図1は、本発明の一の実施の形態に係る基板処理装置1の構成を示す図である。基板処理装置1は、半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)を1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、基板9に処理液を供給して処理を行う。図1では、基板処理装置1の構成の一部を断面にて示す。
基板処理装置1は、チャンバ11と、基板保持部31と、基板回転機構33と、カップ部4と、処理液供給部5と、処理液排出部6と、制御ユニット7とを備える。チャンバ11の内部には、基板保持部31およびカップ部4等が収容される。制御ユニット7は、基板処理装置1の各構成を制御する。制御ユニット7は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶するROMおよび各種情報を記憶するRAM等を含む一般的なコンピュータシステムである。
基板保持部31は、上下方向を向く中心軸J1を中心とする略円板状の部材である。基板9は、基板保持部31の上方に配置される。基板9は、チャンバ11内において水平状態にて基板保持部31により保持される。基板回転機構33は、基板保持部31の下方に配置される。基板回転機構33は、中心軸J1を中心として基板9を基板保持部31と共に回転する。基板回転機構33は、有蓋略円筒状の回転機構収容部34の内部に収容される。
処理液供給部5は、基板9に複数種類の処理液を個別に供給する。処理液供給部5は、第1ノズル51と、第2ノズル52と、第3ノズル53とを備える。第1ノズル51および第2ノズル52はそれぞれ、基板9の上方から基板9の上側の主面(以下、「上面91」という。)に向けて処理液を供給する。第1ノズル51から基板9に処理液の供給が行われている状態では、第2ノズル52および第3ノズル53は、基板9の径方向外側へと退避している。第2ノズル52から基板9に処理液の供給が行われる際には、第1ノズル51および第3ノズル53が基板9の径方向外側へと退避し、第2ノズル52が基板9の上方に位置する。第3ノズル53は、基板9の上方から基板9の上面91の周縁領域(すなわち、エッジ部)に向けて処理液を供給する。図1では、第1ノズル51、第2ノズル52および第3ノズル53を、基板9の上方に描いている。図1に例示するように、処理液供給部5は、基板9の下方に配置されて基板9の下側の主面に処理液を供給する下部ノズルも備えてもよい。
カップ部4は、中心軸J1を中心とする環状の部材であり、基板9および基板保持部31の周囲に配置される。カップ部4は、上カップ部41と、下カップ部42と、カップ移動機構43とを備える。上カップ部41は、中心軸J1を中心とする略円筒状の部材である。上カップ部41は、基板9および基板保持部31の径方向外側に配置され、基板9および基板保持部31の側方を全周に亘って覆う。上カップ部41は、回転中の基板9から周囲に向かって飛散する処理液等を受ける。カップ移動機構43は、上カップ部41を上下方向に移動する。上カップ部41は、図1に示す基板9の周囲の位置である処理位置と、当該処理位置よりも下方の退避位置との間を、カップ移動機構43により移動する。
下カップ部42は、中心軸J1を中心とする有底略円筒状の部材である。下カップ部42は、上カップ部41の下方にて回転機構収容部34の径方向外側に配置される。下カップ部42は、例えば、回転機構収容部34の外側面に固定される。下カップ部42は、上カップ部41の下部に接続される。具体的には、上カップ部41の下端部が、下カップ部42の内部に挿入される。下カップ部42は、上カップ部41にて受けられた処理液等を受ける。下カップ部42の底部には、下カップ部42にて受けられた処理液等を排出する排液ポート44が設けられる。排液ポート44には、処理液等をチャンバ11の外部へと導く処理液排出部6の共通排液管61が接続される。共通排液管61は、排液ポート44から下方に延びる。共通排液管61は、例えば、略鉛直下方に延びてもよく、上下方向に対して傾斜しつつ下方に延びてもよい。
図2は、基板処理装置1の処理液供給部5および処理液排出部6を示すブロック図である。図2では、処理液供給部5および処理液排出部6以外の構成も併せて示す。第1ノズル51は、薬液供給源54、基板洗浄液供給源55およびIPA(イソプロピルアルコール)供給源56に接続される。第2ノズル52は、充填剤溶液供給源57に接続される。第3ノズル53は、IPA供給源56に接続される。
薬液供給源54から送出された薬液は、第1ノズル51を介して基板9の上面91の中央部に供給される。薬液としては、例えば、フッ酸または水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液等のエッチング液が利用される。基板洗浄液供給源55から送出された基板洗浄液も、第1ノズル51を介して基板9の上面91の中央部に供給される。基板洗浄液としては、例えば、純水(DIW:deionized water)や炭酸水が利用される。IPA供給源56から第1ノズル51へと送出されたIPAは、第1ノズル51を介して基板9の上面91の中央部に供給される。
第1ノズル51の下端には、例えば、薬液用、洗浄液用およびIPA用の複数の吐出口が設けられており、種類の異なる処理液は、異なる配管および吐出口を介して基板9の上面91に供給される。処理液供給部5では、例えば、第1ノズル51に代えて、薬液、洗浄液およびIPAを基板9の上面91の中央部にそれぞれ供給する複数の処理液ノズルが設けられてもよい。
充填剤溶液供給源57から第2ノズル52へと送出された充填剤溶液は、第2ノズル52を介して基板9の上面91の中央部に供給される。充填剤溶液としては、例えば、固体の溶質であるポリマーを溶媒に溶かした溶液が利用される。ポリマーが非水溶性である場合、溶媒としては、例えばIPAが利用される。当該ポリマーは、基板9上において溶媒が気化することにより固化し、基板処理装置1とは別の装置において昇華されるものであり、昇華剤とも呼ばれる。また、充填剤溶液は、溶媒とは異なる特定の液体(例えば、水)と混ざることにより、相分離を起こしてゲル状物質となる性質を有する。
IPA供給源56から第3ノズル53へと送出されたIPAは、第3ノズル53を介して基板9の上面91の周縁領域に供給される。
基板処理装置1における基板9の処理は、例えば、薬液処理、洗浄処理、IPA置換処理、充填剤充填処理、エッジリンス処理および乾燥処理の順で行われる。具体的には、まず、回転中の基板9に対して第1ノズル51から薬液が供給されることにより、基板9に対する薬液処理が行われる。続いて、薬液の供給が停止され、回転中の基板9に対して第1ノズル51から洗浄液が供給されることにより、基板9に対する洗浄処理が行われる。次に、洗浄液の供給が停止され、回転中の基板9に対して第1ノズル51からIPAが供給されることにより、基板9上の洗浄液がIPAに置換される。
さらに、IPAの供給が停止され、回転中の基板9に対して第2ノズル52から充填剤溶液が所定時間だけ供給された後、基板9の回転速度が低下され、基板9の上面91全体が充填剤溶液により覆われた状態が維持される。これにより、基板9の上面91上のパターン間に充填剤溶液が充填される。その後、基板9の回転速度が増大され、基板9の上面91の周縁領域に第3ノズル53からIPAが供給されることにより、基板9の周縁領域の充填剤溶液を除去するエッジリンス処理が行われる。そして、基板9の回転速度が増大され、基板9の乾燥処理が行われる。上記処理中に基板9上に供給された薬液、洗浄液、IPAおよび充填剤溶液は、カップ部4により受けられ、排液ポート44を介して処理液排出部6の共通排液管61へと排出される。
処理液排出部6は、上述の共通排液管61に加えて、切り替えバルブ62と、液検出部64と、臨時排液部65とを備える。共通排液管61は、処理液供給部5から基板9に供給された複数種類の処理液をチャンバ11の外部へと導く排液管である。切り替えバルブ62は、チャンバ11の外部にて共通排液管61に接続される。切り替えバルブ62は、共通排液管61によりチャンバ11から導かれた複数種類の処理液の送液先を切り替える。
図2に示す例では、切り替えバルブ62には、3本の送液管621a,621b,621cが接続されている。切り替えバルブ62は、3つのバルブ62a,62b,62cを有する、いわゆる三連バルブである。切り替えバルブ62では、内蔵されたバルブ62a,62b,62cを切り替えることにより、共通排液管61から流入する液体を、3本の送液管621a,621b,621cの任意のいずれか(複数の送液管が選択されてもよい。)へと導くことができる。また、切り替えバルブ62のバルブ62a,62b,62cの全てを閉鎖状態とすることにより、3本の送液管621a,621b,621cのいずれにも液体を導かず、切り替えバルブ62内に液体を一時的に貯溜することもできる。切り替えバルブ62では、例えば、チャンバ11から排出されたIPAは、図中の最も上側の送液管621aへと導かれる。また、チャンバ11から排出された充填剤溶液は、図中の上側から2番目の送液管621bへと導かれる。さらに、チャンバ11から排出された薬液および基板洗浄液は、図中の最も下側の送液管621cへと導かれる。
臨時排液部65は、共通排液管61に接続される。図2に示す例では、臨時排液部65は、チャンバ11の外部において共通排液管61に接続される。換言すれば、臨時排液部65は、チャンバ11と切り替えバルブ62との間にて共通排液管61に接続される。液検出部64は、臨時排液部65における処理液の存否を検出する。液検出部64は、例えば、後述する臨時排液管652を挟んで向かい合う投光部および受光部を備えた光学センサ、あるいは、臨時排液管652の壁面に取り付けられた静電容量センサ等のセンサを備える。
図3は、臨時排液部65および液検出部64の一の好ましい構造を示す図である。図3では、共通排液管61の一部も併せて描いている。図3に示すように、共通排液管61は、第1排液管611と、第2排液管612とを備える。第1排液管611は、第2排液管612の上方に位置する。第1排液管611と第2排液管612とは、臨時排液部65が接続される位置にて接続される。具体的には、第1排液管611の下端部が第2排液管612の上端部に上側から挿入されることにより、第1排液管611と第2排液管612とが接続される。第2排液管612の上端部の内径は、第1排液管611の下端部の外径よりも大きい。このため、第1排液管611と第2排液管612とが径方向に重なる範囲において、第1排液管611の外側面と第2排液管612の内側面との間には、共通排液管61の内部および外部に連続する間隙(以下、「排液管間隙613」という。)が設けられる。換言すれば、排液管間隙613は、共通排液管61の内部と外部とを連通する。
臨時排液部65は、受液部651と、臨時排液管652と、臨時排液バルブ653とを備える。受液部651は、有蓋および有底の略円筒状の部材である。受液部651は、第1排液管611の上記下端部および第2排液管612の上記上端部の周囲を囲む位置にて共通排液管61に取り付けられる。換言すれば、受液部651は、排液管間隙613の周囲を囲む。
臨時排液管652は、受液部651の底部に接続され、受液部651から下方へと延びる。臨時排液管652は、好ましくは、共通排液管61よりも細い配管である。例えば、共通排液管61の外径および内径は19mmおよび16mmであり、臨時排液管652の外径および内径は8mmおよび6mmである。臨時排液バルブ653は、臨時排液管652上に設けられ、臨時排液管652内の液体の流れを調節する。臨時排液バルブ653は、通常、基板9の処理の際には閉鎖状態とされている。液検出部64は、受液部651と臨時排液バルブ653との間にて、臨時排液管652に取り付けられる。液検出部64は、臨時排液管652上の所定の検出位置において、臨時排液管652内の液体の存否を検出する。
基板処理装置1では、図3中において平行斜線を付して示すように、処理液81が共通排液管61内を正常に流れている場合、共通排液管61内の処理液81は全て切り替えバルブ62(図2参照)へと導かれ、臨時排液部65には流れない。一方、共通排液管61における処理液81の流れが滞った際には(すなわち、チャンバ11からの処理液81の排液が滞った際には)、図4に示すように、共通排液管61内の処理液が臨時排液部65に導かれる。共通排液管61における処理液81の流れが滞る原因として、例えば、基板9の処理に利用された充填剤溶液と純水とが混ざって生じたゲル状物質により切り替えバルブ62が詰まった場合が挙げられる。
図4に示すように、共通排液管61における流れが滞った処理液81の一部は、排液管間隙613を介して共通排液管61の外部へと流出し、臨時排液部65の受液部651にて受けられる。受液部651にて受けられた処理液81は、臨時排液管652へと流入し、閉鎖状態の臨時排液バルブ653により堰き止められる。このため、臨時排液管652内に処理液81が貯溜され、臨時排液管652内の当該処理液81が液検出部64により検出される。
基板処理装置1では、臨時排液管652内における処理液81の存在が液検出部64により検出されると、制御ユニット7が図示省略のアラーム等の報知手段を制御することにより、作業者に対し、共通排液管61内の処理液81の流れに滞りが生じたことが報知される。そして、作業者により、基板処理装置1による基板9の処理(すなわち、基板9に対する処理液の供給)が停止されることにより、共通排液管61からカップ部4へと処理液81が逆流することが防止される。
基板処理装置1では、作業者への上記報知が行われる際に、あるいは、上記報知の後で、制御ユニット7により臨時排液バルブ653が開放され、共通排液管61から臨時排液部65へと流入する処理液81が排出されてもよい。これにより、共通排液管61内の処理液81の流れが滞っている状態であっても、共通排液管61からカップ部4へと処理液81が逆流することが防止される。したがって、作業者は、処理中の1枚の基板9の処理が終了するまで待機した後、基板処理装置1を停止してもよい。なお、上述の作業者による基板9の処理の停止や臨時排液バルブ653の開放は、必ずしも作業者によって行われる必要はなく、制御ユニット7が、作業者への報知に伴って、適切なタイミングで(例えば、作業者への報知と同時に)自動的に実行するように構成してもよい。
以上に説明したように、基板処理装置1は、チャンバ11と、基板保持部31と、処理液供給部5と、共通排液管61と、臨時排液部65と、液検出部64とを備える。基板保持部31は、チャンバ11内において基板9を保持する。共通排液管61は、基板9に供給された処理液をチャンバ11の外部へと導く排液管である。臨時排液部65は、共通排液管61に接続され、共通排液管61における処理液の流れが滞った際に、共通排液管61内の処理液が導かれる。液検出部64は、臨時排液部65における処理液の存否を検出する。
このように、基板処理装置1では、処理液の流れが滞った際に、正常時に処理液が流れる共通排液管61とは異なる臨時排液部65へと処理液を導き、当該臨時排液部65において処理液を検出することにより、基板9の処理中(すなわち、共通排液管61を処理液が流れている状態)であっても、共通排液管61内の処理液の流れ(すなわち、排液の流れ)の滞りを常時監視することができる。その結果、共通排液管61や切り替えバルブ62が詰まった場合であっても、処理液が逆流してチャンバ11内に溢れることを防止または抑制することができる。
また、臨時排液部65では、臨時排液管652に処理液が一時的に貯溜される。換言すれば、臨時排液部65は、共通排液管61から導かれた処理液を一時的に貯溜可能な一時貯溜部を備える。そして、液検出部64が、当該一時貯溜部に一時的に貯溜された処理液の存否を検出する。これにより、臨時排液管652を流れている処理液の存否を検出する場合に比べて、処理液の検出精度を向上することができる。その結果、共通排液管61内の排液の流れの滞りを、高い精度にて常時監視することができる。
なお、上記説明では、臨時排液管652が一時貯溜部に相当するが、受液部651も、当該一時貯溜部の一部と見なされてもよい。また、液検出部64は、受液部651に取り付けられ、受液部651内に一時的に貯溜された処理液の存否が液検出部64により検出されてもよい。この場合、受液部651が、共通排液管61から導かれた処理液を一時的に貯溜可能な一時貯溜部である。
上述のように、基板処理装置1では、基板9に供給される処理液が、固体の溶質を溶媒に溶かした溶液を含む。基板処理装置1では、上述のように、共通排液管61内の排液の流れの滞りを常時監視することができるため、基板処理装置1の構造は、溶媒の気化や他の処理液との混液により溶質が固化する可能性が高い処理液を使用する基板処理装置に特に適している。
上述の基板処理装置1では、処理液供給部5が、基板9に複数種類の処理液を個別に供給する。また、基板処理装置1は、切り替えバルブ62をさらに備える。切り替えバルブ62は、チャンバ11の外部にて共通排液管61に接続され、当該複数種類の処理液の送液先を切り替える。臨時排液部65は、チャンバ11と切り替えバルブ62との間にて共通排液管61に接続される。これにより、例えば、充填剤溶液と純水とが混ざって生じたゲル状物質により切り替えバルブ62が詰まった場合であっても、当該詰まりを容易かつ精度良く検出することができる。したがって、基板処理装置1の構造は、内部構造が複雑で詰まりが生じる可能性がある切り替えバルブ62を備える基板処理装置に特に適している。
上述の基板処理装置1では、様々な変更が可能である。
臨時排液部65の構造は、上述の例には限定されず、様々に変更されてよい。例えば、臨時排液部65は、共通排液管61から導かれた処理液を一時的に貯溜可能な一時貯溜部を必ずしも備える必要はない。一時貯溜部が設けられない場合、液検出部64は、共通排液管61から導かれて臨時排液管652を流れる処理液の存否を検出し、当該処理液が検出された際に、共通排液管61における処理液の流れの滞りが生じた旨の報知が行われる。この場合、臨時排液バルブ653は、常に開放状態であってもよく、設けられなくてもよい。
臨時排液部65では、共通排液管61から導かれた処理液は、必ずしも臨時排液部65外へと排出される必要はない。例えば、受液部651が、共通排液管61から導かれる処理液を収容することができる容積を有している場合、共通排液管61から導かれた処理液は受液部651から排出されず、受液部651にて貯溜されてもよい。この場合、液検出部64は受液部651に取り付けられる。また、臨時排液管652および臨時排液バルブ653は臨時排液部65から省略されてもよい。
図5は、臨時排液部および液検出部の他の好ましい構造を示す図である。図5に示す臨時排液部65aは、図3に示すものと同様の受液部651と、臨時排液管652aとを備える。臨時排液管652aは、受液部651の底部に接続される。臨時排液管652aは、受液部651から下方へと延び、第1屈曲部654にて屈曲して上方へと延び、さらに第2屈曲部655にて屈曲して下方へと延びる。換言すれば、臨時排液管652aは、U字部である第1屈曲部654を含む。第2屈曲部655は、チャンバ11の底部よりも下方に位置する。
共通排液管61から臨時排液部65aに導かれた処理液は、臨時排液管652aの第1屈曲部654から第2屈曲部655に至る部位に一時的に貯溜される。すなわち、臨時排液管652aの第1屈曲部654から第2屈曲部655に至る部位は、共通排液管61から導かれた処理液を一時的に貯溜可能な一時貯溜部である。液検出部64は、例えば、臨時排液管652aの第2屈曲部655に取り付けられ、当該一時貯溜部に一時的に貯溜された処理液の存否を検出する。これにより、臨時排液部65aにおいて、処理液の検出精度を向上することができる。その結果、共通排液管61内の排液の流れの滞りを、高い精度にて常時監視することができる。また、臨時排液部65aでは、臨時排液バルブを設けることなく、処理液の一時的な貯溜を可能とすることができるため、臨時排液部65aの構造を簡素化することができる。なお、液検出部64は、当該一時貯溜部のいずれの位置に取り付けられてもよい。
なお、臨時排液管652aは、受液部651の側部のうち底部近傍の部位に接続されてもよい。また、臨時排液管652aから第1屈曲部654が省略され、臨時排液管652aが受液部651の側部から斜め上方へと分岐して第2屈曲部655に至ってもよい。この場合、臨時排液管652aのうち、受液部651と第2屈曲部655との間の部位が、共通排液管61から導かれた処理液を一時的に貯溜可能な一時貯溜部となる。
図6は、臨時排液部および液検出部の他の好ましい構造を示す図である。図6に示す臨時排液部65bは、臨時排液管652bを備える。図6では、共通排液管61bの第1排液管611の下端部と、第2排液管612の上端部とが、分岐継手614により接続される。臨時排液管652bは、分岐継手614に接続される。臨時排液管652bは、分岐継手614から僅かに側方へと延び、第1屈曲部656にて屈曲して上方へと延び、さらに第2屈曲部657にて屈曲して下方へと延びる。第2屈曲部657は、チャンバ11の底部よりも下方に位置する。換言すれば、臨時排液管652bは、共通排液管61bから直接的に分岐して上方に延びる分岐配管である。また、分岐継手614は、共通排液管61bから臨時排液管652bが分岐する分岐点である。
共通排液管61bから臨時排液部65bに導かれた処理液は、分岐継手614と臨時排液管652bの第2屈曲部657との間に一時的に貯溜される。すなわち、臨時排液管652bのうち、分岐継手614と第2屈曲部657との間の部位は、共通排液管61から導かれた処理液を一時的に貯溜可能な一時貯溜部である。液検出部64は、分岐継手614と臨時排液管652bの第2屈曲部657との間に取り付けられ、一時的に貯溜された処理液の存否を検出する。これにより、臨時排液部65bにおいて、処理液の検出精度を向上することができる。その結果、共通排液管61b内の排液の流れの滞りを、高い精度にて常時監視することができる。また、臨時排液部65bでは、受液部および臨時排液バルブ等を設けることなく、処理液の一時的な貯溜を可能とすることができるため、臨時排液部65bの構造を簡素化することができる。
なお、臨時排液部65bでは、臨時排液管652bから第1屈曲部656が省略され、臨時排液管652bが分岐継手614から斜め上方へと分岐して第2屈曲部657に至ってもよい。この場合も、臨時排液管652bのうち、分岐継手614と第2屈曲部657との間の部位が、共通排液管61から導かれた処理液を一時的に貯溜可能な一時貯溜部となる。また、臨時排液部65bでは、分岐継手614と臨時排液管652bとの間に、臨時排液管652bよりも太く、かつ、共通排液管61よりも細い接続配管が設けられてもよい。これにより、上述のゲル状物質により臨時排液管652bが詰まることを抑制することができる。
図7は、臨時排液部および液検出部の他の好ましい構造を示す図である。図7に示す臨時排液部65cは、臨時排液管652cを備える。図7に示す例では、図6に示す例と同様に、共通排液管61cの第1排液管611の下端部と、第2排液管612の上端部とが、分岐継手614により接続される。共通排液管61cでは、第1排液管611が、略水平に延びる水平部611cを含む。
臨時排液管652cは、分岐継手614に接続される。臨時排液管652cは、分岐継手614から側方へと略水平に延び、第1屈曲部656cにて屈曲して上方へと延び、第2屈曲部657cにて屈曲して側方へと略水平に延びる。臨時排液管652cは、さらに、第3屈曲部658cにて屈曲して下方へと延び、第1排液管611の水平部611c上に設けられた分岐継手615にて、第1排液管611に合流する。換言すれば、臨時排液管652cは、共通排液管61cと略平行に延びるバイパスラインである。第2屈曲部657cおよび第3屈曲部658cは、チャンバ11の底部よりも下方、かつ、分岐継手614,615よりも上方に位置する。分岐継手615は、分岐継手614よりも上方に位置する。
液検出部64は、例えば、分岐継手614と臨時排液管652cの第2屈曲部657cとの間にて、臨時排液管652cに取り付けられる。液検出部64は、好ましくは、臨時排液管652cの第1屈曲部656cと第2屈曲部657cとの間に取り付けられる。液検出部64は、分岐継手614よりも上方に位置する。液検出部64の構造は、例えば上記と同様である。
臨時排液部65cは、臨時排液管652cに接続されるガス送出部659を備える。ガス送出部659は、例えば、臨時排液管652cに接続された排気ポートである。図7に示す例では、ガス送出部659は、臨時排液管652cの第2屈曲部657cに接続される。ガス送出部659は、臨時排液管652c内のガスを、臨時排液管652cの外部(すなわち、処理液排出部6の外部)へと送出する。
共通排液管61cの流れが滞った際には、共通排液管61c内の処理液は、分岐継手614から臨時排液部65cの臨時排液管652cへと流入する。共通排液管61cから臨時排液部65cへと導かれた処理液は、臨時排液管652c内にて上方へと移動する。臨時排液管652c内のガスは、ガス送出部659を介して臨時排液管652cの外部へと送出される。臨時排液管652c内において上方へと移動した処理液は、分岐継手615にて共通排液管61c内の処理液と合流する。臨時排液管652cでは、共通排液管61cから導かれた処理液が、分岐継手614と分岐継手615との間にて一時的に貯溜される。すなわち、臨時排液管652cは、共通排液管61cから導かれた処理液を一時的に貯溜可能な一時貯溜部である。
液検出部64は、臨時排液管652cに一時的に貯溜された処理液の存否を検出する。これにより、臨時排液部65cにおいて、処理液の検出精度を向上することができる。その結果、共通排液管61c内の排液の流れの滞りを、高い精度にて常時監視することができる。具体的には、液検出部64は、臨時排液管652cにおいて第1屈曲部656cよりも上側まで貯溜された処理液を検出する。
図7に示す例では、上述のように、臨時排液管652cは、分岐点である分岐継手614にて共通排液管61cから直接的に分岐して上方へと延びる分岐配管である。これにより、臨時排液部65cにおいて、受液部および臨時排液バルブ等を設けることなく、処理液の一時的な貯溜を可能とすることができる。その結果、臨時排液部65cの構造を簡素化することができる。また、臨時排液管652cは、共通排液管61cの分岐継手614よりも上方に位置する合流点である分岐継手615にて共通排液管61cに合流する分岐配管である。これにより、共通排液管61cから臨時排液部65cへと導かれた処理液を、処理液排出部6の外部へと排出する必要がないため、臨時排液部65cの構造をさらに簡素化することができる。
臨時排液部65cは、臨時排液管652cに接続されて臨時排液管652c内のガスを送出するガス送出部659をさらに備える。これにより、共通排液管61cから臨時排液管652cに処理液が流入した際に、臨時排液管652c内のガスを容易に排出することができる。したがって、臨時排液管652cにおいて、処理液が、分岐継手614から液検出位置(すなわち、液検出部64が配置される位置)へと容易に移動する。その結果、臨時排液部65cにおいて、処理液の検出精度をさらに向上することができる。
上述のように、臨時排液管652cは、第3屈曲部658cにて屈曲して下方へと延び、第1排液管611に合流する。このため、処理液が共通排液管61cを正常に流れている状態(すなわち、共通排液管61cの流れが滞っていない状態)において、処理液が分岐継手615から臨時排液管652cに流入することを抑制することができる。その結果、液検出部64により、共通排液管61cの詰まりが生じたと誤って判断される可能性を低減することができる。
臨時排液部65cでは、臨時排液管652cから第1屈曲部656cが省略され、臨時排液管652cが分岐継手614から斜め上方へと(すなわち、水平方向よりも上向きに傾斜する方向へと)分岐して第2屈曲部657cに至ってもよい。この場合、処理液が共通排液管61cを正常に流れている状態において、処理液が分岐継手614から臨時排液管652cに流入することを、さらに抑制することができる。その結果、液検出部64により、共通排液管61cの詰まりが生じたと誤って判断される可能性を低減することができる。
臨時排液管652cは、例えば、分岐継手615から斜め上方へと延びてもよい。あるいは、臨時排液管652cは、第1配管611の上下方向に延びる部位から略水平に延びてもよい。この場合、水平部611cは第1配管611から省略されてもよい。また、臨時排液管652cと分岐継手614,615との接続部には、処理液が共通排液管61cを正常に流れている状態において、共通排液管61cから臨時排液管652cへの処理液の流入を抑制する構造(例えば、弁または隔壁)が設けられてもよい。
なお、臨時排液部65cでは、分岐継手614と臨時排液管652cとの間に、臨時排液管652cよりも太く、かつ、共通排液管61cよりも細い接続配管が設けられてもよい。これにより、上述のゲル状物質により臨時排液管652cが詰まることを抑制することができる。
基板処理装置1では、処理液供給部5から基板9に供給される複数種類の処理液は、上述の例には限定されず、様々に変更されてよい。例えば、上記複数種類の処理液に、混ざることにより析出物を生じる酸性処理液およびアルカリ性処理液が含まれてもよい。あるいは、処理液供給部5から基板9に供給される処理液は1種類のみであってもよい。また、切り替えバルブ62は基板処理装置1から省略されてもよい。
上述の基板処理装置1は、半導体基板以外に、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、FED(field emission display)等の表示装置に使用されるガラス基板の処理に利用されてもよい。あるいは、上述の基板処理装置1は、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板等の処理に利用されてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。