JP6952369B2 - 熱塑性板の曲げ加工方法、及び加工治具 - Google Patents

熱塑性板の曲げ加工方法、及び加工治具 Download PDF

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Description

本発明は、熱塑性板の曲げ加工方法、及び加工治具に関する。
従来、大面積の熱塑性板であるガラス板を湾曲加工して表面を抛物面等とする技術として、ガラス板の周囲を保持しつつ加熱して軟化させ、ガラス板を自重で湾曲させる方法がある。このようなガラス板は大型の凹面鏡等に適用され、大型望遠鏡や、大型投影装置、大型プロジェクタの反射鏡等、さまざまな用途をもつ。
特許文献1には、成形すべきガラス板をその端縁部を自由にして下側からほぼ水平に保持した状態において前記ガラス板に軟化のための熱処理をほどこすことにより、前記ガラス板をその中央部が自重で垂下されるようにして曲面状に成形するガラス板成形法が記載されている。
また、特許文献2には、重力の作用及び曲げ加工用型を利用するガラス曲げ加工炉内でのガラス板の曲げ加工方法であって、ガラス板を曲げ加工用型上に置き、曲げ加工温度まで加熱し、曲げ加工用型によりガラスを望みの形状に曲げ加工するようになっており、曲げ加工されていない状態のガラス板のガラス縁部が、ガラス縁部の下に設けられた型支持体によって支持され、他の型支持体が、最終成形位置に設けられている前記方法において、前記曲げ加工されていない状態のガラス板の中間部分を型中間部品により更に支持し、ガラス曲げ加工中、曲げ加工用型の可調式の前記中間部品を下降させてガラス板を型支持体上に降ろし、この工程により下降させられる前記中間部品は、仕上げ曲げ加工用型の一部を形成している方法が記載されている。
特開昭55−007507号公報 特表2004−502631号公報
近年、大型の反射鏡作成に際して極力薄いガラス板を曲げ加工し、この曲げ加工したガラス板にハニカム構造の補強を行うことで、軽量化を図っている。しかし、特許文献1を含む従来の曲げ加工方法にあっては、大寸法の薄いガラス板(例えば厚さ3mm程度)を曲げ加工しようとするとき、ガラス板を治具に設置しただけでガラス板が自重で割れてしまい、曲げ加工が良好に行えないという問題がある。
また、特許文献2に係る方法は、ガラス板の中間部分を型中間部品により支持し、加工中に加工させるものであり、型の内側に型中間部品を移動させる機構を設ける必要があり、治具が複雑となる他、ガラス板の曲がり状態に型中間部品の位置を同期させる必要があり制御が煩雑である他、中間部品による形状の劣化が生じるという問題がある。
本発明は上述した課題に鑑みなされたものであり、大寸法の薄いガラス板を含む熱塑性板を加熱して自重で所定の曲面(例えば放物面)に湾曲させるに際して、自重での割れを防止し、高い精度で効率よく加工できる熱塑性板の曲げ加工方法、及び加工治具を提供することを課題とする。
前記課題を解決する請求項1に記載の発明は、水平状態に配置した曲げ加工すべき熱塑性板の周縁部の少なくとも一部を保持しつつ加熱して自重で前記周縁部の内側部を落下させて前記熱塑性板を所望の曲率に曲げる方であって、前記熱塑性板の前記周縁部の少なくとも一部を整形すべき形状における周縁形状を規定する型枠に保持するに際して、前記型枠の外方に複数の錘を配置し、前記錘を利用して前記熱塑性板に対して、水平方向であって前記熱塑性板の外方へ作用する張力を付与することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記熱塑性板の下方に凹型を配置することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、熱塑性板を加熱状態として自重で曲げ加工するに際して使用する治具であって、前記熱塑性板の周縁の少なくとも一部に接触して前記熱塑性板を保持する枠体と、前記熱塑性板の周縁を引っ張り、面方向の張力を付与する張力発生手段と、を備えることを特徴とする治具である。
請求項4記載の発明は、前記枠体の下方に配置された凹型を備えることを特徴とする請求項3記載の治具である。
請求項5記載の発明は、前記張力の大きさを可変としたことを特徴とする請求項3に記載の治具である。
請求項6記載の発明は、前記張力発生手段は、この枠体に配置された複数の錘と、前記錘と前記熱塑性板の周縁とを接続する線状部材と、前記枠体に取付けられ前記線状部材が配置される錘による鉛直方向の力を前記熱塑性板の面方向の引っ張り力に変える方向変換部材を備えることを特徴とする請求項3に記載の治具である。
本発明に係る熱塑性板の曲げ加工方法、及び加工治具によれば、熱塑性板の加熱中に面方向に引っ張られるので、熱塑性板に適度の張力が作用して割れが発生しない。また、錘の質量を調整することで熱塑性板の湾曲程度を調整できる。このため、高い歩留まりで正確な凹面熱塑性板を製造できる。
即ち、請求項1に記載の熱塑性板の曲げ加工方法によれば、熱塑性板は前記熱塑性板の面方向に張力を付与しつつ加熱されるので、熱塑性板に適度の張力が作用して割れが発生しないし、また、加熱中においても張力が作用するので、熱塑性板が急激に変形するのを防止することができる。
また、請求項1に記載の熱塑性板の曲げ加工方法によれば、大がかりな装置、設備を必要とすることなく、加熱炉の中に治具を配置した状態において加熱状態でも正確な張力を熱塑性板に付与することができる。
また、請求項2に記載の熱塑性板の曲げ加工方法によれば、熱塑性板の下方に凹型を配置しているので、熱塑性板を凹型に沿った所望の形状に精度よく成型することができる。
また、請求項3に記載の治具によれば、枠体に熱塑性板を配置して加熱するに際して、張力発生手段で熱塑性板に面方向の張力を付与することができる。このため、熱塑性板に適度の張力が作用して割れが発生しないし、また、加熱中においても張力が作用するので、熱塑性板が急激に変形するのを防止しすることができる。
また、請求項4に記載の治具によれば、枠体の下方に配置された凹型を備えるので、熱塑性板を凹型に沿った所望の形状にすることができる。
また、請求項5に記載の治具によれば、必要に応じて張力を変更できるので、熱塑性板の大きさ、湾曲の程度、加熱状態に応じて、最適な張力を選択できる。このため、錘の質量を調整することで熱塑性板の湾曲程度を調整できる。このため、高い歩留まりで正確な曲面熱塑性板を製造できる。
更に、請求項6に記載の治具によれば、張力発生手段は、錘が引力で引かれる鉛直方向下方への力を方向変換部材で水平方向に変換して、線状部材を介して熱塑性板を面方向に引く。このため、大がかりな装置、設備を必要とすることなく、加熱炉の中に治具を配置した状態において加熱状態でも正確な張力を熱塑性板に付与することができる。
本発明の実施形態に係る治具を示すものであり、(a)は枠体にガラス板を配置した加熱前の状態を示す写真、(b)は治具における枠体を示す斜視図である。 同治具を示すものであり、(a)は図1(2)中における、A−A線の断面に相当する模式図、(b)は図1(2)中における、D−D線の断面に相当する模式図である。 本発明の実施形態に係るガラス板の曲げ加工方法におけるガラス板の張力付与を示すものであり、(a)は張力状態を示す平面図、(b)は同正面図、(c)は同側面図、(d)は同治具の張力発生手段を示す概略図である。 同ガラス板の曲げ加工方法の処理を示すフローチャートである。 同ガラス板の曲げ加工方法におけるガラス板の湾曲状体の変化を示す図1(b)中A−A線に沿う断面模式図である。 同ガラス板の曲げ加工方法におけるガラス板の湾曲状体の変化を示す図1(b)中B−B線に沿う断面模式図である。 同ガラス板の曲げ加工方法におけるガラス板の湾曲状体の経時変化を示す図1(b)中C−C線に沿う断面模式図である。 (a)は同ガラス板の曲げ加工方法における曲げ加工完了状態を示す写真、(b)、(c)、(d)は本発明の第2実施形態に係るガラス板の曲げ加工方法におけるガラス板の曲がり状態の経時変化を下側型枠とともに示す模式図である。
本発明を実施するための形態に係る熱塑性板の曲げ加工方法、及び加工治具、及び凹面熱塑性板について説明する。
実施形態に係る熱塑性板の曲げ加工方法では、熱塑性板としてガラス板(普通ガラス:ソーダガラス)を使用する。ガラス板は、例えば厚さ3mmであり、大きさ1m×2m、100インチ×150インチ等の長方形のものを加工対象とする。曲げ加工後のガラス板の曲率半径は例えば3.3m等とすることができる。
尚、板ガラスの大きさ、形状、厚さはこの例に限らない。例えば、円形その他の形状の板ガラス、厚さが3mm未満、3mmを越えるもの、更に大型、小型のもの、他の材質の板ガラスを対象とすることができる。更に、加工後における曲率半径も自由に設定できる。また、ガラス板の他、熱可塑性の合成樹脂製板を曲げ加工の対象とすることができる。
このようなガラス板を加工するに際しては、周囲を型枠で保持した状態では自重で割れてしまう。
本実施形態に係るガラス板の曲げ加工方法では、以下の治具を用いてガラス板を水平状態に保持し、ガラス板を保持した治具を大型の加熱炉に配置して加熱することで、ガラス板の自重による曲げ加工を行う。
<第1実施形態>
以下、実施形態に係る冶具について説明する。図1は本発明の実施形態に係る治具を示すものであり、(a)は枠体にガラス板を配置した加熱前の状態を示す写真、(b)は治具における枠体を示す斜視図、図2は同治具を示すものであり、(a)は図1(2)中における、A−A線の断面に相当する模式図、(b)は図1(2)中における、D−D線の断面に相当する模式図である。また、図3は本発明の実施形態に係るガラス板の曲げ加工方法におけるガラス板の張力付与を示すものであり、(a)は張力状態を示す平面図、(b)は同正面図、(c)は同側面図、(d)は同治具の張力発生手段を示す概略図である。
本実施形態に係る治具10は、上側に加工対象であるガラス板Gを水平状態に載置する型枠20と、ガラス板Gに面方向の張力を付与する張力発生手段とから構成される。本実施形態では、張力発生手段は、型枠20の周囲に配置される方向変換部材である枠体40、錘60、及び線状部材であるワイヤー70を備えて構成される。
型枠20は、図1(a)、(b)に示すように、鋼材から構成された直方体の枠体である。即ち、型枠20は上側の稜線を構成する4本の上側枠体21、22、23、24、同じく下側の稜線を構成する4本の下側枠体25、26、27、28を備える。また、型枠20は、上下の稜線を構成し、上側枠体21、22、23、24、下側枠体25、26、27、28を接合する4本の上下枠体29、30、31、32を備える。
また、型枠20は、下部補強部材33、34、上下方向部材35、長辺上下方向桟36、短辺上下方向桟37等の補強部材を適宜備える。型枠20の上側枠体21、22、23、24の内側には、ガラス板Gが配置できる。尚、図1(a)に示す写真では、型枠20に配置したガラス板Gの下面を一時的に支持する支持部材38が配置されている。この支持部材38は加熱前に取り外される。
型枠20の内側には、ガラス板Gの四隅が配置されるとともに、曲げ加工後におけるガラス板Gの4つの辺の形状に合わせた形状の弧状枠51、52、53、53が配置されている。この弧状枠51、52、53、54の半径は加工後のガラス板Gの半径、形状に適合するものであり、図1(b)に示すように、それぞれの端部が接合されてガラス板Gの四隅部を設置できる。尚、長辺側における弧状枠51、52と、短辺側における弧状枠53、54とをそれぞれ異なる半径を備える。
本例は、長方形のガラス板Gを曲げ加工して、抛物面の一部をなすものとする。このため、曲げ加工されたガラス板Gの長辺と短辺は、直線とはならず、所定形状の弧(抛物線)を描くものとなる。弧状枠51、52、53、54はこの弧に合わせた形状としている。これにより、大型の長方形ガラス板を、所定の曲率半径をもつ大きな放物面の一部をなす形状に曲げ加工できる。曲げ加工したガラス板Gは、適宜形状を整えて組み合わせることで、巨大な凹面鏡を形成することができる。
張力発生手段は、図1(a)、図2、及び図3(d)に示すように、枠体40と、錘60と、ワイヤー70とを備えて構成され、ガラス板Gに引っ張り力を付与する。
この例では、枠体40は、鋼製角パイプで長方形に組み立てられた4本の枠材41、42、43、44からなる。また、錘60は、図1(a)に示すように、ガラスの短辺側にそれぞれ17個、長辺側に例えばそれぞれ24個、合計62個が配置される。
錘60の総質量は、例えば全体でガラス板の質量の100%程度とし、それぞれ等分される。即ち、ガラス板の質量が200Kgであれば、錘60の総質量は200Kgとする。この場合、各錘60の質量は、約3.2Kgとなる。尚、錘60の数及び質量はガラス板Gの曲げ加工条件、処理条件により可変であり、適宜変更することができる。
図1(a)及び図2に示すように、ワイヤー70は、錘60に対応して設けられる。ワイヤー70の先端がガラス板Gの端部に接合され、他端が錘60に接合され、ワイヤー70を枠体40に掛けて、鉛直方向に錘60が引かれる力を図3(a)、(b)、(c)に示すように、ガラス板Gの面方向(水平方向)に方向変換する。本実施形態では、図3(a)に示すように、ガラス板Gの四隅にも突起部材39を設け、ガラス板Gの四隅を斜め方向外側に向け引くようにしている。また、図中錘60の数量は実際より少なく描いた。
ガラス板Gには、突起部材39が耐熱接着剤により配置され、ワイヤー70の先端が接合することができる。ワイヤー70とガラス板Gとの接合は他の方法、例えばガラス板Gの端縁部に孔を開け、ワイヤー70を配置することができる。ワイヤー70は、図2に示すように、ガラス板Gに接続されて水平に延び、上下方向部材35、長辺上下方向桟36、短辺上下方向桟37の間を通過して、枠体40で方向が変更され、下方に延設されて錘60を垂下する。
このため、ワイヤー70は、ガラス板Gの湾曲にともなう周縁部の下降にともなう枠体40の下降に追従してガラス板Gを水平方向に引く。そして、ガラス板Gの周縁が弧状枠51、52、53、54に接した状態で、錘60の下降は停止する。
本実施形態では枠体40は、型枠20の外側にはめ込まれて上下に移動できる。この枠体40の移動は、加熱炉の外部上側に配置したウインチ部材(図示していない)で行うことができる。このウインチ部材は、加熱炉に配置状態で枠体40を上下動させるものである。
例えば、型枠20に枠体40を一時的に固定した状態でガラス板Gに錘60、ワイヤー70を設置して支持部材38配置し、この状態で、型枠20を加熱炉に配置して、枠体40をウインチ部材で保持して仮固定を外し、更に支持部材38を取り外して使用する。
次に、この治具10を用いてガラス板Gを曲げ加工する手順について説明する。
図4は同ガラス板の曲げ加工方法の処理を示すフローチャート、図5は同ガラス板の曲げ加工方法におけるガラス板の湾曲状体の変化を示す図1(b)中A−A線に沿う断面模式図、図6は同ガラス板の曲げ加工方法におけるガラス板の湾曲状体の変化を示す図1(b)中B−B線に沿う断面模式図、図7は同ガラス板の曲げ加工方法におけるガラス板の湾曲状体の経時変化を示す図1(b)中C−C線に沿う断面模式図である。
本実施形態に係るガラス板の曲げ加工方法では、まず、ガラス板Gの周縁部に突起部材39を設置する(ステップS1)。次いで、このガラス板Gを型枠20に配置する(ステップS2)。図1(a)に示すように、ガラス板Gの四隅を弧状枠51、52、53、54の接合部に配置する。このとき、ガラス板Gの周縁部は、弧状枠51、52、53、54から離れているため、ガラス板Gの中央に支持部材38を配置してガラス板Gの破損を防止する。
次いで、ガラス板Gの周縁部にワイヤー70を設置し、更に錘60を設置する。このとき、型枠20に配置された枠体40は最上部位置に仮固定されている。仮固定は、複数の棒状部材を枠体40の下側に配置することにより行うことができる。この状態で、ガラス板Gには、錘60により面方向の張力が付与されており、支持部材38を外してもガラス板Gは破損しない。
この状態で、ガラス板Gを配置した型枠20を加熱炉に配置し(ステップ4)、枠体40にウインチ部材を接続する(ステップS5)。
そして、加熱炉を動作させてガラス板Gを加熱状態とする(ステップS6)。例えば炉内温度を680℃〜720℃にすることで、ガラス板Gが軟化し、周辺部から湾曲する(ステップS7)。炉内温度は、内部の状態を観察しつつ手動で制御することができる。
そして、枠体40をウインチ部材により降下させる(ステップS8)。炉内を所定の温度としつつ枠体40を降下させると、ガラス板Gは張力が付与された状態で曲がり、所定の曲がり状態、即ち所定の半径になったとき、枠体40の降下と加熱とを停止し(ステップS9のYes)する。この枠体40の下降は、加熱炉の外部から内部の状態を観察しつつ手動で行うことができる。
そして、加熱炉の温度を徐々に下げ(ステップS10)、ガラス板Gが所定の温度になったら、ワイヤー70をウインチ部材から外し、型枠20を加熱炉から取り出す(ステップS11)。そして、錘60を除去して、湾曲したガラス板Gを型枠20から取り外し(ステップS12)、処理は終了する。これにより、凹面熱塑性板である凹面ガラス板が完成する。
加熱時間は概略以下の通りである。まず、常温から580℃まで徐々に上昇させる。この状態からガラス板Gが曲がってくる。そして、580℃度から640℃まで、約1時間かけて上昇させる。640℃になると、ガラス板Gは80%程度曲がる。更に、640℃を30分程度保持し、ガラス板Gが完全に曲がる。尚、温度及び加熱時間はガラス板Gの大きさ、厚さ、曲げの半径等により適宜変更する。
次に、曲げ加工状態における型枠20、枠体40、ガラス板Gの状態について説明する。
ここで、図5、図6、図7では、(a)〜(e)は経時的変化を示しており、同一のアルファベットで示した図は同一のタイミングのガラス板G、枠体40、錘60の状態を示している。
本実施形態では、長方形状のガラス板Gを等方的に略一定の曲率半径に加工するため、長辺に沿った複数の面(図1(b)中のA−A線(断面位置A)、B−B線(断面位置B)、C−C線(断面位置C))によりガラス板Gの曲がり状態が異なる、以下、加熱開始(時間t0=0)、加熱の第1状態(時間t1経過)、第2状態(時間t2経過)、第3状態(時間t3経過)、第4状態(時間t4経過)について説明する(t0>t1>t2>t3>t4)。
<加熱開始:各図の(a)>
即ち、加熱開始の状態(各図の(a))では、各断面位置において、枠体40は最上位置で、ガラス板Gは平板状である。尚、ガラス板Gは、各断面位置において目標90まで湾曲させるものとする(各図において同じ)。この状態で、枠体40は、型枠20の上側枠体21の下端からd1の位置にある。
<第1状態(時間t1):各図の(b)>
この状態で、枠体40は、型枠20の上側枠体21の下端からd2(d2>d1)の位置にある。第1状態では、図5に示す断面位置Aでは、ガラス板Gの周辺がやや湾曲しているが、中央部は湾曲状態ではない。断面位置Aでは、ガラス板Gの端縁が弧状枠51、52に保持されているため、枠体40はガラス板Gの端部より下方に位置し、ワイヤー70は斜め下方に向け、ガラス板Gを引く。
図6に示す断面位置B、図7に示す断面位置Cでは、ガラス板Gは直線状である。断面位置B、Cでは、ガラス板Gの端縁は弧状枠51、52に接触していないため、枠体40はガラス板Gの端部と略同位置にあり、ワイヤー70は水平にガラス板Gを引く。
<第2状態(時間t2):各図の(c)>
この状態で、枠体40は、型枠20の上側枠体21の下端からd3(d3>d2)の位置にある。第2状態(各図(c))では、図5に示す断面位置Aではガラス板Gは目標90と一致している。断面位置Bでは、ガラス板Gの端縁が弧状枠51、52に保持されているため、枠体40はガラス板Gの端部より下方に位置し、ワイヤー70は斜め下方に向け、ガラス板Gを引く。
図6に示す断面位置B、図7に示す断面位置Cではガラス板Gはまだ直線状である。この状態で、枠体40は、型枠20の上側枠体21の下端からd2(d2>d1)の位置にある。断面位置B、Cでは、ガラス板Gの端縁は弧状枠51、52に接触していないため、枠体40はガラス板Gの端部と略同位置にあり、ワイヤー70は水平にガラス板Gを引いている。
<第3状態(時間t3):各図の(d)>
この状態で、枠体40は、型枠20の上側枠体21の下端からd4(d4>d3)の位置にある。第3状態(各図(d))では、図5に示す断面位置A、図6に示す断面位置Bではガラス板Gは目標90と一致している。断面位置A、断面位置Bでは、ガラス板Gの端縁が弧状枠51、52に保持されているため、枠体40はガラス板Gの端部より下方に位置し、ワイヤー70は斜め下方に向け、ガラス板Gを引く。
図7に示す断面位置Cではガラス板Gの周辺がやや湾曲しているが、中央部は湾曲状態ではない。断面位置Cでは、ガラス板Gの端縁は弧状枠51、52に接触していないため、枠体40はガラス板Gの端部と略同位置にあり、ワイヤー70は水平にガラス板Gを引いている。
<第4状態(時間t4):各図の(e)>
この状態で、枠体40は、型枠20の上側枠体21の下端からd5(d5>d4)の位置にある。第4状態(各図(d))では、図5に示す断面位置A、図6に示す断面位置B、図7に示す断面位置Cのすべての断面位置でガラス板Gは目標90と一致している。
これにより、ガラス板Gは目標の形状に曲げ加工された。この状態で、徐冷して、ガラス板Gを型枠20ごと加熱炉から取り出し、曲げ加工は終了する。
曲げ加工が終了した状態を図8(a)に示す。図8(a)は同ガラス板の曲げ加工方法における曲げ加工完了状態を示す写真である。図8(a)は、加熱炉から取り出した状態であり、型枠20の一部、枠体40、錘60、及び加工後の凹面熱塑性板である曲げ加工後のガラス板Gが示されている。
本実施形態に係るガラス板の曲げ加工方法によれば、ガラス板Gは型等に接触することなく、空中で曲げ加工されるので、ガラス板Gの表面に型の表面状態に起因する凹凸、傷等が発生しない。また、型枠20に弧状枠51、52、53、54を配置してガラス板Gの周縁部の形状が定まるので、長方形のガラス板Gを所望の曲面(抛物面)の一部をなすように曲げ加工できる。
そして、複数のガラス板Gを所定の曲面に曲げ加工し、これらを適宜組み合わせることで、巨大な抛物面を形成することができる。そして、この曲げ加工の多対象となるガラス板Gが薄くても、曲げ加工中にガラス板Gが割れる等の不具合が発生することがない。
<第2実施形態>
尚、型枠20において、ガラス板Gの下方に目標とする湾曲状体の凹型80を配置することができる。図8(b)、(c)、(d)は本発明の第2実施形態に係るガラス板の曲げ加工方法におけるガラス板の曲がり状態の経時変化を下側型枠とともに示す模式図である。
第2実施形態では、ガラス板Gを保持する型枠20の下方に所望の形状をなす凹型80を配置している。これにより、加熱軟化し、中央部が自重で落下して変形するガラス板Gの形状を決定する。これにより、高い精度のガラス板Gの曲げ加工を行うことができる。また、多数のガラス板G曲げ加工する場合、温度や枠体40の位置等各種の制御をより簡単に行うことができる。
また、凹型を使用せずにガラス板Gを曲げて、一回取り出したのち、凹型の上に置いて型に添わせることにより成型することもできる。
尚、上記各例では、加熱炉の温度制御、枠体40の下降位置、速度の制御は手動で行うこととしているが、これらを制御する制御手段を設けて予め定めた手順で自動的に行うことができる。また、ガラス板Gの湾曲状態に応じて、温度や枠体40の下降速度、位置を制御することもできる。
更に、ガラス板Gは、長方形として説明したが、正方形、円形のものを対象とすることができる。この場合、型枠等を加工するガラス板Gにあわせて製作する。また、ガラス板を曲げる例を示したが、熱軟化板材としては、ガラス板の他、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂板材を対象とすることができる。
本発明に係る熱塑性板の曲げ加工方法、及び加工治具、及び凹面熱塑性板は、ガラス板の加熱中に面方向に引っ張られるので、ガラス板に適度の張力が作用して割れが発生しないし、錘の質量を調整することでガラスの湾曲程度を調整でき、高い歩留まりで正確な曲面ガラス板を製造でき、産業上の利用可能性がある。
10:治具
20:型枠
21、22、23、24:上側枠体
25、26、27、28:下側枠体
29、30、31、32、:上下枠体
33、34:下部補強部材
35:支持部材
36:突起部材
40:枠体
41、42、43、44:枠材
51、52、53、54:弧状枠
60:錘
70:ワイヤー
80:凹型

Claims (6)

  1. 水平状態に配置した曲げ加工すべき熱塑性板の周縁部の少なくとも一部を保持しつつ加熱して自重で前記周縁部の内側部を落下させて前記熱塑性板を所望の曲率に曲げる方法であって、
    前記熱塑性板の前記周縁部の少なくとも一部を整形すべき形状における周縁形状を規定する型枠に保持するに際して、前記型枠の外方に複数の錘を配置し、前記錘を利用して前記熱塑性板に対して、水平方向であって前記熱塑性板の外方へ作用する張力を付与することを特徴とする熱塑性板の曲げ加工方法。
  2. 前記熱塑性板の下方に凹型を配置することを特徴とする請求項1に記載の熱塑性板の曲げ加工方法。
  3. 熱塑性板を加熱状態として自重で曲げ加工するに際して使用する治具であって、
    前記熱塑性板の周縁の少なくとも一部に接触して前記熱塑性板を保持する枠体と、
    前記熱塑性板の周縁を引っ張り、面方向の張力を付与する張力発生手段と、
    を備えることを特徴とする治具。
  4. 前記枠体の下方に配置された凹型を備えることを特徴とする請求項3に記載の治具。
  5. 前記張力の大きさを可変としたことを特徴とする請求項3に記載の治具。
  6. 前記張力発生手段は、
    この枠体に配置された複数の錘と、
    前記錘と前記熱塑性板の周縁とを接続する線状部材と、
    前記枠体に取付けられ前記線状部材が配置される錘による鉛直方向の力を前記熱塑性板の面方向の引っ張り力に変える方向変換部材を備えることを特徴とする請求項3に記載の治具。
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