(実施形態)
(デジタルカメラ1の基本構成)
以下に、本発明の実施の一形態を、添付の図面に基づいて説明する。図1は、本発明を実施した撮像装置の実施形態であるデジタルカメラ(以下、単にカメラと称す)1の構成例を示すブロック図である。なお、図1に示す機能ブロックの1つ以上は、ASICやプログラマブルロジックアレイ(PLA)などのハードウェアによって実現されてもよいし、CPUやMPU等のプログラマブルプロセッサがソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。また、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。したがって、以下の説明において、異なる機能ブロックが動作主体として記載されている場合であっても、同じハードウェアが主体として実現されうる。
図1に図示するように、本実施形態のカメラ1は、カメラ本体100とレンズユニット200を備えている。レンズユニット200はカメラ本体100に対して自由に着脱可能である。以下、図1を参照して、カメラ本体100にレンズユニット200が接続された(取り付けられた)状態のカメラ1の構成について説明する。なお、カメラ1としては、カメラ本体100とレンズユニット200とが一体的に設けられている構成であってもよい。
図1に図示するように、カメラ制御部101は、カメラ1の動作を統括的に制御するカメラ制御手段であって、内部に制御用のマイクロプロセッサ(コンピュータ)としてカメラCPUを備えている。また、カメラ制御部101は、内部に時間計測が可能な内蔵タイマー101aを備えている。内蔵タイマー101aは所謂リアルタイムクロックであって、後述のメモリ102に予め格納されたタイマーの時分秒等の間隔とカメラ初期設定時に設定されたタイムゾーンなどの情報に基づいて各動作における時間計測を実行する。なお、カメラ制御部101は、後述するメモリ102に記憶されたコンピュータ制御プログラムに基づき後述の各種制御や処理を実行する。
メモリ102は、カメラ1の動作に関わるデータやカメラ1を用いて取得した種々のデータを記録可能な記録媒体である。本実施形態のメモリ102は、不揮発性メモリとしてROM領域、および揮発性メモリとしてRAM領域をそれぞれ備えている。
レンズ制御部201は、レンズユニット200の動作を統括的に制御するレンズ制御手段であって、内部にレンズ制御用のマイクロプロセッサ(コンピュータ)としてレンズCPUを備えている。カメラ本体100にレンズユニット200が装着されている状態で、レンズ制御部201は図1に図示するインターフェース(IF)を介してとカメラ本体100側と相互に通信可能である。撮像レンズ群202は、シフトレンズやズームレンズ、フォーカスレンズなどの複数のレンズを含むレンズ群であって、被写体の光学像に対応した光束をカメラ本体100の内部の撮像素子103に結像させるための光学部材である。絞り203は、撮像レンズ群202を介して入射した光束に対応する光量を調節するための光量調節部材である。
撮像素子103は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の電荷蓄積型の固体撮像素子を採用した撮像手段である。撮像素子103は、撮像素子103の撮像面に結像した光束を光電変換してアナログ画像データ(アナログ画像信号)を出力する。
シャッタ104は、撮像素子103に入射する光束を遮蔽可能な遮蔽部材であって、入射した光束を遮蔽せずに撮像素子103に導く退避状態と、入射した光を遮蔽する遮蔽状態とに遷移可能である。
A/D変換部105は、撮像素子103から出力されるアナログ画像データをデジタル画像データに変換するA/D変換手段である。画像処理部106は、デジタル画像データに対して所定の画像補間、縮小などのリサイズ処理や色変換処理、飽和画素や黒潰れ画素などの画素データ数の演算処理を行う画像処理手段である。また、画像処理部106は、デジタル画像データに対して、ホワイトバランス(以下、単にWBと称す)(コメント;このあと「WB処理手段」、「WB係数」などが登場しますので、WBがホワイトバランスの略であることを予め示すべきです。)演算処理を施すWB処理手段である。WB演算処理により、撮像素子103から出力される画像データに対応する各色信号(RGBベイヤ―配列の信号)の信号値に所定のWB係数を乗算することで、種々の条件に沿って画像データのWB調整が可能である。なお、所定のWB係数とは、色信号毎に異なるゲイン量である。このWB係数は、例えば、予め所定の環境光を想定して記憶されているデータや、ユーザにより手動設定された色温度に基づいて算出されたデータ、あるいは、取得した画像データから各色信号の信号値を抽出して算出されたデータなどに基づいて設定される。
D/A変換部108は、デジタル画像データを表示用のアナログ画像データに変換するD/A変換手段である。メモリ制御部107は、A/D変換部105、画像処理部106、D/A変換部108などの各部への画像データの入出力を制御する記録制御手段である。なお、本実施形態に係るカメラ1では、撮像手段として撮像素子103を含む構成であるが、例えば、A/D変換部105、画像処理部106などを含めた構成を撮像手段としてもよい。
タイミングジェネレータ(以下、TGと称す)110は、カメラ1の各動作に関わるタイミング信号をカメラ1の各部に向けて発するタイミング発生手段である。例えば、TG110は、撮像素子103における電荷蓄積やフレームレートの変更、シャッタ104の状態変更など、種々の動作に関するタイミング信号を発することができる。
表示部109は、TFT型LCD(薄膜トランジスタ駆動型液晶表示器)などで構成された表示手段であって、表示用のアナログ画像データを表示できる。なお、表示部109は、撮像素子103を用いて取得した画像データを逐次表示する所謂ライブビュー表示(以下、LV表示と称す)が可能である。なお、表示部109には、取得した画像データ以外の種々の情報を表示可能である。
レリーズボタン111は、被写体の静止画の撮像準備動作および静止画の撮像動作の開始を指示する静止画用の撮像指示手段である。なお、レリーズボタン111を操作することで記録用の動画像の撮像動作の開始を指示する構成であってもよい。本実施形態に係るカメラ1では、ユーザがレリーズボタン111をSW1状態(例えば、半押し)にすることで静止画の撮像準備動作の開始が指示され、後述するフォーカス制御や測光演算などが実行される。また、ユーザがレリーズボタン111をSW2状態(例えば、全押し)にすることでシャッタ104を用いた静止画の撮像動作の開始が指示され、被写体を撮像して静止画像および動画像を取得して記録を完了するまでの一連の処理が実行される。
操作部112は、ユーザの手動操作に応じた各種の動作指示をカメラ制御部101へと入力する操作手段である。図2は、本発明に係るカメラ1の外観図(背面図)を例示的に説明する図である。図2に図示の破線部分は、第1の操作部112aおよび第2の操作部112bをそれぞれ示している。第1の操作部112aは、撮像に係る種々の動作を指示する方向指示ボタンや表示部109でのLV表示の実行および終了を指示するLVボタンを備えている。第2の操作部112bは、電源スイッチや撮像モードを設定するモードダイヤルを備えている。なお、表示部109として静電容量式のタッチパネルなどを採用すれば、表示部109が上述した各操作入力が可能な操作手段として機能する構成であってもよい。表示制御部113は、表示部109における画像表示を制御する表示制御手段である。表示制御部113は、カメラ制御部101からの指示に応じて表示部109に表示する画像データの選択や、表示部109のオン・オフ(表示・非表示)を設定可能である。
焦点検出回路114は、フォーカスセンサ(不図示)を備え、レンズユニット200側から入射した光束に対応する光学像の合焦状態を検出する焦点検出手段である。焦点検出回路114は、焦点検出結果に基づいて、カメラ1から所定の被写体までの距離情報を演算できる。焦点検出回路114の検出結果は、レンズユニット200が備えるフォーカスレンズ(不図示)のレンズ位置の制御(フォーカス制御)に用いられる。なお、撮像レンズ群202を介して入射した光束は、ミラー(不図示)によって撮像素子103側およびフォーカスセンサ側へと導かれる。また、本実施形態に係るカメラ1では、位相差検出方式を用いて焦点検出回路114の出力に基づきフォーカス制御を実行する構成であるが、画像データのコントラスト情報に基づくコントラスト検出方式を用いる構成であってもよい。また、本実施形態のカメラ1は、撮像素子103と別体のフォーカスセンサを備える構成であるが、フォーカスセンサを備えることなく、撮像素子103に含まれる焦点検出が可能な画素から出力されるデータに基づいて焦点検出を実行する構成でもよい。
測光回路115は、測光センサ(不図示)を備え、レンズユニット200側から入射した光束に対応する測光値を演算する測光手段である。測光回路115の測光結果は、カメラ制御部101に出力され、露出制御に用いられる。輝度値の演算方法について具体的に説明する。まず、取得した画像データを複数のブロックに分割し、各ブロックの平均輝度値を算出する。そして、各ブロックの平均輝度値を積分して代表輝度値を取得する。以降の説明では、この代表輝度値を被写体の測光値として露出制御などの種々の処理および制御に用いる。なお、本実施形態では、測光センサを用いて測光演算を実行する構成だが、撮像素子103の出力に基づいて測光演算を実行する構成でもよい。
目標値設定部116は、被写体の測光結果に基づいて、露出制御およびWB調整の目標値を設定する目標値設定手段である。すなわち、目標値設定部116は、撮像素子103を用いて画像を取得する際に、当該画像の明るさに関する目標値であって、所定数の各フレームにおいて、明るさを変化させる際の目標となる値を設定する手段である。なお、本実施形態では、記録用およびLV表示用の動画像の取得時に、測光回路115が所定数のフレームごとに被写体を測光して測光値を算出する構成である。目標値設定部116は、この測光値に基づいて、露出の目標値およびWB調整の目標値を設定する。
なお、動画像の取得に際して目標値に向けて急峻に露出やWB調整の量を変更すると、動画像を構成する各フレーム間で明るさが頻繁に変化してしまうためユーザに違和感を与えてしまう。そこで、目標値設定部116が設定した目標値に対して所定量のヒステリシス(不感帯)を備え、当該ヒステリシスの範囲内においては露出およびWBの変更を行わない構成であってもよい。この場合、設定済みの露出を基準として所定量以上の輝度変化が生じた場合に、目標露出に向けて実際の露出(制御露出と称す)を変更する。
動き検出部117は、例えば、ジャイロセンサ(不図示)の出力結果に基づいて、カメラ1の姿勢変化や動き量(角速度および加速度など)を検出する動き検出手段である。なお、カメラ制御部101などが、撮像素子103から出力された複数の画像を比較して被写体の動きベクトルを算出し、当該動きベクトルをカメラ1の姿勢変化や動き量として検出する構成であってもよい。
外部記録媒体300は、カメラ本体100に対して着脱可能なメモリーカードやハードディスクなどの記録媒体であって、例えば、被写体を撮像することで取得した画像を記録することができる。なお、本実施形態の外部記録媒体300は、カメラ本体100に対して挿抜可能なメモリーカードを採用するが、これ限定されるものではなく、DVD−RWディスク等の光学ディスクやハードディスク等の磁気ディスクであってもよい。以上が、本実施形態のカメラの基本構成である。
(撮像モード)
以下、カメラ1で設定可能な撮像モードについて説明する。本実施形態のカメラ1は、撮像モードとして通常静止画モード、通常動画モード、タイムラプスモードを設定できる。
通常静止画モードは記録用に単一の画像データ(静止画像)を取得する撮像モードである。通常動画モードは、撮像素子103を用いて連続的に取得された複数の画像データ群に基づいて画像データ(動画像)を取得する撮像モードである。タイムラプスモードは、被写体の動画モードよりも長い間隔で間欠的な撮像を実行することで取得した複数の画像データを、取得順につなぎ合せた画像データ(タイムラプス動画)を生成するための撮像モードである。
なお、本実施形態では、タイムラプスモードが設定されている場合に、撮像装置内でタイムラプス動画を生成(合成)する構成としているが、これに限定されるものではない。例えば、タイムラプスモードとしては、少なくとも、撮像装置内でタイムラプス動画用に間欠的な撮像を実行する撮像モードであればよく、タイムラプス動画の生成(合成)は撮像装置外部の信号処理装置などで実行する構成であってもよい。
通常動画モードとタイムラプスモードとでは、取得される動画像の再生時間と当該動画像を取得するための総撮像時間(最初の撮像が開始されてから最後の撮像が終了するまでに要する期間)の相対関係が異なる。具体的に、通常動画モードでは、単一の動画像を取得するための総撮像時間と当該動画像の再生時間とが略同一である。これに対してタイムラプスモードでは、単一のタイムラプス動画を取得するための総撮像時間よりも当該タイムラプス動画の再生時間の方が短くなる。したがって、タイムラプスモードにおいて取得されるタイムラプス動画では、被写体の時間的な変化を圧縮することができる。
なお、タイムラプスモードでは、インターバル撮影の撮像間隔を予め設定された1秒、30秒、1分、15分、30分、1時間、3時間、5時間、10時間、24時間などの所定の撮像間隔(時間間隔)からユーザが任意の撮像間隔を設定できる。また、ユーザが任意の撮像間隔を自由に設定できる構成であってもよい。例えば、撮像間隔が24時間よりも長い、または、撮像間隔が1秒よりも短い構成であってもよい。
また、タイムラプスモードでは、間欠的な複数の撮像動作全体を開始してから終了するまでの総撮像時間(または総撮像回数)を設定可能である。さらに、タイムラプスモードでは、総撮像時間または総撮像回数に依らず、カメラ1に設けられた電池等の電源(不図示)からの電力供給が続く限り無制限に間欠的な撮像を実行することもできる。以上説明した各撮像モードは、ユーザが操作部112を操作することで自由に設定できる。
なお、本実施形態のカメラ1は、タイムラプスモードにおいて、予めユーザによって設定された撮像間隔に基づいてインターバル撮影を実施し、間欠的に取得された静止画像をつなぎ合せてタイムラプス動画を生成する構成である。これに対して、撮像素子103を用いて動画像を取得し、当該動画像を構成する画像の中から、予め設定された撮像間隔に応じてタイムラプス動画の生成に用いる画像を間欠的に抜き出す構成であってもよい。この構成を採用する場合、間欠的に静止画像を取得する場合と比較して、被写体を撮像する際の撮像素子103の電荷蓄積行を少なくする(画素行を間引いて電荷蓄積を行う)ことで、被写体を撮像する際のカメラ1における処理負荷を低減することができる。
(タイムラプスモードにおける撮像処理)
以下、図3を参照してタイムラプスモードにおける撮像処理について説明する。図3は、本発明に係るタイムラプスモードにおける撮像処理を説明するフローチャートである。撮像モードがタイムラプスモードに設定されると、ステップS301でカメラ制御部101は、被写体を撮像する際の露出の平滑化度合を示す露出平滑化フレーム数N_EVaveの値を0に初期化する。露出の平滑化についての詳細は後述する。
次に、ステップS302でカメラ制御部101は、タイムラプス動画の取得が指示されたか否かを判定する。本実施形態に係るカメラ1では、例えば、ユーザによって操作部112が操作されたことに応じて、タイムラプス動画の生成に用いる画像(タイムラプス画像と称す)の取得開始(被写体の撮像開始)が指示されたか否かを判定する。換言すると、ステップS302の処理では、単一のタイムラプス動画における最初のフレームに対応する画像の取得が指示されたか否かが判定される。
タイムラプス動画の取得指示がされるとステップS303に進んで、カメラ制御部101は、後述する被写体の測光により取得された測光値を保持する測光値保持領域EVHistを確保する。本実施形態では、メモリ102に測光保持領域EVHistを展開する。
次に、ステップS304でカメラ制御部101は、内蔵タイマー101aのカウントに基づいて、タイムラプス画像の取得タイミング(被写体の撮像タイミング)を監視する。なお、タイムラプス動画の生成に係る被写体の間欠的な撮像は、予め設定されている撮像間隔に基づき、前回の撮像からの時間計測が当該撮像間隔に到達したことに基づいて実行される。ここで、単一のタイムラプス動画の取得に係る間欠的な撮像のうちの最初の撮像は、ユーザによるタイムラプス動画の取得指示に応じて、内蔵タイマー101aでのカウントなしに被写体を撮像してもよいし。また、初回撮像用の任意の時間間隔を設定して、タイムラプス動画の取得指示後、内蔵タイマー101aの時間計測が当該時間間隔に到達したことに応じて被写体を撮像する構成であってもよい。ステップS304の処理は、撮像タイミングに到達するまで繰り返される。
撮像タイミングに到達したことに応じて、ステップS305で測光回路115は、被写体の測光値を演算する。測光演算の方法は前述した通りである。そして、測光演算が完了するとステップS306に進み、カメラ制御部101は、先に確保した測光値保持領域EVHistに演算した最新の測光値を格納する。
次に、ステップS307でカメラ制御部101は、被写体を撮像する際の露出を平滑化するための露出平滑化度合決定処理を実行する。一般的に、タイムラプス動画は通常の動画と比較して、動画を構成する複数の画像を取得する際の時間間隔が長い。そのため、通常の動画像を取得する際と同様に被写体の明るさの変化に撮像時の露出を追従させると、タイムラプス動画を構成する各画像間における被写体の明るさの変化度合が急峻になってしまう。この場合に取得されるタイムラプス動画は、被写体の明るさが急に変化することに起因して、動画内に不自然なチラつきが生じてしまう。
この問題に対して、タイムラプス動画を取得する際に、タイムラプス動画の生成に係る間欠的な撮像間において、撮像時の露出を平滑化する技術を適用することでチラつきの影響を抑制することができる。具体的に、間欠的な各撮像では、単一のタイムラプス動画の生成に係る過去の撮像時に用いた露出と現在の被写体の明るさを示す露出とを平滑化することで、画像間の明るさの変化が滑らかとなるタイムラプス動画を生成することができる。
しかしながら、タイムラプス動画の取得に関する情報を考慮せずに露出の平滑化を一律に実施することで、ユーザが意図しない明るさのタイムラプス動画が取得されてしまう場合がある。例えば、撮像間隔を1分として風景を撮像する場合、露出平滑化度合が弱いと、外光の一時的な変化(例えば、夜間における自動車の通過など)により、タイムラプス動画におけるチラつきが目立ってしまう。反対に、撮像間隔を5時間として風景を撮像する場合、露出平滑化度合が強いと、環境光が大きく変化しても、過去の撮像時に用いた露出の影響によってタイムラプス動画における被写体の明るさが不自然に暗いまたは明るくなってしまう。前者は、タイムラプス動画の取得に関する情報として間欠的な撮像の撮像間隔に基づいて、環境光(外光)の変化が小さいと仮定して、動画を構成する各画像間の露出変化ができるだけ滑らかになるようにタイムラプス動画の品位を優先すべきである。後者は、環境光の変化が大きいと仮定して、被写体の明るさに対して撮像毎に出来るだけ適正な露出となるようにタイムラプス動画の品位を優先すべきである。
そこで、本実施形態では、タイムラプス動画の取得に関する情報として間欠的な撮像の撮像間隔に基づいて露出の平滑化度合を制御することで、タイムラプス動画の品位を保ち、タイムラプス動画において被写体の輝度変化が不自然に変化することを抑制する。
以下、その詳細について図4を参照して説明する。図4は、本発明の第1の実施形態に係る図3のステップS307の露出平滑化度合決定処理〈A〉を示すフローであって、予め設定された撮像間隔(Interval)に基づいて、露出平滑化フレーム数N_EVaveを決定する場合について説明する図である。なお、本実施形態において露出平滑化フレーム数とは、タイムラプスモードにおいて、タイムラプス画像を取得するための各撮像に対応した目標露出を決定する際に測光値(または露出)を参照する、過去の撮像回数を指す。
図4に図示するように、ステップS401でカメラ制御部101は、予め設定されている撮像間隔(Interval)を読み出し、ステップS402で撮像間隔が24時間よりも長いか否かを判定する。カメラ制御部101により撮像間隔が24時間よりも長い(ステップS402でYES)と判定された場合はステップS403に進み、現状の撮像間隔から24時間を減算し、ステップS402の処理に戻る。ステップS402〜S403の処理を繰り返して撮像間隔が24時間以下であるとカメラ制御部101が判定した場合にステップS404に進む。ステップS402〜S403の処理は、24時間ごとの環境光の明るさが略同一であると想定し、実際の撮像間隔から24時間単位でInterval値を減算することで、環境光の実際の変化度合を判定するフローである。
次に、ステップS404でカメラ制御部101は、撮像間隔が12時間よりも長いか否かを判定する。カメラ制御部101により撮像間隔が12時間よりも長い(ステップS404でYES)と判定された場合、ステップS405に進み、カメラ制御部101は露出平滑化フレーム数N_EVave=3に設定する。カメラ制御部101により撮像間隔が12時間以下(ステップS404でNO)と判定された場合はステップS406に進む。
次に、ステップS406でカメラ制御部101は、撮像間隔が3時間よりも長いか否かを判定する。カメラ制御部101により撮像間隔が3時間よりも長い(ステップS406でYES)と判定された場合、ステップS407に進み、カメラ制御部101は露出平滑化フレーム数N_EVave=5に設定する。また、カメラ制御部101により撮像間隔が3時間以下(ステップS406でNO)と判定された場合、ステップS408に進み、カメラ制御部101は露出平滑化フレーム数N_EVave=10に設定する。以上が本実施形態に係る露出平滑化度合決定処理である。
図4のフローに従って設定された露出平滑化フレーム数N_EVaveは、目標露出を設定する際に参照する(単一のタイムラプス動画の生成に用いた画像に係る)過去撮像時の露出の数を示している。そして、この露出平滑化フレーム数が多いほど、過去撮像時の露出の参照度合が大きくなるため露出の平滑化度合が強く(大きく)、露出平滑化フレーム数が少ないほど、露出の平滑化度合が弱い(小さい)。
図3に戻り、ステップS307の処理で露出平滑化フレーム数が設定されたら、ステップS308で目標値設定部116は、露出演算処理を実行する。この詳細について図5を参照して説明する。図5は、本発明に係る露出演算処理を示すフローチャートである。
図5に図示するように、ステップS501で目標値設定部116は、単一のタイムラプス動画の生成に用いる画像として、既に取得が済んでいるタイムラプス画像の数(撮像数)が露出平滑化フレーム数N_EVaveよりも小さいか否かを判定する。
目標値設定部116により、タイムラプス画像数が露出平滑化フレーム数よりも小さい(ステップS501でYES)と判定された場合、ステップS502で目標値設定部116は、N_calcを現在まで取得済みのタイムラプス画像数に設定する。また、目標値設定部116により、タイムラプス画像数が露出平滑化フレーム数以上(ステップS501でNO)と判定された場合、ステップS503で目標値設定部116は、N_calcを先に算出した露出平滑化フレーム数N_EVaveに設定する。ここで、N_calcは、次の撮像に対応する目標露出の算出に際して実際に参照する記録済みの測光値の数を示す。
次に、ステップS504で目標値設定部116は、過去撮像時の測光値を保持しているメモリ102のEVHist領域からN_calc数分の測光値を参照し、参照した測光値に基づいて次にタイムラプス画像を取得する際の制御測光値を決定する。N_calc=5と設定されている場合には、それぞれのEVHist領域に記録されている測光値をEVHist[n]・・・とすると、制御測光値Bvの演算は以下の式(1)に示すように、
Bv={EVHist[n−4]+EVHist[n−3]+EVHist[n−2]+EVHist[n−1]+EVHist[n]}/N_calc・・・(1)
に基づいて算出する。なお、nは0を含む自然数とする。そして、算出された制御測光値を露出に換算することで目標露出を演算する。
上記のように、N_calc=5と設定されている場合について図6を参照して例示的に説明する。図6は、本発明に係るタイムラプスモードにおいて平滑化された露出を例示的に説明する図である。図6(a)は、本発明に係るEVHist領域に記録されている測光値と実際の目標露出との関係を例示的に説明する図である。図6(b)は、本発明に係るEVHist領域に記録されている複数の測光値と実際の目標露出との関係を例示的に説明する図である。
図6に図示するように、今回の撮像に対応する測光値を示すEVHist領域[n]をEVHist[4]とする。この場合、当該測光値と、今回の撮像よりも前の撮像に対応した測光値とを含む過去5つのタイムラプス画像取得時の測光値EVHist[0]〜[4]の平均値が目標露出に対応する。図6に図示する例では、過去撮像時の測光値の遷移を鑑みて、EVHist[4]を取得したタイミングにおける被写体の実際の明るさに対して、当該タイミングに対応する目標露出の値は相対的に低くなる。
図7は、本発明に係る露出平滑化フレーム数の差異と目標露出の遷移との関係を例示的に説明する図であって、縦軸が時間の経過、横軸が輝度値の大きさを表している。図7に図示するように、露出平滑化フレーム数が多くなるほど、各タイミングにおける実際の測光値に対して緩やかに制御測光値が遷移するため、目標露出の変化も緩やかとなる。これに対して、露出平滑化フレーム数が少なくなるほど、各タイミングにおける実際の測光値に対して急峻に制御測光値が遷移するため、目標露出の変化も急峻となり、各タイミングのそれぞれで被写体の明るさに対して適正な露出が設定される。
図3に戻り、ステップS308で目標露出が決定されたら、ステップS309でカメラ制御部101は、カメラ1の各部を制御して先に決定された目標露出となるように撮像時の露出を変更する。そして、ステップS310でカメラ制御部101は、カメラ1の各部を制御して被写体を撮像し、タイムラプス画像を取得する。
タイムラプス画像の取得が済むと、ステップS311でカメラ制御部101は、間欠的な撮像の終了指示を判断する。本実施形態では、カメラ制御部101により、予め設定されている総撮像回数に到達した場合に間欠的な撮像の終了指示がされたと判定する。これ以外にも、例えば、総撮像回数に到達する前にユーザによって終了指示がされたか否かを検出し、当該指示の有無に応じて間欠的な撮像の終了有無を判定する構成であってもよい。
カメラ制御部101が撮像の終了が指示されている(ステップS311でYES)と判定された場合、ステップS312でカメラ制御部101は、取得したタイムラプス画像を取得順につなぎ合せてタイムラプス動画を生成し、撮像処理を終了する。また、カメラ制御部101が撮像の終了が指示されていない(ステップS311でNO)と判定された場合は、ステップS304に戻り前述の各処理を繰り返す。以上が本実施形態に係るタイムラプスモードにおける撮像処理である。
なお、本実施形態では、タイムラプスモードにおける露出平滑化に、過去撮像時の測光値を参照する構成であるが、過去撮像時の露出を参照する構成であってもよい。この場合、EVHist領域に取得済みのタイムラプス画像に対応してステップS308で得られた目標露出に関する情報を撮像順に関する情報と紐付けて記録し、ステップS305で算出した測光値を露出に換算(例えば、APEX単位への換算)して露出演算処理を実行する。
以上説明したように、本実施形態のカメラ1によれば、タイムラプス動画の取得に関する情報として撮像間隔に基づいて露出の平滑化度合を可変とする構成としている。より具体的には、本実施形態のカメラ1は、撮像間隔が長い第1の間隔よりも撮像間隔が短い第2の間隔でタイムラプス画像を取得する場合の方が、タイムラプス画像の取得に係る各撮像時の露出の平滑化度合を大きくする構成である。この構成により、本実施形態のカメラ1は、タイムラプス動画中の不自然なチラつきを抑制しつつ、タイムラプス画像が、被写体の輝度変化に対して不自然な明るさとなることを抑制することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。例えば、前述した実施形態では、露出平滑化数決定処理におけるタイムラプス動画の取得に関する情報として撮像間隔を参照する場合について説明したが、これ以外の情報に基づいて露出平滑化フレーム数を決定する構成であってもよい。
第2の実施形態として、タイムラプス動画の取得に関する情報として、取得予定のタイムラプス動画のフレームレートに基づいて露出平滑化フレーム数を決定する構成について図8を参照して説明する。図8は、本発明の第2の実施形態に係る露出平滑化度合決定処理〈B〉を示すフローであって、タイムラプス動画のフレームレートに基づいて、露出平滑化フレーム数N_EVaveを決定する場合について説明する図である。
一般的に、動画像のフレームレートが高いほど画像の表示間隔は短くなるため、画像間の明るさの違いに起因するチラつきも目立つ。そこで、本発明の第2の実施形態では、取得予定のタイムラプス動画のフレームレートが高いほど露出平滑化度合を強く(大きく)し、フレームレートが低いほど露出平滑化度合を弱く(小さく)する。以下この詳細について説明する。
図8に図示するように、ステップS801でカメラ制御部101は、取得予定のタイムラプス動画のフレームレート(FrameRate)を検出する。ユーザがタイムラプス動画のフレームレートを設定できる場合は、ユーザによって事前に設定されているフレームレートを検出する。また、ユーザがビデオ方式(例えば、NTSCやPAL)を設定可能な場合は、ユーザが設定したビデオ方式に対応したフレームレートを検出する。
次に、ステップS802でカメラ制御部101は、先に検出したフレームレートが60fpsよりも高いレートであるか否かを判定する。カメラ制御部101によりフレームレートが60fpsよりも高いと判定された場合、ステップS803でカメラ制御部101は、露出平滑化フレーム数N_EVave=10に設定する。また、カメラ制御部101によりフレームレートが60fps以下であると判定された場合、ステップS804に進む。
次に、ステップS804でカメラ制御部101は、先に検出したフレームレートが30fpsよりも高いレートであるか否かを判定する。カメラ制御部101によりフレームレートが30fpsよりも高いと判定された場合、ステップS805でカメラ制御部101は、露出平滑化フレーム数N_EVave=5に設定する。また、カメラ制御部101によりフレームレートが30fps以下であると判定された場合、ステップS806でカメラ制御部101は、露出平滑化フレーム数N_EVave=3に設定する。
また第3の実施形態として、タイムラプス動画の取得に関する情報として、カメラ1の動き量に基づいて露出平滑化フレーム数を決定する構成について図9を参照して説明する。図9は、本発明の第3の実施形態に係る露出平滑化度合決定処理〈C〉を示すフローであって、撮像装置の動き量に基づいて、露出平滑化フレーム数N_EVaveを決定する場合について説明する図である。
なお、図9の処理は、前述した図4および(または)図8に記載の露出平滑化度合決定処理〈A〉、〈B〉に続けて実行されるものとするが、図9に示す露出平滑化度合決定処理のみを実行する構成であってもよい。図9に図示するように、ステップS901でカメラ制御部101は、動き検出部117の検出結果に基づいてカメラ1に所定量以上の動き(ブレ)が生じているか否かを判定する。カメラ制御部101によりカメラ1に所定量以上の動きが生じている(ステップS901でYES)と判定された場合、ステップS902でカメラ制御部101は、露出平滑化フレーム数N_EVave=0に設定する。また、カメラ制御部101によりカメラ1に所定量以上の動きが生じていない(ステップS901でNO)と判定された場合は、図4および(または)図8のフローに従って先に決定されている露出平滑化フレーム数を変更せずに処理を終了する。
ユーザが撮像装置を持ち歩きながらインターバル撮影を実行する所謂ウォークラプス撮影では、当該インターバル撮影に基づいて生成された動画において、露出の変化よりも被写体の変化(構図の変化)の方が目立つ。したがって、当該ウォークラプス撮影時は、露出の平滑化度合を弱めて撮像ごとに適正な露出に近づくように露出制御を実行する方が、被写体の変化をより効果的に記録することができる。そこで、図9に図示する第3の実施形態では、カメラ1に所定量以上の動きがある場合にウォークラプス撮影がされていると判定し、露出平滑化フレーム数を0に設定する。
なお、この場合に設定される露出平滑化フレーム数は0以外の値であってもよく、その場合、露出平滑化フレーム数を図4および図8に示す処理で設定可能な下限値よりも小さい数とするのが好ましい。
また、カメラ1の撮像モードの1つとしてウォークラプスモードを設定可能な場合は、カメラ1の動き量を検出する構成ではなく、当該ウォークラプスモードが設定されているか否かを検出する構成であってもよい。この場合、ウォークラプスモードが設定されているとカメラ制御部101が検出した場合に、上述したステップS902の処理に進む。
なお、以上で説明した露出平滑化度合決定処理〈A〉〜〈C〉の処理は、各処理を繋げて実行する構成であってもよい。例えば、露出平滑化度合決定処理〈A〉を実行した後に露出平滑化度合決定処理〈B〉を実行する構成であってもよい。この場合、露出平滑化度合決定処理〈A〉または露出平滑化度合決定処理〈B〉で決定された露出平滑化フレーム数の何れか一方を優先してする構成であってもよいし、各処理の結果に基づいて露出平滑化フレーム数を決定する構成であってもよい。例えば、撮像間隔が3〜12時間の間であって、タイムラプス動画のフレームレートが60fpsである場合に、露出平滑化フレーム数N_EVave=7に設定する構成であってもよい。
また、前述した実施形態では、タイムラプスモードにおいてカメラ1の内部でタイムラプス動画を生成する構成であったが、これに限定されるものではない。すなわち、カメラ1ではタイムラプス動画の生成に用いる記録画像を取得するための間欠的な撮像(インターバル撮影)を行い、外部機器やコンピュータネットワーク上でタイムラプス動画を生成する構成であってもよい。
また、前述した実施形態では、カメラ制御部101、メモリ102、メモリ制御部107、測光回路115、目標値設定部116などが互いに連携して動作することで、カメラ1の動作を制御する構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、前述した図3〜5、図8〜9に図示したフローに従ったコンピュータプログラムを予めメモリ102に格納しておき、該コンピュータプログラムをカメラ制御部101などが実行することで、カメラ1の動作を制御する構成であってもよい。
また、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。また、プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、光/光磁気記録媒体でもあってもよい。
また、前述した実施形態では、本発明を実施する撮像装置の一例としてデジタルカメラを採用した場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、デジタルビデオカメラやスマートフォンなどの可搬デバイスなどや、セキュリティカメラなど、デジタルカメラ以外の撮像装置を採用する構成であってもよい。
(その他の実施形態)
また本発明は、上述の実施形態の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現できる。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現できる。