本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の露光装置(パターン形成装置)の全体構成を示す図である。第1実施形態の基板処理装置は、基板Pに露光処理を施す露光装置EXであり、露光装置EXは、露光後の基板Pに各種処理を施してデバイスを製造するデバイス製造システム1に組み込まれている。先ず、デバイス製造システム1について説明する。
<デバイス製造システム>
デバイス製造システム1は、デバイスとしてのフレキシブル・ディスプレーを製造するライン(フレキシブル・ディスプレー製造ライン)である。フレキシブル・ディスプレーとしては、例えば有機ELディスプレー等がある。このデバイス製造システム1は、可撓性(フレキシブル)の基板Pをロール状に巻回した図示しない供給用ロールから、該基板Pが送り出され、送り出された基板Pに対して各種処理を連続的に施した後、処理後の基板Pを可撓性のデバイスとして図示しない回収用ロールに巻き取る、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式となっている。第1実施形態のデバイス製造システム1では、フィルム状のシートである基板Pが供給用ロールから送り出され、供給用ロールから送り出された基板Pが、順次、プロセス装置U1、露光装置EX、プロセス装置U2を経て、回収用ロールに巻き取られるまでの例を示している。ここで、デバイス製造システム1の処理対象となる基板Pについて説明する。
基板Pは、例えば、樹脂フィルム、ステンレス鋼等の金属または合金からなる箔(フォイル)等が用いられる。樹脂フィルムの材質としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂のうち1または2以上を含んでいる。
基板Pは、例えば、基板Pに施される各種処理において受ける熱による変形量が実質的に無視できるように、熱膨張係数が顕著に大きくないものを選定することが望ましい。熱膨張係数は、例えば、無機フィラーを樹脂フィルムに混合することによって、プロセス温度等に応じた閾値よりも小さく設定されていてもよい。無機フィラーは、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ケイ素等でもよい。また、基板Pは、フロート法等で製造された厚さ100μm程度の極薄ガラスの単層体であってもよいし、この極薄ガラスに上記の樹脂フィルム、箔等を貼り合わせた積層体であってもよい。
このように構成された基板Pは、ロール状に巻回されることで供給用ロールとなり、この供給用ロールが、デバイス製造システム1に装着される。供給用ロールが装着されたデバイス製造システム1は、デバイスを製造するための各種の処理を、供給用ロールから送り出される基板Pに対して繰り返し実行する。このため、処理後の基板Pは、複数のデバイスが連なった状態となる。つまり、供給用ロールから送り出される基板Pは、多面取り用の基板となっている。なお、基板Pは、予め所定の前処理によって、その表面を改質して活性化したもの、或いは、表面に精密パターニングの為の微細な隔壁構造(凹凸構造)を形成したものでもよい。
処理後の基板Pは、ロール状に巻回されることで回収用ロールとして回収される。回収用ロールは、図示しないダイシング装置に装着される。回収用ロールが装着されたダイシング装置は、処理後の基板Pを、デバイスごとに分割(ダイシング)することで、複数個のデバイスにする。基板Pの寸法は、例えば、幅方向(短尺となる方向)の寸法が10cm〜2m程度であり、長さ方向(長尺となる方向)の寸法が10m以上である。なお、基板Pの寸法は、上記した寸法に限定されない。
引き続き、図1を参照し、デバイス製造システム1について説明する。デバイス製造システム1は、プロセス装置U1と、露光装置EXと、プロセス装置U2とを備える。なお、図1では、X方向、Y方向及びZ方向が直交する直交座標系となっている。X方向は、水平面内において、プロセス装置U1から露光装置EXを経てプロセス装置U2へ向かう方向である。Y方向は、水平面内においてX方向に直交する方向であり、基板Pの幅方向となっている。Z方向は、X方向とY方向とに直交する方向(鉛直方向)である。
プロセス装置U1は、露光装置EXで露光処理される基板Pに対して前工程の処理(前処理)を行う。プロセス装置U1は、前処理を行った基板Pを露光装置EXへ向けて送る。このとき、露光装置EXへ送られる基板Pは、その表面に感光性機能層(光感応層)が形成された基板(感光基板)Pとなっている。
ここで、感光性機能層は、溶液として基板P上に塗布され、乾燥することによって層(膜)となる。感光性機能層の典型的なものはフォトレジストであるが、現像処理不要な材料として、紫外線の照射を受けた部分の親撥液性が改質される感光性シランカップリング材(SAM)、或いは紫外線の照射を受けた部分にメッキ還元基が露呈する感光性還元材等がある。感光性機能層として感光性シランカップリング材を用いる場合は、基板P上の紫外線で露光されたパターン部分が撥液性から親液性に改質される為、親液性となった部分の上に導電性インク(銀や銅等の導電性ナノ粒子を含有するインク)を選択塗布し、パターン層を形成する。感光性機能層として、感光性還元材を用いる場合は、基板P上の紫外線で露光されたパターン部分にメッキ還元基が露呈する為、露光後、基板Pを直ちにパラジウムイオン等を含むメッキ液中に一定時間浸漬することで、パラジウムによるパターン層が形成(析出)される。
露光装置EXは、プロセス装置U1から供給された基板Pに対して、ディスプレー用の回路または配線等のパターンを描画している。詳細は後述するが、この露光装置EXは、複数の描画ビームLBの各々を所定の走査方向に走査することで得られる複数の描画ラインLL1〜LL5によって、基板Pに対し露光する。
プロセス装置U2は、露光装置EXで露光処理された基板Pに対しての後工程の処理(後処理)を行う。プロセス装置U2は、露光装置EXで露光処理が行われた基板Pが送られる。プロセス装置U2は、露光処理が行われた基板Pに対し、所定の処理を施すことで、基板P上にデバイスのパターン層を形成する。
<露光装置(基板処理装置)>
続いて、図1から図9を参照して、露光装置EXについて説明する。図2は、図1の露光装置の主要部の配置を示す斜視図である。図3は、基板上でのアライメント顕微鏡と描画ラインとの配置関係を示す図である。図4は、図1の露光装置の回転ドラム及び描画装置の構成を示す図である。図5は、図1の露光装置の主要部の配置を示す平面図である。図6は、図1の露光装置の分岐光学系の構成を示す斜視図である。図7は、図1の露光装置の複数の走査器の配置関係を示す図である。図8は、基板上でのアライメント顕微鏡と描画ラインとエンコーダヘッドとの配置関係を示す斜視図である。図9は、図1の露光装置の回転ドラムの表面構造を示す斜視図である。
図1に示すように、露光装置EXは、マスクを用いない露光装置、いわゆるラスタースキャン式の描画露光装置であり、基板Pを搬送方向に搬送しながら、描画ビームLBを所定の走査方向に走査することで、基板Pの表面に描画を行って、基板P上に所定のパターンを形成している。
図1に示すように、露光装置EXは、描画装置11と、基板搬送機構12と、アライメント顕微鏡AM1,AM2と、制御装置16とを備えている。描画装置11は、複数の描画モジュールUW1〜UW5を有し、基板搬送機構12によって搬送される基板Pの一部分に、複数の描画モジュールUW1〜UW5によって、所定のパターンを描画する。基板搬送機構12は、前工程のプロセス装置U1から搬送される基板Pを、後工程のプロセス装置U2に所定の速度で搬送している。アライメント顕微鏡AM1,AM2は、基板P上に描画されるパターンと基板Pとを相対的に位置合せ(アライメント)する為に、基板Pに予め形成されたアライメントマーク等を検出する。制御装置16は、露光装置EXの各部を制御し、各部に処理を実行させる。制御装置16は、デバイス製造システム1を制御する上位の制御装置の一部または全部であってもよい。また、制御装置16は、上位の制御装置に制御される、上位の制御装置とは別の装置であってもよい。制御装置16は、例えば、コンピュータを含む。
また、露光装置EXは、描画装置11及び基板搬送機構12を支持する装置フレーム13(図2参照)と、回転位置検出機構(図4及び図8参照)14とを備えている。さらに、露光装置EX内には、描画ビームLBとしてのレーザ光(パルス光)を射出する光源装置CNTが設けられている。この露光装置EXは、光源装置CNTから射出された描画ビームLBを、描画装置11で案内して、基板搬送機構12で搬送される基板Pに投射する。
図1に示すように、露光装置EXは、温調チャンバーEVC内に格納されている。温調チャンバーEVCは、パッシブまたはアクティブな防振ユニットSU1,SU2を介して製造工場の設置面Eに設置される。防振ユニットSU1,SU2は、設置面E上に設けられており、設置面Eからの振動を低減する。温調チャンバーEVCは、内部を所定の温度に保つことで、内部において搬送される基板Pの温度による形状変化を抑制している。
次に、図1を参照して、露光装置EXの基板搬送機構12について説明する。基板搬送機構12は、基板Pの搬送方向の上流側から順に、エッジポジションコントローラEPC、駆動ローラDR4、テンション調整ローラRT1、回転ドラム(円筒ドラム)DR、テンション調整ローラRT2、駆動ローラDR6、及び駆動ローラDR7を有している。
エッジポジションコントローラEPCは、プロセス装置U1から搬送される基板Pの幅方向における位置を調整する。エッジポジションコントローラEPCは、プロセス装置U1から送られる基板Pの幅方向の端部(エッジ)における位置が、目標位置に対して±十数μm〜数十μm程度の範囲に収まるように、基板Pを幅方向に移動させて、基板Pの幅方向における位置を修正する。
駆動ローラDR4は、エッジポジションコントローラEPCから搬送される基板Pの表裏両面を挟持しながら回転し、基板Pを搬送方向の下流側に送り出すことで、基板Pを回転ドラムDRへ向けて搬送する。回転ドラムDRは、基板P上でパターン露光される部分を円筒面状に支持しつつ、Y方向に延びる回転中心線AX2を中心として、回転中心線AX2の回りに回転することで、基板Pを搬送する。このような回転ドラムDRを回転中心線AX2の回りに回転させる為に、回転ドラムDRの両側には回転中心線AX2と同軸のシャフト部Sf2が設けられる。このシャフト部Sf2には、不図示の駆動源(モータや減速ギア機構等)からの回転トルクが与えられる。なお、回転中心線AX2を通り、Z方向に延びる面は、中心面p3となっている。2組のテンション調整ローラRT1,RT2は、回転ドラムDRに巻き付けられて支持される基板Pに、所定のテンションを与えている。2組の駆動ローラDR6,DR7は、基板Pの搬送方向に所定の間隔を空けて配置されており、露光後の基板Pに所定のたるみ(あそび)DLを与えている。駆動ローラDR6は、搬送される基板Pの上流側を挟持して回転し、駆動ローラDR7は、搬送される基板Pの下流側を挟持して回転することで、基板Pをプロセス装置U2へ向けて搬送する。このとき、基板Pは、たるみDLが与えられているため、駆動ローラR6よりも搬送方向の下流側において生ずる基板Pの搬送速度の変動を吸収でき、搬送速度の変動による基板Pへの露光処理の影響を縁切りすることができる。
従って、基板搬送機構12は、プロセス装置U1から搬送されてきた基板Pを、エッジポジションローラEPCによって幅方向における位置を調整する。基板搬送機構12は、幅方向の位置が調整された基板Pを、駆動ローラDR4によりテンション調整ローラRT1に搬送し、テンション調整ローラRT1を通過した基板Pを、回転ドラムDRに搬送する。基板搬送機構12は、回転ドラムDRを回転させることで、回転ドラムDRに支持される基板Pを、テンション調整ローラRT2へ向けて搬送する。基板搬送機構12は、テンション調整ローラRT2に搬送された基板Pを、駆動ローラDR6に搬送し、駆動ローラDR6に搬送された基板Pを、駆動ローラDR7に搬送する。そして、基板搬送機構12は、駆動ローラDR6及び駆動ローラDR7により、基板PにたるみDLを与えながら、基板Pをプロセス装置U2へ向けて搬送する。
次に、図2を参照して、露光装置EXの装置フレーム13について説明する。図2では、X方向、Y方向及びZ方向が直交する直交座標系となっており、図1と同様の直交座標系となっている。露光装置EXは、図1に示す描画装置11と、基板搬送機構12の回転ドラムDRとを支持する装置フレーム13を備えている。
図2に示す装置フレーム13は、Z方向の下方側から順に、本体フレーム21と、三点座(支持機構)22と、第1光学定盤23と、回転機構24と、第2光学定盤25とを有している。本体フレーム21は、防振ユニットSU1,SU2を介して設置面E上に設置されている。本体フレーム21は、回転ドラムDR及びテンション調整ローラRT1(不図示),RT2を回転可能に軸支している。第1光学定盤23は、回転ドラムDRの鉛直方向の上方側に設けられ、三点座22を介して本体フレーム21に設置されている。三点座22は、第1光学定盤23を3つの支持点22aで支持しており、各支持点22aにおけるZ方向の長さを調整可能となっている。このため、三点座22は、水平面に対する第1光学定盤23の盤面の傾きを所定の傾きに調整できる。なお、装置フレーム13の組み立て時において、本体フレーム21と三点座22との間は、XY面内において、X方向及びY方向における位置を調整可能となっている。一方で、装置フレーム13の組み立て後において、本体フレーム21と三点座22との間は固定された状態(リジットな状態)となる。このように、三点座22を介して連結される本体フレーム21と第1光学定盤23とは、第1支持部材として機能する。
第2光学定盤25は、第1光学定盤23の鉛直方向の上方側に設けられ、回転機構24を介して第1光学定盤23に設置されている。第2光学定盤25は、その盤面が第1光学定盤23の盤面とほぼ平行になっている。第2光学定盤25には、描画装置11の複数の描画モジュールUW1〜UW5が設置される。回転機構24は、第1光学定盤23及び第2光学定盤25のそれぞれの盤面をほぼ平行に保った状態で、鉛直方向に延びる所定の回転軸Iを中心に、第1光学定盤23に対して第2光学定盤25を回転させている。この回転軸Iは、中心面p3内において鉛直方向に延在するとともに、回転ドラムDRに巻き付けられた基板Pの表面(円周面に倣って湾曲した描画面)内の所定点を通っている(図3参照)。そして、回転機構24は、第1光学定盤23に対して第2光学定盤25を回転させることで、回転ドラムDRに巻き付けられた基板Pに対する複数の描画モジュールUW1〜5の位置を調整することができる。
続いて、図1及び図5を参照して、光源装置CNTについて説明する。光源装置CNTは、装置フレーム13の本体フレーム21上に設置されている。光源装置CNTは、基板Pに投射される描画ビームLBとしてのレーザ光を射出する。光源装置CNTは、基板P上の感光性機能層の露光に適した所定の波長域の光であって、光活性作用の強い紫外域の光を射出する光源を有する。光源としては、例えば、YAGの第三高調波レーザ光(波長355nm)を射出するレーザ光源、或いは半導体レーザ光源からの赤外波長域の種光をファイバー増幅器で増幅した後に波長変換素子(高調波を発生する結晶素子等)によって波長400nm以下の紫外波長域のレーザ光を射出するファイバーアンプレーザ光源等が利用できる。その場合、射出される紫外レーザ光は、連続発振であっても良いし、1パルス当りの発光時間が数十ピコ秒以下で、100MHz以上の周波数で発振するパルスレーザ光であっても良い。その他、光源としては、例えば、紫外域の輝線(g線、h線、i線等)を有する水銀ランプ等のランプ光源、波長450nm以下の紫外域に発振ピークを有するレーザーダイオード、発光ダイオード(LED)等の固体光源、又は遠紫外光(DUV光)を発振するKrFエキシマレーザ光(波長248nm)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、XeClエキシマレーザ光(波長308nm)等を発生する気体レーザ光源が利用できる。
ここで、光源装置CNTから射出された描画ビームLBは、後述の偏光ビームスプリッタPBSに入射する。描画ビームLBは、偏光ビームスプリッタPBSによる描画ビームLBの分離によってエネルギーロスが生じることを抑制すべく、入射される描画ビームLBが偏光ビームスプリッタPBSにおいてほぼ全て反射するような光束にすることが好ましい。偏光ビームスプリッタPBSは、S偏光の直線偏光となる光束を反射し、P偏光の直線偏光となる光束を透過する。このため、光源装置CNTでは、偏光ビームスプリッタPBSに入射する描画ビームLBが直線偏光(S偏光)の光束となるレーザ光を射出することが好ましい。また、レーザ光は、エネルギー密度が高いため、基板Pに投射される光束の照度を適切に確保することができる。
次に、露光装置EXの描画装置11について説明する。描画装置11は、複数の描画モジュールUW1〜UW5を用いた、いわゆるマルチビーム型の描画装置11となっている。この描画装置11は、光源装置CNTから射出された描画ビームLBを複数に分岐させ、分岐させた複数の描画ビームLBを、基板P上の複数(第1実施形態では例えば5つ)の描画ラインLL1〜LL5に沿ってそれぞれ走査させている。そして、描画装置11は、複数の描画ラインLL1〜LL5の各々によって基板P上に描画されるパターン同士を、基板Pの幅方向に継ぎ合わせている。先ず、図3を参照して、描画装置11により複数の描画ビームLBを走査することで基板P上に形成される複数の描画ラインLL1〜LL5について説明する。
図3に示すように、複数の描画ラインLL1〜LL5は、中心面p3を挟んで回転ドラムDRの周方向に2列に配置される。回転方向の上流側の基板P上には、奇数番の第1描画ラインLL1、第3描画ラインLL3及び第5描画ラインLL5が配置される。回転方向の下流側の基板P上には、偶数番の第2描画ラインLL2及び第4描画ラインLL4が配置される。
各描画ラインLL1〜LL5は、基板Pの幅方向(Y方向)、つまり回転ドラムDRの回転中心線AX2に沿って形成されており、幅方向における基板Pの長さよりも短くなっている。より厳密には、各描画ラインLL1〜LL5は、基板搬送機構12により基準速度で基板Pを搬送したときに、複数の描画ラインLL1〜LL5により得られるパターンの継ぎ誤差が最小となるように、回転ドラムDRの回転中心線AX2に対し、所定の角度分だけ僅かに傾けられる。
奇数番の第1描画ラインLL1、第3描画ラインLL3及び第5描画ラインLL5は、回転ドラムDRの回転中心線AX2が延びる方向(軸方向)に、所定の間隔を空けて配置されている。また、偶数番の第2描画ラインLL2及び第4描画ラインLL4は、回転ドラムDRの軸方向に、所定の間隔を空けて配置されている。このとき、第2描画ラインLL2は、軸方向において、第1描画ラインLL1と第3描画ラインLL3との間に配置される。同様に、第3描画ラインLL3は、軸方向において、第2描画ラインLL2と第4描画ラインLL4との間に配置される。第4描画ラインLL4は、軸方向において、第3描画ラインLL3と第5描画ラインLL5との間に配置される。そして、第1〜第5描画ラインLL1〜LL5は、基板P上に描画される露光領域A7の幅方向(軸方向)の全幅をカバーするように、配置されている。
奇数番の第1描画ラインLL1、第3描画ラインLL3及び第5描画ラインLL5に沿って走査される描画ビームLBの走査方向は、一次元の方向となっており、同じ方向となっている。また、偶数番の第2描画ラインLL2及び第4描画ラインLL4に沿って走査される描画ビームLBの走査方向は、一次元の方向となっており、同じ方向となっている。このとき、奇数番の描画ラインLL1,LL3,LL5に沿って走査される描画ビームLBの走査方向と、偶数番の描画ラインLL2,LL4に沿って走査される描画ビームLBの走査方向とは、逆方向となっている。このため、基板Pの搬送方向から見て、奇数番の描画ラインLL1,LL3,LL5の描画開始位置と、偶数番の描画ラインLL2,LL4の描画開始位置とは隣接し、同様に、奇数番の描画ラインLL1,LL3,LL5の描画終了位置と、偶数番の描画ラインLL2,LL4の描画終了位置とは隣接する。
次に、図4から図7を参照して、描画装置11について説明する。描画装置11は、上記した複数の描画モジュールUW1〜UW5と、光源装置CNTからの描画ビームLBを分岐して複数の描画モジュールUW1〜UW5に導くビーム分配光学系SLと、キャリブレーションを行う為のキャリブレーション検出系31とを有する。
ビーム分配光学系SLは、光源装置CNTから射出された描画ビームLBを複数に分岐し、分岐した複数の描画ビームLBを複数の描画モジュールUW1〜UW5へ向けてそれぞれ導いている。ビーム分配光学系SLは、光源装置CNTから射出された描画ビームLBを2つに分岐する第1光学系41と、第1光学系41により分岐された一方の描画ビームLBが照射される第2光学系42と、第1光学系41により分岐された他方の描画ビームLBが照射される第3光学系43とを有する。また、ビーム分配光学系SLは、XYハービング調整機構44と、XYハービング調整機構45とを含んでいる。ビーム分配光学系SLは、光源装置CNT側の一部が本体フレーム21に設置される一方で、描画モジュールUW1〜UW5側の他の一部が第2光学定盤25に設置されている。
第1光学系41は、1/2波長板51と、偏光ミラー52と、ビームディフューザ53と、第1反射ミラー54と、第1リレーレンズ55と、第2リレーレンズ56と、第2反射ミラー57と、第3反射ミラー58と、第4反射ミラー59と、第1ビームスプリッタ60とを有する。
光源装置CNTから+X方向に射出された描画ビームLBは、1/2波長板51に照射される。1/2波長板51は、描画ビームLBの照射面内において回転可能となっている。1/2波長板51に照射された描画ビームLBは、その偏光方向が、1/2波長板51の回転量に応じた所定の偏光方向となる。1/2波長板51を通過した描画ビームLBは、偏光ミラー(偏向ビームスプリッタ)52に照射される。偏光ミラー52は、所定の偏光方向となる描画ビームLBを透過する一方で、所定の偏光方向以外の描画ビームLBを+Y方向に反射する。このため、偏光ミラー52で反射される描画ビームLBは、1/2波長板51を通過していることから、1/2波長板51及び偏光ミラー52の協働によって、1/2波長板51の回転量に応じたビーム強度となる。つまり、1/2波長板51を回転させ、描画ビームLBの偏光方向を変化させることで、偏光ミラー52で反射される描画ビームLBのビーム強度を調整することができる。
偏光ミラー52を透過した描画ビームLBは、ビームディフューザ53に照射される。ビームディフューザ53は、描画ビームLBを吸収しており、ビームディフューザ53に照射される描画ビームLBの外部への漏れを抑制している。偏光ミラー52で+Y方向に反射された描画ビームLBは、第1反射ミラー54に照射される。第1反射ミラー54に照射された描画ビームLBは、第1反射ミラー54により+X方向に反射され、第1リレーレンズ55及び第2リレーレンズ56を介して、第2反射ミラー57に照射される。第2反射ミラー57に照射された描画ビームLBは、第2反射ミラー57により−Y方向に反射されて、第3反射ミラー58に照射される。第3反射ミラー58に照射された描画ビームLBは、第3反射ミラー58により−Z方向に反射されて、第4反射ミラー59に照射される。第4反射ミラー59に照射された描画ビームLBは、第4反射ミラー59により+Y方向に反射されて、第1ビームスプリッタ60に照射される。第1ビームスプリッタ60に照射された描画ビームLBは、その一部が−X方向に反射されて第2光学系42に照射される一方で、その他の一部が透過して第3光学系43に照射される。
ここで、第3反射ミラー58と第4反射ミラー59とは、回転機構24の回転軸I上において所定の間隔を空けて設けられている。また、第3反射ミラー58を含む光源装置CNTまでの構成(図4のZ方向の上方側において二点鎖線で囲んだ部分)は、本体フレーム21側に設置される一方で、第4反射ミラー59を含む複数の描画モジュールUW1〜UW5までの構成(図4のZ方向の下方側において二点鎖線で囲んだ部分)は、第2光学定盤25側に設置される。このため、回転機構24により第1光学定盤23に対して第2光学定盤25が回転しても、回転軸I上に第3反射ミラー58と第4反射ミラー59とが設けられているため、描画ビームLBの光路が変更されることがない。よって、回転機構24により第1光学定盤23に対して第2光学定盤25が回転しても、本体フレーム21側に設置された光源装置CNTから射出される描画ビームLBを、第2光学定盤25側に設置された複数の描画モジュールUW1〜UW5へ好適に案内することが可能となる。
第2光学系42は、第1光学系41で分岐された一方の描画ビームLBを、後述する奇数番の描画モジュールUW1,UW3,UW5へ向けて分岐して導いている。第2光学系42は、第5反射ミラー61と、第2ビームスプリッタ62と、第3ビームスプリッタ63と、第6反射ミラー64とを有する。
第1光学系41の第1ビームスプリッタ60で−X方向に反射された描画ビームLBは、第5反射ミラー61に照射される。第5反射ミラー61に照射された描画ビームLBは、第5反射ミラー61により−Y方向に反射されて、第2ビームスプリッタ62に照射される。第2ビームスプリッタ62に照射された描画ビームLBは、その一部が反射されて、奇数番の1つの描画モジュールUW5に照射される(図5参照)。第2ビームスプリッタ62に照射された描画ビームLBは、その他の一部が透過して、第3ビームスプリッタ63に照射される。第3ビームスプリッタ63に照射された描画ビームLBは、その一部が反射されて、奇数番の1つの描画モジュールUW3に照射される(図5参照)。第3ビームスプリッタ63に照射された描画ビームLBは、その他の一部が透過して、第6反射ミラー64に照射される。第6反射ミラー64に照射された描画ビームLBは、第6反射ミラー64により反射されて、奇数番の1つの描画モジュールUW1に照射される(図5参照)。なお、第2光学系42において、奇数番の描画モジュールUW1,UW3,UW5に照射される描画ビームLBは、−Z方向(Z軸)に対して僅かに斜めとなっている。
第3光学系43は、第1光学系41で分岐された他方の描画ビームLBを、後述する偶数番の描画モジュールUW2,UW4へ向けて分岐して導いている。第3光学系43は、第7反射ミラー71と、第8反射ミラー72と、第4ビームスプリッタ73と、第9反射ミラー74とを有する。
第1光学系41の第1ビームスプリッタ60でY方向に透過した描画ビームLBは、第7反射ミラー71に照射される。第7反射ミラー71に照射された描画ビームLBは、第7反射ミラー71によりX方向に反射されて、第8反射ミラー72に照射される。第8反射ミラー72に照射された描画ビームLBは、第8反射ミラー72により−Y方向に反射されて、第4ビームスプリッタ73に照射される。第4ビームスプリッタ73に照射された描画ビームLBは、その一部が反射されて、偶数番の1つの描画モジュールUW4に照射される(図5参照)。第4ビームスプリッタ73に照射された描画ビームLBは、その他の一部が透過して、第9反射ミラー74に照射される。第9反射ミラー74に照射された描画ビームLBは、第9反射ミラー74により反射されて、偶数番の1つの描画モジュールUW2に照射される。なお、第3光学系43においても、偶数番の描画モジュールUW2,UW4に照射される描画ビームLBは、−Z方向(Z軸)に対して僅かに斜めとなっている。
このように、ビーム分配光学系SLでは、複数の描画モジュールUW1〜UW5へ向けて、光源装置CNTからの描画ビームLBを複数に分岐させている。このとき、第1ビームスプリッタ60、第2ビームスプリッタ62、第3ビームスプリッタ63及び第4ビームスプリッタ73は、複数の描画モジュールUW1〜UW5に照射される描画ビームLBのビーム強度が同じ強度となるように、その反射率(透過率)を、描画ビームLBの分岐数に応じて適切な反射率としている。
XYハービング調整機構44は、第2リレーレンズ56と第2反射ミラー57との間に配置されている。XYハービング調整機構44は、基板P上に形成される描画ラインLL1〜LL5の全てを、基板Pの描画面内において微少移動可能に調整する。XYハービング調整機構44は、図6のXZ面内で傾斜可能な透明な平行平板ガラスと、図6のYZ面内で傾斜可能な透明な平行平板ガラスとで構成される。その2枚の平行平板ガラスの各傾斜量を調整することで、基板P上に形成される描画ラインLL1〜LL5をX方向やY方向に微少シフトさせることができる。
XYハービング調整機構45は、第7反射ミラー71と第8反射ミラー72との間に配置されている。XYハービング調整機構45は、基板P上に形成される描画ラインLL1〜LL5のうち、偶数番の第2描画ラインLL2及び第4描画ラインLL4を、基板Pの描画面内において微少移動可能に調整する。XYハービング調整機構45は、XYハービング調整機構44と同様に、図6のXZ面内で傾斜可能な透明な平行平板ガラスと、図6のYZ面内で傾斜可能な透明な平行平板ガラスとで構成される。その2枚の平行平板ガラスの各傾斜量を調整することで、基板P上に形成される描画ラインLL2,LL4をX方向やY方向に微少シフトさせることができる。
続いて、図4、図5及び図7を参照して、複数の描画モジュールUW1〜UW5について説明する。複数の描画モジュールUW1〜UW5は、複数の描画ラインLL1〜LL5に応じて設けられている。複数の描画モジュールUW1〜UW5には、ビーム分配光学系SLにより分岐された複数の描画ビームLBがそれぞれ照射される。各描画モジュールUW1〜UW5は、複数の描画ビームLBを、各描画ラインLL1〜LL5にそれぞれ導く。つまり、第1描画モジュールUW1は、描画ビームLBを第1描画ラインLL1に導き、同様に、第2〜第5描画モジュールUW2〜UW5は、描画ビームLBを第2〜第5描画ラインLL2〜LL5に導く。図4(及び図1)に示すように、複数の描画モジュールUW1〜UW5は、中心面p3を挟んで回転ドラムDRの周方向に2列に配置される。複数の描画モジュールUW1〜UW5は、中心面p3を挟んで、第1、第3、第5描画ラインLL1,LL3,LL5が配置される側(図5の−X方向側)に、第1描画モジュールUW1、第3描画モジュールUW3及び第5描画モジュールUW5が配置される。第1描画モジュールUW1、第3描画モジュールUW3及び第5描画モジュールUW5は、Y方向に所定の間隔を空けて配置される。また、複数の描画モジュールUW1〜UW5は、中心面p3を挟んで、第2、第4描画ラインLL2,LL4が配置される側(図5の+X方向側)に、第2描画モジュールUW2及び第4描画モジュールUW4が配置される。第2描画モジュールUW2及び第4描画モジュールUW4は、Y方向に所定の間隔を空けて配置される。このとき、第2描画モジュールUW2は、Y方向において、第1描画モジュールUW1と第3描画モジュールUW3との間に位置している。同様に、第3描画モジュールUW3は、Y方向において、第2描画モジュールUW2と第4描画モジュールUW4との間に位置している。第4描画モジュールUW4は、Y方向において、第3描画モジュールUW3と第5描画モジュールUW5との間に位置している。また、図4に示すように、第1描画モジュールUW1、第3描画モジュールUW3及び第5描画モジュールUW5と、第2描画モジュールUW2及び第4描画モジュールUW4とは、Y方向からみて中心面p3を中心に対称に配置されている。
次に、図4を参照して、各描画モジュールUW1〜UW5について説明する。なお、各描画モジュールUW1〜UW5は、同様の構成となっているため、第1描画モジュールUW1(以下、単に描画モジュールUW1という)を例に説明する。
図4に示す描画モジュールUW1は、描画ラインLL1(第1描画ラインLL1)に沿って描画ビームLBを走査すべく、光偏向器81と、偏光ビームスプリッタPBSと、1/4波長板82と、走査器83と、折り曲げミラー84と、テレセントリックなf−θレンズ系85と、Y倍率補正用光学部材86とを備える。また、偏向ビームスプリッタPBSに隣接して、キャリブレーション検出系31が設けられている。
光偏向器81は、例えば、音響光学変調素子(AOM)が用いられている。光偏向器81は、制御装置16によりON/OFFにスイッチングされることで、描画ビームLBの基板Pへの投射/非投射を高速に切り替える。具体的に、光偏向器81には、ビーム分配光学系SLからの描画ビームLBが、第2光学系42中のリレーレンズ91を介して、−Z方向に対して僅かに傾斜して照射される。光偏向器81は、OFFにスイッチングされると、描画ビームLBが傾斜した状態で直進し、光偏向器81を通過した先に設けられる遮光板92により遮光される。一方で、光偏向器81は、ONにスイッチングされると、光偏向器81に入射する描画ビームLBが1次回折ビームとなって−Z方向に偏向されて、光偏向器81から射出し、光偏向器81のZ方向上に設けられる偏向ビームスプリッタPBSに照射される。このため、光偏向器81は、ONにスイッチングされると、描画ビームLBを基板Pに投射し、OFFにスイッチングされると、描画ビームLBを基板Pに非投射の状態にする。
偏向ビームスプリッタPBSは、光偏向器81からリレーレンズ93を介して照射された描画ビームLBを反射する。一方で、偏向ビームスプリッタPBSは、偏向ビームスプリッタPBSと走査器83との間に設けられる1/4波長板82と協働して、描画ビームLB(スポット光)の照射によって基板P(又は回転ドラムDRの外周面)で発生する反射光を透過している。つまり、光偏向器81から偏光ビームスプリッタPBSに照射される描画ビームLBは、S偏光の直線偏光となるレーザ光であり、偏光ビームスプリッタPBSにより反射される。また、偏光ビームスプリッタPBSにより反射された描画ビームLBは、1/4波長板82を通過して基板Pに照射され、基板Pから1/4波長板82を再び通過することで、P偏光の直線偏光となるレーザ光となる。このため、基板P(又は回転ドラムDRの外周面)から発生して偏光ビームスプリッタPBSに照射される反射光は、偏光ビームスプリッタPBSを透過する。なお、偏光ビームスプリッタPBSを透過した反射光は、リレーレンズ94を介してキャリブレーション検出系31に照射される。一方で、偏向ビームスプリッタPBSで反射された描画ビームLBは、1/4波長板82を通過して走査器83に照射される。
図4及び図7に示すように、走査器83は、反射ミラー96と、回転ポリゴンミラー(回転多面鏡)97と、原点検出器98とを有する。1/4波長板82を通過した描画ビームLBは、リレーレンズ95を介して反射ミラー96に照射される。反射ミラー96で反射された描画ビームLBは、回転ポリゴンミラー97に向かう。回転ポリゴンミラー97は、Z方向に延びる回転軸97aと、回転軸97a周りに形成される複数の反射面(例えば8面)97bとを含んで構成されている。回転ポリゴンミラー97は、回転軸97aを中心に所定の回転方向に回転させることで、反射面97bに照射される描画ビームLBの反射角を連続的に変化させ、これにより、反射した描画ビームLBを基板P上の描画ラインLL1に沿って走査させている。回転ポリゴンミラー97で反射された描画ビームLBは、折り曲げミラー84に照射される。原点検出器98は、基板Pの描画ラインLL1に沿って走査する描画ビームLBの原点を検出している。原点検出器98は、各反射面97bで反射する描画ビームLBを挟んで、反射ミラー96の反対側に配置されている。このため、原点検出器98は、f−θレンズ系85に照射される前の描画ビームLBを検出している。つまり、原点検出器98は、基板P上の描画ラインLL1の描画開始位置に照射される直前のタイミングで描画ビームLBの通過を検出している。
走査器83から折り曲げミラー84に照射された描画ビームLBは、折り曲げミラー84により反射され、f−θレンズ系85に照射される。f−θレンズ系85は、テレセントリックf−θレンズを含んでおり、折り曲げミラー84を介して回転ポリゴンミラー97から反射された描画ビームLBを、基板Pの描画面に対し垂直に投射する。このとき、回転ポリゴンミラー97の各反射面97bと、基板Pの描画面とが、描画ラインLL1と直交した副走査方向(基板Pの長尺方向)関して光学的に共役となるように、回転ポリゴンミラー97に向かう描画ビームLBの光路中と、f−θレンズ系85から射出する描画ビームLBの光路中との各々にシリンドリカルレンズ(不図示)が配置され、f−θレンズ系85と協働する面倒れ補正光学系も設けられている。
ここで、図7に示すように、複数の描画モジュールUW1〜UW5における複数の走査器83は、中心面p3を挟んで、左右対称な構成となっている。複数の走査器83は、描画モジュールUW1,UW3,UW5に対応する3つの走査器83が、回転ドラムDRの回転方向の上流側(図7の−X方向側)に配置され、描画モジュールUW2,UW4に対応する2つの走査器83が、回転ドラムDRの回転方向の下流側(図7の+X方向側)に配置されている。そして、上流側の3つの走査器83と、下流側の2つの走査器83とは、中心面p3を挟んで、対向して配置されている。このとき、上流側に配置した各走査器83と、下流側に配置した各走査器83とは、回転軸Iを中心に、180°点対称な構成となっている。このため、上流側の3つの回転ポリゴンミラー97が左回り(XY面内で反時計回り)に回転しながら、回転ポリゴンミラー97に描画ビームLBが照射されると、回転ポリゴンミラー97により反射された描画ビームLBは、描画開始位置から描画終了位置へ向けて所定の走査方向(例えば図7の+Y方向)に走査される。一方で、下流側の2つの回転ポリゴンミラー97が左回りに回転しながら、回転ポリゴンミラー97に描画ビームLBが照射されると、回転ポリゴンミラー97により反射された描画ビームLBは、描画開始位置から描画終了位置へ向けて、上流側の3つの回転ポリゴンミラー97とは逆となる走査方向(例えば図7の−Y方向)に走査される。
ここで、図4のXZ面内でみたとき、奇数番の描画モジュールUW1,UW3,UW5から基板Pに達する描画ビームLBの軸線は、設置方位線Le1と一致した方向になっている。つまり、設置方位線Le1は、XZ面内において、奇数番の描画ラインLL1,LL3,LL5と、回転中心線AX2とを結ぶ線となっている。同様に、図4のXZ面内でみたとき、偶数番の描画モジュールUW2,UW4から基板Pに達する描画ビームLBの軸線は、設置方位線Le2と一致した方向になっている。つまり、設置方位線Le2は、XZ面内において、偶数番の描画ラインLL2,LL4と、回転中心線AX2とを結ぶ線となっている。
Y倍率補正用光学部材86は、f−θレンズ系85と基板Pとの間に配置されている。Y倍率補正用光学部材86は、各描画モジュールUW1〜UW5によって形成される描画ラインLL1〜LL5のY方向の寸法を、微少量だけ拡大または縮小させる。
このように構成された描画装置11は、制御装置16により各部が制御されることで、基板P上に所定のパターンが描画される。つまり、制御装置16は、基板Pに投射される描画ビームLBが走査方向へ走査している期間中、基板Pに描画すべきパターンのCAD情報(例えばビットマップ形式)に基づいて、光偏向器81をON/OFF変調することによって描画ビームLBを偏向し、基板Pの光感応層上にパターンを描画していく。また、制御装置16は、描画ラインLL1に沿って走査する描画ビームLBの走査方向と、回転ドラムDRの回転による基板Pの搬送方向の移動とを同期させることで、露光領域A7中の描画ラインLL1に対応した部分に所定のパターンを描画する。
このとき、各描画モジュールUW1〜UW5から投射される描画ビームLBの基板P上におけるサイズ(スポット径)をD(μm)、描画ビームLBの描画ラインLL1〜LL5に沿った走査速度をV(μm/秒)とした場合、光源装置CNTがパルスレーザ光源の場合は、パルス光の発光繰り返し周期T(秒)を、T<D/Vの関係としている。
次に、図3及び図8を参照して、アライメント顕微鏡AM1,AM2について説明する。アライメント顕微鏡AM1,AM2は、基板P上に予め形成されたアライメントマーク、または回転ドラムDR上に形成された基準マークや基準パターン等を検出する。以下、基板Pのアライメントマーク及び回転ドラムDRの基準マークや基準パターンを、単にマークと称す。アライメント顕微鏡AM1,AM2は、基板Pと基板P上に描画される所定のパターンとを位置合せ(アライメント)したり、回転ドラムDRと描画装置11とをキャリブレーションしたりするために用いられる。
アライメント顕微鏡AM1,AM2は、描画装置11で形成される描画ラインLL1〜LL5よりも、回転ドラムDRの回転方向の上流側に設けられている。また、アライメント顕微鏡AM1は、アライメント顕微鏡AM2に比して回転ドラムDRの回転方向の上流側に配置されている。
アライメント顕微鏡AM1,AM2は、照明光を基板P又は回転ドラムDRに投射すると共に、マークで発生した光を入射する検出プローブとしての対物レンズ系GA、対物レンズ系GAを介して受光したマークの像(明視野像、暗視野像、蛍光像等)を2次元CCD、CMOS等で撮像する撮像系GD等で構成される。なお、アライメント用の照明光は、基板P上の光感応層に対してほとんど感度を持たない波長域の光、例えば波長500〜800nm程度の光である。
アライメント顕微鏡AM1は、Y方向(基板Pの幅方向)に一列に並んで複数(例えば3つ)設けられる。同様に、アライメント顕微鏡AM2は、Y方向(基板Pの幅方向)に一列に並んで複数(例えば3つ)設けられる。つまり、アライメント顕微鏡AM1,AM2は、計6つ設けられている。
図3では、判り易くするため、6つのアライメント顕微鏡AM1,AM2の各対物レンズ系GAのうち、3つのアライメント顕微鏡AM1の各対物レンズ系GA1〜GA3の配置を示す。3つのアライメント顕微鏡AM1の各対物レンズ系GA1〜GA3による基板P(又は回転ドラムDRの外周面)上の観察領域Vw1〜Vw3は、図3に示すように、回転中心線AX2と平行なY方向に、所定の間隔で配置される。図8に示すように、各観察領域Vw1〜Vw3の中心を通る各対物レンズ系GA1〜GA3の光軸La1〜La3は、何れもXZ面と平行となっている。同様に、3つのアライメント顕微鏡AM2の各対物レンズ系GAによる基板P(又は回転ドラムDRの外周面)上の観察領域Vw4〜Vw6は、図3に示すように、回転中心線AX2と平行なY方向に、所定の間隔で配置される。図8に示すように、各観察領域Vw4〜Vw6の中心を通る各対物レンズ系GAの光軸La4〜La6も、何れもXZ面と平行となっている。そして、観察領域Vw1〜Vw3と、観察領域Vw4〜Vw6とは、回転ドラムDRの回転方向に、所定の間隔で配置される。
このアライメント顕微鏡AM1,AM2によるマークの観察領域Vw1〜Vw6は、基板Pや回転ドラムDR上で、例えば、200〜500μm角程度の範囲に設定される。ここで、アライメント顕微鏡AM1の光軸La1〜La3、即ち、対物レンズ系GAの光軸La1〜La3は、回転中心線AX2から回転ドラムDRの径方向に延びる設置方位線Le3と同じ方向に設定される。つまり、設置方位線Le3は、図4のXZ面内でみたとき、アライメント顕微鏡AM1の観察領域Vw1〜Vw3と、回転中心線AX2とを結ぶ線となっている。同様に、アライメント顕微鏡AM2の光軸La4〜La6、即ち、対物レンズ系GAの光軸La4〜La6は、回転中心線AX2から回転ドラムDRの径方向に延びる設置方位線Le4と同じ方向に設定される。つまり、設置方位線Le4は、図4のXZ面内でみたとき、アライメント顕微鏡AM2の観察領域Vw4〜Vw6と、回転中心線AX2とを結ぶ線となっている。このとき、アライメント顕微鏡AM1は、アライメント顕微鏡AM2に比して回転ドラムDRの回転方向の上流側に配置されていることから、中心面p3と設置方位線Le3とがなす角度は、中心面p3と設置方位線Le4とがなす角度に比して大きくなっている。
基板P上には、図3に示すように、5つの描画ラインLL1〜LL5の各々によって描画される露光領域A7が、X方向に所定の間隔を空けて配置される。基板P上の露光領域A7の周囲には、位置合せの為の複数のアライメントマークKs1〜Ks3(以下、マークと略称する)が、例えば十字状に形成されている。
図3において、マークKs1は、露光領域A7の−Y側の周辺領域に、X方向に一定の間隔で設けられ、マークKs3は、露光領域A7の+Y側の周辺領域に、X方向に一定の間隔で設けられる。さらに、マークKs2は、X方向に隣り合う2つの露光領域A7の間の余白領域において、Y方向の中央に設けられる。
そして、マークKs1は、アライメント顕微鏡AM1の対物レンズ系GA1の観察領域Vw1内、及びアライメント顕微鏡AM2の対物レンズ系GAの観察領域Vw4内で、基板Pが送られている間、順次捕捉されるように形成される。また、マークKs3は、アライメント顕微鏡AM1の対物レンズ系GA3の観察領域Vw3内、及びアライメント顕微鏡AM2の対物レンズ系GAの観察領域Vw6内で、基板Pが送られている間、順次捕捉されるように形成される。さらに、マークKs2は、それぞれ、アライメント顕微鏡AM1の対物レンズ系GA2の観察領域Vw2内、及びアライメント顕微鏡AM2の対物レンズ系GAの観察領域Vw5内で、基板Pが送られている間、順次捕捉されるように形成される。
このため、3つのアライメント顕微鏡AM1,AM2のうち、回転ドラムDRのY方向の両側のアライメント顕微鏡AM1,AM2は、基板Pの幅方向の両側に形成されたマークKs1,Ks3を常時観察または検出することができる。また、3つのアライメント顕微鏡AM1,AM2のうち、回転ドラムDRのY方向の中央のアライメント顕微鏡AM1,AM2は、基板P上に描画される露光領域A7同士の間の余白部等に形成されるマークKs2を常時観察または検出することができる。
ここで、露光装置EXは、いわゆるマルチビーム型の描画装置11を適用している為、複数の描画モジュールUW1〜UW5の各描画ラインLL1〜LL5によって、基板P上に描画される複数のパターン同士を、Y方向に好適に継ぎ合わせるべく、複数の描画モジュールUW1〜UW5による継ぎ精度を許容範囲内に抑える為のキャリブレーションが必要となる。また、複数の描画モジュールUW1〜UW5の各描画ラインLL1〜LL5に対するアライメント顕微鏡AM1,AM2の観察領域Vw1〜Vw6の相対的な配置関係(或いは、設計上の配置間隔に対する誤差量)はベースラインと呼ばれ、相対的な配置関係や誤差量は、ベースライン管理によって精密に求められている必要がある。そのベースライン管理の為にも、キャリブレーションが必要となる。
複数の描画モジュールUW1〜UW5による継ぎ精度を確認する為のキャリブレーション、アライメント顕微鏡AM1,AM2のベースライン管理の為のキャリブレーションでは、基板Pを支持する回転ドラムDRの外周面の少なくとも一部に、基準マークや基準パターンを設ける必要がある。そこで、図9に示すように、露光装置EXでは、外周面に基準マークや基準パターンを設けた回転ドラムDRを用いている。
回転ドラムDRは、その外周面の両端側に、後述する回転位置検出機構14の一部を構成するスケール部GPa,GPbが形成されている。また、回転ドラムDRは、スケール部GPa,GPbの内側に、凹状の溝、若しくは凸状のリムによる狭い幅の規制帯CLa,CLbが全周に渡って刻設されている。基板PのY方向の幅は、その2本の規制帯CLa,CLbのY方向の間隔よりも小さく設定され、基板Pは回転ドラムDRの外周面のうち、規制帯CLa,CLbで挟まれた内側の領域に密着して支持される。
回転ドラムDRは、規制帯CLa,CLbで挟まれた外周面に、回転中心線AX2に対して+45度で傾いた複数の線パターンRL1と、回転中心線AX2に対して−45度で傾いた複数の線パターンRL2とを、一定のピッチ(周期)Pf1,Pf2で繰り返し刻設したメッシュ状の基準パターン(基準マークとしても利用可能)RMPが設けられる。
基準パターンRMPは、基板Pと回転ドラムDRの外周面とが接触する部分において、摩擦力や基板Pの張力等の変化が生じないように、全面均一な、斜めパターン(斜格子状パターン)としている。なお、線パターンRL1,RL2は、必ずしも斜め45度である必要はなく、線パターンRL1をY軸と平行にし、線パターンRL2をX軸と平行にした縦横のメッシュ状パターンとしても良い。さらに、線パターンRL1,RL2を90度で交差させる必要はなく、隣接する2本の線パターンRL1と、隣接する2本の線パターンRL2とで囲まれた矩形領域が、正方形(又は長方形)以外の菱形になるような角度で、線パターンRL1,RL2を交差させても良い。
次に、図3、図4及び図8を参照して、回転位置検出機構14について説明する。図8に示すように、回転位置検出機構14は、回転ドラムDRの回転位置を光学的に検出するものであり、例えばロータリーエンコーダ等を用いたエンコーダシステムが適用されている。回転位置検出機構14は、回転ドラムDRの両端部に設けられるスケール部(指標)GPa,GPbと、スケール部GPa,GPbの各々と対向する複数のエンコーダヘッド(読取りヘッド)EN1,EN2,EN3,EN4とを有する。図4及び図8では、スケール部GPaに対向した4つのエンコーダヘッドEN1,EN2,EN3,EN4だけが示されているが、スケール部GPbにも同様のエンコーダヘッドEN1,EN2,EN3,EN4が対向して配置される(図10参照)。
スケール部GPa,GPbは、回転ドラムDRの外周面の周方向の全体に亘って環状にそれぞれ形成されている。スケール部GPa,GPbの目盛は、回転ドラムDRの外周面の周方向に一定のピッチ(例えば20μm)で凹状又は凸状の格子線を刻設した回折格子であり、インクリメンタル型スケールとして構成される。このため、スケール部GPa,GPbは、回転中心線AX2周りに回転ドラムDRと一体に回転する。
基板Pは、回転ドラムDRの両端のスケール部GPa,GPbを避けた内側、つまり、規制帯CLa,CLbの内側に巻き付けられるように構成される。厳密な配置関係を必要とする場合、スケール部GPa,GPbの外周面と、回転ドラムDRに巻き付いた基板Pの部分の外周面とが同一面(中心線AX2から同一半径)になるように設定する。その為には、スケール部GPa,GPbの外周面を、回転ドラムDRの基板巻付け用の外周面に対して、径方向に基板Pの厚み分だけ高くしておけば良い。このため、回転ドラムDRに形成されるスケール部GPa,GPbの外周面を、基板Pの外周面とほぼ同一の半径に設定することができる。そのため、エンコーダヘッドEN1,EN2,EN3,EN4は、回転ドラムDRに巻き付いた基板P上の描画面と同じ径方向位置でスケール部GPa,GPbを検出することができ、計測位置と処理位置とが回転系の径方向に異なることで生ずるアッベ誤差を小さくすることができる。
エンコーダヘッドEN1,EN2,EN3,EN4は、回転中心線AX2からみてスケール部GPa,GPbの周囲にそれぞれ配置されており、回転ドラムDRの周方向において異なる位置となっている。このエンコーダヘッドEN1,EN2,EN3,EN4は、制御装置16に接続されている。エンコーダヘッドEN1,EN2,EN3,EN4は、スケール部GPa,GPbに向けて計測用の光ビームを投射し、その反射光束(回折光)を光電検出することにより、スケール部GPa,GPbの周方向の位置変化に応じた検出信号(例えば、90度の位相差を持った2相信号)を制御装置16に出力する。制御装置16は、エンコーダヘッドEN1〜EN4の各々からの検出信号(2相信号)を不図示のカウンター回路で内挿補間してデジタル処理することにより、回転ドラムDRの角度変化、即ち、エンコーダヘッドEN1〜EN4の各々の設置位置における回転ドラムDRの外周面の周方向の位置変化をサブミクロンの分解能で計測することができる。このとき、制御装置16は、回転ドラムDRの角度変化から、回転ドラムDRにおける基板Pの搬送速度や周方向の移動量も計測することができる。
また、図4及び図8に示すように、エンコーダヘッドEN1は、設置方位線Le1上に配置される。設置方位線Le1は、XZ面内において、エンコーダヘッドEN1による計測用光ビームのスケール部GPa(GPb)上への投射領域(検出位置)と、回転中心線AX2とを結ぶ線となっている。また、上記したように、設置方位線Le1は、XZ面内において、描画ラインLL1,LL3,LL5と、回転中心線AX2とを結ぶ線となっている。以上から、エンコーダヘッドEN1の読取位置と回転中心線AX2とを結ぶ線と、描画ラインLL1,LL3,LL5と回転中心線AX2とを結ぶ線とは、同じ方位線となっている。
同様に、図4及び図8に示すように、エンコーダヘッドEN2は、設置方位線Le2上に配置される。設置方位線Le2は、XZ面内において、エンコーダヘッドEN2による計測用光ビームのスケール部GPa(GPb)上への投射領域と、回転中心線AX2とを結ぶ線となっている。また、上記したように、設置方位線Le2は、XZ面内において、描画ラインLL2,LL4と、回転中心線AX2とを結ぶ線となっている。以上から、エンコーダヘッドEN2の読取位置と回転中心線AX2とを結ぶ線と、描画ラインLL2,LL4と回転中心線AX2とを結ぶ線とは、同じ方位線となっている。
また、図4及び図8に示すように、エンコーダヘッドEN3は、設置方位線Le3上に配置される。設置方位線Le3は、XZ面内において、エンコーダヘッドEN3による計測用光ビームのスケール部GPa(GPb)上への投射領域と、回転中心線AX2とを結ぶ線となっている。また、上記したように、設置方位線Le3は、XZ面内において、アライメント顕微鏡AM1による基板Pの観察領域Vw1〜Vw3と、回転中心線AX2とを結ぶ線となっている。以上から、エンコーダヘッドEN3の読取位置と回転中心線AX2とを結ぶ線と、アライメント顕微鏡AM1の観察領域Vw1〜Vw3と回転中心線AX2とを結ぶ線とは、同じ方位線となっている。
同様に、図4及び図8に示すように、エンコーダヘッドEN4は、設置方位線Le4上に配置される。設置方位線Le4は、XZ面内において、エンコーダヘッドEN4による計測用光ビームのスケール部GPa(GPb)上への投射領域と、回転中心線AX2とを結ぶ線となっている。また、上記したように、設置方位線Le4は、XZ面内において、アライメント顕微鏡AM2による基板Pの観察領域Vw4〜Vw6と、回転中心線AX2とを結ぶ線となっている。以上から、エンコーダヘッドEN3の読取位置と回転中心線AX2とを結ぶ線と、アライメント顕微鏡AM2の観察領域Vw4〜Vw6と回転中心線AX2とを結ぶ線とは、同じ方位線となっている。
エンコーダヘッドEN1,EN2,EN3,EN4の設置方位(回転中心線AX2を中心としたXZ面内での角度方向)を設置方位線Le1,Le2,Le3,Le4で表す場合、図4に示すように、設置方位線Le1,Le2が、中心面P3に対して角度±θ°になるように、複数の描画モジュールUW1〜UW5及びエンコーダヘッドEN1,EN2が配置される。
ここで、制御装置16は、エンコーダヘッドEN1,EN2によってスケール部(回転ドラムDR)GPa,GPbの回転角度位置を検出し、検出した回転角度位置に基づいて基板Pの移動位置を特定しつつ、奇数番及び偶数番の描画モジュールUW1〜UW5による描画制御を行っている。つまり、制御装置16は、基板Pに投射される描画ビームLBが走査方向へ走査している期間中、基板Pに描画すべきパターンのCAD情報に基づいて、光偏向器81をON/OFF変調するが、光偏向器81によるON/OFF変調のタイミングを、検出した回転角度位置(基板Pの移動位置)に基づいて行うことで、基板Pの光感応層上にパターンを精度良く描画することができる。
また、制御装置16は、アライメント顕微鏡AM1,AM2により基板P上のアライメントマークKs1〜Ks3が検出されたときの、エンコーダヘッドEN3,EN4によって検出されるスケール部GPa,GPb(回転ドラムDR)の回転角度位置を記憶することにより、基板P上のアライメントマークKs1〜Ks3の位置と回転ドラムDRの回転角度位置との対応関係を求めることができる。同様に、制御装置16は、アライメント顕微鏡AM1,AM2により回転ドラムDR上の基準パターンRMPが検出されたときの、エンコーダヘッドEN3,EN4によって検出されるスケール部GPa,GPb(回転ドラムDR)の回転角度位置を記憶することにより、回転ドラムDR上の基準パターンRMPの位置と回転ドラムDRの回転角度位置との対応関係を求めることができる。このように、アライメント顕微鏡AM1,AM2は、観察領域Vw1〜Vw6内で、マークをサンプリングした瞬間の回転ドラムDRの回転角度位置(又は周方向位置)を精密に計測することができる。そして、露光装置EXでは、この計測結果に基づいて、基板Pと基板P上に描画される所定のパターンとを位置合せ(アライメント)したり、回転ドラムDRと描画装置11とをキャリブレーションしたりする。
ところで、マルチビーム型の露光装置EXでは、回転ドラムDRによって基板Pが搬送方向(長尺方向)に搬送されながら、基板P上の複数の描画ラインLL1〜LL5に沿って描画ビームLBが走査される。ここで、基板Pは、回転ドラムDRの外周面の一部に巻き付けて搬送されるが、回転ドラムDRの回転による振動等の影響によって、回転ドラムDRと第2光学定盤25との配置関係が相対的に変位する場合がある。回転ドラムDRと第2光学定盤25との配置関係の変位としては、例えば、XY面内おいて、回転ドラムDRの回転中心線AX2が、Y方向に対して傾いてしまうことである。この場合、回転ドラムDRの位置が変位することにより、回転ドラムDRに巻き付けられた基板Pと、第2光学定盤25上に設置された描画装置11との相対配置関係が、露光に適した所定の相対配置関係(初期設定状態)から変位してしまう。このため、第1実施形態の露光装置EXでは、回転ドラムDRと描画装置11との相対的な配置関係を計測する為に、エンコーダヘッドEN1〜EN4の取付けを図10に示すような構成とする。
図10は、図1の露光装置のエンコーダヘッドの配置を示す平面図である。図10に示すように、エンコーダヘッド(第1検出装置)EN1,EN2は、取付部材100を介して、第2光学定盤25に取り付けられている。一方で、エンコーダヘッド(第2検出装置)EN3,EN4は、取付部材101を介して、本体フレーム21に取り付けられ、また、アライメント顕微鏡AM1,AM2も本体フレーム21に取り付けられている。エンコーダヘッドEN1,EN2は、回転ドラムDRの回転中心線AX2の両側に設けられる一対のスケール部GPa,GPbに対応させて一対設けられている。このため、一対のエンコーダヘッドEN1,EN2は、スケール部GPa,GPbのそれぞれの回転位置を検出している。
また、第1光学定盤23と第2光学定盤25との間には、回転機構24による回転量を計測する回転量計測装置105が設けられている。回転量計測装置105は、例えば、リニアエンコーダが用いられ、直動する方向が回転軸Iの周方向に沿うように、回転軸Iから遠い側に配置されている。制御装置16は、回転量計測装置105により検出された回転軸Iの周方向における微少移動量に基づいて、第1光学定盤23に対する第2光学定盤25の回転量を検出する。また、回転機構24は、駆動部106を含み、駆動部106が制御装置16により駆動制御されることで、第2光学定盤25を回転させる。このとき、制御装置16は、回転量計測装置105によって検出される回転量が、所定の回転量となるように、駆動部106の駆動制御を行って、第2光学定盤25を回転させている。
図11は、図10の構成において、回転ドラムDRと描画装置11(特に第2光学定盤25)とがXY面内において相対的に微小回転した場合を説明する平面図である。図11に示すように、回転ドラムDRの回転中心線AX2はY方向に延びており、回転中心線AX2が静止座標系XYZのY軸と正確に平行な状態のとき、回転中心線AX2が基準位置にあるとする。ここで、XY面内において、回転中心線AX2が、床振動や装置内の駆動源からの振動等の影響によって、基準位置から所定の角度θz分だけ傾いたとする。なお、図11では、左回りの変位を+θzとし、右回りの変位を−θzとする。XY面内において、回転中心線AX2が基準位置から所定の角度分だけ傾くと、回転ドラムDRの軸方向における一端部が、所定の方向(例えば図11の−X方向)に移動する一方で、回転ドラムDRの軸方向における他端部が、回転ドラムDRの一端部とは反対の方向(例えば図11の+X方向)に移動する。
このため、一対のエンコーダヘッドEN1,EN2は、回転中心線AX2が基準位置から所定の角度θz分だけ傾くことで、スケール部GPa側のエンコーダヘッドEN1,EN2により検出される回転位置(スケール部GPaの移動位置)と、スケール部GPb側のエンコーダヘッドEN1,EN2により検出される回転位置(スケール部GPbの移動位置)とに、角度θzに応じた差が生じてくる。よって、制御装置16は、一対のエンコーダヘッドEN1,EN2により検出される回転位置に基づいて、XY面内における回転ドラムDRの回転中心線AX2の傾き角度θzを検出することができる。具体的には、スケール部GPa側のエンコーダヘッドEN1に対応したカウンタ回路で計数される計数値(スケールGPaの移動位置)をCD1a、スケール部GPb側のエンコーダヘッドEN1に対応したカウンタ回路で計数される計数値(スケールGPbの移動位置)をCD1bとしたとき、計数値CD1aと計数値CD1bとの差分値を、回転ドラムDR(スケール部GPa、GPb)が一定の角度だけ回転するごと、或いは一定の時間ごとに、逐次求め、その差分値の変化をモニターすることで、回転ドラムDRの回転中心線AX2のXY面内での傾き変動(角度θz)を計測することができる。一対のエンコーダヘッドEN2についても同様にして、スケール部GPa側のエンコーダヘッドEN2に対応したカウンタ回路で計数される計数値(スケールGPaの移動位置)をCD2a、スケール部GPb側のエンコーダヘッドEN2に対応したカウンタ回路で計数される計数値(スケールGPbの移動位置)をCD2bとして、その差分値の変化をモニターすれば良い。
なお、傾き変動(角度θz)の計測に際しては、一対のエンコーダヘッドEN1と、一対のエンコーダヘッドEN2とが、先の図4のようにX方向に関して中心面p3を挟んで対称的な位置に設置されるので、スケール部GPaと対向するエンコーダヘッドEN1による計数値CD1aと、スケール部GPbと対向するエンコーダヘッドEN2による計数値CD2bとの差分値の変化、或いはスケール部GPaと対向するエンコーダヘッドEN2による計数値CD2aと、スケール部GPbと対向するエンコーダヘッドEN1による計数値CD1bとの差分値の変化をモニターしても良い。
ここで、制御装置16は、回転ドラムDRにより搬送される基板Pに対し、描画装置11による描画を好適に行うべく、アライメント顕微鏡AM1,AM2の検出結果に基づいて、基板Pに対する描画装置11の位置を補正している。つまり、制御装置16は、アライメント顕微鏡AM1,AM2により検出したマークKs1〜Ks3の位置に基づいて、基板Pの形状や基板P上に既に形成されたデバイスパターン(下地パターン)領域の変形等の状態を検出し、検出した変形状態(特に傾斜等)に対応するような相対的な補正回転量θ2を求める。なお、補正回転量θ2は、X方向に延びる基準線からの角度である。なお、図11では、左回りの変位を+θ2とし、右回りの変位を−θ2とする。そして、制御装置16は、求めた補正回転量θ2に基づいて、回転機構24の駆動部106を制御することにより、回転ドラムDRに対する第2光学定盤25の配置関係を補正する。
このとき、制御装置16は、求めた相対的な補正回転量θ2に基づいて、回転機構24(第2光学定盤25)を初期位置から回転補正させると、エンコーダヘッドEN1、EN2も回転してしまうので、回転補正後に計測される回転中心線AX2の傾きθzを考慮することができない、すなわち意味をなさなくなる。このため、制御装置16は、事前(又は直前)に計測された回転中心線AX2の傾きθzを考慮して、補正回転量θ2に基づいて、回転機構24を回転させている。
具体的に、制御装置16は、アライメント顕微鏡AM1,AM2の検出結果に基づいて計測された相対的な補正回転量θ2がゼロとなるように、つまり、「θ2−θz(=0°)」がゼロとなるように、回転量計測装置105により回転機構24による回転量を計測しながら、回転機構24を回転させる。
このように、制御装置16は、一対のエンコーダヘッドEN1,EN2の各検出結果に基づいて、回転ドラムDRと第2光学定盤25との所定の相対配置関係から、ずれ情報であるXY面内での回転中心線AX2の傾き(XY面内での回転ドラムDRの傾き)θzを求め、アライメント顕微鏡AM1,AM2によって求めた基板PのXY面内での傾きに対応した補正回転量θ2と回転中心線AX2の傾きθzとの偏差が減少するように、つまり、所定の相対配置関係を維持するように、回転機構24の駆動部106を制御する。
続いて、図12を参照して、露光装置EXの調整方法について説明する。図12は、第1実施形態の露光装置の調整方法に関するフローチャートである。制御装置16は、基板Pに対し描画装置11により好適に描画すべく、回転機構24により回転ドラムDRと第2光学定盤25の配置関係を補正する場合、先ず、アライメント顕微鏡AM1,AM2により検出した検出結果(基板P上のデバイスパターン領域の傾き等)を取得する(ステップS1)。制御装置16は、アライメント顕微鏡AM1,AM2により検出した検出結果に基づいて、回転機構24によって調整すべき補正回転量θ2を求める(ステップS2)。この後、制御装置16は、一対のエンコーダヘッドEN1,EN2の検出結果の比較から、傾きθzに関する情報を取得する(ステップS3)。制御装置16は、一対のエンコーダヘッドEN1,EN2によって検出されるスケール部GPa,GPbのそれぞれの回転角度位置(計数値CD1a、CD1b、CD2a、CD2b)に基づいて、回転中心線AX2の傾きθzを求める(ステップS4)。そして、制御装置16は、求めた補正回転量θ2及び回転中心線AX2の傾きθzの偏差、つまり、「θ2−θz」がゼロとなるように、回転機構24をフィードバック制御等により回転させる(ステップS5)。なお、このステップS5の後、制御装置16は、再度、一対のエンコーダヘッドEN1,EN2によって検出されるスケール部GPa,GPbのそれぞれの回転角度位置(計数値CD1a、CD1b、CD2a、CD2b)に基づいて、回転中心線AX2の新たな傾きθ’zを適当な時間間隔で求める。そして、装置の振動等によって、新たな傾きθ’zが変化してきた場合は、その新たな傾きθ’zが維持されるように、回転機構24がフィードバック制御される。
以上、第1実施形態は、エンコーダヘッドEN1,EN2を、第2光学定盤25に取り付けたので、露光装置EXは、エンコーダヘッドEN1,EN2の検出結果に基づいて、XY面内における、回転ドラムDRと第2光学定盤25との所定の相対配置関係からのずれ情報(回転中心線AX2の傾きθz)を求めることができる。そして、露光装置EXは、求めたずれ情報に基づいて、回転ドラムDRと第2光学定盤25との相対配置関係を補正することが可能となる。よって、露光装置EXは、回転ドラムDRの回転による振動等の影響により、回転ドラムDRの位置が変位しても、回転ドラムDRと第2光学定盤25との所定の相対配置関係を維持することができるため、基板Pに対して精度良く描画装置11による描画を行うことができる。
また、第1実施形態は、エンコーダヘッドEN1,EN2を、設置方位線Le1,Le2上に設けることができる。このため、エンコーダヘッドEN1と回転中心線AX2とを結ぶ方向と、奇数番の描画ラインLL1,LL3,LL5と回転中心線AX2とを結ぶ方向とを同じ方向とすることができる。同様に、エンコーダヘッドEN2と回転中心線AX2とを結ぶ方向と、偶数番の描画ラインLL2,LL4と回転中心線AX2とを結ぶ方向とを同じ方向とすることができる。このため、エンコーダヘッドEN1,EN2と、描画ラインLL1〜LL5との配置関係を合わせることができる。よって、回転ドラムDRの位置が変位しても、回転ドラムDRに対する描画ラインLL1〜LL5の配置関係を、エンコーダヘッドEN1,EN2によって精度良く計測できることから、外乱による影響を受け難い計測を行うことができる。
また、第1実施形態は、エンコーダヘッドEN3,EN4を、本体フレーム21に取り付けることができる。このため、露光装置EXは、エンコーダヘッドEN3,EN4の検出結果に基づいて、アライメント顕微鏡AM1,AM2によるマークKs1〜Ks3の計測を、本体フレーム21(回転ドラムDRの軸受部)を静止基準として行うことができる。そして、露光装置EXは、アライメント顕微鏡AM1,AM2の検出結果に基づいて、回転機構24によって補正すべき相対的な補正回転量θ2を求めることができる。よって、露光装置EXは、求めた補正回転量θ2とずれ情報である回転中心線AX2の傾きθzとの偏差に基づいて、回転ドラムDRと第2光学定盤25との配置関係を精密に補正することが可能となる。
また、第1実施形態は、エンコーダヘッドEN3,EN4を、設置方位線Le3,Le4上に設けることができる。このため、エンコーダヘッドEN3と回転中心線AX2とを結ぶ方向と、観察領域Vw1〜Vw3と回転中心線AX2とを結ぶ方向とを、同じ方向とすることができる。また、エンコーダヘッドEN4と回転中心線AX2とを結ぶ方向と、観察領域Vw4〜Vw6と回転中心線AX2とを結ぶ方向とを、同じ方向とすることができる。このため、エンコーダヘッドEN3,EN4の配置関係と、観察領域Vw1〜Vw6との配置関係を合わせることができる。よって、回転ドラムDRの位置が変位しても、回転ドラムDRに対する観察領域Vw1〜Vw6の配置関係を、エンコーダヘッドEN3,EN4によって精度良く計測できることから、外乱による影響を受け難い計測を行うことができる。
また、第1実施形態は、回転機構24により第1光学定盤23に対し第2光学定盤25を回転させることで、回転ドラムDRと第2光学定盤25との配置関係を補正することができる。このため、露光装置EXは、第2光学定盤25に設置された描画装置11により形成される描画ラインLL1〜LL5を、回転ドラムDRに巻き付けられる基板Pに対して適切な位置に補正することができ、基板Pに精度良く描画装置11による描画を行うことができる。
なお、第1実施形態では、補正回転量θ2を求めるためのステップS1及びステップS2を実行した後、ずれ情報を求めるためのステップS3及びステップS4を実行したが、この構成に限定されない。補正回転量θ2を求めるためのステップS1及びステップS2と、ずれ情報を求めるためのステップS3及びステップS4とを並行に行ってもよいし、ずれ情報を求めるためのステップS3及びステップS4を実行した後、補正回転量θ2を求めるためのステップS1及びステップS2を実行してもよい。
[第2実施形態]
次に、図13を参照して、第2実施形態の露光装置EXについて説明する。図13は、第2実施形態の露光装置の主要部の配置を示す斜視図である。なお、第2実施形態では、第1実施形態と重複する記載を避けるべく、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明し、第1実施形態と同様の構成要素については、第1実施形態と同じ符号を付して説明する。第1実施形態の露光装置EXでは、回転ドラムDRと第2光学定盤25との配置関係の変位として、XY面内おいて、回転ドラムDRの回転中心線AX2がX方向(基準位置)に対して傾く場合について説明した。第2実施形態の露光装置EXでは、回転ドラムDRと第2光学定盤25との配置関係の変位として、YZ面内において、回転ドラムDRの回転中心線AX2がY方向(基準位置)に対して傾く場合について説明する。
図13に示すように、三点座22は、本体フレーム21と、第1光学定盤23及び第2光学定盤25とを連結する連結機構として機能している。ここで、第1実施形態では、三点座22を介して連結される本体フレーム21と第1光学定盤23とを第1支持部材として機能させ、第2光学定盤25を第2支持部材として機能させ、回転機構24を連結機構として機能させていた。第2実施形態では、本体フレーム21を第1支持部材として機能させ、回転機構24を介して連結される第1光学定盤23と第2光学定盤25とを第2支持部材として機能させ、三点座22を連結機構として機能させている。
三点座22は、モータやピエゾ素子等を含む駆動部110を含み、駆動部110が制御装置16により駆動制御されることで、各支持点22aにおけるZ方向の長さ(高さ)を独立に調整し、これにより、本体フレーム21に対する第1光学定盤23の傾きを調整する。ここで、回転中心線AX2はY方向に延びており、Y方向に延びる回転中心線AX2の位置を基準位置とする。YZ面内において、基準位置となる回転中心線AX2が、回転による振動等の影響によって、基準位置から所定の角度分だけ傾く。回転中心線AX2が基準位置から所定の角度分だけ傾くと、回転ドラムDRの軸方向における一端部が、所定の方向(例えば図13の−Z方向)に移動する一方で、回転ドラムDRの軸方向における他端部が、回転ドラムDRの一端部とは反対の方向(例えば図13の+Z方向)に相対移動したことになる。
このため、一対のエンコーダヘッドEN1,EN2が、第2光学定盤25(又は第1光学定盤23)側に取り付けられている場合は、回転中心線AX2が基準位置から所定の角度分だけYZ面内で傾くことで、スケール部GPa側のエンコーダヘッドEN1,EN2により検出される回転角度位置(計数値CD1a、CD2a)と、スケール部GPb側のエンコーダヘッドEN1,EN2により検出される回転角度位置(計数値CD1b、CD2b)とに差が生じ得る。よって、制御装置16は、一対のエンコーダヘッドEN1,EN2により検出される回転角度位置に基づいて、YZ面内における、回転ドラムDRの回転中心線AX2のYZ面内での傾き変化を検出することができる。但し、スケール部GPa側のエンコーダEN1,EN2や、スケール部GPb側のエンコーダヘッドEN1,EN2により検出される回転角度位置の情報には、回転中心線AX2(回転ドラムDR)のZ方向の変位に対しては、ほとんど感度を持たず、第1実施形態のように、回転中心線AX2(回転ドラムDR)のX方向の変位に対して感度を持つような構成となっている。
そこで、第2実施形態においては、図4、図8、図10、図11で示したアライメント顕微鏡AM1、AM2の設置方位に配置された一対のエンコーダヘッドEN3,EN4方向を用いて、回転中心線AX2(回転ドラムDR)の両端側のZ方向の変位を計測する。このため、図10、図11のように、本体フレーム21に取り付けてあったエンコーダヘッドEN3,EN4を第1光学定盤23または第2光学定盤25に取り付け、スケール部GPaと対向する一対のエンコーダヘッドEN3、EN4により検出される回転角度位置(対応するカウンタ回路の計数値CD3a、CD4a)と、スケール部GPbと対向する一対のエンコーダヘッドEN3、EN4により検出される回転角度位置(対応するカウンタ回路の計数値CD3b、CD4b)との差分に基づいて、YZ面内における、基準位置の回転中心線AX2に対する、回転ドラムDRの回転中心線AX2の傾きを検出してもよい。
そして、制御装置16は、一対のエンコーダヘッドEN3,EN4の各検出結果(計数値CD3a、CD3b、CD4a、CD4b)に基づいて、回転ドラムDRと第2光学定盤25との所定の相対配置関係から、ずれ情報であるYZ面内での回転中心線AX2の傾きを求め、求めた回転中心線AX2の傾きが減少するように、つまり、所定の相対配置関係を維持するように、三点座22の駆動部110を制御し、第2光学定盤25全体の傾きを補正する。
以上、第2実施形態は、エンコーダヘッドEN3,EN4(またはエンコーダヘッドEN1,EN2)を、第2光学定盤25に取り付けることにより、エンコーダヘッドEN3,EN4(またはエンコーダヘッドEN1,EN2)の検出結果(回転角度位置の差分)に基づいて、YZ面内における、回転ドラムDRと第2光学定盤25との所定の相対配置関係からのずれ情報(Z方向の変位やYZ面内での傾き)を求めることができる。そして、露光装置EXは、求めたずれ情報に基づいて、回転ドラムDRと第2光学定盤25との相対配置関係を補正することが可能となる。よって、露光装置EXは、振動等の影響により回転ドラムDRの位置が変位しても、回転ドラムDRと第2光学定盤25との所定の相対配置関係を維持することができるため、基板Pに対して精度良く露光を行うことができる。
[第3実施形態]
次に、図14を参照して、第3実施形態の露光装置EXについて説明する。図14は、第3実施形態の露光装置の主要部の配置を示す斜視図である。なお、第3実施形態でも、第1及び第2実施形態と重複する記載を避けるべく、第1及び第2実施形態と異なる部分についてのみ説明し、第1及び第2実施形態と同様の構成要素については、第1及び第2実施形態と同じ符号を付して説明する。第1及び第2実施形態の露光装置EXでは、回転機構24及び三点座22によって、描画装置11側(第2支持部材側)の位置を変位させていた。第3実施形態の露光装置EXでは、X移動機構121及びZ移動機構122によって、回転ドラムDR(回転中心軸AX2)の両端側の位置をX方向とZ方向とに変位させている。
図14に示すように、回転ドラムDRは、軸方向の両側にシャフト部Sf2が設けられ、各シャフト部Sf2は、ベアリング123を介して本体フレーム21に回転可能に軸支されている。両側のベアリング123には、X移動機構121及びZ移動機構122がそれぞれ隣接して設けられ、各X移動機構121及び各Z移動機構122は、ベアリング123をX方向及びZ方向に移動(微動)させることができる。
ここで、第3実施形態では、ベアリング123を第1支持部材として機能させ、装置フレーム13を第2支持部材として機能させ、各X移動機構121及び各Z移動機構122を連結機構として機能させている。
両側の一対のX移動機構121は、両側の一対のベアリング123をX方向にそれぞれ移動させることが可能となっており、XY面内において、回転ドラムDRの回転中心線AX2の傾きとX方向位置を微調整している。ここで、回転中心線AX2は、第1実施形態と同様に、Y方向に延びており、Y方向に延びる回転中心線AX2の位置を基準位置とする。XY面内において、基準位置となる回転中心線AX2が、振動等の影響によって、基準位置から所定の角度分だけ傾いた場合、両側の一対のX移動機構121の駆動量を調整することで、回転ドラムDRのXY面内での傾きが補正できる。
また、両側の一対のZ移動機構122は、両側の一対のベアリング123をZ方向にそれぞれ移動させることが可能となっており、YZ面内において、回転ドラムDRの回転中心線AX2の傾きとZ方向位置を微調整している。ここで、回転中心線AX2は、第2実施形態と同様に、Y方向に延びており、Y方向に延びる回転中心線AX2の位置を基準位置とする。YZ面内において、基準位置となる回転中心線AX2が、振動等の影響によって、基準位置から所定の角度分だけ傾いた場合、両側の一対のZ移動機構122の駆動量を調整することで、回転ドラムDRのYZ面内での傾きが補正できる。
一対のエンコーダヘッドEN1,EN2は、第1実施形態で説明したように、第2光学定盤25と回転ドラムDR(回転中心線AX2)とのXY面内における相対的な傾き誤差を計測可能である。また、第3実施形態でも、第2実施形態と同様に、エンコーダヘッドEN3,EN4を第2光学定盤25(または第1光学定盤23)に取り付けた場合、一対のエンコーダヘッドEN3,EN4は、第2実施形態で説明したように、第2光学定盤25と回転ドラムDR(回転中心線AX2)とのYZ面内における相対的な傾き誤差を計測可能である。
そこで、制御装置16は、一対のエンコーダヘッドEN1,EN2の各検出結果(計数値CD1a、CD1b、CD2a、CD2b)に基づいて、回転ドラムDRと第2光学定盤25との所定の相対配置関係からのずれ情報(XY面内における回転中心線AX2の相対的な傾きθZ)を求める。さらに制御装置16は、アライメント顕微鏡AM1,AM2の検出結果に基づいて、基板P上のデバイスパターン領域の傾き等を計測し、X移動機構121による補正回転量θ2を求める。制御装置16は、求めた補正回転量θ2と回転中心線AX2の傾きθZとの偏差が減少するように、つまり、所定の相対配置関係を維持するように、両側のX移動機構121の駆動量を制御する。同様に、制御装置16は、一対のエンコーダヘッドEN3,EN4の各検出結果(計数値CD3a、CD3b、CD4a、CD4b)に基づいて、回転ドラムDRと第2光学定盤25との所定の相対配置関係から、ずれ情報であるYZ面内での回転中心線AX2の傾き(θXとする)を求め、求めた回転中心線AX2の傾きθXが減少するように、つまり、所定の相対配置関係を維持するように、両側のZ移動機構122の駆動量を制御する。
以上、第3実施形態は、XY面内においてX移動機構121により本体フレーム21に対し回転ドラムDRをZ軸と平行な軸回りに回転させ、また、YZ面内においてZ移動機構122により本体フレーム21に対し回転ドラムDRをX軸と平行な軸回りに回転させることで、回転ドラムDRと第2光学定盤25との相対的な配置関係を調整することができる。このため、露光装置EXは、第2光学定盤25に設置された描画装置11により形成される描画ラインLL1〜LL5を、回転ドラムDRに巻き付けられる基板Pに対して適切な位置に補正することができ、基板Pに精度良くデバイスパターンを露光できる。
[第4実施形態]
次に、図15を参照して、第4実施形態の露光装置EXについて説明する。図15は、第4実施形態の露光装置の回転ドラム及び描画装置の構成を示す図である。なお、第4実施形態でも、第1から第3実施形態と重複する記載を避けるべく、第1から第3実施形態と異なる部分についてのみ説明し、第1から第3実施形態と同様の構成要素については、第1から第3実施形態と同じ符号を付して説明する。第3実施形態の露光装置EXでは、ベアリング123を移動させるX移動機構121及びZ移動機構122によって、回転ドラムDRの位置を変位させていた。第4実施形態の露光装置EXでは、装置フレーム13とは別体のドラム支持フレーム130によって、回転ドラムDRの位置を変位させている。
図15に示すように、ドラム支持フレーム130は、Z方向の下方側から順に、ドラム回転機構131と、ドラム支持部材132とを有している。ドラム回転機構131は、防振ユニットSU3を介して設置面E上に設置されている。ドラム支持部材132は、ドラム回転機構131上に設置され、回転ドラムDRのシャフトを両持ちで回転可能に軸支している。ドラム回転機構131は、XY面内において、Z軸と平行な回転軸Ia(回転中心軸AX2と交差する)を中心にドラム支持部材132を回転させることで、回転ドラムDRの回転中心線AX2のXY面内での傾きを調整する。
また、回転ドラムDRを装置フレーム13とは別体のドラム支持フレーム130に設けるようにしたので、本実施形態は、先の第1〜第3実施形態における三点座22、第1光学定盤23及び回転機構24が省かれており、本体フレーム21上には、第2光学定盤25とそれに支持される描画装置11だけが設置される。ここで、第4実施形態では、ドラム支持フレーム130を第1支持部材として機能させ、装置フレーム13を第2支持部材として機能させ、ドラム回転機構131を連結機構として機能させている。
ここで、制御装置16は、第2光学定盤25に取り付けられた一対のエンコーダヘッドEN1,EN2の各検出結果(計数値CD1a、CD1b、CD2a、CD2b)に基づいて、Y方向に延びる基準位置の回転中心線AX2に対する、回転ドラムDR(回転中心線AX2)と第2光学定盤25とのXY面内における相対的な傾きθZを検出する。さらに制御装置16は、アライメント顕微鏡AM1,AM2の検出結果に基づいて、基板P上のデバイスパターン領域の傾き等を計測し、ドラム回転機構131による補正回転量θ2を求める。制御装置16は、求めた補正回転量θ2と回転中心線AX2の傾きθZとの偏差が減少するように、つまり、所定の相対配置関係を維持するように、ドラム回転機構131を制御する。なお、アライメント顕微鏡AM1,AM2の設置方位と同じ方向に配置される一対のエンコーダヘッドEN3,EN4は、第2光学定盤25に取り付けられるが、ドラム支持部材132側に取り付けても良い。
以上、第4実施形態は、ドラム回転機構131によりドラム支持フレーム130を回転させることで、第2光学定盤25に対して回転ドラムDRを回転させることができるため、回転ドラムDRと第2光学定盤25との相対配置関係を補正することができる。このため、露光装置EXは、回転ドラムDRに巻き付けられる基板Pを、第2光学定盤25に設置された描画装置11により形成される描画ラインLL1〜LL5に対して適切な位置に調整することができ、基板Pに精度良くデバイスパターンを露光できる。
[第5実施形態]
次に、図16を参照して、第5実施形態の露光装置EXについて説明する。図16は、第5実施形態の露光装置のエンコーダヘッドの配置を示す平面図である。なお、第5実施形態でも、第1から第4実施形態と重複する記載を避けるべく、第1から第4実施形態と異なる部分についてのみ説明し、第1から第4実施形態と同様の構成要素については、第1から第4実施形態と同じ符号を付して説明する。第1実施形態の露光装置EXでは、一対のエンコーダヘッドEN1,EN2によって回転ドラムDRの傾きを検出した。第5実施形態では、一対のエンコーダヘッドEN1,EN2と、一対のエンコーダヘッドEN5,EN6によって回転ドラムDRの傾きを検出している。
図16に示すように、一対のエンコーダヘッドEN1,EN2は、取付部材100を介して第2光学定盤25に取り付けられている。また、一対のエンコーダヘッドEN5,EN6は、取付部材141を介して本体フレーム21に取り付けられている。ここで、各エンコーダヘッドEN1と、各エンコーダヘッドEN5は、Y方向に一定の隙間を空けて隣接して設けられている。そして、Y方向に隣接する2つのエンコーダヘッドEN1及びエンコーダヘッドEN5の各々が、共に各スケール部GPa,GPbを検出できるように、スケール部GPa,GPbはY方向の幅を広く設定してある。
ここで、回転ドラムDRは、本体フレーム21に取り付けられていることから、制御装置16は、一対のエンコーダヘッドEN5,EN6の各々により検出される回転角度位置(対応するカウンタ回路の計数値CD5a、CD5b、CD6a、CD6bとする)に基づいて、回転ドラムDRの回転中心線AX2のXY面内における傾きθZRを検出し、検出された傾きθZRを基準位置とする。すなわち、回転中心軸AX2の一方側でスケール部GPaと対向するエンコーダヘッドEN5による計数値CD5aと、回転中心軸AX2の他方側でスケール部GPbと対向するエンコーダヘッドEN5による計数値CD5bとの差分値の変化、或いは、スケール部GPaと対向するエンコーダヘッドEN6による計数値CD6aと、回転中心軸AX2の他方側でスケール部GPbと対向するエンコーダヘッドEN6による計数値CD56との差分値の変化によって、本体フレーム21を基準とした回転ドラムDRのXY面内における傾きθZRの変動が計測できる。
また、制御装置16は、第1実施形態と同様に、一対のエンコーダヘッドEN1,EN2により検出される回転角度位置(計数値CD1a、CD1b、CD2a、CD2b)に基づいて、回転ドラムDRと第2光学定盤25とのXY面内における相対的な傾きθZを求める。従って、一対のエンコーダヘッドEN5,EN6の各々により検出される回転角度位置に基づいて計測される傾きθZRと、一対のエンコーダヘッドEN1,EN2により検出される回転角度位置に基づいて計測される傾きθZとに基づいて、第2光学定盤25を回転機構24によって回転させることで、第2光学定盤25とそれに支持されている描画装置11を、本体フレーム21(静止基準)に対して回転誤差なく設定することができる。但し、第1実施形態と同様に、基板P上に形成するデバイスパターン領域の傾き誤差に対応する場合は、アライメント顕微鏡AM1、AM2の検出結果に基づいて計測されたデバイスパターン領域の相対的な傾きθ2に応じた補正量を加味して回転機構24を駆動する。
以上、第5実施形態は、一対のエンコーダヘッドEN5,EN6により検出される回転位置に基づいて、本体フレーム21を基準とした回転ドラムDRの回転中心線AX2のXY面内での傾きθZRを検出することができる。このため、制御装置16は、回転ドラムDRの回転中心線AX2の基準位置を計測することができ、これにより、回転ドラムDRと第2光学定盤25との所定の相対配置関係を精度良く計測することができる。特に、基板P上にデバイスパターン領域の第1層用のパターンを描画するファースト露光の際には、静止基準となる本体フレーム21に対して回転ドラムDRがXY面内で傾斜しても、ファースト露光のパターンが基板P上で傾いて転写されることが補正される。
[第6実施形態]
次に、図17を参照して、第6実施形態の露光装置EXについて説明する。図17は、第6実施形態の露光装置のスケール円盤の配置を示す平面図である。なお、第6実施形態でも、第1から第5実施形態と重複する記載を避けるべく、第1から第5実施形態と異なる部分についてのみ説明し、第1から第5実施形態と同様の構成要素については、第1から第5実施形態と同じ符号を付して説明する。第1から第5実施形態の露光装置EXでは、回転ドラムDRの外周面に形成されたスケール部GPa,GPbを用いて、回転ドラムDRの回転位置を検出した。第6実施形態の露光装置EXでは、回転ドラムDRに取り付けられた高真円度のスケール円盤SDを用いて、回転ドラムDRの回転位置を検出している。
図17に示すように、このスケール円盤SDは、外周面にスケール部GPa,GPbが刻設され、回転ドラムDRの端部に回転中心線AX2と直交するように固定されている。このため、スケール円盤SDは、回転中心線AX2回りに回転ドラムDRと共に一体に回転する。また、スケール円盤SDは、低熱膨張の金属、ガラス、セラミックス等を母材とし、計測分解能を高めるために、なるべく大きな直径(例えば直径20cm以上)になるように作られる。図17では、スケール円盤SDの外周面の直径を感光ドラムDRの外周面の直径よりも小さく示したが、スケール円盤SDのスケール部GPの直径を、回転ドラムDRに巻き付けられる基板Pの外周面の直径と揃える(ほぼ一致させる)ことで、所謂、計測アッベ誤差をさらに小さくすることができる。
以上、第6実施形態は、回転ドラムDRに別体のスケール円盤SDを取り付けることができるため、回転ドラムDRに適したスケール円盤SDを選択することができる。また、スケール円盤SDとして、周方向の複数ヶ所に真円度を微調整できる機構(押しネジ等)を搭載したものが利用できるので、スケール部GPの回転中心軸AX2からの偏心誤差やスケール(回折格子)のピッチ誤差等による計測誤差(累積誤差)をさらに小さくすることができる。
なお、第1から第6実施形態は、スポット光を走査する描画装置11を用いて基板Pにパターンを形成したが、この構成に限定されず、基板Pにパターンを形成する装置であれば良く、例えば、透過型または反射型の平坦、或いは円筒状のマスクを用いて、マスクからの投影光束を基板Pに投影露光して、基板Pにパターンを形成する投影露光系であってもよい。さらに、マスクの代わりに傾斜可能な多数のマイクロミラーをマトリックス状に並べたデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)によって、描画すべきパターンに対応した光分布を基板Pに投影するマスクレス方式の露光装置であっても良い。また、基板Pにパターンを形成する装置としては、例えば、インク等の液滴を吐出するインクジェットヘッドを用いて、基板Pにパターンを形成するインクジェット方式の描画装置であってもよい。そのようなマスクレス方式の露光機やインクジェット方式の描画装置の場合も、例えば特開2010−091990号公報に開示されているように、DMDで作られるパターンに対応した光分布を基板Pに投影する露光部(パターン形成部)の複数を基板Pの幅方向に並べた構成、或いはインクジェット方式のインクノズルを備えた液滴塗布部(パターン形成部)の複数を基板Pの幅方向に並べた構成として、複数の露光部の全体、或いは複数の液滴塗布部の全体を基板Pに対してXY面内で相対回転可能な構成としても良い。
また、第1から第6実施形態では、描画装置11を構成する複数の描画モジュールUW1〜UW5が固定される第2光学定盤25を回転機構24によってXY面内で回転させる構成としたが、描画ラインLL1〜LL5の各々をXY面内で平行に調整したり、XY面内で所定の傾きを持たせるように調整したりする為に、描画モジュールUW1〜UW5の各々を、第2光学定盤25上でXY面内において個別に微少回転可能とするアクチュエータ(第2の回転機構、駆動機構)を設けても良い。その場合、第2光学定盤25に対する描画モジュールUW1〜UW5(パターン形成部)の各々の回転角度位置(傾斜量等)を計測する個別角度計測センサを設け、一対のエンコーダヘッドEN1、又はEN2等によって計測される第2光学定盤25のXY面内での傾き量と、個別角度計測センサ(第2検出装置)で計測される描画モジュールUW1〜UW5の各々の傾き量との両方に基づいて、描画ラインLL1〜LL5の各々の基板P上での傾きを調整することができる。従って、回転ドラムDRを回転させて基板Pを長尺方向(X方向)に一定の速度で搬送している間に、基板Pが回転ドラムDR上でY方向に僅かにシフトする蛇行現象に伴って基板Pの送り方向が僅かに傾いた場合でも、アライメント顕微鏡AM1(又はAM2)によるアライメントマークKs1〜Ks3の位置検出によって、その傾きが逐次計測可能なので、その傾きに合わせて描画ラインLL1〜LL5の各々が傾くように、描画モジュールUW1〜UW5の各々のアクチュエータ(駆動機構)を制御することができる。これによって、基板P上の露光領域A7に既に形成されている電子デバイス用の下地パターン(例えば、第1層パターン)に対して新たなパターンを重ね合せ露光する際、基板Pの搬送中に蛇行が生じたとしても、重ね合せ精度を基板P上の露光領域A7の全面で良好に維持することができる。
さらに、第1から第6実施形態では、描画装置11を支持する第2光学定盤25と回転ドラムDRを支持する本体フレーム21とを、XY面内(又はYZ面内)で相対的に微少回転させるモータ等を含む駆動機構(回転機構24、三点座22の駆動部110、X移動機構121、Z移動機構122)を設けた。しかしながら、モータ等による電動操作ではなく、調整ネジ、マイクロゲージ、厚みの異なるワッシャの入替え等の手動操作によって、描画装置11と回転ドラムDRとの空間的な配置関係を相対的に微調整するように第2光学定盤25と本体フレーム21とを連結する連結機構であっても良い。このような手動操作による調整部を持った連結機構は、例えば、装置の組立時や保守点検の際に、描画装置11を搭載した第2光学定盤25(第1光学定盤23)を本体フレーム21から取り外して、再度、三点座22を介して本体フレーム21に取り付ける場合などに、三点座22の各々のXYZ方向の位置を微調整するときに有用である。
<デバイス製造方法>
次に、図18を参照して、デバイス製造方法について説明する。図18は、各実施形態のデバイス製造方法を示すフローチャートである。
図18に示すデバイス製造方法では、まず、例えば有機EL等の自発光素子による表示パネルの機能・性能設計を行い、必要な回路パターンや配線パターンをCAD等で設計する(ステップS201)。また、表示パネルの基材となる可撓性の基板P(樹脂フィルム、金属箔膜、プラスチック等)が巻かれた供給用ロールを準備しておく(ステップS202)。なお、このステップS202にて用意しておくロール状の基板Pは、必要に応じてその表面を改質したもの、下地層(例えばインプリント方式による微小凹凸)を事前形成したもの、光感応性の機能膜や透明膜(絶縁材料)を予めラミネートしたもの、でも良い。
次いで、基板P上に表示パネルデバイスを構成する電極や配線、絶縁膜、TFT(薄膜半導体)等によって構成されるバックプレーン層を形成すると共に、そのバックプレーンに積層されるように、有機EL等の自発光素子による発光層(表示画素部)が形成される(ステップS203)。このステップS203には、先の各実施形態で説明した露光装置EXを用いて、フォトレジスト層を露光する従来のフォトリソグラフィ工程も含まれるが、フォトレジストの代わりに感光性シランカップリング材を塗布した基板Pをパターン露光して表面に親撥水性によるパターンを形成する露光工程、光感応性の触媒層をパターン露光し無電解メッキ法によって金属膜のパターン(配線、電極等)を形成する湿式工程、或いは、銀ナノ粒子を含有した導電性インク等によってパターンを描画する印刷工程、等による処理も含まれる。
次いで、ロール方式で長尺の基板P上に連続的に製造される表示パネルデバイス毎に、基板Pをダイシングしたり、各表示パネルデバイスの表面に、保護フィルム(耐環境バリア層)やカラーフィルターシート等を貼り合せたりして、デバイスを組み立てる(ステップS204)。次いで、表示パネルデバイスが正常に機能するか、所望の性能や特性を満たしているかの検査工程が行なわれる(ステップS205)。以上のようにして、表示パネル(フレキシブル・ディスプレー)を製造することができる。また、図18のような表示パネルの製造以外にも、精密な配線パターン(高密度配線)が必要とされるフレキシブルプリント基板、TFT等の半導体素子とセンシング用の電極パターンとを持つ化学的センサーシート、或いはDNAチップ等をフレキシブルな基板P上に製造する際にも、上記の各実施形態による露光装置を使うことができる。