始めに、本発明に係る測定方法及び回転ロック装置の製造方法が適用されるリクライナ10の構成について、図1〜図4を用いて説明する。リクライナ10は、図1に示すように、自動車用シート1に適用されており、着座乗員の背凭れとなるシートバック2を、着座部となるシートクッション3に対して、角度調整が行える状態に連結する回転軸装置として機能する。リクライナ10は、シートバック2の骨格を成すバックフレーム2Fの左右両側のサイドフレーム2Faの下端部と、シートクッション3の骨格を成すクッションフレーム3Fの左右両側のサイドフレーム3Faの後端部と、の間にそれぞれ介在して設けられている。図1において、矢印により自動車用シート1が自動車のフロアに取付けられた時の自動車用シート1及び自動車の各方向を示す。図1及び図2の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。ここで、リクライナ10が、特許請求の範囲の「回転ロック装置」に相当する。
図1に示すように、リクライナ10は、常時は、シートバック2のシートクッション3に対する角度をロックしたロック状態に保持されている。各リクライナ10は、シートクッション3のシート幅方向外側の側部に設けられたリクライニングレバー4が引き上げられる操作によって、それらのロック状態が一斉に解除されて、シートバック2のシートクッション3に対する角度を変えられるアンロック状態に切り替えられるようになっている。また、各リクライナ10は、リクライニングレバー4の引き上げられた操作が戻されることにより、付勢によって再びシートクッション3に対する角度をロックしたロック状態に戻されるようになっている。
シートバック2の左右両側のサイドフレーム2Faと、シートクッション3の左右両側のサイドフレーム3Faと、の間には、それぞれ、シートバック2を常時前倒れ回転する方向へ回動付勢するリターンスプリング5が掛着されている。これによって、シートバック2は、各リクライナ10がアンロック状態に切り替えられることで、着座乗員の背部に当たる位置まで起こし上げられるようになっている。
シートバック2は、シートクッション3の上面部に畳み込まれた状態となる前倒れ位置から後方側に倒し込まれた状態となる後倒れ位置までの約180度の回転領域を回動することができるようになっている。このうち、シートバック2の背凭れ角度が上方側に真っすぐに起立する位置から後倒れ位置までの約90度の回転領域は、リクライニングレバー4の引き上げ操作を止めることでその背凭れ角度が固定された状態となる「ロックゾーン」の回転領域として設定されている。また、シートバック2の背凭れ角度がロックゾーンを前側に越えた位置から前倒れ位置までの約90度の回転領域は、リクライニングレバー4の引き上げ操作を止めてもその背凭れ角度を変えられる状態に保たれる「フリーゾーン」の回転領域として設定されている。
ロックゾーンやフリーゾーンの各回転領域は、それぞれ、後述する各リクライナ10に設定されたロックゾーンやフリーゾーンの回転領域によって形成されている。フリーゾーンの各回転領域が設けられることにより、シートバック2は、自動車用シート1に人が座っていない状態でリクライニングレバー4を操作して、付勢によってフリーゾーンに入る位置まで倒し込まれたら、その後はリクライニングレバー4の操作を継続しなくても自動的にシートクッション3の上面部に畳み込まれる位置まで前倒しされていくようになっている。
各リクライナ10は、図2に示すように、シートバック2の各サイドフレーム2Faの外側面に連結されるラチェット11と、シートクッション3の各サイドフレーム3Faの内側面に連結されるガイド12と、を有し、ラチェット11とガイド12との相対回転がロックされたり解除されたりすることで、シートバック2のシートクッション3に対する角度をロックしたり解除したりする構成となっている。ここで、ガイド12が、特許請求の範囲の「被測定物、ガイドプレート」に相当する。
各リクライナ10は、互いに左右対称向きに配設されているが、実質的な構成は同じものとなっているので、以下では、これらを代表して図2に示される自動車用シート1の左側に配置されたリクライナ10の構成について説明する。リクライナ10は、互いに軸方向に組み付けられる円板形状のラチェット11及びガイド12と、これらの間に組み付けられる4個のポール13(13A〜13D)、回転カム14、ヒンジカム15、フリーゾーンプレート18、及びレリーズプレート19と、ガイド12の左側面に組み付けられるロックスプリング16と、ラチェット11の外周部とガイド12の外周部との間に跨って組み付けられる座付きの円筒型形状に形成された外周リング17と、を有する。
図2に示すように、ラチェット11は、略円板型形状に形成されており、その円板本体11aの外周縁部に、ガイド12への組み付け方向となる軸方向に円筒状に突出する円筒部11bが形成されている。円筒部11bの内周面には、後述する各ポール13の外周面に形成された各外歯列13aをそれぞれ半径方向の内側から押し付けて噛合させることのできる内歯列11cが形成されている。円板本体11aの左側面上には、左方向にピン形状に突出する4つの嵌合突起11fが形成されている。これらの嵌合突起11fは、後述するフリーゾーンプレート18に形成された対応する4つの各嵌合孔18bを軸方向にそれぞれ嵌合させて、フリーゾーンプレート18をラチェット11の内側面上に回転方向に一体的な状態として連結する機能を有する。円板本体11aの中心部には、丸孔形状に貫通した貫通孔11dが形成されている。この貫通孔11d内には、後述するヒンジカム15に差し込まれて装着される操作ピン6(図1参照)が左側から差し込まれるようになっている。円板本体11aの右側面上には、略円筒状に突出する6つのダボ11eが、円周方向に等間隔で並んで形成されている。これらのダボ11eは、ラチェット11の円板本体11aの右側面を、サイドフレーム2Faの左側面にあてがえて結合する際に、サイドフレーム2Faに形成された6つのダボ孔(図示せず)内に嵌め込まれて溶接により結合される結合部として機能する。ここで、内歯列11cが、特許請求の範囲の「内歯」に相当する。
図2に示すように、ガイド12は、ラチェット11とほぼ同じ大きさの外径をもつ略円板型形状に形成されており、その円板本体12aの右側面の円周方向の4か所の位置に、ラチェット11への組み付け方向となる軸方向に略扇型形状に突出するガイド壁12bが形成されている。各ガイド壁12bは、それらの外周面が互いに同一の円周上を描く形に湾曲して形成されており、ラチェット11の円筒部11b内に緩やかに嵌め込まれる大きさとされている。ガイド12は、各ガイド壁12bをラチェット11の円筒部11b内に嵌め込んで組み付けることにより、互いに相対回転可能とされる。そして、ガイド12は、その外周部とラチェット11の外周部との間に跨って組み付けられる外周リング17によって、ラチェット11に対して互いの円板形状を摺り動かす形で相対回転できるように軸方向に外れ止めされた状態に組み付けられる。ここで、ガイド壁12bが、特許請求の範囲の「ポールガイド」に相当する。
ガイド12の円板本体12aの中心部には、丸孔形状に貫通した貫通孔12cが形成されている。貫通孔12cの内部には、後述するヒンジカム15の軸部15aが軸方向の右側から左側に差し込まれて軸回転可能な状態とされている。ガイド12の円板本体12aの左側面上には、略円筒状に突出する4つのダボ12dが、円周方向に並んで形成されている。詳しくは、各ダボ12dは、ガイド12の円板本体12aの左側面上における、後述するカム収容溝12eが形成された円周領域上にそれぞれ1つずつ形成されている。各ダボ12dは、ガイド12の円板本体12aの一部が板厚方向に半抜き加工されることによって形成されている。これらのダボ12dは、ガイド12の円板本体12aの左側面を、サイドフレーム3Faの右側面にあてがえて結合する際に、サイドフレーム3Faに形成された4つのダボ孔(図示せず)内に嵌め込まれて溶接により結合される結合部として機能する。
図2〜図4に示すように、ガイド12には、円板本体12aの右側面の円周方向の4か所の位置に、ラチェット11への組み付け方向となる右方向に半径方向の外側に向かって形を広げる略扇型形状に突出するガイド壁12bが形成されている。ガイド壁12bは、ガイド12の円板本体12aの一部が板厚方向に半抜き加工されることによって形成されている。ガイド壁12bの形成により、各ガイド壁12bの円周方向の配置間領域には、後述する4つのポール13をそれぞれ内部に収容することのできる凹状のポール収容溝12fが形成されている。各ガイド壁12bは、各ポール収容溝12f内にセットされた各ポール13を、それぞれ、半径方向の内外にのみ移動させられるように円周方向の両側から一対のポールガイド面12f1で支持する構成となっている。また、各ガイド壁12bの形成により、各ガイド壁12bによって囲まれたガイド12の中心部領域には、後述する回転カム14を内部に軸回転させられる状態に収容可能なカム収容溝12eが形成されている。ここで、一対のポールガイド面12f1が、特許請求の範囲の「一対の被測定面」に相当する。
各ガイド壁12bの4つのポール収容溝12fとカム収容溝12eは、互いに面一状に凹んだ形となって形成されている。このように、ガイド12には、4つのポール13と回転カム14とヒンジカム15とが支持された状態に組み付けられてラチェット11に対して組み付けられる。ガイド12の円板本体12aの左側面には、後述するロックスプリング16の外側の端部を掛着させるためのバネ掛部12gがピン状に突出した形となって形成されている。
図2に示すように、4つのポール13は、外周面上にラチェット11の内歯列11cと噛合することのできる外歯列13aがそれぞれ形成されている。また、4つのポール13は、それぞれ、半径方向の内側に向けて形状を延ばす2本の脚部13bを有し、全体として略U字型形状に形成されている。そして、4つのポール13は、それぞれ、ラチェット11の左側面と対向する側の面上に、右方向にピン状に突出する引掛突起13dが形成されている。各引掛突起13dは、後述する回転カム14に重ね合わされて組み付けられる薄い円板状のレリーズプレート19に形成された各引込み孔19c内にそれぞれ通された状態で組み付けられている。一対の側面部13cは、互いに平行に延びるとともにその間隔は、ガイド12の一対のポールガイド面12f1の大きさに合わせて選択してガタなく摺動できるように小から大にかけて数段階(例えば2種以上20種以下。以下同じ。)のものが準備されている。詳しくは、後述するポール13Aについて小から大にかけて数段階のものが、ポール13B〜ポール13Dについて小から大にかけて数段階のものが、準備されている。ここで、ポール13B〜ポール13Dは同一形状のものである。数段階のポール13の製造は、一対の側面部13cの間隔を大きめにしてプレス打ち抜き加工したものの一対の側面部13cを切削加工して行う。これは、ガイド12の半抜き加工により形成される各ポール収容溝12fの一対のポールガイド面12f1間の間隔がばらつくことに対応するためのものである。ここで、外歯列13aが、特許請求の範囲の「外歯」に相当する。また、一対の側面部13cの間隔が、特許請求の範囲の「ポール幅」に相当する。
各ポール収容溝12fの一対のポールガイド面12f1間の間隔に合わせて選択された4つのポール13は、ガイド12の各ポール収容溝12f内にそれぞれ収容されて組み付けられた状態とされている。この組み付けにより、各ポール13は、ガイド12に対して、各ポール収容溝12fの一対のポールガイド面12f1に沿って半径方向の内外にしか移動することができないように支持される。各ポール13は、各ポール収容溝12f内に収容された状態において、それらの半径方向の外側への移動先の位置に、ラチェット11の内歯列11cが配置されるようになっている。各ポール13が回転カム14の回転によって半径方向の外側に押し出されることにより、各ポール13の外歯列13aがラチェット11の内歯列11cに押し付けられて噛合した状態となる。これにより、各ポール13がラチェット11に対して回転方向に一体的に結合された状態となり、各ポール13を介してラチェット11とガイド12との間の相対回転がロックされた状態となる。また、この状態から回転カム14を反対方向に回転させると、各ポール13は半径方向の外側に押し出される力が解除されることによって各ポール13の外歯列13aがラチェット11の内歯列11cに噛合した状態から外れる。これによって、ラチェット11とガイド12とが互いに相対回転することができる状態に切り替えられる。ここで、一対のポールガイド面12f1間の間隔が、特許請求の範囲の「ポールガイド幅」に相当する。
図2に示すように、回転カム14は、ガイド12のカム収容溝12eに収容されて組み付けられた状態とされている。回転カム14は、その中心部に差し込まれて組み付けられる後述するヒンジカム15によって、ガイド12に対して軸回転可能に支持されている。回転カム14は、各ポール13と同程度の厚みを有した形に形成されており、カム収容溝12e内に収容された状態において、各ポール13と軸方向において同じ位置に配置されている。回転カム14は、各ポール13と面する上下両側と前後両側の各面部上に、各ポール13の脚部13bをそれぞれ入り込ませることのできる窪み部14aと、各窪み部14a内に入り込んだ各ポール13の脚部13bをそれぞれ回転カム14の回転動作によって半径方向の外側に押し出すように乗り上げさせる肩部14bと、回転カム14の回転動作によって各ポール13の内周面の中央部にあてがわれる支え部14cと、を有する。
回転カム14は、その中心部に形成された貫通孔14d内に、後述するヒンジカム15の操作部15bが回転方向に一体的となるように軸方向に組み付けられてセットされた状態とされている。具体的には、貫通孔14dは、鉤孔形状に形成されており、ヒンジカム15の鉤状に形成された操作部15bが組み付けられることにより、操作部15bと回転方向に一体的な状態に組み付けられる。これによって、回転カム14は、ヒンジカム15が回転方向の一方側或いは他方側に軸回転操作される動きによって、ヒンジカム15と一体的となって回転操作されるようになっている。
回転カム14は、常時は、ヒンジカム15が後述するロックスプリング16によって図2において一方向に回転付勢されていることにより、同方向に押し回された状態に保持されている。これによって、回転カム14は、各肩部14bにより各ポール13の脚部13bをそれぞれ半径方向の外側に押し出して、各ポール13をラチェット11の内歯列11cに噛合させて、リクライナ10の回転をロックした状態に保持している。このロック状態では、回転カム14は、各支え部14cを各ポール13の内周面の中央部にあてがえた状態として、各ポール13を半径方向の内側から強く支えた状態となっている。
回転カム14は、ヒンジカム15がリクライニングレバー4(図1参照)の引き上げ操作によって上記回転付勢方向とは反対方向に軸回転操作されることにより、ヒンジカム15の操作部15bによって図2において他方向に回転操作される。これにより、回転カム14は、各窪み部14aが各ポール13の脚部13bの直下位置(半径方向の内側の位置)に移動していく。これによって、リクライナ10のロック状態が解除された状態となる。また、回転カム14は、リクライニングレバー4の操作が戻されることにより、再びロックスプリング16からの付勢力を受けて図2において時計回りに回されて、各ポール13をラチェット11の内歯列11cに噛合させた状態(リクライナ10のロック状態)に戻される。
ここで、上述したレリーズプレート19は、薄い円板状に形成されており、その円板上の3か所の位置に貫通形成された丸孔状の各貫通孔19bを回転カム14の右面上に右方向に突出形成された3つの嵌合突起14dと嵌合させることにより、回転カム14に重ね合わされた状態で、回転方向に一体的に連結されている。レリーズプレート19には、その円周方向の4か所の位置に、図示反時計回り方向に先細り状となる三角形状の引込み孔19cが形成されている。これら、引込み孔19cには、上述したように、各ポール13の各引掛突起13dがそれぞれ軸方向に入り込んだ状態となってセットされている。
レリーズプレート19は、回転カム14との一体的な回転により、回転カム14が各ポール13を半径方向の外側に押し動かすときには、各ポール13の引掛突起13dが半径方向の外側に押し出される動きを各引込み孔19cの形状によって逃がすようになっている。しかし、レリーズプレート19は、回転カム14が上記とは逆方向に回転するときには、各引込み孔19cの先細り状の形状の案内によって各ポール13の引掛突起13dをそれぞれ半径方向の内側に引き込んで各ポール13をラチェット11との噛合状態から外すようになっている。レリーズプレート19の中心部には、丸孔形状に貫通した貫通孔19aが形成されており、後述するヒンジカム15に差し込まれて装着される操作ピン6が軸方向に通されるようになっている。
ところで、回転カム14は、ラチェット11とガイド12との相対回転位置がポール13Aに形成された乗上げ突起13eの移動先の領域に、ラチェット11に一体的に装着されたフリーゾーンプレート18の乗上げ部18dが位置した状態となることにより、各ポール13を半径方向の外側に押し出しても、乗上げ突起13eが乗上げ部18dに乗り上がってその移動が途中で止められることで、すべてのポール13が噛合前の状態に止められるようになっている。このように、ポール13Aの乗上げ突起13eが乗上げ部18dに乗り上がってしまうことで、リクライナ10がロック作動できなくなる領域がフリーゾーンの領域である。
図2に示すように、フリーゾーンプレート18は、薄い円板状に形成されており、その円板面上の4か所の位置に貫通形成された丸孔状の各嵌合孔18bをラチェット11の4つの嵌合突起11fと嵌合させることにより、ラチェット11に重ね合わされた状態で、回転方向に一体的に連結されている。フリーゾーンプレート18には、その外周側寄りの中央領域に円周方向に長尺状に貫通した開リング状の逃がし孔18cが形成されている。逃がし孔18cは、ポール13Aのみに形成された乗上げ突起13eが軸方向に入り込んだ状態でセットされている。逃がし孔18c内には、その円周方向の1か所の領域に、外周面が半径方向の内側に向かって滑らかな円弧面状に突出する乗上げ部18dが形成されている。
フリーゾーンプレート18は、ラチェット11との一体的な回転(シートバック2の背凭れ角度の変化)により、乗上げ部18dがポール13Aの移動先から外れた円周領域内に位置するときには、各ポール13が半径方向の外側に押し出されても、その逃がし孔18cの形状によってポール13Aの乗上げ突起13eが半径方向の外側に押し出される動きを逃がすようになっている。しかし、フリーゾーンプレート18は、ラチェット11との一体的な回転(シートバック2の背凭れ角度の変化)により、乗上げ部18dがポール13Aの乗上げ突起13eの移動先の円周領域内に入った状態となることにより、すべてのポール13を噛合前の状態に止めるようになっている。フリーゾーンプレート18の中心部には、丸孔形状に貫通した貫通孔18aが形成されており、後述するヒンジカム15に差し込まれて装着される操作ピン6が軸方向に通されるようになっている。
図2に示すように、ヒンジカム15は、角筒形状のバネ掛部15cと、円筒形状の軸部15aと、半径方向の外側に突出した角形状を有する操作部15bと、が軸方向に並んで形成されている。ヒンジカム15の中心部には、軸方向に四角孔形状に貫通する貫通孔15dが形成されている。ヒンジカム15は、バネ掛部15cが軸部15aと共にガイド12の貫通孔12c内に軸方向の右側から通されることによって、操作部15bがガイド12の円板本体12aの右側面に当たって係止される位置で、バネ掛部15cがガイド12の外側まで突出し、軸部15aがガイド12の貫通孔12c内に軸回転可能な状態に装着されている。
ヒンジカム15は、バネ掛部15cの四角形状の外周部上に、ロックスプリング16の四角形状に巻かれた内側の端部が嵌め込まれて回転方向に一体的な状態に掛着されている。ロックスプリング16は、渦巻きバネによって構成されており、ガイド12の円板本体12aの左側面に配置されて、その内側の端部がヒンジカム15のバネ掛部15cに掛着され、外側の端部がガイド12のバネ掛部12gに掛着されて設けられている。これによって、ロックスプリング16は、常時、ヒンジカム15をガイド12に対して回転カム14をロック作動させる方向に回転させる回転付勢力を与える。
ラチェット11とガイド12との間に組み付けられたヒンジカム15の貫通孔15d内には、左側から操作ピン6(図1参照)が差し込まれて溶接により一体的に結合されている。操作ピン6の反対側の端部には、リクライニングレバー4が溶接により一体的に結合されている。これによって、ヒンジカム15は、リクライニングレバー4が引き上げられる操作によって、回転カム14を解除操作方向に回転させるようになっている。操作ピン6は、ヒンジカム15の貫通孔15d内に挿通された先の端部が、図示しないもう一方側のリクライナ10において同じく挿通された操作ピン6の端部とコネクティングロッド7を介して互いに回転方向に一体的に連結されている。これによって、各側のリクライナ10に挿通された操作ピン6が、リクライニングレバー4の操作によって一斉に軸回転操作されるようになっている。
図2に示すように、外周リング17は、薄い鋼板がリング状に打ち抜かれるとともに、その打ち抜かれた円板の外周部分が板厚方向に絞り加工されることにより、内周部分に円環状の座(押さえ部17a)の付いた円筒形状に形成されている。すなわち、外周リング17は、押さえ部17aと、軸方向に円筒状に延びる円筒部17bと、を有している。円筒部17bの内径は、ラチェット11及びガイド12の外径より僅かに大きいものとされている。外周リング17は、ラチェット11に対してガイド12を重ね合わせた状態で、押さえ部17aをラチェット11の円筒部11bに右側からあてがい、円筒部17bをガイド12の外周部に嵌め込んで円筒部17bの先端部をガイド12の左面から突出させ、この突出させた部分を半径方向の内側に折り曲げてかしめる。なお、円筒部17bの先端部をガイド12に溶接することによって取付けてもよい。これによって、外周リング17は、押さえ部17aがラチェット11の円筒部11bに右側から対面した状態として、ラチェット11をガイド12に対して軸方向に脱落させることなく回転させられる状態に保持する。
このように構成されたリクライナ10において、ロック状態におけるリクライナ10のラチェット11とガイド12の間のガタを小さくするためには、ガイド12における各ポール収容溝12fの一対のポールガイド面12f1間の間隔と、各ポール13の一対の側面部13c間の間隔と、を適正化する必要がある。しかし、ガイド12における各ポール収容溝12fの一対のポールガイド面12f1間の間隔は、ガイド壁12bが半抜き加工によって形成されるのでどうしてもバラツキが生じる。そこで、一対の側面部13c間の間隔を数段階に変更したポール13Aとポール13B〜ポール13Dをそれぞれ準備し、一対のポールガイド面12f1間の間隔を測定してそれぞれの間隔に適合するポール13A又はポール13B〜ポール13Dを数段階の中から選択して組み付けている。そこで、正確にガイド12における各ポール収容溝12fの一対のポールガイド面12f1間の間隔を測定できる方法が望まれていた。この要望に応える測定方法について次に説明する。
図5に示すように、ガイド面間隔測定器20は、骨格を成すフレーム21と、ガイド12を載置する載置台22と、載置台22を回転可能かつ上下動可能に支持する支持機構23と、ガイド12の一対のポールガイド面12f1間の間隔を測定する測定機構24と、を有する。なお、図5は、測定者がガイド面間隔測定器20に向かって立った状態を示し、測定者の上下左右を図中に示した。図5〜図10の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。ここで、ガイド面間隔測定器20が、特許請求の範囲の「測定器」に相当する。
フレーム21は、上板部21aと、上板部21aの下側に上板部21aと平行に配置された下板部21bと、上板部21aの左端部と下板部21bの左端部とを連結する側板部21cと、を有する。下板部21bの左右方向中央部には上下方向に貫通する貫通孔21b1が設けられている。下板部21bの下側には、エアシリンダ23aをその中心軸が上下方向に延びるとともに貫通孔21b1の中心を通る状態で支持するシリンダブラケット21dが取付けられている。
載置台22は、円板状の部材でその上面上にガイド12をガイド壁12bが上方に突出する向きに載置するとともに、その中心軸である載置台中心軸22aを,ガイド12のガイド中心軸12h(図3参照)に一致させて保持可能とされている。保持の方法は、載置台22の上面側の形状をガイド12の外形形状に嵌り合う形状として、機械的に回転方向に一体的に固定するものとしてもよいし、載置台22の上面側に埋設した磁石でガイド12を引き付けて固定するものとしてもよい。載置台22の上面側は、載置台22上にガイド12を載置したとき、ガイド12のポールガイド面12f1が載置台22の上面に対して垂直に配置されるように形成されている。また、載置台22の下面側には、4つの下方に開口を有する円筒状の凹部22bが、円周方向に等間隔で並んで形成されている。ここで、載置台中心軸22aが、特許請求の範囲の「軸」に相当する。
支持機構23は、載置台22を下方から支持する円板状の支持ベース23cと、ピストンロッド23bを上下動可能に支持するエアシリンダ23aと、を備える。支持ベース23cとピストンロッド23bとエアシリンダ23aは、それらの中心軸が載置台中心軸22aに一致するように配置されている。そして、支持ベース23cは、ピストンロッド23bの上端部に対してベアリング23dを介して取付けられている。これによって、支持ベース23cは、エアシリンダ23aへのエアの出し入れによってピストンロッド23bを介して上下動するとともに、ピストンロッド23bに対して載置台中心軸22a回りに回転自在とされている。支持ベース23cの上面側には、載置台22の凹部22bに対応して凹部22bに嵌合可能な上方に向かって突出する凸部23eが2つ設けられている。これによって、載置台22に載置されたガイド12は、ガイド中心軸12hを中心に回転自在な状態で上下に移動可能とされている。
測定機構24は、左右一対の測定子24aと、各測定子24aを左右方向に移動可能にフレーム21の上板部21aの下面側に支持するスライダ24bと、各測定子24aが互いに離隔する方向及び近接する方向に移動するように力を付与するエアシリンダ24cと、各測定子24a間の間隔を測定するセンサ24eと、を有する。各測定子24aは、ブロック状の部材でスライダ24bに取付けられる略直方体状の基盤部24a1と、基盤部24a1の下面側から下方に向かって延びる略直方体状の測定部24a2と、を有する。各測定子24aは、載置台中心軸22aを含む面である中央面CSに関して左右対称に配置されるとともに、各測定部24a2の載置台中心軸22aから遠い面である測定面24a21を互いに平行となるように配置されてスライダ24bに取付けられている。このとき、測定面24a21の下端から左右方向に延びる面である下面24a22は、載置台22の上面と平行に延びている。
図5及び図7に示すように、左側の測定子24aの基盤部24a1において測定部24a2の後方の下面部にはエアシリンダ24cが配設され、そのピストンロッド24dの先端部である右端部は、右側の測定子24aの基盤部24a1の左端部に連結されている。エアシリンダ24cにエアを出し入れするとピストンロッド24dの出入に応じて、左側の測定子24aと右側の測定子24aは、中央面CSに関して左右対称を維持しながら離隔又は近接するように構成されている。各測定子24aの基盤部24a1の前側には、それぞれ、センサ24eが取付けられている。各センサ24eは、互いの距離を測定できるように構成されている。
図5〜図10に基づいて、ガイド面間隔測定器20を用いてガイド12の一対のポールガイド面12f1間の間隔を測定する測定方法について説明する。まず、図5に示すように、支持ベース23cが下降した状態で上にガイド12を載置した載置台22を支持ベース23c上にセットする。このとき、支持ベース23cの各凸部23eを載置台22の各凹部22bに嵌合させてセットする。セットに当たっては、各測定子24aの測定面24a21の間隔をガイド12の一対のポールガイド面12f1間の間隔より小さくしておく。そして、各測定子24aがガイド壁12bに干渉することなく各測定子24aの測定部24a2を一対のポールガイド面12f1間に配置させられるような位置になるように載置台22を回転させてガイド12の回転角度を調整しておく。
次に、図6に示すように、ガイド12を載置した載置台22を支持機構23を作動させて上昇させる。具体的には、支持機構23のエアシリンダ23aにエアを供給することによってピストンロッド23bを介して支持ベース23cを上昇させることにより行う。そして、各測定子24aの下面24a22がガイド12のポール収容溝12fの底面に当接せず、各測定子24aの測定面24a21の一部が一対のポールガイド面12f1に対向する位置でエアの供給を止めて載置台22の上昇を停止する。この状態で、測定機構24のエアシリンダ24cにエアを供給して各測定子24aを左右方向に移動させて各測定子24aの測定面24a21を、それぞれガイド12の一対のポールガイド面12f1に近づけていく。このとき、図9において二点鎖線で示すように、各測定面24a21と一対のポールガイド面12f1とが平行になっていない状態であると、各測定面24a21が一対のポールガイド面12f1に一部当接してさらに間隔が拡げられていくと、ガイド12がガイド中心軸12hを中心として回転する。そして、図10に示すように、各測定面24a21と一対のポールガイド面12f1とが面当たりした状態でガイド12の回転が止まる。この状態で、各センサ24eによって、各測定子24aの距離を測定することにより、一対のポールガイド面12f1間の間隔を測定する。以下、ガイド12の他のポール収容溝12fにおける一対のポールガイド面12f1についても同様にその間隔の測定を行う。
以上のような本実施形態に測定方法は、以下のような作用効果を奏する。各測定子24aにおける各測定面24a21が、ガイド12の一対のポールガイド面12f1に、それぞれ、当接して面当たりするまでガイド12を載せた載置台22が載置台中心軸22aのまわりに回動するので、各測定面24a21と一対のポールガイド面12f1とが面当たりした状態で一対のポールガイド面12f1間の距離を測定することができる。これによって、一対のポールガイド面12f1間の距離が正確に計測できる。また、ガイド12を載せた載置台22は、各測定子24aに対し載置台中心軸22aの延びる方向において互いに近づく方向又は離隔する方向に移動可能であるので、載置台22に載置するガイド12を交換する作業が容易となる。さらに、各測定子24aは上下方向の位置が固定され、載置台22が載置台中心軸22aの延びる方向において互いに近づく方向又は離隔する方向に移動可能である。これによって、各測定子24aは、各測定面24a21の間の距離を変更するだけの左右方向の動きでよいので測定機構24の構造を簡潔にできる。
次に、上記測定方法を適用したリクライナ10の製造方法について説明する。まず、上記の測定方法によってガイド12の4つのポール収容溝12fにおける、それぞれの一対のポールガイド面12f1間の距離を測定する工程を実施する。次に、予め準備した一対の側面部13c間の間隔を小から大にかけて数段階に変えて製造したポール13(ポール13A又はポール13B〜ポール13D)の中から測定した一対のポールガイド面12f1間の距離に適合したポール13(ポール13A又はポール13B〜ポール13D)を選択してそれぞれのポール収容溝12f内に組み付ける工程を実施する。ここで、ポールガイド面12f1間の距離に適合したポール13とは、当該ポールガイド面12f1に一対の側面部13cを対向させた状態でガタなく摺動できるポール13をいう。こののち、通常のリクライナ10と同様に、回転カム14、ヒンジカム15を組み付けた状態でラチェット11に重ね合わせ外周リング17を被せつけて一体化してロックスプリング16を組み付ける。以上のようなリクライナ10の製造方法によれば、複数のポール13の移動がガイド12の4つのポール収容溝12f内で円滑に行われるものとしながら、リクライナ10をロック状態としたときのガタの増大を回避したリクライナ10を製造することができる。
図11には、本発明に係る測定方法及び回転ロック装置の製造方法が適用される他の実施形態が示されている。リフタロック機構30は、自動車用シートに設けられたリフタ装置に適用されるものである。板状の支持部材31に対して回転自在に配設された爪車32の回転を止めたり解除したりするためのポール33が3つ爪車32の外周の爪に係合可能に配置されている。各ポール33は、支持部材31の一部が半抜き加工されることによって形成された3つのガイド部34のそれぞれにおいて形成された対向して平行に径方向に延びる一対のガイド面34aに摺動可能に挟まれて組み付けられている。また、各ポール33は、環状のリングバネ35によって爪車32の外周の爪に係合する方向に付勢されている。ここで、各ポール33が各ガイド部34に対してガタなく摺動可能とするために、一対のガイド面34aの間隔を上記測定方法を適用して計測し、予めその幅を数段階に変えて製造した数種類のポール33の中から測定した一対のガイド面34a間の距離に適合したポール33を選択して組み付ける。これによって、リフタロック機構30においても上記したリクライナ10と同様な作用効果が得られる。ここで、リフタロック機構30、支持部材31、ガイド部34が、それぞれ、特許請求の範囲の「回転ロック装置」、「被測定物」に相当する。
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
1.上記実施形態においては、測定機構24を上方に固定し、ガイド12を載せた載置台22を下方から近づけるように構成した。しかし、これに限らず、測定機構24を下方に固定し、ガイド12を載せた載置台22を上方から近づけるようにしてもよいし、測定機構24に載置台22を左右方向から近づけるようにしてもよい。また、上下左右に限らず斜め方向から近づけるように構成することもできる。
2.上記実施形態においては、載置台22の上下方向への移動及び各測定子24aの左右方向への移動にエアシリンダ23a及びエアシリンダ24cを動力源として用いた。しかし、これに限らず油圧シリンダや機械的なリンクメカ等を利用することもできる。