JP2020065448A - 発酵コーヒーエキスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コーヒーエキスを乳酸菌で乳酸発酵させることによって、新たな特有の酸味、コク味・濃厚感、及び/又は香りの広がり強度を付与した発酵コーヒーエキスの製造方法を提供する。【解決手段】発酵コーヒーエキスの製造方法であって、コーヒーエキスのpHを5.5〜8.0に調整するpH調整工程と、pHを調整した前記コーヒーエキスを植物性乳酸菌で乳酸発酵する発酵工程と、を含む発酵コーヒーエキスの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、発酵コーヒーエキスの製造方法に関する。詳しくは、コーヒーエキスを乳酸菌で乳酸発酵させることによって、新たな特有の酸味、コク味・濃厚感、及び/又は香りの広がり強度を付与した発酵コーヒーエキスの製造方法に関する。
乳酸菌は、昔から味噌、醤油、漬物、ヨーグルト、チーズなど、様々な発酵食品の製造に用いられており、我々にとって非常に馴染みの深い微生物である。それらの発酵食品の製造においては、乳酸菌によって糖質が分解されて乳酸が生成されるが(乳酸発酵)、その際、有機酸(酢酸、クエン酸等)、アミノ酸、におい成分等も併せて生成される。すなわち、乳酸菌の働きによって元の食材にはない全く新しい独特の風味が作りだされ、その結果、それぞれの発酵食品を特徴付ける特有の風味が形成される。
また、食品の風味の面だけでなく、乳酸菌は、乳酸の生成によりpHを低下させることにより、食中毒細菌の生育を阻止して腐敗を防止する働きもある。すなわち、食品の保存性や安全性を高めるという面でも重要な役割も果たしている。一般に食中毒細菌の多くは、pHが5以下であれば生育しないか、生育してもその増殖速度は非常に遅く、通常pHが4以下では病原細菌の生育は起こらない。
加えて、乳酸菌は、プロバイオティクス(ヒトに有益な効果をもたらす生きた微生物)として近年、健康面でも注目を集めており、腸内細菌の正常化、アレルギー症状の緩和、ストレス軽減、免疫力強化、花粉症予防、肌荒れ改善といった健康効果など、生体にとって多岐にわたる有用な効能を有することが明らかにされている。
乳酸菌の健康面での効能が注目を集めているのは、近年、食生活の欧米化などに伴い、生活習慣病の増加が懸念されているということが背景にある。生活習慣病は、健康長寿の最大の阻害要因となるだけでなく、国民医療費にも大きな影響を与えることになるため、社会全体で「健康な食事」を実現し、生活習慣病の発症予防と重症化予防を徹底して行い、健康寿命の延伸を実現していくことが望まれている。このような背景から、人々の食生活に対する関心は非常に高まっており、健康志向の高まりを反映するかのように、発酵乳やヨーグルト等の消費が年々伸びており、乳酸菌を含む発酵乳製品の市場が拡大している。また、最近では、乳酸菌を含む発酵製品の品目も増加して多様化してきており、乳酸菌は従来の伝統的な発酵製品以外の新たな製品分野にも裾野を広げようとしている。
こうした流れを受けて、最もポピュラーな嗜好飲料であるコーヒーについて、これに発酵処理を施すことにより、発酵によって生成する特有の風味と、健康維持に役立つ様々な効能とをコーヒーに付与する試みがなされている。その具体例としては、例えば、コーヒー生豆に、ワイン発酵用酵母で醗酵処理した発酵コーヒー豆を混合して接触させる工程、得られた混合生豆を密閉容器内で6時間以上保持する工程、及び保持後の生豆を混合焙煎する工程、を含むコーヒー生豆の焙煎方法(特許文献1)、資化成分と微生物との接触に基づく発酵処理を行うと共にその発酵処理により生じる発酵成分をコーヒー生豆に付与させる発酵工程を包含するコーヒー生豆の処理方法であって、 前記発酵工程において、前記微生物として少なくとも乳酸菌を含む2種類以上の微生物を共存させて発酵処理するコーヒー生豆の処理方法(特許文献2)、コーヒー生豆を水蒸気殺菌処理し、次に少量の発酵液(生豆の1/10から数倍量の液量)を用いて乳酸発酵又は酵母発酵を行って発酵処理コーヒー生豆を得、その後に通常の方法で焙煎する発酵コーヒーの製造方法(特許文献3)、コーヒー抽出液と糖類とを混合して糖度を6〜15%にした後、これに酵母を植菌して発酵する発酵コーヒー飲料の製法(特許文献4)が提案されている。
特許第5649833号公報 特開2007−140号公報 特開2010−207216号公報 特開平4―278072号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載された発明は、いずれも乳酸発酵の処理を施したコーヒー生豆を得ることを目的とするものである。
それに対し、コーヒーエキスを乳酸菌で乳酸発酵させることによって新たな特有の風味を付与したコーヒーエキスに関する発明については未だ報告されていない。その理由としては、コーヒーエキスには、乳酸菌の増殖に必要な単糖、二糖が少なく、コーヒーエキスのみでは発酵が進まないこと、グルコースを添加しても発酵が進まないこと、乳酸菌の生育阻害の一因であるポリフェノール類が多く含まれていること、糖の添加量によってはアルコール濃度が1%以上生成されること等が考えられる。
乳酸発酵の処理を施したコーヒー生豆、例えば、特許文献1〜3に記載された発明によって得られたコーヒー生豆でコーヒー製品を得るには、該コーヒー生豆を焙煎、粉砕、抽出等の多数の処理を行う必要があるが、それらの処理を行う過程において、風味が当初のものとは異なるものに変化するおそれがある。これに対し、乳酸菌でコーヒーエキスを乳酸発酵させた発酵コーヒーエキスを製造することができれば、その後、コーヒー製品を得るために、コーヒー生豆のときのように焙煎、粉砕、抽出等の多数の処理を行う必要はなく、該コーヒーエキスをそのまま食品素材として用いてコーヒー加工品に添加するだけで最終コーヒー製品を製造することができるため、該コーヒーエキスの風味を維持したまま、しかも簡単にその風味を最終コーヒー製品に付与することが可能となる。
特許文献4に記載された発明は、コーヒーエキスを発酵させることを含む発明ではあるものの、乳酸発酵ではなく、酵母発酵を行うものである。乳酸発酵については全く記載されていない。
そこで、本発明は、コーヒーエキスを乳酸菌で乳酸発酵させることによって、新たな特有の酸味、コク味・濃厚感、及び/又は香りの広がり強度を付与した発酵コーヒーエキスの製造方法を提供することを目的とする。
かくして、本発明は、以下のものを提供する。
[1]発酵コーヒーエキスの製造方法であって、コーヒーエキスのpHを5.5〜8.0に調整するpH調整工程と、pHを調整した前記コーヒーエキスを植物性乳酸菌で乳酸発酵する発酵工程と、を含むことを特徴とする、発酵コーヒーエキスの製造方法。
[2]前記乳酸菌が、ラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチラス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、及びペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)から選択される少なくとも1種である、前記[1]に記載の製造方法。
[3]前記発酵工程の前又は前記発酵工程と同時に、前記コーヒーエキスにヘミセルラーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、又はマンナナーゼを添加して処理する酵素処理工程を含む、前記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]前記発酵工程の前に、前記コーヒーエキスにグルコース及び酵母エキスを添加するグルコース・酵母エキス添加工程を含む、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記酵母エキスが、アサヒグループホールディングス株式会社製の商品名MEAST S ASAHIBEERである、前記[4]に記載の製造方法。
[6]前記発酵工程の前に、前記コーヒーエキスを、Bx1.0〜20.0°に調整する糖度調整工程を含む、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]前記pH調整工程において、前記コーヒーエキスに重曹又は苛性ソーダを加えることによりpHを調整する、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法により得られた発酵コーヒーエキスを含むことを特徴とする飲食品。
本発明の製造方法によれば、乳酸発酵によって生成した新たな特有の酸味、コク味・濃厚感、及び/又は香りの広がり強度を付与した発酵コーヒーエキスを得ることができる。また、該発酵コーヒーエキスを含む本発明の飲食品は、乳酸発酵によって生じる新たな特有の風味を有することに加えて、乳酸菌とその産生物質を含むことによる腸内細菌の正常化、アレルギー症状の緩和、ストレス軽減、免疫力強化、花粉症予防、肌荒れ改善といった健康効果も期待できる。
[pH調整工程]
pH調整工程においては、乳酸発酵の対象となる、原料のコーヒーエキスのpHを5.5〜8.0、好ましくは5.5〜7.5、より好ましくは6.0〜7.0となるように調整する。通常の方法で得られたコーヒーエキスのpHは元々4.7〜5.0程度の範囲にあるが、この範囲のままでは乳酸発酵が行われない。乳酸菌をよく生育させるにはpHが重要であり、乳酸発酵を効率よく行うためには、pHを上記範囲に調整する必要がある。pHの値が5.5より小さく、又は8.0より大きいと、乳酸菌がほとんど又は全く生育できず、乳酸発酵が実質的に行われない。
pH調整工程において、前記コーヒーエキスのpHを前記範囲に調整するには、食品に一般に用いられるpH調整剤である重曹、苛性ソーダ、酢酸ナトリウム、炭酸カリウム、クエン酸三ナトリウム、グルコン酸ナトリウム等をコーヒーエキスに加えることによって行うことができる。これらのpH調整剤のうち、特に重曹又は苛性ソーダを用いることが、得られる発酵コーヒーエキスの風味の観点から好ましい。
原料となるコーヒーエキスは、通常の方法にしたがって調製すればよい。例えば、コーヒー豆を焙煎、粉砕し、熱水を用いて抽出することによってコーヒーエキスを得ることができる。使用するコーヒー生豆は特に限定はなく、アラビカ種、リベリカ種、ロブスタ種等いずれでもよく、その種類、産地を問わずブラジル、コロンビア、インドネシア種等いずれの産地のコーヒー生豆も使用することができる。また、コーヒー生豆は、一種類の生豆を単独で使用しても、またブレンドした二種類以上の生豆を使用してもよい。これらの生豆をコーヒーロースターなどにより焙煎したものを原料とすることができるが、これらに限定されるものではない。
コーヒーの焙煎については、コーヒーロースター等を用いて常法により行うことができる。例えば、コーヒー生豆を回転ドラムの内部に投入し、この回転ドラムを回転攪拌しながら、下方からガスバーナー等で加熱することで焙煎できる。かかるコーヒー豆の焙煎の程度は、本発明においては、L値が16〜27、特に20〜24となるよう焙煎することが好ましい。L値が16よりも低いと、コーヒーエキス中に乳酸発酵を妨げる物質が多くなりすぎて好ましくない。また、L値が27よりも高いと、浅煎りすぎて、コーヒーエキス由来のロースト感と発酵で生成した酸味とのバランスが悪くなる。なお、L値はコーヒーの焙煎の程度を表す指標で、コーヒー焙煎豆の粉砕物の明度を色差計で測定した値である。コーヒー豆の焙煎が深いほど数値は低い値となり、浅いほど高い値となる。
焙煎コーヒー豆は引き続き粉砕を行うが、粉砕方法についても特に制限はなく、いかなる粉砕方法、粉砕粒度も採用することができ、粉砕装置も、特に限定されるものではない。
焙煎後、抽出までの時間は、焙煎直後〜30時間程度、好ましくは焙煎直後〜24時間程度を挙げることができる。焙煎から抽出までの時間は短いほどよく、30時間を越えると焙煎コーヒー豆の挽き立ての芳醇なコーヒーアロマは減少していくので好ましくない。
[発酵工程]
発酵工程は、前記pH調整工程でpHを調整したコーヒーエキスを植物性乳酸菌で乳酸発酵させる。乳酸発酵が進むにつれて、乳酸の生産によりpHは徐々に低下していくが、発酵コーヒーエキスのpHが4.5〜5.5、特に4.8〜5.0となるまで乳酸発酵を実施すると(その時点で乳酸発酵を終了すると)、程よい酸味の発酵コーヒーエキスが得られるため好ましい。
植物性乳酸菌とは、野菜や豆、米や麦などの植物素材を発酵させる乳酸菌をいう。本発明で使用する植物性乳酸菌としては、例えば、ラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチラス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・カルバータス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus delbr bulgaricus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reiteri)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)、ラクトバチルス・サリバリアス(Lactobacillus salivarius)、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)、ペディオコッカス・ダムノサス(Pediococcus damnosus)、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)、テトラジェノコッカス・ハロフィルス(Tetragencoccus halophilus)、リューコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・クレモリス(Lactococcus cremoris)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス・ラクティス(Streptococcus lactis)が例示される。これらは1種又は2種以上を用いることができる。植物性乳酸菌のうち、特にラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチラス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、及びペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)から選択される少なくとも1種を用いると、得られる発酵コーヒーエキスの風味が良好となるため好ましい。その中でもラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)は好ましい発酵感をもった風味が得られる。
発酵工程において、乳酸菌の使用量は限定されるものではなく、乳酸菌の種類等に応じて適宜決定することができる。例えば、ラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチラス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)から選択される少なくとも1種を用いる場合は、コーヒーエキス1ml当たり、1x10cfu/ml以上、好ましくは1x10cfu/ml以上の菌数となる条件で発酵工程を実施すると乳酸発酵を確実に進めることができる。
発酵温度については、乳酸菌の種類等に応じて適宜決定することができる。例えば、ラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチラス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)から選択される少なくとも1種を用いる場合は、発酵温度は25〜45℃、好ましくは30〜35℃とすることができる。
発酵時間についても、乳酸菌の種類等に応じて適宜決定することができる。例えば、ラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチラス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)から選択される少なくとも1種を用いる場合は、発酵時間は24〜48時間、好ましくは30〜44時間とすることができる。コーヒーエキスのpHを適宜測定して確認しながら、発酵時間を制御することができる。
[糖度調整工程]
本発明の製造方法は、前記発酵工程の前に、コーヒーエキスを、Bx1.0〜20.0°、好ましくはBx10.0〜20.0°、より好ましくはBx15.0〜20.0°に調整する糖度調整工程を含むことが好ましい。これにより、飲料への添加量を少量に抑えることが出来る。糖度調整する方法は、調製したコーヒーエキスのBrix値(Bx°)が上記範囲の上限値を超える場合は水で希釈すればよく、下限値よりも低い場合は、コーヒーエキスに糖類を添加して調整すればよい。該糖類としては、グルコース、果糖、乳糖、麦芽糖、ショ糖など、食品に用いられるものを適宜選択することができる。なお、Brix値は、糖用屈折計を利用して測定した値であり、20℃のショ糖水溶液の質量百分率に相当する値である。
[酵素処理工程]
本発明の製造方法は、コーヒーエキス中に含まれるセルロースやガラクトマンナン等の糖質を分解して、乳酸菌が代謝するグルコースを中心とした糖質を供給するための酵素処理工程を含めることが好ましい。酵素処理工程は、前記発酵工程の前又は前記発酵工程と同時に、コーヒーエキスにヘミセルラーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、又はマンナナーゼを添加して処理する工程である。酵素処理工程を実施することで、乳酸菌がよく生育して、乳酸発酵の進行が良好となる。
酵素処理工程は、前記発酵工程の前又は前記発酵工程と同時に実施することができるが、前記発酵工程と同時に実施する方が、製造時間の短縮、及びコーヒーエキスの風味劣化を少なくする点で好ましい。なお、前記発酵工程と同時に実施するとは、コーヒーエキスに対して前記乳酸菌による発酵と前記酵素による処理を同時に進行させることをいう。
ヘミセルラーゼは、ヘミセルロースを分解する酵素である。セルラーゼは、β−1,4−グルカン(例えば、セルロース)のグリコシド結合を加水分解する酵素である。アミラーゼは、デンプンやグリコーゲンのα−1,4−結合を不規則に切断する酵素である。マンナナーゼは、β−D−マンノシドの非還元末端からβ−D−マンノースを切り出す酵素である。これらの酵素としては市販品を使用することができる。例えば、ヘミセルラーゼとして、ヘミセルラーゼ「アマノ」90(天野エンザイム社製)、スクラーゼX(三菱ケミカル社製)、セルラーゼとして、セルラーゼY−NC(ヤクルト薬品工業社製)、セルラーゼ A「アマノ」3(天野エンザイム社製)、アミラーゼとして、アミラーゼS「アマノ」35G(天野エンザイム社製)、コクラーゼ(三菱ケミカルフーズ社製)、スミチームL(新日本化学工業社製)、マンナナーゼとして、スミチームACH(新日本化学工業社製)、マンナナーゼ BGM「アマノ」10(天野エンザイム社製)が挙げられる。
ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ又はマンナナーゼの添加量は、使用する酵素の種類によって適宜決定すればよいが、ヘミセルラーゼを使用する場合は、コーヒーエキス全量に対して、0.02〜0.5質量%、セルラーゼを使用する場合は、コーヒーエキス全量に対して、0.05〜0.5質量%、アミラーゼを使用する場合には、コーヒーエキス全量に対して、0.05〜0.5質量%、マンナナーゼを使用する場合は、コーヒーエキス全量に対して、0.02〜0.5質量%とすることができる。
ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、又はマンナナーゼによる処理時間、処理温度、及びpHは、使用する酵素の種類や添加量等に応じて適宜決定することができる。前記発酵工程と同時に実施する場合は、酵素処理と乳酸発酵が共に進行するのに適した温度、pHにする必要がある。
ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、又はマンナナーゼによるコーヒーエキスの処理後、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、又はマンナナーゼを失活させてもよい。失活させる方法としては、加熱して失活させる方法、塩濃度を調整して失活させる方法、pHを調整して失活させる方法等が挙げられるが、加熱して失活させる方法が簡便であるため好ましい。
[グルコース・酵母エキス添加工程]
本発明の製造方法は、コーヒーエキスにグルコース及び酵母エキスを添加するグルコース・酵母エキス添加工程を含めることが好ましい。グルコース・酵母エキス添加工程を前記発酵工程の前に実施することで、乳酸菌がよく生育して、乳酸発酵の進行が良好となる。
グルコース及び酵母エキスは、乳酸菌の生育の栄養源となる。酵母エキスは、酵母菌体から溶媒により抽出した抽出物であり、主成分としてアミノ酸や核酸関連物質、ミネラル、ビタミン類を含む。酵母エキスの原料となる酵母は、可食性の酵母であれば特に限定されるものではなく、食品分野において通常使用されている酵母、例えば、パン酵母、トルラ酵母、ビール酵母を用いることができる。酵母から酵母エキスを抽出する方法は特に制限されないが、例えば、自己消化法、酸分解法、酵素分解法等が挙げられる。また酵母エキスは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。本発明では、酵母エキスとして市販品を使用することができるが、中でも、アサヒグループホールディングス株式会社製の商品名MEAST S ASAHIBEERが好ましい。
グルコース及び酵母エキスを添加する場合において、グルコースの添加量は、コーヒーエキス全量に対して、0.5〜3.0質量%、好ましくは0.7〜1.0質量%とし、酵母エキスの添加量は、コーヒーエキス全量に対して、0.05〜0.5質量%、好ましくは0.1〜0.2質量%とすることができる。
[その他の工程]
本発明の製造方法は、前記工程に加えて、他の工程を適宜追加することができる。例えば、前記pH調整工程の終了後(前記発酵工程前)に殺菌工程、あるいは前記発酵工程・前記酵素処理工程の終了後に加熱失活、清澄化、殺菌、冷却、濃縮化、希釈化、噴霧乾燥等の各工程を含めることができる。
[飲食品]
本発明の製造方法により得られた発酵コーヒーエキスは、飲食品に添加して使用することができる。前記発酵コーヒーエキスは、飲食品に対して程よい酸味を付与する観点からは、その乳酸酸度は0.8〜2.2%の範囲が好ましく、さらには1.0〜1.5%の範囲が好ましい。なお、乳酸酸度の測定は、自動滴定装置COM―1600(平沼産業社製)を使用して行うことができ、その際、発酵コーヒーエキスサンプル1〜2gを秤量してイオン交換水40mlで希釈し、0.1N NaOHでpH8.0を終点に滴定して行う。
前記飲食品としては、缶コーヒー、チルドコーヒー、コーヒーリキュール、コーヒー牛乳、清涼飲料水、ドリンク、コーヒーケーキ、コーヒーパン、コーヒーアイス、コーヒーキャンディ、コーヒーキャラメル、コーヒーガム、コーヒーゼリー、コーヒー大福、コーヒーデザート、チョコレート、ビスケット、クッキー、ウエハース、グミ、クリーム、ソース、ドレッシング、レトルトカレー、機能性食品等が例示される。前記発酵コーヒーエキスの飲食品への添加量については、飲食品の種類や所望する風味等に応じて適宜決定すればよいが、一般には、飲食品全量に対してエキス質量換算で、0.1〜1.0質量%の範囲で添加して用いられる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
比較例1:コーヒーエキスの調製
コーヒー焙煎豆1kgをコーヒーミルにて粉砕し、1Lガラスカラム5本に充填した。該ガラスカラムに90〜95℃の熱水を全体として2.5kg送り込み、抽出を行った。Bx20°以上の液を順次抜き取り、Bx20°を下回った液は次のカラムへと送り、全体でBx20°となった時点で抽出を終了した。抽出したエキスは90℃達温殺菌後、30℃に冷却、メッシュろ過してコーヒーエキス1.14kgを得た(比較品1、Bx20.0°、pH4.70)。
比較例2:発酵コーヒーエキスの調製
比較例1のコーヒーエキス1kgにスミチームACH(新日本化学工業社製)10gと植物性乳酸菌としてラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)を1x10cfu/mlとなるように添加し、42時間静置した。85℃加温、15分保持した後、40℃に冷却、メッシュろ過し、発酵コーヒーエキスを得た(比較品2、Bx18.0°、pH4.71)。比較品2の乳酸酸度を自動滴定装置COM−1600(平沼産業社製)にて測定したところ、0.6%であった。上記乳酸菌の増殖は認められなかった。
実施例1:発酵コーヒーエキスの調製
比較例1のコーヒーエキス1kgに重曹を加えpH6.0とした。85℃達温後、10分保持し原料を殺菌した。30℃に冷却後、スミチームACH(新日本化学工業社製)10gと植物性乳酸菌としてラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)を1x10cfu/mlとなるように添加し、42時間静置発酵した。85℃加温、15分保持した後、40℃に冷却、メッシュろ過し、発酵コーヒーエキスを得た(本発明品1、Bx18.0°、pH4.81)。本発明品1の乳酸酸度を自動滴定装置COM−1600(平沼産業社製)にて測定したところ、1.4%であった。上記乳酸菌の生育は良好であった。
実施例2:発酵コーヒーエキスの調製
比較例1のコーヒーエキス1kgに重曹を加えpH7.0とした。85℃達温後、10分保持し原料を殺菌した。30℃に冷却後、スミチームACH(新日本化学工業社製)10gと植物性乳酸菌としてラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)を1x10cfu/mlとなるように添加し、42時間静置発酵した。85℃加温、15分保持した後、40℃に冷却、メッシュろ過し、発酵コーヒーエキスを得た(本発明品2、Bx18.0°、pH4.98)。本発明品2の乳酸酸度を自動滴定装置COM−1600(平沼産業社製)にて測定したところ、1.3%であった。上記乳酸菌の生育は良好であった。
実施例3:発酵コーヒーエキスの調製
比較例1のコーヒーエキス1kgに重曹を加えpH6.0とした。85℃達温後、10分保持し原料を殺菌した。30℃に冷却後、スミチームACH(新日本化学工業社製)10gと植物性乳酸菌としてラクトバチラス・ブレビス(Lactobacillus brevis)を1x10cfu/mlとなるように添加し、42時間静置発酵した。85℃加温、15分保持した後、40℃に冷却、メッシュろ過し、発酵コーヒーエキスを得た(本発明品3、Bx18.0°、pH4.83)。本発明品3の乳酸酸度を自動滴定装置COM−1600(平沼産業社製)にて測定したところ、1.5%であった。上記乳酸菌の生育は良好であった。
実施例4:発酵コーヒーエキスの調製
比較例1のコーヒーエキス1kgに重曹を加えpH6.0とした。85℃達温後、10分保持し原料を殺菌した。30℃に冷却後、スミチームACH(新日本化学工業社製)10gと植物性乳酸菌としてペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)を1x10cfu/mlとなるように添加し、42時間静置した。85℃加温、15分保持した後、40℃に冷却、メッシュろ過し、発酵コーヒーエキスを得た(本発明品4、Bx18.0°、pH4.93)。本発明品4の乳酸酸度を自動滴定装置COM−1600(平沼産業社製)にて測定したところ、1.4%であった。上記乳酸菌の生育は良好であった。
実施例5:発酵コーヒーエキスの調製
比較例1のコーヒーエキス1kgに重曹を加えpH6.0とした。85℃達温後、10分保持し原料を殺菌した。30℃に冷却後、スミチームACH(新日本化学工業社製)10gと植物性乳酸菌としてラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)及びペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)をそれぞれ5x10cfu/ml、5x10cfu/mlとなるように添加し、42時間静置した。85℃加温、15分保持した後、40℃に冷却、メッシュろ過し、発酵コーヒーエキスを得た(本発明品5、Bx18.0°、pH4.90)。本発明品5の乳酸酸度を自動滴定装置COM−1600(平沼産業社製)にて測定したところ、1.3%であった。上記乳酸菌の生育は良好であった。
[官能評価]
比較品1、2及び本発明品1〜5をBx1°に希釈し、熟練したパネル7名で官能評価した。官能評価は比較品1を比較対象として、「甘味」、「酸味」、「苦味」、「コク味と濃厚感」、「香りの広がり強度」の各項目に対して以下の指標で表した(−:明確に感じられない、+/−:明確な差が感じられない、+:明確に感じられる、++:強く感じられる)。表1に官能評価の結果を示す。表1から分かるように、本発明品1〜5は、甘味、酸味、コク味と濃厚感、及び香りの広がり強度の付与が認められた。特に本発明品1、2及び5は乳酸発酵により、程良い酸味、コク味と濃厚感、及び香りの広がり強度が付与されることが示された。
Figure 2020065448
比較例3:発酵コーヒーエキスの調製
比較例1のコーヒーエキス1kgに重曹を加えpH6.0とした。これに酵母エキス(MEAST S ASAHIBEER、アサヒグループホールディングス社製、商品名)0.1質量%を添加し、85℃達温後、10分保持し原料を殺菌した。30℃に冷却後、植物性乳酸菌としてラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)を1x10cfu/mlとなるように添加し、42時間静置した。85℃加温、15分保持した後、40℃に冷却、メッシュろ過し、発酵コーヒーエキスを得た(比較品3、Bx18.0°、pH5.81)。上記乳酸菌の増殖は認められなかった。
比較例4:発酵コーヒーエキスの調製
比較例1のコーヒーエキス1kgに重曹を加えpH6.0とした。これに酵母エキス(MEAST S ASAHIBEER、アサヒグループホールディングス社製、商品名)0.1質量%、グルコース0.5質量%を添加し、85℃達温後、10分保持し原料を殺菌した。30℃に冷却後、植物性乳酸菌としてラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)を1x10cfu/mlとなるように添加し、42時間静置した。85℃加温、15分保持した後、40℃に冷却、メッシュろ過し、発酵コーヒーエキスを得た(比較品4、Bx18.0°、pH5.30)。上記乳酸菌の増殖はほとんど認められなかった。
比較例5:発酵コーヒーエキスの調製
比較例1のコーヒーエキス1kgに重曹を加えpH6.0とした。これにグルコース0.7質量%を添加し、85℃達温後、10分保持し原料を殺菌した。30℃に冷却後、植物性乳酸菌としてラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)を1x10cfu/mlとなるように添加し、42時間静置した。85℃加温、15分保持した後、40℃に冷却、メッシュろ過し、発酵コーヒーエキスを得た(比較品5、Bx18.0°、pH5.86)。上記乳酸菌の増殖は認められなかった。
比較例6:発酵コーヒーエキスの調製
比較例1のコーヒーエキス1kgに重曹を加えpH6.0とした。これに酵母エキス(MEAST S ASAHIBEER、アサヒグループホールディングス社製、商品名)0.05質量%、グルコース0.7質量%を添加し、85℃達温後、10分保持し原料を殺菌した。30℃に冷却後、植物性乳酸菌としてラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)を1x10cfu/mlとなるように添加し、42時間静置した。85℃加温、15分保持した後、40℃に冷却、メッシュろ過し、発酵コーヒーエキスを得た(比較品6、Bx18.0°、pH5.58)。上記乳酸菌の増殖はほとんど認められなかった。
実施例6:発酵コーヒーエキスの調製
比較例1のコーヒーエキス1kgに重曹を加えpH6.0とした。これに酵母エキス(MEAST S ASAHIBEER、アサヒグループホールディングス社製、商品名)0.1質量%、グルコース0.7質量%を添加し、85℃達温後、10分保持し原料を殺菌した。30℃に冷却後、植物性乳酸菌としてラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)を1x10cfu/mlとなるように添加し、42時間静置した。85℃加温、15分保持した後、40℃に冷却、メッシュろ過し、発酵コーヒーエキスを得た(本発明品6、Bx18.0°、pH5.10)。上記乳酸菌の生育は良好であった。
実施例7:発酵コーヒーエキスの調製
比較例1のコーヒーエキス1kgに重曹を加えpH6.0とした。これに酵母エキス(MEAST S ASAHIBEER、アサヒグループホールディングス社製、商品名)0.1質量%、グルコース1.0質量%を添加し、85℃達温後、10分保持し原料を殺菌した。30℃に冷却後、植物性乳酸菌としてラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)を1x10cfu/mlとなるように添加し、42時間静置した。85℃加温、15分保持した後、40℃に冷却、メッシュろ過し、発酵コーヒーエキスを得た(本発明品7、Bx18.0°、pH5.00)。上記乳酸菌の生育は良好であった。
実施例8:発酵コーヒーエキスの調製
比較例1のコーヒーエキス1kgに重曹を加えpH6.0とした。これに酵母エキス(MEAST S ASAHIBEER、アサヒグループホールディングス社製、商品名)0.2質量%、グルコース0.7質量%を添加し、85℃達温後、10分保持し原料を殺菌した。30℃に冷却後、植物性乳酸菌としてラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)を1x10cfu/mlとなるように添加し、42時間静置した。85℃加温、15分保持した後、40℃に冷却、メッシュろ過し、発酵コーヒーエキスを得た(本発明品8、Bx18.0°、pH5.10)。上記乳酸菌の生育は良好であった。
[官能評価]
比較品3〜6及び本発明品6〜8をBx1°に希釈し、熟練したパネル7名で官能評価した。官能評価は実施例1のエキス(本発明品1)を比較対象として、
「甘味」、「酸味」、「苦味」、「コク味と濃厚感」、「香りの広がり強度」の各項目に対して以下の指標で表した(−:明確に感じられない、+/−:明確な差が感じられない、+:明確に感じられる、++:強く感じられる)。表2に官能評価の結果を示す。表2から分かるように、本発明品6〜8は、甘味、酸味、コク味と濃厚感、及び香りの広がり強度の付与が認められた。このことから、酵母エキスは0.1質量%以上、グルコース量は0.7質量%以上の添加で、本発明品1以上の風味が付与されることが示された。
Figure 2020065448
実施例9:発酵コーヒーエキスの調製
比較例1のコーヒーエキス1kgに苛性ソーダを加えpH6.0とした。85℃達温後、10分保持し原料を殺菌した。30℃に冷却後、スミチームACH(新日本化学工業社製)10gと植物性乳酸菌としてラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)を1x10cfu/mlとなるように添加し、42時間静置発酵した。85℃加温、15分保持した後、40℃に冷却、メッシュろ過し、発酵コーヒーエキスを得た(本発明品9、Bx18.0°、pH4.90)。
本発明品1及び9をBx1°に希釈して比較した。その結果、乳酸発酵前に添加するpH調整剤は、重曹と苛性ソーダとで得られるそれぞれの発酵コーヒーエキスの風味の間に差は見られなかった。

Claims (8)

  1. 発酵コーヒーエキスの製造方法であって、
    コーヒーエキスのpHを5.5〜8.0に調整するpH調整工程と、
    pHを調整した前記コーヒーエキスを植物性乳酸菌で乳酸発酵する発酵工程と、
    を含むことを特徴とする、発酵コーヒーエキスの製造方法。
  2. 前記乳酸菌が、ラクトバチラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチラス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、及びペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記発酵工程の前又は前記発酵工程と同時に、前記コーヒーエキスにヘミセルラーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ又はマンナナーゼを添加して処理する酵素処理工程を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記発酵工程の前に、前記コーヒーエキスにグルコース及び酵母エキスを添加するグルコース・酵母エキス添加工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記酵母エキスが、アサヒグループホールディングス株式会社製の商品名MEAST S ASAHIBEERである、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記発酵工程の前に、前記コーヒーエキスを、Bx1.0〜20.0°に調整する糖度調整工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記pH調整工程において、前記コーヒーエキスに重曹又は苛性ソーダを加えることによりpHを調整する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により得られた発酵コーヒーエキスを含むことを特徴とする飲食品。
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