JP2016512872A - 真空弁 - Google Patents
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Abstract
本発明は、第1の閉鎖要素(1a)を第1の閉鎖要素位置(C1)と、第2の閉鎖要素位置(C2)と、両閉鎖要素位置(C1,C2)の間に位置する中間の閉鎖要素位置(C3)との間で変位させるための少なくとも1つのピストン・シリンダ装置(3)を備えた真空弁に関する。第1の閉鎖要素(1a)に機械的に連結されたピストン・シリンダ装置(3)は、シリンダユニット(4)とピストンユニット(7)とを有している。シリンダユニット(4)とピストンユニット(7)とに対して相対的に、第1のシール体(10a;11a)と第2のシール体(10b;11b)とが、互いに独立して軸方向に移動可能である。シリンダユニット(4)に設けられた第1の軸方向ストッパ(15a)と、ピストンユニット(7)に設けられた第3の軸方向ストッパ(16a)とは、中間の閉鎖要素位置(C3)において、第2の圧力室(5b)の方向への第1のシール体(10a;11a)の軸方向の可動性が、第1の軸方向ストッパ(15a)と第3の軸方向ストッパ(16a)とによって一緒に制限されているように、互いに相対的に配置されている。シリンダユニット(4)に設けられた第2の軸方向ストッパ(15b)と、ピストンユニット(7)に設けられた第4の軸方向ストッパ(16b)とは、中間の閉鎖要素位置(C3)において、第1の圧力室(5a)の方向への第2のシール体(10b;11b)の軸方向の可動性が、第2の軸方向ストッパ(15b)と第4の軸方向ストッパ(16b)とによって一緒に制限されているように、互いに相対的に配置されている。
Description
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の真空弁に関する。
弁壁または弁ハウジングに形成された少なくとも1つの開口を通る流路をほぼガス密に閉鎖するための真空弁は、先行技術に基づき、種々異なる例で公知である。
真空弁は、特に保護雰囲気中で可能な限り汚染パーティクルの存在なしに行わなければならないIC・半導体製造の分野において使用される。たとえば、半導体ウェーハまたは液晶基板のための製造装置では、高感度の半導体素子または液晶素子が複数のプロセスチャンバを順次通走する。これらのプロセスチャンバ内では、そこに位置する半導体素子が、それぞれ1つの加工装置によって加工される。プロセスチャンバの内部での加工プロセスの間だけでなく、プロセスチャンバからプロセスチャンバへの搬送の間にも、高感度の半導体素子は常に保護雰囲気中、特に真空中に位置していなければならない。プロセスチャンバ同士は、たとえば接続路を介して互いに接続されている。プロセスチャンバは真空ゲート弁を用いて、部材を所定のプロセスチャンバから次のプロセスチャンバに搬送するために開放することができ、次いで、各製造ステップの実施のために閉鎖することができる。このような弁は、上述した使用分野に基づき真空角型弁とも呼ばれ、その長方形の、つまり、角型の開口横断面に基づき、角型ゲートとも呼ばれる。
チャンバの排気またはプロセスガスの供給および導出は、特に同じく真空弁、たとえば、いわゆる「末端弁」の形態のゲート弁、振り子式弁またはアングル弁によってガス密に閉鎖することができる供給管路および導出管路を介して行われる。
真空弁を高感度の半導体素子の製造の分野において使用する場合には、特に弁の操作に起因したパーティクルの発生と、弁室の真空領域内の自由パーティクルの数とが、可能な限り少なく保たれなければならない。パーティクルの発生は、主として、たとえば金属同士の接触および摩耗による摩擦の結果として起こる。真空領域に使用するための適切な駆動装置として、特に空圧駆動装置、特にピストン・シリンダ装置の形態のリニア駆動装置が普及している。
閉鎖すべき開口の密封は、たとえば、閉鎖要素の閉鎖面に配置された、開口を取り囲む弁座に押圧されるシール部材を介して行われるかまたは閉鎖要素の閉鎖面が押圧される弁座に設けられたシール部材、特にシールリングを介して行われる。種々異なるシール装置が、先行技術、たとえば米国特許第6629682号明細書(Duelli)に基づき公知である。シールリングに用いられる適切な材料は、たとえば商品名Viton(登録商標)で知られている弾性的なシール材料である。
真空弁、特に真空弁の駆動テクノロジの種々異なる例が、先行技術に基づき公知である。これらの公知例では、特に使用されるシール部材の寿命の向上ならびにプロセス安全性の改善が目標とされている。
各駆動テクノロジに関しては、特に弁ゲートまたは角型ゲートとも呼ばれるゲート弁と、振り子式弁とが区別される。先行技術では、開閉が大抵2回のステップで行われる。第1のステップでは、弁閉鎖要素、特に閉鎖ディスクが、たとえば米国特許第6416037号明細書(Geiser)または米国特許第6056266号明細書(Blecha)に基づき公知であるような、特にL形のゲート弁の場合には、開口に被さるように弁座に対してほぼ平行に線形に移動させられ、また、たとえば米国特許第6089537号明細書(Olmsted)に基づき公知であるような振り子式弁の場合には、1つの旋回軸線を中心として開口に被さるように旋回させられる。なお、その際には、閉鎖ディスクと弁ハウジングの弁座との間に接触は生じない。第2のステップでは、閉鎖ディスクがその閉鎖面で弁ハウジングの弁座に押圧され、これによって、開口がガス密に閉鎖される。
閉鎖要素が、まず、開口に被さるように横方向に押し進められ、次いで、ほぼ垂直に弁座に押圧される上述した2段階の運動は、通流量の正確な調整が可能となることのほかに、特にシール部材に横方向負荷または長手方向負荷がかかることなく、シール部材がほぼ専ら垂直に押し潰されるという利点を有している。
2回のステップで行われるゲート弁または振り子式弁の閉鎖運動は、特にただ1つの駆動装置によって行われてもよいし、2つの別個の駆動装置によって行われてもよい。
ただ1つの駆動エレメントによって、開口に被さるような閉鎖ディスクのほぼ線形の移動と、開口を取り囲む弁座への閉鎖ディスクのほぼ垂直な押付けとを可能にする駆動機構は、たとえば米国特許第6431518号明細書、米国特許第5415376号明細書、米国特許第5641149号明細書、米国特許第6045117号明細書、米国特許第5934646号明細書、米国特許第5755255号明細書、米国特許第6082706号明細書、米国特許第6095180号明細書および米国特許第6629682号明細書に基づき公知である。
しかしながら、2段階の運動フローは、複数の別個の駆動機構または駆動エレメントによって達成することもできる。たとえば米国特許第6056266号明細書(Blecha)および米国特許第6561484号明細書(Nakagawa)には、プッシュロッド軸線に沿って線形に変位可能であるプッシュロッドを備えたゲート弁が記載されている。これによって、閉鎖ディスクと弁座との間で接触が生じることなく、閉鎖ディスクを開口に被さるように平行に押し進めることができる。この場合には、駆動機構が単純なリニア運動駆動装置、たとえばピストン・シリンダ駆動装置によって形成されてよい。弁座への閉鎖ディスクの押付けは、二分割された閉鎖ディスク内に設けられているかまたは閉鎖ディスクとプッシュロッドとの間に設けられた1つの固有の駆動装置によって達成される。この固有の駆動装置は、米国特許第6056266号明細書(Blecha)に示されているように、特に閉鎖ディスクの閉鎖面を直線的に弁座に垂直に押圧することができるピストン・シリンダ駆動装置として形成されている。
2つの別個の駆動エレメントを備えた類似の真空弁が、独国特許出願公開第102007030006号明細書に示されている。弁ロッドをその長手方向に移動させるために、ピストン・シリンダ装置が用いられている。このピストン・シリンダ装置は、弁ロッドの長手方向軸線に対して横方向に全体として平行に移動可能に弁ハウジングに支承されている。この平行移動のためには、同じく真空領域の外側に配置された別のピストン・シリンダ装置が用いられている。
独国特許出願公開第102008049353号明細書(Ehrne, Blecha)には、真空領域から導出されていて、真空領域の外側で長手方向駆動装置ならびに別個の横方向駆動装置と支承ユニットとに結合された弁ロッドを備えた真空弁が記載されている。
国際公開第2010/034046号に基づき公知の真空弁では、この真空弁の閉鎖のために、まず、長手方向軸線の方向への弁ロッドの移動が行われ、次いで、長手方向軸線に対して横方向への弁ロッドの平行移動が行われる。このためには、弁ロッドが、真空領域の外側に配置された支承ユニットから長手方向軸線の方向に移動可能に支承されている。支承ユニットは弁ロッドと共にこの弁ロッドに対して横方向に移動することができる。この目的のためには、横方向に作用するピストン・シリンダ装置が用いられる。別の例では、ピストン・シリンダ装置が弁ロッドの長手方向軸線の方向に作用する。支承ユニットの横方向運動は、平行四辺形ガイドを形成する複数のリンクによって発生させられる。
2段階の、特にL字形の運動によって、まず、弁座に被さるように横方向に、次いで、弁座に向かって垂直に変位可能である閉鎖要素を備えた所定の真空弁の欠点は、通常、この真空弁に一方のシール方向でしか高い荷重を加えることができない点にある。閉鎖要素の閉鎖面が向けられている開放側に相対的な負圧が形成されると、閉鎖要素が圧力差に基づき弁座に押圧され、この弁座によって支持される。この場合には、圧力が駆動装置それ自体と同じ閉鎖方向に作用する。弁座と閉鎖要素の閉鎖面との間のシール部材の、このシール部材に損傷を与える過剰の押潰しを回避するための手段が、先行技術に基づき公知である。したがって、真空弁によって、開放側で相対的な高い負圧を吸収することが可能となる。これに対して、開放側に相対的な正圧が形成されるかまたは、言い換えると、閉鎖要素側に相対的な負圧が形成されると、圧力が駆動装置の閉鎖方向と逆方向に作用し、閉鎖要素が圧力差に基づき弁座から押し離されることになる。更なる手段がないと、閉鎖要素が弁座から持ち上がって、弁が開放してしまう恐れがある。すなわち、真空弁に両側で負荷がかけられるような場合には、特に閉鎖要素を閉鎖方向と逆方向で支持するための手段が考慮されなければならず、これによって、反作用する圧力にもかかわらず、閉鎖要素が十分な力で弁座に押圧される。この種の支持は、先行技術に基づき種々異なる形態で公知であるような、十分に寸法設定された駆動・支持エレメントによって行うことができる。
択一的には、一方向に閉鎖するただ1つの閉鎖要素の代わりに、互いに反対の側に位置する2つの弁開口を閉鎖するための、互いに関連し合って変位可能であるかまたは独立して変位可能である、互いに逆方向に閉鎖する2つの閉鎖要素が使用される。
この理由から、相対的な高い正圧と負圧とが切り換えられる用途では、通常、二重弁または複板弁が使用される。このような二重弁または複板弁では、第1の閉鎖板面を第1の方向へと、第1の弁開口を環状に取り囲んで延びる第1の弁座に押圧することができ、反対の側に位置する第2の閉鎖板面を逆の第2の方向へと、第2の弁開口を環状に取り囲んで延びる反対の側に位置する第2の弁座に押圧することができる。連結された両閉鎖板の場合または2つの閉鎖面を有するただ1つの閉鎖板の場合には、互いに反対の側に位置する開口の閉鎖を交互に行うことができ、また、互いに独立して変位可能な閉鎖板の場合には、同時に行うことができる。規定された構成では、閉鎖板を互いに押し拡げて、それぞれ各弁座に押し当てるための拡開機構が提案されている。
先行技術に基づき公知の真空弁は、その真空領域を形成する内室と、互いに平行な長手方向軸線を有していて、第1・第2の弁座により取り囲まれた第1・第2の弁開口とを備えた弁ハウジングを有している。1つの閉鎖要素が第1・第2の閉鎖板を有している。横方向駆動装置によって、閉鎖要素が、弁開口の長手方向軸線、すなわち、開口軸線に対して横方向の操作方向へと、閉鎖板が弁開口を開放している開放位置と、閉鎖板が弁開口を覆っていているものの、弁座からは持ち上げられている中間位置との間で変位可能となる。さらに、閉鎖要素を中間位置と、第1の閉鎖板が第1の弁座に押し付けられている第1の閉鎖位置との間で変位させるための第1の長手方向駆動装置が設けられている。第2の長手方向駆動装置によって、閉鎖要素は、中間位置と、第2の閉鎖板が第2の弁座に押し付けられている第2の閉鎖位置との間で変位可能となる。
米国特許第6390448号明細書に基づき、冒頭に記載した真空弁が公知である。この公知の真空弁の閉鎖要素は、第1の閉鎖板と第2の閉鎖板とを有している。両閉鎖板は、第1の弁開口を取り囲む第1の弁座と、第2の弁開口を取り囲む第2の弁座とに交互に押し付けることができる。閉鎖要素は、横方向駆動装置によって弁開口の長手方向軸線に対して横方向に、開放位置と、閉鎖板が弁開口を覆っているものの、弁座から持ち上げられている中間位置との間で変位可能である。横方向駆動装置は、1つの軸線を中心として旋回可能な旋回部材に取り付けられている。この旋回部材はその旋回軸線を中心として駆動エレメントによって旋回することができ、これによって、第1の閉鎖板が第1の弁座に押し付けられる。駆動エレメントと、旋回部材のための旋回軸線とは、別の旋回軸線を中心として別の駆動エレメントによって旋回可能である別の旋回部材に配置されている。別の旋回軸線を中心とした別の旋回部材の旋回によって、第2の閉鎖板を第2の弁座に押し付けることができる。この構造には、比較的手間がかかる。真空弁が、比較的小さな開口幅を有する弁開口に対して設計されている。
米国特許第6776394号明細書に記載されている真空弁では、弁ディスクが旋回アームに取り付けられている。この旋回アームは、回動軸線を中心として旋回可能なかつ回動軸線の方向に移動可能な軸に取り付けられている。この軸は弁ハウジングに対してスライダガイド機構によってガイドされている。軸を回動軸線の方向に移動させると共に軸を回動軸線を中心として回動させるためには、スライダガイド機構に結合された状態で作用する、軸の雌ねじ山にねじ込まれ、駆動エレメントにより回動可能な軸部が用いられる。さらに、弁ハウジング内には、ピストン・シリンダ装置の形態の駆動エレメントが設けられている。この駆動エレメントは、真空領域に導入されたプランジャ状の操作エレメントと協働する。この操作エレメントによって、閉鎖板の閉鎖位置でこの閉鎖板を付加的な力によって弁座に押し付けることができる。
米国特許出願公開第2004/0079915号明細書に基づき公知の真空弁は、支持部材を備えた閉鎖要素を有している。支持部材には、閉鎖板がピストン・シリンダ装置によって移動可能に配置されている。閉鎖要素の、弁開口を覆う位置では、閉鎖板をピストン・シリンダ装置によって、弁開口を取り囲む弁座に押し付けることができる。好ましくは、さらに、ピストン・シリンダ装置によって支持部材に対して移動可能である支持板が設けられている。この支持板は、閉鎖板の閉鎖位置において、弁ハウジングの反対側の壁に、別の弁開口を取り囲む領域で押し付けられている。閉鎖板と支持板とには、弁ハウジングの壁と協働するためのエラストマリングが配置されている。
米国特許第6561483号明細書(Nakagawa)および米国特許第6561484号明細書(Nakagawa et al.)に基づき、ゲート弁が種々異なる例で公知である。この公知のゲート弁は二分割式の閉鎖ディスクを有している。第1のディスク区分は開口を有している。第2のディスク区分は、伸長可能なボディによって第1のディスク区分に結合されている。第1のディスク区分と第2のディスク区分との間にアクチュエータが配置されており、これによって、両ディスク区分を互いに近づく方向に、また、互いに離れる方向にアクティブに運動させることができる。伸長可能なボディは、ベローズとして形成されている。第1のディスク区分はアクチュエータによって弁座に押付け可能である。特に弁座側の正圧の場合、第2のディスク区分は、場合により、反対の側に位置する弁ハウジング面に支持される。
開口に被さるような閉鎖要素の線形のまたは旋回による横方向変位だけでなく、弁座への閉鎖要素の垂直な変位にも、また、駆動装置による組み合わされた運動フローの場合にも、リニア駆動装置、特にピストン・シリンダ駆動装置またはスピンドル駆動装置が適している。このスピンドル駆動装置は、特に比較的緩速の正確な線形変位のために適していて、セルフロックによって、任意の中間位置をとることができるものの、比較的複雑な構造を有している。特にスピンドルとスピンドルナットとの間の機械的な滑り結合に基づき、摩擦パーティクルが発生させられるので、プロセス被害を回避するために、駆動装置が弁の真空領域から隔絶されなければならない。
特に空圧式のまたは液圧式のピストン・シリンダ駆動装置は、簡単な構造、より少ないパーティクル発生および極めて高い変位速度を有しているものの、特に空圧式駆動装置の場合には、通常、中間位置を付加的な調整手間または複数のピストン・シリンダ駆動装置の使用でしか正確に達成することができず、また、保つことができない。
しかしながら、特定の用途では、横方向で弁座に被さるような閉鎖要素の横方向変位だけでなく、弁座への垂直な変位の際にも、特に特定の運転状態または開口横断面を達成するかもしくは通流量を調整するために、少なくとも1つの中間位置へのリニア駆動装置の的確で正確な安定した変位が必要となるかまたは有利である。
専らとは云わないまでも、特に互いに反対の側に位置する2つの弁開口を、互いに反対の側に位置する2つの閉鎖面を有する閉鎖エレメントによって交互に閉鎖することができる二重弁では、特に横方向運動のプロセス安全な実施のために、閉鎖エレメントの第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間の規定された中間位置を正確に達成することができる単純な駆動装置が特に有利である。
しかしながら、横方向運動と長手方向運動とによって閉鎖が行われる一層簡単なゲート弁または振り子式弁の場合も、規定された中間位置に閉鎖要素を変位させることができる単純な駆動装置が有利である。横方向駆動装置としての使用時には、開口横断面が、たとえば規定された中間位置で閉鎖要素によって部分的にしか覆われていない。長手方向駆動装置の場合には、閉鎖要素が、閉鎖面が弁座に対して間隔を置いて向かい合って位置する中間位置と、ガス密な閉鎖位置との間で、規定された中央位置に変位させられ、これによって、通流量が中間位置に比べて一層減少させる。
真空領域に使用される簡単に形成されたピストン・シリンダ駆動装置では、反力の作用時にも保つことができる3つの規定された安定した位置をとることが、極めて増大させられた構造上の手間でしか可能とならない。
したがって、本発明の課題は、簡単に形成されたピストン・シリンダ装置によって、安定した第1の閉鎖要素位置と、安定した第2の閉鎖要素位置と、両閉鎖要素位置の間に位置する安定した中間の閉鎖要素位置との間で変位することができる閉鎖要素を備えた真空弁を提供することである。
この課題は、独立請求項の特徴の実現によって解決される。本発明を択一的にまたは有利に改良する特徴は、従属請求項から認めることができる。
本発明に係る真空弁は、第1の閉鎖要素と、少なくとも1つのピストン・シリンダ装置を備えた第1の駆動装置とを有している。この第1の駆動装置は、第1の閉鎖要素を変位させるために形成されている。この第1の閉鎖要素を変位させるために、ピストン・シリンダ装置は第1の閉鎖要素に機械的に連結されている。
ピストン・シリンダ装置は、シリンダユニットと、ピストンユニットと、シールユニットとを有している。
シリンダユニットは、シリンダ内室と内周面とを有している。シリンダ内室は内周面によって形成され、この内周面によって、特に半径方向で画定される。好ましくは、シリンダ内室は、2つのシリンダ底面によって軸方向で画定される。
ピストンユニットはシリンダ内室に位置していて、シリンダユニットの内周面によって、特に半径方向で取り囲まれる。特に両シリンダ底面の間に位置するピストンユニットは、外周面を有している。この外周面の形状は、少なくとも第1の区分および第2の区分で内周面の形状にほぼ対応している。ピストンユニットは、外周面と、特に2つのピストン底面とによって画定され、特に中実にまたは中空に形成されている。特に完成体としてのピストンユニットは、シリンダ内室でシリンダユニットに対して相対的に幾何学的なピストン軸線に沿って線形に変位可能である。内周面と外周面とは、少なくとも第1の区分および第2の区分で幾何学的なピストン軸線に沿って幾何学的に延びている。
内周面と外周面との間の、特に半径方向の中間室内には、シールユニットが密に配置されており、これによって、このシールユニットを介して、内周面と外周面との間にガス密な接触が形成される。したがって、シールユニットはピストンユニットと共にシリンダ内室を、ピストンユニットの一方の側で軸方向に延びるガス密な第1の圧力室と、ピストンユニットの他方の側で軸方向に延びるガス密な第2の圧力室とに分割している。したがって、第1の圧力室と第2の圧力室とは、互いにガス密に分離されている。ピストンユニットとシールユニットとは、分離要素として両圧力室の間に軸方向で位置している。
少なくとも1つのピストン・シリンダ装置は、第1の閉鎖要素が、第1の圧力室と第2の圧力室との間に形成される圧力差の変化によって、第1の閉鎖要素位置と第2の閉鎖要素位置との間で変位可能となるように、第1の閉鎖要素に機械的に連結されている。第1の閉鎖要素位置では、シリンダユニットとピストンユニットとが互いに相対的に第1の相対位置で互いに位置決めされている。第2の閉鎖要素位置では、シリンダユニットとピストンユニットとが互いに相対的に第2の相対位置で互いに位置決めされている。好ましくは、第1の圧力室の容積が第1の相対位置または第2の相対位置で最大であるのに対して、第2の圧力室における容積は最小である。
有効な作用面積に関連して、ピストンユニットは、両圧力室の間に形成される規定された圧力差、特にゼロに等しい圧力差でバランスを保っている。規定された閾値が超過されると、正の方向または負の方向への圧力差の変化によって、第1の相対位置または第2の相対位置へのシリンダユニットに対して相対的なピストンユニットの変位が生じる。機械的な連結の種類に関連して、好ましくは、シリンダユニットまたはピストンユニットは定置である。定置でないエレメントが、好ましくは、第1の閉鎖要素に機械的に連結されている。ピストン・シリンダ装置と第1の閉鎖要素との間での機械的な連結は、好ましくは、第1の閉鎖要素とのピストンユニットまたはシリンダユニットの固い機械的な連結、たとえばロッド結合またはジョイント結合を介して行うことができる。
本発明によれば、シールユニットは、第1のシール体と第2のシール体とによって形成される。これら両シール体は、少なくとも規定された運動範囲内で互いに独立して、シリンダユニットに対してだけでなく、ピストンユニットに対しても相対的に幾何学的なピストン軸線に沿って軸方向に移動可能である。言い換えると、両シール体は、少なくとも規定された運動範囲内で互いに切り離されていて、互いに独立して移動可能である。両シール体は、当該運動範囲内でピストンユニットとシリンダユニットとに対して、互いに独立した運動要素を形成している。しかしながら、シリンダユニットとピストンユニットとに対して相対的な自由な可動性は、以下に詳しく説明するように、複数の軸方向ストッパによって、規定された相対的な運動範囲に制限されている。
第1のシール体も、第2のシール体も、それぞれ外側のシール面と内側のシール面とを有している。各外側のシール面は内周面にガス密に接触していて、内周面に対して相対的に軸方向に移動可能である。各内側のシール面も外周面にガス密に接触していて、外周面に対して相対的に軸方向に移動可能である。言い換えると、シール面によって、各シール体と、内周面および外周面との間にガス密な接触が形成される。相対的な軸方向の移動可能性は、ガス密に密封された状態の維持下で付与されている。
第1のシール体の外側のシール面は、内周面の第1の区分の範囲内でシリンダユニットに対して相対的に軸方向可動である。第2のシール支持体の外側のシール面も、内周面の第2の区分の範囲内でシリンダユニットに対して相対的に軸方向可動である。
第1のシール体の内側のシール面は、外周面の第1の区分の範囲内でピストンユニットに対して相対的に軸方向可動である。第2のシール支持体の内側のシール面も、外周面の第2の区分の範囲内でピストンユニットに対して相対的に軸方向可動である。
本発明の可能な態様では、第1のシール体が第1のOリングによって形成される。第2のシール体も第2のOリングとして形成されている。両Oリングは円形のシール横断面を有していてよいものの、あらゆる別のシール横断面、特に楕円形または多角形、特に正長方形のシール横断面を有していてもよい。この態様では、各Oリングの外向きの面が、各外側のシール面として作用するのに対して、各Oリングの内向きの面は、各内側のシール面として作用する。好ましくは、Oリングは、それ自体ねじれることなしに、内周面だけでなく外周面に対してもガス密に滑動することができるように寸法設定かつ形成されている。
しかしながら、択一的には、第1のシール体を第1のシール支持体によって形成し、第2のシール体を第2のシール支持体によって形成することも可能である。シール支持体は、たとえば環状の横断面を有している。第1のシール体は、外側のシール面を形成している外側のシール部材と、内側のシール面を形成している内側のシール部材とを有している。第2のシール体も、外側のシール面を形成している外側のシール部材と、内側のシール面を形成している内側のシール部材とを有している。これら内外のシール部材は、たとえば、特に各シール支持体に設けられた内側溝内または外側溝内に保持されるOリングによって形成されてもよいし、各シール支持体に加硫被着されたシール部材によって形成されてもよい。
本発明によれば、ピストンユニットに対してだけでなく、シリンダユニットに対しても相対的な両シール体の相対的な各運動範囲が、規定された範囲に制限される。したがって、シール体は、規定された運動範囲内で伝動体として作用する。この場合、各圧力室内の圧力によりシール体に作用する力が、ピストンユニットおよび/またはシリンダユニットに伝達され、これによって、シール体がその相対的な位置に関してストッパによってシリンダユニットまたはピストンユニットに一方向で連結されている。したがって、各シール体に作用した力が、以下に説明するように、ピストンユニットまたはシリンダユニットに作用する。
シリンダユニットは、第1の軸方向ストッパと第2の軸方向ストッパとを有している。両軸方向ストッパは、軸方向不動にシリンダユニットに連結されている。
シリンダユニットの第1の軸方向ストッパは、第2の圧力室の方向へのシリンダユニットに対して相対的な第1のシール体の軸方向の可動性を、内周面の、第1の圧力室の側に配置された第1の区分に制限している。言い換えると、第1の軸方向ストッパは、第2の圧力室および第2のシール体の方向への第1のシール体の自由な軸方向の可動性の範囲が、シリンダユニットの内周面に制限されていて、しかも、内周面の第1の区分に制限されているように、シリンダユニットに配置されている。
シリンダユニットの第2の軸方向ストッパは、第1の圧力室の方向へのシリンダユニットに対して相対的な第2のシール体の軸方向の可動性を、内周面の、第2の圧力室の側に配置された第2の区分に制限している。言い換えると、第2の軸方向ストッパは、第1の圧力室および第1のシール体の方向への第2のシール体の自由な軸方向の可動性の範囲が、シリンダユニットの内周面に制限されていて、しかも、内周面の第2の区分に制限されているように、シリンダユニットに配置されている。
本発明の改良態様では、シリンダユニットの第1の軸方向ストッパと第2の軸方向ストッパとが、内周面の第1の区分と内周面の第2の区分との間に配置されかつ両区分を、特に互いに分離する、シリンダ内室に内向きに張り出した少なくとも1つの段部によって形成されている。内向きに張り出した段部の、第1の圧力室の方向に向けられた面が、第1の軸方向ストッパとして作用し、内向きに張り出した段部の、第2の圧力室の方向に向けられた面が、第2の軸方向ストッパとして作用する。内向きに張り出した段部は、特に鍔状の縮径部によって形成される。この縮径部は、内周面の内側で環状に、特に一貫して環状に延びているかまたは複数の段部の形態で形成されている。
本発明の別の改良態様では、内向きに張り出した少なくとも1つの段部が、内周面の第1の区分および内周面の第2の区分への移行部を有しており、この移行部の形状が、第1のシール体および第2のシール体の形状に対応しており、これによって、シール体が、均等に段部に位置するようになっている。円形のシール横断面を備えたOリングの態様では、内向きに張り出した段部の移行部が、Oリングの丸みにほぼ対応している。
すなわち、両シール体をシリンダユニットに対して相対的に互いに近づく方向にかつ互いに離れる方向に運動させることができる。シリンダユニットの第1の軸方向ストッパと第2の軸方向ストッパとは、両シール体相互の最小間隔を制限している。したがって、第1の軸方向ストッパと第2の軸方向ストッパとが、内周面を第1のシール体に対する第1の区分と第2のシール体に対する第2の区分とに分割している。
ピストンユニットも両シール体に対する2つの軸方向ストッパ、つまり、第3の軸方向ストッパと第4の軸方向ストッパとを有している。
ピストンユニットの第3の軸方向ストッパは、第2の圧力室の方向へのピストンユニットに対して相対的な第1のシール体の軸方向の可動性を、外周面の、第1の圧力室の側に配置された第1の区分に制限している。言い換えると、第3の軸方向ストッパは、第2の圧力室および第2のシール体の方向への第1のシール体の自由な軸方向の可動性の範囲が、ピストンユニットの外周面に制限されていて、しかも、外周面の第1の区分に制限されているように、ピストンユニットに配置されている。
ピストンユニットの第4の軸方向ストッパは、第1の圧力室の方向へのピストンユニットに対して相対的な第2のシール体の軸方向の可動性を、外周面の、第2の圧力室の側に配置された第2の区分に制限している。言い換えると、第4の軸方向ストッパは、第1の圧力室および第1のシール体の方向への第2のシール体の自由な軸方向の可動性の範囲が、ピストンユニットの外周面に制限されていて、しかも、外周面の第2の区分に制限されているように、ピストンユニットに配置されている。
本発明の改良態様では、ピストンユニットの第3の軸方向ストッパと第4の軸方向ストッパとが、外周面の第1の区分と外周面の第2の区分との間に配置されかつ両区分を、特に互いに分離する、外向きに張り出した少なくとも1つの段部によって形成されている。外向きに張り出した段部の、第1の圧力室の方向に向けられた面が、第3の軸方向ストッパとして作用し、外向きに張り出した段部の、第2の圧力室の方向に向けられた面が、第4の軸方向ストッパとして作用する。外向きに張り出した段部は、特に鍔状の拡径部によって形成される。この拡径部は、外周面の外側で一貫して環状に延びているかまたは複数の段部の形態で形成されている。
本発明の別の改良態様では、外向きに張り出した少なくとも1つの段部が、外周面の第1の区分および外周面の第2の区分への移行部を有しており、この移行部の形状が、第1のシール体および第2のシール体の形状に対応しており、これによって、シール体が、均等に段部に位置するようになっている。円形のシール横断面を備えたOリングの態様では、外向きに張り出した段部の移行部が、Oリングの丸みにほぼ対応している。
すなわち、両シール体をピストンユニットに対して相対的に互いに近づく方向にかつ互いに離れる方向に運動させることができる。ピストンユニットの第3の軸方向ストッパと第4の軸方向ストッパとは、両シール体相互の最小間隔を制限している。したがって、第3の軸方向ストッパと第4の軸方向ストッパとが、外周面を第1のシール体に対する第1の区分と第2のシール体に対する第2の区分とに分割している。
シリンダユニットの第1の軸方向ストッパとピストンユニットの第3の軸方向ストッパとは、シリンダユニットとピストンユニットとの、第1の相対位置と第2の相対位置との間に位置しかつ中間の閉鎖要素位置に対応する互いに相対的な中間の相対位置において、第2の圧力室の方向への第1のシール体の軸方向の可動性が、第1の軸方向ストッパと第3の軸方向ストッパとによって一緒に制限されていように、互いに相対的に配置されている。
言い換えると、シリンダユニットとピストンユニットとの互いに相対的な中間の相対位置において、シリンダユニットの第1の軸方向ストッパとピストンユニットの第3の軸方向ストッパとは、第1の軸方向ストッパと第3の軸方向ストッパとが中間の相対位置で第1のシール体に対する1つの共通の軸方向ストッパとして作用しかつ第1のシール体が第2の圧力室および第2のシール体に向かって第1の軸方向ストッパにも第3の軸方向ストッパにも接触することができるように、互いに相対的に位置しいていて、特にこのように互いに向かい合って位置している。
また、シリンダユニットの第2の軸方向ストッパとピストンユニットの第4の軸方向ストッパとは、中間の相対位置において、第1の圧力室の方向への第1のシール体の軸方向の可動性が、第2の軸方向ストッパと第4の軸方向ストッパとによって一緒に制限されていように、互いに相対的に配置されている。
言い換えると、シリンダユニットとピストンユニットとの互いに相対的な中間の相対位置において、シリンダユニットの第2の軸方向ストッパとピストンユニットの第4の軸方向ストッパとは、第2の軸方向ストッパと第4の軸方向ストッパとが中間の相対位置で第2のシール体に対する1つの共通の軸方向ストッパとして作用しかつ第2のシール体が第1の圧力室および第1のシール体に向かって第2の軸方向ストッパにも第4の軸方向ストッパにも接触することができるように、互いに相対的に位置しいていて、特にこのように互いに向かい合って位置している。
両シール体の運動領域と内周面もしくは外周面の区分とは、上述したように、互いに近づく方向で4つの軸方向ストッパによって制限される。別の軸方向ストッパ、特に別の4つの軸方向ストッパによる外向きでの制限は必ずしも必要ではないが、可能である。
本発明の改良態様では、中間の相対位置において、第1の軸方向ストッパと第3の軸方向ストッパとが、ピストン軸線を基準として半径方向で互いに向かい合って配置されている。また、中間の相対位置では、第2の軸方向ストッパと第4の軸方向ストッパとが、ピストン軸線を基準として半径方向で互いに向かい合って配置されている。
可能な態様では、シリンダユニットの内周面の第1の区分および第2の区分ならびにピストンユニットの外周面の第1の区分および第2の区分が、幾何学的なピストン軸線に垂直に交わる幾何学的な切断平面内に、円形の横断面を有している。言い換えると、シール体の外側のシール面と内側のシール面とが軸方向でガス密に滑動することができる内周面および外周面の第1の区分と第2の区分とが、幾何学的なピストン軸線に垂直に交わる幾何学的な切断平面内に、それぞれ1つの円形の横断面を有している。別の形状、特に楕円形の横断面も同じく可能であるものの、製造方法に関連して、製造手間の増加に結び付けられている。
第1のシール体と第2のシール体との間には、中間のシリンダ内室が形成されている。このシリンダ内室は、第1の圧力室と第2の圧力室との間に位置していて、これら両圧力室からシール体によってガス密に分離されている。中間のシリンダ内室の容積は、両シール体のうちの一方のシール体が移動させられて、両シール体の間隔が変わった場合に変化させられるので、中間のシリンダ内室に対する通気可能性もしくは空気抜き可能性が提供されていなければならない。このことは、外向きへの中間のシリンダ内室の開放によって達成することができる。本発明の可能な態様では、中間のシリンダ内室の空気抜きが、中間のシリンダ内室からシリンダユニットの外部に通じる、特に周辺の環境に通じる少なくとも1つの空気抜き通路によって達成される。
両シール体の、制限されて自由な本発明による可動性によって、両圧力室に圧力、特にほぼ等しい圧力が加えられることにより、シリンダユニットをピストンユニットに対して相対的に、安定した規定された中間位置、つまり、第1の相対位置と第2の相対位置との間の中間の相対位置に変位させることができることが達成される。
3つの相対位置へのピストン・シリンダ装置の変位について、固定のシリンダユニットおよび可動のピストンユニットに基づき以下に説明する。しかしながら、可動のシリンダユニットおよび固定のピストンユニットによる逆の運動メカニズムまたは可動のシリンダユニットおよび可動のピストンユニットによる運動メカニズムも可能であり、本発明に含まれる。
特に第1の圧力室内のピストンユニットの有効な圧力作用面積と第2の圧力室内のピストンユニットの有効な圧力作用面積とが等しく設定されている。また、特に第1の圧力室内の第1のシール体の有効な圧力作用面積と第2の圧力室内の第2のシール体の有効な圧力作用面積とが等しく設定されている。特に両圧力室内のピストンユニットの有効な圧力作用面積は、両圧力室内のシール体の有効な圧力作用面積よりも大きく設定されている。
第1の相対位置では、ピストンユニットが第1の圧力室に向かって変位させられている。第1の圧力室の容積が減少させられていて、特に最小であり、第2の圧力室の容積が増加させられていて、特に最大である。第2の圧力室内の圧力が著しく増加させられており、特に第2の圧力室内の圧力が第1の圧力室内の圧力よりも著しく大きくなっている。第2の圧力室内の圧力が相対的に著しく増加させられていることに基づき、ピストンユニットが第1の圧力室に向かって押圧され、第1の相対位置において、安定した状態に保たれる。特に第2の圧力室内、特に両圧力室内には、中間のシリンダ内室の圧力、特に周辺の環境に対して相対的に、相対的な正圧が形成され、これによって、特に両シールユニットが互いに近づく方向に、すなわち、第1の軸方向ストッパもしくは第2の軸方向ストッパに向かって押圧される。
第1のシール体は、ピストンユニットの第3の軸方向ストッパに接触している。すなわち、第1の圧力室内の圧力が、ピストンユニットの有効な圧力作用面積だけでなく、第1のシール体の有効な圧力作用面積をも介して、第2の圧力室に向かってピストンユニットに作用している。しかしながら、第2のシール体はシリンダユニットの第2の軸方向ストッパに接触している。すなわち、第2の圧力室内の圧力は、第1の圧力室に向かってピストンユニットにこのピストンユニットの有効な圧力作用面積を介してしか作用しておらず、第2のシール体を介しては作用していない。なぜならば、この第2のシール体が第2の軸方向ストッパを介してシリンダユニットに支持されているからである。
したがって、第1の相対位置および第1の相対位置と中間の相対位置との間の範囲内では、ピストンユニットに作用する第1の圧力室内の有効な圧力作用面積が、ピストンユニットに作用する第2の圧力室内の有効な圧力作用面積よりも大きくなっている。なぜならば、第1の圧力室の側では、第1のシール体の有効な圧力作用面積もピストンユニットに作用しているからである。
すなわち、ピストンユニットの外周面の第2の区分と、シリンダユニットの第2の軸方向ストッパとは、第1の相対位置と中間の相対位置との間のこの範囲内で、第2のシール体の外側のシール面がピストンユニットの内周面の第2の区分に対して相対的に静止しているように配置されている。なぜならば、第2のシール体が第2の軸方向ストッパに接触しているのに対して、ピストンユニットの運動時には、ピストンユニットの外周面の第2の区分が、第2のシール体の内側のシール面に対して滑動するからである。シリンダユニットの内周面の第1の区分と、ピストンユニットの第3の軸方向ストッパとは、特に当該範囲内で、第1のシール体の内側のシール面がピストンユニットの外周面の第1の区分に対して相対的に静止しているように配置されている。なぜならば、第1のシール体が第3の軸方向ストッパに接触しているのに対して、ピストンユニットの運動時には、第1のシール体の外側のシール面がシリンダユニットの内周面の第1の区分に対して滑動するからである。
すなわち、ピストンユニットが中間の相対位置から第1の相対位置に運動させられて、この第1の相対位置に保持されるようにするためには、第2の圧力室内の圧力が相対的に著しく増加させられていなければならない。なぜならば、ピストンユニットに作用する第2の圧力室内の有効な圧力作用面積が、中間の相対位置と第1の相対位置との間の運動範囲内では減少させられているからである。
ピストンユニットが第2の圧力室に向かって変位させられている第2の相対位置では、相応して逆転が生じている。第2の圧力室の容積が減少させられていて、特に最小であり、第1の圧力室の容積が増加させられていて、特に最大である。第1の圧力室内の圧力が、第2の圧力室内の圧力に対して相対的に著しく増加させられており、特に第1の圧力室内の圧力が第2の圧力室内の圧力よりも著しく大きくなっている。第1の圧力室内の圧力が相対的に著しく増加させられていることに基づき、ピストンユニットが第2の圧力室に向かって押圧され、第2の相対位置において、安定した状態に保たれる。
第2のシール体は、ピストンユニットの第4の軸方向ストッパに接触している。すなわち、第2の圧力室内の圧力が、ピストンユニットの有効な圧力作用面積だけでなく、第2のシール体の有効な圧力作用面積をも介して、第1の圧力室に向かってピストンユニットに作用している。しかしながら、第1のシール体はシリンダユニットの第1の軸方向ストッパに接触している。すなわち、第1の圧力室内の圧力は、第2の圧力室に向かってピストンユニットにこのピストンユニットの有効な圧力作用面積を介してしか作用しておらず、第1のシール体を介しては作用していない。なぜならば、この第1のシール体が第1の軸方向ストッパを介してシリンダユニットに支持されているからである。
したがって、第2の相対位置および第2の相対位置と中間の相対位置との間の範囲内では、ピストンユニットに作用する第2の圧力室内の有効な圧力作用面積が、ピストンユニットに作用する第1の圧力室内の有効な圧力作用面積よりも大きくなっている。
すなわち、ピストンユニットの外周面の第1の区分と、シリンダユニットの第1の軸方向ストッパとは、第2の相対位置と中間の相対位置との間のこの範囲内で、第1のシール体の外側のシール面がピストンユニットの内周面の第1の区分に対して相対的に静止しているように配置されている。なぜならば、第1のシール体が第1の軸方向ストッパに接触しているのに対して、ピストンユニットの運動時には、ピストンユニットの外周面の第1の区分が、第1のシール体の内側のシール面に対して滑動するからである。シリンダユニットの内周面の第2の区分と、ピストンユニットの第4の軸方向ストッパとは、特に当該範囲内で、第2のシール体の内側のシール面がピストンユニットの外周面の第2の区分に対して相対的に静止しているように配置されている。なぜならば、第2のシール体が第4の軸方向ストッパに接触しているのに対して、ピストンユニットの運動時には、第2のシール体の外側のシール面がシリンダユニットの内周面の第2の区分に対して滑動するからである。
すなわち、ピストンユニットが中間の相対位置から第2の相対位置に運動させられて、この第2の相対位置に保持されるようにするためには、第1の圧力室内の圧力が相対的に著しく増加させられていなければならない。なぜならば、ピストンユニットに作用する第1の圧力室内の有効な圧力作用面積が、中間の相対位置と第2の相対位置との間の運動範囲内では減少させられているからである。
軸方向ストッパと、シール体と、周面との上述した配置形態によって、ピストンユニットを中間の相対位置から第1の相対位置または反対の側に位置する第2の相対位置に向かって変位させるためには、両圧力室のうちの一方の圧力室内の相対的な著しい増圧が必要となる。なぜならば、中間の相対位置からの逸脱時に大きくなっていく有効な圧力作用面積に基づき、反作用する力が増加させられるからである。したがって、ピストンユニットは、中間の相対位置では、安定した状態でバランスを保っている。シール体の圧力作用面積とピストンユニットの圧力作用面積との比に関連して、第1の圧力室と第2の圧力室との間の差圧の大きな範囲内では、ピストンユニットが中間の相対位置において安定し続けている。この大きな中間の圧力差範囲を上回ったかまたは下回った場合に初めて、ピストンが第1の相対位置または第2の相対位置に変位させられる。
したがって、簡単な、特に空圧式の制御により、第1の圧力室と第2の圧力室とに相対的な正圧を交互にまたは同時に加えることによって、ピストンユニットを第1の相対位置と、第2の相対位置と、中間の相対位置との間で変位させることが可能となる。その際、各位置は安定した状態に保たれる。第1の相対位置および第2の相対位置では、それぞれ増加させられた圧力が加えられていない圧力室が、無圧の状態で環境に接続されるかまたは反対の側に位置する圧力室の増加させられた圧力に対して相対的に著しく少ない圧力が加えられる。確かに、より少ない対向圧を加えることは全ての用途において必ずしも必要ではないが、しかしながら、特定の用途では、減衰の理由から、また、特に各軸方向ストッパへのシール体の保持に対するシール体の負荷軽減および保護のために有利である。
本発明の変化態様では、本発明に係る真空弁が、第1の開口と、この第1の開口を取り囲む第1の弁座とを有する第1の弁壁を有している。
本発明に係るこの真空弁は、たとえば流路をガス密に閉鎖するために働き、好ましくは、流路に対する第1の開口を有する第1の弁壁を備えた弁ハウジングを有している。「流路」とは、一般的に、2つ領域の間の閉鎖すべき開放路を意味している。
第1の開口は、任意の形状、特に長方形、円形または楕円形の横断面を有していてよい。真空弁が角型弁である場合には、真空弁が、好ましくは、細長い、特にほぼ長方形の開口横断面を有している。開口の幅は、好ましくは、開口の高さの少なくとも2倍、少なくとも3倍または少なくとも5倍に寸法設定されている。しかしながら、開口横断面を異なる形状、たとえば円形に形成することも可能である。この場合には、真空弁が、たとえばポンプ弁である。開口は中心軸線を有している。この中心軸線は、開口の範囲内において流路の中心でこの流路に対して平行に延びている。この幾何学的な開口軸線は、たとえば開口により展開される面積に対して垂直であり、流路に沿って延びている。
本発明のこの変化態様では、第1の閉鎖要素が、第1の開口をほぼガス密に閉鎖するための第1の閉鎖面を有している。上述したピストン・シリンダ装置を備えた第1の駆動装置は、この第1の駆動装置によって第1の閉鎖要素が、いわゆる「長手方向運動」の形態で、シリンダユニットおよびピストンユニットの第2の相対位置に対応する第2の閉鎖要素位置と、中間の相対位置に対応する中間の閉鎖要素位置と、第1の相対位置に対応する第1の閉鎖要素位置との間で第1の弁座に対して垂直に変位可能であるように形成されていて、第1の閉鎖要素に連結されている。第2の閉鎖要素位置では、第1の閉鎖面が、第1の弁座に対して間隔を置いて向かい合って位置している。第1の閉鎖要素位置では、この間隔が最小に減少させられており、第1の閉鎖面が、第1の弁座にほぼ垂直に押し付けられている。この場合には、第1の開口ひいては流路が、第1の閉鎖面によってほぼガス密に閉鎖されている。
1つの変化態様では、中間の閉鎖要素位置において、第1の閉鎖面が、同じく第1の弁座に対して間隔を置いて向かい合って位置している。第2の閉鎖要素位置での第1の弁座に対する間隔は、中間の閉鎖要素位置の場合よりも大きくなっている。この態様では、真空弁が、ただ1つの閉鎖すべき開口を有している限り、本発明による駆動装置が、第1の閉鎖要素を第1の弁座に対して垂直な方向に変位させるための2段式の長手方向駆動装置として作用する。この場合には、開口横断面を2段階で減少させることができる。
択一的には、第1の閉鎖面が、中間の閉鎖要素位置でも、第1の弁座にほぼ垂直に押し付けられている。この場合には、第1の開口ひいては流路が、第1の閉鎖面によってほぼガス密に閉鎖されている。しかしながら、この態様では、弁座に加えられる押付け力が、中間の閉鎖要素位置において減少させられている。たとえば、第1の閉鎖要素に対する圧力差が高められると、中間の閉鎖要素位置から第1の閉鎖要素位置への変換によって、弁の、特に弾性的なメインシールに加えられる押付け力を、相対的に少ない押付け力から相対的に高い押付け力に切り換えることができる。
本発明の改良態様では、真空弁が、いわゆる「二重弁」として形成されている。真空弁は、第1の弁壁に対して間隔を置いて反対の側に第2の弁壁を有している。この第2の弁壁は、第2の開口と、この第2の開口を取り囲む、第1の弁座に間隔を置いて向かい合って位置する第2の弁座とを有している。さらに、真空弁は第2の閉鎖要素を有している。この第2の閉鎖要素は、第1の閉鎖面と逆方向に向けられた、第2の開口をほぼガス密に閉鎖するための第2の閉鎖面を有している。第2の閉鎖要素は第1の閉鎖要素に機械的に連結されていて、第1の閉鎖要素と共に少なくとも1つのピストン・シリンダ装置によって変位可能である。特に両閉鎖要素は、間隔を置いて互いに反対の側に位置する2つの閉鎖板によって形成される。しかしながら、第1の閉鎖要素と第2の閉鎖要素とを、互いに反対の側に位置する2つの閉鎖面を有するただ1つの閉鎖要素によって形成することも可能である。
ピストン・シリンダ装置によって、第1の閉鎖要素同様、第2の閉鎖要素もその第2の閉鎖面で、第1の閉鎖要素位置と、中間の閉鎖要素位置と、第2の閉鎖要素位置との間で変位可能である。
第1の閉鎖要素位置では、第2の閉鎖要素の第2の閉鎖面が、第2の弁座に対して間隔を置いて向かい合って位置しているのに対して、第1の閉鎖要素と第1の弁座との間の間隔は最小に減少させられており、第1の閉鎖面が第1の弁座にほぼ垂直に押し付けられている。この場合には、第1の開口が第1の閉鎖要素の第1の閉鎖面によってガス密に閉鎖されている。中間の閉鎖要素位置では、第1の閉鎖面および第2の閉鎖面が、それぞれ第1の弁座もしくは第2の弁座に対して間隔を置いて向かい合って位置している。第2の閉鎖要素位置では、第2の閉鎖面が第2の弁座にほぼ垂直に押し付けられていて、第2の開口をほぼガス密に閉鎖しているのに対して、第1の閉鎖要素の第1の閉鎖面は、第1の弁座に対して間隔を置いて向かい合って位置している。
ただ1つのピストン・シリンダ装置の代わりに、特に互いに平行に配置された複数のピストン・シリンダ装置を使用することも可能である。特に二重弁の態様では、たとえば互いに長方形に配置された4つのピストン・シリンダ装置が、特に長方形の両閉鎖要素の角隅領域に位置決めされていてよい。これによって、高い安定性が達成される。各第1の圧力室と各第2の圧力室とが、それぞれ互いに接続されていてもよいし、並列に接続されたピストン・シリンダ装置が、1つの共通の第1の圧力室と、1つの共通の第2の圧力室とに分割されていてもよい。
本発明による二重弁の改良態様では、ピストンユニットに、第1の圧力室を通して案内されていて、シリンダユニットからガス密に軸方向可動に導出された第1のピストンロッドと、第2の圧力室を通して案内されていて、シリンダユニットからガス密に軸方向可動に導出された第2のピストンロッドとが配置されている。第1のピストンロッドの、シリンダユニットから導出された端部には、第1の閉鎖要素が位置している。第2のピストンロッドの、シリンダユニットから導出された端部には、第2の閉鎖要素が配置されている。第1の閉鎖面と第2の閉鎖面との間、特に両閉鎖板の間には、上述した本発明によるピストン・シリンダ装置が位置している。
本発明の継続態様では、ピストン・シリンダ装置が結合ロッドに配置されている。この結合ロッドに対して相対的に第1の閉鎖要素、特に第2の閉鎖要素も変位可能である。特にピストン・シリンダ装置は、少なくとも1つの閉鎖要素を各弁座に対して垂直な方向に変位させるための長手方向駆動装置として働く。他方、結合ロッドは、ピストン・シリンダ装置および少なくとも1つの閉鎖要素と共に、横方向駆動装置として作用する第2の駆動装置によって、各弁座に対して横方向に変位可能である。
このためには、結合ロッドの第1の区分が、ピストン・シリンダ装置に連結されており、結合ロッドの第2の区分が、第2の駆動装置に連結されている。結合ロッドの第1の区分は、たとえば第1の端部であり、結合ロッドの第2の区分は、たとえば結合ロッドの第2の端部である。結合ロッドは、特にプッシュロッドまたは旋回ロッドまたは旋回アームとして形成されていてよい。
本発明の別の継続態様では、上述した結合ロッドが、第1の圧力管路と第2の圧力管路とを有しており、両圧力管路が、それぞれ第1の区分と第2の区分との間に延びていて、特に結合ロッド内に延びる通路によって形成されている。第1の圧力管路は、第1の区分で第1の圧力室に通じていて、第2の区分で第1の圧力ポートに通じている。第2の圧力管路は、第1の区分で第2の圧力室に通じていて、第2の区分で第2の圧力ポートに通じている。
第2の駆動装置は、ピストン・シリンダ装置と第1の閉鎖要素とが、特に幾何学的なピストン軸線に対して横方向に1つの長手方向変位軸線に沿って変位可能であるかまたは1つの旋回軸線を中心として旋回可能であるように形成されていて、少なくとも1つの結合ロッドに連結されている。
本発明の改良態様では、第2の駆動装置は、この第2の駆動装置によって第1の閉鎖要素が、開放位置と中間位置との間で第1の弁座、特に第2の弁座に対しても横方向に変位可能であるように形成されていて、結合ロッドに連結されている。開放位置では、第1の閉鎖要素が第1の開口、特に第2の開口を開放している。中間位置では、第1の閉鎖要素が第1の開口を覆っており、特に第2の閉鎖要素が第2の開口を覆っている。上述したように、第1の閉鎖面は第1の弁座に向かい合って位置しており、特に第2の閉鎖面は第2の弁座に向かい合って位置している。
第2の駆動装置は、特に第1の閉鎖要素を第1の弁座に対して横方向に開放位置と中間位置との間で1つの長手方向変位軸線に沿って線形に変位させるためのリニア駆動装置として形成されていてよい。この場合には、真空弁が、特にゲート弁である。リニア駆動装置として形成された第2の駆動装置は、従来のピストン・シリンダ装置、電動式のリニア駆動装置、その他のリニア駆動装置または上述した本発明によるピストン・シリンダ装置によって形成されてよい。
択一的には、第2の駆動装置が、第1の閉鎖要素を第1の弁座に対して横方向に開放位置と中間位置との間で1つの旋回軸線を中心として旋回させるための旋回駆動装置であってよい。この態様では、真空弁が、特に振り子式弁として形成されている。旋回駆動装置として、特に電動式の旋回駆動装置だけでなく、旋回アームに結合されたリニア駆動装置、特に従来のピストン・シリンダ装置ならびに本発明によるピストン・シリンダ装置も適している。
本発明によるピストン・シリンダ装置を備えた第1の駆動装置は、上述したように、真空弁の真空領域内、特に直に閉鎖要素、たとえば第1の閉鎖要素と第2の閉鎖要素との間に配置することができるだけでなく、真空弁の真空領域外、たとえば駆動装置ハウジングに配置することもできる。この態様では、真空領域外に配置されたピストン・シリンダ装置が、たとえば結合ロッドに結合されている。この結合ロッドは、真空弁の真空領域内にガス密に導入されている。結合ロッドの他方の端部には、第1の閉鎖要素、特に第2の閉鎖要素も配置されている。このピストン・シリンダ装置は、真空弁の長手方向駆動装置または横方向駆動装置を形成していてよい。
第1の開口、特に第2の開口をも通って延びる上述した流路は、たとえば互いに接続される2つのプロセスチャンバの間の接続路である。プロセスチャンバは、半導体部品を1つのプロセスチャンバから次のプロセスチャンバに移送するために、真空弁によって開放され、次いで、各製造ステップを実施するために、ガス密に閉鎖することができる。このようなゲート弁は、上述した使用分野に基づき、真空角型弁とも呼ばれ、たいてい長方形の開口横断面に基づき、長方形ゲートとも呼ばれる。しかし、当然ながら、特に任意の流路をほぼガス密に閉鎖するための本発明に係る真空弁のあらゆる任意の別の用途も可能である。
以下に、本発明に係る真空弁を、図面に概略的に示した複数の具体的な実施の形態に基づき、単なる一例として詳しく説明する。
図1a、1b、1cと、図2a、2b、2cと、図3a、3b、3c、4a、4b、4c、5a、5b、6a、6bとから成る図群には、本発明によるピストン・シリンダ装置もしくは本発明に係る真空弁のそれぞれ1つの共通の例示的な実施の形態が、それぞれ異なる状態、異なる方向から見た図および異なる詳細度で示してある。実施の形態は、特定の特徴に関してのみ互いに区別してある。したがって、実施の形態および/または図群を一部では一緒に説明し、ひいては、実施の形態の違いだけを部分的に説明する。一部では、すでに先の図において説明した符号および特徴について再度の説明を省略する。さらに、念のために付言しておくと、図1a〜図2cには、概略図が示してある。これらの概略図では、図面をより見やすくするために、構成部材が、一部では、図3a〜図6bに示した詳細位置と異なって配置されていて、図示してある。したがって、図1a〜図2cに示したピストン・シリンダ装置の概略図ならびに詳細を、図3a〜図6bに示した真空弁の実施の形態にも適用することができる。
図3a〜図6bには、ゲート弁もしくは角型弁として形成された二重弁の形態の真空弁が示してある。この真空弁は第1の弁壁20aを有している。この第1の弁壁20aは、第1の開口21aと、この第1の開口21aを取り囲む第1の弁座22aとを有している。第1の弁壁20aから間隔を置いて反対の側には、第2の弁壁20bが位置している。この第2の弁壁20bは、図3aおよび図3bに示したように、第2の開口21bと、この第2の開口21bを取り囲む、第1の弁座22aに向かい合って間隔を置いて配置された第2の弁座22bとを有している。両開口21a,21bは、図3aに認めることができるように、ほぼ長方形の横断面を有している。両弁壁20a,20bは、2つの開口、つまり、開口21a,21bを備えた真空密な弁ハウジングを形成している。両開口21a,21bは、2つの閉鎖要素1a,1bによって交互に閉鎖することができる。
第1の閉鎖要素1aは、第1の開口21aをほぼガス密に閉鎖するための第1の閉鎖面23a(図3b参照)を有している。このためには、この第1の閉鎖面23aに、第1の弁座22aの形状に対応するシール部材が加硫被着されている。第2の閉鎖要素1bも同じく、第2の開口21bをほぼガス密に閉鎖するための、第1の閉鎖面23aと逆方向に向けられた第2の閉鎖面23bを有している。第2の閉鎖要素1bは、第1の閉鎖要素1aに4つのピストンロッド24a,24bを介して機械的に連結されていて、第1の閉鎖要素1aと一緒に変位可能である。
両閉鎖要素1a,1bを一緒に変位させるためには、真空弁が、2つの独立したリニア型の駆動装置、つまり、長手方向駆動装置として作用する第1の駆動装置2(図3a〜図3c参照)と、横方向駆動装置として作用する第2の駆動装置26(図3a〜図3c参照)とを有している。
第2の駆動装置26は、ピストン・シリンダ装置の形態のリニア駆動装置として形成されている。第2の駆動装置26は、真空弁の真空領域の外側にかつ弁ハウジングの外側に配置されている。第2の駆動装置26によって、真空弁の真空領域にガス密に案内された結合ロッド25が、1つの長手方向変位軸線29に沿って線形に変位可能となる(図3a参照)。結合ロッド25の上側の第1の区分25aに、4つのピストン・シリンダ装置3を有する第1の駆動装置2が配置されているのに対して、結合ロッド25の第2の区分25bは、図3bに示したように、第2の駆動装置26に連結されている。
この第2の駆動装置26によって、第1の閉鎖要素1aと、第2の閉鎖要素1bと、第1の駆動装置2とを、第1の弁座22aおよび第2の弁座22bに対して横方向にかつ両開口21a,21bに対して横方向に、開放位置O(図3a〜図3c参照)と中間位置I(図4a〜図4c参照)との間で長手方向変位軸線29に沿って線形に変位させることができる。したがって、第2の駆動装置26は、ピストン・シリンダ装置3と閉鎖要素1a,1bとが、幾何学的なピストン軸線9に対して横方向に長手方向変位軸線29に沿って変位可能となるように形成されていて、少なくとも1つの結合ロッド25に連結されている。図3a〜図3cに示した開放位置Oでは、第1の閉鎖要素1aと第2の閉鎖要素1bとが、第1の開口21aだけでなく、第2の開口21bをも完全に開放しており、これによって、真空弁の両開口21a,21bを通る流路が完全に開放されている。図4a〜図4cに示した中間位置Iでは、第1の閉鎖要素1aが第1の開口21aを覆っており、第2の閉鎖要素1bが第2の開口21bを覆っている。このとき、第1の閉鎖面23aは第1の弁座22aに向かい合って位置しており、第2の閉鎖面23bは第2の弁座22bに向かい合って位置している。
第1の駆動装置2は、以下でさらに説明するように、第1の閉鎖要素1aと第2の閉鎖要素1bとが、中間位置Iで第1の駆動装置2によって第1の弁座22aと第2の弁座22bとに対して垂直に幾何学的なピストン軸線9に沿って、中間の閉鎖要素位置C3(図4a〜図4c参照)と、第1の閉鎖要素位置C1(図5aおよび図5b参照)と、第2の閉鎖要素位置C2(図6aおよび図6b参照)との間で変位可能となるように形成されていて、両閉鎖要素1a,1bに連結されている。
図4a〜図4cに示した中間の閉鎖要素位置C3では、第1の閉鎖要素1aの第1の閉鎖面23aだけでなく、第2の閉鎖要素1bの第2の閉鎖面23bも、それぞれ各弁座22a;22bに対して間隔を置いて向かい合って位置している。このとき、第1の開口21aと第2の開口21bとは、それぞれ閉鎖要素1a,1bによって覆われてはいるものの、図4a〜図4cに示したように、ガス密に閉鎖されてはいない。
第1の閉鎖要素位置C1(図5aおよび図5b参照)では、第1の閉鎖要素1aの第1の閉鎖面23aが、第1の駆動装置2によって第1の弁座22aにほぼ垂直に押し付けられ、これによって、第1の開口21aが第1の閉鎖要素1aによってほぼガス密に閉鎖されるのに対して、第2の閉鎖要素1bの第2の閉鎖面23bは、第2の弁座22bに対して間隔を置いて向かい合って位置しており、これによって、第2の開口21bがガス密に閉鎖されていない。第1の閉鎖要素位置C1は、特に第1の開口21aの側に相対的な負圧が加えられる運転モードに適している。なぜならば、この場合には、第1の駆動装置2に力が作用することなく、第1の閉鎖要素1aが圧力差に基づき第1の弁座22aに保持されるからである。
図6aおよび図6bに示した第2の閉鎖要素位置C2では、第2の閉鎖要素1bの第2の閉鎖面23bが、第1の駆動装置2によって第2の弁座22bにほぼ垂直に押し付けられる。これによって、第2の閉鎖要素位置C2では、第2の開口21bがほぼガス密に閉鎖されるのに対して、第1の閉鎖要素1aの第1の閉鎖面23aは、第1の弁座22aに対して間隔を置いて向かい合って位置している。第2の閉鎖要素位置C2は、特に第2の開口21bの側に相対的な負圧が加えられる運転モードに適している。なぜならば、この場合には、第1の駆動装置2に力が作用することなく、第2の閉鎖要素1bが圧力差に基づき第2の弁座22bに保持されるからである。
以下に、本発明による第1の駆動装置2をより詳細に説明する。
この第1の駆動装置2は、1つの長方形の角隅領域で両閉鎖要素1a,1bの間に互いに平行に配置された4つのピストン・シリンダ装置3を有している。これらのピストン・シリンダ装置3は、図3a〜図6bに示したように、両閉鎖要素1a,1bを弁座22a,22bに対して垂直な方向にかつ各ピストン軸線9に沿って結合ロッド25に対して相対的に同時に変位させる。
ピストン・シリンダ装置3の各々は、図1a〜図2cならびに図3bおよび図3cに示したように、結合ロッド25に固く連結された1つのシリンダユニット4と、線形に可動の1つのピストンユニット7とを有している。以下に、ピストン・シリンダ装置3の構造をただ1つのピストン・シリンダ装置3に基づき説明する。
シリンダユニット4は、内周面6a,6bとシリンダ内室5a,5b,5cとを有している。ピストンユニット7は、外周面8a,8bを有している。ピストンユニット7は、シリンダ内室5a,5b,5cでシリンダユニット4に対して相対的に幾何学的なピストン軸線9に沿って線形に変位可能である。
内周面6a,6bと外周面8a,8bとの間には、2つのシールユニット、つまり、図1a〜図1cおよび図3a〜図6bに示したシールユニット10a,10bおよび図2a〜図2cに示したシールユニット11a,11bが密に配置されている。ピストンユニット7と共にシールユニット10a,10b;11a,11bは、シリンダ内室を、ガス密な第1の圧力室5aと、この第1の圧力室5aからガス密に分離されたガス密な第2の圧力室5bとに分割している。
本発明によれば、シールユニットは、第1のシール体10a(図1a〜図1cおよび図3a〜図6b参照);11a(図2a〜図2c参照)と、第2のシール体10b(図1a〜図1cおよび図3a〜図6b参照);11b(図2a〜図2c参照)とによって形成される。
図1a〜図1cおよび図3a〜図6bに示した実施の形態では、第1のシール体が第1のOリング10aによって形成され、第2のシール体が第2のOリング10bによって形成される。両Oリング10a,10bは円形の横断面を有している。両Oリング10a,10bは、内周面6a,6bに対する外側のシール部13と、外周面8a,8bに対する内側のシール部14とを形成している。
図2a〜図2cに示した実施の形態では、第1のシール体が、外側のシール面を形成している外側のシール部材13と、内側のシール面を形成している内側のシール部材14とを備えた第1のシール支持体11aである。第2のシール体は、同じく外側のシール面を形成している外側のシール部材13と、内側のシール面を形成している内側のシール部材14とを備えた第2のシール支持体11bである。両シール支持体11a,11bは、リング形状を有している。外側のシール部材13と内側のシール部材14とは、それぞれシール支持体11a,11bに設けられた溝内に保持されるOリングの形態でまたは加硫被着されたシール部材の形態で形成されている。
以下に、これらの互いに異なる両変化形態を一緒に説明する。ただし、両実施の形態の違いだけを説明し、第1のOリング10aおよび第1のシール支持体11aと、第2のOリング10bおよび第2のシール支持体11bとを、それぞれ第1のシール体10a,11aおよび第2のシール体10b,11bと呼ぶ。
第1のシール体10a,11aと第2のシール体10b,11bとは、互いに独立してシリンダユニット4およびピストンユニット7に対して相対的に軸方向で各ピストン軸線9に沿って移動可能である。さらに、第1のシール体10a,11aと第2のシール体10b,11bとは、外側のシール面13でそれぞれ内周面6a,6bにガス密に位置していて、この内周面6a,6bに対して相対的に軸方向に移動可能である。さらに、第1のシール体10a,11aと第2のシール体10b,11bとは、内側のシール面14でそれぞれ外周面8a,8bにガス密に位置していて、この外周面8a,8bに対して相対的に軸方向に移動可能である。
第1のシール体10a,11aと第2のシール体10b,11bとの間には、中間のシリンダ内室5cが位置している。このシリンダ内室5cは、第1の圧力室5aと第2の圧力室5bとからガス密に分離されていて、シリンダユニット4の外部に通じる空気抜き通路19を介して外側の環境に接続されている。
結合ロッド25は、第1の圧力管路27aと第2の圧力管路27bとを有している。両圧力管路27a,27bは、図3b、図4b、図5aおよび図6aに示したように、それぞれ結合ロッド25の第1の区分25aと第2の区分25bとの間に延びていて、結合ロッド25内に延びる通路によって形成される。第1の圧力管路27aは、第1の区分25aで第1の圧力室5aに通じていて、第2の区分25bで第1の圧力ポート28aに通じている。第2の圧力管路27bは、第1の区分25aで第2の圧力室5bに通じていて、第2の区分25bで第2の圧力ポート28bに通じている。
第1の圧力室5aと第2の圧力室5bとの間の圧力差が変化することによって、すなわち、両圧力ポート28a,28bに互いに異なる圧力が加えられることによって、ピストンユニット7を第1の相対位置P1(図1a、図2a、図5aおよび図5b参照)と、中間の相対位置P3(図1b、図2bおよび図3a〜図4c参照)と、第2の相対位置P2(図1c、図2c、図6aおよび図6b参照)との間で変位させることができる。
各ピストンユニット7には、それぞれ第1の圧力室5aを通して案内された第1のピストンロッド24aと、第2の圧力室5bを通して案内された第2のピストンロッド24bとが配置されている。両ピストンロッド24a,24bは、シリンダユニット4からガス密に軸方向可動に導出される。第1のピストンロッド24aの、シリンダユニット4から導出された端部には、第1の閉鎖要素1aが位置固定されている。第2のピストンロッド24bの、シリンダユニット4から導出された端部には、第2の閉鎖要素1bが位置固定されている。したがって、閉鎖要素1a,1bの第1の閉鎖面23aと第2の閉鎖面23bとの間にピストン・シリンダ装置3が配置されている。
すなわち、ピストンユニット7は、両ピストンロッド24a,24bを介して閉鎖要素1a,1bに機械的に連結されている。したがって、第1の相対位置P1が第1の閉鎖要素位置C1に対応している(図5aおよび図5b参照)。中間の相対位置P3は中間の閉鎖要素位置C3に対応している(図3a〜図4c参照)。第2の相対位置P2は第2の閉鎖要素位置C2に対応している(図6aおよび図6b参照)。
シリンダユニット4の内周面6a,6bは、シリンダ内室5cに内向きに張り出した段部17によって、内周面の第1の区分6aと内周面の第2の区分6bとに分割される。内向きに張り出した段部17は、第1の圧力室5aと第1のシール体10a,11aとに向けられた第1の軸方向ストッパ15aと、第2の圧力室5bと第2のシール体10b,11bとに向けられた第2の軸方向ストッパ15bとを形成している。
ピストンユニット7の外周面8a,8bも、外向きに張り出した段部18によって、外周面の第1の区分8aと外周面の第2の区分8bとに分割される。外向きに張り出した段部18は、第1の圧力室5aと第1のシール体10a,11aとに向けられた第3の軸方向ストッパ16aと、第2の圧力室5bと第2のシール体10b,11bとに向けられた第4の軸方向ストッパ16bとを形成している。
内周面の第1の区分6aおよび第2の区分6bならびに外周面の第1の区分8aおよび第2の区分8bは、幾何学的なピストン軸線9に垂直に交わる幾何学的な切断平面内に、それぞれ円形の横断面を有している。
内向きに張り出した段部17の第1の軸方向ストッパ15aは、第2の圧力室5bの方向へのシリンダユニット4に対して相対的な第1のシール体10a,11aの軸方向の可動性を、内周面の、第1の圧力室5aの側に配置された第1の区分6aに制限している。
内向きに張り出した段部17の第2の軸方向ストッパ15bは、第1の圧力室5aの方向へのシリンダユニット4に対して相対的な第2のシール体10b,11bの軸方向の可動性を、内周面の、第2の圧力室5bの側に配置された第2の区分6bに制限している。
外向きに張り出した段部18の第3の軸方向ストッパ16aは、第2の圧力室5bの方向へのピストンユニット7に対して相対的な第1のシール体10a,11aの軸方向の可動性を、外周面の、第1の圧力室5aの側に配置された第1の区分8aに制限している。
外向きに張り出した段部18の第4の軸方向ストッパ16bは、第1の圧力室5aの方向へのピストンユニット7に対して相対的な第2のシール体10b,11bの軸方向の可動性を、外周面の、第2の圧力室5bの側に配置された第2の区分8bに制限している。
中間の相対位置P3では、第1の軸方向ストッパ15aと第3の軸方向ストッパ16aとが、ピストン軸線9を基準として半径方向で互いに向かい合って配置されている(図1b、図2bおよび図3a〜図4c参照)。この半径方向の対向に基づき、第1の軸方向ストッパ15aと第3の軸方向ストッパ16aとは、シリンダユニット4の中間の相対位置P3において、第2の圧力室5bの方向への第1のシール体10a,11aの軸方向の可動性が、第1の軸方向ストッパ15aと第3の軸方向ストッパ16aとによって一緒に制限されているように、互いに相対的に配置されている(図1b、図2bおよび図3a〜図4c参照)。
さらに、中間の相対位置P3では、第2の軸方向ストッパ15bと第4の軸方向ストッパ16bとが、ピストン軸線9を基準として半径方向で互いに向かい合って配置されている(図1b、図2bおよび図3a〜図4c参照)。この半径方向の対向に基づき、第2の軸方向ストッパ15bと第4の軸方向ストッパ16bとは、中間の相対位置P3において、第1の圧力室5aの方向への第2のシール体10b,11bの軸方向の可動性が、第2の軸方向ストッパ15bと第4の軸方向ストッパ16bとによって一緒に制限されているように、互いに相対的に配置されている(図1b、図2bおよび図3a〜図4c参照)。
図1a〜図1cおよび図3a〜図6bに示した実施の形態では、内向きに張り出した段部17が、内周面の第1の区分6aおよび内周面の第2の区分6bへの、第1のOリング10aおよび第2のOリング10bの形状に対応した移行部を有している。外向きに張り出した段部18も、外周面の第1の区分8aおよび外周面の第2の区分8bへの、第1のOリング10aおよび第2のOリング10bの形状に対応した移行部を有している。内向きに張り出した段部17の移行部と、外向きに張り出した段部18の移行部とは、Oリング10a,10bの横断面の丸みにほぼ対応しているので、Oリング10a,10bが一様に軸方向ストッパ15a〜16bに位置するようになっている。これによって、Oリング10a,10bが、より少ない機械的な摩耗にさらされ、寿命が向上させられる。
両シール体10a,10b,11a,11bの自由な可動性が制限されていることによって、両圧力室5a,5bに圧力、特にほぼ等しい圧力を加えることにより、閉鎖要素1a,1bを、規定された安定した中間位置、つまり、第1の閉鎖要素位置C1と第2の閉鎖要素位置C2との間の中間の閉鎖要素位置C3に変位させることができる。
第1の相対位置P1(図1a、図2a、図5aおよび図5b参照)では、ピストンユニット7が第1の圧力室5aに向かって変位させられている。この第1の圧力室5aの容積は最小であり、第2の圧力室5bの容積は最大である。この第2の圧力室5b内の圧力は、矢印に基づき認められるように、第1の圧力室5a内の圧力よりも著しく大きくなっている。第1のシール体10a,11aは、ピストンユニット7の第3の軸方向ストッパ16aに位置している。しかしながら、第2のシール体10b,11bは、シリンダユニット4の第2の軸方向ストッパ15bに位置している。したがって、第1の相対位置P1および第1の相対位置P1と中間の相対位置P3との間の範囲内では、図1aおよび図2aに矢印に基づき認めることができるように、ピストンユニット7に作用する第1の圧力室5a内の有効な圧力作用面積が、ピストンユニット7に作用する第2の圧力室5b内の有効な圧力作用面積よりも大きくなっている。
第1の相対位置P1と中間の相対位置P3との間の範囲内では、第2のシール体10b,11bが第2の軸方向ストッパ15bに接触しているので、第2のシール体10b,11bの外側のシール面13は、シリンダユニット4の内周面の第2の区分6bに対して相対的に静止している。これに対して、ピストンユニット7の運動時には、このピストンユニット7の外周面の第2の区分8bが、図1aおよび図2aに示したように、第2のシール体10b,11bの内側のシール面14に対して滑動する。
ピストンユニット7が第2の圧力室5bに向かって変位させられている第2の相対位置P2(図1c、図2c、図6aおよび図6b参照)では、相応して逆のことが起こっている。第2の圧力室5bの容積が最小であり、第1の圧力室5aの容積が最大である。この第1の圧力室5a内の圧力は、矢印に基づき認められるように、第2の圧力室5b内の圧力よりも著しく大きくなっている。第2のシール体10b,11bは、ピストンユニット7の第4の軸方向ストッパ16bに位置している。
すなわち、第2の圧力室5b内の圧力は、ピストンユニット7の有効な圧力作用面積だけでなく、第2のシール体10b,11bの有効な圧力作用面積も介して、第1の圧力室5aに向かってピストンユニット7に作用する。したがって、第2の相対位置P2および第2の相対位置P2と中間の相対位置P3との間の範囲内では、ピストンユニット7に作用する第2の圧力室5b内の有効な圧力作用面積が、ピストンユニット7に作用する第1の圧力室5a内の有効な圧力作用面積よりも大きくなっている。
すなわち、ピストンユニット7を中間の相対位置P3から第1の相対位置P1または反対の側に位置する第2の相対位置P2に向かって変位させるためには、両圧力室5a,5bのうちの一方の圧力室内の大幅な相対的な増圧が必要となる。なぜならば、中間の相対位置P3から移動させられると、有効な圧力作用面積がより大きくなることに基づき、反作用する力が増大するからである。したがって、両圧力室5a,5b内の圧力が、大きな範囲内でほぼ等しくて、中間のシリンダ内室5c内の圧力ひいては周辺の環境における圧力よりも高い限り、ピストンユニット7は、安定したバランスを保って中間の相対位置P3に位置している(図1b、図2bおよび図3a〜図4c参照)。
第1の圧力室5aと第2の圧力室5bとに相対的な正圧が交互にまたは同時に加えられることによって、簡単な空圧回路を用いて、ピストンユニット7を第1の相対位置P1と、第2の相対位置P2と、中間の相対位置P3との間で変位させ、ひいては、閉鎖要素1a,1bも第1の閉鎖要素位置C1と、第2の閉鎖要素位置C2と、中間の閉鎖要素位置C3との間で変位させることが可能となる。その際、各位置は安定した状態に保たれる。
Claims (15)
- 真空弁であって、該真空弁が、第1の閉鎖要素(1a)と、該第1の閉鎖要素(1a)を変位させるための第1の駆動装置(2)とを備えており、該第1の駆動装置(2)が、少なくとも1つのピストン・シリンダ装置(3)を有しており、
該少なくとも1つのピストン・シリンダ装置(3)が、
シリンダ内室(5a,5b,5c)と内周面(6a,6b)とを有するシリンダユニット(4)と、
外周面(8a,8b)を有していて、シリンダ内室(5a,5b,5c)でシリンダユニット(4)に対して相対的に幾何学的なピストン軸線(9)に沿って線形に変位可能であるピストンユニット(7)と、
内周面(6a,6b)と外周面(8a,8b)との間の密に配置されていて、ピストンユニット(7)と共にシリンダ内室(5a,5b,5c)を、ガス密な第1の圧力室(5a)と、該第1の圧力室(5a)からガス密に分離されたガス密な第2の圧力室(5b)とに分割するシールユニット(10a,10b;11a,11b)と
を有しており、前記少なくとも1つのピストン・シリンダ装置(3)が、第1の閉鎖要素(1a)に機械的に連結されており、該第1の閉鎖要素(1a)が、第1の圧力室(5a)と第2の圧力室(5b)との間の圧力差の変化によって、
シリンダユニット(4)とピストンユニット(7)とが互いに相対的に第1の相対位置(P1)に互いに位置決めされている第1の閉鎖要素位置(C1)と、
シリンダユニット(4)とピストンユニット(7)とが互いに相対的に第2の相対位置(P2)に互いに位置決めされている第2の閉鎖要素位置(C2)と
の間で変位可能である、真空弁において、
シールユニットが、第1のシール体(10a;11a)と第2のシール体(10b;11b)とによって形成されており、両シール体(10a,10b;11a,11b)が、
互いに独立してシリンダユニット(4)とピストンユニット(7)とに対して相対的に軸方向でピストン軸線(9)に沿って移動可能であり、
内周面(6a,6b)にガス密に接触していて、該内周面(6a,6b)に対して相対的に軸方向に移動可能なそれぞれ1つの外側のシール面(13)を有しており、
外周面(8a,8b)にガス密に接触していて、該外周面(8a,8b)に対して相対的に軸方向に移動可能なそれぞれ1つの内側のシール面(14)を有しており、
シリンダユニット(4)が、第1の軸方向ストッパ(15a)を有しており、該第1の軸方向ストッパ(15a)が、第2の圧力室(5b)の方向へのシリンダユニット(4)に対して相対的な第1のシール体(10a;11a)の軸方向の可動性を、内周面の、第1の圧力室(5a)の側に配置された第1の区分(6a)に制限しており、
シリンダユニット(4)が、第2の軸方向ストッパ(15b)を有しており、該第2の軸方向ストッパ(15b)が、第1の圧力室(5a)の方向へのシリンダユニット(4)に対して相対的な第2のシール体(10b;11b)の軸方向の可動性を、内周面の、第2の圧力室(5b)の側に配置された第2の区分(6b)に制限しており、
ピストンユニット(7)が、第3の軸方向ストッパ(16a)を有しており、該第3の軸方向ストッパ(16a)が、第2の圧力室(5b)の方向へのピストンユニット(7)に対して相対的な第1のシール体(10a;11a)の軸方向の可動性を、外周面の、第1の圧力室(5a)の側に配置された第1の区分(8a)に制限しており、
ピストンユニット(7)が、第4の軸方向ストッパ(16b)を有しており、該第4の軸方向ストッパ(16b)が、第1の圧力室(5a)の方向へのピストンユニット(7)に対して相対的な第2のシール体(10b;11b)の軸方向の可動性を、外周面の、第2の圧力室(5b)の側に配置された第2の区分(8b)に制限しており、
シリンダユニット(4)とピストンユニット(7)との、第1の相対位置(P1)と第2の相対位置(P2)との間に位置しかつ中間の閉鎖要素位置(C3)に対応する互いに相対的な中間の相対位置(P3)において、第2の圧力室(5b)の方向への第1のシール体(10a;11a)の軸方向の可動性が、第1の軸方向ストッパ(15a)と第3の軸方向ストッパ(16a)とによって一緒に制限されているように、第1の軸方向ストッパ(15a)と第3の軸方向ストッパ(16a)とが互いに相対的に配置されており、
中間の相対位置(P3)において、第1の圧力室(5a)の方向への第2のシール体(10b;11b)の軸方向の可動性が、第2の軸方向ストッパ(15b)と第4の軸方向ストッパ(16b)とによって一緒に制限されているように、第2の軸方向ストッパ(15b)と第4の軸方向ストッパ(16b)とが互いに相対的に配置されていることを特徴とする、真空弁。 - シリンダユニット(4)の第1の軸方向ストッパ(15a)と第2の軸方向ストッパ(15b)とが、内周面の第1の区分(6a)と内周面の第2の区分(6b)との間に配置された、シリンダ内室(5c)に内向きに張り出した少なくとも1つの段部(17)によって形成されている、請求項1記載の真空弁。
- ピストンユニット(7)の第3の軸方向ストッパ(16a)と第4の軸方向ストッパ(16b)とが、外周面の第1の区分(8a)と外周面の第2の区分(8b)との間に配置された、外向きに張り出した少なくとも1つの段部(18)によって形成されている、請求項2記載の真空弁。
- 第1の軸方向ストッパ(15a)および第3の軸方向ストッパ(16a)と、
第2の軸方向ストッパ(15b)および第4の軸方向ストッパ(16b)と
が、中間の相対位置(P3)において、それぞれピストン軸線(9)を基準として半径方向で互いに向かい合って配置されている、請求項3記載の真空弁。 - 内向きに張り出した前記少なくとも1つの段部(17)が、内周面の第1の区分(6a)および内周面の第2の区分(6b)への、第1のシール体(10a;11a)および第2のシール体(10b;11b)の形状に対応した移行部を有しており、
外向きに張り出した前記少なくとも1つの段部(18)が、外周面の第1の区分(8a)および外周面の第2の区分(8b)への、第1のシール体(10a;11a)および第2のシール体(10b;11b)の形状に対応した移行部を有している、請求項4記載の真空弁。 - 第1のシール体が、第1のOリング(10a)によって形成されており、
第2のシール体が、第2のOリング(10b)によって形成されており、
特に内向きに張り出した段部(17)の移行部と、外向きに張り出した段部(18)の移行部とが、Oリング(10a,10b)の丸みにほぼ対応している、請求項5記載の真空弁。 - 第1のシール体が、外側のシール面を形成している外側のシール部材(13)と、内側のシール面を形成している内側のシール部材(14)とを備えた第1のシール支持体(11a)によって形成されており、
第2のシール体が、外側のシール面を形成している外側のシール部材(13)と、内側のシール面を形成している内側のシール部材(14)とを備えた第2のシール支持体(11b)によって形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の真空弁。 - シリンダユニット(4)の内周面の第1の区分(6a)および第2の区分(6b)ならびにピストンユニット(7)の外周面の第1の区分(8a)および第2の区分(8b)が、幾何学的なピストン軸線(9)に垂直に交わる幾何学的な切断平面内に、円形の横断面を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載の真空弁。
- 真空弁が、第1のシール体(10a;11a)と第2のシール体(10b;11b)との間の中間のシリンダ内室(5c)からシリンダユニット(4)の外部に通じる少なくとも1つの空気抜き通路(19)を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載の真空弁。
- 真空弁が、
第1の開口(21a)と、該第1の開口(21a)を取り囲む第1の弁座(22a)とを有する第1の弁壁(20a)と、
第1の閉鎖要素(1a)に設けられた、第1の開口(21a)をほぼガス密に閉鎖するための第1の閉鎖面(23a)と
を有しており、
第1の駆動装置(2)は、該第1の駆動装置(2)によって第1の閉鎖要素(1a)が、
第1の閉鎖面(23a)がそれぞれ第1の弁座(22a)に対して間隔を置いて向かい合って位置している第2の閉鎖要素位置(C2)および中間の閉鎖要素位置(C3)と、
第1の閉鎖面(23a)が第1の弁座(22a)にほぼ垂直に押し付けられて、第1の開口(21a)をほぼガス密に閉鎖している第1の閉鎖要素位置(C1)と
の間で第1の弁座(22a)に対して垂直に変位可能であるように形成されていて、第1の閉鎖要素(1a)に連結されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の真空弁。 - 真空弁が、第1の弁壁(20a)から間隔を置いて反対の側に位置する第2の弁壁(20b)を有しており、該第2の弁壁(20b)が、第2の開口(21b)と、該第2の開口(21b)を取り囲む、第1の弁座(22a)から間隔を置いて向かい合って位置する第2の弁座(22b)とを有しており、
真空弁が、第2の閉鎖要素(1b)を有しており、該第2の閉鎖要素(1b)が、第1の閉鎖面(23a)と逆方向に向けられた、第2の開口(21b)をほぼガス密に閉鎖するための第2の閉鎖面(23b)を有していて、第1の閉鎖要素(1a)に機械的に連結されていて、該第1の閉鎖要素(1a)と一緒に前記少なくとも1つのピストン・シリンダ装置(3)によって、
第2の閉鎖面(23b)がそれぞれ第2の弁座(22b)に対して間隔を置いて向かい合って位置している第1の閉鎖要素位置(C1)および中間の閉鎖要素位置(C3)と、
第2の閉鎖面(23b)が第2の弁座(22b)にほぼ垂直に押し付けられて、第2の開口(21b)をほぼガス密に閉鎖している第2の閉鎖要素位置(C2)と
の間で変位可能である、請求項10記載の真空弁。 - ピストンユニット(7)に、第1の圧力室(5a)を通して案内されていて、シリンダユニット(4)からガス密に軸方向可動に導出された第1のピストンロッド(24a)と、第2の圧力室(5b)を通して案内されていて、シリンダユニット(4)からガス密に軸方向可動に導出された第2のピストンロッド(24b)とが配置されており、
第1のピストンロッド(24a)の、シリンダユニット(4)から導出された端部に、第1の閉鎖要素(1a)が配置されており、
第2のピストンロッド(24b)の、シリンダユニット(4)から導出された端部に、第2の閉鎖要素(1b)が配置されており、
第1の閉鎖面(23a)と第2の閉鎖面(23b)との間に、ピストン・シリンダ装置(3)が配置されている、請求項11記載の真空弁。 - 結合ロッド(25)の第1の区分(25a)が、ピストン・シリンダ装置(3)に連結されており、結合ロッド(25)の第2の区分(25b)が、第2の駆動装置(26)に連結されており、
結合ロッド(25)が、第1の圧力管路(27a)と第2の圧力管路(27b)とを有しており、両圧力管路(27a,27b)が、それぞれ第1の区分(25a)と第2の区分(25b)との間に延びていて、特に結合ロッド(25)内に延びる通路によって形成されており、
第1の圧力管路(27a)が、第1の区分(25a)で第1の圧力室(5a)に通じていて、第2の区分(25b)で第1の圧力ポート(28a)に通じており、
第2の圧力管路(27b)が、第1の区分(25a)で第2の圧力室(5b)に通じていて、第2の区分(25b)で第2の圧力ポート(28b)に通じており、
第2の駆動装置(26)は、ピストン・シリンダ装置(3)と第1の閉鎖要素(1a)とが、特に幾何学的なピストン軸線(9)に対して横方向に1つの長手方向変位軸線(29)に沿って変位可能であるかまたは1つの旋回軸線を中心として旋回可能であるように形成されていて、少なくとも1つの結合ロッド(25)に連結されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の真空弁。 - 第2の駆動装置(26)は、該第2の駆動装置(26)によって第1の閉鎖要素(1a)が、
第1の閉鎖要素(1a)が第1の開口(21a)を開放している開放位置(O)と、
第1の閉鎖要素(1a)が第1の開口(21a)を覆っていて、第1の閉鎖面(23a)が第1の弁座(22a)に向かい合って位置している中間位置(I)と
の間で第1の弁座(22a)に対して横方向に変位可能であるように形成されていて、結合ロッド(25)に連結されている、請求項10から12までのいずれか1項を引用する請求項13記載の真空弁。 - 第2の駆動装置(26)が、第1の閉鎖要素(1a)を第1の弁座(22a)に対して横方向に開放位置(O)と中間位置(I)との間で1つの長手方向変位軸線(29)に沿って線形に変位させるためのリニア駆動装置として形成されており、真空弁が、特にゲート弁として形成されているか
または
第2の駆動装置(26)が、第1の閉鎖要素(1a)を第1の弁座(22a)に対して横方向に開放位置(O)と中間位置(I)との間で1つの旋回軸線を中心として旋回させるための旋回駆動装置として形成されており、真空弁が、振り子式弁として形成されている、請求項14記載の真空弁。
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