加熱処理を同時に行ってもよいし、または塗布後ドライヤー等による熱風の吹き付けや赤外線照射等により水分等を蒸発させて乾燥皮膜を形成させた後に、加熱処理を行ってもよい。工程の短縮化等を考慮すると、保護層の状態や電解液などの酸性の液体に対する耐性等の物性に特に障害が生じない限り、塗布後直ちに加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理方法は、特に限定されず、オーブン等の乾燥雰囲気下で加熱処理を行ってもよく、また熱ロールと接触させて加熱処理を行ってもよい。
塗布方法としては、延伸したポリアミドフィルムに保護層形成用塗料を塗布するポストコート法、あるいは、ポリアミドフィルムに塗布した後に延伸するプリコート法が挙げられ、プリコート法が好ましい。プリコート法では、未延伸ポリアミドフィルムに保護層形成用塗料を塗布してから同時または逐次二軸延伸してもよいし、あるいは、逐次二軸延伸法において、一軸方向に延伸されたポリアミドフィルムに保護層形成塗料を塗布した後、前記一軸方向と直交する方向に延伸してもよい。
プリコート法で、保護層形成用塗料が塗布された未延伸フィルムを同時二軸延伸するには、まず100〜230℃、好ましくは220〜230℃で乾燥する。乾燥温度が100℃未満では、塗布された保護層形成塗料が、未延伸フィルムを延伸するまでに乾燥しきらないため、未延伸フィルムを延伸することができず、一方、乾燥温度が230℃を超えると、ポリアミドフィルムの強度が低下する。
同時二軸延伸法においては、乾燥後、延伸温度210℃以下、より好ましくは190〜200℃の条件で、保護層形成用塗料が塗布された未延伸フィルムの二軸延伸を行う。未延伸フィルムの同時二軸延伸は、テンター式二軸延伸法で行うことが好ましい。
逐次二軸延伸法においては、まず未延伸フィルムを、延伸温度40〜80℃、より好ましくは50〜65℃の条件で一軸方向に延伸した後、保護層形成用塗料を塗布する。保護層形成用塗料が塗布された一軸延伸フィルムは、上記同様、100〜230℃、好ましくは220〜230℃で乾燥する。乾燥後、延伸温度200℃以下、より好ましくは90〜190℃の条件で、保護層形成用塗料が塗布された一軸延伸フィルムを、直交する方向に二軸延伸を行う。逐次二軸延伸は、ロール延伸法とテンター式延伸法を併用して行うことが好ましい。
同時や逐次二軸延伸後のフィルムは、熱処理ゾーンにおいて、熱処理することが好ましい。熱処理温度は、200〜220℃であることが好ましく、205〜215℃であることがより好ましい。熱処理温度が200℃未満では、保護層形成用塗料に含有するポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとの架橋反応が不十分となり、得られる保護層は、電解液などの酸性の液体に対する耐性が不十分となり、一方、熱処理温度が220℃を超えると、ポリアミドフィルムの強度が低下する。
ポストコート法で、二軸延伸ポリアミドフィルムに保護層形成用塗料を塗布する場合、塗布された保護層形成用塗料は、100〜200℃、好ましくは、140〜180℃で乾燥、熱処理することが好ましい。
本発明においては、上記のような比較的短時間の熱処理によって、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとの間のエステル結合による架橋構造が形成された保護層を形成することができる。
保護層の厚みは、電解液などの酸性の液体に対する耐性を充分高めるために、0.05μmより厚いことが好ましく、0.05〜3.0μmであることがより好ましく、0.08〜2.5μmであることがさらに好ましく、0.08〜2.0μmであることが特に好ましい。保護層の厚みが0.05μm未満では、電解液などの酸性の液体に対する耐性が十分ではなく、ポリアミドフィルムの引張強度が低下する。一方、厚みが3.0μmを超える保護層は、保護層形成工程や乾燥工程においてムラが生じたり、加熱処理時間が長くなって、生産性が低下するおそれがある。なお、保護層をポストコート法で逐次二軸延伸ポリアミドフィルム上に形成する場合は、電解液などの酸性の液体に対する耐性を充分高めるために、保護層の厚みは、0.5μmを超えることが好ましい。
このようにして得られた保護層は、ポリアミドフィルムを、リチウムイオン二次電池に使用される電解液等の酸性の液体から保護する効果がある。
リチウムイオン二次電池に使用される電解液は、イオン性物質を極性溶媒に溶解させて作られる、電気伝導性を有する液体であり、イオン性物質としてヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を使用したものが一般的である。LiPFは、水と反応すると、強酸性媒体であるフッ酸(フッ化水素)を生じる。そのため、空気中で電解液が付着した場合には、空気中の水分と電解液中のLiPFが反応してフッ酸が発生する。このフッ酸によってリチウムイオン二次電池外装材に使用したポリアミドフィルムが溶解する。
本発明の保護層付ポリアミドフィルムは、保護層を有するため、電解液や酸性の液体などの腐食性の液が保護層に付着しても、ポリアミドフィルムが劣化することがなく、強度を維持することができるものである。中でも、本発明の保護層付ポリアミドフィルムは、リチウムイオン二次電池外装材や、酸性の液などの腐食性の液を貯留する場合の缶などの保護フィルムに好適に使用することができる。
すなわち、本発明の保護層付ポリアミドフィルムは、耐電解液性能に優れたものであり、電解液が付着した状態で長時間放置しても、外観に変化がなく、また放置後に測定される引張強度が200MPa/cm以上である耐電解液性能を、12時間以上の放置時間においても達成することができ、この耐電解液性能は24時間以上であることが好ましい。
本発明の積層体は、保護層付ポリアミドフィルムを含有し、少なくとも、保護層/ポリアミドフィルム/アルミニウム箔/シーラント層の順に積層されたものである。保護層付ポリアミドフィルムとして保護層が片面に積層されたポリアミドフィルムを含有して、保護層/ポリアミドフィルム/アルミニウム箔/シーラント層がこの順に積層され、各層の間に接着剤層などの層が積層されたものでもよく、また、保護層付ポリアミドフィルムとして保護層が両面に積層されたポリアミドフィルムを含有して、保護層/ポリアミドフィルム/保護層/アルミニウム箔/シーラント層がこの順に積層され、各層の間に接着剤層などの層が積層されたものでもよい。
積層体を構成するアルミニウム箔は、特に限定されず、リチウムイオン二次電池外装材に適した公知のものを用いることができる。
アルミニウム箔の厚みは、20〜200μmであることが好ましく、30〜150μmであることがより好ましい。
また、アルミニウム箔の片方または両方の面には、リチウムイオン二次電池外装材用アルミニウムに適した表面処理がされていることが好ましく、表面処理としては、化成処理やクロメート処理などが挙げられる。特にこれら表面処理は、シーラント層に接する側の面にされていることが好ましい。
積層体を構成するシーラント層は、ヒートシール可能な層であれば特に限定されず、リチウムイオン二次電池外装材に適した公知のものを用いることができ、具体的には、ポリ塩化ビニルフィルムやポリオレフィンフィルムを用いることができる。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンを主成分とした共重合体、これらの酸変性物が挙げられる。ポリオレフィンフィルムは、延伸フィルム、無延伸フィルムのいずれも使用でき、無延伸フィルムを使用することが好ましい。また、シーラント層は、ポリオレフィンフィルムを2層以上設けたものでもよい。
シーラント層の厚みは、20〜200μmであることが好ましく、30〜100μmであることがより好ましい。
積層体を製造する方法は、リチウムイオン二次電池外装材の製造に適した公知の方法を採用することができる。公知の接着剤を使用して積層することが可能である。
保護層付ポリアミドフィルムのポリアミドフィルムとアルミニウム箔とを接着する方法としては、例えば、2液タイプのウレタン系接着剤を用いて、ドライラミネートや熱ラミネートなどの方法を採用することが可能である。
また、アルミニウム箔とシーラント層とを接着する方法としては、例えば、2液タイプのウレタン系接着剤や酸変性ポリオレフィン系接着剤などを用いて、ドライラミネートや熱ラミネート、押出しラミネート、サンドイッチラミネートなどの方法を採用することが可能である。
上記接着剤の層が形成されるポリアミドフィルム、アルミニウム箔、シーラント層の表面には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じてアンカーコート層やプライマー層などのその他の層が設けてあってもよい。
このようにして得られた積層体は、リチウムイオン二次電池外装材として好適に用いることが可能であり、エンボスタイプや深絞り成型のリチウムイオン二次電池にも適応可能である。そしてリチウムイオン二次電池の製造の際に電解液が外装側に付着しても、リチウムイオン二次電池外装材として性能を良好に保持することが可能である。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらによって限定されるものではない。
各種の特性について、以下の方法で測定および評価した。
(1)保護層の塗工状態
ポリアミドフィルムに形成された保護層の塗工状態を目視観察した。
(2)耐電解液性能
保護層付ポリアミドフィルムを用いて、下記に示す放置時間を6時間、12時間、24時間の3種類について耐電解液性能を評価した。具体的には、ガラスシャーレ(直径200mm)の開口部を、保護層が表面になるように保護層付ポリアミドフィルムで覆い、保護層上に、電解液(エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/メチルエチルカーボネート=1/1/1(体積比)からなる混合液にLiPFを配合させた液、濃度1モル/L)を10ml滴下し、保護層に電解液を付着させ、室温(23℃)でそれぞれの時間放置した。その後、保護層上の電解液をガーゼで拭き取り、外観を目視観察した。
また、目視観察後の保護層付ポリアミドフィルムについて、二軸延伸時の縦延伸方向の引張強度を測定した。測定は、引張試験機(島津製作所社製、AG−IS)を用いて、ロードセル:1kN、試料幅:10mm、掴み具間距離:100mm、試験速度:500mm/minの条件で実施した。
そして、耐電解液性能の総合評価を以下の3段階で行った。
○:外観変化がなく、引張強力が200MPa/cm以上である場合。
△:外観に若干白化が見られる、もしくは引張強力が200MPa/cm未満である場合。
×:外観に白化が見られる、引張強力が180MPa/cm未満である、フィルムが溶解した、のいずれかの場合。
実施例1
<保護層形成用塗料の調製>
PVA(クラレ社製、ポバール105、ケン化度98〜99モル%、平均重合度約500)を熱水に溶解後、室温に冷却することにより、ポリアルコール系ポリマーの水溶液として、固形分濃度15質量%のPVA水溶液を調製した。
EMA(Vertellus社製、ZeMac E60、重量平均分子量60000、マレイン酸単位45〜50モル%)と水酸化ナトリウムとを熱水に溶解後、室温に冷却することにより、ポリカルボン酸系ポリマー水溶液として、カルボキシル基の10モル%が水酸化ナトリウムにより中和された、固形分濃度15質量%のEMA水溶液を調製した。
PVAのOH基とEMAのCOOH基とのモル比(OH基/COOH基)が0.9になるように、PVA水溶液とEMA水溶液とを混合し、保護層形成用塗料として、固形分濃度10質量%の混合液を調製した。
<保護層付ポリアミドフィルムの製造>
Tダイを備えた押出機を使用し、260℃の条件でTダイオリフィスよりナイロン6(ユニチカ社製、A1030BRF、相対粘度2.7)をシート状に押出した。続いて、これを表面温度18℃に調節されたキャスティングロール上に密着させて急冷し、厚み150μmの未延伸ポリアミドフィルムを得た。次に、この未延伸フィルムを水温50℃の吸水処理装置に通し、続いて、未延伸フィルムにファンテン法にて保護層形成用塗料を乾燥後の厚みが5μmになるよう塗布し、同時二軸延伸機に導き、予熱温度200℃、予熱時間5秒、延伸温度190℃、延伸時間3秒の条件で、縦方向3.0倍、横方向3.3倍に同時二軸延伸し、さらに熱処理温度210℃、熱処理時間5秒の条件で熱処理を施した。さらに両面にコロナ処理を施し、保護層付ポリアミドフィルムを製造した。得られたポリアミドフィルムの厚みは15μmであり、保護層の厚みは0.5μmであった。
<積層体の作製>
得られた保護層付ポリアミドフィルムの保護層が積層されていない面に、二液型ポリウレタン系接着剤(東洋モートン社製、TM−K55/CAT−10L)を塗布量が5g/mとなるように塗布し、80℃で10秒間乾燥した。その接着剤塗布面に、アルミニウム箔(厚み50μm)を貼り合せた。
次にアルミニウム箔面に、上記接着剤を同じ条件で塗布、乾燥し、シーラント層として未延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ社製、GHC、厚み50μm)を貼り合わせ、40℃の雰囲気下で72時間エージング処理を実施し、保護層/ポリアミドフィルム/アルミニウム箔/シーラント層の順に積層された積層体を作製した。
実施例〜14、参考例1
保護層形成用塗料におけるPVAのOH基とEMAのCOOH基のモル比、保護層の厚み、熱処理温度を表1に記載のように変更した以外は実施例1と同様の方法で、保護層付ポリアミドフィルムを製造した。
実施例15
実施例1の<保護層付ポリアミドフィルムの製造>に記載された方法で、厚み150μmの未延伸ポリアミドフィルムを得た。次に、この未延伸フィルムを水槽に導き、吸水率4.0%に調整した。
続いて、未延伸フィルムをロール延伸機に導き、延伸温度55℃、延伸倍率2.75倍の条件で縦方向に一軸延伸した。グラビアコート法にて、実施例1で調製した保護層形成用塗料を乾燥後の厚みが0.53μmになるように縦延伸フィルムに塗布したのち、テンター式延伸機に導き、予熱温度70℃、延伸温度180℃、延伸倍率3.56倍の条件で横方向に延伸し、さらに熱処理温度210℃、熱処理時間5秒の条件で熱処理を施した。得られたポリアミドフィルムの厚みは15μmであり、保護層の厚みは0.15μmであった。
実施例17〜28、参考例2、比較例1
保護層形成用塗料におけるPVAのOH基とEMAのCOOH基のモル比、保護層の厚み、熱処理温度を表1、2に記載のように変更した以外は実施例15と同様の方法で、保護層付ポリアミドフィルムを製造した。
実施例29、比較例2
<ポリアミドフィルムの作製>
実施例1の<保護層付ポリアミドフィルムの製造>において、未延伸フィルムに保護層形成用塗料を塗布しない以外は同様にして、保護層が形成されていないが、同時二軸延伸、熱処理、コロナ処理されたポリアミドフィルムを作製した。得られたポリアミドフィルムの厚みは15μmであった。
<保護層付ポリアミドフィルムの製造>
得られたポリアミドフィルム上に、乾燥後の塗膜厚みが約0.5μmになるように、実施例1で調製した保護層形成用塗料をワイヤーバーで塗布し、100℃で2分間乾燥した後、実施例29では200℃で5分間熱処理し、比較例2では150℃で5分間熱処理して、保護層付ポリアミドフィルムを製造した。
実施例30
<ポリアミドフィルムの作製>
実施例15において、一軸延伸フィルムに保護層形成用塗料を塗布しない以外は同様にして、保護層が形成されていないが、逐次二軸延伸、熱処理、コロナ処理されたポリアミドフィルムを作製した。得られたポリアミドフィルムの厚みは15μmであった。
<保護層付ポリアミドフィルムの製造>
得られたポリアミドフィルム上に、乾燥後の塗膜厚みが約0.5μmになるように、実施例1で調製した保護層形成用塗料をワイヤーバーで塗布し、100℃で2分間乾燥した後、200℃で5分間熱処理し、保護層付ポリアミドフィルムを製造した。
実施例31〜33、比較例3〜4
保護層の厚み、熱処理温度を表2に記載のように変更した以外は実施例30と同様の方法で、保護層付ポリアミドフィルムを製造した。
比較例5
実施例29において、保護層形成用塗料に代えて、ポリ塩化ビニリデン水性分散体(旭化成ケミカルズ社製、サランラテックスL549B、固形分濃度48質量%)を乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布し、110℃で3分間熱風乾燥し、乾燥後、40℃で5日間エージング処理して、保護層としてポリ塩化ビニリデン層を有するポリアミドフィルムを作製した。
比較例6
ポリ塩化ビニリデン水性分散体に代えて、カーボネート系のポリウレタンの水性分散体(第一工業製薬社製、スーパーフレックス420)を塗布した以外は比較例5と同様にして、保護層としてポリウレタン層を有するポリアミドフィルムを作製した。
実施例、比較例で得られた保護層付ポリアミドフィルムの特性を表1、2に示す。
Figure 0006955741
Figure 0006955741
実施例の保護層付ポリアミドフィルムは、保護層がポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとを含有して耐電解液性に優れるため、保護層に電解液が付着してもポリアミドフィルムは溶解せず、十分な引張強度を有していた。
比較例1の保護層付ポリアミドフィルムは、保護層の厚みが0.04μmであるため、保護層に電解液が付着すると、ポリアミドフィルムに溶解がみられた。比較例2、3の保護層付ポリアミドフィルムは、保護層形成後の熱処理温度が150℃であるため、また比較例4では、逐次二軸延伸フィルムにポストコート法により形成した保護層の厚みが0.5μmであるため、いずれも耐電解液性に劣るものであった。
比較例5、6のポリ塩化ビニリデン層やポリウレタン層からなる保護層は、耐電解液性が不十分なため、保護層に電解液が付着すると、ポリアミドフィルムが溶解した。

Claims (5)

  1. リチウムイオン二次電池の外装材用のフィルムであって、
    ポリアミドフィルムの少なくとも片面に、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとを含有する保護層を有し、
    保護層におけるポリアルコール系ポリマーのOH基とポリカルボン酸系ポリマーのCOOH基とのモル比(OH基/COOH基)が0.01〜2.5であり、
    耐電解液性能が12時間以上であることを特徴とする保護層付ポリアミドフィルム。
  2. ポリアルコール系ポリマーが、ポリビニルアルコールおよび/またはエチレン−ビニルアルコール共重合体を含むことを特徴とする請求項1記載の保護層付ポリアミドフィルム。
  3. 保護層の厚みが0.05〜3.0μmであることを特徴とする請求項1または2記載の保護層付ポリアミドフィルム。
  4. 請求項1記載の保護層付ポリアミドフィルムを製造するための方法であって、未延伸ポリアミドフィルムに、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとを含有する保護層形成用塗料を塗布した後、保護層形成用塗料が塗布された未延伸ポリアミドフィルムを、210℃以下で二軸延伸した後、200〜220℃で熱処理することを特徴とする保護層付ポリアミドフィルムの製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の保護層付ポリアミドフィルムを含有し、少なくとも、保護層/ポリアミドフィルム/アルミニウム箔/シーラント層の順に積層されてなることを特徴とする積層体。
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