以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかるピッキングカート30を用いて構成されたピッキングシステム1のシステム構成図である。同図に示すように、ピッキングシステム1は、物品(以下「商品」という)のピッキング作業を管理する管理装置10と、商品を収納する載置体(以下「コンテナ」という)を載置して移動するピッキングカート30とを具備して構成されている。管理装置10は、その上位にあるホストコンピュータ20と接続されている。そして例えば、管理装置10は、商品の注文データをホストコンピュータ20から受信する。また管理装置10は、無線ルータ25を介して、各ピッキングカート(以下「カート」という)30,・・・と通信する。例えば、管理装置10は、所定位置から取り出し指示された商品を特定する情報と、当該商品の取り出し個数と、当該商品を載置するカート30の下記する載置部33,37(33−1〜4,37−1〜4)とコンテナの組合せ情報等をカート30へ送信する。
図2はカート30の外観を示す斜視図である。同図に示すように、カート30は、上下2段の棚形状とした枠部材31と、枠部材31の上段側に設置される4つの載置部(以下「計量部」という)33−1〜4と、前記各計量部33−1〜4の間の隙間S1−1〜S1−3の略中央に設置される検知部35−1〜3と、枠部材31の下段側に設置される4つの載置部(以下「計量部」という)37−1〜4と、前記各計量部37−1〜4の間の隙間S2−1〜S2−3の略中央に設置される検知部39−1〜3と、枠部材31の上段の手前側に設置される一対のハンドル41と、一対のハンドル41の間に設置される表示部43及び第1スキャナ部45と、前記ハンドル41よりもさらに手前側に設置される第2スキャナ部47及びこの第2スキャナ部49を保持する保持部51と、前記枠部材31の上段の1側部に設置される印刷部53と、枠部材31の下段側に設置されるバッテリー55とを具備して構成されている。
枠部材31は、上段部311と下段部313とを有し、上段部311の手前側にはテーブル部315を設け、下段部313の底面には、このカート30を移動させるための図示しないキャスターが設けられている。
上段側の計量部33−1〜4は、何れも同一の矩形状の物品載置部331を有し、所定の隙間S1−1〜S1−3を介して1列に併設されている。各隙間S1−1〜S1−4の中央に設置される検知部35−1〜3は、その隙間S1−1〜S1−4の上にコンテナが位置した際にこれを検出する光電センサや機械式スイッチ等からなるセンサである。
下段側の計量部37−1〜4も、同一の矩形状の物品載置部371を有し、所定の隙間S2−1〜S2−3を介して1列に併設されている。各隙間S2−1〜S2−3の中央に設置される検知部39−1〜3も、その隙間S2−1〜S2−3の上にコンテナが位置した際にこれを検出する光電センサや機械式スイッチ等からなるセンサである。
ハンドル41は、カート30を矢印A方向に押すために、左右に一対設置されている。表示部43は、液晶等からなるタッチパネルで構成されている。表示部43は、作業者がカート30を押しながら、ピッキング作業について指示された作業指示情報等を表示する表示部であると共に、これにタッチすることで所定の作業の結果や作業者側からの各種命令等を入力する入力部でもある。第1スキャナ部45と第2スキャナ部47は、ピッキングする商品のバーコード等を読み取るものである。第1スキャナ部45は表示部43の側部の枠部材31に固定されており、第2スキャナ部47は携帯端末となっていて枠部材31に設けた保持部51に保持されている。第2スキャナ部47は無線によって、カート30と送受信を行う。印刷部53は、枠部材31の側部に設置され、ピッキングした商品を収容するコンテナに貼り付ける出荷用ラベル等を発行する。
図3はカート30のブロック図である。同図に示すように、カート30は、CPU57と、RAM59と、ROM61と、通信部63と、前記表示部43と、前記上段側の計量部33−1〜4と、前記下段側の計量部37−1〜4と、前記各検知部35−1〜3,39−1〜3と、前記第1,第2スキャナ部45,47と、前記印刷部53と、スピーカ部65とを、バス67によって接続している。
CPU57は、各種判断、演算を実行し、カート30に係る種々の機能を実現する。RAM59は、CPU57によって読み出されたデータ、作業指示情報、商品ファイル等を記憶する。ROM61は、例えば、CPU57において実行される各種プログラム(このプログラムには、下記する図10の処理をCPU57に実行させるカート動作用のプログラムを含んでいる)等の各種情報を記憶しており、CPU57はROM61に記憶された制御プログラムを実行することによりカート30の動作を制御する。通信部63は、前記無線ルータ25を介して管理装置10と送受信する。スピーカ部65は、エラー報知等を音や音声によって行う報知部である。
図4は、管理装置10のブロック図である。同図に示すように、管理装置10は、CPU11と、RAM13と、ROM15と、HDD(ハードディスク、記憶手段)17と、通信部19と、表示部21と、操作部23とを、バス24で接続して構成されている。CPU11は、ROM15に記憶されている制御プログラムを実行することにより、管理装置10の動作を制御する。ROM15は、例えば、CPU11において実行される各種プログラム(このプログラムには、下記する図9,図18の処理をCPU11に実行させるピッキングシステム動作用のプログラムを含んでいる)等の各種情報を記憶する。RAM13は、種々の情報を一時記憶する。通信部19は、前記無線ルータ25を介して各カート30と送受信したり、前記ホストコンピュータ20と送受信したりする。
管理装置10は、カート30における各計量部33−1〜4,37−1〜4の配置位置を管理するカートファイルを記憶する。即ち例えば、管理装置10は、図5に示すようなカートファイルを記憶する。図5に示す例において、カートファイルは、カート30を識別するカート番号(カート識別情報)「0010」に対応付けて、当該カート30の上段左端の計量部33−1を識別する計量部番号「0011」、当該カート30の上段左中側の計量部33−2を識別する計量部番号「0012」、・・・等の情報からなっている。
また管理装置10は、図6に示すような商品ファイルを記憶する。図6に示す例において、商品ファイルは、商品識別情報毎に、その商品名、単位重量値、ロケーションナンバー等の情報からなっている。ここで商品識別情報は、例えばJANコード等である。またロケーションナンバーは、その商品の倉庫内での収納場所を示している。
管理装置10は、商品の在庫管理や、ピッキング指示データの作成等を行う。管理装置10は、ホストコンピュータ20から、受注データを受信する。受信したオーダーは、管理装置10のデータベース(HDD17)へ移行され、ピッキング指示データ作成アプリケーション等によって、配送日や部門、カテゴリ別、荷姿別、またボール・バラ単位の出荷品目を対象に容量計算が実行されて、いわゆる梱包単位のピッキング指示データを作成する。ここでピッキング指示データは、当該カート30の各計量部33−1〜4,37−1〜4とその上に載置されるコンテナの組合せを指示する組合せ情報ファイルと、これら各コンテナに投入する商品の種類と数量等を指示する作業指示情報ファイルとを有する。
前記受注データは、受注締め時間や任意のタイミングで管理装置10へ送信される。管理装置10では、在庫引き当て等を行い、出荷可能品目のみ、ピッキング指示データを作成することもできる。作成されたピッキング指示データは、カート30で取り込みを行うことが可能になる。管理装置10からカート30へのピッキング指示データの送信は、カート30からの作業開始要求信号の受信、またはカート30からの載置部とコンテナの組合せ情報の受信によって行う。
図7は、カート番号「0010」のカート30に対して送信されるピッキング指示データの内の、計量部とコンテナの組合せ情報ファイルの一例を示す図である。同図に示すように、この例では、コンテナ「001」を2つの隣接する計量部33−1,33−2にまたぐように載置し、コンテナ「002」を計量部33−3のみに載置し、コンテナ「003」を計量部33−4のみに載置し、コンテナ「004」を3つの隣接する計量部37−1,37−2,37−3にまたぐように載置し、コンテナ「005」を計量部37−4のみに載置する指示内容となっている。
図8は、カート番号「0010」のカート30に対して送信されるピッキング指示データの内の、作業指示情報ファイルの一例を示す図である。同図に示すように、この例では、前記カート30の各コンテナ「001」〜「005」にそれぞれ収納する商品の種類と数量が指示され、また各商品が収納されている倉庫(商品棚)のロケーションナンバーが表示されている。
次に、上記ピッキングシステム1の動作の一例を説明する。
図9,図10は、ピッキングを行う際の、動作の一例を示す動作フロー図であり、図9は管理装置10側の動作フロー図、図10はカート30側の動作フロー図である。即ち、まず、作業者がカート30(この例の場合、カート番号「0010」のカート)の表示部43に表示された操作画面上の開始キーを押下(タッチ)すると、そのカート30から管理装置10に作業開始要求信号(ピッキング開始の信号)が送信される(ステップST2−1)。一方、管理装置10は、この作業開始要求信号を受信すると(ステップST1−1)、前記ピッキング指示データ(組合せ情報ファイルと作業指示情報ファイル)を当該カート30に送信する(ステップST1−2)。送信するピッキング指示データは、前記図7に示す組合せ情報ファイルと、図8に示す作業指示情報ファイルとする。送信されたピッキング指示データは、カート30側で受信される(ステップST2−2)。
次に、カート30では、その表示部43に、計量部とコンテナの組合せ情報の内の1つのコンテナと計量部の組合せ情報を表示する(ステップST2−3)。具体的には、図7に示す組合せ情報ファイルによって、コンテナ「001」を、2つの計量部33−1,33−2にまたぐように載置する指示を行う。つまりコンテナ「001」は2つの計量部にまたがる大きさのコンテナということになる。
作業者が前記指示に従って、コンテナ「001」を、2つの計量部33−1,33−2にまたぐように載置すると、これを検知部35−1が検知し(ステップST2−4)、正しい場所に載置されたかを判定する。正しい位置に載置されたことが確認されると、続いて、印刷部53によって出荷用ラベルが発行される(ステップST2−5)。出庫用ラベルには、作業指示番号(バーコード)等が印刷されている。作業者は、発行された出庫用ラベルをコンテナ「001」に貼付し、前記作業指示番号(バーコード)と、載置場所に予め貼付されているバーコードを第2スキャナ部47によってスキャン照合する(ステップST2−6)。両者が一致していない場合は表示部43にエラーを表示し、又はスピーカ部65から警報音を発する(ステップST2−16)。一方、両者が一致している場合は、ステップST2−7に移行し、全ての組合せが完了したか否かを判定し、現在はまだ完了していないので、ステップST2−3に戻り、表示部43に、次のコンテナと計量部の組合せ情報を表示する(ステップST2−3)。具体的には、図7に示す組合せ情報ファイルによって、コンテナ「002」を、1つの計量部33−3の上に載置する指示を行う。つまりコンテナ「002」は1つの計量部のみに載る大きさのコンテナということになる。そしてステップST2−4〜ST2−7の動作を上記と同様に行う。上記ステップST2−3〜ST2−7の動作を、コンテナと計量部の組合せの数だけ繰り返し行い(この例では5回行う)、全ての組合せが完了したら、ステップST2−8に移行する。
なお、前記最初のステップST2−3において、全てのコンテナと計量部の組合せ情報を表示して全てのコンテナを各計量部に載置した後、全てのコンテナにそれぞれ対応するラベルを同時に発行し、同時に全てのコンテナに貼り付けながら、各作業指示番号(バーコード)と、各載置場所に予め貼付されているバーコードを第2スキャナ部47によってスキャン照合して、全ての組合せを一度に完了させるようにしても良い。
次に、表示部43に、作業指示情報を表示する(ステップST2−8)。作業指示情報には、最初の商品のロケーション指示と、投入するコンテナ番号が表示される。即ちこの例の場合、例えば最初に商品Aをピックアップするとした場合は、ロケーション番号「ア−110」と、投入する番号「001」,「002」,「004」の各コンテナ等が表示される。
そして作業者は、上記表示部43に表示されたロケーションにカート30を移動し、当該ロケーションに位置する商品Aを取り出してその商品Aに付されている識別コード(バーコード)を第1(又は第2)スキャナ部45(47)で読み取り(ステップST2−9)、読み取った商品が商品Aと一致しない場合(ステップST2−10)は、表示部43にエラーを表示し、又はスピーカ部65から警報音を発する(ステップST2−17)。一方、両者が一致している場合は、ステップST2−11に移行し、商品Aを番号「001」、「002」、「004」の各コンテナにそれぞれ所定の個数ずつ投入するメッセージを表示部43に表示する。この例の場合は、番号「001」のコンテナに商品Aを20個、番号「002」のコンテナに商品Aを15個、番号「004」のコンテナに商品Aを5個投入するメッセージを表示する。投入する商品Aの数量検品は、商品Aの単位重量により行われる。投入場所のミスは計量部33−1〜4,37−1〜4の計量によって検出できる。即ち、計量部33−1〜4,37−1〜4を利用することで、投入したコンテナと数量の何れもチェックでき、正確なピッキング作業が実現する。なお、商品の単位重量が軽すぎるものや、個体重量のばらつきがあるもの等は、計量部33,37により正確な数値が算出されない場合がある、その場合は、商品バーコードをスキャンすることで、数量カウントを行い、投入先のコンテナに貼付された識別番号(オーダー番号や作業指示番号など)と照合を繰り返すこと等、計量部33,37を使用しない方法や代表する商品のバーコードをスキャンした後で、置数入力により数量を登録する方法でを進めても良い。
次に、CPU57は、何れかのコンテナに投入された商品Aの重量値が正しくない場合は、表示部43にエラーを表示し、又はスピーカ部65から警報音を発する(ステップST2−18)。一方、全てのコンテナの重量値が正しい場合は、表示部43に表示されている完了キーを押下することで(ステップST2−13)、次のステップST2−14に移行する。ステップST2−14では、次の指示が残っているか否かを判断する。この例の場合、次の指示が残っているので、ステップST2−8に戻り、表示部43に次の作業指示情報を表示する。次の作業指示情報としては、例えば次の商品Bをピックアップするための、ロケーション番号「シ−31」と、投入する番号「001」,「005」の各コンテナ等が表示される。そして作業者は、上記表示部43に表示されたロケーションにカート30を移動し、前記と同様の作業を繰り返す。
上記ステップST2−8〜ステップST2−14を繰り返し行うことで、全ての商品A,B,C,Dの各コンテナへの投入が終了すると、ステップST2−14からステップST2−15に移行し、表示部43に全ての作業が終了した旨を表示する。作業者は、出荷用ラベルの出荷番号バーコードと配送伝票をスキャン照合して紐づけて添付したり、出荷用ラベルの出荷番号バーコードをスキャンすることで配送伝票を印刷部53などから発行する等して、配送工程へと払い出す。
図11は、上記例で示した各コンテナの各計量部への載置状態を示す図であり、図11(a)は上段の4つの計量部33−1〜4と、これらに載置されるコンテナ(番号「001」〜「003」)を示す図、図11(b)は下段の4つの計量部37−1〜4と、これらに載置されるコンテナ(番号「004」,「005」)を示す図である。同図に示すように、番号「001」のコンテナが、計量部33−1と計量部33−2の上に載置されていることは、検知部35−1が検知することで、容易に検出することができる。また番号「002」,「003」のコンテナが、計量部33−3と計量部33−4の上にそれぞれ別々に載置されていることは、検知部35−2,35−3が検知することで、容易に検出することができる。同様に、番号「004」のコンテナが、計量部37−1,37−2,37−3の上に載置されていることは、検知部39−1,39−2が検知することで、容易に検出することができる。また番号「005」のコンテナが、計量部37−4の上のみに載置されていることは、検知部39−3が検知することで、容易に検出することができる。
各計量部33−1〜4,37−1〜4へのコンテナの載置状態に、種々の変更が可能であることは言うまでもない。即ち例えば、図12に示すように、計量部33−1〜4又は37−1〜4に1つずつそれぞれ小さいコンテナを載置しても良いし、図13に示すように、計量部33−1,2又は37−1,2と、計量部33−3,4又は37−3,4にそれぞれ1つずつ中程度のコンテナを載置しても良いし、図14に示すように、計量部33−1〜4又は37−1〜4の全幅にわたる1つの大きいコンテナを載置しても良い。このように本発明によれば、各種大きさのコンテナを計量部に載置することが可能になる。なお、図15に示すように、載置方法に誤りがあって、例えば1つの計量部33−4(又は37−4)に小さいコンテナを載置するべきところ、隣の計量部33−3(又は37−3)にもそのコンテナの一部が載置されたような場合は、計量部33−3(又は37−3)と計量部33−4(又は37−4)でそれぞれ測定される重量値が正規の重量値ではなくなること等から、その載置ミスを検出することもできる。また、もしも何れかの計量部が故障した場合は、計量部の未使用フラグをオンすることで、その計量部を使用しないでもピッキング指示データを作成するように構成しても良い。
図16は、上段及び(又は)下段の計量部を更に小さく分割し、8つの計量部33−1〜8(又は37−1〜8)とした例を示す図である。隣接した各計量部33−1〜8(又は37−1〜8)間の隙間に、それぞれ検知部35−1〜35−10(又は39−1〜39−10)を設置する。このように構成すれば、例えば図17(a)に示すように、さらに小さいコンテナにも対応でき、より小さな容積のオーダーを複数同時に作業できる。一方、図17(b)〜(d)に示すように、各種形状のコンテナにも対応でき、さらにコンテナの設置方向も縦方向・横方向に向けて載置でき、その自由度が上がる。
図18は、ピッキングを開始する際の、管理装置10側の他の実施形態に係る動作を示す動作フロー図である。またこの実施形態において、カート30側で行う図10の動作フローでは、ステップST2−1がカッコ書きの内容になり、またステップST2−3、ST2−4は不要になる。この実施形態の場合は、作業者がカート30の表示部43に表示された操作画面上の開始キーを押下することでピッキング作業が開始するのではなく、そのカート30の各計量部33−1〜4,37−1〜4にコンテナを載置することで、作業者が計量部とコンテナの組合せを割り付けしてからピッキング作業を開始する点である。
即ちこの例の場合は、まず、カート30の各計量部33−1〜4,37−1〜4に、例えば図11(a),(b)に示すように、番号「001」〜「005」のコンテナを載置する。これによって、カート30のCPU57は、各計量部33−1〜4,37−1〜4から、どのような大きさのコンテナがどの計量部33−1〜4,37−1〜4に載置されたかを検出できる。そしてこのコンテナと計量部33−1〜4,37−1〜4の組合せ情報をRAM59に記憶しておき、表示部43に表示した組合せ情報送信ボタンを押下することで、その組み合わせ情報を管理装置10に送信する(ステップST2−1)。即ち、その組合せ情報に基づいて、ピッキング指示データを管理装置10に要求する要求信号を発信する。
次に、前記組合せ情報を受信した管理装置10は、そのコンテナと計量部33−1〜4,37−1〜4の組み合わせに合わせたピッキング指示データを作成する(ステップST3−1,ST3−2)。このとき作成するピッキング指示データは、前記図8に示す作業指示情報ファイルである。そして、前記組合せ情報に基づいたピッキング指示データが作成できた場合、即ち組み合わせた各コンテナに対して出庫する商品がそれぞれ存在するような場合は、そのピッキング指示データをカート30に送信する(ステップST3−4)。管理装置10よりピッキング指示データを受け取ったカート30では、前記ステップST2−5以降の動作を行い、各コンテナへ商品を投入して行くが、その動作は前記実施形態と同じなので、その詳細な説明は省略する。以上のように、カート30側で各計量部33−1〜4,37−1〜4とコンテナの組合せを決めるように構成すれば、作業者は、例えば、オーダー一覧から得意先や容積、カテゴリ等を、作業性の良い方法で選択することができる。
一方、前記ステップST3−3において、前記組合せ情報に基づいたピッキング指示データが作成できなかった場合、即ち使用する計量部(載置部)の組合せにより指定された容積のピッキング指示データが作成できない旨をカート30に送信する(ステップST3−5)。カート30では、表示部43にピッキング指示データが作成できない旨を表示したり、スピーカ部65から音声等を出力したりして作業者に報知する。ここで、スピーカ部65や表示部43は、報知部を構成する。これによって、作業者は、カート30側から要求した各計量部33−1〜4,37−1〜4とコンテナの組合せが無いことを認識でき、その要求をキャンセルして、他の作業できる各計量部33−1〜4,37−1〜4とコンテナの組合せがあれば改めてこれを要求する。
即ち、上記報知を受けた作業者は、カート30の各計量部33−1〜4,37−1〜4に、別の組み合わせにかかるコンテナを載置したり、または管理装置10からの指示を優先して上述のようにカート30の表示部43に表示された操作画面上の開始キーを押下したりする。もちろん、何れかの載置部にピッキング指示データを紐づけないまま用いるように構成することもできる。
以上説明したように、ピッキング指示データに基づいて商品をピッキングする上記カート30によれば、コンテナを載置する複数の計量部33−1〜4,37−1〜4と、隣接する計量部33−1〜4,37−1〜4の間の上にコンテナが位置することを検出する検知部35−1〜3,39−1〜3とを備えるので、複数の計量部33−1〜4,37−1〜4にわたって1つのコンテナが載置されていることを検出でき、1つの計量部33−1〜4,37−1〜4のサイズを超える大きなコンテナであっても、複数の計量部33−1〜4,37−1〜4を組み合わせることで、より大きなサイズのコンテナへのピッキング作業を行うことができる。逆に言えば、小さな計量部33−1〜4,37−1〜4を多数設けることで、小さなコンテナを多数載置でき、ピッキングできる。
また上記カート30は、計量部33−1〜4,37−1〜4が質量検知部を兼用しているので、単位質量による数量検品が可能になる。これによって、複数のコンテナサイズに対応でき、例えばピッキング作業時にコンテナとして出荷用梱包箱を用いてこれに直接商品を投入することで、ダブル検品(ピッキング作業後の出荷前に行う検品)なく正確なオーダーピッキングを行うことが可能となる。
また上記カート30は、入力された計量部33−1〜4,37−1〜4とコンテナの組合せ情報と、検知部35−1〜3,39−1〜3から出力される検知情報とによって、計量部33−1〜4,37−1〜4上に正しい組合せのコンテナが載置されているか否かを判定する判定手段(前記ステップST2−4やこのステップを実行するCPU57等)を有しているので、入力された組合せ情報(ピッキング指示データ)に対して、実際のコンテナの載置状態が、正しいか否かを判定することができる。即ち、計量部33−1〜4,37−1〜4とコンテナの組合せ指示に対して、コンテナの選択ミスを防止でき、ヒューマンエラーを回避することができる。
また検知部35−1〜3,39−1〜3から出力される検知情報によって、計量部33−1〜4,37−1〜4とコンテナの組合せを認識し、この組合せ情報に基づいて、ピッキング指示データを管理装置10に要求する要求信号を発信するピッキング指示データ要求手段(ステップST2−1のカッコ書きやこのステップを実行するCPU57等)を有する構成とすれば、カート30側から計量部33−1〜4,37−1〜4とコンテナの組合せを指定することができる。即ち、例えばピッキングの作業者は、オーダー一覧から得意先や容積、カテゴリ等を勘案し、作業性の良い方法で、計量部33−1〜4,37−1〜4とコンテナの組合せを選択し、それに合うように管理装置10にピッキング指示データを要求することができる。
また上記カート30は、このカート30からピッキング開始の信号を管理装置10に送信する送信手段(通信部63やステップST2−1を実行するCPU57等)と、管理装置10において前記ピッキング開始の信号を受信した際に作成したカート30の計量部33−1〜4,37−1〜4とコンテナの組合せ情報を受信する受信手段(通信部63やステップST2−2を実行するCPU57等)と、を有するので、作業者側から計量部33−1〜4,37−1〜4とコンテナの組合せ情報を発信しなくても、管理装置10側からの組合せ情報によって、ピッキング作業を行うことができる。
また上記ピッキングシステム1は、ピッキング指示データを管理する管理装置10と、複数の計量部33−1〜4,37−1〜4を有し、管理装置10からのピッキング指示データに基づいて計量部33−1〜4,37−1〜4上に載置したコンテナに商品をピッキングするカート30とを具備するピッキングシステム1であって、管理装置10は、カート30からの作業開始要求に基づいて、計量部33−1〜4,37−1〜4とコンテナの組合せ情報と、各コンテナにピッキングする商品情報と(即ちピッキング指示データ)を前記カート30に出力する第一の出力手段(ステップST1−1,ST1−2及びこれらを実行するCPU11等)と、カート30から送信された計量部33−1〜4,37−1〜4とコンテナの組合せ情報に基づいて、各コンテナにピッキングする商品情報(即ちピッキング指示データ)を前記カート30に出力する第二の出力手段(ステップST3−1〜ST3−4及びこれらを実行するCPU11等)とを有しているので、管理装置10は、独自に、又はカート30からの計量部33−1〜4,37−1〜4とコンテナの組合せ情報に基づいて、ピッキング指示データをカート30に出力することができる。
なお、以上説明したように、カート30を動作させるプログラムは、ピッキング指示データ中の計量部33−1〜4,37−1〜4とコンテナの組合せ情報と、検知部35−1〜3,39−1〜3から出力される検知情報とによって、計量部33−1〜4,37−1〜4上に正しい組合せのコンテナが載置されているか否かを判定する判定ステップ(前記ステップST2−4等)を有している。またピッキングシステム1を動作させるプログラムは、カート30からの作業開始要求に基づいて、計量部33−1〜4,37−1〜4とコンテナの組合せ情報と、各コンテナにピッキングする商品情報と(即ちピッキング指示データ)を出力する第一の出力ステップ(ステップST1−1,ST1−2等)と、カート30から送信された計量部33−1〜4,37−1〜4とコンテナの組合せ情報に基づいて、各コンテナにピッキングする商品情報(即ちピッキング指示データ)を出力する第二の出力ステップ(ステップST3−1〜ST3−4等)とを有している。
ところで、上記実施形態では、計量部33,37上に、載置体として、コンテナを載置する例を説明したが、本発明は、コンテナ等を用いず、計量部33,37上に、ピッキングする物品(一般には段ボール箱等に梱包されている)を直接載置するようにしてもよい。この場合は、ピッキングする物品自体が載置体となる。
また、コンテナの載置間違いを検出する方法としては、表示部43等でどの載置部をどの組合せで使用するか作業者が指定した後に、実際に載置されたコンテナを検出して成否判断を行っても良い。
また、載置部(計量部)のみを使用して成否判定する場合は、1コンテナごと(載置部の組合せ毎)に計量部の質量検出が安定するのを待って、確定操作することにより、成否判定を行っても良い。即ち、隣接する載置部の間に検知部を設けない構成としても、成否判定を行うことができる。例えば、まず1つ目のコンテナを載置し、例えばそのコンテナが載置部を3つ使用するコンテナであれば、載置部が3か所反応するので、コンテナと載置部の1つの組合せが確定する。引き続き同様の操作をし、全ての載置部が指定されても、載置されていない載置部が残っていても、作業開始指令でピッキングを開始する。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの構成であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記実施形態では、載置部として計量機能を有する計量部を用いたが、計量機能を有さない載置部であっても良い。この場合は、例えば、コンテナへ商品を投入する時に、商品の全数スキャンと、出荷用ラベルもしくは載置部に貼付されたバーコードをスキャンするなどすればよい。また例えばコンテナの高さ方向の寸法も検出したい場合は、高さ検出センサを別途設置すればよい。なお、撮像処理により物品の照合や投入コンテナの成否を判定しても良い。このように構成すれば、コンテナ容量をさらに細かく検出でき、より的確なピッキング指示を行うことができる。また、上記記載及び各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、上記記載及び各図の記載内容は、その一部であっても、それぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は上記記載及び各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。