JP2009116080A - 露光方法及び露光装置 - Google Patents

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寿明 小口
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Abstract

【課題】円周面において焦点ぼけの発生を抑えて露光が可能な露光方法及び露光装置を提供する。
【解決手段】この露光方法は、円柱状の被露光物Aの円周面A1に露光を行う際に、光源からの光を円柱状の被露光物の中心軸gに対して平行にライン走査することで露光を行う。
【選択図】図7

Description

本発明は、円柱状の被露光物の円周面に露光を行う露光方法及び露光装置に関する。
従来、半導体集積回路や液晶デバイス等の製造工程では回路パターン形成のためにフォトリソグラフィ工程が多用されている。フォトリソグラフィは、所定のパターンが形成されたフォトマスクを用い、このフォトマスクを介してフォトレジストの塗布されたシリコンなどの基板上に露光することで、フォトマスクのパターンを基板上に転写してから、現像工程、エッチング工程等を経ることにより基板上にパターンを形成するものである。
上述のようなフォトリソグラフィ工程の代わりに、フォトマスクを用いずに所望のパターンを基板等に直接形成するマスクレス露光(直接露光)装置が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。かかるマスクレス露光によれば、フォトマスクが不要でありコスト的に有利であり、また、高精度露光が可能であるとされている。
上述のフォトリソグラフィ工程やマスクレス露光では、平面的な露光が一般的である。また、曲面の露光に関しては、ボールセミコンダクター社(BALL SEMICONDUCTOR Inc.)の装置による球面露光や、円筒露光に関しては、DMD(Digital Micromirror Device)マスクレス露光装置を用いた露光例がある。
特開2006−250982号公報
上述のような曲面露光によれば、円筒面の露光に適合していないため、円筒曲率が大きくなり円筒半径が小さくなると、特に微細パターンを露光する場合に露光面に焦点が合い難くなってしまい、所謂焦点ぼけの問題が発生してしまう。このため、例えば、転がり軸受の外輪や内輪等の円筒状部材の円筒面に露光を行うことで直接温度センサ等を設ける場合にセンサの位置や形状や寸法の精度が低下してしまう。
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、円周面において焦点ぼけの発生を抑えて露光が可能な露光方法及び露光装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本実施形態による露光方法は、円柱状の被露光物の円周面に露光を行う露光方法であって、光源からの光を前記円柱状の被露光物の軸方向に対して平行にライン走査することで露光を行うものである。
この露光方法によれば、光を円柱状の被露光物の軸方向に対して平行にライン走査して円周面に露光を行うので、光源からの光の焦点が円周面に合って焦点ぼけの発生を抑えることができる。このように、本実施形態の露光方法は、円柱状の被露光物の円周面露光にマッチングし、円周面で精度のよい露光が可能となる。
上記露光方法において前記円柱状の被露光物を回転させながら前記円周面にラインパターンを露光することができる。また、前記円柱状の被露光物の回転軸の偏心を補正しながら露光することが好ましい。
本実施形態による露光装置は、光源と、ミラーを繰り返し傾斜させるMEMS光スキャナと、前記光源からの光を前記ミラーを介して円柱状の被露光物上に露光する露光光学系と、を備え、前記光源からの光を前記MEMS光スキャナで傾斜するミラーにより前記円柱状の被露光物の軸方向に対して平行にライン走査することで前記被露光物の円周面に露光を行うものである。
この露光装置によれば、光源からの光を円柱状の被露光物の軸方向に対して平行にライン走査して円周面に露光を行うので、光源からの光の焦点が円周面に合って焦点ぼけの発生を抑えることができる。このように、本実施形態の露光装置は、円柱状の被露光物の円周面露光にマッチングしているので、円周面で精度のよい露光が可能となる。
また、MEMS(メムス)光スキャナによりミラーを繰り返し傾斜させて光源からの光を走査して走査光を得て、被露光物上に直接露光できる。MEMS(メムス)とは、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical Systems)の略で、機械要素部品を極小サイズで作製した小型デバイスである。MEMS光スキャナは、アクチュエータによりミラーを駆動して光を走査するMEMS(メムス)光デバイスであり、小型に構成され信頼性が高く動作が安定している。このように、MEMS光スキャナを光走査に用いることによって、装置を小型化できかつ安定した動作でマスクレス露光が可能な露光装置を実現できる。
上記露光装置において前記円柱状の被露光物を回転可能に取り付けて保持可能な回転機構を備えることが好ましい。また、前記円柱状の被露光物を回転させながら前記円周面にラインパターンを露光することができる。
また、前記回転機構に取り付けられた前記被露光物の円周面の位置を複数箇所で検出する位置検出部を備え、前記位置検出部の検出結果に基づいて前記円柱状の被露光物の回転軸の偏心を補正することが好ましい。これにより、被露光物の回転軸が偏心している場合でも正確な露光が可能となる。
また、前記露光光学系が対物レンズを含み、前記対物レンズを前記被露光物に対し駆動し自動的に合焦させるオートフォーカス機構を備えることで、露光中に自動的に合焦させることができるので、被露光物の表面に凹凸があっても高精度な露光が可能となる。
なお、上述の露光対象となる円柱状の被露光物は、円柱形であっても円筒形であってもよい。
本発明の露光方法及び露光装置によれば、円柱状の被露光物の円周面における焦点ぼけの発生を抑えることで円周面で精度のよい露光が可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。図1は本実施の形態による露光装置の全体の概略的構成を示す図である。図2は図1の露光光学系を説明するための図である。図3は図2の露光光学系のMEMS光スキャナのミラーとレンズとの関係を説明するための模式図である。
図1に示すように、露光装置10は、円筒状の被露光物Aを回転可能に取り付けて保持する保持回転機構40と、半導体レーザからなる光源12と、光源12から光ファイバFIで導かれた光により被露光物Aに対し露光する露光光学系と、露光を行う際に露光光学系の鏡筒31内の対物レンズを保持回転機構40で保持された被露光物Aに対し図の上下方向に駆動し自動的に合焦させるオートフォーカス機構と、被露光物Aを観察するための観察光学系と、保持回転機構40及び光源12等を制御する制御装置13と、を備えている。
露光光学系は、図1〜図3のように、光源12からの光が光ファイバFIを介して導入されてコリメートレンズCで平行化されてミラーMで反射し、レンズL2,ミラー19,レンズL1,ビームスプリッタ29を介して鏡筒31内の対物レンズJでステージ11上の被露光物Aの円周面A1に集光されて結像しスポット照射するようになっている。
上述の露光光学系の内のコリメートレンズCからレンズL1までの各光学要素はハウジング20内に配置され収容されている。
オートフォーカス機構は、図1のように、オートフォーカス用レーザ光源22からの光がビームスプリッタ27,28,29を介して鏡筒31内の対物レンズJ(図2)で保持回転機構40で保持された被露光物Aの円周面A1に集光され、その反射光が対物レンズJ、ビームスプリッタ29,28,27,チューブレンズ32,ビームスプリッタ26を介してフォトダイオード(PD)からなる受光素子21に入射し、その入射光信号に基づいて公知のピエゾ素子からなるアクチュエータ23で鏡筒31を光軸方向に駆動して鏡筒31内の対物レンズJ(図2)を移動させて合焦させるようになっている。
上述のビームスプリッタ26,27,28,29及びチューブレンズ32はハウジング30内に配置され収容されている。
観察光学系は、照明光を光導入部25から導入して保持回転機構40で保持された被露光物Aに照射してその反射光をCCDカメラ24で撮像して被露光物Aを観察できるようになっている。
図1のように、ハウジング30には、受光素子21,オートフォーカス用レーザ光源22,CCDカメラ24及び光導入部25が取り付けられており、ハウジング30の下端にアクチュエータ23が配置され、さらにアクチュエータ23の下方に鏡筒31が配置されている。
図1の円筒状の被露光物Aを回転可能に取り付け保持する保持回転機構40について図6をさらに参照して説明する。図6は図1の保持回転機構40の要部を模式的に示す図である。
図1,図6のように、保持回転機構40は、台D上のモータ台MDにモータ保持具41aを介して配置されたステッピングモータ(以下、単に「モータ」という。)41と、モータ41により回転駆動されスリップリング42aを有する回転軸42と、台D上のベアリング台43aを介して配置されて回転軸42を回転自在に保持する軸受43と、回転軸42に連結されたXYZステージ11aと、XYZステージ11aに設けられて円筒状の被露光物Aを一端で保持する保持具44と、を備える。
保持回転機構40は、さらに、保持具44で保持された被露光物Aを挟んで設けられて被露光物Aを他端で保持する保持具45と、台D上のベアリング台47aを介して配置されて回転軸46を回転自在に保持する軸受47と、回転軸46に連結され保持具45を設けたXYZステージ11bと、を備える。
図1,図6の保持回転機構40において保持具44,45間に保持された被露光物Aは、制御装置13の制御により駆動されたモータ41により回転可能である。
制御装置13は、モータドライバ16を介してモータ41を制御する。また、露光装置10は、保持回転機構40で保持された被露光物Aの円周面A1の位置を非接触で検出する位置検出部14a,14bを備える。位置検出部14a,14bは、円筒状の被露光物Aの軸方向二箇所で円周面A1までの距離を検出する。
各XYZステージ11a,11bには、図1のステッピングモータ15とステッピングモータ15による回転運動をXYZ方向への直線運動に変換する公知のボールねじ等から構成された直動機構とが内蔵されている。各XYZステージ11a,11bのステッピングモータ15は制御装置13によりモータドライバ15aを介して制御される。
制御装置13は、XYZステージ11a,11bのXYZ方向の各移動量を制御し、位置検出部14a,14bから入力した位置検出信号に基づいてステッピングモータ15を制御してXYZステージ11a,11bを駆動する。すなわち、保持回転機構40で保持された被露光物Aの回転時に、位置検出部14a,14bで被露光物Aの円周面A1までの距離を軸方向2箇所で検出し、かかる検出結果に基づいて被露光物Aの回転軸の偏心を検出したとき、XYZステージ11a,11bを駆動して被露光物Aの位置を微調整することで回転軸の偏心を補正するように制御する。これにより、被露光物Aの回転軸に偏心が生じても精度よく露光することができる。
また、制御装置13は、ドライバ17を介して光源12をオンオフ制御し、光源12からの光をオンオフするようになっている。なお、光源12に対し公知の電動シャッタを後置し、この電動シャッタを制御装置13が制御することにより、光源12からの光をオンオフするようにしてもよい。
また、制御装置13は、CPU(中央演算処理装置)を備え、CPUにより光源12及び保持回転機構40を所定のシーケンスで制御し、所定パターンの露光が可能となっている。
図1〜図3に示すミラーMは、MEMS光スキャナの一部を構成するものであるが、かかるMEMS光スキャナについて図4、図5を参照して説明する。
図4は図1〜図3の露光装置で使用可能なMEMS光スキャナの基本構造及び動作原理を説明するための概略図である。図5は図1〜図3の露光装置で使用可能なMEMS光スキャナの具体例を示す上面図(a)、b-b線方向に切断してみた断面図(b)及び下面図(c)である。
図4に示すMEMS光スキャナは、矩形状のヨークY内に矩形平面状のミラーMを一対のねじり棒T,TでヨークYと連結するように形成し、ミラーMの外周に沿って駆動コイルDを形成し、ヨークYの外側に対向するように一対の永久磁石P1,P2を配置するものであり、電磁駆動アクチュエータによりミラーを駆動する電磁駆動式の共振型である。
MEMS光スキャナは、図4のように、永久磁石P1,P2により磁束密度Bの磁界がねじり棒T,Tに直交する方向に生じ、駆動コイルDに電流iを流すと、ローレンツ力Fによる回転トルクでねじり棒T,Tがその弾性復元力に抗して回動してミラーMが傾く。電流iを交流電流とすることにより、ねじり棒T,Tが回転方向rとその逆方向r’に共振して回動することでミラーMが共振して傾斜を繰り返す。ここで、F∝i・Bであるので、電流量を変化させることで、ミラーMの傾きを変えることができる。ミラーMは回転方向r,r’に傾斜し、ミラーMに入射して反射する光の方向を一方向において変えるので、図4のMEMS光スキャナは1次元可動タイプである。
MEMS光スキャナ1は、具体的には、図5(a)〜(c)のように、基板6の基準面6a側にヨーク4を設け、ヨーク4の内側に永久磁石2,3を対向させて配置し、永久磁石2,3の間にシリコンチップ7を設け、ミラー5をシリコンチップ7で包囲するようにして配置し、図4のように駆動コイルを形成し、この駆動コイルにコネクタ8を介して外部から交流電流を流すことで、図5(b)、(c)のようにミラー5が回転中心軸pを中心にして回転方向r、その逆方向r’に共振して傾斜を繰り返すようになっており、1次元可動タイプの電磁駆動式共振型に構成されている。
図5(a)〜(c)のMEMS光スキャナ1では、基板6の基準面6aの反対面6b側において入射光nがミラーMで反射するとき、その反射光n’の基準面6aに対する反射角度がミラー5の傾斜角に応じて変化する。なお、MEMS光スキャナ1には、図4のねじり棒Tと同様のねじり棒が回転中心軸p上に設けられている。
図5(a)〜(c)のMEMS光スキャナ1は、各部品が微小に構成されており、その全体寸法が、例えば、30mm×22mm×5mm(厚さ)であり、ミラー5の平面寸法が4mm×4mmである。このようなMEMS光スキャナは、例えば、日本信号株式会社から商品名「ECO SCAN:ESS115B」として販売されている。
MEMS光スキャナ1は、図1〜図3のミラーMの位置に配置される。すなわち、MEMS光スキャナ1は、基板6の四隅に取付孔6cを有し、基準面6aを基準にして図1の露光装置10のハウジング20内の所定位置にミラー5がミラーMの機能を発揮するように取付孔6cで取り付けられる。また、MEMS光スキャナ1は、図1のように、制御装置13により制御される。
次に、図1〜図3の露光装置10による露光方法について図1〜図7を参照して説明する。図7は図1の円筒状の被露光物の円周面を走査光で露光する状態を被露光物の横断面でみた模式図(a)及び被露光物を正面からみた模式図(b)である。
最初に、露光装置10による露光について説明する。まず、光源12からの光がコリメートレンズCで平行光mになって図2,図3のようにミラーMに入射する。ミラーMは、図5(a)〜(c)のMEMS光スキャナ1のミラー5に相当し、MEMS光スキャナ1に図4の駆動コイルDのように交流電流を流すことで、図4のねじり棒Tを中心に回動を繰り返し、図2,図3の光軸bに対し傾斜を繰り返す。すなわち、ミラーMは、図2,図3のように光軸bを中心にしてX方向に傾斜角α2で傾く。
ここで、図3のように、X方向に傾斜するミラーMで反射した光m’に関し、ミラーMとレンズL2との間で次式が成立する。
tan(α2)=x2/f2
次に、ミラーMで反射した光m’は、焦点距離f2のレンズL2,ミラー19(図1),焦点距離f1のレンズL1,ビームスプリッタ29(図1)を介して焦点距離f0の対物レンズJにより図1の被露光物Aの円周面A1に集光される。
MEMS光スキャナ1によりミラーMは光源12からの平行光mを図3のX方向に走査し、図2の円周面A1上における光軸cからのX方向への走査光の走査長さx0は、次式(1)により表すことができる。
x0=f0・(f2/f1)・tan(α2) ・・・(1)
ただし、α2:ミラーMの光軸bに対するX方向への傾斜角(振れ角)
上述のようにして、図1の保持回転機構40で保持された被露光物Aの円周面A1に対し、光源12からの光をミラーMでX方向に走査長さx0で走査しながらライン照射し露光することができる。
すなわち、MEMS光スキャナ1で駆動されたミラーMによる走査光は、図1〜図3の露光光学系により、図7(b)のように円筒状の被露光物Aの中心軸gの方向にライン走査され、図7(a)のように円周面A1の頂点A2に直交する(頂点A2の接線A3に対し直交する)ように照射される。ミラーMによる走査光は、図7(b)のように、中心軸gと平行に円周面A1に走査長さx0に対応する長さhでライン走査される。これにより、露光装置10において走査光は対物レンズJにより円周面A1の頂点A2で中心軸gと平行な方向に精度よく合焦され、露光装置10は円周面露光にマッチングする構成となる。
また、図1の保持回転機構40のステッピングモータ41を制御し円筒状の被露光物Aを図7(a)のように回転方向Rに回転させて露光することで、ラインパターンを露光できる。この場合、円筒状の被露光物Aを回転方向rに回転させてながら露光してもよいし、所定角だけ回転してから停止し、停止した回転位置で露光してもよい。また、光源12からの光をオンオフ制御することで、断続的なラインパターンを露光することもできる。
また、上記露光の際に、図1のオートフォーカス機構を作動させると、レーザ光源22から光が対物レンズJ(図2)を介して被露光物Aの円周面A1に集光され、その反射光が受光素子21に入射し、その入射光信号に基づいてアクチュエータ23で鏡筒31内の対物レンズJを光軸方向に駆動して自動的に合焦させる。オートフォーカス機構は、露光の間に継続して作動させることで、被露光物Aの円周面A1に凹凸があっても高精度に露光を行うことができる。また、必要に応じて、CCDカメラ24で被露光物Aの円周面A1を観察する。
以上のように、MEMS光スキャナは、電磁駆動アクチュエータによりミラーを共振させ光を走査するMEMS(メムス)光デバイスであり、小型に構成されて信頼性が高く動作が安定しているので、MEMS光スキャナを露光装置10の光走査に用いることによって、装置を小型化できかつ安定した動作でマスクレス露光が可能な露光装置を実現できる。
従来の光走査手段であるポリゴンミラーやガルバノミラーとレンズ光学系を用いた光走査光学系によれば、装置の全体構成が大きく、高価であり、応答性もよくなかったのに対し、本実施の形態のようにMEMS光スキャナを用いることで、安価でかつ小型化が可能となり、応答性のよい露光装置10の光走査が可能となり、さらに従来構成よりも省電力になる。また、従来の別の光走査手段である2次元光変調素子には短寿命化や誤動作発生の問題があったのに対し、MEMS光スキャナを用いることで、信頼性が高く安定した露光が可能となる。
また、図7(a)、(b)のように、光源12からの光を円筒状の被露光物Aの中心軸gに対して平行にライン走査して円周面A1に露光を行い、このとき、走査光が円周面A1の頂点A2に合焦した状態で中心軸gに対して平行にライン走査されるので、円周面A1における焦点ぼけの発生を抑えることができ、円周面A1で精度のよい露光が可能となる。
従来の曲面露光によれば円周面の露光に適合していないため、円筒半径が小さくなると、特に円周面に焦点が合い難くなって焦点ぼけが生じていたのに対し、本実施の形態によれば、走査光が円周面A1の頂点A2に合焦し円周面A1における焦点ぼけの発生を抑えることができる。このため、また、走査光が対物レンズJにより円周面A1上に精度よく合焦するので、対物レンズJの駆動により自動合焦を行う図1のオートフォーカス機構を確実に作動させることができる。
また、例えば、転がり軸受の外輪や内輪等の円筒状部材の円筒面に露光を行うことで直接温度センサ等を設ける場合にセンサの位置や形状や寸法の精度を向上できる。
また、本実施の形態において、光源12からの光のオンオフ及び円筒状の被露光物Aの回転を制御することで、光源12からの光により任意のパターンを被露光物Aの円周面A1上に露光できる。例えば、制御装置13は、装置内部または外部のハードディスク記憶装置等の記憶装置から、所望のパターンで露光するプログラムをCPUに読み取らせ、そのプログラムに従って光源12及びステッピングモータ41を制御することで、露光装置10は所望のパターンによる自動露光が可能である。
以上のように本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、被露光物Aの円周面A1上における走査光のX方向の走査長さx0、長さhは、ミラーMのMEMS光スキャナ1への駆動電流を変えることによりミラー傾斜角を変えることができ、所定範囲内で調整可能である。また、ミラー傾斜角を変えなくとも、光源のオンオフのタイミングをミラーの傾斜に同期させれば、走査長さx0、長さhを変えることができる。
また、MEMS光スキャナは交流電流により変位する共振タイプから構成したが、直流電流で変位するMEMS光スキャナであってもよい。
また、本発明による露光装置は、光源と、ミラーを繰り返し傾斜させるMEMS光スキャナと、前記光源からの光を前記ミラーを介して被露光物上に露光する露光光学系と、を備え、前記光源からの光を前記MEMS光スキャナで傾斜するミラーにより走査して前記被露光物上に照射することで前記被露光物を露光するように構成できる。この露光装置によれば、MEMS(メムス)光スキャナによりミラーを所定範囲内で繰り返し傾斜させて光源からの光を走査して走査光を得て、被露光物上に直接露光することができる。MEMS光スキャナを光走査に用いることによって、装置を小型化できかつ安定した動作でマスクレス露光が可能な露光装置を実現できる。
本実施の形態による露光装置の全体の概略的構成を示す図である。 図1の露光光学系を説明するための図である。 図2の露光光学系のMEMS光スキャナのミラーとレンズとの関係を説明するための模式図である。 図1〜図3の露光装置で使用可能なMEMS光スキャナの基本構造及び動作原理を説明するための概略図である。 図1〜図3の露光装置で使用可能なMEMS光スキャナの具体例を示す上面図(a)、b-b線方向に切断してみた断面図(b)及び下面図(c)である。 図6は図1の保持回転機構40の要部を模式的に示す図である。 図1の円筒状の被露光物の円周面を走査光で露光する状態を被露光物の横断面でみた模式図(a)及び被露光物を正面からみた模式図(b)である。
符号の説明
1 MEMS光スキャナ
5 ミラー
10 露光装置
11a,11b XYステージ
12 光源
13 制御装置
14a,14b 位置検出部
15 ステッピングモータ
21 受光素子
22 オートフォーカス用レーザ光源
23 アクチュエータ
24 CCDカメラ
25 光導入部
26〜29 ビームスプリッタ
20,30 ハウジング
31 鏡筒
32 チューブレンズ
40 保持回転機構
41 ステッピングモータ
A 円筒状の被露光物
A1 円周面
B 磁束密度
C コリメートレンズ
D 駆動コイル
F ローレンツ力
FI 光ファイバ
J 対物レンズ
L1,L2 レンズ
M ミラー
P1,P2 永久磁石
T ねじり棒
Y ヨーク
b 光軸
c 光軸
i 電流
m 平行光
m’ 反射光
p 回転中心軸
r 回転方向
r’回転方向rの逆方向
g 円筒状の被露光物Aの中心軸
h ライン走査のときの長さ

Claims (8)

  1. 円柱状の被露光物の円周面に露光を行う露光方法であって、
    光源からの光を前記円柱状の被露光物の軸方向に対して平行にライン走査することで露光を行う露光方法。
  2. 前記円柱状の被露光物を回転させながら前記円周面にラインパターンを露光する請求項1に記載の露光方法。
  3. 前記円柱状の被露光物の回転軸の偏心を補正しながら露光する請求項1または2に記載の露光方法。
  4. 光源と、ミラーを繰り返し傾斜させるMEMS光スキャナと、前記光源からの光を前記ミラーを介して円柱状の被露光物上に露光する露光光学系と、を備え、
    前記光源からの光を前記MEMS光スキャナで傾斜するミラーにより前記円柱状の被露光物の軸方向に対して平行にライン走査することで前記被露光物の円周面に露光を行う露光装置。
  5. 前記円柱状の被露光物を回転可能に取り付けて保持可能な回転機構を備える請求項4に記載の露光装置。
  6. 前記円柱状の被露光物を回転させながら前記円周面にラインパターンを露光する請求項5に記載の露光装置。
  7. 前記回転機構に取り付けられた前記被露光物の円周面の位置を複数箇所で検出する位置検出部を備え、
    前記位置検出部の検出結果に基づいて前記円柱状の被露光物の回転軸の偏心を補正する請求項5または6に記載の露光装置。
  8. 前記露光光学系が対物レンズを含み、
    前記対物レンズを前記被露光物に対し駆動し自動的に合焦させるオートフォーカス機構を備える請求項4乃至7のいずれか1項に記載の露光装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020177239A (ja) * 2015-10-30 2020-10-29 株式会社ニコン パターン形成装置

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