JP6955658B2 - 液状組成物の組み合わせ - Google Patents

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Description

本発明は、液状組成物の組み合わせ、及び当該液状組成物を用いてなる造形物に関する。
三次元造形とは、立体的な物質を製造することを示す。三次元造形法としては、例えば、基材に対し目的とする三次元造形物の断面に相当する層を積層する積層造形法が採用されている。
三次元造形は、教育、玩具の分野、工業分野、建築分野、医療用分野等、様々な分野において活用されている。
ここで、三次元造形物を製造する際、三次元造形物自体の材料である実材料と、目的とする構造を保持するためのサポート材とを同時に積層していくことがよく行われている。図1に、サポート材を用いた典型的な三次元造形の概要を示す。図1Aに示す形状の三次元造形物を製造したい場合、図1Cに示すように、実材料とサポート材とを、互いに接するように基材上に積層していき、積層造形物を得る(図1B)。その後、サポート材を除去することにより、目的の三次元造形物が得られる(図1A)。
その際、サポート材と実材料とが混ざってしまったり、サポート材及び実材料の一方が他方に移動してしまうと、元の三次元データと出来上がりの三次元造形物との間にずれが生じてしまう。従って、三次元造形物を製造する際に実材料又はサポート材として用いる液状組成物については、他の液状組成物との混合、移動を抑制することが求められる。
三次元造形は可動ユニットの動作確認、嵌合部材の整合性の確認等のための模型、義手、人工骨、インプラント等の最終製品の製造に用いられるため、非常に高い精度で元の三次元データの構造を再現することが要求される。
さらに、三次元造形物を製造する場合、各層ごと(第1層と第2層、第2層と第3層・・・)に予定した形状からのずれが生じると、三次元造形物全体の形状としては大きなずれを生じ得る。
従って、三次元造形で使用される液状組成物は、特許文献1に示されるような二次元印刷よりも高い水準で、液体間の混合及び移動を抑制する必要がある。
特開2005−335280
本発明が解決しようとする課題は、三次元造形物を製造するために2種類以上の液状組成物を用いた際にも、当該液状組成物が互いに他方の液体側に移動及び混合するのを抑制することである。本発明は、特に、従来技術のように比重差がきわめて小さい液状組成物の組み合わせを用いる場合だけではなく、互いに比重差がある液状組成物の組み合わせを用いた場合であっても移動及び混合が抑制されることを課題とする。より具体的には、Additive Manufacturing、Printed Electronics等の技術分野において、三次元造形(高さ方向のある造形)をするときには、特許文献1に記載のようなインクジェット印刷で紙等の媒体に文字、絵、写真等のような描画・色彩を施すことを主眼に置かれた技術で用いられる極めて近い成分同士のインクセット(従って、多色による印刷の場合も、含有する色材は異なるが比重の差はほとんどない)とは異なり、樹脂材料、金属材料、セラミック材料等、成分の大きく異なる材料を複数用いて造形することがしばしば生じ得る。従って、比重差がある液状組成物の組み合わせを用いた場合であっても移動及び混合が抑制されるという上記課題は、従来の二次元印刷における課題とは全く異なる新たな課題である。さらに、このような技術分野においては、一般的な紙や受理層を持つ印刷紙のように吸水性のある基材と異なり、ガラスや樹脂板、セラミック板のような吸水性がないものを基材として用いるため、より高度な2種以上の液体間の移動・混合の抑制が必要であり、これも本技術分野に特有の課題である。
かかる状況の下、本発明者らは鋭意検討した結果、液状組成物の組み合わせとして、当該組み合わせを構成する液状組成物の粘度差、表面張力の差、及び比重の差が、一定の条件を満たす場合に上記課題を解決できることを見出した。本発明はかかる新規の知見に基づくものである。
従って、本発明は以下の項を提供する:
項1.第1〜第nの液状組成物を含む、液状組成物の組み合わせであって、
該第1〜第nの液状組成物のうち任意の2つの液状組成物を選択したとき、いずれも以下の式で表される関係を満たすことを特徴とする液状組成物の組み合わせ:
−1.0≦η1−η2≦+1.0
15.5×|d1−d2|−0.7≦γ1−γ2≦15.5×|d1−d2|+0.7
[式中、η1(mPa・s)、γ1(mN/m)及びd1(g/cm)は、それぞれ、前記2つの液状組成物のうち基材に対する接触角が大きいほうの液状組成物の粘度、表面張力及び比重を示す。η2(mPa・s)、γ2(mN/m)、及びd2(g/cm)は、それぞれ、該接触角が小さいほうの液状組成物の粘度、表面張力及び比重を示す。]。
項2.比重差の絶対値である|d1−d2|が0.1以上である、項1に記載の液状組成物の組み合わせ。
項3.造形物を製造するための項1又は2に記載の液状組成物の組み合わせ。
項4.項1〜3のいずれか一項に記載の液状組成物の組み合わせを用いてなる造形物。
本発明によれば、三次元造形物を製造するために2種類以上の液状組成物を用いた際に、当該液状組成物が互いに他方の液体側への移動及び混合を抑制することができる。本発明においては、また、従来のように比重差が小さい液状組成物の組み合わせを用いた場合だけでなく、比重差が比較的大きい液状組成物の組み合わせを用いた場合であっても移動及び混合が抑制される。
サポート材を用いた典型的な三次元造形の概要を示す。 本願実施例における、接液3秒後の液液界面の評価結果を示す。 本願実施例における、接液15秒後の液液界面の評価結果を示す。
本発明は、第1〜第nの液状組成物を含む液状組成物の組み合わせであって、
該第1〜第nの液状組成物のうち任意の2つの液状組成物を選択したとき、いずれも以下の式で表される関係を満たすことを特徴とする液状組成物の組み合わせ:
−1.0≦η1−η2≦+1.0
15.5×|d1−d2|−0.7≦γ1−γ2≦15.5×|d1−d2|+0.7
[式中、η1(mPa・s)、γ1(mN/m)及びd1(g/cm)は、それぞれ、前記2つの液状組成物のうち基材に対する接触角が大きいほうの液状組成物の粘度、表面張力及び比重を示す。η2(mPa・s)、γ2(mN/m)、及びd2(g/cm)は、それぞれ、当該接触角が小さいほうの液状組成物の粘度、表面張力及び比重を示す。]
を提供する。
本明細書において、そうでないことを明示しない限り、粘度η1及びη2の単位はmPa・sであり、表面張力をγ1及びγ2の単位はmN/mであり、比重d1及びd2の単位はg/cmである。
<液状組成物>
本発明において、液状組成物とは、液体状の組成物であれば特に限定されず、水又は有機溶剤に少なくとも1種の成分が溶解したものだけでなく、水又は有機溶剤に少なくとも1種の成分が分散したものや、本発明の効果が得られる範囲で、ペースト状のものも含まれる。
本発明において、第1〜第nの液状組成物の組成は特に限定されないが、例えば、以下のような成分を配合することができる。
本発明において、第1〜第nの液状組成物は、水又は有機溶剤に少なくとも1種の成分を配合することにより調製することができる。また、本発明においては、水、有機溶剤、又はこれらの混合溶媒自体を第1〜第nの液状組成物として用いてもよい。本発明において、水又は有機溶剤に配合する成分としては、有機化合物及び/又は無機化合物が挙げられる。
三次元造形物の素材となる(実材料とも表記する)無機化合物として、セラミック粒子、導電性金属粒子、石膏(硫酸カルシウム)等を用いることができる。
これらはそのまま使用してもよいし、液中での分散安定性を高めるために官能基修飾されていてもよい。また、分散剤を用いて分散していてもよい。
セラミック粒子としては、SiO、Al、TiO、ZrO、In、ZnO、SnO、La、Y、CeO、MgO等の金属酸化物;Si;ITO、ATO、BaTiO、CaTiO、MgAl、Al−ZrO、Y−ZrO、ベーマイト、MgO及び/またはCaO等で安定化した(ZrO、Al、Y、HfO、CeO、Al−ZrO、Al、Y、Fe等の)金属酸化物、他の希土類酸化物で安定化したSi等の固溶体または複合酸化物等が挙げられる。
導電性金属粒子としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、白金、パラジウム、スズ、クロム、鉛等の金属粒子や、銀/パラジウム等のこれら金属の合金;酸化銀、有機銀、有機金等の比較的低温で熱分解して導電性金属を与える熱分解性金属化合物;酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物粒子等が挙げられる。
官能基修飾された無機微粒子としては、特に限定されないが、エネルギー線光重合性官能基または熱重合性官能基で修飾された無機微粒子等が挙げられる。エネルギー線光重合性官能基としては、特に限定されないが、例えば、ビニル基、(メタ)アクリル基等が挙げられる。熱重合性官能基としては、特に限定されないが、例えば、ビニル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、アミノ基、チオール基等が挙げられる。
分散剤としては、公知のものいずれも使用することができる。分散剤としては、例えば、アミン系、ジアミン系、エタノールアミン系、アルコキシアミン系、ジアミンアルコール系、ジアミノアルコキシ系、環状アミン系、アルキルチオール系、カルボン酸系及び高分子系分散剤から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
具体的には、アミン系分散剤としては、例えば、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、ヘキシルアミン、N−メチルヘキシルアミン、ジ−N−オクチルアミン、トリ−N−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、アリルアミン、ジアリルアミン、3−ペンチルアミン、2−オクチルアミン、オレイルアミン等を用いることができる。
ジアミン分散剤としては、例えば、ジメチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジイソプロピルアミノエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、1,2,−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、ラウリルアミノプロピルアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン等を用いることができる。
エタノールアミン系分散剤としては、例えば、モノエタノールアミン、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール、3−ジメチルアミノプロパノール、4−アミノブタノール、4−メチルアミノブタノール、2−アミノ−1,3−プロパンジオールオキサレート、2−ヒドロキシルメチルアミノエタノール、4−ピペリジノール等を用いることができる。
アルコキシアミン系分散剤としては、例えば、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−イソブトキシプロピルアミン、2−エチルヘキシルオキシプロピルアミン、3−デシルオキシプロピルアミン、3−ラウリルオキシプロピルアミン、3−ミリスチルオキシプロピルアミン等を用いることができる。
ジアミンアルコール系分散剤としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、N,N’−ジメチルアミノエトキシエタノール等を用いることができる。
ジアミノアルコキシ系分散剤としては、例えば、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジメチルアミノエトキシプロピルアミン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリエチレングリコールエーテル、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ジエチレングリコールエーテル等を用いることができる。
環状アミン系分散剤としては、例えば、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルフォリン、アミノプロピルピペラジン、1,4−ビスアミノプロピルピペラジン等を用いることができる。
アルキルチオール系分散剤としては、例えば、ドデシルメルカプタン、ステアリルメルカプタン等を用いることができる。
カルボン酸系分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸ナトリウム塩、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、クエン酸等を用いることができる。
チオール系分散剤としては、例えば、ドデカンチオール、メルカプトクエン酸等を用いことができる。
高分子系分散剤としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸系ポリマー等を用いることができる。
その他、ナフタレンスルホン酸・ホルマリン縮合物ナトリウム、ポリカルボン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ソーダ、トリフェニルホスフィン、リン酸系分散剤(ポリエステル骨格、ポリエーテル骨格、ポリエステルエーテル骨格又はポリウレタン骨格を有し、リン酸基、リン酸塩基又はリン酸エステル基を有する分散剤;ポリリン酸又はその塩等)等を用いることができる。
当該無機微粒子の粒径としては特に限定されず、例えば、5〜400nm、好ましくは5〜100nmの範囲で適宜設定できる。本発明において、無機微粒子の粒径は大塚電子株式会社製動的光散乱式粒子径測定装置「ELSZ」により測定することができる。
これらの無機化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。当該無機化合物を配合する場合、その配合量は特に限定されないが、例えば、第1〜第nの液状組成物のうち無機化合物を配合する液状組成物を第n’の液状組成物としたとき、第n’の液状組成物の全量に対し、好ましくは5〜90体積%、より好ましくは10〜60体積%の範囲で使用することができる。これらの有機化合物及び/又は無機化合物は、単独で用いても良いし、適宜選択される複数種類を組み合わせて用いることもできる。
三次元造形物の素材(実材料とも表記する)となる有機化合物として、導電性材料として知られている有機化合物(例えば、導電性高分子等)、半導体材料として知られている有機化合物(有機半導体材料)、絶縁体材料として知られている有機化合物等を用いることができる。
導電性高分子としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)、ポリアニリン等を用いることができる。さらにカーボンナノチューブ等の炭素系の導電性材料も用いることができる。
有機半導体材料としては、例えば、低分子有機半導体として、フタロシアニン誘導体、ポリフィリン誘導体、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体、フラーレン誘導体、ペンタセン及びペンタセントリイソプロピルシリル(TIPS)ペンタセン等のアセン系化合物、各種ペンタセン前駆体、アントラセン、ペリレン、ピレン、フェナントレン、コロネン等の多環芳香族化合物及びその誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、チアゾール誘導体、フラーレン誘導体、ジナフトチオフェン系化合物、カーボンナノチューブ等の炭素系化合物、ベンゾチエノベンゾチオフェン等のチオフェン、フェニレン、ビニレン等の各種低分子半導体の一種以上及びこれら共重合体が好適に使用できる。
また、高分子有機半導体として、ポリチオフェン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、PQT−12等のポリチオフェン系高分子、B10TTT、PB12TTT、PB14TTT等のチオフェン−チエノチオフェン共重合体、F8T2等のフルオレン系高分子、その他、パラフェニレンビニレン等のフェニレンビニレン系高分子、ポリトリアリールアミン等のアリールアミン系高分子等が好適に使用できる。また、これら有機半導体材料に加え、加熱処理;EB、Xeフラッシュランプ等のエネルギー線照射等により無機半導体へと改質可能な溶液溶解性のSi半導体前駆体、IGZO、YGZO、ZnO等の酸化物半導体の前駆体等も適用できる。
絶縁体材料としては、絶縁性を有する材料を含んでいれば制限はなく、例えば、ポリパラキシリレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリシアネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリテルペン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等の有機膜を形成する樹脂;、加水分解及び必要に応じて加熱処理により無機皮膜を形成する、シラン化合物、シラザン化合物、マグネシウムアルコキシド化合物、アルミニウムアルコキシド化合物、タンタルアルコキシド化合物、イオン性液体、イオン性ゲル等が使用できる。また、絶縁体材料には、必要に応じてジルコニア、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル等の酸化物、SrTiO、BaTiO等の強誘電性酸化物、窒化珪素、窒化アルミニウム等の窒化物、硫化物、フッ化物等の誘電体微粒子を分散させてもよい。
これらの有機化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。かかる絶縁体材料を配合する場合、その配合量は限定されないが、例えば、第1〜第nの液状組成物のうち絶縁体材料を配合する液状組成物を第n’の液状組成物としたとき、第n’の液状組成物の全量に対し、好ましくは10質量%〜80質量%、より好ましくは40質量%〜60質量%の範囲で使用することができる。
本発明において、第1〜第nの液状組成物は、水、有機溶剤及び重合性化合物から選ばれる少なくとも1種の成分を配合することにより調製することもできる。
有機溶剤としては特に限定されないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ペンチルアルコール、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、1−メチル−1−メトキシブタノール等のアルコール系溶剤;2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2’−オキシビスエタノール、2,2’−エチレンジオキシビス(エタノール)、チオジエタノール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、2,2’−オキシビス(2−メトキシエタン)、2,2’−オキシビス(2−エトキシエタン)、2,2’−エチレンジオキシビス(2−メトキシエタン)、2,2’−エチレンジオキシビス(2−メトキシエタン)等のエーテル系溶剤;ラウリン酸プロピレングリコール等のグリコールエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールモノアセテート系溶剤;グリコールジアセテート系溶剤;3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシー3−メチルーブチルアセテート等のアルコキシアルキルアセテート系溶剤;エチレングリコールヘキシルエーテル又はエチレングリコールブチルエーテルのエチレンオキシド付加物、プロピレングリコールプロピルエーテルのロピレンオキシド付加物等のアルキルアルコールのアルキレンオキシド付加物;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶剤;メチルジエタノールアミン等のアルコールアミン系溶剤;γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン系溶剤;スルホラン、ジメチルスルホキシド等のスルホン系溶剤;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−(2−ヒドロキシエチル)ピロリドン等のラクタム系溶剤;1,3−ジメチルイミダゾリジノン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル、酢酸−2−メチルプロピル、酢酸−3−メチルブチル等の酢酸エステル系溶剤;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステル系溶剤;n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ノナン、イソノナン、ドデカン、イソドデカン等の飽和炭化水素系溶剤;1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等の不飽和炭化水素系溶剤;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、デカリン等の環状飽和炭化水素系溶剤;シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、1,1,3,5,7−シクロオクタテトラエン、シクロドデセン等の環状不飽和炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;テルペン類、エーテル類、環状イミド、3−メチル−2−オキサゾリジノン、3−エチル−2−オキサゾリジノン等の3−アルキル−2−オキサゾリジノン系溶剤;β−アルコキシプロピオンアミド等の含窒素溶剤等を挙げることができる。
有機溶剤としては、グリコールエーテル系溶剤、グリコールモノアセテート系溶剤、アルコキシアルキルアセテート系溶剤等が好ましい。これらの溶剤は、単独で用いることもでき、また2種類以上を混合して用いることもできる。
重合性化合物としては、重合性不飽和基を有する公知のモノマー及び/又はオリゴマーから任意に選んで用いることができる。重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、マレイミド基等が挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリル」とはアクリル又はメタクリルを示し、「(メタ)アクリロイル」とはアクリロイル又はメタクリロイルを示し、「(メタ)アクリレート」とはアクリレート又はメタクリレートを示す。
かかるモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸又はそのエステル、例えばアルキル−、シクロアルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、ベンジル−、フェノキシ−(メタ)アクリレート、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットテトラ(メタ)アクリレート等、(メタ)アクリルアミド又はその誘導体、例えばアルキル基及び/又はヒドロキシアルキル基でモノ置換又はジ置換された(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N’−アルキレンビス(メタ)アクリルアミド等、アリル化合物、例えばアリルアルコール、アリルイソシアネート、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等を挙げることができる。
上記モノマーの他の例としては、エチレングリコール単位を分子内に有するポリエチレングリコール(エチレングリコール単位の繰返し数mは、通常、3以上であり、およそ14以下)ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性(エチレンオキシド(EO)単位の繰返し数mは、通常、3以上であり、およそ14以下)トリ(メタ)アクリレート、フェノールEO変性(エチレンオキシド(EO)単位の繰返し数mは、通常、3以上であり、およそ14以下)変性(メタ)アクリレート、水酸基を分子内に有する2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、硬化収縮が支障となる用途の場合には、例えばイソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテノキシプロピル(メタ)アクリレート等、ジエチレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、ポリオキシエチレン若しくはポリプロピレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル等、ジシクロペンテニルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルモノフマレート又はジフマレート等、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のモノ−、ジアクリレート又はモノ−、ジメタアクリレート、あるいはこれらのスピログリコールのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加重合体のモノ−、ジアクリレート、又はモノ−、ジメタアクリレート、あるいは前記モノ(メタ)アクリレートのメチルエーテル、1−アザビシクロ[2,2,2]−3−オクテニル(メタ)アクリレート、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボキシルモノアリルエステル等、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート等のモノマーを用いることができる。
上記モノマーは単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
モノマーのより具体的な例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、イソオクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、ノニルフェノキシエチル、グリシジル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、イソボルニル、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、ジシクロペンテニロキシエチル等の置換基を有する(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド等の1官能モノマー、
1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、オペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート,ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキルリン酸(メタ)アクリレート等の多官能モノマー等が好ましい。
上記オリゴマーとしては、例えば、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とメチルテトラヒドロフタル酸無水物との反応生成物、エポキシ樹脂と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応生成物、グリシジルジ(メタ)アクリレートと無水フタル酸との開環共重合エステル、メタクリル酸二量体とポリオールとのエステル、アクリル酸と無水フタル酸とプロピレンオキシドから得られるポリエステル、ポリビニルアルコールとN−メチロールアクリルアミドとの反応生成物、ポリエチレングリコールと無水マレイン酸とグリシジル(メタ)アクリレートとの反応生成物等のような不飽和ポリエステル系プレポリマー、ポリビニルアルコールを無水コハク酸でエステル化した後、グリシジルメタクリレートを付加させたもの等のようなポリビニルアルコール系プレポリマー、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物又はこれにさらにグリシジルメタクリレートを反応させたもの等のポリアクリル酸又はマレイン酸共重合体系プレポリマー等、そのほか、ウレタン結合を介してポリオキシアルキレンセグメント又は飽和ポリエステルセグメントあるいはその両方が連結し、両末端にアクリロイル基又はメタクロイル基を有するウレタン系プレポリマー等を挙げることができる。また、これらのオリゴマーは、重量平均分子量として約2000〜30000の範囲のものが好ましい。これらのオリゴマーは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で重合性化合物を配合する場合は、重合開始剤を使用し得る。重合開始剤としては、光重合開始剤、熱重合開始剤等が挙げられる。
光重合開始剤としては、従来公知のものでよく、具体的には、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が好適に用いられ、さらにこれら以外の分子開裂型のものとして、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン及び2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用しても良いし、さらに水素引き抜き型光重合開始剤である、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等も併用できる。
特に光源として発光ダイオード(以下LEDと称する場合がある)を使用する場合には、LEDの発光ピーク波長を加味して光重合開始剤を選択することが好ましい。例えばUV−LEDを使用する場合に適した光重合開始剤としては、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン)、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
また上記光重合開始剤に対し、増感剤として例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の、前述重合性成分と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。
これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビスジメチルバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−アミノジプロパン)二塩酸塩、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ系化合物類、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド等の有機過酸化物類等を挙げることができる。これらの熱重合開始剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、第1〜第nの液状組成物には、バインダー樹脂を配合することもできる。
バインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂(光硬化性アクリル樹脂等)、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂)、ASA樹脂、PLA樹脂(ポリ乳酸樹脂)、PP(ポリプロピレン樹脂)、PEI(ポリエーテルイミド)樹脂、ゴム系樹脂、ポリアミド樹脂等を配合してもよい。これらのバインダー樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、第1〜第nの液状組成物には、界面活性剤を配合してもよい。界面活性剤としては、主に表面張力等の調製のために用いることができる。界面活性剤の種類は特に限定されないが、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられ、これらの具体例として、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等を挙げることができる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアルカノールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー等を挙げることができ、これらの中では、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマーが好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウムハライド系界面活性剤、アルキルピリジニウムハライド系界面活性剤、アルキルイミダゾリンハライド系界面活性剤等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン系界面活性剤、アルキルイミダゾリニウムベタイン系界面活性剤、レシチン系界面活性剤等が挙げられる。
その他の界面活性剤として、ポリシロキサンオキシエチレン付加物のようなシリコーン系界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルのようなフッ素系界面活性剤;スピクリスポール酸、ラムノリピド、リゾレシチンのようなバイオサーファクタント等も使用することができる。
これらの界面活性剤は、単独で用いることもでき、又2種類以上を混合して用いることもできる。
本発明において、第1〜第nの液状組成物には、粘度、表面張力及び比重が上記範囲に止まる範囲で、自体公知の顔料を配合してもよい。顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、アンスラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、イソインドリノン系顔料、縮合アゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、モノアゾ系顔料、不溶性アゾ系顔料、ナフトール系顔料、フラバンスロン系顔料、アンスラピリミジン系顔料、キノフタロン系顔料、ピランスロン系顔料、ピラゾロン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスアンスロン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、インダンスロン系顔料等の有機顔料;ニッケルジオキシンイエロー、銅アゾメチンイエロー等の金属錯体、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属塩、カーボンブラック、雲母等の無機顔料、アルミニウム等の金属微粉;マイカ微粉等を使用することができる。これらの顔料は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明において、第1〜第nの液状組成物には、粘度、表面張力及び比重が上記範囲に止まる範囲で、自体公知の染料を配合してもよい。染料としては、特に限定されないが、例えば、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料等が挙げられる。これらの染料は、天然染料であっても、化学染料であってもよい。また、これらの染料は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、第1〜第nの液状組成物には、粘度、表面張力及び比重が上記範囲に止まる範囲で、自体公知の保湿剤を配合してもよい。保湿剤としては、例えば、グリセリン、グリセリンのエチレングリコール付加物、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリノン、チオジグリコール、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ネオペンチルアルコール、トリメチロールプロパン、2,2−ジメチルプロパノール等が挙げられる。これらの保湿剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明において、第1〜第nの液状組成物には、任意選択で防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。
本発明において、第1〜第nの液状組成物は実材料、サポート材のいずれでもよい。例えば、第1〜第nの液状組成物のうち少なくとも1つを実材料とし、残りの溶液組成物をサポート材としてもよいし、第1〜第nの液状組成物の全てを実材料としてもよい。第1〜第nの液状組成物のうち少なくとも1つを実材料とし、残りの溶液組成物をサポート材とすることにより、実材料からサポート材、サポート材から実材料への溶液組成物の移動及び両液状組成物の混合が抑制されることにより、三次元構造物の構造を精度よく造形することができる。また、第1〜第nの液状組成物のうち2つ以上を実材料とする場合、2色以上の色彩を有する造形物を製造する際、境界部分の色のにじみを抑えることができる。
第1〜第nの液状組成物の少なくとも1つをサポート材として用いる場合も、液状組成物に上記同様の有機化合物及び/又は無機化合物を配合してもよい。ただし、サポート材は、造形終了後に除去するものであるため、通常、加圧により容易に崩れたり、加熱により容易に溶融するような素材を選択する。また、第1〜第nの液状組成物の少なくとも1つをサポート材として用いる場合には、加熱により溶融するワックスを液状組成物に配合してもよい。
<液状組成物の組み合わせ>
本発明の液状組成物の組み合わせは、第1〜第nの液状組成物を含む。nは2以上の任意の自然数である。nの下限は特に限定されないが、例えば、好ましくは、2以上、3以上、5以上、10以上、30以上等から適宜選択できる。nの上限も特に限定されないが、例えば、好ましくは、100以下、50以下、30以下、10以下、5以下等から適宜選択できる。
前述したように、本発明の液状組成物の組み合わせは、第1〜第nの液状組成物のうち任意の2つの液状組成物の粘度、表面張力、比重等が特定の関係にあることを特徴とする。本明細書においては、説明のため、第1〜第nの液状組成物から任意に選択した2つの液状組成物を便宜的に液状組成物A及び液状組成物Bと示し、これらの液状組成物のうち、基材に対する接触角が大きい方を液状組成物Aと示し、基材に対する接触角が小さい方を液状組成物Bと示すこともある。尚、本発明においては、これらの2つの液状組成物の基材に対する接触角が同一である場合には、表面張力の高い方を液状組成物Aとし、表面張力の低い方を液状組成物Bとする。
本発明においては、基材に対する第1〜第nの液状組成物の接触角は、特に限定されないが、例えば、5°〜90°、好ましくは10〜60°の範囲の接触角を示すような液状組成物を用いることができる。本発明において、接触角は、本願実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明において、第1〜第nの液状組成物としては、これらの液状組成物のうちいずれの組み合わせにおいても粘度の差η1−η2が、−1.0≦η1−η2≦+1.0の範囲内となるような組み合わせを用いる。また、粘度の差η1−η2は、−0.5≦η1−η2≦+0.5が好ましく、−0.1≦η1−η2≦+0.1がより好ましい。粘度差がかかる範囲の液状組成物を用いることが、混合・移動の抑制の観点から好ましい。本発明において、液状組成物の粘度は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明においては、第1〜第nの液状組成物の粘度は、他の液状組成物の粘度との関係で上記要件を満たす限り特に限定されないが、例えば、1〜1000mPas、好ましくは10〜100mPasの範囲で適宜設定できる。
本発明は、液状組成物Aと液状組成物Bとの表面張力の差γ1−γ2が、液状組成物Aと液状組成物Bとの比重差の絶対値|d1−d2|との関係で以下の要件を満たすことを特徴とする:
15.5×|d1−d2|−0.7≦γ1−γ2≦15.5×|d1−d2|+0.7。
本発明においては、第1〜第nの液状組成物のうちいずれの2つにおいても上記関係を満たすようなn個の液状組成物の組み合わせを用いることにより、これらの液状組成物のうち一方から他方への移動、これらの液状組成物の混合を抑制することができる。
また、本発明においては、第1〜第nの液状組成物の表面張力は、他の液状組成物との関係で上記要件を満たす限り特に限定されないが、例えば、20〜50mN/m、好ましくは20〜35mN/mの範囲で適宜設定できる。そして、本発明においては、第1〜第nの液状組成物の比重は、他の液状組成物との関係で上記要件を満たす限り特に限定されないが、例えば、0.8〜3.0g/cm、好ましくは1.0〜2.5g/cmの範囲で適宜設定できる。
また、本発明において、粘度、表面張力及び比重が上記要件を満たすことに加え、さらに、比重差の絶対値|d1−d2|が0.1以上であることが、液状組成物Aと液状組成物Bとの混合抑制の観点から好ましい。
本発明において、液状組成物の粘度及び比重は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
<造形方法>
本発明の液状組成物の組み合わせは、造形物の製造に使用することができる。本明細書において造形物の製造を単に造形と示すこともある。
尚、本発明において、造形物は、基材上に造形される立体物を示す。本発明において造形物としては、特に限定されないが、例えば、教育、玩具の分野における人物、動植物等を模した模型;工業分野における製品の製造及び動作確認、嵌合せ、質感、サイズ感の確認のための試作段階の模型;躯体の構造確認、見本の作製等のような建築分野におけるミニチュア;医療用分野における臓器、骨等のモデル義手、人工骨等が挙げられる。また、本発明において、造形物は上記したものに限られず、例えば、薄膜状のもの、より具体的には、回路基板における導電層、絶縁層、半導体層、保護層、これらの積層体等も包含される。本発明において、造形物は、三次元造形物と記す場合もある。
本発明の液状組成物の組み合わせを用いて造形物を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法を挙げることができる。
一つの実施形態において、本発明の液体組成物の組み合わせを用いた造形は、例えば、基材上に第1〜第nの液状組成物をこれらの液状組成物の少なくとも一部が接するように配置する工程、及び上記工程で配置した液状組成物を硬化する工程を含む方法により行うことができる。
基材への第1〜第nの液状組成物の配置は、インクジェット等により基材に第1〜第nの液状組成物を吐出する方法、基材を第1〜第nの液状組成物に浸漬(ディッピング)する方法、第1〜第nの液状組成物をノズルから押し出し堆積する方法等の方法を適宜使用することができる。基材に第1〜第nの液状組成物を配置する際には、第1〜第nの液状組成物を同時に配置してもよいし、第1〜第nの液状組成物とで時間差を空けて配置してもよい。
基材上に第1〜第nの液状組成物を配置した後又はそれと同時に、第1〜第nの液状組成物を乾燥及び/又は硬化する。乾燥の方法としては、特に限定されないが、環境温度での放置、加熱乾燥、減圧乾燥等が挙げられる。硬化の方法としては、特に限定されないが、例えば、紫外線等のエネルギー線の照射、加熱等の方法が挙げられる。エネルギー線照射する場合の照射量、時間;加熱硬化させる場合の、加熱温度、時間等の条件は特に限定されず、第1〜第nの液状組成物の組成、得られる造形物の特性等に応じて、適宜設定できる。
上記工程において得られる第1〜第nの液状組成物の乾燥物及び/又は硬化物の厚さは特に限定されないが、例えば、0.01〜3mm、好ましくは0.01〜0.1mmの範囲で設定できる。
また、別の実施形態において、造形物は、本発明の液状組成物の組み合わせを用いて、下記工程(1)〜(3)を含む方法により製造することもできる:
(1)基材上に第1〜第nの液状組成物のうち少なくとも1つを配置し、乾燥及び/又は硬化する工程、
(2)上記工程(1)で得られた硬化物の層上に、さらに第1〜第nの液状組成物のうち少なくとも1つを配置し、乾燥及び/又は硬化する工程、及び
(3)工程(2)を繰り返し、基材上に前記本発明の第1〜第nの液状組成物の組み合わせの乾燥物及び/又は硬化物を積層する工程。
上記方法において用いる基材、第1〜第nの液状組成物の粘度、表面張力、比重、溶液組成等は、前述した通りである。また、上記工程(1)〜(3)における液状組成物の配置方法、乾燥及び/又は硬化方法、乾燥物及び/又は硬化物の厚さ等は、前記に挙げた条件を適宜使用することができる。本実施形態においては、工程(3)として、上記工程(2)を繰り返すことにより、積層体として造形物を形成することができる。
前述したように、本発明においては、複数の液状組成物の混合・移動が抑制され、その結果、精度よく三次元造形物を製造することができる。かかる効果を得るため、本発明の液状組成物の組み合わせを用いて造形物を製造する際には、第1〜第nの液状組成物のうち少なくとも2つが互いに接するようにすることが好ましい。具体的には、当該造形物の製造は、例えば、第1〜第nの液状組成物のうち少なくとも1つ(例えば、第1〜第nの液状組成物のうち半数以上、好ましくは第1〜第nの液状組成物の全て)が、いずれかの位置で、他の液状組成物と接するように行われることが好ましい。
また、前述した、工程(1)〜(3)を含む方法により本発明の液状組成物の組み合わせを用いる場合、工程(2)及び(3)においては、液状組成物は、基材ではなく、液状組成物の乾燥物及び/又は硬化物上に配置されるが、かかる第1〜第nの液状組成物の粘度、表面張力、比重等が前述の関係を満たすような場合には、乾燥物及び/又は硬化物上においても、複数の液状組成物の混合・移動が抑制されることが予想される。また、上記本発明の効果の観点から、典型的には、上記工程(1)〜(3)のいずれかの工程において、基材上又は液状組成物の乾燥物及び/又は硬化物上に、第1〜第nの液状組成物のうち少なくとも2つが配置、硬化されることが好ましい。
本発明の液状組成物を用いて造形物を製造する場合、さらに、サポート材を除去する工程を含んでいてもよい。サポート材を除去する方法は、特に限定されず、本発明の属する技術分野において用いられている方法を適宜応用することができる。例えば、水溶性の素材でサポート材を製造し、製造後、サポート材を溶解する方法、力学的な力をサポート材にかけて崩す方法、加熱により溶融、焼却する方法、水以外の所定の溶解液でサポート材を溶解する方法等が挙げられる。
これまで詳述したように本発明の液状組成物の組み合わせは、当該組み合わせに含まれる第1〜第nの液状組成物の全てにおいて粘度、表面張力及び比重が前述の関係を満たすことを特徴とするが、本発明の液状組成物の組み合わせを用いて造形物を製造する際には、本発明の効果が得られる範囲において、さらに、粘度、表面張力及び比重が上記第1〜第nの液状組成物の少なくとも一つ(第mの液状組成物と示す)に対して前述の関係を満たさない液状組成物(液状組成物Xと示す)をさらに組み合わせて用いてもよい。例えば、本発明の液状組成物の組み合わせに含まれる第mの液状組成物と、上記液状組成物Xとが全く接しないかもしくは接する範囲がごくわずかであるように配置される場合にも、本発明の効果が得られることは明らかである。
<基材>
本発明における基材の素材としては、特に限定されず、例えば、ガラス、樹脂板、金属板等が挙げられ、典型的には、実施例で用いられているようなガラス等が挙げられる。これらの基材は、表面が平坦なものであっても、適宜、凹凸が形成されていてもよい。また、これらの基材には、前処理としてコロナ処理、プラズマ処理等の放電処理が施されていてもよい。また、これらの基材には、フッ素コーティング等の表面処理が施されていてもよい。
以下、実施例に記載の具体的な実施態様を参照して本発明を説明するが、本発明は、当該実施例に限定されない。
(サンプル液1の調製)
「YA010C-SM1」((株)アドマテックス製、メタクリル基修飾シリカ)64.2部にジエチレングリコールエチルメチルエーテルを35.8部添加し、実施例で使用するサンプル液1を調製した。
(サンプル液2の調製)
「YA010C-SM1」59.2部にジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを40.8部添加し、実施例で使用するサンプル液2を調製した。また、サンプル液2に界面活性剤「TEGO WET270」(Evonic社製シリコーン系界面活性剤)を下記表1の配合で添加し、サンプル液2―1〜3を調製した。
(サンプル液3の調製)
「YA010C-SM1」59.4部に3−メトキシブチルアセテートを40.6部添加し、実施例で使用するサンプル液3を調製した。また、サンプル液3に界面活性剤「TEGO WET270」(Evonic社製シリコーン系界面活性剤)を下記表2の配合で添加し、サンプル液3―1〜3を調製した。
(サンプル液4の調製)
「V-4221」(DIC(株)製ウレタンアクリレート)20.0部、「M-3130」(Miwon社製トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート)1.0部、「PO-A」(共栄社化学(株)製フェノキシアクリレート)31.9部、「V-Cap」(ASHLAND社製ビニルカプロラクタム)19.9部、「V-150」(大阪有機化学工業(株)テトラヒドロフルフリルアクリレート)24.9部、「Irgacure.184」(BASF社製重合開始剤)1.0部、「Irgacure.TPO」(BASF社製重合開始剤)1.0部及び「KF−351A」(信越シリコーン(株)製界面活性剤)0.3部を添加し、実施例で使用するサンプル液4を得た。また、サンプル液4に下記表2の配合で界面活性剤「KF-351A」を添加し、サンプル液4−1を調製した。
Figure 0006955658
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(表面張力の測定方法)
サンプル液を、自動表面張力計K100C(Kruss社製)を用いて測定した値とした。測定ではサンプルを25℃に温度調整し、直径70mmのベッセルをサンプル液で満たし、Kruss社製の白金プレートを検出子として用いて測定を行った。
(粘度の測定方法)
サンプル液を、回転式レオメーターKinexus pro+(マルバーン社製)を用いて測定した値とした。測定では、サンプルを25℃に温度調整し、直径50mmでコーン角度1°のコーンプレートを用いて、ギャップ幅0.03mm、せん断速度100s−1で測定を行った。
(比重の測定方法)
サンプル液を、音速・密度計MSA5000(Anton Paar社製)を用いて測定した値とした。
測定ではサンプルを25℃に調整し、装置のガラス管を4mlのサンプル液で満たして測定を行った。
(接触角の測定方法)
サンプル液を、接触角計全自動接触角計OCA35(Dataphysics社製)を用いて測定した値を接触角とした。その際、サンプル液を25℃に調整し、松浪硝子工業株式会社製のスライドグラスS1111に対する値を測定した。
(接液界面の状態評価)
室温25℃で、エッペンドルフ社製ピペットEppendorf Reference2(10-100μL)に前記作成したサンプル液のうち色の異なる2種を、10μLずつはかりとり、スライドグラスS1111(松浪硝子工業株式会社製)上にそれぞれを隣接して滴下した。サンプル液同士が接液してから3及び15秒後に、色の異なる2種のサンプル液界面の状態を目視により、以下の評価基準で評価した。
○:2液の接液界面が鮮明で、界面移動がない
□:2液の接液界面でサンプルAがサンプルB側に混ざっている、又は界面がサンプルB側に移動している
△:2液の接液界面でサンプルBがサンプルA側に混ざっている、又は界面がサンプルA側に移動している。
結果を以下の表3〜8及び図2、3に示す。
Figure 0006955658
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表3〜8及び図2に示すように、液状組成物Aの粘度をη1(mPa・s)、表面張力をγ1(mN/m)、そして比重をd1(g/cm)とし、液状組成物Bの粘度をη2(mPa・s)、表面張力をγ2(mN/m)、そして比重をd2(g/cm)とした場合に、
15.5×|d1−d2|−0.7≦γ1−γ2≦15.5×|d1−d2|+0.7
を満たす場合、接液3秒後であっても、接液界面が鮮明であり、界面移動は生じなかった。尚、本実施例においては、二次元印刷よりも高い液体移動、混合の抑制効果が求められる三次元造形にも耐え得るよう、2種類の液状組成物を接液してから3秒間という比較的長時間経過後の接液界面の状態評価をしている。
これに対し、η1、γ1、d1、η2、γ2及びd2が上記式を満たさない場合、接液3秒後の時点では、一方の液体が他方の液体に混ざってしまうか又は移動してしまった。
さらに、表7〜8、図3に示すように、η1、γ1、d1、η2、γ2及びd2が上記式を満たし、かつ比重差の絶対値|d1−d2|が0.1以上である場合、接液15秒間が経過しても接液界面が鮮明であり、界面移動は生じなかった。
本発明は、複数の液状組成物を用いた、基材への二次元的パターニング又は三次元造形に用いることができる。より具体的には、例えば、Printed Electronicsにおいて、導体、半導体、絶縁体等の液体材料(樹脂、金属等)をWet on Wet の状態でパターニングし、電子素子等の立体構造を造形するために使用することができる。また、本発明は、前述したように、教育、玩具の分野における人物、動植物等を模した模型の製造、工業分野における製品の製造及び動作確認、嵌合せ、質感、サイズ感の確認のための試作段階の模型等の製造、躯体の構造確認、見本の作製等のような建築分野におけるミニチュアの製造、医療用分野における臓器、骨等のモデル、義手、人工骨等の製造等の三次元造形に用いることもできる。

Claims (3)

  1. 三次元造形物の製造において、実材料及び/又はサポート材料として用いるための材料であって、
    第1〜第nの液状組成物を含み、
    該第1〜第nの液状組成物の25℃における粘度が10〜1000mPa・sであり、該第1〜第nの液状組成物の25℃におけるスライドガラスに対する接触角が5°〜90°であり、
    該第1〜第nの液状組成物のうち任意の2つの液状組成物を選択したとき、
    25℃における測定値がいずれも以下の式で表される関係を満たすことを特徴とする材料:
    −1.0≦η1−η2≦+1.0
    15.5×|d1−d2|−0.7≦γ1−γ2≦15.5×|d1−d2|+0.7[式中、η1(mPa・s)、γ1(mN/m)及びd1(g/cm)は、それぞれ、前記2つの液状組成物のうちスライドガラスに対する接触角が大きいほうの液状組成物の粘度、表面張力及び比重を示す。η2(mPa・s)、γ2(mN/m)、及びd2(g/cm)は、それぞれ、該接触角が小さいほうの液状組成物の粘度、表面張力及び比重を示す]。
  2. 比重差の絶対値である|d1−d2|が0.1以上である、請求項1に記載の材料。
  3. 請求項1又は2に記載の材料を、第1〜第nの液状組成物の少なくとも一部が接するように基材上に配置する工程、及び
    前記工程で配置した第1〜第nの液状組成物を硬化する工程、を含む、三次元造形物の製造方法
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