JP2009186556A - 露光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化が可能でマスクレス露光が可能でありかつスポット照射が可能な露光装置を提供する。
【解決手段】この露光装置は、光源と、ミラーを繰り返し傾斜させるMEMS光スキャナと、光源からの光をミラーを介して被露光物上に露光する露光光学系と、を備え、光源からの光をMEMS光スキャナにより第1周波数(1/t1)で振動するミラーにより走査して被露光物を照射する際に、光源からの光を第2周波数(1/t2)で点滅させ、第2周波数と第1周波数との周波数差に基づいて走査光により露光を行う。
【選択図】図7

Description

本発明は、マスクレス露光が可能な露光装置に関する。
従来、半導体集積回路や液晶デバイス等の製造工程では回路パターン形成のためにフォトリソグラフィ工程が多用されている。フォトリソグラフィは、所定のパターンが形成されたフォトマスクを用い、このフォトマスクを介してフォトレジストの塗布されたシリコンなどの基板上に露光することで、フォトマスクのパターンを基板上に転写してから、現像工程、エッチング工程等を経ることにより基板上にパターンを形成するものである。
上述のようなフォトリソグラフィ工程の代わりに、フォトマスクを用いずに所望のパターンを基板等に直接形成するマスクレス露光(直接露光)装置が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。かかるマスクレス露光によれば、フォトマスクが不要でありコスト的に有利であり、また、高精度露光が可能であるとされている。
特許文献1に記載のマスクレス露光装置は、露光ヘッドの結像光学系で結像される所望の露光パターンと被露光物の表面とを相対的に走査する走査手段を備え、かかる走査手段としてXYステージを用いている。また、光走査手段としては、ポリゴンミラーやガルバノミラーとレンズ光学系を用いた光走査光学系が知られている。また、かかる光走査光学系の代わりに2次元光変調素子を用いることが提案されている(例えば、下記特許文献2参照)。
特開2006−250982号公報 特開2003−15077号公報
上述のマスクレス露光装置においてスポット位置に露光を行う場合、ガルバノミラー等を用いてスポット照射を行う場合、このような光学系は大きく、装置の小型化の障害となり、また、高価である。また、スポット照射の場合、被露光物上におけるスポット位置の調整が面倒である。
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、小型化が可能でマスクレス露光が可能でありかつスポット照射が可能な露光装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本実施形態による露光装置は、光源と、ミラーを繰り返し傾斜させるMEMS光スキャナと、前記光源からの光を前記ミラーを介して被露光物上に露光する露光光学系と、を備え、前記光源からの光を前記MEMS光スキャナにより第1周波数で繰り返し傾斜するミラーにより走査して前記被露光物を照射する際に、前記光源からの光を第2周波数で点滅させ、前記第2周波数と前記第1周波数との周波数差に基づいて前記走査光により露光を行うものである。
この露光装置によれば、MEMS(メムス)光スキャナによりミラーを繰り返し傾斜させて光源からの光を走査して走査光を得て被露光物上に直接露光できる。MEMS(メムス)とは、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical Systems)の略で、機械要素部品を極小サイズで作製した小型デバイスである。MEMS光スキャナは、アクチュエータによりミラーを駆動して光を走査するMEMS(メムス)光デバイスであり、小型に構成され信頼性が高く動作が安定している。このように、MEMS光スキャナを光走査に用いることによって、装置を小型化できかつ安定した動作でマスクレス露光が可能な露光装置を実現できる。
さらに、光源からの光をMEMS光スキャナにより第1周波数で繰り返し傾斜(振動)するミラーにより走査し、光源からの光を第2周波数で点滅させ、第2周波数と第1周波数との周波数差に基づいて走査光により露光を行うことで、光源からの光を走査しながら、被露光物上でスポット照射が可能となる。
上記露光装置において前記周波数差をゼロにすることで前記走査光を前記被露光物上で静止させてスポット照射を行うことができる。なお、上述の周波数差を調整することで走査光のスポット照射位置を被露光物上で低速に移動させることができる。
また、前記ミラーが前記第1周波数で繰り返し傾斜するときの位相と前記光源からの光が前記第2周波数で点滅するときの位相との位相差を調整することで、前記走査光のスポット照射位置を変化させることができる。これにより、走査光によるスポット照射位置を簡単かつ正確に調整できる。
また、前記光源からの光の第2周波数での点滅制御により露光を行う第1露光モードと、前記光源からの光を前記被露光物上で走査させて露光を行う第2露光モードと、を切り換え可能であることが好ましい。これにより、露光装置においてスポット照射と走査露光とを切り換えて露光が可能となる。
また、前記露光光学系が対物レンズを含み、前記対物レンズを前記被露光物に対し駆動し自動的に合焦させるオートフォーカス機構を備えることで、露光中に自動的に合焦させることができるので、被露光物の表面に凹凸があっても高精度な露光が可能となる。
なお、被露光物を載置して移動可能なステージをさらに備えることが好ましく、被露光物上における概略的な露光位置の調整を簡単にできる。また、前記ステージの移動を制御することで被露光物上にパターンを露光することにより、被露光物上に所望のパターンを露光できる。
本発明の露光装置によれば、小型化が可能でマスクレス露光が可能でありかつスポット照射が可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。図1は本実施の形態による露光装置の全体の概略的構成を示す図である。図2は図1の露光光学系を説明するための図である。図3は図2の露光光学系のMEMS光スキャナのミラーとレンズとの関係を説明するための模式図である。
図1に示すように、露光装置10は、被露光物Aを載置し保持してXY方向に移動可能なXYステージ11と、半導体レーザからなる光源12と、光源12から光ファイバFIで導かれた光により被露光物Aに対し露光する露光光学系と、露光を行う際に露光光学系の鏡筒31内の対物レンズをXYステージ11上の被露光物Aに対し図の上下方向に駆動し自動的に合焦させるオートフォーカス機構と、XYステージ11上の被露光物Aを観察するための観察光学系と、XYステージ11及び光源12等を制御する制御装置13と、を備えている。
露光光学系は、図1〜図3のように、光源12からの光が光ファイバFIを介して導入されてコリメートレンズCで平行化されてミラーMで反射し、レンズL2,ミラー19,レンズL1,ビームスプリッタ29を介して鏡筒31内の対物レンズJでステージ11上の被露光物Aの表面A1に集光されて結像しスポット照射するようになっている。
上述の露光光学系の内のコリメートレンズCからレンズL1までの各光学要素はハウジング20内に配置され収容されている。
オートフォーカス機構は、図1のように、オートフォーカス用レーザ光源22からの光がビームスプリッタ27,28,29を介して鏡筒31内の対物レンズJ(図2)でXYステージ11上の被露光物Aの表面A1に集光され、その反射光が対物レンズJ、ビームスプリッタ29,28,27,チューブレンズ32,ビームスプリッタ26を介してフォトダイオード(PD)からなる受光素子21に入射し、その入射光信号に基づいて公知のピエゾ素子からなるアクチュエータ23で鏡筒31を光軸方向に駆動して鏡筒31内の対物レンズJ(図2)を移動させて合焦させるようになっている。
上述のビームスプリッタ26,27,28,29及びチューブレンズ32はハウジング30内に配置され収容されている。
観察光学系は、照明光を光導入部25から導入してXYステージ11上の被露光物Aに照射してその反射光をCCDカメラ24で撮像して被露光物Aを観察できるようになっている。
図1のように、ハウジング30には、受光素子21,オートフォーカス用レーザ光源22,CCDカメラ24及び光導入部25が取り付けられており、ハウジング30の下端にアクチュエータ23が配置され、さらにアクチュエータ23の下方に鏡筒31が配置されている。
XYステージ11には、図1のステッピングモータ15a,15bとステッピングモータ15a,15bによる各回転運動をX方向及びY方向への直線運動に変換する公知のボールねじ等から構成された直動機構とが内蔵されている。ステッピングモータ15a,15bの各等速回転によりXYステージ11は図1の横方向(X方向)及び図1の紙面垂直方向(Y方向)に等速で移動可能になっている。
制御装置13は、モータドライバ16を介してステッピングモータ15a,15bを制御する。また、露光装置10はXYステージ11のX方向及びY方向の各位置を検出するエンコーダ等から構成された位置検出部14を備えている。
制御装置13は、XYステージ11のX方向及びY方向の各移動量を制御するが、このとき、位置検出部14から入力した位置検出信号に基づいてステッピングモータ15a,15bをフィードバック制御することで、XYステージ11を高精度に制御できる。
また、制御装置13は、ドライバ17を介して光源12をオンオフ制御し、光源12からの光をオンオフするようになっている。なお、光源12に対し公知の電動シャッタを後置し、この電動シャッタを制御装置13が制御することにより、光源12からの光をオンオフするようにしてもよい。
また、制御装置13は、CPU(中央演算処理装置)を備え、CPUにより光源12及びXYステージ11を所定のシーケンスで制御し、所定パターンの露光が可能となっている。
図1〜図3に示すミラーMは、MEMS光スキャナの一部を構成するものであるが、かかるMEMS光スキャナについて図4、図5を参照して説明する。
図4は図1〜図3の露光装置で使用可能なMEMS光スキャナの基本構造及び動作原理を説明するための概略図である。図5は図1〜図3の露光装置で使用可能なMEMS光スキャナの具体例を示す上面図(a)、b-b線方向に切断してみた断面図(b)及び下面図(c)である。
図4に示すMEMS光スキャナは、矩形状のヨークY内に矩形平面状のミラーMを一対のねじり棒T,TでヨークYと連結するように形成し、ミラーMの外周に沿って駆動コイルDを形成し、ヨークYの外側に対向するように一対の永久磁石P1,P2を配置するものであり、電磁駆動アクチュエータによりミラーを駆動する電磁駆動式の共振型である。
MEMS光スキャナは、図4のように、永久磁石P1,P2により磁束密度Bの磁界がねじり棒T,Tに直交する方向に生じ、駆動コイルDに電流iを流すと、ローレンツ力Fによる回転トルクでねじり棒T,Tがその弾性復元力に抗して回動してミラーMが傾く。電流iを交流電流とすることにより、ねじり棒T,Tが回転方向rとその逆方向r’に共振して回動することでミラーMが共振して傾斜を繰り返す。ここで、F∝i・Bであるので、電流量を変化させることで、ミラーMの傾きを変えることができる。ミラーMは回転方向r,r’に傾斜し、ミラーMに入射して反射する光の方向を一方向において変えるので、図4のMEMS光スキャナは1次元可動タイプである。
MEMS光スキャナ1は、具体的には、図5(a)〜(c)のように、基板6の基準面6a側にヨーク4を設け、ヨーク4の内側に永久磁石2,3を対向させて配置し、永久磁石2,3の間にシリコンチップ7を設け、ミラー5をシリコンチップ7で包囲するようにして配置し、図4のように駆動コイルを形成し、この駆動コイルにコネクタ8を介して外部から交流電流を流すことで、図5(b)、(c)のようにミラー5が回転中心軸pを中心にして回転方向r、その逆方向r’に共振して傾斜を繰り返すようになっており、1次元可動タイプの電磁駆動式共振型に構成されている。
図5(a)〜(c)のMEMS光スキャナ1では、基板6の基準面6aの反対面6b側において入射光nがミラーMで反射するとき、その反射光n’の基準面6aに対する反射角度がミラー5の傾斜角に応じて変化する。なお、MEMS光スキャナ1には、図4のねじり棒Tと同様のねじり棒が回転中心軸p上に設けられている。
図5(a)〜(c)のMEMS光スキャナ1は、各部品が微小に構成されており、その全体寸法が、例えば、30mm×22mm×5mm(厚さ)であり、ミラー5の平面寸法が4mm×4mmである。このようなMEMS光スキャナは、例えば、日本信号株式会社から商品名「ECO SCAN:ESS115B」として販売されている。
MEMS光スキャナ1は、図1〜図3のミラーMの位置に配置される。すなわち、MEMS光スキャナ1は、基板6の四隅に取付孔6cを有し、基準面6aを基準にして図1の露光装置10のハウジング20内の所定位置にミラー5がミラーMの機能を発揮するように取付孔6cで取り付けられる。また、MEMS光スキャナ1は、図1のように、制御装置13により制御される。
次に、図1〜図3の露光装置10の露光動作について図1〜図6を参照して説明する。図6は図1の被露光物の表面に露光されるパターンの一例を説明するための模式図である。
最初に、露光装置10による露光について説明する。まず、光源12からの光がコリメートレンズCで平行光mになって図2,図3のようにミラーMに入射する。ミラーMは、図5(a)〜(c)のMEMS光スキャナ1のミラー5に相当し、MEMS光スキャナ1に図4の駆動コイルDのように交流電流を流すことで、図4のねじり棒Tを中心に回動を繰り返し、図2,図3の光軸bに対し傾斜を繰り返す。すなわち、ミラーMは、図2,図3のように光軸bを中心にしてX方向に傾斜角α2で傾く。
ここで、図3のように、X方向に傾斜するミラーMで反射した光m’に関し、ミラーMとレンズL2との間で次式が成立する。
tan(α2)=x2/f2
次に、ミラーMで反射した光m’は、焦点距離f2のレンズL2,ミラー19(図1),焦点距離f1のレンズL1,ビームスプリッタ29(図1)を介して焦点距離f0の対物レンズJにより図1の被露光物Aの表面A1に集光される。
MEMS光スキャナ1によりミラーMは光源12からの平行光mを図3のX方向に走査し、図2の表面A1上における光軸cからのX方向への走査光の走査長さx0は、次式(1)により表すことができる。
x0=f0・(f2/f1)・tan(α2) ・・・(1)
ただし、α2:ミラーMの光軸bに対するX方向への傾斜角(振れ角)
上述のようにして、図1のXYステージ11に載置されて保持された被露光物Aの表面A1に対し、光源12からの光をミラーMでX方向に走査長さx0で走査しながらライン照射し露光することができる。
次に、上述の露光装置10による所定パターンの露光について説明する。XYステージ11上に被露光物Aを載せて保持し、MEMS光スキャナ1を駆動し、ミラーMを振動させることで、図6のように、走査光は被露光物Aの表面A1上において走査方向Xに走査される。また、XYステージ11による被露光物Aの移動方向をY方向とし、XYステージ11のステッピングモータ15bを駆動することでXYステージ11を移動方向(走査方向Xと直交する方向)Yに等速で移動させる。
共振周波数で駆動されるMEMS光スキャナ1を安定して駆動するためには一定周波数でミラーMを振動させることが必要である。そこで、かかる共振型のミラーを用いて露光を行う場合は、露光のタイミング基準がMEMS光スキャナ1になるようにステージ11を移動させて露光を行う。
すなわち、XYステージ11の移動をMEMS光スキャナ1によるミラーMの振動と同期させることで、XYステージ11を等速で移動させながらミラーMの角度と露光位置とを同期(一致)させて光源12からの光をオンオフして露光を行う。
例えば、XYステージ11を等速で移動させながら、図6のように、被露光物Aの表面A1上にX方向に走査長さx0に対応する長さのラインパターンPA1を露光し、所定幅に対応する時間だけ光源12からの光をオフとしてから、次のラインパターンPA2を露光することで、Y方向に間欠的なパターンを露光できる。ラインパターンPA2は、光源12からの光をオンオフすることで、断続的なラインパターンとなっている。同様にして、ラインパターンPA3〜PA6を露光する。
また、XYステージ11を移動させ所定の露光位置で停止して図6のラインパターンPA1を露光するようにして、ラインパターンPA2〜PA6を露光してもよい。
また、上記露光の際に、図1のオートフォーカス機構を作動させると、レーザ光源22から光が対物レンズJ(図2)を介して被露光物Aの表面A1に集光され、その反射光が受光素子21に入射し、その入射光信号に基づいてアクチュエータ23で鏡筒31内の対物レンズJを光軸方向に駆動して自動的に合焦させる。オートフォーカス機構は、露光の間に継続して作動させることで、被露光物Aの表面A1に凹凸があっても高精度に露光を行うことができる。また、必要に応じて、CCDカメラ24で被露光物Aの表面A1を観察する。
以上のように、MEMS光スキャナは、電磁駆動アクチュエータによりミラーを共振させ光を走査するMEMS(メムス)光デバイスであり、小型に構成されて信頼性が高く動作が安定しているので、MEMS光スキャナを露光装置10の光走査に用いることによって、装置を小型化できかつ安定した動作でマスクレス露光が可能な露光装置を実現できる。
従来の光走査手段であるポリゴンミラーやガルバノミラーとレンズ光学系を用いた光走査光学系によれば、装置の全体構成が大きく、高価であり、応答性もよくなかったのに対し、本実施の形態のようにMEMS光スキャナを用いることで、安価でかつ小型化が可能となり、応答性のよい露光装置10の光走査が可能となり、さらに従来構成よりも省電力になる。また、従来の別の光走査手段である2次元光変調素子には短寿命化や誤動作発生の問題があったのに対し、MEMS光スキャナを用いることで、信頼性が高く安定した露光が可能となる。
また、本実施の形態において、露光可能なパターンに関し、XYステージ11の移動及び光源12からの光のオンオフを制御することで、光源12からの光により任意のパターンを被露光物Aの表面A1上に露光できる。例えば、制御装置13は、装置内部または外部のハードディスク記憶装置等の記憶装置から、所望のパターンで露光するプログラムをCPUに読み取らせ、そのプログラムに従って光源12を制御することで、露光装置10は所望のパターンによる自動露光が可能である。
次に、本実施形態におけるスポット照射について図7,図8を参照して説明する。図7は、図1のMEMS光スキャナ1のミラーMの振動の周期及び位相と光源12からの光の点滅の周期及び位相とが一致した状態を説明するための図(a)、周期が一致し位相がずれた状態を説明するための図(b)及び周期がずれた状態を説明するための図(c)である。図8は、図1〜図3の露光装置による被露光物へのスポット照射を説明するための模式図である。
図1の露光装置10の制御装置13は、ドライバ17を介して光源12を所定周波数で点滅制御し、光源12からの光を所定周波数で点滅させることができ、また、その点滅の周波数(周期)及び位相を調整可能になっている。なお、光源12からの光の点滅は、光源12に対し後置した電動シャッタにより行うようにしてもよい。
図1の露光装置10において、光源12からの光の点滅と、MEMS光スキャナ1によるミラーMの振動と、を同期させることで、ミラーMによる走査光を用いてスポット照射が可能であるが、かかるスポット照射モードと、図6のような走査光による走査露光モードと、を図1の切換操作部49で切り換えることができるようになっている。
スポット照射モードでは、MEMS光スキャナ1のミラーMがその共振周波数(=1/t1)で振動し、図7(a)、(b)のように、ミラーMの角度が振動周期t1で周期的に変化するとともに、光源12が所定の周波数(=1/t2)で点滅制御され、光源12からの光が点滅周期t2で点滅し、各時間ポイントa0,b0で点灯する。
また、MEMS光スキャナ1のミラーMの角度が振動周期t1で周期的に変化するとともに、図7(c)のように、光源12が所定の周波数(=1/t3)で点滅制御され、光源12からの光が点滅周期t3で点滅し、各時間ポイントc0で点灯するが、この場合、振動周期t1≠点滅周期t3であると、各時間ポイントc0におけるミラーMの振動に対する位相差Δt1,Δt2,Δt3,Δt4が時間とともに変わる。
これに対して、図7(a)、(b)のように、光源12からの光の点滅周期t2をミラーMの振動周期t1と一致させる(t1=t2)と、両者の位相がずれている状態では、図7(b)のように、光源12からの光がミラーMの振動に対して等しい位相差Δtを持つ時間ポイントb0で点灯する。一方、光の点滅とミラーMの振動との位相を一致させる(位相差Δt=0)と、図7(a)のように、光源12からの光がミラーMの振動に対して位相差のない時間ポイントa0で点灯する。
図7(a)のように、光の点滅周期t2をミラーMの振動周期t1と一致させかつ両者の位相を一致させると、例えば、図8のように、光源12からの光は、ミラーMで走査されているが、X軸上のポイントx01で静止しポイントx01をスポット照射する。
また、図7(b)のように、両周期t1,t2を一致させた状態で位相差Δtを変えると、図8のように、光源12からの光は、その位相差に応じてX軸上のポイントx01から離れたポイントx02やポイントx03で静止しポイントx02またはx03をスポット照射する。この場合、スポット照射位置は走査光のX方向の走査長さx0の範囲内で変えることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、光源12からの光をMEMS光スキャナ1により所定周波数(1/t1)で振動するミラーMにより走査する一方、光源12からの光を点滅周波数(1/t2)で点滅させ、図1の制御装置13で光源12の点滅周波数を変えて周波数差(周期差)をゼロに調整することで、光源12からの光をミラーMで走査しながら、走査光を被露光物A上で静止させてスポット照射を行うことができる。
また、ミラーMが振動するときの位相に対し光源12からの光が点滅する位相を調整し位相差Δtを変えることで、走査光のスポット照射位置を変化させることができるので、スポット照射位置を簡単かつ正確に調整できる。
さらに、図7(c)のように、光の点滅周期t3とミラーMの振動周期t1とが不一致であると、光源12からの光は、図8のX軸上でその位置をゆっくり変えながらスポット照射することができるので、周波数差を制御することで、いわば擬似スキャン方式で光走査が可能である。
なお、図8のようなスポット照射モードでは、露光時にXYステージ11を移動させずに固定した状態で使用することができる。
また、上述のスポット照射モードでは、スポット照射位置を正確に合わせた状態でスポット的に露光(スポット露光)することができ、非スキャン方式の露光が可能となる。かかるスポット露光によれば、MEMS光スキャナ1の振動の影響がないため精度の必要な露光の場合に有効である。例えば、被露光物Aの表面A1が段差や曲面を含む場合に、段差や曲面に沿った露光が可能である。
以上のように本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、露光装置10を図1の切換操作部49により図8のようなスポット照射モードと図6のような走査露光モードとの切り換え可能に構成したが、本発明はこれに限定されず、図8のようなスポット照射モード専用に構成し、スポット露光を行うようにしてもよい。
また、MEMS光スキャナは交流電流により変位する共振タイプから構成したが、直流電流で変位するMEMS光スキャナであってもよい。
本実施の形態による露光装置の全体の概略的構成を示す図である。 図1の露光光学系を説明するための図である。 図2の露光光学系のMEMS光スキャナのミラーとレンズとの関係を説明するための模式図である。 図1〜図3の露光装置で使用可能なMEMS光スキャナの基本構造及び動作原理を説明するための概略図である。 図1〜図3の露光装置で使用可能なMEMS光スキャナの具体例を示す上面図(a)、b-b線方向に切断してみた断面図(b)及び下面図(c)である。 図1の被露光物の表面に露光されるパターンの一例を説明するための模式図である。 図1のMEMS光スキャナ1のミラーMの振動の周期及び位相と、光源12からの光の点滅の周期及び位相とが一致した状態を説明するための図(a)、周期が一致し位相がずれた状態を説明するための図(b)及び周期がずれた状態を説明するための図(c)である。 図1〜図3の露光装置による被露光物へのスポット照射を説明するための模式図である。
符号の説明
1 MEMS光スキャナ
5 ミラー
10 露光装置
11 XYステージ
12 光源
13 制御装置
14 位置検出部
15a,15b ステッピングモータ
21 受光素子
22 オートフォーカス用レーザ光源
23 アクチュエータ
24 CCDカメラ
25 光導入部
26〜29 ビームスプリッタ
20,30 ハウジング
31 鏡筒
32 チューブレンズ
49 切換操作部
A 被露光物
A1 表面
B 磁束密度
C コリメートレンズ
D 駆動コイル
F ローレンツ力
FI 光ファイバ
J 対物レンズ
L1,L2 レンズ
M ミラー
P1,P2 永久磁石
PA1〜PA6 ラインパターン
T ねじり棒
Y ヨーク
b 光軸
c 光軸
i 電流
m 平行光
m’ 反射光
p 回転中心軸
r 回転方向
r’回転方向rの逆方向
t1,t2,t3 周期
Δt,Δt1,Δt2,Δt3 位相差

Claims (5)

  1. 光源と、ミラーを繰り返し傾斜させるMEMS光スキャナと、前記光源からの光を前記ミラーを介して被露光物上に露光する露光光学系と、を備え、
    前記光源からの光を前記MEMS光スキャナにより第1周波数で繰り返し傾斜するミラーにより走査して前記被露光物を照射する際に、前記光源からの光を第2周波数で点滅させ、前記第2周波数と前記第1周波数との周波数差に基づいて前記走査光により露光を行う露光装置。
  2. 前記周波数差をゼロにすることで前記走査光を前記被露光物上で静止させてスポット照射を行う請求項1に記載の露光装置。
  3. 前記ミラーが前記第1周波数で繰り返し傾斜するときの位相と前記光源からの光が前記第2周波数で点滅するときの位相との位相差を調整することで、前記走査光のスポット照射位置を変化させる請求項1または2に記載の露光装置。
  4. 前記光源からの光の第2周波数での点滅制御により露光を行う第1露光モードと、前記光源からの光を前記被露光物上で走査させて露光を行う第2露光モードと、を切り換え可能である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の露光装置。
  5. 前記露光光学系が対物レンズを含み、
    前記対物レンズを前記被露光物に対し駆動し自動的に合焦させるオートフォーカス機構を備える請求項1乃至4のいずれか1項に記載の露光装置。
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