本発明の第1〜第5実施形態に係るアッセイ装置について説明する。本実施形態に係るアッセイ装置は、液体を秤量することができ、あるいは液体を用いてアッセイを行うことができるように構成されている。なお、本発明のアッセイ装置は、装置内で必ずしも何らかの反応を生じさせるものである必要はなく、液体の秤量のみの目的で使用する装置も含む。このようなアッセイ装置は秤量装置とも指称することができる。本実施形態においてアッセイ装置に適用し得る液体は、アッセイ装置内を流れることができるものであれば、特に限定されない。このような液体は、典型的には、水を溶媒とするもの、すなわち、水溶液であってよい。本実施形態に係るアッセイ装置は使い捨て型であると好ましいが、これに限定されず、アッセイ装置は、その利用態様に応じて再利用可能であってもよい。なお、図2、図4(a)〜図4(c)、図5〜図7、図8(a)〜図8(c)、図9、図10(a)〜図10(c)、及び図11(a)〜図11(c)においては、アッセイ装置の外形を破線によって示す。
本願明細書において、「ラテラルフロー」は、重力沈降が駆動力となることによって移動する流体の流れを指す。ラテラルフローに基づく流体の移動は、重力沈降による流体の駆動力が支配的(優位)に作用する流体の移動を指す。これに対して、毛管力(毛細管現象)に基づく流体の移動は、界面張力が支配的(優位)に作用する流体の移動を指す。ラテラルフローに基づく流体の移動と毛管力に基づく流体の移動とは異なるものである。
本願明細書において、「検体」は、液体を用いて検出又は測定される化合物又は組成物を指す。例えば、「検体」は、糖類(例えば、グルコース)、タンパク質若しくはペプチド(例えば、血清タンパク質、ホルモン、酵素、免疫調節因子、リンホカイン、モノカイン、サイトカイン、糖タンパク質、ワクチン抗原、抗体、成長因子、若しくは増殖因子)、脂肪、アミノ酸、核酸、ステロイド、ビタミン、病原体若しくはその抗原、天然物質若しくは合成化学物質、汚染物質、治療目的の薬物若しくは違法な薬物、又はこれらの物質の代謝物若しくは抗体を含むものであるとよい。
本願明細書において、「マイクロ流路」は、μl(マイクロリットル)オーダー、すなわち、約1μl以上かつ約1ml(ミリリットル)未満の微量な液体を用いて検体を検出又は測定するためか、又はかかる微量な液体を秤量するために、アッセイ装置内にて液体を流すように構成される流路を指す。特に、かかる「マイクロ流路」の容積は約1μl以上かつ約1ml未満であるとよいが、これに限定されない。
本願明細書において、「フィルム」は、約200μm(マイクロメートル)以下の厚さを有する膜状物体を指し、かつ「シート」は、約200μmを超える厚さを有する膜状物体又は板状物体を指す。
本願明細書において、「プラスチック」は、重合し得る材料又はポリマー材料を必須成分として使用するように重合又は成形したものを指す。プラスチックは、2種類以上のポリマーを組み合わせたポリマーアロイもまた含む。
本願明細書において、「多孔質媒体」は、複数かつ多数の微細孔を有し、かつ液体を吸引かつ通過可能とする部材であって、紙、セルロース膜、不織布、プラスチック等を含む部材を指す。例えば、「多孔質媒体」は、親水性を有するとよく、かつ紙であるとよい。
本願明細書において、「分析媒体」は、液体の濃度等の特性を分析可能とする多孔質媒体を指し、特には、比色分析可能とする多孔質媒体を指す。例えば、分析媒体は、液体の濃度に応じた呈色反応を示すように構成される比色分析紙であるとよい。
本願明細書において、「溶解性物質」は、液体に溶解可能である粉末等の物質を指す。例えば、溶解性物質は、凍結乾燥粉末等の試薬であるとよい。
[第1実施形態]
最初に、第1実施形態に係るアッセイ装置について説明する。
[アッセイ装置の基本的な構成]
図1及び図2を参照すると、本実施形態に係るアッセイ装置の基本的な構成は次のようになっている。アッセイ装置は、液体Lを流入させるように構成される流入口1と、この流入口1から延びる引込流路2とを有する。引込流路2はマイクロ流路であるとよい。
アッセイ装置は、液体Lを収容可能に構成される3つの計量区画3,4,5と、引込流路2から分岐し、かつ3つの計量区画3,4,5にそれぞれ接続される3つの計量流路6,7,8とを有する。3つの計量流路6,7,8は、それぞれ、引込流路2の3つの計量分岐部2a,2b,2cから分岐する。以下必要に応じて、3つの計量分岐部をそれぞれ第1、第2、及び第3計量分岐部と呼び、3つの計量区画をそれぞれ第1、第2、及び第3計量区画と呼び、かつ3つの計量流路をそれぞれ第1、第2、及び第3計量流路と呼ぶ。各計量流路6〜8はマイクロ流路であるとよい。
アッセイ装置は、空気を通過可能とするようにそれぞれ3つの計量区画3,4,5に接続される3つの計量通気路9,10,11を有する。以下必要に応じて、3つの計量通気路をそれぞれ第1、第2、及び第3計量通気路と呼ぶ。各計量通気路9,10,11は疎水性を有し、空気は通過するが液体が通過できないように構成される。各計量通気路9〜11もまたマイクロ流路であるとよい。
アッセイ装置は、それぞれ3つの計量流路6,7,8に配置される3つの計量用多孔質媒体12,13,14をさらに有する。以下必要に応じて、3つの計量用多孔質媒体をそれぞれ第1、第2、及び第3計量用多孔質媒体と呼ぶ。
アッセイ装置の各計量区画3〜5、当該計量区画3〜5に対応する計量分岐部2a〜2c、当該計量区画3〜5に対応する計量流路6〜8、当該計量区画3〜5に対応する計量通気路9〜11、及び当該計量区画3〜5に対応する計量用多孔質媒体12〜14に関連する液体Lの流れについて、典型的に、計量区画3〜5が液体Lによって充満される前では、計量用多孔質媒体12〜14の毛管力に基づく液体Lの制御によって、引込流路2から計量区画3〜5に流入する液体Lの量が、引込流路2にて計量分岐部2a〜2cから流入口1とは反対に向かう引込流路2の順流方向(矢印Fにより示す)に流れる液体Lの量よりも大きくなるとよい。このとき、各計量区画3〜5から計量通気路9〜11に流れる空気の量もまた、計量分岐部2a〜2cから引込流路2の順流方向に流れる空気の量よりも大きくなるとよい。このような液体Lの流れは、計量用多孔質媒体12〜14の毛管力、引込流路2、計量流路6〜8、計量通気路9〜11の横断面積等を調節することによって得ることができる。なお、本発明はこれに限定されず、アッセイ装置においては、計量用多孔質媒体の毛管力、引込流路、計量流路、計量通気路の横断面積等を調節することによって、計量区画に流入する液体の量を、計量分岐部から引込流路の順流方向に流れる液体の量よりも小さくすることもできる。さらに、計量区画から計量通気路に流れる空気の量を、計量分岐部から引込流路の順流方向に流れる空気の量よりも小さくすることもできる。
第1〜第3計量流路6〜8は、引込流路2の順流方向にて順次分岐している。そのため、流入口1に液体Lを供給した場合、第1〜第3計量区画3〜5が、引込流路2の順流方向にて順次、液体Lによって充満されるとよい。
しかしながら、アッセイ装置は、図示する実施形態に限定されるものではなく、1つ又は複数の計量区画と、引込流路から分岐し、かつそれぞれ1つ又は複数の計量区画に接続される1つ又は複数の計量流路とを有することができる。さらに、アッセイ装置は、空気を通過可能とするようにそれぞれ1つ又は複数の計量区画に接続される1つ又は複数の計量通気路と、それぞれ1つ又は複数の計量流路に配置される1つ又は複数の計量用多孔質媒体とを有することができる。複数の計量流路は引込流路の順流方向にて順次分岐するとよい。複数とは、特に限定されるものではないが、2、3、4、5、6、7、あるいは8以上であってもよい。また、複数の計量区画が存在する場合、複数の計量区画に収容、計測可能な液体の量は、同一であっても異なっていてもよい。
さらに、アッセイ装置は、液体Lを収容可能に構成される引込区画15と、この引込区画15に配置される引込用多孔質媒体16とを有する。引込流路2は流入口1と引込区画15との間で延びる。かかるアッセイ装置において、液体Lが引込用多孔質媒体16に到達すると、引込用多孔質媒体16によって、液体Lが引込流路2から引込区画15に引き込まれる。
[アッセイ装置の具体的な構成]
図1〜図3を参照すると、本実施形態に係るアッセイ装置の具体的な構成は次のようになっている。図1に示すように、アッセイ装置は、互いに対向する頂面及び底面を有する。アッセイ装置の頂面及び底面間で延びる方向を厚さ方向と定義する。かかるアッセイ装置は、その頂面から底面に向かって順に並ぶ第1層部材S1、第2層部材S2、及び第3層部材S3を有する。第1〜第3層部材S1〜S3は実質的に層状に形成される。
アッセイ装置は、第1〜第3層部材S1〜S3を積層した積層構造を有する。第1〜第3層部材S1〜S3の接触角は90度よりも小さいとよい。第1〜第3層部材S1〜S3のそれぞれの素材は、同一であっても異なっていてもよく、プラスチック製のシート又はフィルムであるとよい。
流入口1は、第1層部材S1を厚さ方向に貫通するように形成される。引込流路2と、3つの計量区画3〜5と、3つの計量流路6〜8と、3つの計量通気路9〜11と、引込区画15とは、第2層部材S2を厚さ方向に貫通するように形成される。また、引込流路2と、3つの計量流路6〜8と、3つの計量通気路9〜11とは、第2層部材S2の平面方向に沿って延びる。引込流路2、3つの計量区画3〜5、3つの計量流路6〜8、及び引込区画15のそれぞれの頂面及び底面は、それぞれ、第1及び第3層部材S1,S3によって画定される。
図1〜図3を参照すると、各計量通気路9〜11の頂面及び底面は、それぞれ、頂面側及び底面側粘着テープT1,T2によって画定される。各計量通気路9〜11の頂面及び底面には、粘着テープT1,T2の粘着剤Gが位置することとなる。これによって、各計量通気路9〜11が疎水性を有するようになっている。粘着剤Gは、接触角が90度より大きくなるように選択することができる。特には、計量通気路9〜11の3面が疎水性であることがさらに好ましい。空気は各計量通気路9〜11を通り抜けることができるが、液体Lは各計量通気路9〜11を実質的に通り抜けることができないようになっている。しかしながら、各計量通気路の頂面は、頂面側粘着テープの代わりに、粘着剤を塗布した第1層部材によって画定することができ、かつ各計量通気路の底面もまた、底面側粘着テープの代わりに、粘着剤を塗布した第3層部材によって画定することができる。あるいは、計量通気路の頂面及び底面の少なくとも一方に粘着剤以外の疎水性物質の層を設けて、計量通気路に疎水性を付与してもよい。
図2に示すように、流入口1は、引込流路2の長手方向の一端部2dに対応して配置される。引込流路2の長手方向の他端部2eは引込区画15に接続される。引込流路2は略直線状に延びるとよい。引込流路2における一端部2dの幅は、引込流路2における他の部分の幅よりも広くなっているとよい。
各計量区画3〜5は、引込流路2に対して引込流路2の幅方向の一方にて間隔を空けて配置される。各計量区画3,4,5は、引込流路2の幅方向にて引込流路2寄りに位置する内側端部3a,4a,5aと、引込流路2の幅方向にて内側端部3a,4a,5aに対向する外側端部3b,4b,5bとを有する。
第1〜第3計量流路6〜8の長手方向の一端部は、それぞれ、引込流路2の第1〜第3計量分岐部2a〜2cに接続される。第1〜第3計量流路6〜8の長手方向の他端部は、それぞれ、第1〜第3計量区画3〜5の内側端部3a〜5aに接続される。本実施形態では、一例として、第1〜第3計量流路6〜8の他端部は、それぞれ、第1〜第3計量区画3〜5の内側端部3a〜5aにおける順流方向の上流側端に接続されている。各計量流路6〜8は、引込流路2の長手方向と交差する方向に略直線状に延びる。特に、各計量流路6〜8は、引込流路2の長手方向と略直交する方向に略直線状に延びるとよい。
第1〜第3計量通気路9〜11の長手方向の一端部は、それぞれ、第1〜第3計量区画3〜5の外側端部3b〜5bに接続される。本実施形態では、一例として、第1〜第3計量通気路9〜11の一端部は、それぞれ、第1〜第3計量区画3〜5の外側端部3b〜5bにおける順流方向の下流側端に接続されている。特に、第1〜第3計量通気路9〜11の一端部は、それぞれ、第1〜第3計量区画3〜5における第1〜第3計量流路6〜8との接続部分から最も離れた部分に接続されるとよい。また、第1〜第3計量通気路9〜11の長手方向の他端部はアッセイ装置の外部に向かって開放される。
第1〜第3計量用多孔質媒体12〜14は、それぞれ、第1〜第3計量流路6〜8における空気の通過を遮ることができるように構成されている。さらに、アッセイ装置の各計量区画3〜5、当該計量区画3〜5に対応する計量分岐部2a〜2c、当該計量区画3〜5に対応する計量流路6〜8、及び当該計量区画3〜5に対応する計量用多孔質媒体12〜14に関連する液体Lの流れについて、典型的に、計量区画3〜5が液体Lによって充満される前では、計量用多孔質媒体12〜14の毛管力に基づく液体Lの制御によって、計量分岐部2a〜2cから引込流路2の順流方向の下流側と比較して、かかる計量分岐部2a〜2cから計量流路6〜8に優先的に液体Lを流すことができるようになっている。この状態においては、上記計量分岐部2a〜2cから引込流路2の順流方向の下流側に向かう液体Lの流れは、停止するか、又は上記計量分岐部2a〜2cから上記計量流路6〜8に流れる液体Lの流れよりも遅くなる。その後、上記計量区画3〜5が液体Lによって充満されると、上記計量分岐部2a〜2cから引込流路2の順流方向の下流側に向かう液体Lの流れは、上述のような停止状態から再開するか、又は上述のように遅くなった状態から早くなる。
このような第1〜第3計量用多孔質媒体12〜14の幅は、それぞれ、第1〜第3計量流路6〜8の幅と略一致している。かかる第1〜第3計量用多孔質媒体12〜14の長手方向の一端部は、それぞれ、第1〜第3計量流路6〜8の一端部と略一致するように配置されるとよい。第1〜第3計量用多孔質媒体12〜14の長手方向の他端部もまた、それぞれ、第1〜第3計量流路6〜8の他端部と略一致するように配置されるとよい。第1〜第3計量用多孔質媒体12〜14の厚さはまた、それぞれ、第1〜第3計量流路6〜8の高さ、すなわち、第2層部材S2の厚さと実質的に等しくなっているとよい。言い換えれば、第1〜第3計量流路6〜8は、それぞれ、第1〜第3計量用多孔質媒体12〜14によって塞がれていると好ましい。計量流路6〜8の容積と、それに配置される判定用多孔質媒体12〜14の体積とは実質的に等しいと好ましい。また、第1〜第3計量流路6〜8の容積も実質的に互いに等しいと好ましい。第1〜第3判定用多孔質媒体12〜14の体積もまた実質的に互いに等しいと好ましい。
引込区画15の容積は、第1〜第3計量区画3〜5の容積の和よりも大きいとよい。引込用多孔質媒体16は、引込区画15内に配置される本体部16aと、引込区画15から引込流路2に突出する突出部16bとを有する。特に、引込用多孔質媒体16の本体部16aは、引込区画15を占めるように配置されるとよい。突出部16bは、引込流路2の液体Lを引込区画15に引き込むことを促すことができるようになっている。
さらに、図1及び図2に示すように、アッセイ装置は、それぞれ3つの計量区画3〜5に対応して第1層部材S1に形成される透明な3つの窓部17,18,19を有するとよい。以下必要に応じて、3つの窓部をそれぞれ第1、第2、及び第3窓部と呼ぶ。この場合、第1層部材S1においては、第1〜第3窓部17〜19以外の部分が不透明であってもよい。なお、第1層部材が透明である場合は、窓部が設けられなくてもよい。
このようなアッセイ装置の作製過程においては、第1〜第3層部材S1〜S3をこの順に積層するように配置するときに、上述のように、第1〜第3計量用多孔質媒体12〜14と、引込用多孔質媒体16と、頂面側及び底面側粘着テープT1,T2とを配置する。その後、第1及び第2層部材S1,S2を互いに接着し、かつ第2及び第3層部材S2,S3を互いに接着する。
[アッセイ装置の流体制御について]
図4(a)〜図4(c)を参照して、本実施形態に係るアッセイ装置の流体制御について説明する。なお、図4(a)〜図4(c)では、第1〜第3窓部17〜19を省略する。図4(a)に示すように、アッセイ装置において、液体Lを流入口1に連続的に供給すると、最初に、液体Lはラテラルフローに基づいて流入口1から引込流路2に流入し、液体Lは第1計量分岐部2aに流れる。次に、第1計量分岐部2aにおいて、第1計量区画3が液体Lによって充満される前では、液体Lが、矢印p1によって示すように、第1計量用多孔質媒体12の毛管力に基づいて引込流路2から第1計量流路6を通って第1計量区画3に流入し、かつ矢印Fによって示すように、ラテラルフローに基づいて、第1計量分岐部2aを超えて引込流路2の順流方向に流れる。このとき、典型的には、第1計量区画3に流入する液体Lの量が、第1計量分岐部2aから引込流路2の順流方向に流れる液体Lの量よりも大きくなるとよく、かつ第1計量区画3から第1計量通気路9に流れる空気の量もまた、第1計量分岐部2aから引込流路2の順流方向に流れる空気の量よりも大きくなるとよい。しかしながら、本発明はこれに限定されず、アッセイ装置においては、第1計量区画に流入する液体の量は、第1計量分岐部から引込流路の順流方向に流れる液体の量よりも小さくすることができ、かつ第1計量区画から第1計量通気路に流れる空気の量が、第1計量分岐部から引込流路の順流方向に流れる空気の量よりも小さくすることができる。
第1計量区画3が液体Lによって充満された後では、引込流路2における第1計量分岐部2aを通る液体Lのすべてが、ラテラルフローに基づいて第1計量分岐部2aから引込流路2の順流方向に流れる。さらに、液体Lが第2計量分岐部2bに流れ、第1計量区画3と同様に、第2計量区画4が液体Lによって充満される。続いて、液体Lが第3計量分岐部2cに流れ、第1計量区画3と同様に、第3計量区画5が液体Lによって充満される。
図4(b)に示すように、第1〜第3計量区画3〜5が液体Lによって順次充満された後、液体Lが引込用多孔質媒体16に到達すると、引込用多孔質媒体16の毛管力に基づいて、引込流路2に残留した液体Lを引込区画15に引き込む作用(以下、必要に応じて、「引込作用」という)が開始される。さらに、第1〜第3計量区画3〜5が液体Lによって順次充満された後、所定のタイミング(以下、「供給停止タイミング」という)で流入口1への液体Lの供給を停止すると、流入口1から引込流路2に空気が送られる。
この場合、図4(c)に示すように、引込用多孔質媒体16が、第1〜第3計量区画3〜5に収容されずに引込流路2に残留した液体Lを引き込む。そして、引込区画15内で、引込用多孔質媒体16が残留した液体Lを保持し、上記のように第1〜第3計量区画3〜5のそれぞれに充満された液体Lが、それぞれ第1〜第3計量用多孔質媒体12〜14によってそのまま保持される。その結果、液体Lを各計量区画3〜5の容積に対応した所望の分量に計量できる。なお、上記供給停止タイミングは、第1〜第3計量区画3〜5のそれぞれに充満された液体Lがそのまま保持され、かつ引込流路2に残留した液体Lが引込区画15に収容されるように定められるとよい。
以上、本実施形態に係るアッセイ装置は、液体Lを流入させるように構成される流入口1と、この流入口1から延びる引込流路2と、液体Lを収容可能に構成される計量区画3〜5と、引込流路2から分岐し、かつ計量区画3〜5に接続される計量流路6〜8と、疎水性を有し、かつ空気を通過可能とするように計量区画3〜5に接続される計量通気路9〜11と、計量流路6〜8に配置される計量用多孔質媒体12〜14とを備える。典型的には、計量区画3〜5が液体Lによって充満される前では、計量用多孔質媒体12〜14によって、引込流路2から計量区画3〜5に流入する液体Lの量が、計量流路6〜8との計量分岐部2a〜2cから流入口1とは反対に向かう引込流路2の順流方向に流れる液体Lの量よりも大きいとよい。
そのため、上述したアッセイ装置の流体制御のように、計量区画3〜5の容積を液体Lの所望量に応じて定めた当該アッセイ装置において、液体Lを流入口1に連続的に供給するという操作を行えば、液体Lを各計量区画3〜5の容積に対応した所望の分量に計量できる。よって、アッセイ装置の操作を簡単にすることができ、液体Lの計量精度を向上させることができ、液体Lの制御性能を向上させることができる。
本実施形態に係るアッセイ装置は、液体Lを収容可能に構成される引込区画15と、この引込区画15に配置される引込用多孔質媒体16とをさらに備え、引込流路2が流入口1と引込区画15との間で延びている。そして、液体Lが引込用多孔質媒体16に到達した状態で、引込用多孔質媒体16によって、液体Lを引込流路2から引込区画15に引き込むことができる。そのため、上述したアッセイ装置の流体制御のように、引込流路2に残留した液体Lを確実に引込区画15に回収することができるので、液体Lの制御性能を向上させることができる。
本実施形態に係るアッセイ装置においては、複数の計量流路6〜8がそれぞれ複数の計量区画3〜5に接続され、複数の計量用多孔質媒体12〜14がそれぞれ複数の計量流路6〜8に配置され、複数の計量流路6〜8が、引込流路2の順流方向にて順次分岐している。そして、複数の計量区画3〜5が、引込流路2の順流方向にて順次、液体Lによって充満されるとよい。この場合、液体Lを複数の計量区画3〜5の容積にそれぞれ対応する所望の分量にて計量することができる。さらに、液体Lを複数の計量区画3〜5にて引込流路2の順流方向にて順次計量した後、引込流路2に残留した液体Lを確実に引込区画15に回収することができる。よって、複数の所望の分量にて計量された液体Lを得ることができるので、液体Lの計量精度を向上させることができ、液体Lの制御性能を向上させることができる。
[第2実施形態]
第2実施形態に係るアッセイ装置について説明する。本実施形態に係るアッセイ装置は、次に述べる点を除いて、第1実施形態に係るアッセイ装置と同様である。そのため、本実施形態においては、第1実施形態に係るアッセイ装置と同様の構成に関する説明を省略する。
図5に示すように、本実施形態に係るアッセイ装置は、3つの分析媒体21,22,23をそれぞれ第1実施形態に係るアッセイ装置の3つの計量区画3〜5に収容する。以下必要に応じて、3つの分析媒体をそれぞれ第1、第2、及び第3分析媒体と呼ぶ。しかしながら、アッセイ装置は、分析媒体の代わりに、後述するような溶解性物質を計量区画に収容してもよい。
さらに具体的には、かかるアッセイ装置の作製過程において、第1〜第3層部材S1〜S3をこの順に積層するように配置するときに、第1〜第3分析媒体21〜23をそれぞれ第1〜第3計量区画3〜5に収容するとよい。また、本実施形態に係るアッセイ装置の流体制御は、分析媒体21〜23によって分析試験が可能となる点を除いて、第1実施形態に係るアッセイ装置の流体制御と同様である。
以上、本実施形態に係るアッセイ装置においては、上記第1実施形態と同様の効果に加えて、次の効果を得ることができる。すなわち、計量区画3〜5に収容される正確な分量の液体Lが分析媒体21〜23又は溶解性物質と接触するので、液体Lの濃度に関する分析、例えば、比色分析を正確に行うことができる。特には、上記構成によって、従来技術において問題であった、判定部の色の濃淡が均一でない、液量の影響を受ける、流路長の影響を受ける、湿度、乾燥の影響を受けるといった問題を解決することができ、正確な分析が可能になる。
[第3実施形態]
第3実施形態に係るアッセイ装置について説明する。本実施形態に係るアッセイ装置は、次に述べる点を除いて、第1又は第2実施形態に係るアッセイ装置と同様である。そのため、本実施形態においては、第1又は第2実施形態に係るアッセイ装置と同様の構成に関する説明を省略する。
[アッセイ装置の構成について]
本実施形態に係るアッセイ装置の構成は次の通りである。図6に示すように、本実施形態に係るアッセイ装置は、流入口1に対応して引込流路2の一端部2dに配置される流入用多孔質媒体31を有する。流入用多孔質媒体31は、引込流路2の一端部2dを占めるように配置されるとよい。アッセイ装置はまた、流入口1及びこの流入口1に最も近い第1計量分岐部2a間に位置する引込流路2の通気分岐部2fから分岐する入口側通気路32を有する。入口側通気路32は、疎水性を有し、かつ空気を通過可能とするように構成される。
具体的には、入口側通気路32の長手方向の一端部は、入口側流路2の通気分岐部2fに接続される接続部32aとなっている。入口側通気路32の長手方向の他端部は、アッセイ装置の外部に向かって開放する開放部32bとなっている。入口側通気路32は疎水性を有する。特に、入口側通気路32の接続部32aが疎水性を有するとよい。入口側通気路32はマイクロ流路であるとよい。入口側通気路32はまた、引込流路2の長手方向と交差する方向に略直線状に延びる。特に、入口側通気路32は、引込流路2の長手方向と略直交する方向に略直線状に延びるとよい。
入口側通気路32は、第2層部材S2を厚さ方向に貫通するように形成される。入口側通気路32はまた、第2層部材S1の平面方向に沿って延びる。入口側通気路32における接続部32a以外の部分の頂面及び底面は、それぞれ、第1及び第3層部材S1,S3によって画定される。特に明確に図示はしないが、入口側通気路32の接続部32aの頂面及び底面もまた、それぞれ、頂面側及び底面側粘着テープT1,T2によって画定される。入口側通気路32において、計量通気路9〜11と同様に、疎水性がもたらされるようになっている。しかしながら、入口側通気路の接続部の頂面は、頂面側粘着テープの代わりに、粘着剤を塗布した第1層部材によって画定することができ、かつ入口側通気路の接続部の底面もまた、底面側粘着テープの代わりに、粘着剤を塗布した第3層部材によって画定することができる。あるいは、入口側通気路の接続部の頂面及び底面の少なくとも一方に粘着剤以外の疎水性物質の層を設けて、入口側通気路の接続部に疎水性を付与してもよい。
[アッセイ装置の流体制御について]
本実施形態に係るアッセイ装置の流体制御は、次に述べる点を除いて、第1実施形態に係るアッセイ装置の流体制御と同様である。そのため、本実施形態においては、第1実施形態に係るアッセイ装置の流体制御と同様の点については説明を省略する。
特に明確には図示しないが、本実施形態に係るアッセイ装置においては、液体Lを流入口1に連続的に供給すると、最初に、液体Lは、流入用多孔質媒体31の毛管力によって、流入口1から流入用多孔質媒体31を通って引込流路2に向かって移動するように促される。その後、液体Lは、ラテラルフローに基づいて流入用多孔質媒体31から第1計量分岐部2aに流れる。さらに、第1実施形態と同様に、第1〜第3計量区画3〜5が液体Lによって順次充満された後、供給停止タイミングで流入口1への液体Lの供給を停止すると、本実施形態に係るアッセイ装置では、入口側通気路32から引込流路2に空気が送られる。液体Lの供給を停止した状態では、流入用多孔質媒体31と入口側通気路32との間に位置する引込流路2の一部には、空気が流れないので、液体Lが残留する。また、液体Lの供給を停止した状態では、典型的には、流入用多孔質媒体31は液体Lを実質的に含まないか、又は液体Lによって湿潤した状態となる。
以上、本実施形態に係るアッセイ装置においては、上記第1又は第2実施形態と同様の効果に加えて、次の効果を得ることができる。本実施形態に係るアッセイ装置は、流入口1に対応して配置される流入用多孔質媒体31と、疎水性を有し、かつ空気を通過可能とするように引込流路2の通気分岐部2fから分岐する入口側通気路32とを備える。そのため、流入用多孔質媒体31の毛管力によって、引込流路2内にて液体Lの順流方向の流れを確実に生じさせることができる。また、第1〜第3計量区画3〜5が液体Lによって順次充満された後では、入口側通気路32から引込流路2に送られる空気によって、液体Lを引込流路2から引込区画15に引き込むことを確実に促すことができる。よって、液体Lの制御性能を向上させることができる。
[第4実施形態]
第4実施形態に係るアッセイ装置について説明する。本実施形態に係るアッセイ装置は、次に述べる点を除いて、第1実施形態に係るアッセイ装置と同様である。そのため、本実施形態においては、第1実施形態に係るアッセイ装置と同様の構成に関する説明を省略する。
[アッセイ装置の構成について]
本実施形態に係るアッセイ装置の構成は次の通りである。図7に示すように、本実施形態に係るアッセイ装置は、第1実施形態の第1計量区画3、第1計量流路6、第1計量通気路9、第1計量用多孔質媒体12、及び第1窓部17にそれぞれ対応する1つの計量区画3、1つの計量流路6、1つの計量通気路9、1つの計量用多孔質媒体12、及び1つの窓部17を有する。アッセイ装置はまた、流入口1に対応して引込流路2の一端部2dに配置される流入用多孔質媒体41を有する。流入用多孔質媒体41は、引込流路2の一端部2dを占めるように配置されるとよい。
アッセイ装置は、溶解性物質Dを計量区画3に収容するように構成されている。アッセイ装置は、引込流路2内で引込区画15及び計量分岐部2a間に配置される検出部材42を有する。検出部材42は、検体や、溶解性物質Dを液体Lと混合させた混合液Cに対して呈色反応を示す試薬等のうち少なくとも1つを含有した多孔質媒体となっている。
さらに具体的には、引込区画15の容積は計量区画3の容積よりも大きくなっている。本実施形態においては、検出部材42が、引込用多孔質媒体16の突出部16bと間隔を空けて配置される。しかしながら、検出部材は、引込用多孔質媒体の突出部内に配置することもできる。アッセイ装置の作製過程において、第1〜第3層部材S1〜S3をこの順に積層するように配置するときに、上述のように、溶解性物質D及び検出部材42を配置するとよい。
アッセイ装置において、引込流路2は、アッセイ装置の構成部材によって囲まれる。すなわち、引込流路2は、第1〜第3層部材S1〜S3と、計量用多孔質媒体12と、引込用多孔質媒体16と、流入用多孔質媒体41とによって囲まれる。そのため、引込流路2と外部との間における空気の流通は遮られる。
[アッセイ装置の流体制御について]
図8(a)〜図8(c)本実施形態に係るアッセイ装置の流体制御について説明する。なお、図8(a)〜図8(c)では、窓部17を省略する。図8(a)に示すように、アッセイ装置において、液体Lを流入口1に連続的に供給すると、最初に、液体Lは、流入用多孔質媒体41の毛管力によって、流入口1から流入用多孔質媒体41を通って引込流路2に向かって移動するように促される。その後、液体Lは、ラテラルフローに基づいて流入用多孔質媒体41から計量分岐部2aに流れる。次に、計量分岐部2aにおいて、第1計量区画3が液体Lによって充満される前では、液体Lが、矢印pによって示すように、計量用多孔質媒体12の毛管力に基づいて引込流路2から計量流路6を通って計量区画3に流入し、かつ矢印Fによって示すように、ラテラルフローに基づいて計量分岐部2aを超えて引込流路2の順流方向に流れる。このとき、典型的には、計量区画3に流入する液体Lの量が計量分岐部2aから引込流路2の順流方向に流れる液体Lの量よりも大きくなるとよい。しかしながら、本発明はこれに限定されず、アッセイ装置においては、計量区画に流入する液体の量は、計量分岐部から引込流路の順流方向に流れる液体の量よりも小さくすることができ、かつ計量区画から計量通気路に流れる空気の量は、計量分岐部から引込流路の順流方向に流れる空気の量よりも小さくすることもできる。
図8(b)に示すように、計量区画3内では、液体Lと溶解性物質Dとが混合して、計量区画3の容積に対応した所望の分量の混合液Cが得られる。計量区画3が液体Lによって充満された後では、引込流路2における計量分岐部2aを通る液体Lのすべてが、ラテラルフローに基づいて引込流路2の順流方向に流れる。さらに、液体Lが引込用多孔質媒体16に到達すると、引込用多孔質媒体16の毛管力に基づいて、引込流路2内の液体Lを引込区画15に引き込む作用(引込作用)が開始される。かかる引込作用においては、最初に、引込流路2に残留した液体Lが引込流路2を通って検出部材42に到達し、液体L中の物質が検出部材42に保持されるか又は固定された物質と反応した後、液体Lが引込区画15に引き込まれる。
図8(c)を参照すると、液体Lに続いて計量区画3内の混合液Cが、矢印qによって示すように、計量流路6から引込流路2を通って引込区画15に向かって移動する。混合液Cは、引込流路2上の検出部材42に到達し、混合液C中の物質が検出部材42に保持されるか又は固定された物質と反応する。その後、混合液Cは引込区画15に引き込まれる。引込区画15内で、引込用多孔質媒体16によって液体L及び混合液Cは保持される。本実施形態において、供給停止タイミングは、計量区画3が液体Lによって充満された後にて混合液Cの引き込みを開始できるように定められる。また、液体Lの供給を停止した状態では、流入用多孔質媒体41と計量分岐部2aとの間に位置する引込流路2の一部には、空気が流れないので、液体Lが残留する。また、液体Lの供給を停止した状態では、典型的には、流入用多孔質媒体41は液体Lを実質的に含まないか、又は液体Lによって湿潤した状態となる。
一例として、液体L中に検出対象である特定の抗原が含まれる場合、検出部材42には、前記特定の抗原に特異的に結合する抗体が保持されるか又は固定され、計量区画3内には、前記特定の抗原に特異的に結合する標識抗体を配置することができる。この場合、液体L中の抗原が、ラテラルフローに基づいて検出部材42に固定された抗体と特異的に反応する。液体Lの一部は計量区画3に流入し、計量区画3内にある標識抗体と液体L中の抗原との結合体、及び未反応の標識抗体を含む混合液Cとなる。混合液Cが矢印qによって計量流路6から引込流路2を通り検出部材42に到達すると、混合液C中に含まれる未反応の標識抗体が検出部材42に固定された抗原と特異的に反応して、検出が可能になる。なお、このような反応は一例であって、生化学的反応等に一般的に用いられる各種試薬の組み合わせにより、液体L中の検出対象を定性的に検出することが可能となる。
以上、本実施形態に係るアッセイ装置は、上記第1実施形態と同様の効果に加えて、次の効果を得ることができる。本実施形態に係るアッセイ装置は、流入口1に対応して配置される流入用多孔質媒体41と、計量区画3内に収容される溶解性物質Dと、引込流路2内で引込区画15及び計量分岐部2a間に配置される検出部材42とをさらに備える。そして、かかるアッセイ装置においては、液体Lの一部が先に検出部材42に到達したときに、液体Lに含まれる物質と検出部材42中の物質とを反応させ、次いで、計量区画3にて溶解性物質Dを液体Lに混合させた混合液Cが得られて、かかる混合液Cが検出部材42に到達したときに、混合液C中の物質と、検出部材42中の物質とを反応させるようになっている。すなわち、本実施形態に係るアッセイ装置においては、逐次的に試薬等を順流方向の下流側に移動させることができる。そのため、逐次的に、異なる試薬等をアッセイ装置に添加する操作の必要がなく、液体Lを流入口1に1回滴下するだけで、理想的な多段階反応による生化学反応を実現することが可能となる。さらに好ましくは、本発明のアッセイ装置は、従来技術のセルロース膜と異なり、マイクロ流路がプラスチックフィルム等から構成されているため、タンパク質等の生体物質や試薬等が流路に非特異的に吸着することを防止することができ、検出感度の低下を防止することができる。
[第5実施形態]
第5実施形態に係るアッセイ装置について説明する。本実施形態に係るアッセイ装置は、次に述べる点を除いて、第1実施形態に係るアッセイ装置と同様である。そのため、本実施形態においては、第1実施形態に係るアッセイ装置と同様の構成に関する説明を省略する。
[アッセイ装置の基本的な構成について]
本実施形態に係るアッセイ装置の基本的な構成は次の通りである。図9に示すように、本実施形態に係るアッセイ装置は、第1実施形態と同様の第1及び第2計量区画3,4、第1及び第2計量流路6,7、第1及び第2計量用多孔質媒体12,13、並びに第1及び第2窓部17,18を有する。アッセイ装置は、第1実施形態の第1及び第2計量通気路9,10にそれぞれ対応する第1及び第2計量通気路51,52を有する。
隣接する第1及び第2計量区画3,4のうち上流側の第1計量区画3に対応する第1計量通気路51は、同下流側の第2計量区画4にさらに接続される。最下流の第2計量区画4に対応する第2計量通気路52は、第2計量区画4とアッセイ装置の外部との間で空気を通過させるようになっている。また、アッセイ装置は、第1及び第2溶解性物質D1,D2をそれぞれ第1及び第2計量区画3,4に収容する。アッセイ装置はまた、流入口1に対応して引込流路2の一端部2dに配置される流入用多孔質媒体53を有する。
さらに、アッセイ装置は、液体Lを収容可能に構成される初期計量区画54と、流入口1及びこの流入口1に最も近い第1計量分岐部2a間に位置する引込流路2の初期分岐部2gから分岐し、かつ初期計量区画54に接続される初期計量流路55とを有する。アッセイ装置はまた、疎水性を有し、かつ空気を通過可能とするように、初期計量区画54及びそれに隣接する第1計量区画3を連結する初期計量通気路56を有する。
アッセイ装置は、初期溶解性物質D0を初期計量区画54に収容するように構成されている。アッセイ装置には、引込流路2内で引込区画15とこの引込区画15に最も近い第2計量分岐部2bとの間に配置される検出部材57が設置される。検出部材57は、検体や、それぞれ初期、第1、及び第2溶解性物質D0,D1,D2を液体Lと混合させた初期、第1、及び第2混合液C0〜C2のそれぞれに対して反応しうる試薬等のうち少なくとも1つを保持するか又は固定した多孔質媒体であってよい。
かかるアッセイ装置においては、初期計量区画54と、第1計量区画3と、第2計量区画4とが、引込流路2の順流方向にて順次、液体Lによって充満されるように構成されている。また、初期、第1、及び第2計量区画54,3,4が充満された状態を経て、その後、引込用多孔質媒体16によって、初期、第1、及び第2計量区画54,3,4の液体Lが、引込流路2の順流方向とは反対の逆流方向(矢印Rにより示す)にて順次、それぞれ対応する初期、第1、及び第2計量流路55,6,7から引込流路2を通って引込区画15に引き込まれるようになっている。
[アッセイ装置の具体的な構成について]
本実施形態に係るアッセイ装置の具体的な構成は次の通りである。第1計量通気路51の長手方向の一端部は、第1計量区画3の外側端部3bに接続される上流側接続部51aとなっている。本実施形態では、一例として、上流側接続部51aは第1計量区画3の外側端部3bにおける順流方向の下流側端に接続されている。特に、上流側接続部51aは、第1計量区画3における第1計量流路6との接続部分から最も離れた部分に接続されるとよい。第1計量通気路51の長手方向の他端部は、第2計量区画4の内側端部4aに接続される下流側接続部51bとなっている。本実施形態では、一例として、下流側接続部51bは第2計量区画4の内側端部4aにおける順流方向の上流側端に接続されている。特に、下流側接続部51bは、第2計量区画4における第2計量流路7との接続部分に隣接する部分に接続されるとよい。第1計量通気路51は略クランク形状に形成されるとよい。
第2計量通気路52の長手方向の一端部は、第2計量区画4の外側端部4bに接続される。本実施形態では、一例として、第2計量通気路52の一端部は第2計量区画4の外側端部4bにおける順流方向の下流側端に接続されている。特に、第2計量通気路52の一端部は、第2計量区画4における第2計量流路7との接続部分から最も離れた部分に接続されるとよい。第2計量通気路52の長手方向の他端部はアッセイ装置の外部に向かって開放される。
さらに、初期計量区画54は、引込流路2の幅方向にて引込流路2寄りに位置する内側端部54aと、引込流路2の幅方向にて内側端部54aに対向する外側端部54bとを有する。
初期計量流路55の長手方向の一端部は、引込流路2の初期分岐部2gに接続される。初期計量流路55の長手方向の他端部は、初期計量区画54の内側端部54aに接続される。本実施形態では、一例として、初期計量流路55の他端部は、初期計量区画54の内側端部54aにおける順流方向の上流側端に接続されている。初期計量流路55は、引込流路2の長手方向と交差する方向に略直線状に延びる。特に、初期計量流路55は、引込流路2の長手方向と略直交する方向に略直線状に延びるとよい。初期計量流路55は、引込流路2と初期計量区画54との間で連通する空間となっている。かかる初期計量流路55に多孔質媒体は配置されない。
初期計量通気路56の長手方向の一端部は、初期計量区画54の外側端部54bに接続される上流側接続部56aとなっている。本実施形態では、一例として、上流側接続部56aは初期計量区画54の外側端部54bにおける順流方向の下流側端に接続されている。特に、上流側接続部56aは、初期計量区画54における初期計量流路55との接続部分から最も離れた部分に接続されるとよい。初期計量通気路56の長手方向の他端部は、第1計量区画3の内側端部3aに接続される下流側接続部56bとなっている。本実施形態では、一例として、下流側接続部56bは第1計量区画3の内側端部3aにおける順流方向の上流側端に接続されている。特に、下流側接続部56bは、第1計量区画3における第1計量流路6との接続部分と隣接する部分に接続されるとよい。初期計量通気路56は略クランク形状に形成される。
引込区画15の容積は、初期、第1、及び第2計量区画54,3,4の容積の和よりも大きくなっている。本実施形態においては、検出部材57は、引込用多孔質媒体16の突出部16bと間隔を空けて配置される。しかしながら、検出部材57は、引込用多孔質媒体16の突出部16b内に配置することもできる。かかるアッセイ装置の作製過程において、第1〜第3層部材S1〜S3をこの順に積層するように配置するときに、上述のように、初期、第1、及び第2溶解性物質D0,D1,D2と、検出部材57とを配置するとよい。
さらに、アッセイ装置は、それぞれ初期計量区画54に対応して第1層部材S1に形成される透明な初期窓部58を有するとよい。この場合、第1層部材S1においては、初期、第1、第2窓部58,17,18以外の部分が不透明であってもよい。なお、第1層部材が透明である場合は、窓部が設けられなくてもよい。
特に図示はしないが、アッセイ装置において、さらに、初期計量区画54と、初期計量流路55と、初期計量通気路56とが、第2層部材S2を厚さ方向に貫通するように形成される。また、初期計量流路55と、初期計量通気路56とは、第2層部材S2の平面方向に沿って延びる。初期計量区画54及び初期計量流路55のそれぞれの頂面及び底面は、第1及び第3層部材S1,S3によって画定される。
初期及び第1計量通気路56,51のそれぞれにおける上流側及び下流側接続部56a,51a,56b,51b以外の部分の頂面及び底面は、それぞれ、第1及び第3層部材S1,S3によって画定される。初期及び第1計量通気路56,51のそれぞれにおける上流側及び下流側接続部56a,51a,56b,51bの頂面及び底面は、それぞれ、頂面側及び底面側粘着テープT1,T2によって画定される。初期及び第1計量通気路56,51において、第1実施形態の計量通気路9〜11と同様に、疎水性がもたらされるようになっている。しかしながら、上流側及び下流側接続部の頂面は、頂面側粘着テープの代わりに、粘着剤を塗布した第1層部材によって画定することができ、かつ上流側及び下流側接続部の底面もまた、底面側粘着テープの代わりに、粘着剤を塗布した第3層部材によって画定することができる。あるいは、これらの上流側及び下流側接続部の頂面及び底面の少なくとも一方に粘着剤以外の疎水性物質の層を設けて、上流側及び下流側接続部に疎水性を付与してもよい。
第2計量通気路52の頂面及び底面もまた、それぞれ、頂面側及び底面側粘着テープT1,T2によって画定される。そのため、第2計量通気路52において、第1実施形態の計量通気路9〜11と同様に、疎水性がもたらされるようになっている。しかしながら、第2計量通気路の頂面は、頂面側粘着テープの代わりに、粘着剤を塗布した第1層部材によって画定することができ、かつ第2計量通気路の底面もまた、底面側粘着テープの代わりに、粘着剤を塗布した第3層部材によって画定することができる。あるいは、第2計量通気路の頂面及び底面の少なくとも一方に粘着剤以外の疎水性物質の層を設けて、第2計量通気路に疎水性を付与してもよい。
かかるアッセイ装置において、引込流路2は、初期計量流路55を除いて、アッセイ装置の構成部材によって囲まれる。すなわち、引込流路2は、初期計量流路55を除いて、第1〜第3層部材S1〜S3と、第1及び第2計量用多孔質媒体12,13と、引込用多孔質媒体16と、流入用多孔質媒体53とによって囲まれる。そのため、引込流路2と外部との間における空気の流通は、初期計量流路55のみによってもたらされる。
[アッセイ装置の流体制御について]
図10(a)〜図10(c)及び図11(a)〜図11(c)を参照して、本実施形態に係るアッセイ装置の流体制御について説明する。なお、図10(a)〜図10(c)及び図11(a)〜図11(c)では、初期、第1、及び第2窓部58,17,18を省略する。図10(a)に示すように、アッセイ装置において、液体Lを流入口1に連続的に供給すると、最初に、液体Lは、流入用多孔質媒体53の毛管力によって、流入口1から流入用多孔質媒体53を通って引込流路2に向かって移動するように促される。その後、液体Lは、ラテラルフローに基づいて流入用多孔質媒体53から初期分岐部2gに流れる。
次に、初期分岐部2gにおいて、ラテラルフローに基づいて、矢印p0によって示すように、液体Lが引込流路2から初期計量流路55を通って初期計量区画54に流入し、かつ矢印Fによって示すように、液体Lが初期分岐部2gを超えて引込流路2の順流方向に流れる。このとき、初期計量区画54に流入する液体Lの量は、初期分岐部2gから引込流路2の順流方向に流れる液体Lの量と実質的に等しくなる。
図10(b)に示すように、初期計量区画54内では、液体Lと初期溶解性物質D0とが混合して、計量区画3の容積に対応した所望の分量の初期混合液C0が得られる。次に、第1計量分岐部2aにおいて、第1計量区画3が液体Lによって充満される前では、液体Lが、矢印p1によって示すように、第1計量用多孔質媒体12の毛管力に基づいて引込流路2から第1計量流路6を通って第1計量区画3に流入し、かつ矢印Fによって示すように、ラテラルフローに基づいて第1計量分岐部2aを超えて引込流路2の順流方向に流れる。このとき、典型的には、第1計量区画3に流入する液体Lの量が、第1計量分岐部2aから引込流路2の順流方向に流れる液体Lの量よりも大きくなるとよい。しかしながら、本発明はこれに限定されず、アッセイ装置においては、第1計量区画に流入する液体の量は、第1計量分岐部から引込流路の順流方向に流れる液体の量よりも小さくすることができ、かつ第1計量区画から第1計量通気路に流れる空気の量は、第1計量分岐部から引込流路の順流方向に流れる空気の量よりも小さくすることもできる。
図10(c)に示すように、第1計量区画3内において、液体Lと第1溶解性物質D1とが混合して、計量区画3の容積に対応した所望の分量の第1混合液C1が得られる。第1計量区画3が液体Lによって充満された後では、引込流路2における第1計量分岐部2aを通る液体Lのすべてが、ラテラルフローに基づいて第1計量分岐部2aから引込流路2の順流方向に流れる。さらに、第2計量分岐部2bにおいて、第2計量区画4が液体Lによって充満される前では、液体Lが、矢印p2によって示すように、第2計量用多孔質媒体13の毛管力に基づいて引込流路2から計量流路7を通って第2計量区画4に流入し、かつ矢印Fによって示すように、ラテラルフローに基づいて、第2計量分岐部2bを超えて引込流路2の順流方向に流れる。このとき、典型的には、第2計量区画4に流入する液体Lの量が、第2計量分岐部2bから引込流路2の順流方向に流れる液体Lの量よりも大きくなるとよい。しかしながら、本発明はこれに限定されず、アッセイ装置においては、第2計量区画に流入する液体の量は、第2計量分岐部から引込流路の順流方向に流れる液体の量よりも小さくすることができ、かつ第2計量区画から第2計量通気路に流れる空気の量は、第2計量分岐部から引込流路の順流方向に流れる空気の量よりも小さくすることもできる。
図11(a)に示すように、第2計量区画4内において、液体Lと第2溶解性物質D2とが混合して、第2計量区画4の容積に対応した所望の分量の第2混合液C2が得られる。そして、初期、第1、及び第2計量区画54,3,4が液体Lによって充満された後、液体Lが引込用多孔質媒体16に到達すると、引込用多孔質媒体16の毛管力に基づいて、引込流路2に残留した液体Lを引込区画15に引き込む作用(引込作用)が開始される。
かかる引込作用においては、最初に、引込流路2に残留した液体Lが検出部材57に到達し、液体L中の物質と、検出部材57に保持されるか又は固定された物質とが反応した後、液体Lが引込区画15に引き込まれる。次に、第2計量区画4内の第2混合液C2が、第2計量流路7から引込流路2を通って引込区画15に向かって移動する。このとき、第1計量通気路51の両端部は、第1計量区画3の第1混合液C1及び第2計量区画4の第2混合液C2によって塞がれているので、第1計量通気路51内を空気が流通せず、かつ初期計量通気路56の両端部は、第1計量区画3の第1混合液C1及び初期計量区画54の初期混合液C0によって塞がれているので、初期計量通気路56内を空気が流通しない。そのため、第1混合液C1及び初期混合液C0は、それぞれ、第1計量区画3及び初期計量区画54内で保持される。さらに、第2混合液C2は、引込流路2上で検出部材57に到達し、第2混合液C2中の物質と、検出部材57に保持されるか又は固定された物質とが反応する。その後、第2混合液C2は引込区画15に引き込まれる。
その後、図11(b)に示すように、第1計量通気路51の他端部51bが空気を流通可能とするように開放され、これによって、第1計量区画3内の第1混合液C1が、第1計量流路6から引込流路2を通って引込区画15に向かって移動する。このとき、初期計量通気路56の両端部は、第1計量区画3の第1混合液C1及び初期計量区画54の初期混合液C0によって塞がれているので、初期計量通気路56内を空気が流通しない。そのため、初期混合液C0は初期計量区画54内で保持される。さらに、第1混合液C1は、引込流路2上で検出部材57に到達し、第1混合液C1の物質と、検出部材57に保持されるか又は固定された物質とが反応する。その後、第1混合液C1は引込区画15に引き込まれる。
続いて、図11(c)に示すように、初期計量通気路56の他端部56bが空気を流通可能とするように開放され、これによって、初期計量区画54内の初期混合液C0が、初期計量流路55から引込流路2を通って引込区画15に向かって移動する。さらに、初期混合液C0は、引込流路2上で検出部材57に到達し、第1混合液C1の物質と、検出部材57に保持されるか又は固定された物質とが反応する。その後、初期混合液C0は引込区画15に引き込まれる。液体L、並びに初期、第1、及び第2混合液C0,C1,C2は引込区画15内で保持される。本実施形態において、供給停止タイミングは、初期、第1、及び第2計量区画54,3,4のすべてが液体Lによって充満された後にて初期混合液C0の引き込みを開始できるように定められる。また、液体Lの供給を停止した状態では、流入用多孔質媒体53と初期分岐部2gとの間に位置する引込流路2の一部には、空気が流れないので、液体Lが残留する。また、液体Lの供給を停止した状態では、典型的には、流入用多孔質媒体53は液体Lを実質的に含まないか、又は液体Lによって湿潤した状態となる。
以上、本実施形態に係るアッセイ装置においては、上記第1実施形態と同様の効果に加えて、次の効果を得ることができる。本実施形態に係るアッセイ装置は、流入口1に対応して配置される流入用多孔質媒体53と、液体Lを収容可能に構成される初期計量区画54と、引込流路2の初期分岐部2gから分岐し、かつ初期計量区画54に接続される初期計量流路55と、疎水性を有し、かつ空気を通過可能とするように初期計量区画54及びそれに隣接する第1計量区画3を連結する初期計量通気路56と、初期計量区画54及び第1計量区画3にそれぞれ収容される初期及び第1溶解性物質D0,D1とをさらに備える。そして、初期計量区画54及び第1計量区画3が、引込流路2の順流方向にて順次、液体Lによって充満可能であり、初期計量区画54及び第1計量区画3のそれぞれにて初期及び第1溶解性物質D0,D1を液体Lに混合させた初期及び第1混合液C0,C1を得ることができ、初期計量区画54及び第1計量区画3が充満された状態で、引込用多孔質媒体16によって、初期計量区画54及び第1計量区画3の初期及び第1混合液C0,C1を、引込流路2の逆流方向にて順次、それぞれ対応する初期計量流路55及び第1計量流路6から引込流路2を通って引込区画15に引き込むことができる。そのため、初期計量区画54及び第1計量区画3のそれぞれにて液体Lと初期及び第1溶解性物質D0,D1とが接触することによって正確な量の初期及び第1混合液C0,C1を得ることができ、初期及び第1混合液C0,C1を、それぞれ時間差で引込区画15に送ることができるので、液体Lの制御性能を向上させることができる。
本実施形態に係るアッセイ装置においては、複数の計量流路6,7がそれぞれ複数の計量区画3,4に接続され、複数の計量用多孔質媒体12,13がそれぞれ複数の計量流路6,7に配置され、複数の計量流路6,7が、引込流路2の順流方向にて順次分岐しており、隣接する計量区画6,7のうち上流側の計量区画6に対応する計量通気路51が、同下流側の計量区画7にさらに接続されている。そして、初期計量区画54及び複数の計量区画3,4が、引込流路2の順流方向にて順次、液体Lによって充満可能であり、初期計量区画54及び複数の計量区画3,4が充満された状態で、引込用多孔質媒体16によって、初期計量区画54及び複数の計量区画3,4内の混合液C0,C1,C2を、引込流路2の順流方向とは反対の逆流方向にて順次、それぞれ対応する初期計量流路55及び複数の計量流路6,7から引込流路2を通って引込区画15に引き込むことができる。そのため、初期計量区画54及び複数の計量区画3,4のそれぞれにて液体Lと初期、第1、及び第2溶解性物質D0,D1,D2とが接触することによって正確な量の初期及び第1、第2混合液C0,C1,C2を得ることができ、これらの混合液C0,C1,C2を、それぞれ時間差で引込区画15に送ることができるので、液体Lの制御性能を向上させることができる。
本実施形態に係るアッセイ装置は、引込流路2内で引込区画15及びこの引込区画15に最も近い第2計量分岐部2b間に配置される検出部材57をさらに備える。そして、検出部材57に保持あるいは固定された物質が液体L、混合液C0,C1,C2中の物質に対して反応を呈するようになっている。そのため、液体Lを流入口1に1回滴下するだけで、液体L、混合液C0,C1,C2を、時間差で、検出部材57に到達させることができる。すなわち、複数の、例えば2以上の異なる試薬を所望の正確な量で液体Lに溶解し、所望の順序で、逐次的に下流部の検出部材57に移動させることができる。
ここまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、その技術的思想に基づいて変形及び変更可能である。