以下、本発明の一側面に係る画像処理システムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図1は、実施形態に従った画像処理システム1の一例の構成図である。
画像処理システム1は、画像読取装置100及び情報処理装置200を備える。画像読取装置100は、画像処理装置の一例であり、イメージスキャナ等である。画像読取装置100は、複写機、ファクシミリ、MFP(Multifunction Peripheral)等でもよい。情報処理装置200は、画像処理装置の他の例であり、パーソナルコンピュータ、多機能携帯端末、携帯電話等である。画像読取装置100及び情報処理装置200は、相互に接続されている。
画像読取装置100は、下側筐体101、上側筐体102、原稿台103、排出台105及び表示操作装置106等を備える。
上側筐体102は、画像読取装置100の上面を覆う位置に配置され、下側筐体101に係合している。原稿台103は、原稿を載置可能な位置に配置され、原稿の載置台として機能する。排出台105は、排出された原稿を保持する。
表示操作装置106は、表示部及び操作部の一例である。表示操作装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等から構成されるディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。また、表示操作装置106は、タッチパネル式の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路をさらに有し、利用者による操作を受け付け、利用者の入力に応じた信号を出力する。なお、表示装置と操作装置は、別個に設けられてもよい。
図2は、画像読取装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
画像読取装置100内部の搬送経路は、第1センサ111、給紙ローラ112a、112b、リタードローラ113a、113b、超音波発振器114a、超音波受信器114b、第1搬送ローラ115a、115b、第1従動ローラ116a、116b、第1撮像装置118a、第2撮像装置118b、第2搬送ローラ120a、120b及び第2従動ローラ121a、121b等を有している。
以下では、給紙ローラ112a、112bを総じて給紙ローラ112と称する場合がある。また、リタードローラ113a、113bを総じてリタードローラ113と称する場合がある。また、第1搬送ローラ115a及び115bを総じて第1搬送ローラ115と称する場合がある。また、第1従動ローラ116a及び116bを総じて第1従動ローラ116と称する場合がある。また、第2搬送ローラ120a及び120bを総じて第2搬送ローラ120と称する場合がある。また、第2従動ローラ121a及び121bを総じて第2従動ローラ121と称する場合がある。また、第1撮像装置118a及び第2撮像装置118bを総じて撮像装置118と称する場合がある。
上側筐体102の下面は原稿の搬送路の上側ガイド108aを形成し、下側筐体101の上面は原稿の搬送路の下側ガイド108bを形成する。図2において矢印A1は原稿の搬送方向を示す。以下では、上流とは原稿の搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは原稿の搬送方向A1の下流のことをいう。
第1センサ111は、接触検出センサであり、給紙ローラ112及びリタードローラ113の上流側に配置され、原稿台103に原稿が載置されているか否かを検出する。
超音波発振器114a及び超音波受信器114bは、原稿の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。超音波発振器114aは超音波を出力する。超音波受信器114bは、超音波発振器114aから出力され、原稿を通過した超音波を受信し、受信した超音波に応じた電気信号である出力信号を生成して出力する。以下では、超音波発振器114a及び超音波受信器114bを総じて超音波センサ114と称する場合がある。
第1撮像装置118aは、撮像部の一例であり、主走査方向に直線状に配列されたCCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)を有する。また、第1撮像装置118aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置118aは、搬送された原稿の裏面を撮像した裏面入力画像を生成して出力する。
同様に、第2撮像装置118bは、撮像部の一例であり、主走査方向に直線状に配列されたCCDによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISを有する。また、第2撮像装置118bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置118bは、搬送された原稿の表面を撮像した表面入力画像を生成して出力する。
なお、CCDの代わりにCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)が使用されてもよい。また、CISの代わりに縮小光学系タイプの撮像センサが使用されてもよい。
原稿台103に載置された原稿は、給紙ローラ112が矢印A2の方向に回転することによって、上側ガイド108aと下側ガイド108bの間を原稿搬送方向A1に向かって搬送される。リタードローラ113は、原稿搬送時、矢印A3の方向に回転する。給紙ローラ112及びリタードローラ113の働きにより、原稿台103に複数の原稿が載置されている場合、原稿台103に載置されている原稿のうち給紙ローラ112と接触している原稿のみが分離される。これにより、給紙ローラ112及びリタードローラ113は、原稿を搬送する搬送部として機能するとともに、分離された原稿以外の原稿の搬送が制限されるように動作し(重送の防止)、原稿を分離する分離部として機能する。
原稿は、上側ガイド108aと下側ガイド108bによりガイドされながら、第1搬送ローラ115と第1従動ローラ116の間に送り込まれる。原稿は、第1搬送ローラ115が矢印A4の方向に回転することによって、第1撮像装置118aと第2撮像装置118bの間に送り込まれる。撮像装置118により読み取られた原稿は、第2搬送ローラ120が矢印A5の方向に回転することによって排出台105上に排出される。
図3は、画像読取装置100及び情報処理装置200の概略構成を示すブロック図である。
画像読取装置100は、前述した構成に加えて、駆動装置134、第1インタフェース装置135、第1記憶装置140、第1CPU(Central Processing Unit)160及び第1処理回路180等をさらに有する。
駆動装置134は、1つ又は複数のモータを含み、CPU160からの制御信号によって、給紙ローラ112、リタードローラ113、第1搬送ローラ115及び第2搬送ローラ120を回転させて原稿の搬送動作を行う。
第1インタフェース装置135は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有する。第1インタフェース装置135は、情報処理装置200と通信接続して各種の画像及び情報を送受信する。また、第1インタフェース装置135の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
第1記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第1記憶装置140には、画像読取装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第1記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD−ROM(compact disk read only memory)、DVD−ROM(digital versatile disk read only memory)等である。また、第1記憶装置140には、データとして、各種の画像が格納される。
第1CPU160は、予め第1記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、第1CPU160に代えて、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)等が用いられてよい。また、第1CPU160に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)等が用いられてもよい。
第1CPU160は、表示操作装置106、第1センサ111、超音波センサ114、撮像装置118、駆動装置134、第1インタフェース装置135、第1記憶装置140及び第1処理回路180等と接続され、これらの各部を制御する。第1CPU160は、駆動装置134の駆動制御、撮像装置118の原稿読取制御等を行う。
第1処理回路180は、撮像装置118から取得した画像に補正処理等の所定の画像処理を施す。なお、第1処理回路180として、LSI、DSP、ASIC又はFPGA等が用いられてもよい。
情報処理装置200は、表示装置201、操作装置202、第2インタフェース装置203、第2記憶装置220、第2CPU240及び第2処理回路260等を有する。
表示装置201は、液晶、有機EL等から構成されるディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、第2CPU240からの指示に従って、画像データをディスプレイに表示する。
操作装置202は、入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路をさらに有し、利用者による操作を受け付け、利用者の入力に応じた信号を第2CPU240に出力する。
第2インタフェース装置203は、第1インタフェース装置135と同様のインタフェース回路又は無線通信インタフェース回路を有し、画像読取装置100と通信接続して各種の画像及び情報を送受信する。
第2記憶装置220は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第2記憶装置220には、情報処理装置200の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、例えばCD−ROM、DVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第2記憶装置220にインストールされてもよい。また、第2記憶装置220には、データとして、各種の画像が格納される。
第2CPU240は、予め第2記憶装置220に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、第2CPU240に代えて、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。
第2CPU240は、表示装置201、操作装置202、第2インタフェース装置203、第2記憶装置220及び第2処理回路260等と接続され、これらの各部を制御する。第2CPU240は、各装置の制御を行い、画像読取装置100から取得した画像に対する画像処理を実行する。
第2処理回路260は、画像読取装置100から取得した画像に補正処理等の所定の画像処理を施す。なお、第2処理回路260として、LSI、DSP、ASIC又はFPGA等が用いられてもよい。
図4は、画像読取装置100の第1記憶装置140及び第1CPU160の概略構成を示す図である。
図4に示すように、第1記憶装置140には、画像生成プログラム141、特徴検出プログラム142、連結判定プログラム143、合成プログラム144及び画像出力プログラム145等の各プログラムが記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。第1CPU160は、第1記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、第1CPU160は、画像生成部161、特徴検出部162、連結判定部163、合成部164及び画像出力部165として機能する。
図5は、画像読取装置100の全体処理の動作の例を示すフローチャートである。以下、図5に示したフローチャートを参照しつつ、画像読取装置100の全体処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第1記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に第1CPU160により画像読取装置100の各要素と協働して実行される。なお、全体処理が実行される際、原稿の分離機能は停止し、リタードローラ113は、給紙ローラ112に従って回転するように設定されている。
最初に、画像生成部161は、利用者により、表示操作装置106を用いて、原稿の読み取りを指示する操作が実行され、その操作に応じた操作信号を表示操作装置106から受信するまで待機する(ステップS101)。
次に、画像生成部161は、第1センサ111から受信する第1原稿検出信号に基づいて原稿台103に原稿が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。
原稿台103に原稿が載置されていない場合、画像生成部161は、ステップS101へ処理を戻し、表示操作装置106から新たに操作信号を受信するまで待機する。
一方、原稿台103に原稿が載置されている場合、画像生成部161は、駆動装置134を駆動して給紙ローラ112、第1搬送ローラ115及び第2搬送ローラ120を回転させて、原稿を搬送させる(ステップS103)。
次に、画像生成部161は、搬送された原稿を撮像装置118に読み取らせ、撮像装置118から表面入力画像及び裏面入力画像を取得する。画像生成部161は、表面入力画像から、搬送された原稿の表面を撮像した表面画像を生成し、裏面入力画像から、搬送された原稿の裏面を撮像した裏面画像を生成する(ステップS104)。
画像生成部161は、まず、表面入力画像及び裏面入力画像のそれぞれから水平方向(主走査方向)、垂直方向(副走査方向)のそれぞれについてエッジ画素を抽出する。画像生成部161は、各入力画像の水平方向、垂直方向のそれぞれについてエッジ画素からなるエッジ画像を生成する。画像生成部161は、各入力画像内の画素の水平方向の両隣の画素の輝度値の差の絶対値(以下、隣接差分値と称する)を算出し、隣接差分値が閾値Th1を越える場合、その入力画像上の画素を垂直エッジ画素として抽出する。この閾値Th1は、例えば、人が画像上の輝度の違いを目視により判別可能な輝度値の差(例えば20)に設定することができる。画像生成部161は、各入力画像について垂直方向にも同様の処理を行い、水平エッジ画素を抽出する。
なお、画像生成部161は、各入力画像内の画素の水平又は垂直方向の所定距離だけ離れた画素の輝度値の差の絶対値を隣接差分値として算出してもよい。また、画像生成部161は、各画素の輝度値に代えて、各画素の色値(R値、G値又はB値)を用いて隣接差分値を算出してもよい。また、画像生成部161は、各入力画像の輝度値又は色値を閾値と比較することによりエッジ画素を抽出してもよい。例えば、画像生成部161は、特定の画素の輝度値又は色値が閾値未満であり、その特定の画素に隣接する画素又はその特定の画素から所定距離だけ離れた画素の輝度値又は色値が閾値以上である場合、その特定の画素をエッジ画素とする。
次に、画像生成部161は、抽出したエッジ画素から複数の直線を検出する。画像生成部161は、水平方向、垂直方向の各エッジ画像から複数の直線を抽出する。画像生成部161は、ハフ変換を用いて直線を検出する。なお、画像生成部161は、最小二乗法を用いて直線を検出してもよい。
次に、画像生成部161は、検出した複数の直線から矩形を検出する。画像生成部161は、検出した複数の直線のうち二本ずつが略直交する四本の直線から構成される複数の矩形候補を抽出する。画像生成部161は、まず水平方向の直線(以下、第1の水平線と称する)を一つ選択し、選択した直線と略平行(例えば±3°以内)かつ閾値Th2以上離れた水平方向の直線(以下、第2の水平線と称する)を抽出する。次に、画像生成部161は、第1の水平線と略直交する(例えば90°に対して±3°以内)垂直方向の直線(以下、第1の垂直線と称する)を抽出する。次に、画像生成部161は、第1の水平線と略直交し、かつ第1の垂直線と閾値Th3以上離れた垂直方向の直線(以下、第2の垂直線と称する)を抽出する。なお、閾値Th2及び閾値Th3は、画像読取装置100の読取りの対象となる原稿のサイズに応じて予め定められ、同じ値としてもよい。
画像生成部161は、抽出した全ての直線について、上記の条件を満たす第1の水平線、第2の水平線、第1の垂直線及び第2の垂直線の全ての組合せを抽出し、抽出した各組合せから構成される矩形を矩形候補として抽出する。画像生成部161は、抽出した矩形候補について面積を算出し、面積が所定値未満である矩形候補を除去する。画像生成部161は、残った矩形候補の中で最も面積が大きい矩形候補を矩形として検出する。一方、画像生成部161は、矩形候補が一つも残らなかった場合、矩形を検出しない。画像生成部161は、表面入力画像から検出した矩形を切り出して表面画像を生成し、裏面入力画像から検出した矩形を切り出して裏面画像を生成する。
次に、特徴検出部162は、超音波センサ114から、原稿が搬送されている間に出力された出力信号を取得する(ステップS105)。
次に、特徴検出部162及び連結判定部163は、判定処理を実行する(ステップS106)。判定処理において、特徴検出部162は、搬送された原稿の特徴を検出する。また、判定処理において、連結判定部163は、表面画像及び裏面画像と、特徴検出部162が検出した特徴とに基づいて、表面画像の何れかの端部である第1端部と、その第1端部に対応する裏面画像の第2端部とが連結しているか否かを判定する。判定処理の詳細については後述する。
次に、合成部164は、判定処理において、連結判定部163が第1端部と第2端部とが連結していると判定したか否かを判定する(ステップS107)。
連結判定部163が第1端部と第2端部とが連結していると判定した場合、合成部164は、表面画像と裏面画像とを合成し、合成画像を生成する(ステップS108)。合成部164は、表面画像の第1端部と裏面画像の第2端部において相互に対応する画素同士が接するように合成画像を生成する。一方、連結判定部163が第1端部と第2端部とが連結していないと判定した場合、合成部164は、表面画像と裏面画像とを合成しない。
次に、画像出力部165は、合成画像又は表面画像及び裏面画像を第1インタフェース装置135を介して情報処理装置200へ出力する(ステップS109)。画像出力部165は、合成部164が合成画像を生成した場合、合成画像を情報処理装置200へ出力し、合成部164が合成画像を生成していない場合、表面画像及び裏面画像を情報処理装置200へ出力する。情報処理装置200は、第2インタフェース装置203を介して合成画像又は表面画像及び裏面画像を取得し、取得した画像を表示装置201に表示する。
次に、画像生成部161は、第1センサ111から受信する第1原稿検出信号に基づいて原稿台103に原稿が残っているか否かを判定する(ステップS110)。
原稿台103に原稿が残っている場合、画像生成部161は、ステップS103へ処理を戻し、ステップS103〜S110の処理を繰り返す。一方、原稿台103に原稿が残っていない場合、画像生成部161は、一連の処理を終了する。
図6は、判定処理の動作の例を示すフローチャートである。図6に示す判定処理は、図5に示すフローチャートのステップS106において実行される。
最初に、特徴検出部162は、搬送された原稿の特徴として、超音波センサ114から取得した出力信号に基づいて、搬送された原稿の重送が発生しているか否かを検出する(ステップS201)。
図7は、出力信号の特性について説明するための図である。
図7のグラフ700において、実線701は単数のPPC(Plain Paper Copier)用紙の原稿が搬送されている場合の出力信号の特性を示し、実線702は単数の厚紙の原稿が搬送されている場合の出力信号の特性を示す。一方、実線703は複数のPPC用紙の原稿が搬送されている場合の出力信号の特性を示し、実線704は複数の厚紙の原稿が搬送されている場合の出力信号の特性を示す。グラフ700の横軸は時間を示し、縦軸は出力信号の信号値を示す。グラフ700に示されるように、原稿が超音波センサ114の間を通過する区間705において、超音波発振器114aから出力される超音波は原稿を通過することにより減衰し、出力信号は減衰する。特に、超音波発振器114aから出力される超音波が複数の原稿を通過したときの出力信号の減衰量は、単数の原稿を通過したときの出力信号の減衰量より大きくなる。そのため、出力信号の信号値が重送判定閾値未満であるか否かにより原稿が複数搬送されているか否かを判定することができる。
特徴検出部162は、原稿が超音波センサ114を通過している間に取得した出力信号の信号値が、予め設定された重送判定用閾値未満であるか否かを判定することにより、原稿の重送が発生しているか否かを判定する。特徴検出部162は、出力信号の信号値の最小値が重送判定用閾値未満であり、且つ、出力信号の信号値が重送判定用閾値未満である期間が所定期間以上である場合、原稿の重送が発生したと判定する。特に、特徴検出部162は、出力信号の信号値の最大値と最小値の差が所定値以上である場合、サイズが異なる複数の原稿又は揃っていない状態の複数の原稿が搬送されていると判定する。一方、特徴検出部162は、出力信号の最大値と最小値の差が所定値未満である場合、サイズが同一である複数の原稿が揃って搬送されていると判定する。
また、特徴検出部162は、出力信号の信号値の最小値が重送判定用閾値以上である場合、又は、出力信号の信号値の最小値が重送判定用閾値未満である期間が所定期間未満である場合、原稿の重送が発生していないと判定する。特に、特徴検出部162は、出力信号の信号値の最小値が重送判定用閾値未満であり、且つ、出力信号の信号値の最小値が重送判定用閾値未満である期間が所定期間未満である場合、付箋紙又は写真が貼り付けられた原稿が搬送されていると判定する。
特徴検出部162が原稿の重送が発生していないと判定した場合、連結判定部163は、搬送される原稿は一枚であり、表面画像の第1端部と裏面画像の第2端部とが連結していないと判定し(ステップS202)、一連のステップを終了する。
一方、特徴検出部162は、原稿の重送が発生していると判定した場合、搬送された原稿の特徴として、超音波センサ114から取得した出力信号に基づいて、搬送された原稿の厚さを検出する(ステップS203)。
図7のグラフ700に示されるように、区間705において、超音波発振器114aから出力される超音波が厚紙の原稿を通過したときの出力信号の減衰量は、PPC用紙の原稿を通過したときの出力信号の減衰量より大きくなる。そのため、出力信号の信号値が厚紙判定閾値未満であるか否かにより、搬送される原稿が厚紙であるか否かを判定することができる。
特徴検出部162は、取得した出力信号の信号値が、予め設定された厚紙判定用閾値未満であるか否かを判定することにより、搬送された原稿が厚紙であるか否かを判定する。なお、画像読取装置100は、複数の厚さ毎に、各厚さの原稿に対応する信号値の範囲を第1記憶装置140に予め記憶しておいてもよい。その場合、特徴検出部162は、第1記憶装置140に記憶された範囲の中から、取得した出力信号の信号値が含まれる範囲を特定し、特定した範囲に対応する厚さを、搬送された原稿の厚さとして検出する。
次に、特徴検出部162は、搬送された原稿の特徴として、画像生成部161により生成された表面画像又は裏面画像に写っている原稿の外形に第1歪みが発生しているか否かを検出する(ステップS204)。第1歪みは、原稿の折り目ずれである。
図8A〜図8Cは、原稿の折り目ずれについて説明するための図である。
図8Aに示す画像800は、一枚だけ搬送された原稿を撮像した画像である。図8Aに示すように、原稿が一枚だけ搬送される場合、搬送された原稿801を撮像した画像800から直線802〜805が良好に検出され、直線802〜805から矩形806が良好に検出される。
図8Bに示す画像810は、複数枚まとめて搬送された原稿を撮像した画像である。図8Bに示すように、原稿が複数枚まとめて搬送される場合、搬送された複数の原稿811〜813から様々な直線が検出され、矩形が検出されない可能性が高い。また、各原稿は、様々な方向に向けて且つ様々なタイミングで搬送される可能性が高く、矩形が検出された場合でも、矩形内において原稿及び背景がどのように写るかは、各原稿が搬送される方向及びタイミングに応じて大きく異なる。
図8Cに示す画像820は、二つ折りにされた原稿を撮像した画像である。図8Cに示すように、原稿が二つ折りにされている場合、二つ折りにされた原稿821と原稿822がずれた状態で搬送されて、原稿821と原稿822の間に折り目ずれが発生する可能性がある。その場合、画像820において、折り目ずれにより、原稿821及び原稿822に基づいて検出される矩形823と、原稿821及び原稿822との間に、背景(原稿の裏当て)824、825が写る可能性がある。
特徴検出部162は、画像生成部161により抽出された矩形候補の内、表面画像(又は裏面画像)の右上端、右下端、左上端又は左下端の何れかを含み且つ面積が所定範囲内である矩形候補を、折り目ずれにより写った背景として検出する。所定範囲は、事前の実験により、予め設定される。特徴検出部162は、表面画像(又は裏面画像)の左上端及び左下端に折り目ずれにより写った背景を検出し且つその画像の右上端及び右下端に折り目ずれにより写った背景を検出しなかった場合、その画像の左端側に折り目ずれが発生していると判定する。その場合、特徴検出部162は、その画像の右端側に原稿の折り目が存在すると判定する。一方、特徴検出部162は、表面画像(又は裏面画像)の右上端及び右下端に折り目ずれにより写った背景を検出し且つその画像の左上端及び左下端に折り目ずれにより写った背景を検出しなかった場合、その画像の右端側に折り目ずれが発生していると判定する。その場合、特徴検出部162は、その画像の左端側に原稿の折り目が存在すると判定する。また、特徴検出部162は、他の場合には、原稿の外形に折り目ずれが発生していないと判定する。
なお、特徴検出部162は、画像が入力された場合に、その画像に写っている原稿が折り目ずれを有している度合いを出力するように事前学習された識別器により、原稿の外形に折り目ずれが発生しているか否かを判定してもよい。この識別器は、例えばディープラーニング等により、二つ折りでない原稿を撮影した複数の画像、及び、二つ折りの原稿を撮影した複数の画像を用いて事前学習され、予め第1記憶装置140に記憶される。この識別器は、入力された画像の右端側に折り目ずれが発生している可能性が高い程、第1出力値が高くなり、入力された画像の左端側に折り目ずれが発生している可能性が高い程、第2出力値が高くなるように事前学習される。特徴検出部162は、表面画像(又は裏面画像)を識別器に入力し、識別器から出力された各出力値が所定値以上であるか否かにより、原稿の外形に折り目ずれが発生しているか否かを判定する。
次に、特徴検出部162は、搬送された原稿の特徴として、画像生成部161により生成された表面画像又は裏面画像に写っている原稿の外形に第2歪みが発生しているか否かを検出する(ステップS205)。第2歪みは、累積スキューによる原稿の傾きである。
累積スキューとは、給紙ローラ112a及びリタードローラ113aと、給紙ローラ112b及びリタードローラ113bとで、搬送される原稿に加えられる力(負荷)が異なることにより、原稿が搬送されるにつれて特定の方向に傾いていくことをいう。画像読取装置100内部の搬送経路には、原稿搬送方向A1と直交する方向(主走査方向)において、中央部を挟んで、給紙ローラ112a及びリタードローラ113aと、給紙ローラ112b及びリタードローラ113bとが配置されている。二つ折りの原稿が搬送される場合、折り目が膨らむことにより、折り目が存在する側の厚さは、折り目が存在しない側の厚さより厚くなる。そのため、給紙ローラ112a及びリタードローラ113aと、給紙ローラ112b及びリタードローラ113bとで、搬送される原稿に加えられる力(負荷)が異なり、原稿は、搬送されるにつれて折り目が存在する側に傾いていく。
図9は、累積スキューによる原稿の傾きについて説明するための図である。
図9に示す画像900は、累積スキューにより傾いて搬送された原稿を撮像した画像である。図9に示すように、累積スキューにより原稿が傾いて搬送される場合、原稿901は、先端側903から後端側902に向かって、徐々に傾いていくように撮像される。したがって、原稿901の右端について、後端側902で検出される直線904と垂直方向A6とがなす角度θ1は、先端側903で検出される直線905と垂直方向A6とがなす角度θ2より大きくなる。同様に、原稿901の左端について、後端側902で検出される直線906と垂直方向A6とがなす角度θ3は、先端側903で検出される直線907と垂直方向A6とがなす角度θ4より大きくなる。
一方、一枚の原稿が搬送される場合、仮にその原稿が傾いて搬送されても、累積スキューは発生せずに、原稿は常に一定の方向に傾いて搬送される。したがって、画像上で検出される矩形は全体的に傾き、矩形に含まれる各直線と垂直方向とがなす角度は変化しない。また、複数枚まとめて原稿が搬送される場合、上記したように、搬送された複数の原稿から様々な直線が検出され、矩形が検出されない可能性が高い。また、複数枚まとめて原稿が搬送される場合も、累積スキューは発生しないため、仮に矩形が検出されても、その矩形は全体的に傾き、矩形に含まれる各直線と垂直方向とがなす角度は変化しない。
特徴検出部162は、画像生成部161により垂直エッジ画素から検出された直線の内、水平方向A7において最も外側であり且つ垂直方向A6において最も上側に検出された二つの直線を抽出する。特徴検出部162は、抽出した各直線と垂直方向A6とがなす角度θ1、θ3を算出し、その平均値を算出する。同様に、特徴検出部162は、画像生成部161により垂直エッジ画素から検出された直線の内、水平方向A7において最も外側であり且つ垂直方向A6において最も下側に検出された二つの直線を抽出する。特徴検出部162は、抽出した各直線と垂直方向A6とがなす角度θ2、θ4を算出し、その平均値を算出する。特徴検出部162は、角度θ1、θ3の平均値と角度θ2、θ4の平均値との差が所定値以上である場合、累積スキューによる原稿の傾きが発生していると判定し、その差が所定値未満である場合、累積スキューによる原稿の傾きが発生していないと判定する。また、特徴検出部162は、累積スキューによる原稿の傾きが発生していると判定した場合、その画像内で、原稿の下端側が傾いていく方向と反対側に折り目が存在すると判定する。
次に、特徴検出部162は、搬送された原稿の特徴として、画像生成部161により生成された表面画像又は裏面画像のサイズを検出する(ステップS206)。特徴検出部162は、表面画像又は裏面画像の面積(画素数)をそのサイズとして算出する。
次に、連結判定部163は、特徴検出部162が検出した特徴に基づいて、表面画像と裏面画像とが連結している確度(確からしさ)を算出する(ステップS207)。なお、連結判定部163は、表面画像(又は裏面画像)の四つの端部毎に、各端部が連結している確度を算出してもよい。
ステップS201で、サイズが同一である複数の原稿が揃って搬送されていると判定された場合、サイズが異なる複数の原稿又は揃っていない状態の複数の原稿が搬送されていると判定された場合より、二つ折りの原稿が搬送されている可能性が高い。そのため、連結判定部163は、サイズが同一である複数の原稿が揃って搬送されていると判定された場合の確度が、サイズが異なる複数の原稿又は揃っていない状態の複数の原稿が搬送されていると判定された場合の確度より高くなるように確度を算出する。なお、連結判定部163は、原稿の重送が発生していないと判定された場合、各画像が連結していないと判定しなくてもよい。その場合、連結判定部163は、原稿の重送が発生していないと判定された場合の確度が、サイズが異なる複数の原稿又は揃っていない状態の複数の原稿が搬送されていると判定された場合の確度よりさらに低くなるように確度を算出する。
また、厚紙を二つ折りにすることは困難であるため、ステップS203で、厚紙が搬送されていると判定された場合、二つ折りの原稿が搬送されている可能性が低い。そのため、連結判定部163は、ステップS203で検出された原稿の厚さが薄い程、確度が高くなるように確度を算出する。
また、ステップS204で原稿の折り目ずれが検出された場合、二つ折りの原稿が搬送されている可能性が高い。そのため、連結判定部163は、原稿の折り目ずれが検出された場合の確度が、原稿の折り目ずれが検出されていない場合の確度より高くなるように確度を算出する。また、連結判定部163は、原稿の折り目ずれが検出された場合、さらに、折り目が存在すると判定された端部の確度が、他の端部の確度より高くなるように、各端部の確度を算出してもよい。
また、ステップS205で累積スキューによる原稿の傾きが検出された場合、二つ折りの原稿が搬送されている可能性が高い。そのため、連結判定部163は、累積スキューによる原稿の傾きが検出された場合の確度が、累積スキューによる原稿の傾きが検出されていない場合の確度より高くなるように確度を算出する。また、連結判定部163は、累積スキューによる原稿の傾きが検出された場合、さらに、折り目が存在すると判定された端部の確度が、他の端部の確度より高くなるように、各端部の確度を算出してもよい。
また、画像読取装置100で搬送可能なサイズの原稿は、二つ折りにして搬送される可能性が低い。したがって、ステップS206で検出された画像のサイズが、画像読取装置100の搬送可能サイズの50%以下である場合、二つ折りの原稿が搬送されている可能性が低い。そのため、連結判定部163は、ステップS206で検出された画像のサイズが、画像読取装置100の搬送可能サイズの50%を超える場合の確度が、50%以下である場合の確度より高くなるように確度を算出する。
なお、特徴検出部162は、検出した特徴の内の少なくとも一つに基づいて確度を算出すればよく、検出した特徴の任意の組合せに基づいて確度を算出してよい。
次に、連結判定部163は、特徴検出部162が算出した確度に基づいて、表面画像の第1端部と裏面画像の第2端部とが連結しているか否かを判定するための所定の基準を変更する(ステップS208)。所定の基準の詳細については後述する。
次に、連結判定部163は、連結判定処理を実行し(ステップS209)、一連の処理を終了する。連結判定処理において、連結判定部163は、表面画像及び裏面画像と、特徴検出部162が検出した特徴とに基づいて、表面画像の第1端部と裏面画像の第2端部とが連結しているか否かを判定する。特に、連結判定部163は、ステップS208で変更された所定の基準に基づいて、表面画像の第1端部と裏面画像の第2端部とが連結しているか否かを判定する。連結判定処理の詳細については後述する。
図10は、連結判定処理の動作の例を示すフローチャートである。図10に示す連結判定処理は、図6に示すフローチャートのステップS209において実行される。
最初に、連結判定部163は、表面画像の四つの端部のそれぞれに対応する(各端部と連結している可能性がある)裏面画像の端部を抽出する(ステップS301)。連結判定部163は、表面画像の右辺、左辺、上辺及び下辺にそれぞれ対応する裏面画像の端部として、裏面画像の左辺、右辺、上辺及び下辺を抽出する。
次に、連結判定部163は、表面画像の四つの端部毎に、各端部と、各端部に対応する裏面画像の端部とが連結している度合いを示す評価値を算出する(ステップS302)。まず、連結判定部163は、表面画像の特定の端部に含まれる特定の画素から所定範囲内に位置する画素の階調値の平均値を算出する。次に、連結判定部163は、その特定の端部に対応する裏面画像の端部において、その特定の画素に対応する各位置(二つの端部が隣接している場合に接する位置)から所定範囲内に位置する画素の階調値の平均値を算出する。
連結判定部163は、RGB各色毎に、各階調値の平均値を算出し、表面画像の特定の端部について算出した階調値の平均値と、裏面画像の対応する端部について算出した階調値の平均値との差分値を算出する。連結判定部163は、表面画像の特定の端部に含まれる全ての画素についてRGB各色毎にこの差分値を算出し、RGB各色毎に算出した差分値の平均値(又は最大値)が第1閾値以下である画素の数を、その特定の端部の評価値として算出する。
次に、連結判定部163は、表面画像の四つの端部の全てについて評価値を算出したか否かを判定する(ステップS303)。
まだ評価値を算出していない端部が存在する場合、連結判定部163は、処理をステップS302に戻し、まだ評価値を算出していない端部について評価値を算出する。表面画像の全ての端部について評価値を算出した場合、連結判定部163は、評価値が最も高い表面画像の端部、及び、その端部に対応する裏面画像の端部を合成候補として抽出する(ステップS304)。
次に、連結判定部163は、表面画像の四つの端部の評価値の総和に対する、合成候補の端部の評価値の比率を算出する(ステップS305)。
次に、連結判定部163は、算出した比率が第2閾値以上であるか否かを判定する(ステップS306)。
算出した比率が第2閾値以上である場合、連結判定部163は、表面画像の合成候補の端部と裏面画像の合成候補の端部とが連結していると判定し(ステップS307)、一連のステップを終了する。
一方、算出した比率が第2閾値未満である場合、連結判定部163は、表面画像の端部と裏面画像の端部とが連結していないと判定し(ステップS308)、一連のステップを終了する。
このように、連結判定部163は、表面画像の四つの端部の評価値の総和に対する、第1端部の評価値の比率を第2閾値と比較した結果に基づいて、第1端部と第2端部とが連結しているか否かを判定する。連結判定部163は、端部が連結しているか否かを、その端部のみに対する絶対的な評価だけでなく、全ての端部と比較した相対的な評価、即ち各端部における評価の偏りに基づいて判定するため、判定精度を向上させることができる。
また、連結判定部163は、第1端部に対応する各画素から所定範囲内の画素の階調値の平均値と、第2端部に対応する各画素から所定範囲内の画素の階調値の平均値とを比較した結果に基づいて、第1端部と前記第2端部とが連結しているか否かを判定する。特に、連結判定部163は、第1端部に係る平均値と、第2端部に係る平均値との差分値を第1閾値と比較した結果に基づいて、第1端部と第2端部とが連結しているか否かを判定する。連結判定部163は、端部が連結しているか否かを、画像の色味の連続性に基づいて判定するため、判定精度を向上させることができる。
連続判定処理で使用される所定範囲、第1閾値及び/又は第2閾値は、所定の基準の一例であり、事前に設定され、図6のステップS208において変更される。
例えば、所定範囲の最小範囲は、水平及び垂直方向に1画素以内の範囲に設定され、所定範囲の最大範囲は、水平及び垂直方向に5画素以内の範囲に設定される。連結判定部163は、特徴検出部162が算出した確度が高い程、所定範囲が大きくなるように所定範囲を変更し、表面画像と裏面画像とが連結していると判定し易くする。また、端部毎に確度が算出されている場合、連結判定部163は、端部毎に、確度が高い程、所定範囲が大きくなるように所定範囲を変更し、その端部とその端部に対応する裏面画像の端部とが連結していると判定し易くする。
第1閾値は、例えば、4以上且つ16以下の値に設定される。また、連結判定部163は、確度が高い程、第1閾値が大きくなるように第1閾値を補正し、表面画像と裏面画像とが連結していると判定し易くする。なお、連結判定部163は、確度が高い程、表面画像の各端部について算出した差分値が小さくなるように、差分値を補正してもよい。また、端部毎に確度が算出されている場合、連結判定部163は、端部毎に、確度が高い程、第1閾値が大きくなるように第1閾値を補正し、その端部とその端部に対応する裏面画像の端部とが連結していると判定し易くする。なお、連結判定部163は、端部毎に、確度が高い程、表面画像のその端部について算出した差分値が小さくなるように、差分値を補正してもよい。
第2閾値は、例えば、25%以上且つ75%以下の値に設定される。また、連結判定部163は、確度が高い程、第2閾値が小さくなるように第2閾値を補正し、表面画像と裏面画像とが連結していると判定し易くする。なお、連結判定部163は、確度が高い程、合成候補の端部について算出した比率が大きくなるように、比率を補正してもよい。また、端部毎に確度が算出されている場合、連結判定部163は、合成候補の端部の確度が高い程、又は、他の端部の確度が低い程、第2閾値が小さくなるように第2閾値を補正し、その端部とその端部に対応する裏面画像の端部とが連結していると判定し易くする。なお、連結判定部163は、合成候補の端部の確度が高い程、又は、他の端部の確度が低い程、合成候補の端部について算出した比率が大きくなるように、比率を補正してもよい。
なお、連結判定部163は、所定範囲、第1閾値、差分値、第2閾値及び比率の内の少なくとも一つを変更又は補正すればよく、任意の組合せに係るパラメータを変更又は補正してもよい。連結判定部163は、各パラメータを変更又は補正することにより、判定感度を容易且つ適切に調整することができる。
以上詳述したように、画像読取装置100は、表面画像及び裏面画像と、搬送された原稿の特徴とに基づいて、表面画像の第1端部と裏面画像の第2端部とが連結しているか否かを判定する。したがって、画像読取装置100は、搬送された原稿が、表面画像と、裏面画像とを合成すべき原稿であるか否かをより高精度に判定することが可能となる。
特に、画像読取装置100は、表面画像及び裏面画像に基づいて表面画像と裏面画像が連結しているか否かを判定するための基準を、搬送された原稿の特徴に基づいて変更する。そのため、画像読取装置100は、共通の見出しが端部に写るように印刷された複数の原稿が搬送された場合でも、その原稿が二つ折りの原稿でなければ、合成すべきでないと判定し易くなる。また、画像読取装置100は、端部にコンテンツが印刷されていない複数の原稿が搬送された場合でも、その原稿が二つ折りの原稿であれば、合成すべきであると判定し易くなる。したがって、画像読取装置100は、各画像を合成すべきか否かを、各画像の端部における画像特徴のみに基づいて判定する場合より、高精度に判定することが可能となる。
これにより、利用者は、二つ折りの原稿を画像読取装置100に読み取らせる際に、画像読取装置100に対して画像の合成を指示したり、二つ折りの原稿であることを示す特定のマーカを原稿に貼付したりする必要がなくなる。したがって、画像読取装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
また、一般に、スキャナ等の原稿搬送装置は、超音波センサを備え、原稿の重送が発生しているか否かを検出する機能を有している。画像読取装置100は、その機能を利用して、原稿の重送が発生しているか否かを、原稿の特徴として使用する。また、画像読取装置100は、重送を検出するための超音波センサを用いて、原稿の特徴として、原稿の厚さを検出する。また、一般に、スキャナ等の画像読取装置は、原稿を撮像するための撮像装置を備えている。画像読取装置100は、撮像装置118を用いて、原稿の特徴として、各画像に写っている原稿の外形に歪みが発生しているか否かを検出する。また、画像読取装置100は、撮像装置118を用いて、原稿の特徴として、各画像のサイズを検出する。即ち、画像読取装置100は、特別なセンサを使用せずに原稿の特徴を検出できるため、装置コストの増大を抑制することが可能となる。また、既に出荷済みの画像読取装置も、ソフトウェアを更新することにより、本発明を適用することが可能となる。
図11は、他の実施形態に従った連結判定処理の動作の例を示すフローチャートである。図11に示す連結判定処理は、図6に示すフローチャートのステップS208において図10に示す連結判定処理の代わりに、実行される。
最初に、連結判定部163は、表面画像及び裏面画像をそれぞれ二値化し、表面二値化画像及び裏面二値化画像を生成する(ステップS401)。連結判定部163は、予め設定された閾値を用いて、各画像内の各画素の輝度値を二値化することにより、各画素を背景画素(白色画素)と非背景画素(黒色画素)とに分離した二値化画像を生成する。この閾値は、例えば輝度値が取り得る範囲の中央値(例えば128)に設定される。
次に、連結判定部163は、図10のステップS301と同様にして、表面画像の四つの端部のそれぞれに対応する裏面画像の端部を抽出するとともに、表面二値化画像の四つの端部のそれぞれに対応する裏面二値化画像の端部を抽出する(ステップS402)。
次に、連結判定部163は、表面画像の四つの端部毎に評価値を算出する(ステップS403)。まず、連結判定部163は、表面二値化画像の特定の端部内で非背景画素を抽出する。連結判定部163は、抽出した非背景画素毎に、その特定の端部に対応する裏面二値化画像の端部において、各非背景画素が存在する位置に対応する位置(二つの端部が隣接している場合に接する位置)から所定範囲内に非背景画素が存在するか否かを判定する。連結判定部163は、裏面二値化画像において対応する位置から所定範囲内に非背景画素が存在する、表面二値化画像の非背景画素の数を各端部の評価値として算出する。
次に、連結判定部163は、表面二値化画像の四つの端部の全てについて評価値を算出したか否かを判定する(ステップS404)。
まだ評価値を算出していない端部が存在する場合、連結判定部163は、処理をステップS403に戻し、まだ評価値を算出していない端部について評価値を算出する。表面二値化画像の全ての端部について評価値を算出した場合、連結判定部163は、評価値が最も高い表面二値化画像の端部に対応する表面画像の端部(同じ位置の端部)、及び、その端部に対応する裏面画像の端部を合成候補として抽出する(ステップS405)。
ステップS406〜S409の処理は、図10のステップS305〜S308の処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。
表面二値化画像及び裏面二値化画像内で非背景画素が存在する位置(座標)は、表面画像及び裏面画像内で非背景画素が存在する位置(座標)に対応している。即ち、連結判定部163は、表面画像の第1端部内で非背景画素が存在する位置に対応する裏面画像の第2端部内の位置から所定範囲内に非背景画素が存在する第1端部内の非背景画素の数に基づいて、第1端部と第2端部とが連結しているか否かを判定している。連結判定部163は、端部が連結しているか否かを、非背景画素の連続性に基づいて判定するため、判定精度を向上させることができる。
この連続判定処理で使用される所定範囲及び第2閾値は、所定の基準の一例であり、事前に設定され、図6のステップS208において変更される。
例えば、所定範囲の最小範囲は、1画素以内の範囲に設定され、所定範囲の最大範囲は、5画素以内の範囲に設定される。連結判定部163は、特徴検出部162が算出した確度が高い程、所定範囲が大きくなるように所定範囲を変更し、表面画像と裏面画像とが連結していると判定し易くする。また、端部毎に確度が算出されている場合、連結判定部163は、端部毎に、確度が高い程、所定範囲が大きくなるように所定範囲を変更し、その端部とその端部に対応する裏面画像の端部とが連結していると判定し易くする。
この連続判定処理で使用される比率及び/又は第2閾値は、図10の連続判定処理で使用される比率及び/又は第2閾値と同様にして、補正される。
なお、連結判定部163は、所定範囲、第2閾値及び比率の内の少なくとも一つを変更又は補正すればよく、任意の組合せに係るパラメータを変更又は補正してもよい。連結判定部163は、各パラメータを変更又は補正することにより、判定感度を容易且つ適切に調整することができる。
本実施形態に従った画像読取装置100も、上記した各効果と同様の効果を奏することができる。
図12は、さらに他の実施形態に従った連結判定処理の動作の例を示すフローチャートである。図12に示す連結判定処理は、図6に示すフローチャートのステップS208において図10に示す連結判定処理の代わりに、実行される。この実施形態に従った連結判定処理が実行される場合、画像読取装置100は、第1記憶装置140に複数の単語を予め記憶しておく。
最初に、連結判定部163は、公知のOCR(Optical Character Recognition)技術を利用して、表面画像及び裏面画像からそれぞれ文字を検出し、各文字を検出した位置(座標)を記憶する(ステップS501)。
次に、連結判定部163は、図10のステップS301と同様にして、表面画像の四つの端部のそれぞれに対応する裏面画像の端部を抽出する(ステップS502)。
次に、連結判定部163は、表面画像の四つの端部毎に評価値を算出する(ステップS503)。連結判定部163は、表面画像内で、特定の端部から所定距離内に検出された、その特定の端部の延伸方向と直交する方向に連続する文字群を抽出する。次に、連結判定部163は、裏面画像内でその特定の端部に対応する端部において各文字群の検出位置に対応する位置(二つの端部が隣接している場合に接する位置)から所定距離内に検出された、その端部の延伸方向と直交する方向に連続する文字群を抽出する。なお、文字群は、何文字でもよく、一文字でもよい。連結判定部163は、表面画像の各端部において抽出された文字群と、その端部に対応する裏面画像の端部から抽出された文字群とを繋げた文字群の内、第1記憶装置140に記憶された単語と一致する文字群の総数を各端部の評価値として算出する。
次に、連結判定部163は、表面画像の四つの端部の全てについて評価値を算出したか否かを判定する(ステップS504)。
まだ評価値を算出していない端部が存在する場合、連結判定部163は、処理をステップS503に戻し、まだ評価値を算出していない端部について評価値を算出する。表面画像の全ての端部について評価値を算出した場合、連結判定部163は、評価値が最も高い表面画像の端部、及び、その端部に対応する裏面画像の端部を合成候補として抽出する(ステップS505)。
次に、連結判定部163は、合成候補として抽出した端部について算出した評価値(総数)が第3閾値以上であるか否かを判定する(ステップS506)。
算出した評価値が第3閾値以上である場合、連結判定部163は、表面画像の合成候補の端部と裏面画像の合成候補の端部とが連結していると判定し(ステップS507)、一連のステップを終了する。
一方、算出した評価値が第3閾値未満である場合、連結判定部163は、表面画像の端部と裏面画像の端部とが連結していないと判定し(ステップS508)、一連のステップを終了する。
表面画像から抽出された文字群と裏面画像から抽出された文字群とを繋げた文字群が、予め登録された単語と一致する場合、表面画像及び裏面画像からそれぞれ抽出された文字群の内、最も端部側に位置する各文字は相互に対応していることを意味する。即ち、連結判定部163は、裏面画像から検出された文字の内、表面画像から検出された文字に対応する文字の総数を第3閾値と比較した結果に基づいて、第1端部と第2端部とが連結しているか否かを判定している。連結判定部163は、端部が連結しているか否かを、文字の連続性に基づいて判定するため、判定精度を向上させることができる。
この連続判定処理で使用される第3閾値は、所定の基準の一例であり、事前に設定され、図6のステップS208において変更される。
第3閾値は、例えば、1単語以上且つ3単語以下の値に設定される。また、連結判定部163は、確度が高い程、第3閾値が小さくなるように第3閾値を補正し、表面画像と裏面画像とが連結していると判定し易くする。なお、連結判定部163は、確度が高い程、算出した評価値が大きくなるように、評価値を補正してもよい。また、端部毎に確度が算出されている場合、連結判定部163は、端部毎に、確度が高い程、その端部と比較する第3閾値が小さくなるように第3閾値を補正し、その端部とその端部に対応する裏面画像の端部とが連結していると判定し易くする。なお、連結判定部163は、端部毎に、確度が高い程、その端部について算出した評価値が大きくなるように、評価値を補正してもよい。連結判定部163は、各パラメータを変更又は補正することにより、判定感度を容易且つ適切に調整することができる。
本実施形態に従った画像読取装置100も、上記した各効果と同様の効果を奏することができる。
図13は、他の実施形態に従った第1処理回路180の概略構成を示すブロック図である。
第1処理回路180は、第1CPU160の代わりに、全体処理、判定処理及び連結判定処理等を実行する。第1処理回路180は、画像生成回路181、特徴検出回路182、連結判定回路183、合成回路184及び画像出力回路185等を有する。
画像生成回路181は、画像生成部の一例であり、画像生成部161と同様の機能を有する。画像生成回路181は、撮像装置118から表面入力画像及び裏面入力画像を取得し、取得した各画像から表面画像及び裏面画像を生成して特徴検出回路182、連結判定回路183、合成回路184及び画像出力回路185に出力する。
特徴検出回路182は、特徴検出部の一例であり、特徴検出部162と同様の機能を有する。特徴検出回路182は、超音波センサ114から出力信号を、画像生成回路181から表面画像及び裏面画像をそれぞれ取得し、取得した各情報から、搬送された原稿の特徴を検出し、検出した特徴を示す特徴情報を連結判定回路183に出力する。
連結判定回路183は、連結判定部の一例であり、連結判定部163と同様の機能を有する。連結判定回路183は、画像生成回路181から表面画像及び裏面画像を、特徴検出回路182から特徴情報をそれぞれ取得し、取得した各情報に基づいて、表面画像の第1端部と裏面画像の第2端部とが連結しているか否かを判定する。連結判定回路183は、判定結果を合成回路184に出力する。
合成回路184は、合成部の一例であり、合成部164と同様の機能を有する。合成回路184は、画像生成回路181から表面画像及び裏面画像を、連結判定回路183から判定結果をそれぞれ取得し、第1端部と第2端部とが連結していると判定された場合、表面画像と裏面画像を合成し、画像出力回路185に出力する。
画像出力回路185は、画像出力部の一例であり、画像出力部165と同様の機能を有する。画像出力回路185は、画像生成回路181から表面画像及び裏面画像を、合成回路184から合成画像をそれぞれ取得し、取得した画像を第1インタフェース装置135に出力する。
本実施形態に従った画像読取装置100も、上記した各効果と同様の効果を奏することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。例えば、情報処理装置200が全体処理の一部を実行してもよい。その場合、第2記憶装置220が、第1記憶装置140に記憶された各プログラム及び各データを記憶し、第2CPU240が、第1CPU160における各部として機能する。または、第2処理回路260が、第1処理回路180が有する各回路を有する。
例えば、図6のステップS104において、第1CPU160は、取得した表面入力画像及び裏面入力画像を第1インタフェース装置135を介して情報処理装置200に送信する。情報処理装置200は、第2インタフェース装置203を介して表面入力画像及び裏面入力画像を取得し、表面画像及び裏面画像を生成する。また、ステップS105において、第1CPU160は、取得した出力信号を第1インタフェース装置135を介して情報処理装置200に送信する。情報処理装置200は、第2インタフェース装置203を介して出力信号を取得する。情報処理装置200は、ステップS106〜S108の処理を実行し、ステップS109の処理は省略される。
なお、画像読取装置及び情報処理装置の各部を画像読取装置と情報処理装置の何れに配置するかは適宜変更可能である。また、クラウドコンピューティングの形態で画像処理のサービスを提供できるように、ネットワーク上に複数の情報処理装置を分散して配置し、各情報処理装置が協働して、各処理を分担してもよい。