JP6952920B1 - デュアルゲートバルブ - Google Patents

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Abstract

【課題】デュアルゲートバルブのメンテナンス性の向上を目的とする。【解決手段】プロセスチャンバ側に第1開口をトランスファチャンバ側に第2開口を設けた弁箱と、前記開口をそれぞれ開閉する第1弁体および第2弁体と、一端が前記弁箱内に位置して前記一端に前記第1弁体と前記第2弁体が固定され、他端が本体内に伸びる弁ロッドと、前記弁ロッドを前記通路方向に移動する通路方向駆動機構と、を有し、前記通路方向駆動機構は、第1シリンダ機構と第2シリンダ機構を有し、前記第1シリンダ機構が前記第2シリンダ機構より前記トランスファチャンバ側に配置され、前記第1シリンダ機構のさらに外側に取り外し可能なカバーが設けられ、前記カバーが取り外されることにより、前記第1シリンダ機構の前記第1シリンダが前記本体の前記トランスファチャンバの側において開放状態となる、ことを特徴とするデュアルゲートバルブ。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体製造装置のチャンバ間に設けられるゲートバルブに関し、特に前記両チャンパ側にそれぞれ設けられた開口をそれぞれ開閉できるデュアルゲートバルブに関する。
半導体製造装置は、半導体基板の加工等を行うための複数のプロセスチャンバと、半導体基板を選択的に前記プロセスチャンバに搬送するためのトランスファチャンバと、を備えている。プロセスチャンバとトランスファチャンバとの間にはゲートバルブが設けられていて、ゲートバルブが閉じることにより、プロセスチャンバが気密状態に維持される。例えばプロセスチャンバを真空状態に維持し、真空状態で半導体基板に必要な加工を行うことが可能となる。
ゲートバルブは、プロセスチャンバ側とトランスファチャンバ側にそれぞれ開口が設けられていて、前記ゲートバルブが閉じることにより、前記プロセスチャンバや前記トランスファチャンバ内を気密に維持する機能を有している。このようなゲートバルブにおいて、プロセスチャンバ側の開口だけでなく、トランスファチャンバ側の開口をも選択的に閉弁できる構造を備えたデュアルゲートバルブが知られている。一例としてデュアルゲートバルブが記載されている特許文献1や特許文献2を以下に示す。
半導体製造装置では、効率等の観点から、小さく高密度に作られている。また微細加工の観点から、微細なパーティクルの発生をできるだけ抑制したいニーズがある。半導体製造装置をできるだけ小さくしたいとの要求から、前記プロセスチャンバと前記トランスファチャンバとの間に設けられるデュアルゲートバルブの厚みをできるだけ薄くしたいとの要求がある。
特許文献1に記載されているデュアルゲートバルブでは、プロセスチャンバ側開口とトランスファチャンバ側開口とを選択的開閉する選択的開閉機構を構成するピストンやピストンロッド、ばね体、アクチュエータが、弁箱内に設けられている。このように弁箱内に複雑な機構を設けることは、デュアルゲートバルブの厚みを薄くする観点において大きな障害となる。また半導体基板を搬送する通路の空間内に、このような可動部を設けることは、微細なパーティクルの発生を抑制するとの観点では、好ましいことではない。
このような観点から、デュアルゲートバルブの厚みを薄くするためには、選択的開閉のための駆動機構を弁箱の外に配置する構造が望ましい。特許文献2に記載のデュアルゲートバルブでは、選択的開閉機構を構成する、レバー部材に設けられた第1カムローラや第2カムローラ、第1カム溝、第1カム溝、等が、弁箱の外に設けられている。デュアルゲートバルブの厚みを薄くする観点や微細なパーティクルの発生を抑制する観点からすると、このような構造の方が望ましい。
特許第3425938号公報 特許第5963091号公報
半導体製造装置においては単位時間当たりの製造個数が非常に多いこと、また量産工程における製造環境条件の厳しさが桁違いであることから、製造工程の稼働を停止することを極力避けることが望まれる。前記ニーズに加え、メンテナンスが容易であること。また耐久性に優れていることもたいへん重要となる。特許文献2に記載の構造では、弁の開閉を行うための弁シャフト10の傾斜が第1カム溝33aと第1カム溝33bとの微妙な曲線の関係に依存する。このような構造は、メンテナンス性の向上や制御精度の向上において大きな課題が残る。
またプロセスチャンバやトランスファチャンバの内部は真空状態に維持されることが多いが、加工内容等から、さらにまたプロセスチャンバのメンテナンスの観点から、プロセスチャンバの内圧は真空だけであるとは言い切れない。真空状態より高く維持されることも十分に考慮しておくことが必要である。このようにプロセスチャンバ側が真空より高い気圧であっても、密閉状態を安定して維持できることがデュアルゲートバルブにとって望ましい。言い換えるとプロセスチャンバ側の開口を閉弁するための押圧力をトランスファチャンバ側に設けられた開口を閉弁のための押圧力より高く維持できることが望ましい。
本発明は、メンテナンスの容易であることに加えて、プロセスチャンバ側のシール材への押圧力をトランスファチャンバ側に設けられたシール材への押圧力より高くすることが可能なデュアルゲートバルブを提供することを目的とする。以下に記載の実施例は、さらに色々な課題を解決することが可能であるが、これらについては、以下の実施例の中で説明する。
〔第1の発明〕
前記課題を解決する第1の発明は、
プロセスチャンバの側に開口する第1開口とトランスファチャンバの側に開口する第2開口とが形成され、前記第1開口と前記第2開口とによりその内部に通路が形成される弁箱と、
前記弁箱の前記内部にそれぞれ配置され、前記第1開口と前記第2開口とをそれぞれ開閉するための第1弁体と第2弁体と、
前記弁箱に隣接して設けられた本体と、
一端が前記弁箱の前記内部に位置していて前記一端に前記第1弁体および前記第2弁体が固定され、さらにその他端が前記通路に沿う方向である通路方向に対して垂直方向に沿って前記本体の内部に伸びる弁ロッドと、
前記本体の前記内部に設けられ、前記弁ロッドを、前記通路方向に沿って移動するための通路方向移動機構と
前記本体の前記内部に設けられ、前記弁ロッドを前記垂直方向に沿って移動する垂直方向移動機構と、
を有し、
前記通路方向移動機構は、第1シリンダ機構と第2シリンダ機構を有し、前記本体において、前記第1シリンダ機構が前記第2シリンダ機構より前記トランスファチャンバの側の方に配置され、前記第2シリンダ機構は前記第1シリンダ機構より前記本体の内側の方に配置され、
前記第1シリンダ機構は空気室を形成するための第1シリンダと前記第1シリンダの内部を移動する第1可動体とを有し、
前記第2シリンダ機構は空気室を形成するための第2シリンダと前記第2シリンダの内部を移動する第2可動体とを有し、
前記第1シリンダ機構のさらに外側に取り外し可能なカバーが設けられ、前記カバーが取り外されることにより、前記第1シリンダ機構の前記第1シリンダが前記本体の前記トランスファチャンバの側の側面において開放状態となる、ことを特徴とするデュアルゲートバルブ、である。
〔第1の発明の効果〕
プロセスチャンバ側は作業員がメンテナンスを行うためのスペースを確保することが難しいのに対し、トランスファチャンバ側は、メンテナンスを行うためのスペースを確保することが比較的容易である。上述の第1の発明では、本体のトランスファチャンバ側の外側に設けたカバーを取り外すことにより、第1シリンダ機構の第1シリンダが外に対して開放状態となる。これによりトランスファチャンバ側の外部からのメンテナンスが非常に容易になる。通路方向移動機構の第1シリンダ機構や第2シリンダ機構は第1開口の開閉や第2開口の開閉を行う第1弁体や第2弁体を制御する重要な機構であり、高い精度の維持が要求される。これらの機構のメンテナンスが容易になることは大変大きな効果である。
さらに本発明では、第1弁体や第2弁体を動かす駆動機構が弁箱の内部では無く、本体内に設けられている。動作状態において、弁箱の微細パーティクルの発生を極力抑制できる大きな効果がある。さらに加えて、弁箱内に駆動機構が無いので、デュアルゲートバルブ全体の厚みを薄くでき、トランスファチャンバとプロセスチャンバとの間隔を狭くできる大きな効果がある。
〔第2の発明〕
前記課題を解決する第2の発明は、第1の発明において、
前記第1シリンダ機構を構成する前記第1シリンダと前記第1可動体の径が、前記第2シリンダ機構の前記第2シリンダや前記第2可動体の径より大きいことを特徴とするデュアルゲートバルブ、である。
〔第2の発明の効果〕
上述の第2の発明では、本体のトランスファチャンバ側の外側に設けたカバーを取り外すことにより、前記第1可動体や前記第2可動体をトランスファチャンバ側から外に取り出すことが可能となる。これによりメンテナンス等が極めて容易となる。
さらに加えて、第1可動体の径が第2可動体の径よりも大きいことにより、同じ空気圧を用いて制御した場合に、第1可動体に前記空気圧が作用する面積の方が第2可動体に作用する面積よりも大きくなる。従って第2可動体の移動のための基準位置として第1可動体を使用することができる。例えば第1可動体の位置を、第1開口と第2開口とが共に開放状態となる中立位置を定める基準位置として使用できる。このことにより、通路方向移動機構の構造がたいへんシンプルな構造となり、メンテナンス性の向上等の観点において大きな効果を奏する。
〔第3の発明〕
前記課題を解決する第3の発明は、第2の発明において、
前記第2シリンダと、前記第2シリンダより径の大きい前記第1シリンダと、の接続位置が、前記第1可動体の前記トランスファチャンバの側と前記第2可動体の前記プロセスチャンバの側とに圧縮空気が導入された状態において、前記第1可動体の移動を止める第1ストッパとなり、
前記第1可動体が、前記第1開口と前記第2開口とが共に開放状態となる中立位置を決めるための基準位置となる、
ことを特徴とするデュアルゲートバルブ、ある。
〔第3の発明の効果〕
上述の第3の発明では、前記第2シリンダと前記第2シリンダより径の大きい第1シリンダとの接続位置に生じる径の違いによる段差を第1可動体のストッパとして使用することを特徴としている。このストッパの機能により、前記第1開口と前記第2開口とが共に開放状態となる中立位置を正確に設定することが可能となる。メンテナンス性の向上だけでなく、極めてシンプルな構造でありながら前記中立位置を正確に制御できる効果がある。さらに加えて、第1可動体の径が第2可動体の径よりも大きいことにより、同じ空気圧を用いて制御した場合に、第1可動体に前記空気圧が作用する面積の方が第2可動体に作用する面積よりも大きくなり、第2可動体に加わる力より大きな力で第1可動体は前記ストッパに押し付けられる。このため第2可動体に対して第1可動体自身がストッパとして作用する。第1可動体自身は移動可能な可動体でありながら、上述した中立位置を定める基準位置となり、制御の精度が向上する。
さらに第1開口を閉じるための第1弁体の閉弁制御において、第1可動体は第2可動体を駆動するための圧縮空気の導入する第2室を形成する働きをする。同じ圧力の圧縮空気を使用しているにもかかわらず、第1可動体が第1ストッパに達した時点で、第1可動体は不動の状態となる。この結果、前記第2可動体を駆動するための圧縮空気を導入する第2室を形成するための壁が、あたかも最初から固定された状態の不動の壁で形成されているがごとき動作状態となる。このため第1弁体の閉弁状態での押圧は非常に安定した状態で維持され、プロセスチャンバ側の内圧の高まり等に対しても十分に安定して対応できる効果がある。
〔第4の発明〕
前記課題を解決する第4の発明は、第3の発明において、
前記第2シリンダ機構の前記第2可動体は、前記第1可動体の側から前記第1可動体の方に伸びる所定の長さの第1ロッドを有し、
さらに前記第2可動体は前記第1可動体とは逆の面から前記第2シリンダの外にまで延びて前記弁ロッドに通路方向移動機構の動きを伝える第2ロッドを有し、
前記第1可動体の前記トランスファチャンバの側および前記第1可動体と前記第2可動体との間に所定圧の前記圧縮空気を導入することにより、前記第2可動体と前記第1ロッドの前記第1可動体の側の端面とに前記所定圧の前記圧縮空気が作用し、また前記第1可動体の位置が動作の基準位置となって、前記第1開口が前記第1弁体により閉弁し、
さらに前記第1可動体の前記トランスファチャンバの側に前記所定圧の前記圧縮空気の導入し、また前記第2可動体の前記第2ロッドの側に前記所定圧の前記圧縮空気を導入することにより、前記第2開口が前記第2弁体により閉弁する、ことを特徴とするデュアルゲートバルブ、である。
〔第4発明の効果〕
前記第1可動体の前記トランスファチャンバの側および前記第1可動体と前記第2可動体との間に所定圧の圧縮空気を導くことにより、前記第3の発明の効果として述べたとおり、前記第1可動体を前記ストッパの位置に固定することができる。さらに前記第1可動体と前記第2可動体との間に所定圧の圧縮空気を導き、前記第2可動体と前記第1ロッドの前記第1可動体の側の端面とに圧縮空気を作用させることにより、前記第1開口を第1弁体により閉弁するときに作用する力は、前記第2可動体の有効作用面積と前記第1ロッドの端面の面積の合計、即ち第2可動体の表面積なる。一方前記第2開口を前記第2弁体で閉じるときに作用する力は第2可動体の面積から前記第2可動体の断面積を引いた面積が、前記圧縮空気が作用する有効面積となる。従って第1開口を閉じるときに第1弁体に作用するときの力が、前記第2開口を前記第2弁体で閉じるときの力より常に大きくなる。
プロセスチャンバの内圧がトランスファチャンバの内圧より高い状態が生じても、上述のとおり、前記第2開口を閉じるときの力より常に大きな力で前記第1開口を閉じることができるので、前記プロセスチャンバの内圧上昇に対しても十分に対応できる。本発明は極めてシンプル構造であるのに、メンテナンスを向上させる効果に加え、プロセスチャンバの内圧上昇に関係した課題も合わせて解決することができ、非常に大きな効果を奏する。さらに使用する圧縮空気圧の種類を増やす必要が無い。
〔第5の発明〕
前記課題を解決する第5の発明は、第1の発明乃至第4の発明の内の一の発明において、
前記弁ロッドを挟んで2組の前記通路方向移動機構が設けられ、さらに前記2組の前記通路方向移動機構と前記弁ロッドとが前記通路方向において重なって配置されており、
前記2組の前記通路方向移動機構により、前記弁ロッドの前記通路方向の移動が制御され、前記弁ロッドの前記通路方向の移動の前記制御により、前記第1弁体および前記第2弁体の前記通路方向の移動が制御されることを特徴とするデュアルゲートバルブ、である。
〔第5の発明の効果〕
前記通路方向移動機構を2組設け、前記2組の前記通路方向移動機構の間に前記弁ロッドを配置する構造とした。このような構造とすることにより、デュアルゲートバルブの厚みを薄くできる効果がある。前記2組の前記通路方向移動機構と前記弁ロッドとを、前記通路方向において重なる配置とすることができる。この重なる配置によりデュアルゲートバルブの厚みを薄くすることができる。従ってプロセスチャンバとトランスファチャンバとの間隔を狭くすることができる。
本発明によれば、メンテナンスが容易なデュアルゲートバルブを得ることができる。なお以下で説明する実施例は、さらに色々な効果を奏する。これらの効果は実施例の説明の中で述べる。
本発明が適用されたデュアルゲートバルブとプロセスチャンバとトランスファチャンバとの配置関係を示す説明図である。 本発明の基本的な構成を説明する説明図である。 第1開口の方向から見たデュアルゲートバルブの外観を説明する説明図である。 図3に示すデュアルゲートバルブのA−A断面図である。 通路方向移動機構250の中立位置の動作を説明する説明図である。 第2開口の閉弁動作を説明する説明図である。 第1開口の閉弁動作を説明する説明図である。 第1開口の閉弁時のプロセスチャンバの空気力が第1弁体におよぼす作用を説明する説明図である。 第2開口の閉弁時のプロセスチャンバの空気力が第2弁体におよぼす作用を説明する説明図である。 弁ロッドから第1弁体および第2弁体に加えられる力の大きさを説明する説明図である。
本発明に係る実施例について図面を参照して説明する。なお同一機能を有するものには同一符号を付し、繰り返しの説明を省略する場合がある。
1. デュアルゲートバルブ200の配置関係の説明
1.1 デュアルゲートバルブ200の配置関係とデュアルゲートバルブ200の基本構成
図1に、半導体製造装置におけるプロセスチャンバ110とトランスファチャンバ120との間に、本発明が適用されたデュアルゲートバルブ200を配置した状態を示す。半導体製造装置では、プロセスチャンバ110やトランスファチャンバ120の内部の気圧を制御するための真空ポンプ等の気圧制御装置が設けられているが、この明細書では省略している。
通常、半導体基板を加工するための複数のプロセスチャンバ110が、複数のデュアルゲートバルブ200をそれぞれ介して、トランスファチャンバ120に接続されている。半導体基板はトランスファチャンバ120から、加工処理を行うためのプロセスチャンバ110へ、対応するデュアルゲートバルブ200を介して選択的に搬送される。前記加工が終わると、前記デュアルゲートバルブ200を介してトランスファチャンバ120へ、加工された前記半導体基板が戻される。図1に示すプロセスチャンバ110やデュアルゲートバルブ200は、複数あるプロセスチャンバ110やデュアルゲートバルブ200の代表例として示している。
デュアルゲートバルブ200は弁箱202を備え、弁箱202により、プロセスチャンバ110とトランスファチャンバ120との間に半導体基板を搬送するための通路が形成される。弁箱202のプロセスチャンバ110側には第1開口204が形成され、トランスファチャンバ120側には第2開口206が形成され、弁箱202の内部には弁室203が形成されている。弁室203には第1開口204を開閉するための第1弁体214と第2開口206を開閉するための第2弁体216が設けられている。第1弁体214と第2弁体216はそれぞれ弁ロッド220に固定され、弁ロッド220は、第1開口204や第2開口206の方向である通路方向60と、この通路方向60に垂直な方向である垂直方向70の2方向に移動する。
弁ロッド220が中立位置に位置する状態で、第1開口204第2開口206は共に開放状態となる。また弁ロッド220が、中立位置から通路方向60におけるプロセスチャンバ110側に移動すると第1弁体214により第1開口204が閉じられ、前記中立位置から逆にトランスファチャンバ120側に弁ロッド220が移動すると第2弁体216により第2開口206が閉じられる。
弁箱202内に通路を形成する場合は、弁ロッド220を中立位置に移動して、第1開口204および第2開口206を共に開放状態とし、次に弁ロッド220を垂直方向70に沿って本体230の方向に移動し、第1弁体214と第2弁体216とを、第1開口204や第2開口206に対抗した位置から弁室203の本体230方向の空間に移動する。一方通路が形成された状態から第1開口204あるいは第2開口206を閉じる場合には、前記動作の逆で、まず弁ロッド220を垂直方向70に移動して第1弁体214や第2弁体216が第1開口204や第2開口206に対抗する位置に先ず移動する。この状態では弁ロッド220は中立位置にあり、次に通路方向60に沿って閉じたい開口の方に移動する。この移動により移動先の開口が対応する弁体により閉弁する。
垂直方向70に沿った弁ロッド220の移動は、垂直方向移動機構300によって行われる。一方通路方向60に沿った弁ロッド220の移動は、通路方向移動機構250によって行われる。具体的には、垂直方向移動機構300による垂直方向70に沿った移動量が垂直方向移動機構300からロッド移動機構350に伝えられる。また通路方向60に沿った移動量は通路方向移動機構250からロッド移動機構350に伝えられる。ロッド移動機構350は垂直方向の移動量と通路方向の移動量の両方の移動量に基づいて弁ロッド220を移動する。
弁箱202と本体230とのつなぎの部分には弁ロッド220が通路方向60に移動できる大きさの穴が形成されており、弁箱202の弁室203内の状態を真空等、気密に維持するためにベローズ224が設けられ、弁室203の機密が維持される。
1.2 図1に記載の実施例における効果
プロセスチャンバ110はデュアルゲートバルブ200よりも垂直方向70に長く伸びており、メンテナンスのための空間的余裕が無い。一方トランスファチャンバ120は垂直方向70の長さが短く、デュアルゲートバルブ200の本体230は、トランスファチャンバ120よりもさらに長く伸びた位置にある。このため本体230のトランスファチャンバ120の側をメンテナンスのための空間として利用することができる。本体230のトランスファチャンバ120の側に、カバー252を取り外し可能に設けている。カバー252はメンテナンス時に取り外すことができ、カバー252側の空間から容易にメンテナンスを行うことができる。
このカバー252の内側に通路方向移動機構250を設けている。通路方向移動機構250は弁ロッド220を通路方向60に沿って移動させる働きをし、第1弁体214や第2弁体216を中立位置に移動し維持する働きをするとともに、第1弁体214や第2弁体216の第1開口204や第2開口206に対する閉鎖位置や閉鎖時の圧力を制御する働きをする。このため通路方向移動機構250は高精度を維持することが求められ、メンテナンスが必要となる。以下で説明のごとく、カバー252を取り外すことにより、通路方向移動機構250の重要な要素である第1可動体262や第2可動体272を簡単に取り出すことができ、また第1シリンダ261や第2シリンダ271の状態を検査することができる。これらのためのメンテナンスが極めて容易であり、メンテナンスのための時間を短縮できる。
さらに通路方向移動機構250は以下で詳述するが、通路方向60の方向における位置関係において弁ロッド220と重なる位置関係に配置されている。このため、デュアルゲートバルブ200の通路方向60における厚みをより薄くできる。それに加え、弁箱202には駆動機構が無く、通路方向移動機構250や垂直方向移動機構300は本体230に設けており、弁箱202を通路方向60において薄くできる効果がある。これにより図1の実施例では、プロセスチャンバ110とトランスファチャンバ120との間を狭くできる効果が得られる。
上述したように垂直方向移動機構300や通路方向移動機構250を全て本体230に設けるとともに、垂直方向移動機構300や通路方向移動機構250の移動量等を弁ロッド220に伝えるロッド移動機構350も合わせて本体230に設けているので、弁箱202の弁室203内には互いに擦れ合う構成がほとんどない。しいて言えば第1開口204と第1弁体214および第2開口206と第2弁体216くらいである。従って弁箱202内部では微細なパーティクルの発生を極力抑えることができる。
2.通路方向移動機構250の基本構成
図2はデュアルゲートバルブ200の基本構成の説明図である。弁ロッド220の一端には第1弁体214と第2弁体216が取り付けられており、弁ロッド220の他端は本体230の方に伸び、本体230の内部でロッド移動機構350に固定されている。ロッド移動機構350は、通路方向移動機構250と垂直方向移動機構300とに接続されており、通路方向移動機構250によりロッド移動機構350の通路方向60の位置が定まり、垂直方向移動機構300によって垂直方向70における位置が定まる。
垂直方向移動機構300は第1シリンダ機構260と第2シリンダ機構270を有しており、第1シリンダ機構260は第1シリンダ261と第1可動体262を有している。また第2シリンダ機構270は第2シリンダ271と第2可動体272、第1ロッド263、第2ロッド273を有している。第1シリンダ機構260の第1シリンダ261と第1可動体262は、第2シリンダ機構270の第2シリンダ271や第2可動体272より径が大きい。
第1シリンダ機構260のトランスファチャンバ120の側にはカバー252が取り外し可能な状態で固定されている。カバー252を取り外すと、第1シリンダ261は本体230のトランスファチャンバ120の側の側面において、開放状態となる。第1シリンダ261は第2シリンダ271より径が大きいので、開放状態となったトランスファチャンバ120の側から第1可動体262や第2可動体272を外に取り出すことができる。
第2可動体272の第1シリンダ機構260の方の面には第1ロッド263が設けられ、第2可動体272のロッド移動機構350の方の面には第2ロッド273が設けられている。第2ロッド273はロッド移動機構350の第1伝達体282に接続されている。第1シリンダ機構260の第1シリンダ261の径が第2シリンダ機構270の第2シリンダ271の径より大きいので、第1シリンダ261と第2シリンダ271との接続位置で段差ができ、第1ストッパ264が形成される。第1可動体262は前記段差により、第1ストッパ264の位置で移動が止まり、第1ストッパ264よりロッド移動機構350の方には移動できない。
第1可動体262と第2可動体272とに同じ圧力の圧縮空気30が作用した場合には、第1可動体262の作用する面積が大きいので、第2可動体272より第1可動体262の方がより大きな力が発生する。従って前記空気圧で第1可動体262が第1ストッパ264に押し付けられている状態では、第2可動体272の力では第1可動体262を動かすことができない。従って第1可動体262が第1ストッパ264に空気圧により押し付けられている状態では、第1可動体262は第2可動体272の基準位置として作用することができる。第1シリンダ機構260や第2シリンダ機構270の動きと第1弁体214や第2弁体216による第1開口204や第2開口206の開閉動作については、以下で図4から図7を用いて、改めて説明する。
本体230には弁ロッド220を垂直方向70に沿って移動させるための垂直方向移動機構300が設けられている。垂直方向移動機構300に所定圧の圧縮空気30を導入することにより、垂直移動ロッド302が弁箱202の方に伸び、垂直移動ロッド302の先端に設けた第2伝達体312を弁箱202の方向に押し上げるので、ロッド移動機構350は弁箱202側に移動する。この移動に伴って弁ロッド220は弁箱202の方に移動する。図2の状態は弁ロッド220が最も弁箱202側に移動した状態を示しており、第1弁体214や第2弁体216がそれぞれ第1開口204や第2開口206に対向している。
一方垂直方向移動機構300において図示しない可動体の弁箱202側に所定圧の圧縮空気30を導入することにより垂直移動ロッド302は垂直方向移動機構300の内側の方向に移動し、第2伝達体312も垂直方向移動機構300の方に移動する。この移動により、弁ロッド220の一端に固定された第1弁体214や第2弁体216は第1開口204や第2開口206に対抗する位置から、弁箱202の本体230の方に移動する。この状態では第1開口204と第2開口206との間は空間だけとなり、半導体基板を搬送するための通路が形成される。
ロッド移動機構350において、第2可動体272に設けられた第2ロッド273の先端には第1伝達体282が接続されている。第1伝達体282とロッド移動機構350との位置関係が垂直方向70に沿って自由に変化することが可能となるように、第1伝達体282は垂直方向70に沿って長く伸びた第1伝達室281内に移動可能に配置されている。また垂直方向移動機構300から延びる垂直移動ロッド302とロッド移動機構350との通路方向60に沿った方向の位置関係が自由に変化できるように、通路方向60に沿って長く伸びる第2伝達室311が設けられている。垂直移動ロッド302の先端に設けられた第2伝達体312が第2伝達室311において垂直方向70に沿って移動することにより、ロッド移動機構350の通路方向60における位置に関係なく、ロッド移動機構350の垂直方向70の位置を制御することができる。
弁箱202と本体230との接合部に弁ロッド220が通路方向60の方向に移動可能な穴が形成されており、弁ロッド220と弁箱202とはベローズ224により気密につながれている。弁ロッド220はロッド移動機構350に機械的に固定されており、通路方向移動機構250やロッド移動機構350により、弁室203と弁ロッド220との位置関係が変化するが、ベローズ224により弁箱202の弁室203は常に気密に維持されている。
2.1 図2で説明の実施例の効果
第1弁体214や第2弁体216を動かす通路方向移動機構250や垂直方向移動機構300やロッド移動機構350は本体230に設けられており、弁箱202内部での微細パーティクルの発生が抑えられる効果がある。また弁箱202内部には駆動機構が無く非常にシンプルである。このため弁箱202を薄くすることができ、プロセスチャンバ110とトランスファチャンバ120との間隔を狭くできる効果がある。さらに本体230の内部において通路方向移動機構250とロッド移動機構350と弁ロッド220とは、通路方向60において重なって配置されており、本体230の通路方向60の厚みを薄くできる効果がある。
3. プロセスチャンバ110側から見たデュアルゲートバルブ200の外観形状
図3はデュアルゲートバルブ200を第1開口204の方であるプロセスチャンバ110の方から見た外観図である。デュアルゲートバルブ200は弁箱202と本体230を有している。弁箱202には半導体基板を搬送するための第1開口204がある。図3は第1開口204を第1弁体214で閉じている状態を示しており、第1開口204に対向して第1弁体214が位置している。第1開口204を開放して弁箱202内に半導体基板を搬送する通路を形成する状態では、第1弁体214は第1開口204から中立位置に移動し、その後第1弁体214は垂直方向70の方向に本体230側に移動し、第1開口204と第1弁体214は対抗しない状態となる。第1開口204の向こう側に第2開口206が現れ、弁箱202内に通路が作られる。
弁ロッド220の垂直方向70に沿った移動は垂直方向移動機構300によって行われる。垂直方向移動機構300には、図示していないが、シリンダと可動体からなる2組の駆動機構があり、各駆動機構の駆動状態は縦制御ロッド322と縦制御ロッド324とによってロッド移動機構350に伝えられ、ロッド移動機構350により弁ロッド220が動かされる。弁箱202と本体230との接続部には、ベローズ224が設けられ、弁箱202と本体230との間が気密に維持される。図には表れていないが、ロッド移動機構350の背後に通路方向移動機構250が設けられている。
4.通路方向移動機構250やロッド移動機構350の構造とその効果
図4は図3におけるA−A断面図である。実際には駆動用圧縮空気30の導入および排出機構が存在するが図示を省略している。弁ロッド220を挟んで2組の通路方向移動機構250が配置されている。2組の通路方向移動機構250は構成および作用が全く同じであり、代表して一方について説明する。図2で説明したとおり、2組の通路方向移動機構250はそれぞれ第1シリンダ機構260と第2シリンダ機構270とを有している。ロッド移動機構350には弁ロッド220が固定されている。弁ロッド220を通路方向60に沿ってあるいは垂直方向70に沿って動かすためのロッド移動機構350は本体230が有するガイド232とガイド234とにより、通路方向移動機構250の両端が移動可能に支持されている。この構造により、通路方向60に垂直の方向である、図4の左右方向の揺れを防止している。
弁ロッド220が傾斜したり振動したりすると、第1開口204と第1弁体214の接触部分あるいは第2開口206と第2弁体216との接触部分、例えば第1弁体214や第2弁体216に設けられているシール材が摩耗したり変形したりする。また閉弁時に気密を維持するためには、図示していないが、第1弁体214や第2弁体216に設けられているシール材が第1開口204や第2開口206の弁座部分に作用する力が均一であることが望ましい。このような観点から図4に示すように、通路方向60の方向の厚みを押さえた構造で、弁ロッド220が傾斜せず振動もしない構造が重要である。
上述したように第1シリンダ261の径が第2可動体272の径より大きいので、カバー252を取り外すことにより、第1可動体262や第2可動体272をトランスファチャンバ120の側から取り出すことができる。このためメンテナンスが非常に容易である。
4.1 第1弁体214や第2弁体216の中立位置の制御
図4は第1弁体214や第2弁体216が中立位置に維持されている状態の通路方向移動機構250の動作状態を示している。図5も図4と同様、第1弁体214や第2弁体216が中立位置に維持されている状態示しており、図5は理解しやすいように図を簡素化している。図4と図5を用いて、第1弁体214や第2弁体216が中立位置に維持されている状態の通路方向移動機構250の動作状態を説明する。なお圧縮空気30を導くための配管が実際には存在するが、煩雑さを避けるために図示を省略している。
通路方向移動機構250を構成する第1室342と第3室346に同じ圧の圧縮空気30を、例えば気圧PAの圧縮空気30を、導入し、また第2室344内の空気を排出する。第1室342に導入された圧縮空気30により、第1可動体262が第1シリンダ261と第2シリンダ271との径の違いにより生じた段差で構成される第1ストッパ264に押し付けられた状態で停止し、保持される。また第3室346に導入された圧縮空気30により、第1ロッド263と第2ロッド273とを有する第2可動体272が第1可動体262の方向に移動し、第1ロッド263が第1可動体262に当った位置で第2可動体272の動きが停止し、保持される。
前記圧縮空気30が第1室342と第3室346に導かれているので、圧縮空気30の気圧PAが第1可動体262と第2可動体272に作用する。第1可動体262に気圧PA作用する有効面積は、第1可動体262の第1室342側の表面積全体になる。一方気圧PAが第2可動体272に作用する有効面積は、第2可動体272の第3室346の側の表面積から第2ロッド273の断面積を差し引いた面積になる。もともと第1可動体262の方が第2可動体272より大きいので、第1可動体262は、第2可動体272に生じる力より大きな力で第1ストッパ264に押し付けられる。さらにそれに加えて気圧PAが第2可動体272に作用する有効面積が、第2可動体272の表面積から第2ロッド273の断面積を差し引いた面積となる。このため第2可動体272の第1ロッド263が第1可動体262の方に移動して第1可動体262の表面に当り、さらに第1室342の方向に押す作用をするが、上述のとおり、第1可動体262が第1ストッパ264を押す力より第2可動体272の第1ロッド263が押す力が小さいので、第1可動体262は動かない。このように第1弁体214や第2弁体216を中立位置に維持する制御においては、第1可動体262は構造的には移動可能な可動体でありながら、第2可動体272に対しては、基準位置を定めるストッパとして動作する。
上述したように弁ロッド220を通路方向60の方向に移動させるロッド移動機構350は第2ロッド273により動かされるので、第1可動体262の基準位置に対してロッド移動機構350は位置決めされ、第1弁体214と第2弁体216の通路方向60における位置が定まる。第1可動体262の基準位置に対するロッド移動機構350の位置関係は第1ロッド263と第2ロッド273との長さ等により定まる。第1ロッド263や第2ロッド273の長さの精度を向上することは非常に容易であり、第1弁体214や第2弁体216の中立位置を高精度に制御できる。
4.2 第1弁体214と第2弁体216の中立位置制御における効果
図4や図5に示す実施例によれば、第2可動体272より第1可動体262の径を大きくすることにより、可動体である第1可動体262を基準となるストッパとして作用させることができる。このため第1弁体214と第2弁体216の中立位置の制御を、簡単で、しかも高精度に、実現できる。これに加えて上述したようにメンテナンス制の向上も合わせて実現できる。さらに2組の通路方向移動機構250で弁ロッド220を挟むように配置しているので、上記効果に加えて本体230を薄くできる効果がある。
4.3 第2開口206の閉弁制御およびそれに伴う効果
第2開口206の閉弁動作を、図6を用いて説明する。通路方向移動機構250の第3室346に気圧PAの圧縮空気30を導入し、第1室342や第2室344内の空気を排出する。圧縮空気30の導入により第2可動体272が第1可動体262の方に移動し、第1ロッド263により第1可動体262がカバー252の方に移動し、カバー252をストッパとして第1可動体262の移動が停止する。カバー252が基準位置となり、第2可動体272の第1ロッド263や第2ロッド273の位置が定まり、弁ロッド220の最もトランスファチャンバ120側の位置が定まる。この位置が、第2開口206を閉じる第2弁体216の閉弁位置となる。
カバー252を基準位置とした状態でのロッド移動機構350の位置は、第1ロッド263や第2ロッド273等の長さの関係で定まる。これらの長さは高精度に加工することが極めて容易であり、容易に高精度の制御を実現できる。またメンテナンスのためのカバー252を基準位置として使用しており、簡単な構造で高精度の制御を実現できる。なお第2開口206を閉弁するために作用する力は第2可動体272の第3室346の側の面積から第2ロッド273の断面積を引いた面積に基づいて定まる。以下で説明するが、第2開口206の閉弁時に第2弁体216に作用する力は、第2ロッド273の断面積に基づく力だけ、第1開口204を第1弁体214で閉じるときに第1弁体214に加わる力より小さくなる。
4.4 第1開口204の閉弁制御
図7を用いて、第1開口204の第1弁体214による閉弁動作を説明する。気圧PAの圧縮空気30を通路方向移動機構250の第1室342と第2室344に導入し、一方第3室346内の空気を排出する。第1室342への圧縮空気30の導入により、第1可動体262がロッド移動機構350の方に移動し、第1ストッパ264に到達して停止する。第1ロッド263と第2ロッド273とを有する第2可動体272がロッド移動機構350の方に移動し、第2ストッパ266に到達して移動を停止する。第2ストッパ266を基準として第2ロッド273の長さに基づきロッド移動機構350の通路方向60における位置が定まる。この位置が第1開口204の第1弁体214による閉弁位置となる。
第1開口204が第1弁体214より閉弁したときに、第1弁体214のシール材が第1開口204の弁座を押圧するときの弁ロッド220からの力は、通路方向移動機構250の第2可動体272がロッド移動機構350を押す力となる。第2可動体272がロッド移動機構350を押す力は、第2可動体272の第1可動体262側の表面積となる。すなわち第1ロッド263の第1可動体262側の端面に作用する力も第2ロッド273がロッド移動機構350を押す力となるので、第2可動体272の第1可動体262側の面の表面積が圧縮空気30により力を受ける有効面積となる。
一方 図6を用いて説明したとおり、第2開口206が第2弁体216により閉弁するときに第2弁体216に加わる弁ロッド220からの力は、第2可動体272の表面積から第2ロッド273の断面積を引いた面積となる。従って第2弁体216に弁ロッド220から加わる力は、第2ロッド273の断面積に対応する力だけ、第1弁体214に弁ロッド220から加わる力より小さくなる。言い換えると第2弁体216の図示していないシールド材が第2開口206の図示していない弁座を押す力より、第1開口204の図示していない弁座を第1弁体214のシール材が押す力の方が、弁ロッド220からの力のみ比較すると、大きくなり、その差は第2ロッド273の断面積に基づくこととなる。
4.5 第1開口204と第2開口206の閉弁構造とこの構造に伴う効果
図8および図9を用いて、第1開口204や第2開口206を閉弁する第1弁体214や第2弁体216に作用する圧力について説明する。デュアルゲートバルブ200はプロセスチャンバ110とトランスファチャンバ120との間に設けられている。加工対象の半導体基板がプロセスチャンバ110に送られ、プロセスチャンバ110の内部で加工が施されている状態では、プロセスチャンバ110内の気密を保持するために、図8で示す如く、第1開口204は第1弁体214により閉じられている。図示していないが、第1弁体214の周囲に設けられたシール材が第1開口204の周囲形成された弁座に押し付けられ、シール材が潰れた状態となって密閉状態となる。
プロセスチャンバ110内の圧力は、加工状態より真空状態ではなく、例えば数万Pa(パスカル)まで上昇する可能性がある。このようにプロセスチャンバ110内の圧力は矢印P11で示す如く、第1弁体214に対して開弁の方向に作用する。このようなプロセスチャンバ110の内圧力が第1弁体214に作用したとしても、第1弁体214は気密状態の閉弁を維持しなければならない。従ってプロセスチャンバ110の内圧の上昇を想定し、この内圧上昇に十分に耐えられる圧力で、第1弁体214のシール材が第1開口204の弁座に押し付けられ、前記シール材が押しつぶされていることが必要となる。
図9は、第2開口206が第2弁体216により閉弁している状態である。この状態は、例えばプロセスチャンバ110の内部のメンテナンスが行われている状態である。この場合プロセスチャンバ110の内部は大気圧となるので、この大気圧が矢印P12で示す如く、第2弁体216のシール材を第2開口206の周囲に形成された弁座に押し付ける方向に作用する。従って第2弁体216が第2開口206の弁座を押す力を小さくしておいても、矢印P12により、第2弁体216が第2開口206の弁座を押す力が大きくなる。
上述したように、プロセスチャンバ110の内圧は、第1弁体214に対しては開弁する方向に作用し、逆に第2弁体216に対しては閉弁する方向に作用する。このため通路方向移動機構250から弁ロッド220を介して第1弁体214や第2弁体216に加えられる力は、プロセスチャンバ110の内圧を考慮し、第1弁体214で第1開口204を閉弁する状態では、大きな力が第1弁体214に加わり、一方第2弁体216で第2開口206を閉弁する状態では、小さい力が第2弁体216に加わることが望ましい。このようにプロセスチャンバ110側の第1開口204を閉じる場合の第1弁体214に加わる弁ロッド220からの力は、大きくし、一方トランスファチャンバ120側の第2開口206を閉じる場合の第2弁体216に加わる弁ロッド220からの力は、小さくする。これにより、閉弁時の気密維持を良好にするだけでなく、第1弁体214や第2弁体216に設けられているシール材が大きく押しつぶされることが生じないようにしている。シール材を大きく押しつぶすことは、シール材の劣化を早めることとなる。また微細パーティクルが生じやすくなる。
本実施例では、通路方向移動機構250に供給する圧縮空気30の圧力を変えることなく、同じ圧力の圧縮空気30を使用する条件で、上記の課題を解決することができる。図10は、本実施例により実現した第1弁体214のシール材と第2弁体216のシール材に加えられる圧力の実際の計測結果を、グラフとして示す。
グラフの横軸は、使用する圧縮空気30の空気圧をパラメータとしている。また縦軸は第1弁体214や第2弁体216に設けられたシール材に加わる圧力を示す。グラフ1は第1弁体214に設けられたシール材に加わる圧力を示している。またグラフ2は第2弁体216に設けられたシール材に加わる圧力を示している。これらのシール材に加わる圧力は前記シール材を押しつぶす作用をする力となる。導入した気圧を一定圧PAの状態での第1弁体214のシール材に加わる圧力はP1、また第2弁体216のシール材に加わる圧力はP2となる。本実施例によれば、弁ロッド220から加わる力だけをみると、第1弁体214の方が第2弁体216より安定して大きな力が作用していることが分かる。上述したようにプロセスチャンバ110からの圧力は、グラフ1に示す圧力を下げる方向に作用し、一方グラフ2に示す圧力を上げる方向に作用する。従ってプロセスチャンバ110からの圧力を考慮すると、グラフ1とグラフ2は近づく傾向となる。言い換えると第1弁体214や第2弁体216にそれぞれ設けられたシール材の潰し量を近づける傾向となる。
本実施例によれば、同じ圧力の圧縮空気30を使用しているにも関わらず、第2弁体216より大きな力を弁ロッド220から第1弁体214に加えることができる。この力の差は、図6と図7を使用して説明したとおり、第2可動体272の第3室346の空気圧が作用する有効面積が、第2室344の空気圧が作用する有効面積より第2ロッド273の断面積に相当する分、小さくなることを利用している。第2ロッド273の断面積は高精度に加工可能であり、しかも劣化が生じ難い。第2弁体216の閉弁時に第2弁体216に弁ロッド220から加わる力と、第1弁体214の閉弁時に第1弁体214に弁ロッド220から加わる力との差を、高精度にしかも安定して維持することができる。
また本実施例では、トランスファチャンバ120の方に生じる空間をメンテナンスのための空間として利用することにより、通路方向移動機構250のプロセスチャンバ110側に設けられる第2ロッド273を利用して、第2弁体216に弁ロッド220から加えられる力より、第1弁体214に弁ロッド220から加えられる力が大きくなるようにしている。本実施例では、特別な構造を持ち込むこと無く、通路方向移動機構250が構成として必然的に備えている構成を利用して、上記課題を解決できる効果がある。
本実施例では、第1室342と第2室344に同じ圧の圧縮空気30を導入した場合に、第1可動体262が第1ストッパ264に到達して動きが止まるまでは、第2室344内の空気圧は、導入された空気圧に加えて径の大きい第1可動体262に生じた力を受けることになる。従って第2可動体272には単に導入された空気圧だけでなく、第1可動体262の第2可動体272側への移動に伴う力が作用することになる。このため仮にプロセスチャンバ110側の圧力が高くても、第1弁体214の閉弁動作の遅れを抑制することができる。第1室342に圧縮空気30を導かなくても第2室344への圧縮空気30の導入で第1弁体214により第1開口204を閉じることができるが、第1室342に圧縮空気30を導入した方が第2室344体積を小さくでき、第1弁体214の閉弁動作を早めることができる。さらにそれに加えて上述したように、径が大きい第1可動体262が受ける力が第2可動体272より大きいので第2室344内の空気を押す方向に作用し、上述したように制御速度を高める、あるいはプロセスチャンバ110側の圧力の上昇による応答遅れを抑制できる効果がある。
60・・・通路方向、70・・・垂直方向、110・・・プロセスチャンバ、120・・・トランスファチャンバ、200・・・デュアルゲートバルブ、202・・・弁箱、203・・・弁室、204・・・第1開口、206・・・第2開口、214・・・第1弁体、216・・・第2弁体、220・・・弁ロッド、230・・・本体、232・・・ガイド、234・・・ガイド、250・・・通路方向移動機構、252・・・カバー、260・・・第1シリンダ機構、261・・・第1シリンダ、262・・・第1可動体、263・・・第1ロッド、264・・・第1ストッパ、266・・・第2ストッパ、270・・・第2シリンダ機構、271・・・第2シリンダ、272・・・第2可動体、273・・・第2ロッド、280・・・第1伝達機構、281・・・第1伝達室、282・・・第1伝達体、300・・・垂直方向移動機構、302・・・垂直移動ロッド、310・・・第2伝達機構、311・・・第2伝達室、312・・・第2伝達体、322・・・縦制御ロッド、324・・・縦制御ロッド、342・・・第1室、344・・・第2室、346・・・第3室、350・・・ロッド移動機構。

Claims (5)

  1. プロセスチャンバの側に開口する第1開口とトランスファチャンバの側に開口する第2開口とが形成され、前記第1開口と前記第2開口とによりその内部に通路が形成される弁箱と、
    前記弁箱の前記内部にそれぞれ配置され、前記第1開口と前記第2開口とをそれぞれ開閉するための第1弁体と第2弁体と、
    前記弁箱に隣接して設けられた本体と、
    一端が前記弁箱の前記内部に位置していて前記一端に前記第1弁体および前記第2弁体が固定され、さらにその他端が前記通路に沿う方向である通路方向に対して垂直方向に沿って前記本体の内部に伸びる弁ロッドと、
    前記本体の前記内部に設けられ、前記弁ロッドを、前記通路方向に沿って移動するための通路方向移動機構と
    前記本体の前記内部に設けられ、前記弁ロッドを前記垂直方向に沿って移動する垂直方向移動機構と、
    を有し、
    前記通路方向移動機構は、第1シリンダ機構と第2シリンダ機構を有し、前記本体において、前記第1シリンダ機構が前記第2シリンダ機構より前記トランスファチャンバの側の方に配置され、前記第2シリンダ機構は前記第1シリンダ機構より前記本体の内側の方に配置され、
    前記第1シリンダ機構は空気室を形成するための第1シリンダと前記第1シリンダの内部を移動する第1可動体とを有し、
    前記第2シリンダ機構は空気室を形成するための第2シリンダと前記第2シリンダの内部を移動する第2可動体とを有し、
    前記第1シリンダ機構のさらに外側に取り外し可能なカバーが設けられ、前記カバーが取り外されることにより、前記第1シリンダ機構の前記第1シリンダが前記本体の前記トランスファチャンバの側の側面において開放状態となる、ことを特徴とするデュアルゲートバルブ。
  2. 請求項1において、前記第1シリンダ機構を構成する前記第1シリンダと前記第1可動体の径が、前記第2シリンダ機構の前記第2シリンダや前記第2可動体の径より大きいことを特徴とするデュアルゲートバルブ。
  3. 請求項2において、前記第2シリンダと、前記第2シリンダより径の大きい前記第1シリンダと、の接続位置が、前記第1可動体の前記トランスファチャンバの側と前記第2可動体の前記プロセスチャンバの側とに圧縮空気が導入された状態において、前記第1可動体の移動を止める第1ストッパとなり、
    前記第1可動体が、前記第1開口と前記第2開口とが共に開放状態となる中立位置を決めるための基準位置となる、
    ことを特徴とするデュアルゲートバルブ。
  4. 請求項3において、
    前記第2シリンダ機構の前記第2可動体は、前記第2可動体の前記第1可動体の方の面から前記第1可動体の方に伸びる所定の長さの第1ロッドを有し、
    さらに前記第2可動体は、前記第2可動体の前記第1可動体とは逆の面から前記第2シリンダの外にまで延びて、前記弁ロッドに前記通路方向移動機構の動きを伝えるための第2ロッドを有し、
    前記第1可動体の前記トランスファチャンバの側および前記第1可動体と前記第2可動体との間に、所定圧の前記圧縮空気を導入することにより、前記第2可動体と前記第1ロッドの前記第1可動体の側の端面とに前記所定圧の前記圧縮空気が作用し、また前記第1可動体の位置が動作の基準位置となって、前記第1開口が前記第1弁体により閉弁し、
    さらに前記第1可動体の前記トランスファチャンバの側に前記所定圧の前記圧縮空気を導入し、また前記第2可動体の前記第2ロッドの側に前記所定圧の前記圧縮空気を導入することにより、前記第2開口が前記第2弁体によって閉弁する、ことを特徴とするデュアルゲートバルブ。
  5. 請求項1乃至請求項4の内の一の請求項において、前記弁ロッドを挟んで2組の前記通路方向移動機構が設けられ、さらに前記2組の前記通路方向移動機構と前記弁ロッドとが前記通路方向において重なって配置されており、
    前記2組の前記通路方向移動機構により、前記弁ロッドの前記通路方向の移動が制御され、前記弁ロッドの前記通路方向の移動の前記制御により、前記第1弁体および前記第2弁体の前記通路方向の移動が制御されることを特徴とするデュアルゲートバルブ。
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