JP5891065B2 - 基板処理装置および処理液吸引方法 - Google Patents

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Description

この発明は、ノズルからの処理液を用いた処理を基板に施すための基板処理装置、およびノズルに処理液を供給する処理液供給配管からの処理液の吸引方法に関する。処理液を用いた処理の対象になる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などの基板が含まれる。
半導体装置や液晶表示装置の製造工程には、半導体ウエハや液晶表示パネル用ガラス基板などの基板に対して処理液を用いた処理を施す基板処理装置が用いられる。このような基板処理装置には、複数枚の基板に対して一括して処理を施すバッチ型のものと、1枚ずつの基板に対して処理を施す枚葉型のものとがある。
枚葉型の基板処理装置は、基板をほぼ水平に保持して回転させるスピンチャックと、このスピンチャックに保持された基板に対して処理液を供給する処理液ノズルとを備えている。
図6は、処理液の供給のための構成を示す図解的な図である。処理液ノズル1には、処理液配管5が接続され、この処理液配管5には処理液バルブ6が介装されている。そして、この処理液バルブ6の開閉によって、基板Wへの処理液10の供給および供給停止を制御するようになっている。
処理液ノズル1は、水平部2と、この水平部2から垂下した垂下部3とを有し、垂下部3の下端が処理液吐出口4となっている。
処理液バルブ6と処理液ノズル1との間の処理液配管5からは、所定の分岐位置で吸引配管7が分岐している。この吸引配管7は、吸引バルブ8を介して吸引装置に接続されている。処理液バルブ6を閉じて処理液10の供給を停止するときには、吸引バルブ8が開かれ、処理液バルブ6よりも処理液ノズル1側の処理液配管5内の処理液が吸引される。処理液の吸引は、処理液先端面が水平部2にある所定の待機位置に後退するまで行われる。
特開2005−277211号公報
この場合、処理液先端面が水平部2に後退した時点で吸引バルブ8が閉じられる。
ところで、処理液バルブ6を閉じる際には、処理液配管5の処理液10の流通をいきなり止めるので(流速の急速な変化が生じるので)、いわゆるウォーターハンマー現象が発生し、処理液配管5の管内圧力が異常上昇するおそれがある。
ウォーターハンマー現象は、流体(すなわち処理液)の流れの運動エネルギーが圧力エネルギーに変換され、その圧力エネルギーの逃げ道がない場合に生じる。図6に示す構成では、処理液バルブ6を閉じた直後の状態では、処理液バルブ6と前記の分岐位置との間の処理液配管25内には処理液が満たされているとともに、吸引バルブ8よりも下流側の吸引配管7内にも処理液が満たされているので、圧力エネルギーの逃げ場がない。そのため、処理液バルブ6を閉じ動作によって、処理液配管5にウォーターハンマー現象が発生するおそれがある。そして、この場合、処理液配管5にはウォーターハンマー現象に起因する振動が発生し、その振動が処理液ノズル1に伝播する。図7は、ウォーターハンマー現象が発生した後の処理液ノズル1内の状態を示す図である。図7(a)は、この場合の垂下部3内の状態を示す横断面図であり、図7(b)は、図7(a)の後の吸引状態を示す処理液ノズル1の縦断面図である。
図7(a)に示すように、処理液ノズル1からの振動が処理液に伝わると、垂下部3の下端部にある処理液10が周方向に分散(ブレイク)して複数の液滴10Aを形成し、各液滴10Aが当該垂下部3の内壁に付着するようになる。
その後、吸引バルブ8による吸引に伴って、処理液先端面は上昇するが、図7(b)に示すように、垂下部3の内壁に付着した処理液の液滴10Aは、その分散状態のまま残留し、垂下部3の内壁に処理液の液滴10Aだけが付着するようになる。この場合、この液滴10Aが垂下部3の内壁を伝って処理液吐出口4から落下し、基板W上にぼた落ちする懸念がある。
処理液供給停止タイミング後に処理液の液滴10Aが基板W上にぼた落ちした場合には、基板W上の処理液の液滴10Aは、乾燥のための基板Wの高速回転による遠心力を受けて多数の微小液滴に分裂しつつ基板Wの表面を放射状に移動する。これにより、図8に示すように、基板Wの上面に多数の筋状のパーティクルPが放射状に形成される。
このような基板処理不良は、処理後の基板Wを検証して初めて発見されることが多く、ロット単位で多数の処理不良基板が生じ、大きな損失を招くという問題がある。
ノズル(処理液ノズル)の振動に起因する処理液液滴のぼた落ちは、処理液供給配管(処理液配管)のウォーターハンマー現象を、その直接の原因としている。そのため、ノズルからの処理液のぼた落ちを抑制または防止するために、処理液供給配管におけるウォーターハンマー現象の発生を抑制または防止することが望ましい。
そこで、この発明の一つの目的は、処理液供給配管におけるウォーターハンマー現象の発生を抑制または防止することにより、それに起因する基板処理不良を抑制または防止できる基板処理装置を提供することである。
また、この発明の他の目的は、処理液供給配管におけるウォーターハンマー現象の発生を抑制または防止できる処理液吸引方法を提供することである。
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)を処理するための処理液を吐出するノズル(12)と、このノズルに接続され、当該ノズルに処理液を供給する処理液供給配管(25)と、前記処理液供給配管に介装され、前記ノズルへの処理液の供給およびその停止を切り換えるための処理液バルブ(28)と、この処理液バルブと前記ノズルとの間に設定された分岐位置(36)で前記処理液供給配管に分岐接続され、前記処理液供給配管内の処理液を吸引して排出するための吸引配管(32)と、この吸引配管内を吸引する吸引手段(34)と、前記吸引配管に介装され、当該吸引配管を開閉するための吸引バルブ(33)と、前記吸引バルブと前記分岐位置との間の前記吸引配管内の所定位置における処理液を検出する処理液検出手段(41)と、前記処理液バルブが閉じられた状態で前記吸引バルブを開くことにより、前記吸引手段により、前記処理液バルブよりも下流側の前記処理液供給配管内および前記吸引バルブと前記分岐位置との間の前記吸引配管内を吸引し、前記処理液バルブよりも下流側の前記処理液供給配管および前記吸引バルブと前記分岐位置との間の前記吸引配管から処理液が排除された後に前記吸引バルブを閉じる吸引制御手段(55)とを含み、前記吸引制御手段は、前記処理液検出手段により処理液の存在が検出された場合には、前記吸引バルブの開成を継続する、基板処理装置である。
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、特許請求の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。以下、この項において同じ。
この構成によれば、吸引手段の作動状態では、吸引バルブを開くことにより、吸引手段により、処理液バルブよりも下流側の処理液供給配管の内部、および吸引バルブと分岐位置との間の吸引配管の内部が吸引される。そのため、処理液バルブが開状態から閉じられた状態で、吸引バルブを開くと、吸引手段によって、処理液バルブよりも下流側の処理液供給配管内の処理液および吸引バルブと分岐位置との間の吸引配管内の処理液が吸引される。そして、処理液バルブよりも下流側の処理液供給配管内および吸引バルブと分岐位置との間の吸引配管内から全ての処理液が排除された後に、吸引バルブを閉じる。そのため、吸引バルブを閉じた後には、処理液バルブよりも下流側の処理液供給配管および吸引バルブと分岐位置との間の吸引配管の内部に処理液は存在しない。
そして、次の処理液の吐出のために、処理液バルブが開かれると、処理液バルブよりも下流側の処理液供給配管内に処理液が満されるようになるが、吸引バルブが閉じ状態にあるために吸引配管の管内圧力が比較的高いので、処理液供給配管を流通する処理液が分岐位置から吸引配管側に進入することはない。換言すると、吸引バルブと分岐位置との間の吸引配管内には、処理液が存在していない。
また、処理液の吐出終了時には処理液バルブが閉じられる。この処理液バルブを閉じる際には、処理液供給配管を流通する処理液の流通がいきなり止められて、当該処理液の流速が急減速することがある。しかしながら、この場合には、処理液が存在していない吸引バルブと分岐位置との間の吸引配管内が、圧力エネルギーの逃げ道としての役割を果たすので、処理液供給配管の管内圧力が異常上昇することがほとんどない。すなわち、処理液供給配管におけるウォーターハンマー現象の発生を抑制または防止することができる。これにより、ノズルからの処理液のぼた落ちを抑制または防止することができ、基板処理不良を抑制または防止することができる。
また、処理液検出手段の出力が監視され、処理液検出手段によって処理液の存在が検出されれば、処理液バルブよりも下流側の処理液供給配管または吸引バルブと分岐位置との間の吸引配管から処理液が完全に排除されていないことがわかる。この場合には、吸引バルブの開成を継続することにより、処理液バルブよりも下流側の処理液供給配管および吸引バルブと分岐位置との間の吸引配管の吸引が続行される。
請求項記載の発明は、前記吸引制御手段は、前記処理液検出手段により処理液の存在が検出されなかった場合に、前記処理液バルブよりも下流側の前記処理液供給配管および前記吸引バルブと前記分岐位置との間の前記吸引配管から処理液が排除されたと判断して、前記吸引バルブを閉じる、請求項2記載の基板処理装置である。
この構成によれば、処理液検出手段によって処理液の存在が検出されなければ、処理液バルブよりも下流側の処理液供給配管および吸引バルブと分岐位置との間の吸引配管から処理液が完全に排除されたことがわかる。これにより、処理液バルブよりも下流側の処理液供給配管および吸引バルブと分岐位置との間の吸引配管に処理液が残留するのを、より一層防止することができる。
また、請求項に記載のように、前記吸引制御手段は、前記処理液バルブの閉じ動作と同時に、前記吸引バルブを開いてもよい。
前記の目的を達成するための請求項記載の発明は、基板(W)を処理するための処理液を吐出するノズル(12)と、このノズルに接続され、当該ノズルに処理液を供給する処理液供給配管(25)と、前記処理液供給配管に介装され、前記ノズルへの処理液の供給およびその停止を切り換えるための処理液バルブ(28)と、この処理液バルブと前記ノズルとの間に設定された分岐位置(36)で前記処理液供給配管に分岐接続され、前記処理液供給配管内の処理液を吸引して排出するための吸引配管(32)と、この吸引配管内を吸引する吸引手段(34)と、前記吸引配管に介装され、当該吸引配管を開閉するための吸引バルブ(33)と、前記吸引バルブと前記分岐位置との間の前記吸引配管内の所定位置における処理液を検出する処理液検出手段(41)とを備える基板処理装置(100)において実行される処理液吸引方法であって、前記処理液バルブが閉じられた状態で前記吸引バルブを開くことにより、前記吸引手段により、前記処理液バルブよりも下流側の前記処理液供給配管内および前記吸引バルブと前記分岐位置との間の前記吸引配管内を吸引し、前記処理液バルブよりも下流側の前記処理液供給配管および前記吸引バルブと前記分岐位置との間の前記吸引配管から処理液が排除された後に前記吸引バルブを閉じ、さらに、前記処理液検出手段により処理液の存在が検出された場合には、前記吸引バルブの開成を継続する、処理液吸引方法である。
この発明の方法によれば、請求項1に関連して述べた作用効果と同様な作用効果を奏することができる。
本発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示す図である。 処理液配管および吸引配管内の状態を説明するための図である(その1)。 図1に示す基板処理装置により実施される吸引処理の一例を説明するためのフローチャートである。 処理液配管および吸引配管内の状態を説明するための図である(その2)。 図1に示す基板処理装置により実施される吸引処理の他の例を説明するためのフローチャートである。 処理液の供給のための従来技術の図解的な図である。 処理液配管にウォーターハンマー現象が発生した後の処理液ノズル内の状態を示す図である。 基板処理不良の一例を示す図である。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置100の構成を模式的に示す図である。
この基板処理装置100は、半導体ウエハ等の円形の基板Wに処理液を供給して基板Wを処理するためのものである。この基板処理装置100は、内部で基板Wが処理される処理室51と、この処理室51に向けて処理液を供給するための処理液ユニット52とを備えている。
処理室51内には、スピンチャック11と、処理液ノズル12と、リンス液ノズル13と、ノズル保持機構16とが収容されている。スピンチャック11は、基板Wをほぼ水平に保持して鉛直軸線まわりに回転可能なスピンベース14と、このスピンベース14を鉛直軸線まわりに回転させる回転駆動機構15とを含む。
ノズル保持機構16は、ほぼ鉛直方向に沿って配置された回動軸18と、この回動軸18に対して水平方向に沿って取り付けられた揺動アーム19と、回動軸18を鉛直軸線まわりに所定の回動角度範囲で往復回動させることによって揺動アーム19を揺動させる揺動駆動機構20とを備えている。揺動アーム19の先端部には、処理液ノズル12が保持されている。したがって、揺動駆動機構20を作動させて、揺動アーム19を水平面に沿って揺動させることにより、処理液ノズル12から供給される処理液の着液点は、スピンチャック11に保持された基板Wの回転中心および周端縁を含む円弧形状の軌跡22を描いて移動することになる。これによって、処理液ノズル12は基板Wの上面全域をスキャンしながら処理液を供給する。
処理液ユニット52には、処理液供給機構17が収容されている。処理液供給機構17は、処理液ノズル12に処理液を供給する処理液配管(処理液供給配管)25と、処理液を貯留した処理液タンク26と、処理液タンク26から処理液を汲み出して処理液配管25へと送り込むポンプ27とを備えている。処理液配管25には、処理液の供給/停止を切り換えるための処理液バルブ28、処理液の流量を計測するための流量計29、および処理液配管25に送り込まれる処理液の温度を調整するための温度調節器30が介装されている。
処理液配管25は、処理液ユニット52を出て処理室51に入り、この処理室51内で処理液ノズル12に接続されている。処理液配管25と処理液ノズル12とは、別部品であってもよいし、処理液配管25の先端部を処理液ノズル12として用いてもよい。すなわち、同一部品で処理液配管25および処理液ノズル12を構成することもできる。
処理液配管25において温度調節器30と処理液バルブ28との間には、処理液を処理液タンク26へと帰還させるためのリターン配管31が分岐接続されている。処理液バルブ28が閉じられているときには、ポンプ27によって汲み出された処理液は、温度調節器30を通り、さらにリターン配管31を通って処理液タンク26へと帰還されることによって循環される。この処理液の循環によって、処理液の温度を基板Wの処理に適した一定の温度に保持することができる。
一方、処理液バルブ28の下流側、この実施形態では流量計29の下流側に設定された分岐位置36には、それよりも下流側の処理液配管25内の処理液を吸引するための吸引配管32が分岐接続されている。この実施形態では、分岐位置36は、処理液ユニット52内に設定されている。吸引配管32には、吸引バルブ33および流量調節バルブ24が分岐位置36側からこの順に介装されており、吸引配管32の先端(他端)が吸引装置(吸引手段)34へと接続されている。この実施形態では、吸引装置34は常時作動状態とされている。
吸引バルブ33と分岐位置36との間の吸引配管32には、吸引配管32内の処理液の存否を所定の液検出位置42で検出するための液検出センサ(処理液検出手段)41が配置されている。液検出センサ41は、たとえば静電容量型のセンサによって構成されており、吸引配管32の外周壁(図示しない)に直付け配置または近接配置されている。液検出センサ41は、液検出位置42の周囲の吸引配管32内の処理液の存否を検出し、その検出結果に応じた信号を出力するものである。液検出位置42よりも処理液先端面が前進している(処理液ノズル12側にある)とき、処理液が検出され、一方、液検出位置42よりも処理液先端面が後退している(吸引装置34側にある)とき、処理液が検出されないことになる。
基板処理装置100の各部を制御するために、制御ユニット(吸引制御手段)55が備えられている。この制御ユニット55には、液検出センサ41の出力が与えられるようになっている。制御ユニット55は、さらに、回転駆動機構15、揺動駆動機構20、吸引装置34および温度調節器30の動作を制御し、また、処理液バルブ28および吸引バルブ33を開閉制御し、流量計29の出力をモニタし、流量調節バルブ24を開度制御する。
スピンチャック11の側方には、基板Wの処理に先立ち、処理液ノズル12から処理液をプリディスペンスするためのプリディスペンスポッド38が配置されている。このプリディスペンスポッド38は、処理液ノズル12からプリディスペンスされる処理液を受けて、排液配管39へと導くようになっている。処理液のプリディスペンスを行うことにより、処理液配管25内に非温度調節状態の処理液が存在していれば、これを予め排出し尽くした後に、処理液ノズル12は、適切に温度調節された処理液を処理開始当初から基板Wに供給できる。
次に、基板処理装置100の動作について説明する。
未処理の基板Wは、基板搬送ロボット(図示しない)によって、処理室51内へと搬入され、スピンチャック11に受け渡される。基板搬送ロボットのハンドが処理室51から退出した後、回転駆動機構15によってスピンチャック11のスピンベース14が回転される。したがって、スピンチャック11に保持された基板Wが鉛直軸線まわりに回転される。揺動アーム19は、初期状態において、処理液ノズル12をプリディスペンスポッド38上に配置した退避位置にある。この状態で、処理液バルブ28が一定時間だけ開かれることにより、処理液バルブ28よりも上流側の処理液が処理液配管25を介して処理液ノズル12へと導かれ、処理液配管25内は温度調節された状態の処理液で満たされる。
このプリディスペンスを終了すると、処理液バルブ28が閉じられ、代わって、吸引バルブ33が開かれる。これにより、常時作動状態とされている吸引装置34の働きが有効化され、分岐位置36と処理液ノズル12との間の処理液配管25内に存在する処理液が吸引して排除される。吸引バルブ33は、所定時間だけ開成状態とされた後に閉成される。その後、揺動駆動機構20が作動され、揺動アーム19がスキャン開始位置へと移動させられる。スキャン開始位置は、たとえば、処理液ノズル12が基板Wの回転中心の直上に配置される位置であってもよいし、処理液ノズル12が基板Wの周縁部の直上に配置される位置であってもよい。
この状態から、処理液バルブ28が開かれる。それとともに、揺動駆動機構20は、基板Wの回転中心およびその周端部を含む所定の揺動範囲(基板Wの半径に相当する範囲または直径に相当する範囲)にわたって処理液の着液点が移動するように、往復揺動させられる。これにより、処理液配管25を介して処理液ノズル12から吐出される処理液が基板Wの全域に導かれ、この基板Wの表面に対する処理が行われる。
処理液タンク26に処理液としてふっ酸などの薬液を貯留し、この薬液を処理液ノズル12から基板W上に吐出した後には、揺動アーム19は、上述の退避位置へと退避させられ、その後、リンス液ノズル13から基板Wの回転中心に向けて純水(脱イオン水)その他のリンス液が供給される。このリンス液は、回転状態の基板W上で遠心力を受けてその全域へと広がり、基板W上の薬液を置換することになる。
こうして一定時間のリンス処理を行った後には、リンス液の供給を停止するとともに、回転駆動機構15によりスピンチャック11を高速回転させて、基板Wの表面の液滴を振り切るための乾燥処理が行われる。この乾燥処理の後、基板搬送ロボットにより、処理済の基板Wが処理室51から払い出される。
前述のようにプリディスペンスにおける処理液の吐出停止時には、吸引装置34により、処理液配管25内の処理液が吸引される。図2は、プリディスペンス時における処理液配管25および吸引配管32内の状態を説明するための図である。図3は、プリディスペンス時における吸引処理の一例を説明するためのフローチャートである。
処理液バルブ28が開かれると、処理液バルブ28よりも上流側の処理液が、処理液配管25を流通して処理液ノズル12へと導かれ、図2(a)に示すように、処理液ノズル12の処理液吐出口12Aから下方に向けて吐出される。
予め定めるプリディスペンス時間が経過すると、図2(b)に示すように、制御ユニット55は、処理液バルブ28を閉じて、処理液ノズル12の処理液吐出口12Aからの処理液の吐出を停止するとともに、吸引バルブ33を開く(ステップS1)。より詳しくは、制御ユニット55は、処理液バルブ28の閉じ動作と同時に、吸引バルブ33を開いている。吸引バルブ33の開成により、吸引装置34の働きが有効になり、吸引バルブ33と分岐位置36との間の吸引配管32内、および処理液バルブ28よりも下流側の処理液配管25(換言すると、処理液ノズル12と処理液バルブ28との間の処理液配管25)内が吸引される(図2(c)参照)。その後、制御ユニット55は、吸引時間T1の経過を待機する(ステップS2)。吸引時間T1は、吸引装置34による処理液配管25内の吸引により、処理液配管25内の処理液先端面を処理液ノズル12の処理液吐出口12Aから後退させて、吸引バルブ33よりも吸引装置34側に至らせるのに十分な時間に設定されている。
前記吸引時間T1の経過後には、制御ユニット55は、液検出センサ41の出力信号を監視する。液検出センサ41の出力信号に基づいて、制御ユニット55は、液検出位置42に処理液が存在するか否かを判断する(ステップS3)。処理液の存在が検出されると、処理液バルブ28よりも下流側の処理液配管25または吸引バルブ33と分岐位置36との間の吸引配管32から処理液が完全に排除されていないとして、制御ユニット55は、さらに延長時間T2の経過を待機する(ステップS4)。延長時間T2は、吸引時間T1よりも短い所定の時間に設定されている。延長時間T2の待機後、ステップS3の処理に戻る。すなわち、処理液の存在が検出されなくなるまで、延長時間T2の待機が繰り返される。
ステップS3において、液検出位置42に処理液の存在が検出されないときには、処理液バルブ28よりも下流側の処理液配管25内および吸引バルブ33と分岐位置36との間の吸引配管32内から全ての処理液が排除されたものと判断され、制御ユニット55は、吸引バルブ33を閉じる(ステップS5。図2(d)参照)。ステップS5で、吸引バルブ33が閉じられたと判断されると、吸引処理を終える。吸引処理の終了後には、処理液ノズル12よりも下流側の処理液配管25および吸引バルブ33と分岐位置36との間の吸引配管32の内部に処理液は存在しない。
図4は、基板Wへの処理液供給時における処理液配管25および吸引配管32内の状態を説明するための図である。
基板Wへの処理液供給時において、処理液の吐出のために処理液ノズル12が開かれると、処理液バルブ28よりも上流側の処理液が、処理液配管25を流通して処理液ノズル12へと導かれ、図4(a)に示すように、処理液ノズル12の処理液吐出口12Aから下方に向けて吐出される。
このとき、処理液ノズル12よりも下流側の処理液配管25内に処理液が満されるようになるが、吸引バルブ33が閉じ状態にあるために吸引配管32の管内圧力が比較的高いので、処理液配管25を流通する処理液が分岐位置36から吸引配管32側に進入することはない。すなわち、吸引バルブ33と分岐位置36との間の吸引配管32内には、処理液が存在しなくなる。換言すると、処理液配管25および吸引配管32において、吸引バルブ33と分岐位置36との間の吸引配管32内には空隙部分50が設けられるようになる。
予め定める処理液供給時間が経過すると、図4(b)に示すように、処理液バルブ28が閉じられる。この処理液ノズル12を閉じる際に、処理液配管25を流通する処理液の流通がいきなり止められて、処理液の流速が急減速することがある。しかしながら、空隙部分50が圧力エネルギーの逃げ道としての役割を果たすので、処理液配管25の管内圧力が異常上昇することがほとんどない。すなわち、処理液配管25におけるウォーターハンマー現象の発生を抑制または防止することができる。これにより、処理液ノズル12からの処理液のぼた落ちを抑制または防止することができ、基板処理不良を抑制または防止することができる。
図5は、プリディスペンス時における吸引処理の他の例を説明するためのフローチャートである。
この場合、制御ユニット55は、処理液バルブ28を閉じて、処理液ノズル12の処理液吐出口12Aからの処理液の吐出を停止するとともに、吸引バルブ33を開く(ステップS11)。吸引バルブ33の開成により、吸引装置34の働きが有効化され、吸引バルブ33と分岐位置36との間の吸引配管32内、および処理液バルブ28よりも下流側の処理液配管25内が吸引される。
その後、制御ユニット55は、液検出センサ41の出力信号を監視する。液検出センサ41の出力信号に基づいて、制御ユニット55は、液検出位置42に処理液が存在するか否かを判断する(ステップS12)。
液検出位置42に処理液の存在が検出されないときには、処理液バルブ28よりも下流側の処理液配管25内および吸引バルブ33と分岐位置36との間の吸引配管32内から全ての処理液が排除されたものと判断され、制御ユニット55は、吸引バルブ33を閉じる(ステップS13)。
ステップS12において、処理液の存在が検出されると、処理液バルブ28よりも下流側の処理液配管25または吸引バルブ33と分岐位置36との間の吸引配管32から処理液が完全に排除されていないとして、処理液の存在が検出されなくなるまで、ステップS12の判断が繰り返される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は他の形態でも実施することができる。
たとえば、前述の実施形態では、吸引処理のステップS1,S11(図3および図5参照)において、処理液バルブ28の閉じ動作と同期して吸引バルブ33が開かれると説明したが、処理液バルブ28の閉成の後に吸引バルブ33が開かれるようにしてもよい。
また、基板処理装置100の構成から、液検出センサ41の構成を取り除くこともできる。この場合、吸引処理において、吸引バルブ33の開成後吸引時間T1の経過が待機された後、処理液バルブ28よりも下流側の処理液配管25内および吸引バルブ33と分岐位置36との間の吸引配管32内から全ての処理液が排除されたものとして、制御ユニット55は吸引バルブ33を閉じるようにしてもよい。
また、前述の実施形態では、吸引処理をプリディスペンス時に実行する場合を例に挙げたが、この吸引処理をプリディスペンス時だけでなく、基板Wへの処理液供給時(処理液の吐出後)においても実行するようにしてもよい。
さらに、前述の実施形態では、スキャン型ノズルにこの発明が適用される例について説明したが、この発明は、処理室内に固定配置される固定ノズルに対しても同様に適用することができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
12 ノズル
25 処理液配管(処理液供給配管)
28 処理液バルブ
32 吸引配管
33 吸引バルブ
34 吸引装置(吸引手段)
36 分岐位置
41 液検出センサ(処理液検出手段)
55 制御ユニット(吸引制御手段)
100 基板処理装置
W 基板

Claims (4)

  1. 基板を処理するための処理液を吐出するノズルと、
    このノズルに接続され、当該ノズルに処理液を供給する処理液供給配管と、
    前記処理液供給配管に介装され、前記ノズルへの処理液の供給およびその停止を切り換えるための処理液バルブと、
    この処理液バルブと前記ノズルとの間に設定された分岐位置で前記処理液供給配管に分岐接続され、前記処理液供給配管内の処理液を吸引して排出するための吸引配管と、
    この吸引配管内を吸引する吸引手段と、
    前記吸引配管に介装され、当該吸引配管を開閉するための吸引バルブと、
    前記吸引バルブと前記分岐位置との間の前記吸引配管内の所定位置における処理液を検出する処理液検出手段と、
    前記処理液バルブが閉じられた状態で前記吸引バルブを開くことにより、前記吸引手段により、前記処理液バルブよりも下流側の前記処理液供給配管内および前記吸引バルブと前記分岐位置との間の前記吸引配管内を吸引し、前記処理液バルブよりも下流側の前記処理液供給配管および前記吸引バルブと前記分岐位置との間の前記吸引配管から処理液が排除された後に前記吸引バルブを閉じる吸引制御手段とを含み、
    前記吸引制御手段は、前記処理液検出手段により処理液の存在が検出された場合には、 前記吸引バルブの開成を継続する、基板処理装置。
  2. 前記吸引制御手段は、前記処理液検出手段により処理液の存在が検出されなかった場合に、前記処理液バルブよりも下流側の前記処理液供給配管および前記吸引バルブと前記分岐位置との間の前記吸引配管から処理液が排除されたと判断して、前記吸引バルブを閉じる、請求項記載の基板処理装置。
  3. 前記吸引制御手段は、前記処理液バルブの閉じ動作と同期して前記吸引バルブを開く、請求項1または2に記載の基板処理装置。
  4. 基板を処理するための処理液を吐出するノズルと、このノズルに接続され、当該ノズルに処理液を供給する処理液供給配管と、前記処理液供給配管に介装され、前記ノズルへの処理液の供給およびその停止を切り換えるための処理液バルブと、この処理液バルブと前記ノズルとの間に設定された分岐位置で前記処理液供給配管に分岐接続され、前記処理液供給配管内の処理液を吸引して排出するための吸引配管と、この吸引配管内を吸引する吸引手段と、前記吸引配管に介装され、当該吸引配管を開閉するための吸引バルブと、前記吸引バルブと前記分岐位置との間の前記吸引配管内の所定位置における処理液を検出する処理液検出手段とを備える基板処理装置において実行される処理液吸引方法であって、
    前記処理液バルブが閉じられた状態で前記吸引バルブを開くことにより、前記吸引手段により、前記処理液バルブよりも下流側の前記処理液供給配管内および前記吸引バルブと前記分岐位置との間の前記吸引配管内を吸引し、前記処理液バルブよりも下流側の前記処理液供給配管および前記吸引バルブと前記分岐位置との間の前記吸引配管から処理液が排除された後に前記吸引バルブを閉じ
    さらに、前記処理液検出手段により処理液の存在が検出された場合には、前 記吸引バルブの開成を継続する、処理液吸引方法。
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