JP6951960B2 - 乳酸菌粉末を含有するpH4.6を超える飲料、当該飲料の製造方法、および当該飲料の風味改善方法 - Google Patents

乳酸菌粉末を含有するpH4.6を超える飲料、当該飲料の製造方法、および当該飲料の風味改善方法 Download PDF

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Description

本発明は、乳酸菌粉末を含有する、pHが4.6を超える(中性付近の)飲料、ならびにそのような飲料の製造方法および風味改善方法に関する。
消費者の多様な健康ニーズや商品形態の要望に応えるべく、乳酸菌粉末を含有する飲料が多数開発されている。また、乳酸菌粉末を含有した飲料のニーズがより一層高まっている。しかし、乳酸菌粉末を併用した飲料においては、培養した乳酸菌粉末の臭み(培地臭)が強く感じられ、スッキリ感がない香味となってしまう事が積年の課題となっていた。
特許文献1(特開2013−233097号公報)には、ラクトコッカス属の乳酸菌を用いたヨーグルトの製造方法において、ヨーグルトの粘度を調整し、かつ、バニラ系、ミルク系またはシトラス系エッセンスのようなヨーグルト用フレーバーを添加することにより、アミノ酸臭をマスキングした風味良好なヨーグルトの製造方法が記載されている。このようなヨーグルトとして、実施例ではpHが4.60であるものが製造されている。しかしながら当該文献には、培地で培養、回収した乳酸菌粉末を含有する飲料を対象とした、培地臭のマスキング方法については記載されていない。また、ヨーグルト用フレーバーには非常に多くの香気成分が包含されるところ、特定の種類のフレーバーおよびその含有量(複数の種類のフレーバー間の比率)に着目してマスキング効果を引き出すといった検討はなされていない。
特許文献2(特開2013−94154号公報)には、無脂乳固形分の含有量(質量%)に対する乳酸菌の菌体数の比を一定の比率とするともに、一定のガラクトマンナン類を含有することにより、止渇飲料としての清涼感を有し、さらに乳酸菌飲料の風味が改善され、かつ乳酸菌に由来する異味や異臭が抑制された乳酸菌飲料が記載されている。このような乳酸菌飲料のpHは、好ましくは3.0〜4.5とされている。しかしながら、当該文献に記載の発明では、乳酸菌に由来する異味や異臭を抑制するために、一般的には食品用増粘剤、安定剤、ゲル化剤などとして用いられている、ローカストビーンガム、グァーガム等のガラクトマンナン類を添加しているため、フレーバーリリースが悪く、キレが無い香味になり、スッキリ感が損なわれる傾向がある。また、当該文献には公知の乳酸菌飲料に用いられている香料を任意で配合してもよいことは記載されているが、特定の種類のフレーバーおよびその含有量(複数の種類のフレーバー間の比率)によって上記課題を解決し得ることは記載も示唆もされていない。
また、特許文献3には、グルコマンナンゾルとペクチンを含有するグルコマンナンゾル入り乳性飲料が記載されており、この乳酸飲料のpHは3.5〜4.6とされている。
特許文献4には、0.0001〜40質量%のオリゴ糖及び植物性乳酸菌を含有する発酵乳または乳酸菌飲料が記載されており、そこに他の食品素材、例えば嗜好飲料(茶類等)を加えてもよいことが記載されている。このような発酵乳又は乳酸菌飲料のpHは、好ましくは3.0〜4.8とされている。
特許文献5には、0.0001〜40質量%のセロオリゴ糖及び植物性乳酸菌を含有し、セロオリゴ糖の配合によるpH変化率が6%未満である発酵食品が記載されており、そこに他の食品素材、例えば嗜好飲料(茶類等)を加えてもよいことが記載されている。このような発酵食品のpHは、好ましくは3.0〜4.8とされている。
しかしながら特許文献3〜5にも、乳酸菌等を含む飲料に特定の種類のフレーバーを添加することにより、乳酸菌粉末の培地臭を抑制することができるようになるということは記載も示唆もされていない。
一方、非特許文献1には、飲料の風味を改善することを目的として適量添加される香料や香気成分として、シトラス精油等の天然物由来の種々の香料やそこに含まれる成分が記載されている。例えばグレープフルーツのエッセンスオイルや果皮油が、リナロールや、微量であるものの非常に重要な物質であるヌートカトンを含むことも記載されている。
しかしながら非特許文献1には、リナロール等の成分が、香気を感じさせない極めて低い量で添加したときに、乳酸菌粉末の培地臭を抑制することができるなどの特別な作用を奏すること、言い換えれば香気成分としてではない他の用途を有するは、記載も示唆もされていない。
特開2013−233097号公報 特開2013−94154号公報 特開2002−142669号公報 特開2009−89626号公報 特開2009−89627号公報
New Food Industry, 1992, 34(6), p.49-56
本発明は、乳酸菌粉末を含有する、pHが4.6を超える(中性付近または弱アルカリ性までの)飲料について、乳酸菌に由来する飲料の培地臭を抑制(低減)する手段を提供すること、好ましくは飲料のスッキリ感や後味の良さを維持しつつ、乳酸菌に由来する飲料の培地臭を抑制(低減)する手段を提供することを課題とする。
なお、本発明において「培地臭」とは、乳酸菌を培養する培地由来の臭みのことであって、例えば酵母エキス、肉エキス、ペプトンなどを含む培地で培養された乳酸菌の粉末を配合した場合に問題となりやすい、旨味や獣臭などの雑味を伴う、一般的な清涼飲料にとって好ましからざる独特の香味を指す。また、本発明において「スッキリ感」とは、飲用後の後味がスッとなくなるような感触であり、甘味、苦味、酸味、うまみ、塩味も含めて飲用後の後味がなくっていく感覚を指し、後味のキレともいう。
出願人は、特願2017−050472号に係る明細書において、乳酸菌粉末と、高甘味度甘味料を含有する、pHが2.5〜4.6の飲料については、さらに10〜5000ppbのヌートカトンと、2.5〜2000ppbのリナロールとを添加することにより、飲料のスッキリ感を維持しつつ、乳酸菌に由来する飲料の培地臭を抑制(低減)するという課題を解決できることを開示している。しかしながら当該明細書には、乳酸菌粉末を含有する、pHが4.6を超える飲料について、上記の課題を解決するための手段は、実施例等を通じて具体的に開示されていない。
本発明者らは、柑橘類に比較的豊富に含まれる香気成分のうち、ヌートカトン(ノートカトンと呼ばれることもある。)、リナロールおよびバレンセンを、それぞれの特有の香気を感じさせない弁別閾値(Taste threshold)前後の特定の量で、乳酸菌粉末を含有するpHが4.6を超える飲料に配合することによって、上記の課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は第1の側面において、乳酸菌粉末と、20000ppb未満のヌートカトン、50000ppb未満のリナロール、および50000ppb未満のバレンセンからなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含有する、pHが4.6を超える飲料を提供する。
前記ヌートカトンの含有量は、10〜10000ppbが好ましい。前記リナロールの含有量は、1〜10000ppbが好ましい。前記バレンセンの含有量は、1〜10000ppbが好ましい。
第1の側面のある実施形態において、本発明の飲料は、前記ヌートカトン、前記リナロールおよび前記バレンセンからなる群より選ばれる2種以上を含有すること、例えば前記ヌートカトンおよび前記リナロールを含有することが好ましい。この場合、例えば、ヌートカトンの含有量は1000〜10000ppbが好ましく、リナロールの含有量は1〜10000ppb好ましく、かつそれらの質量比は、ヌートカトン/リナロール=1〜1000であることが好ましい。
また、前記乳酸菌は、乳を含まない培地で培養されたものであることが好ましい。前記乳酸菌粉末は、0.005質量%以上0.5質量%以下含有することが好ましい。前記乳酸菌は、細胞構造が破壊されているものであることが好ましい。前記飲料の糖度は0.1〜7.0Bxであることが好ましい。前記飲料のエネルギーは20kcal/100ml以下であることが好ましい。前記飲料は、ミネラルウォーター、ニアウォーター、または茶飲料であることが好ましい。
なお、「乳を含まない培地で培養された」乳酸菌は、飲料に配合したときに、培地臭を感じさせ、スッキリ感を損なわせる問題を引き起こし起こしやすいが、ヒトの感覚にそのような影響を与える原因物質およびその量を具体的に特定することは不可能または非実際的である。
本発明は第2の側面において、乳酸菌粉末を含有する、pHが4.6を超える飲料の製造方法において、ヌートカトン、リナロールおよびバレンセンからなる群より選ばれる少なくとも1種を、当該飲料中の濃度がそれぞれ20000ppb未満、50000ppb未満または50000ppb未満となるよう、乳酸菌粉末と混合する工程を含む、乳酸菌粉末を含有する飲料の製造方法を提供する。
本発明は第3の側面において、pHが4.6を超える飲料において、20000ppb未満のヌートカトン、50000ppb未満のリナロール、および50000ppb未満のバレンセンからなる群より選ばれる少なくとも1種を共存させる、乳酸菌粉末を含有する飲料の風味改善方法を提供する。
本発明により、乳酸菌に由来する飲料の培地臭がなく、好ましくはそれを飲料のスッキリ感や後味の良さと両立させた、pHが4.6を超える乳酸菌粉末含有飲料を製造することが可能となる。
― 飲料 ―
本発明の飲料は、少なくとも、乳酸菌粉末と、20000ppb未満のヌートカトン、50000ppb未満のリナロール、および50000ppb未満のバレンセンからなる群より選ばれる少なくとも1種とを含み、必要に応じてさらにその他の成分を含んでもよい。
[A]成分
(1)乳酸菌粉末
乳酸菌には、乳酸桿菌、乳酸球菌のほか、広義の乳酸菌としてビフィズス菌をも包含するものとする。乳酸菌の菌体としては、飲食品に一般的に使用されるものであれば限定はされないが、例えば、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ワイセラ(Weissella)属などに属する乳酸菌の菌体が挙げられ、なかでもラクトバチルス属に属する乳酸菌の菌体が好ましい。これらの乳酸菌の菌体は1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてよい。
ラクトバチルス属に属する乳酸菌としては、例えば、ラクトバチルス・アミロボラス、ラクトバチルス・ガセリ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・デルブリュッキイ、ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・ケフィア、ラクトバチルス・パラカゼイ、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・ブルガリカス、ラクトバチルス・ラムノーサス、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・ジョンソニー、ラクトバチルス・クリスパタス、ラクトバチルス・ガリナルム等が挙げられる。
ビフィドバクテリウム属は、ビフィズス菌とも称され、このような乳酸菌としては、例えば、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム、ビフィドバクテリウム・アニマリス、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・カテニュラータム、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラータム、及びビフィドバクテリウム・マグナム等が挙げられる。
ロイコノストック属に属する乳酸菌としては、例えば、ロイコノストック・メセンテロイデス、ロイコノストック・ラクティス等が挙げられる。
ラクトコッカス属に属する乳酸菌としては、例えば、ラクトコッカス・ラクティス、ラクトコッカス・プランタラム、ラクトコッカス・ラフィノラクティス、ラクトコッカス・クレモリス等が挙げられる。
ペディオコッカス属に属する乳酸菌としては、例えば、ペディオコッカス・ペントサセウス、及びペディオコッカス・ダムノサス等が挙げられる。
エンテロコッカス属に属する乳酸菌としては、例えば、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・ヒラエ、及びエンテロコッカス・フェシウム等が挙げられる。
ストレプトコッカス属に属する乳酸菌としては、例えば、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ストレプトコッカス・ラクチス、ストレプトコッカス・ダイアセチラクチス、ストレプトコッカス・フェカリス等が挙げられる。
ワイセラ属に属する乳酸菌としては、ワイセラ・チバリア、ワイセラ・コンフューザ、ワイセラ・ハロトレランス、ワイセラ・ヘレニカ、ワイセラ・カンドレリ、ワイセラ・キムチイ、ワイセラ・コレエンシス、ワイセラ・ミノール、ワイセラ・パラメセンテロイデス、ワイセラ・ソリ、ワイセラ・タイランデンシス、ワイセラ・ビリデスセンス等が挙げられる。
本発明の飲料において使用する上記の乳酸菌種に属する菌株は、天然からの単離株、寄託株、保存株、市販株などのいずれであってもよい。
本発明の飲料に使用する乳酸菌、好ましくはラクトバチルス属に属する乳酸菌は、乳酸菌の培養に通常用いられる培地を使用して、通常使用される条件下で培養することにより増殖し回収することができる。
培養培地は、通常、炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、上記の菌種の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、例えばラクトース、グルコース、スクロース、フラクトース、ガラクトース、廃糖蜜などを使用することができ、窒素源としては、例えばカゼイン加水分解物、ホエータンパク質加水分解物、大豆タンパク質加水分解物、酵母エキス、肉エキス等の有機窒素含有物を使用することができる。また無機塩類としては、例えばリン酸塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、亜鉛などを用いることができる。乳酸菌の培養に適した培地としては、例えばMRS液体培地、GAM培地、BL培地、Briggs Liver Broth、獣乳、脱脂乳、乳性ホエーなどが挙げられる。好ましくは、滅菌されたMRS培地を使用することができる。また食品用途で用いる場合には食品素材ならびに食品添加物のみで構成した培地も使用可能である。天然培地としては、トマトジュース、ニンジンジュース、その他野菜ジュース、あるいはリンゴ、パイナップル、ブドウ果汁なども使用することができる。
培養は、20℃〜50℃、好ましくは25℃〜42℃、より好ましくは約37℃において、嫌気条件下で行う。温度条件は、恒温槽、マントルヒーター、ジャケットなどにより調整することができる。また、嫌気条件下とは、菌が増殖可能な程度の低酸素環境下のことであり、例えば嫌気チャンバー、嫌気ボックスまたは脱酸素剤を入れた密閉容器もしくは袋などを使用することにより、あるいは単に培養容器を密閉することにより、嫌気条件とすることができる。培養の形式は、静置培養、振とう培養、タンク培養などである。また、培養時間は、特に制限されないが、例えば3時間〜96時間とすることができる。培養開始時の培地のpHは、例えば4.0〜8.0に維持することが好ましい。
例えば、乳酸菌としてラクトバチルス・アミロボラスCP1563株(受託番号FERM BP-11255)を用いる場合には、食品グレードの乳酸菌用培地に乳酸菌を植菌し、約37℃で一晩(約18時間)かけて培養を行うことができる。
本発明では、乳を含まない培地、つまり上で例示した獣乳、脱脂乳、乳性ホエーなどを含まない培地で培養した乳酸菌を用いることが好ましい。本発明の作用効果は、乳を含まない培地で培養された乳酸菌の粉末を配合した飲料において好ましく奏され、例えば酵母エキスを含む培地で培養された乳酸菌の粉末を配合した場合に問題となりやすい、酵母臭を抑制する上で好ましい。
(粉末)
本発明の飲料に用いる「乳酸菌粉末」とは、乳酸菌の培養液を当技術分野で公知の方法及び機器を使用して、乾燥して粉状物とすることにより得ることができる。具体的な乾燥方法としては、特に制限されないが、例えば、噴霧乾燥、ドラム乾燥、熱風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥などが挙げられ、これらの乾燥手段を単独でまたは組み合わせて使用できる。
乳酸菌粉末は、乳酸菌の細胞構造を破壊することによって菌体を損傷させ、単に凍結乾燥などの手法で乾燥した乳酸菌粉末よりもさらに微細な粉末にしたもの「破壊処理乳酸菌粉末」であってもよい。破壊処理乳酸菌粉末は、破壊された乳酸菌全体(すなわち、細胞を構成する本質的にすべての成分)をそのまま回収することによって得られる。
乳酸菌の破壊処理は、当技術分野で公知の方法及び機器を使用して、例えば物理的破砕処理、磨砕処理、酵素溶解処理、薬品処理、または自己溶解処理などによって行うことができる。
物理的破砕処理は、湿式(乳酸菌を懸濁液の状態で処理)または乾式(乳酸菌粉末の状態で処理)のいずれで行ってもよく、ホモゲナイザー、ボールミル、ビーズミル、遊星ミル等を使用した撹拌により、ジェットミル、フレンチプレス、細胞破砕機等を使用した圧力により、あるいはフィルター濾過により、乳酸菌の損傷を行うことができる。
酵素溶解処理は、例えばリゾチームなどの酵素を用いて、乳酸菌の細胞壁を破壊することによって行われる。
薬品処理は、例えばグリセリン脂肪酸エステル、ダイズリン脂質などの界面活性剤を使用して、乳酸菌の細胞構造を破壊することによって行われる。
自己溶解処理は、乳酸菌自身の酵素により乳酸菌を溶解することによって行われる。
上記の各処理のなかでも、他の試薬または成分を添加する必要がないため物理的破砕処理が好ましく、乾式による物理的破砕処理がより好ましい。すなわち、本発明で用いる乳酸菌粉末は、物理的破砕処理によって乳酸菌の細胞構造が破砕されているもの(物理的破砕処理乳酸菌粉末)であることが好ましい。
物理的破砕は、より具体的には、公知の乾式遊星ミル細胞破砕機(GOT5 ギャラクシー5など)において、乳酸菌粉末を各種ボール(例えばジルコニア製10mmボール、ジルコニア製5mmボール、アルミナ製1mmボール)共存下で、回転数50〜10000rpm(例えば190rpm)で30分〜20時間(例えば5時間)処理する方法、乳酸菌粉末を公知の乾式ジェットミル細胞破砕機(ジェットOマイザーなど)において、供給速度0.01〜10000g/min(例えば0.5g/min)、吐出圧力1〜1000kg/cm2(例えば6kg/cm2)の圧力にて、1〜10回(例えば1回)処理する方法などによって行うことができる。また、乳酸菌懸濁液を公知のダイノミル細胞破砕機(DYNO-MILL破砕装置など)において、ガラスビーズを使用して、周速10.0〜20.0m/s(例えば約14.0m/s)、処理流速0.1〜10L/10min(例えば約1L/10min)にて、破砕槽温度10〜30℃(例えば約15℃)で1〜7回(例えば3〜5回)処理する方法、乳酸菌懸濁液を、公知の湿式ジェットミル細胞破砕機(JN20 ナノジェットパルなど)において、吐出圧力50〜1000Mpa(例えば270MPa)、処理流速50〜1000ml/min(例えば300ml/min)にて、1〜30回(例えば10回)処理する方法などによっても行うことができる。
上記の方法より得られた破壊処理乳酸菌は、乾式の場合はそのまま、また、湿式の場合は、乾燥して粉状物とすることができる。具体的な乾燥方法としては、特に制限されないが、例えば、噴霧乾燥、ドラム乾燥、熱風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥などが挙げられ、これらの乾燥手段を単独でまたは組み合わせて使用できる。
本発明の飲料に含有する乳酸菌粉末の量は、特に限定されないが、生理活性を期待することができると同時に、風味改善に係る本発明の作用効果を奏しやすい範囲という観点から、下限値は、好ましくは0.005質量%、より好ましくは0.01質量%であり、上限値は、好ましくは0.5質量%、より好ましくは0.1質量%である。なお、乳酸菌粉末の量が少ない(例えば上記下限値0.005質量%未満である)飲料は、そもそも飲料のスッキリ感を損ねたり培地臭がしたりといった問題が起こりにくく、そのような問題が起きていない飲料は本発明の対象としなくともよい。
(2)ヌートカトン・リナロール・バレンセン
ヌートカトン、リナロールおよびバレンセンは、香気成分としては公知の化合物であり、香料としても利用されている。本発明の飲料が含有するヌートカトン、リナロールおよびバレンセンは、香料のような精製物に由来するものであってもよいし、後述するような任意成分として飲料に配合される、柑橘類等の果汁等の天然物に由来するものであってもよい。
本発明の飲料が含有するヌートカトンの濃度は、20000ppb(20ppm、ヌートカトンの弁別閾値)未満であり、好ましくは10〜10000ppbであり、特に好ましくは100〜10000ppbであり、最も好ましくは500〜5000ppbである。ヌートカトンを単独で用いた場合でも、10ppb以上であれば培地臭の低減の効果が得られやすく、500〜5000ppbの範囲であれば、スッキリ感および後味の良さを維持しつつ培地臭が低減した、全体的な風味に優れた飲料を製造しやすい。
本発明の飲料が含有するリナロールの濃度は、50000ppb(50ppm)未満であり、好ましくは1〜10000ppbであり、特に好ましくは30〜10000ppbであり、最も好ましくは300〜3000ppbである。リナロールを単独で用いた場合でも、1ppb以上であれば培地臭の低減の効果が得られやすく、300〜3000ppbの範囲であれば、スッキリ感および後味の良さを維持しつつ培地臭が低減した、全体的な風味に優れた飲料を製造しやすい。
本発明の飲料が含有するバレンセンの濃度は、50000ppb(50ppm)未満であり、好ましくは1〜10000ppbであり、特に好ましくは1〜1000ppbであり、最も好ましくは30〜500ppbである。バレンセンを単独で用いた場合でも、1ppb以上であれば培地臭の低減の効果が得られやすく、30〜500ppbの範囲であれば、スッキリ感および後味の良さを維持しつつ培地臭が低減した、全体的な風味に優れた飲料を製造しやすい。
本発明の飲料は、それぞれ前記所定の濃度の、ヌートカトン、リナロールおよびバレンセンからなる群より選ばれる2種以上を含有していてもよい。例えば、それぞれ前記所定の濃度のヌートカトンおよびリナロールを含有することが好ましい。
本発明の飲料がヌートカトンおよびリナロールを含有する場合、ヌートカトンの濃度は、好ましくは1000〜10000ppbであり、リナロールの濃度は、好ましくは1〜10000ppb、より好ましくは1000〜10000ppbである。また、その場合のヌートカトンとリナロールの質量比(リナロール1質量部に対するヌートカトンの質量、ヌートカトン/リナノール)は、発明の効果を強く得られる範囲として、好ましくは1〜1000であり、より好ましくは1〜100であり、特に好ましくは1〜10である。
上記の濃度および質量比の測定方法としては、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)など公知の測定技術を使用することが挙げられる。
本発明に使用されるヌートカトン、リナロールおよびバレンセンは、弁別閾値(Taste threshold)前後の量で効果を発揮することから、これら香気成分の特徴を強く感じさせることなく、培地臭低減とスッキリ感の付与を行える点で好ましい。
(3)水およびその他の成分
本発明の飲料は、上記必須成分の他に水を含み、さらに本発明の効果を損なわない範囲で、好ましくは規定された糖度、エネルギーなどの条件を満たす範囲で、必要に応じて他の成分(任意成分)を適宜含んでいてもよい。任意成分としては、例えば、茶葉およびその他の植物葉の抽出物、穀物抽出物、乳、乳蛋白質安定化剤、乳化剤、果汁、酸味料、甘味料(高甘味度甘味料を含む)や糖度調整剤等が挙げられる。
水は特に限定されず、例えば、イオン交換水を用いることができる。本発明の飲料における水の含有割合は、他の成分の含有量、特にヌートカトン、リナロールおよびバレンセンの濃度や、前述したような乳酸菌粉末の含有量、糖度及びエネルギーについての好ましい範囲などを考慮しながら、適宜調整することができる。
茶葉抽出物の原料は、チャノキ(Camellia sinensis)に由来するものであれば特に限定されず、発酵条件の違いによって発酵茶(紅茶)、半発酵茶(ウーロン茶)、不発酵茶(緑茶)などに分類される、香味品質の異なる多様な茶葉を用いることができる。
茶葉以外の植物葉の抽出物の原料としては、例えば、ビワ、クワ、コンブ、アマチャヅル、オオムギ、カワラケツメイ、センソウ(仙草)、グァバ、オリーブ、アシタバ(明日葉)、カキ、ササ(熊笹など)、クコ、ヨモギ、トチュウ(杜仲)、シソ、ドクダミ、オオバコ、ギムネマ、ルイボス、ツキミソウ、スイカズラ、ラフマ、ペパーミント、モロヘイヤ、イチョウ、マツ、ハスなどの植物の葉(茎その他の部位を含んでいてもよい。)が挙げられる。
穀物抽出物の原料としては、例えば、オオムギ、ハトムギ、コムギなどの麦類、イネなどの米類、ダイズ(黒豆など)の豆類、アワ、キビ、トウモロコシなどの種子が挙げられ、これらは種皮や糠などが付いていても、発芽した状態であっても(例えば麦芽、玄米、発芽玄米であっても)よい。
本発明の飲料を茶飲料として製造する場合は、上記の茶葉の抽出物のみを用いてもよいし、必要に応じてその他の植物葉の抽出物および/または穀物抽出物とブレンドした茶葉の抽出物を用いてもよい(これらの抽出物を茶葉等抽出物とよぶ)。茶葉、植物葉および穀物の抽出原料(植物種)は、それぞれ、いずれか1種であってもよいし、2種以上であってもよい。各原料からの抽出物は、当技術分野における一般的な手法にしたがって調製することができ、通常は水を溶媒とする抽出液として調製される。
乳は、動物又は植物由来のいずれの乳であってもよい。例えば、牛乳、山羊乳、羊乳、馬乳等の獣乳、豆乳等の植物乳を用いることができ、牛乳が一般的である。これらの乳は、単独又は2種類以上の混合物として用いることができる。また、これらの乳を、乳酸菌やビフィズス菌等の微生物を用いて発酵させた発酵乳として用いることもできる。乳の形態は特に限定されず、例えば、全脂乳、脱脂乳、乳清、乳蛋白濃縮物が挙げられ、また、粉乳や濃縮乳から還元した乳も使用できる。
乳蛋白質安定剤としては、代表的には大豆多糖類が挙げられる。大豆多糖類は、通常、大豆製品の製造工程において副生するオカラ(繊維状の絞りかす)から抽出精製された多糖類であって、含有されるガラクツロン酸のカルボキシル基に由来して酸性下マイナスに帯電しているものが使用できる。市販品としては、例えば、商品名「SM-1200」(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)が挙げられる。
本発明の飲料における大豆多糖類の含有割合は、乳の含有割合等に応じて適宜調節することができるが、好ましくは、飲料全量中0.01〜0.5質量%である。
乳蛋白質安定化剤としては、大豆多糖類以外のもの、例えば、HMペクチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ジェランガム、グアーガム、キサンタンガム、アラビアガムも挙げられる。これらの乳蛋白質安定化剤の含有割合は少ない方が好ましく、飲料中に含有させないことがより好ましい。
酸味料としては、例えば、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、フィチン酸、グルコン酸、コハク酸、フマール酸等の有機酸又はその塩(ナトリウム塩等)、リン酸等の無機酸又はその塩が挙げられる。
果汁としては、例えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツ等の柑橘系の果汁や、ブドウ、モモ、リンゴ、バナナ等の果汁が挙げられる。
乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチン等が挙げられる。
本発明の、pHが4.6を超える飲料は、例えば、ミネラルウォーター、ニアウォーター、茶飲料として製造することができる。pHの下限は、ミネラルウォーター、ニアウォーター等については好ましくは5.0であり、茶飲料等についても好ましくは5.0である。pHの上限は、ミネラルウォーター、ニアウォーター等については好ましくは9.5、より好ましくは8.0、さらに好ましくは7.0であり、茶飲料等については好ましくは7.0である。pHが9.5を超える場合は、スッキリ感が損なわれる可能性がある。
高甘味度甘味料としては、例えば、スクラロース、ステビア、アセスルファムカリウム、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、グリチルリチン、グリチルリチン酸ジカリウム、ソーマチン、ネオテームが挙げられるが、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテームが好ましく、アセスルファムカリウム、アスパルテームが特に好ましい。
甘味料や糖度調整剤としては、例えば、ショ糖、麦芽糖、果糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、オリゴ糖等の糖類や、エリスリトール、マルチトール、キシリトール等の糖アルコール、難消化性デキストリン、寒天等の食物繊維などが挙げられる。上記甘味料や糖度調整剤は、風味改善等に係る本発明の作用効果が奏される範囲で、ないし本発明の作用効果に悪影響を及ぼさない範囲で、また好ましくは後述する糖度およびエネルギーの条件を満たす範囲で、高甘味度甘味料と併用して、飲料中に含有させることができる。なお、高甘味度甘味料の全部または大部分の代替として上記甘味料を用いる場合、本発明で必須とする所定量のリナロール、ヌートカトンまたはバレンセンを用いなくても、培地臭を低減することができる。そのため本発明の風味改善に係る作用効果は、上記甘味料(糖度調整剤)を含まず高甘味度甘味料のみを含む飲料、または上述したような適切ないし好ましい実施形態で上記甘味料と高甘味度甘味料とを含む飲料において奏される。
[B]糖度
本発明の飲料の糖度(ブリックス値、単位Bx)は、通常0.1〜7.0であり、その上限は好ましくは6.0であり、より好ましくは5.0である。糖度が7.0を下回り、ヌートカトン、リナロールおよびバレンセンが存在しない場合には、乳酸菌粉末に由来する培地臭を特に感じやすい。
本発明において糖度とは、20℃における糖用屈折計の示度であり、例えば、デジタル屈折計Rx-5000(アタゴ社製)を使用して20℃で測定した本発明の飲料における可溶性固形分量を意味する。
[C]エネルギー
本発明の飲料は、低カロリー飲料とするために、各原材料の種類及び含有量を調整し、そのエネルギーを制御することが好ましい。本発明の飲料のエネルギーは、20kcal/100ml以下、特に5kcal/100ml以下に制御することが好ましい。その下限値は特に限定されないが、通常、0.1kcal/100mlである。エネルギーが20kcal/100ml下回り、ヌートカトン、リナロールおよびバレンセンが存在しない場合には、乳酸菌粉末に由来する培地臭を特に感じやすい。
― 製造方法 ―
本発明の飲料の製造方法は、上述したような各種の性状を備える、乳酸菌粉末を含有する、pHが4.6を超える飲料を製造するための方法であって、ヌートカトン、リナロールおよびバレンセンからなる群より選ばれる少なくとも1種を、当該飲料(完成品)中の濃度がそれぞれ20000ppb未満、50000ppb未満または50000ppb未満となるよう、乳酸菌粉末と混合する工程(本明細書において「混合工程」と呼ぶ。)を含む。この製造方法は、通常はさらに、混合工程の前に、原材料としてそれぞれ所定量の、乳酸菌粉末と、ヌートカトン、リナロールおよびバレンセンからなる群より選ばれる少なくとも1種とを準備する工程(本明細書において「準備工程」と呼ぶ。)を含む。前述したような本発明の飲料に関する事項は、本発明の飲料の製造方法に適宜準用することができる。
混合工程では、当技術分野における一般的な手法にしたがって、準備されたそれぞれ所定量の原材料を、水または茶葉等抽出物に順次または同時に添加し、撹拌等により混合すればよい。乳酸菌粉末の調製方法は本明細書において前述した通りである。ヌートカトン、リナロールおよびバレンセンは、それぞれ製品として入手することができる。必要に応じて、ヌートカトンおよびリナロールは、「風味改善剤」のような形態(組成物)となるよう、混合工程の前にあらかじめ所定の割合で調合しておいてもよい。茶葉等抽出物は通常、当技術分野における一般的な手法にしたがって、好ましくはポリフェノールの含有量が前記所定の範囲の量となる条件で、混合工程の前にあらかじめ調製しておく。
本発明において、ヌートカトン、リナロールおよびバレンセンは、飲料中の濃度を本発明で規定する所定の範囲に調節するために、それぞれ精製物の形態で、または精製物同士の混合物(風味改善剤)の形態で、準備工程で用意し、混合工程で用いることが好ましい。
一方で、ヌートカトン、リナロールおよびバレンセンは、例えばオレンジ、レモン、グレープフルーツ等の柑橘系の果汁(エッセンスオイル、水溶性エッセンス)に比較的豊富に含まれており、その他の果汁にも含まれていることがある。混合工程でそのような果汁を添加することで、必要であれば不足している量のヌートカトン、リナロールまたはバレンセンを追加することで、結果的にヌートカトン、リナロールまたはバレンセンが本発明で規定する所定の濃度で飲料中に存在するようになる実施形態も、本発明の飲料の製造方法に包含される。例えば、グレープフルーツ果汁には、ヌートカトンが5ppm程度、リナロールが1ppm程度、オレンジ果汁にはバレンセンが0.2ppm程度含まれていると推定され、その場合はグレープフルーツ果汁又はオレンジ果汁を飲料に1質量%添加することにより、本発明の飲料を調製することが可能である。
本発明の飲料の製造方法は、上記の工程のほかにさらに、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて他の工程を適宜含んでいてもよい。他の工程としては、例えば、殺菌処理、均質化処理、ろ過処理を行う工程が挙げられる。
殺菌処理は、例えば、65℃で10分間と同等以上の殺菌価を有する加熱殺菌により行うことができる。殺菌処理の方法は特に制限されず、通常のプレート式殺菌、チューブラー式殺菌、レトルト殺菌、バッチ殺菌、オートクレーブ殺菌等の方法を採用することができる。また、殺菌処理は、均質化処理の前後のいずれか、もしくは両方で行うか、または容器充填前後のいずれか、もしくは両方で行うことができる。
殺菌処理後の本発明の飲料を容器詰め飲料とする方法としては、例えば、容器に飲料をホットパック充填し、充填した容器を冷却する方法、又は容器充填に適した温度まで飲料を冷却して、予め洗浄殺菌した容器に無菌充填する方法により行うことができる。
― 風味改善方法 ―
本発明の風味改善方法は、乳酸菌粉末を含有する、pHが4.6を超える飲料において、20000ppb未満のヌートカトン、50000ppb未満のリナロール、および50000ppb未満のバレンセンからなる群より選ばれる少なくとも1種とを飲料内で共存させることを含む。本発明において「風味改善」とは、乳酸菌粉末と高甘味度甘味料とを含有する飲料と比較して、スッキリ感を維持しつつ、乳酸菌に由来する飲料の培地臭を低減することを指す。前述したような本発明の飲料に関する事項は、本発明の風味改善方法に適宜準用することができる。
[実験例1]香気成分の検討
表1に示す組成を有する、乳酸菌粉末を配合した殺菌済みの水を常法に従って調製した。このベース飲料に、ヌートカトン、リナロール、バレンセンなどの表2に示す香気成分を添加し、試験飲料を調製した。この試験飲料を対象として、「培地臭」「スッキリ感」などの官能項目について、専門の訓練を受けた5名のパネルによる香味評価を実施した(評価値は5名のパネルの平均値である)。性状として記載したpHは常法に従って求めた値(20℃での測定値)である。
Figure 0006951960
実験例1の結果を表2に示す。ヌートカトン、リナロールおよびバレンセンはそれぞれ、スッキリ感や後味の良さを有しつつ、乳酸菌由来の培地臭をある程度低減することができるが、ヌートカトンとリナロールを組み合わせるとそれらの効果が増強され、よりスッキリ感を維持し、後味を良くし、かつ乳酸菌由来の培地臭をより抑制できることが分かる。
Figure 0006951960
[実験例2]ヌートカトンおよびリナロールの組み合わせにおける最適濃度の検討
表3に示す組成を有する、乳酸菌粉末を配合した殺菌済みの水を常法に従って調製した。このベース飲料に、ヌートカトンおよびリナロールの質量比を表4に示すように変化させた香気成分を添加し、試験飲料を調製した後、実験例1と同様にして香味評価の官能検査を行った。
Figure 0006951960
実験例2の結果を表4にあわせて示す。乳酸菌由来の培地臭を抑制する観点から、ヌートカトンの濃度が1000〜10000ppb、かつリナロールの濃度が1〜10000ppbの範囲で効果があり、またヌートカトン/リナロールの質量比は1〜1000の範囲が好ましいことが分かる。
Figure 0006951960
[実験例3]茶飲料における検討
表5に示す組成を有する、乳酸菌粉末を配合した紅茶(抽出紅茶液)を常法に従って調製した。このベース飲料に、ヌートカトンおよびリナロールの質量比を表6に示すように変化させた香気成分を添加し、試験飲料を調製した後、実験例1と同様にして香味評価の官能検査を行った。
Figure 0006951960
実験例3の結果を表6にあわせて示す。茶飲料に対しても、適量のヌートカトンおよびリナロールを用いれば、乳酸菌由来の培地臭を抑制することができることが分かる。
Figure 0006951960
[実験例4]水における単品成分の効果の確認
表7に示す組成を有する、乳酸菌粉末を配合した殺菌済みの水を常法に従って調製した。このベース飲料に、表8に示すように、ヌートカトン、リナロールまたはバレンセンを所定の濃度となるよう添加し、試験飲料を調製した。この試験飲料を対象として、「培地臭」「スッキリ感」、「後味の良さ」および「全体の風味」について、専門の訓練を受けた5名のパネルによる香味評価を実施した(評価値は5名のパネルの平均値である)。性状として記載したpHは常法に従って求めた値(20℃での測定値)である。
Figure 0006951960
実験例4の結果を表8に示す。ヌートカトン、リナロールまたはバレンセンを、スッキリ感や後味の良さを有しつつ、乳酸菌由来の培地臭を低減させるためには、それぞれ表8に示す範囲の濃度で用いることが好ましいことが分かる。
Figure 0006951960

Claims (15)

  1. 乳酸菌粉末と、
    20000ppb未満のヌートカトン、50000ppb未満のリナロール、および50000ppb未満のバレンセンからなる群より選ばれる少なくとも1種と
    を含有する、pHが4.6を超える飲料。
  2. 10〜10000ppbの前記ヌートカトンを含有する、請求項1に記載の飲料。
  3. 1〜10000ppbの前記リナロールを含有する、請求項1または2に記載の飲料。
  4. 1〜10000ppbの前記バレンセンを含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲料。
  5. 前記ヌートカトン、前記リナロールおよび前記バレンセンからなる群より選ばれる2種以上を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の飲料。
  6. 前記ヌートカトンおよび前記リナロールを含有する、請求項5に記載の飲料。
  7. 1000〜10000ppbのヌートカトンおよび1〜10000ppbのリナロールを含有し、かつそれらの質量比が、ヌートカトン/リナロール=1〜1000である、請求項6に記載の飲料。
  8. 前記乳酸菌が、乳を含まない培地で培養されたものである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の飲料。
  9. 前記乳酸菌粉末を、0.005質量%以上0.5質量%以下含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の飲料。
  10. 前記乳酸菌が、細胞構造が破壊されているものである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の飲料。
  11. 糖度が0.1〜7.0Bxである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の飲料。
  12. エネルギーが20kcal/100ml以下である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の飲料。
  13. 前記飲料が、ミネラルウォーター、ニアウォーター、または茶飲料である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の飲料。
  14. 乳酸菌粉末を含有する、pHが4.6を超える飲料の製造方法において、ヌートカトン、リナロールおよびバレンセンからなる群より選ばれる少なくとも1種を、当該飲料中の濃度がそれぞれ20000ppb未満、50000ppb未満または50000ppb未満となるよう、乳酸菌粉末と混合する工程を含む、乳酸菌粉末を含有する飲料の製造方法。
  15. 乳酸菌粉末を含有する、pHが4.6を超える飲料において、20000ppb未満のヌートカトン、50000ppb未満のリナロール、および50000ppb未満のバレンセンからなる群より選ばれる少なくとも1種を共存させる、乳酸菌粉末を含有する飲料の風味改善方法。
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