JP6951581B2 - コネクタホルダ、端子挿入装置、およびワイヤハーネスの製造方法 - Google Patents

コネクタホルダ、端子挿入装置、およびワイヤハーネスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、コネクタを保持するコネクタホルダ、コネクタホルダを備えた端子挿入装置、および、コネクタホルダを用いたワイヤハーネスの製造方法に関する。
複数の電線が組み合わされてなるワイヤハーネスは、自動車などの電装品の配線としてよく利用されている。例えば、端部に端子が圧着された複数の電線と、それら複数の電線の端子が取り付けられたコネクタとを備えたワイヤハーネスが知られている。
上記のようなワイヤハーネスを製造する際に、端子をコネクタの端子孔に挿入する処理が行われる。その際に、コネクタを保持するコネクタホルダが用いられる(例えば、特許文献1参照)。コネクタホルダは、コネクタを着脱自在に保持するように構成されている。ワイヤハーネスを製造する際には、まず、複数の端子孔が形成されたコネクタをコネクタホルダに装着する。そして、電線を一本ずつ把持しながらコネクタに向けて移動させ、電線の先端に設けられた端子を端子孔に挿入していく。予め定められた数の電線の端子を挿入し終えると、コネクタをコネクタホルダから取り外す。
図15は、従来のコネクタホルダの一例を示す縦断面図である。コネクタホルダ230にはホルダ孔240が形成されており、このホルダ孔240にコネクタ200が挿入されている。コネクタ200には、端子250が挿入される複数の端子孔201が形成されている。コネクタ200の背面210は、コネクタホルダ230のホルダ孔240の奥側の面235に当接している。
特開2017−142893号公報
電線220を把持しながらコネクタ200の方に押し込むと、端子孔201に端子250を挿入することができる。この際、押し込み量が少ないと、図16に示すように、端子250は端子孔201に十分に挿入されず、取り付け不良が生じてしまう。一方、押し込み量が多いと、図17に示すように、電線220の一部225が曲がってしまい、電線220が座屈してしまう。その結果、電線220の品質が低下してしまう。
そこで、押し込み量を検出するセンサを設け、そのセンサの検出値に基づいて押し込み量を調整することが考えられる。しかし、そのようなセンサを設けることとすると、装置の構成が複雑化してしまう。また、コストアップの原因となる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、構成の複雑化およびコストアップを抑えつつ、電線の品質を低下させずに端子をコネクタに良好に挿入することを可能にするコネクタホルダ、端子挿入装置、および、ワイヤハーネスの製造方法を提供することである。
本発明に係るコネクタホルダは、コネクタが挿入される入口部と前記入口部よりも奥側に位置するコネクタ保持部とを含むホルダ孔が形成されたホルダ本体と、前記ホルダ本体に設けられ、前記コネクタが前記コネクタ保持部から前記ホルダ孔の奥側に移動すると前記コネクタに前記入口部側に向かう弾性力を付与する弾性体と、を備えている。
上記コネクタホルダによれば、ホルダ本体のホルダ孔に入口部からコネクタを挿入することにより、コネクタをホルダ孔のコネクタ保持部に保持することができる。そして、電線を把持しながらコネクタの方に押し込むことにより、電線の先端に設けられた端子をコネクタに挿入することができる。これにより、端子付き電線をコネクタに取り付けることができる。この際、電線の押し込み量が多くても、コネクタは端子に押されて、ホルダ孔のコネクタ保持部から奥側に移動する。よって、電線の長手方向に無理な圧縮力が加わることを防止することができ、電線の座屈を防止することができる。一方、コネクタがコネクタ保持部から奥側に移動すると、コネクタは弾性体により入口部側に向かう弾性力を受ける。そのため、コネクタが弾性力を受けるまで端子をコネクタに押し込むことによって、押し込み量不足を回避することができ、取り付け不良を防止することができる。上記コネクタホルダによれば、押し込み量を検出するセンサは不要である。したがって、構成の複雑化およびコストアップを抑えつつ、電線の品質を低下させずに端子をコネクタに良好に挿入することができる。
本発明の好ましい一態様によれば、前記ホルダ孔は、前記コネクタ保持部よりも奥側に位置する奥部を含んでいる。前記コネクタホルダは、前記ホルダ孔の前記奥部に配置され、前記ホルダ孔の前記入口部側に位置する表面と、前記弾性体側に位置する裏面とを有するピストンを備えている。前記ホルダ孔の前記コネクタ保持部と前記奥部との間に、前記ピストンの前記表面と当接することにより前記ピストンが前記入口部側へ移動することを規制するストッパ部が設けられている。
上記態様によれば、ピストンは弾性体からホルダ孔の入口部側に向かう弾性力を受けているが、ピストンの表面がストッパ部に当接すると、ピストンの入口部側への移動は規制される。そのため、コネクタは、コネクタ保持部に保持されているときには、弾性体の弾性力を受けない。よって、コネクタをコネクタ保持部に保持することができる。一方、コネクタが端子に押されてホルダ孔の奥部の方に移動すると、ピストンはコネクタに押されて奥部の方に移動する。すると、ピストンに押されて弾性体が縮むことにより、弾性体はピストンを介してコネクタに入口部側に向かう弾性力を付与する。このように、上記態様によれば、コネクタの奥部側への移動を許容しつつ、コネクタ保持部よりも入口部側への移動を規制することができ、コネクタをコネクタ保持部において良好に保持することができる。
本発明の好ましい一態様によれば、前記コネクタホルダは、前記ピストンに取り付けられ、前記コネクタに前記ホルダ孔の前記入口部側に向かう弾性力を付与する補助弾性体を備えている。前記補助弾性体の弾性力は、前記弾性体の弾性力よりも小さく設定されている。
上記態様によれば、ホルダ孔からコネクタを引き抜く際に、補助弾性体がコネクタをホルダ孔の入口部側に押すので、より小さな力でコネクタを引き抜くことができる。よって、コネクタホルダからコネクタを取り出す作業が容易となる。なお、補助弾性体の弾性力は弾性体の弾性力よりも小さく設定されているので、弾性体の前述の機能を損なうことはない。
本発明の好ましい一態様によれば、前記弾性体は、前記ホルダ孔の前記奥部に配置されたコイルバネである。
上記態様によれば、弾性体として安価かつ簡単なコイルバネを用いるので、更なる構成の簡単化および低コスト化が可能となる。
本発明に係る端子挿入装置は、前記コネクタホルダと、先端に端子が設けられた電線を把持するクランプと、前記コネクタホルダの前記ホルダ孔に挿入されたコネクタに前記端子を挿入するように、前記クランプを少なくとも前記電線の長手方向に移動させる駆動装置と、を備えている。
上記端子挿入装置によれば、駆動装置がクランプを電線の長手方向に移動させることにより、電線の先端に設けられた端子をコネクタに自動的に挿入することができる。ところで、電線および端子には個体差があるため、クランプが電線を把持して端子をコネクタに挿入するときの押し込み量には、ばらつきが生じる。人が電線を把持して端子をコネクタに挿入する場合には、人の微妙な感覚により押し込み量を微調整することができ、上記ばらつきを吸収することができる。ところが、駆動装置により駆動されるクランプでは、そのような押し込み量の微調整は難しい。しかし、上記端子挿入装置によれば、前述のコネクタホルダを備えているので、前記弾性体によって押し込み量のばらつきを吸収することができる。したがって、コネクタに対する端子の挿入を自動化した場合であっても、電線の品質を低下させずに端子をコネクタに良好に挿入することができる。
本発明に係るワイヤハーネスの製造方法は、前記コネクタホルダを準備する工程と、前記コネクタホルダの前記ホルダ孔に、端子孔が形成されたコネクタを挿入する工程と、先端に端子が設けられた電線を把持する工程と、前記電線の長手方向に沿って前記電線を移動させることにより、前記コネクタの前記端子孔に前記端子を挿入する工程と、前記コネクタホルダから前記コネクタを引き抜く工程と、を包含している。
上記製造方法により、製造装置の構成の複雑化およびコストアップを抑えつつ、品質の高いワイヤハーネスを良好に製造することができる。
本発明によれば、構成の複雑化およびコストアップを抑えつつ、電線の品質を低下させずに端子をコネクタに良好に挿入することを可能にするコネクタホルダ、端子挿入装置、および、ワイヤハーネスの製造方法を提供することができる。
図1は、実施形態に係る端子挿入装置の主要部の斜視図である。 図2は、端子姿勢矯正具の斜視図である、 図3は、端子挿入装置の制御系のブロック図である。 図4は、コネクタホルダの縦断面図である。 図5は、ワイヤハーネスの製造方法に関するフローチャートである。 図6は、コネクタホルダおよびコネクタの斜視図であり、コネクタをコネクタホルダに装着するときの様子を表している。 図7は、コネクタホルダおよびコネクタの斜視図であり、コネクタがコネクタホルダに装着されている状態を表している。 図8は、コネクタホルダおよびコネクタの縦断面図であり、端子がコネクタの端子孔に挿入される前の状態を表している。 図9は、コネクタホルダおよびコネクタの縦断面図であり、端子がコネクタの端子孔に挿入された状態を表している。 図10は、コネクタホルダおよびコネクタの斜視図であり、端子がコネクタの端子孔に挿入される前の状態を表している。 図11は、コネクタホルダおよびコネクタの斜視図であり、端子がコネクタの端子孔に挿入された状態を表している。 図12は、コネクタホルダおよびコネクタの縦断面図であり、移動クランプによる電線の把持が解除された後の状態を表している。 図13は、コネクタホルダおよびコネクタの縦断面図であり、コネクタがコネクタホルダから引き抜かれるときの様子を表している。 図14は、他の実施形態に係るコネクタホルダおよびコネクタの縦断面図である。 図15は、従来のコネクタホルダおよびコネクタの縦断面図であり、端子がコネクタの端子孔に挿入された状態を表している。 図16は、従来のコネクタホルダおよびコネクタの縦断面図であり、端子がコネクタの端子孔に十分に挿入されていない場合を表している。 図17は、従来のコネクタホルダおよびコネクタの縦断面図であり、電線の一部が座屈している場合を表している。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。図1は、端子挿入装置2の主要部の構成を表す斜視図である。端子挿入装置2は、ワイヤハーネスを製造する電線処理装置に組み込まれている。端子挿入装置2は、電線11の先端に端子12が圧着されてなる端子付き電線10の端子12を、コネクタ20の端子孔21に挿入する装置である。複数本の端子付き電線10の端子12がコネクタ20に装着されることにより、ワイヤハーネスが製造される。
以下の説明では特に断らない限り、図1の端子付き電線10の先端側、根元側を、それぞれ前側、後側とする。左側、右側、上側、下側とは、後側から前側を見たときの左側、右側、上側、下側をそれぞれ意味するものとする。図中のX,Y,Zは、右方、前方、上方をそれぞれ表す。
端子挿入装置2は、端子姿勢矯正具30と、位置決めクランプ41と、移動クランプ42と、移動クランプ42を駆動する駆動装置45と、第1通過センサ51と、第2通過センサ52と、コネクタ20を保持するコネクタホルダ60と、を備えている。
端子姿勢矯正具30は、端子付き電線10の端子12が押し当てられることによって、端子12の姿勢を矯正する器具である。図2は、端子姿勢矯正具30の斜視図である。端子姿勢矯正具30は、絶縁体からなる台33と、台33の上に配置された第1電極31および第2電極32とを備えている。第1電極31には第1矯正面31Aが形成され、第2電極32には第2矯正面32Aが形成されている。第1矯正面31Aおよび第2矯正面32Aは、それぞれ下側から上側に向かって真っ直ぐな鉛直面となっている。第1矯正面31Aと第2矯正面32Aとは、いわゆるテーパー面となっており、前方に行くほど互いに近づくように前後方向から傾いている。電線11を端子姿勢矯正具30に向けて前方に移動させると、端子12は第1矯正面31Aおよび第2矯正面32Aに押し当てられ、第1矯正面31Aおよび第2矯正面32Aに沿った姿勢(すなわち、上下方向に関して真っ直ぐな姿勢)に矯正される。
端子12は金属などの導電体により構成されている。図示は省略するが、第1電極31および第2電極32には、電源と通電を検出する通電センサ38(図3参照)とを有する通電検出回路が接続されている。端子付き電線10の端子12が第1電極31および第2電極32に押し当てられると、第1電極31と第2電極32とは端子12を介して接続されるので、通電検出回路に電流が流れる。通電センサ38は、その電流を検知することにより、端子12が第1矯正面31Aおよび第2矯正面32Aに押し当てられて姿勢が矯正されたことを検出する。
図1に示すように、位置決めクランプ41は、左右にスライド可能な左右一対のクランプ爪41L,41Rと、それらクランプ爪41L,41Rを互いに接近または離反させるアクチュエータ71(図3参照)とを備えている。位置決めクランプ41は、移動クランプ42が電線11を把持する前に電線11の位置を整えるものである。位置決めクランプ41が電線11を把持することにより、電線11は所定の中心線上に位置付けられる。位置決めクランプ41は、クランプ爪41L,41Rを互いに接近させることにより、これらクランプ爪41L,41Rによって電線11を把持し、クランプ爪41L,41Rを互いに離反させることにより、電線11の把持を解除するように構成されている。なお、アクチュエータ71の種類は何ら限定されず、例えば、エアシリンダ、電動モータなどを利用することができる。
移動クランプ42は、互いに回動可能な左右一対のクランプ爪42L,42Rと、それらクランプ爪42L,42Rを互いに回動させるアクチュエータ72(図3参照)とを備えている。アクチュエータ72は、クランプ爪42L,42Rを回動させることにより、移動クランプ42を開閉させるように構成されている。移動クランプ42は、開閉することにより、電線11の把持および把持の解除が可能に構成されている。なお、アクチュエータ72の種類も何ら限定されず、例えば、エアシリンダ、電動モータなどを利用することができる。
図3は、端子挿入装置2の制御系のブロック図である。移動クランプ42を駆動する駆動装置45は、移動クランプ42を上下に移動させる第1駆動機構45Aと、移動クランプ42を左右に移動させる第2駆動機構45Bと、移動クランプ42を前後に移動させる第3駆動機構45Cとを含んでいる。第1〜第3駆動機構45A〜45Cの構成は何ら限定されず、従来から公知の任意の駆動機構を用いることができる。例えば、第1駆動機構45Aは、上下に延びるレールと、移動クランプ42を直接的または間接的に支持しかつ上記レールにスライド可能に係合した支持部材と、支持部材を駆動するモータとを有していてもよい。同様に、第2駆動機構45Bは、左右に延びるレールと、移動クランプ42を直接的または間接的に支持しかつ上記レールにスライド可能に係合した支持部材と、支持部材を駆動するモータとを有していてもよい。第3駆動機構45Cは、前後に延びるレールと、移動クランプ42を直接的または間接的に支持しかつ上記レールにスライド可能に係合した支持部材と、支持部材を駆動するモータとを有していてもよい。
端子挿入装置2は、移動クランプ42の位置を検出するクランプ位置センサ50を備えている。クランプ位置センサ50の構成は何ら限定されず、従来から公知の任意の装置を用いることができる。例えば、第1〜第3駆動機構45A〜45Cの前記各モータがサーボモータにより構成され、クランプ位置センサ50がそれらサーボモータに内蔵されたエンコーダにより構成されていてもよい。また、クランプ位置センサ50は、移動クランプ42または第1〜第3駆動機構45A〜45Cの前記レールに取り付けられた光学式または接触式のセンサにより構成されていてもよい。
第1通過センサ51および第2通過センサ52は、端子付き電線10の端子12の通過を検出するセンサである。図1に示すように本実施形態では、第1通過センサ51は、端子12が上向きに通過することを検出するように配置されている。第2通過センサ52は、端子12が左向きに通過することを検出するように配置されている。
第1通過センサ51および第2通過センサ52は、端子12の通過を検出できれば足り、それらの構成は何ら限定されない。従来から公知の任意の通過センサを利用することができる。例えば、光学式または接触式のセンサを利用することができる。ここでは、第1通過センサ51および第2通過センサ52は、コの字状のホルダ55と、ホルダ55に支持された発光素子53および受光素子54を有する透過型の光学式センサにより構成されている。ただし、第1通過センサ51および第2通過センサ52は、反射型の光学式センサにより構成されていてもよい。
図1に示すように、コネクタホルダ60は、ホルダ孔61が形成されたホルダ本体62を備えている。ホルダ本体62の形状は何ら限定されないが、本実施形態では直方体により構成されている。コネクタ20はホルダ孔61に着脱可能に装着されており、ホルダ本体62に保持されている。コネクタ20には、端子付き電線10の端子12が挿入される複数の端子孔21が形成されている。
図4は、コネクタホルダ60の縦断面図である。すなわち、図4は、コネクタホルダ60を鉛直に切断したときの断面図である。図4に示すように、ホルダ孔61は、コネクタ20が挿入される入口部63と、入口部63よりも奥側に位置するコネクタ保持部64と、コネクタ保持部64よりも奥側に位置する奥部65とを含んでいる。奥部65の上下幅はコネクタ保持部64の上下幅よりも大きい。コネクタ保持部64と奥部65との間には、段差からなるストッパ部66が形成されている。入口部63およびコネクタ保持部64の前後方向に垂直な断面の形状は、コネクタ20の横断面形状に適合した形状に形成されている。ここでは、コネクタ20の横断面形状は四角形状であるので、入口部63は四角形状の開口からなり、コネクタ保持部64は横断面が四角形状の孔からなっている。一方、奥部65の横断面形状は、必ずしもコネクタ20の横断面形状に適合した形状でなくてもよい。奥部65の横断面形状は四角形状であってもよいが、本実施形態では円形状である。奥部65は円孔からなっている。
奥部65には、ピストン76と、弾性体の一例であるコイルバネ75とが配置されている。ピストン76は奥部65の横断面形状に適合した形状に形成されている。本実施形態では奥部65は円孔からなっており、ピストン76は円板により形成されている。ピストン76は、入口部63側に位置する表面76Aと、コイルバネ75側に位置する裏面76Bとを有している。
コイルバネ75は、ホルダ孔61の奥部65に配置されている。詳しくは、コイルバネ75は、ホルダ孔61の奥側の面67とピストン76の裏面76Bとの間に配置されている。ここでは、コイルバネ75は圧縮された状態で配置されている。なお、ピストン76の裏面76Bには、コイルバネ75を位置決めするボス部材77が設けられている。ボス部材77は、コイルバネ75の内側に配置されている。ただし、ボス部材77はなくてもよい。コイルバネ75とピストン76の裏面76Bとは固定されていてもよく、単に接触しているだけでもよい。同様に、コイルバネ75とホルダ孔61の奥側の面67とは固定されていてもよく、単に接触しているだけでもよい。
ピストン76には、補助弾性体の一例であるプランジャ78が取り付けられている。プランジャ78は、ピストン76およびボス部材77の中心部分を貫通している。プランジャ78は、シリンダ78Bと、シリンダ78Bにスライド自在に設けられたピン78Aとを有している。ピン78Aの少なくとも一部は、ピストン76よりも入口部63側に配置されている。言い換えると、ピン78Aの少なくとも一部は、ピストン76の表面76Aから入口部63側に突出している。シリンダ78Bの内部には、ピン78Aに対して入口部63側に向かう弾性力を付与するバネが配置されているか、または、ピン78Aに対して入口部63側に向かう弾性力を付与する圧縮性流体(例えば空気)が封入されている。プランジャ78の弾性力は、コイルバネ75の弾性力よりも小さく設定されている。
図3に示すように、端子挿入装置2は、コンピュータからなる制御装置100を備えている。制御装置100は、図示しないCPU、ROM、RAMなどを有している。制御装置100は、有線または無線により、通電センサ38からの信号P1を受信可能に構成されている。また、制御装置100は、有線または無線により、クランプ位置センサ50からの信号P2、第1通過センサ51からの信号P3、および、第2通過センサ52からの信号P4を受信可能に構成されている。制御装置100は、アクチュエータ71およびアクチュエータ72と通信可能であり、アクチュエータ71およびアクチュエータ72の制御を行う。また、制御装置100は、第1〜第3駆動機構45A〜45Cと通信可能であり、第1〜第3駆動機構45A〜45Cの制御を行う。
以上が端子挿入装置2の構成である。次に、コネクタホルダ60を利用してワイヤハーネスを製造する方法について説明する。
図5は、本実施形態に係るワイヤハーネスの製造方法に関するフローチャートである。本実施形態に係るワイヤハーネスの製造方法は、コネクタホルダ60を準備する工程(ステップS1)と、コネクタホルダ60のホルダ孔61にコネクタ20を挿入する工程(ステップS2)と、電線11を把持する工程(ステップS3)と、コネクタ20の端子孔21に端子12を挿入する工程(ステップS4)と、端子12が挿入された電線の本数が所定本数に達したか否かを判定する工程(ステップS5)と、コネクタホルダ60からコネクタ20を引き抜く工程(ステップS6)とを包含している。
まず、コネクタホルダ60を準備し、図6および図7に示すように、コネクタ20をコネクタホルダ60のホルダ孔61に挿入する。これにより、コネクタ20はホルダ孔61のコネクタ保持部64(図4参照)に保持される。この際、プランジャ78のピン78Aは奥側に押される。しかし、プランジャ78の弾性力は小さいため、プランジャ78によってコネクタ20がコネクタ保持部64から押し出されることはない。
次に、図1に示すように、作業者が電線11を摘まみながら前方に移動させ、電線11の先端に設けられた端子12を、端子姿勢矯正具30の第1矯正面31Aおよび第2矯正面32Aに押し当てる。これにより、端子12の姿勢が矯正される。また、第1電極31と第2電極32とが端子12を介して導通され、通電センサ38から制御装置100に信号P1が送られる(図3参照)。
制御装置100は、信号P1を受信するとアクチュエータ71を駆動し、位置決めクランプ41を閉じる。それにより、電線11は位置決めクランプ41に把持される。次に、制御装置100は、第3駆動機構45Cを駆動することにより移動クランプ42を下降させ、アクチュエータ72を駆動することにより移動クランプ42を閉じる。これにより、電線11は移動クランプ42により把持される(ステップS3)。移動クランプ42が電線11を把持した後、制御装置100はアクチュエータ71を駆動し、位置決めクランプ41を開く。
次に、制御装置100は、移動クランプ42をコネクタ20の手前の位置まで移動させる。まず、制御装置100は第1駆動機構45Aを駆動し、移動クランプ42を上向きに移動させる。この際、電線11の先端に圧着された端子12は第1通過センサ51を通過し、その通過が検出される。電線11に上下方向の曲がりが生じている場合、端子12の上下方向の位置と移動クランプ42の上下方向の位置との間にずれが生じる。よって、第1通過センサ51が端子12の通過を検出したときの移動クランプ42の位置に基づいて、端子12の上下方向の位置ずれ量を算出することができる。
次に、制御装置100は第2駆動機構45Bを駆動し、移動クランプ42を左向きに移動させる。この際、端子12は第2通過センサ52を通過し、その通過が検出される。電線11に左右方向の曲がりが生じている場合、端子12の左右方向の位置と移動クランプ42の左右方向の位置との間にずれが生じる。よって、第2通過センサ52が端子12の通過を検出したときの移動クランプ42の位置に基づいて、端子12の左右方向の位置ずれ量を算出することができる。
制御装置100は、端子12の上下方向および左右方向の位置ずれ量に基づいて移動クランプ42の位置を補正し、移動クランプ42を補正後の位置に移動させる。これにより、端子12は、コネクタ20の端子孔21の位置に見合った位置に移動する。すなわち、端子12は、端子孔21の真正面に位置づけられる。
次に、制御装置100は、第3駆動機構45Cを駆動し、図8および図9に示すように、移動クランプ42を前向きに移動させる。これにより、図10および図11に示すように、端子12は端子孔21に挿入される(ステップS4)。この際、図8に示すように端子孔21の長さをLとすると、制御装置100は、移動クランプ42を前向きに長さL以上移動させる。言い換えると、制御装置100は、端子12がコネクタ20の端子孔21の奥側の面21aに当接するまで移動クランプ42を前向きに移動させる。その結果、端子12は端子孔21に十分に挿入される。
本実施形態に係るコネクタホルダ60によれば、ホルダ孔61はコネクタ保持部64の奥側に奥部65を有している。そのため、コネクタ20はコネクタ保持部64よりも奥側に移動可能である。端子12がコネクタ20の端子孔21の奥側の面21aに当接した後、移動クランプ42が更に前向きに移動すると、コネクタ20は端子12に押されてホルダ孔61の奥側に移動する。言い換えると、コネクタ20は前方に移動する。そのため、電線11の長手方向に過大な圧縮力が加わることを避けることができ、電線11が座屈してしまうことを防止することができる。
その後、制御装置100はアクチュエータ72を駆動し、移動クランプ42を開く。これにより、移動クランプ42による電線の把持が解除される。移動クランプ42による電線の把持が解除されると、コイルバネ75から入口部63側に向かう弾性力を受けているピストン76は、表面76Aがストッパ部66に当接するまで入口部63側に移動する。その結果、コネクタ20は入口部63側に移動し、図12に示すようにコネクタ保持部64に保持される。
その後、制御装置100は、第1〜第3駆動機構45A〜45Cを駆動し、移動クランプ42を初期位置(図1に示す位置)に移動させる。端子12が挿入された端子付き電線10の本数が所定本数に達していないと判定されると(ステップS5)、次の端子付き電線10の端子12を他の端子孔21に挿入すべく、上述の処理を繰り返す。このような処理は、コネクタ20に装着される端子付き電線10の数だけ繰り返される。これにより、コネクタ20に複数本の端子付き電線10を装着することができる。
コネクタ20に複数本の端子付き電線10を装着した後は、図13に示すように、電線11を後方に引っ張ることにより、ホルダ孔61からコネクタ20を取り出す(ステップS6)。本実施形態では、コネクタ20はプランジャ78から入口部63側への弾性力を受けているので、より小さな力でコネクタ20を引き抜くことができる。よって、電線11を大きな力で引っ張る必要がなく、電線11の品質を良好に保つことができる。
以上のようにして、複数本の端子付き電線10が組み合わせられたワイヤハーネスを製造することができる。
次に、本実施形態によってもたされる様々な効果について説明する。
本実施形態に係るコネクタホルダ60によれば、ホルダ本体62のホルダ孔61に入口部63からコネクタ20を挿入することにより、コネクタ20をホルダ孔61のコネクタ保持部64に保持することができる。そして、電線11を把持しながらコネクタ20の方に押し込むことにより、電線11の先端に設けられた端子12をコネクタ20の端子孔21に挿入することができる。これにより、端子付き電線10をコネクタ20に取り付けることができる。この際、電線11の押し込み量が多くても、コネクタ20は端子12に押されて、ホルダ孔61のコネクタ保持部64から奥部65の方に移動する。よって、電線11の長手方向に無理な圧縮力が加わることを防止することができ、電線11の座屈を防止することができる。一方、コネクタ20がコネクタ保持部64から奥部65の方に移動すると、コネクタ20はコイルバネ75により入口部63側に向かう弾性力を受ける。そのため、コネクタ20が弾性力を受けるまで端子12をコネクタ20に押し込むことによって、押し込み量不足を回避することができ、取り付け不良を防止することができる。本実施形態に係るコネクタホルダ60によれば、端子12の押し込み量を検出するセンサは不要である。したがって、構成の複雑化およびコストアップを抑えつつ、電線11の品質を低下させずに端子12をコネクタ20に良好に挿入することができる。
ピストン76はコイルバネ75からホルダ孔61の入口部63側に向かう弾性力を受けているが、ピストン76の表面76Aがストッパ部66に当接すると、ピストン76の入口部63側への移動は規制される。そのため、コネクタ20は、コネクタ保持部64に保持されているときには、コイルバネ75の弾性力を受けない。よって、コネクタ20をコネクタ保持部64に保持することができる。一方、コネクタ20が端子12に押されてホルダ孔61の奥部65の方に移動すると、ピストン76はコネクタ20に押されて奥部65の方に移動する。すると、ピストン76に押されてコイルバネ75が縮むことにより、コイルバネ75はピストン76を介してコネクタ20に入口部63側に向かう弾性力を付与する。このように、本実施形態によれば、コネクタ20の奥部65側への移動を許容しつつ、コネクタ保持部64よりも入口部63側への移動を規制することができ、コネクタ20をコネクタ保持部64において良好に保持することができる。
本実施形態に係るコネクタホルダ60によれば、ホルダ孔61からコネクタ20を引き抜く際に、プランジャ78がコネクタ20をホルダ孔61の入口部63側に押すので、より小さな力でコネクタ20を引き抜くことができる。電線11を大きな力で引っ張る必要がないので、電線11の品質を良好に保つことができる。
なお、コイルバネ75は弾性体の一例に過ぎず、弾性体はコイルバネ75に限定されない。弾性体は、空気バネなどの他の形式のバネであってもよく、バネ以外の弾性体であってもよい。ただし、本実施形態によれば、弾性体として安価かつ簡単なコイルバネ75を用いるので、構成を更に簡単化および低コスト化することができる。
本実施形態に係る端子挿入装置2によれば、駆動装置45が移動クランプ42を電線11の長手方向に移動させることにより、電線11の先端に設けられた端子12をコネクタ20に自動的に挿入することができる。ところで、電線11および端子12には個体差があるため、移動クランプ42が電線11を把持して端子12をコネクタ20に挿入するときの押し込み量には、ばらつきが生じる。人が電線11を把持して端子12をコネクタ20に挿入する場合には、人の微妙な感覚により押し込み量を微調整することができ、上記ばらつきを吸収することができる。ところが、駆動装置45により駆動される移動クランプ42では、そのような押し込み量の微調整は難しい。しかし、本実施形態に係る端子挿入装置2によれば、前述のコネクタホルダ60を備えているので、コイルバネ75によって押し込み量のばらつきを吸収することができる。したがって、コネクタ20に対する端子12の挿入を自動化した場合であっても、電線11の品質を低下させずに端子12をコネクタ20に良好に挿入することができる。
本実施形態に係るワイヤハーネスの製造方法によれば、前述のコネクタホルダ60を利用するので、端子挿入装置2の構成の複雑化およびコストアップを抑えつつ、品質の高いワイヤハーネスを良好に製造することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、前記実施形態は一例に過ぎず、本発明は前記実施形態に限定されない。他にも様々な実施形態が可能である。
前記実施形態では、コネクタホルダ60はピストン76を備えているが、ピストン76はなくてもよい。コイルバネ75は、コネクタ20と接触するようになっていてもよい。
前記実施形態では、コネクタホルダ60のホルダ孔61は、奥側が閉じた孔である。しかし、ホルダ孔61は、奥側が開いた孔であってもよい。例えば、ホルダ孔61の奥部65の前端部は前方に向けて開口し、ホルダ本体62の前側に、コイルバネ75を支持する支持部材が配置されていてもよい。
ホルダ孔61は、奥部65を備えていなくてもよい。例えば、図14に示すように、ホルダ本体62の前側に、弾性体としての板バネ68が設けられていてもよい。この場合、コネクタ20が端子12によって前向きに押されると、板バネ68は前方に変形する。そして、コネクタ20は前方に移動し、コネクタ20の一部はホルダ孔61から一時的に飛び出す。しかし、電線11の把持を解除すると、板バネ68が復元し、コネクタ20は板バネによって後方に押され、後方に移動する。その結果、コネクタ20はホルダ孔61のコネクタ保持部64に保持される。
前記実施形態の説明では、端子12の断面形状は四角形としたが、端子12の断面形状は四角形に限られない。また、端子12の断面形状は多角形に限られない。例えば、端子12の断面形状は円形であってもよい。
端子12の姿勢を矯正する必要がない場合、端子姿勢矯正具30はなくてもよい。また、移動クランプ42の位置の補正が必要でない場合、第1通過センサ51および第2通過センサ52はなくてもよい。
前記実施形態では、電線11を移動クランプ42で把持し、移動クランプ42を前向きに移動させることにより、端子12をコネクタ20の端子孔21に挿入することとしていた。しかし、端子12の挿入は手動で行ってもよい。すなわち、人が電線11を把持し、電線11を前向きに移動させることによって、端子12をコネクタ20の端子孔21に挿入してもよい。
2 端子挿入装置
11 電線
12 端子
20 コネクタ
21 端子孔
60 コネクタホルダ
61 ホルダ孔
62 ホルダ本体
63 入口部
64 コネクタ保持部
65 奥部
66 ストッパ部
75 コイルバネ(弾性体)
76 ピストン
78 プランジャ(補助弾性体)

Claims (6)

  1. コネクタが挿入される入口部と、前記入口部よりも奥側に位置するコネクタ保持部と、を含むホルダ孔が形成されたホルダ本体と、
    前記ホルダ本体に設けられ、前記コネクタが前記コネクタ保持部から前記ホルダ孔の奥側に移動すると前記コネクタに前記入口部側に向かう弾性力を付与する弾性体と、
    を備えたコネクタホルダ。
  2. 前記ホルダ孔は、前記コネクタ保持部よりも奥側に位置する奥部を含み、
    前記ホルダ孔の前記奥部に配置され、前記ホルダ孔の前記入口部側に位置する表面と、前記弾性体側に位置する裏面とを有するピストンを備え、
    前記ホルダ孔の前記コネクタ保持部と前記奥部との間に、前記ピストンの前記表面と当接することにより前記ピストンが前記入口部側へ移動することを規制するストッパ部が設けられている、請求項1に記載のコネクタホルダ。
  3. 前記ピストンに取り付けられ、前記コネクタに前記ホルダ孔の前記入口部側に向かう弾性力を付与する補助弾性体を備え、
    前記補助弾性体の弾性力は、前記弾性体の弾性力よりも小さく設定されている、請求項2に記載のコネクタホルダ。
  4. 前記弾性体は、前記ホルダ孔の前記奥部に配置されたコイルバネである、請求項2または3に記載のコネクタホルダ。
  5. 請求項1〜4のいずれか一つに記載のコネクタホルダと、
    先端に端子が設けられた電線を把持するクランプと、
    前記コネクタホルダの前記ホルダ孔に挿入されたコネクタに前記端子を挿入するように、前記クランプを少なくとも前記電線の長手方向に移動させる駆動装置と、
    を備えた端子挿入装置。
  6. 請求項1〜4のいずれか一つに記載のコネクタホルダを準備する工程と、
    前記コネクタホルダの前記ホルダ孔に、端子孔が形成されたコネクタを挿入する工程と、
    先端に端子が設けられた電線を把持する工程と、
    前記電線の長手方向に沿って前記電線を移動させることにより、前記コネクタの前記端子孔に前記端子を挿入する工程と、
    前記コネクタホルダから前記コネクタを引き抜く工程と、
    を包含するワイヤハーネスの製造方法。
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