JP6949583B2 - 非晶質シリカの洗浄方法 - Google Patents
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Description
例えば、非晶質合成シリカ(以下、「非晶質シリカ」という。)は、シリカ粒子の大きさを制御することができ、化学成分が安定的であり、かつ、反応性に優れていることから、医薬品、化粧品、複写機におけるトナー、及び印刷塗料等におけるフィラー材として利用されている。
また、99.99質量%以上の高純度の非晶質シリカは、半導体分野における原料や、化学機械研磨(CMP)材等に利用されている。
沈降法で得られた非晶質シリカは、ケイ酸アルカリ水溶液のケイ酸濃度および添加速度や、鉱酸濃度や、反応温度等の影響によって、多孔質の形態となる。
多孔質の非晶質シリカは、シリカ粒子の内部に、不純物を含む液を保水するため、ろ過や洗浄等が困難であるという問題があった。
多孔質の非晶質シリカの洗浄方法(シリカ粒子の内部に含まれる不純物を含む液を除去する方法)としては、例えば、多孔質の非晶質シリカを水(不純物をほとんど含まないもの)に浸漬して、シリカ粒子の内部に含まれる不純物を含む液を水と置換する方法が挙げられる。該方法は、シリカ粒子の内部からの不純物の拡散速度が遅いため、生産性が著しく低下したり、置換が不十分となる場合があった。
効率的に非晶質シリカを洗浄する方法として、特許文献1には、遠心分離機を用いて、非晶質シリカを洗浄する方法であって、遠心分離機の遠心力を1.0〜2.0Gに保ちながら、注水および非晶質シリカの洗浄を行う洗浄工程を含む、非晶質シリカの洗浄方法が記載されている。
本発明の目的は、洗浄に用いられる水の量を削減し、短時間で効率よく非晶質シリカを洗浄することができる方法を提供することである。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供するものである。
[1] 圧力調整容器を用いて、非晶質シリカを洗浄する方法であって、上記圧力調整容器が、吸水した非晶質シリカを載置するための非晶質シリカ載置用透水手段であって、上記吸水した非晶質シリカに含まれている水分を通過させることができるように構成されている非晶質シリカ載置用透水手段と、上記非晶質シリカ載置用透水手段の上方に設けられる、上記吸水した非晶質シリカを加圧気体で加圧するための加圧室と、上記非晶質シリカ載置用透水手段の下方に設けられる、上記吸水した非晶質シリカを減圧気体で減圧して、上記吸水した非晶質シリカに含まれている水分を回収するための減圧室を備えており、(A)非晶質シリカに水を供給して、吸水した非晶質シリカを得る吸水工程と、(B)上記吸水した非晶質シリカに対して、上記圧力調整容器を用いて、上記加圧室による加圧と、上記減圧室による減圧を同時に行い、脱水した非晶質シリカを得る脱水工程、を含むことを特徴とする非晶質シリカの洗浄方法。
[2] 工程(A)が、上記非晶質シリカ載置用透水手段の上に、上記非晶質シリカを載置した後、上記加圧室の内部に水を供給して、上記非晶質シリカを水中に浸漬させることによって行われる前記[1]に記載の非晶質シリカの洗浄方法。
[3] 上記減圧室で回収される水の電気伝導度が10mS/m以下になるまで、工程(A)および工程(B)を繰り返し行う前記[1]又は[2]に記載の非晶質シリカの洗浄方法。
[4] 上記非晶質シリカ載置用透水手段が、吸水した非晶質シリカを載置するための水分通過可能な板体、および、該板体の上に載置される、通気度(「JIS L 1096:2010 織物及び編物の生地試験方法」に規定される方法で測定した値)が0.3〜10cc/cm2・sであるろ布を含む前記[1]〜[3]のいずれかに記載の非晶質シリカの洗浄方法。
[5] 工程(B)において、上記加圧室における加圧の程度が、2MPa以上であり、かつ、上記減圧室における減圧の程度が、0.03MPa以上である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の非晶質シリカの洗浄方法。
[6] 上記非晶質シリカが、多孔質の沈降性シリカである前記[1]〜[5]のいずれかに記載の非晶質シリカの洗浄方法。
以下、本発明で用いられる圧力調整容器の一例について、図1〜2を参照にしながら説明する。
本発明で用いられる圧力調整容器1は、容器本体2と、非晶質シリカ載置用透水手段(穴あき板10およびろ布11)と、蓋体3と、撹拌羽根4および振動付与部材(ノッカー)7、8からなる。
なお、撹拌羽根4および振動付与部材(ノッカー)7、8は、本発明において必須の部材ではなく、後述する脱泡または気泡生成抑制の方法を行う目的で任意に設置される部材である。撹拌羽根4および振動付与部材(ノッカー)7、8は、いずれか一方を設置してもよく、両方を設置してもよい。また、振動付与部材(ノッカー)7、8は、いずれか一方を設置してもよく、両方を設置してもよい。
圧力調整容器1の内部には、非晶質シリカ12が収容されている。圧力調整容器1の内部空間は、穴あき板10によって、加圧室2aと減圧室2bとに区分されている。加圧室2aは、蓋体3および容器本体2の一部(穴あき板10の上方の部分)によって形成されている。減圧室2bは、容器本体2の残部(穴あき板10の下方の部分)によって形成されている。
容器本体2は、減圧気体排出口6および排水口13を有する。蓋体3は、ヒンジ部9を軸にして容器本体2に対して回動可能に設けられている。蓋体3は、加圧気体を送入するための加圧気体流入口5を有している。また、蓋体3には、蓋体3の貫通孔に回転軸を挿入された状態で、撹拌羽根4が取り付けられている。
圧力調整容器1の形状は、特に限定されるものではないが、加圧および減圧を行うことから、略円柱状の部分を含むことが、耐久性の観点から好ましい。
本発明において、非晶質シリカ載置用透水手段(穴あき板10およびろ布11)は、吸水した非晶質シリカを載置するためのものであり、吸水した非晶質シリカに含まれている水分を通過させることができるように構成されている。また、非晶質シリカ載置用透水手段は、非晶質シリカの収率をより向上させる観点から、載置された非晶質シリカを通過させることなく、水分のみを通過させるものが好ましい。
非晶質シリカ載置用透水手段の例としては、図1に示すとおり、吸水した非晶質シリカを載置するための水分通過可能な穴あき板10、および、穴あき板10の上に載置される、通気度(「日本工業規格(本明細書中、「JIS」と称す。) L 1096:2010 織物及び編物の生地試験方法」に規定される方法で測定した値)が0.3〜10cc/cm2・sであるろ布11を含むもの等が挙げられる。
穴あき板10は、ろ布11を支持することができ、かつ、水分の通過が可能なものであればよい。
穴あき板10は、容器本体2に固着されていてもよく、容器本体2に対して脱着可能であってもよい。
上述した通気性を有するろ布11としては、セルロース繊維、ポリアミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維(例えば、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維等)、レーヨン繊維、アラミド繊維等の有機繊維や、ガラス繊維、セラミック繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ロックウール、スラグウール等の無機繊維等の繊維を用いた、織布または不織布からなるものが挙げられる。
ろ布11の形状は、シート状であってもよく、袋状(例えば、フレキシブルコンテナバッグ)であってもよい。袋状のろ布(図示せず)を使用する場合、袋状のろ布の内部に非晶質シリカを収容した後、袋状のろ布を穴あき板10の上面に載置する。
加圧気体は、シリカと反応しないものであればよく、例えば、空気、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。中でも、コストの面から、空気が好ましい。なお、図1中、符号Aは、加圧気体が送入される方向を示す。
減圧室2bは、非晶質シリカ載置用透水手段(穴あき板10およびろ布11)の下方に設けられる。減圧室2bにおいて、吸水した非晶質シリカ12を減圧気体で減圧することで、吸水した非晶質シリカ12に含まれている水分を、減圧室2bの下部に設けられた排水口13から回収することができる。
ここで、減圧は、真空ポンプ等を使用して、減圧室2b内の気体を、減圧気体排出口6から排出することで行われる。なお、図1中、符号Bは、減圧気体が排出される方向を示す。
次に、本発明の処理対象である非晶質シリカについて説明する。
本発明において、洗浄の対象となる非晶質シリカは、特に限定されず、多孔質のシリカであってもよく、多孔質ではないシリカであってもよい。中でも、多孔質のシリカは、多孔質ではないシリカに比べて、本発明の効果をより大きく発揮する点で好ましい。
非晶質シリカのBET比表面積は、本発明の洗浄に用いられる水の量を削減するという効果を十分に得る観点から、好ましくは400cm2/g以上、より好ましくは450cm2/g以上である。
多孔質のシリカとしては、例えば、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸を混合する際に、ゲル状のシリカが生成しないように制御することで得られる粒子状の非晶質シリカ(以下、「沈降性シリカ」ともいう。)が挙げられる。
以下、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸を混合して、沈降性シリカを得る方法について説明する。
シリカ含有鉱物を原料として調製されるケイ酸アルカリ水溶液は、例えば、シリカ含有鉱物粉末とアルカリ水溶液を混合して、pHが11.5以上のアルカリ性スラリーを調製し、次いで、このpHを維持することによって、液分中のSi濃度が、好ましくは6.0質量%以上となるように、シリカ含有鉱物粉末中のSiを液分中に溶解させた後、このアルカリ性スラリーを固液分離することで得ることができる。
上記シリカ含有鉱物の例としては、珪藻土、珪質頁岩等が挙げられる。該シリカ含有鉱物はアルカリに対する溶解性が高いことが望ましい。
上記シリカ含有鉱物粉末は、例えば、珪質頁岩等のシリカ含有鉱物を粉砕装置で粉砕することで製造することができる。
粉砕装置の例としては、ジョークラッシャー、トップグラインダーミル、ボールミル、ジェットミル等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせて用いてもよい。
また、上記シリカ含有鉱物(粉末状のもの、または、粉砕前のもの)に対して予め水洗および焼成の少なくともいずれか一方を行うことで、上記シリカ含有鉱物に含まれる不純物である粘土分および有機分を、除去してもよい。
上記アルカリ性スラリーのpHは、11.5以上、好ましくは12.5以上、より好ましくは13.0以上である。該pHが11.5未満であると、シリカを十分に溶解させることができず、シリカが固形分中に残存してしまうため、得られるシリカの収量が減少する。
シリカ含有鉱物を原料として調製したケイ酸アルカリ水溶液のSi濃度は、好ましくは6.0質量%以上、より好ましくは8.0質量%以上、特に好ましくは10.0質量%以上である。該濃度が6.0質量%以上であれば、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸を混合した際に、シリカがゲル状で析出しにくくなることから、固液分離に要する時間を短くすることができると共に、得られるシリカの量をより大きくすることができる。
水ガラスのSi濃度は、好ましくは11.0質量%以上、より好ましくは12.0質量%以上、特に好ましくは13.0質量%以上である。該濃度が11.0質量%以上であれば、水ガラスと鉱酸を混合した際に、シリカがゲル状で析出しにくくなることから、固液分離にかかる時間を短くすることができると共に、得られるシリカの量をより大きくすることができる。水ガラスのSi濃度の上限値は、特に限定されないが、好ましくは20質量%である。
なお、水ガラスのSi濃度が20質量%を超えると、ハンドリング性が悪くなる。この場合、水ガラスに加水して、Si濃度を20質量%以下に調整してもよい。
上述したケイ酸アルカリ水溶液(シリカ含有鉱物を原料として調製したもの、または、水ガラス)と、鉱酸を混合して、中和反応させることで、液分中のSiを非晶質シリカ(非ゲル状の沈降性シリカ)として得ることができる。
ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸の混合方法は、特に限定されないが、鉱酸にケイ酸アルカリ水溶液を添加する方法が好ましい。この場合、混合後の溶液のpHを1.0以下に保つことが好ましい。
鉱酸の濃度は、ケイ酸アルカリ水溶液との中和反応により、非ゲル状の沈降性シリカが析出すればよく、好ましくは20体積%以上、より好ましくは22体積%以上、特に好ましくは25体積%以上である。該濃度が20質量%以上であれば、ゲル状のシリカの生成を防ぐことができる。鉱酸の濃度の上限値は、特に限定されないが、取り扱い性等の観点から、例えば、50体積%である。
沈降性シリカを析出させる際の温度(析出温度)は、特に限定されないが、例えば、5〜30℃である。
上記中和反応によって得られた非晶質シリカ(沈降性シリカ)は、多孔質のものである。該非晶質シリカのマクロ細孔径は、通常、50〜100μmである。また、該非晶質シリカのナノ細孔径は、通常、0.1〜5nmである。
非晶質シリカの粒度は、非晶質シリカの製造条件の変更や、非晶質シリカの粉砕によって、調整することができる。粉砕方法は、特に限定されるものではないが、得られた非晶質シリカを本発明の方法で洗浄することを考慮すると、非晶質シリカは、未乾燥の状態で粉砕してもよい。この場合の粉砕方法として、例えば、プレス粉砕や湿式粉砕が挙げられる。
以下、上述した圧力調整容器を用いて、非晶質シリカを洗浄する方法について、工程ごとに詳しく説明する。
[工程(A):吸水工程]
本工程は、非晶質シリカ12に水を供給して、吸水した非晶質シリカ12を得る工程である。
水を供給して、吸水した非晶質シリカ12を得る方法としては、非晶質シリカ載置用透水手段(穴あき板10およびろ布11)の上に、非晶質シリカ12を載置した後、加圧室2aの内部に水を供給して、上記非晶質シリカを水中に浸漬させる方法が好ましい。
水の供給量は、非晶質シリカ12が十分に浸漬される量であればよいが、シリカ粒子の内部に含まれる不純物を含む液と、水を十分に置換する観点からは、水の液面から非晶質シリカ12からなる層の上面までの深さ(水の層の厚み)が、好ましくは6mm以上、より好ましくは8mm以上、特に好ましくは10mm以上となる量である。また、該水の供給量は、洗浄に用いられる水の量を削減する観点からは、好ましくは30mm以下、より好ましくは25mm以下、特に好ましくは20mm以下となる量である。
また、脱水工程の後、回収された水の電気伝導度(後述)を測定し、得られた測定結果によって、使用する水の種類を変更してもよい。具体的には、減圧室2bから回収された水の電気伝導度が特定の数値以下(例えば、100mS/m以下)となった場合、使用する水の種類を、工業用水からイオン交換水に変更してもよい。
非晶質シリカ12からなる層の内部に気泡が巻き込まれることを防ぐ方法(脱泡または気泡生成抑制の方法)としては、水の供給速度が小さくなるように制御する方法や、水を供給した後、撹拌羽根4を用いて撹拌を行う方法や、容器本体2の外部に振動付与体(ノッカー)7、8を設置して、容器本体2をタッピングする(振動を与える)方法や、超音波振動処理を行なう方法や、減圧処理を行なう方法等が挙げられる。
また、洗浄時間をより短くする観点から、非晶質シリカを水中に浸漬させる前に、固液分離(例えば、減圧脱水)を行い、非晶質シリカの内部に含まれる不純物を含む液を、ある程度除去してもよい。
本工程は、工程(A)で得られた吸水した非晶質シリカに対して、圧力調整容器1を用いて、加圧室2aによる加圧と、減圧室2bによる減圧を同時に行い、脱水した非晶質シリカを得る工程である。
加圧は、加圧気体流入口5から、加圧気体を送入することで行われる。加圧の程度(加圧後の圧力から加圧前の圧力を差し引いた値)は、好ましくは2MPa以上、より好ましくは2.5〜8MPa、さらに好ましくは3〜7MPa、特に好ましくは3.5〜6MPaである。加圧の程度が2MPa以上であれば、洗浄時間をより短くし、洗浄回数を減らすことができる。
減圧は、減圧室2b内の気体を、減圧気体排出口6を通じて吸引することで行われる。減圧の程度(減圧前の圧力から減圧後の圧力を差し引いた値)は、好ましくは0.03MPa以上、より好ましくは0.05MPa以上、特に好ましくは0.08MPa以上である。減圧の程度が0.03MPa以上であれば、洗浄時間をより短くし、洗浄回数を減らすことができる。
本発明では、加圧と減圧を同時に行うことで、洗浄時間を短くすることができ、かつ、洗浄回数を減らして、洗浄に用いられる水の量を減らすことができる。
加圧室2aにおける圧力と減圧室2bにおける圧力の差(加圧の程度の数値と減圧の程度の数値の合計)は、好ましくは1MPa以上、より好ましくは2MPa以上、特に好ましくは3MPa以上である。該差が1MPa以上であれば、洗浄時間をより短くし、洗浄回数を減らすことができる。
また、水中に沈積している非晶質シリカ12が水中に舞い上がったり、水面が波立つことで、非晶質シリカ12からなる層に気泡が巻き込まれることを防ぐ観点から、加圧および減圧を同時に行う前に、減圧のみを、好ましくは10〜60秒間、より好ましくは20〜40秒間予め行ってもよい。
[非晶質シリカの製造]
Si濃度が13.5質量%である水ガラス(水ガラス3号、東ソー産業社製 JIS規格品)を、濃度が25体積%である硫酸(工業用硫酸、五陽商会社製)に滴下し、析出温度を20℃に保ちながら、多孔質の非晶質シリカ(沈降性シリカ)を析出させた。なお、水ガラスと硫酸の混合物のpHは、滴下終了時まで1.0以下に保った。得られた非晶質シリカは、ブレーン比表面積が480cm2/gであり、不純物を含む液分を70質量%の割合で含む湿潤非晶質シリカであった。
穴あき板10の上面全体にろ布(通気度:1.3cc/cm2・s)11を載置してなる圧力調整容器1(φ1,500mm×高さ500mm;図1〜2参照)に、上記湿潤非晶質シリカ80kgを投入した。次いで、真空ポンプを用いて、減圧室2b内を減圧の程度が0.1MPaとなるように減圧しながら、30秒間減圧脱水を行った。
減圧脱水終了後、非晶質シリカ12からなる層の表面から水面までの高さが10mmとなるように、工業用水(図示せず)65kgを投入した。次いで、振動付与部材(ノッカー)7、8を用いて、タッピング操作(容器本体2に衝撃を加えること)を行って脱泡処理を行なった後、静置した状態で、工業用水中に非晶質シリカ12を5分間浸漬した。
浸漬後、真空ポンプを用いて、減圧室2b内を減圧の程度が0.1MPaとなるように減圧しながら30秒間脱水を行った後(表1中、「プレ減圧」と示す。)、さらに、減圧を維持しつつ、加圧気体流入口5から、加圧空気を送入して、加圧室2a内を加圧の程度(加圧後の圧力と加圧前の圧力の差)が4MPaとなるように加圧して、非晶質シリカ12を脱水した。
脱水に要した時間は10分間(表1中、(a)の「浸漬の後の脱水時間(分)」の「減圧及び加圧」参照)であった。脱水の終了後、脱水によって回収した水の電気伝導度を測定し、該電気伝導度が100mS/m以下になるまで、工業用水を用いて上述した浸漬〜脱水の終了までの操作(表1中、「a」と示す。)を繰り返し実施したところ、4回目の繰り返し後に回収した水において、電気伝導度が100mS/m以下となった。
その後、工業用水の代わりにイオン交換水を使用して、脱水によって回収した水の電気伝導度が10mS/m以下となるまで、2回、上述した浸漬〜脱水の終了までの操作(表1中、「b」と示す。)を繰り返し、湿潤シリカ77.4kgを得た。洗浄に使用した水の総量は、湿潤シリカ1kgあたり5.04kgであった。
通気度が0.5cc/cm2・sであるろ布を使用し、かつ、加圧室2a内を加圧の程度が5MPaとなるように加圧する以外は実施例1と同様にして、脱水によって回収した水の電気伝導度が100mS/m以下になるまで、工業用水を用いて実施例1と同様の操作を繰り返した。その結果、脱水に要した時間は15分間であり、上記操作の繰り返し回数は、4回であった。
その後、工業用水の代わりにイオン交換水を使用して、脱水によって回収した水の電気伝導度が10mS/m以下となるまで、2回、同様の操作を繰り返し、湿潤シリカ76.5kgを得た。洗浄に使用した水の総量は、湿潤シリカ1kgあたり5.10kgであった。
通気度が5cc/cm2・sであるろ布を使用し、非晶質シリカの浸漬時間を7分間とし、かつ、加圧室2a内を加圧の程度が3MPaとなるように加圧する以外は実施例1と同様にして、脱水によって回収した水の電気伝導度が100mS/m以下になるまで、工業用水を用いて、実施例1と同様の操作を繰り返した。脱水に要した時間は7分間であり、上記操作の繰り返し回数は4回であった。
その後、工業用水の代わりにイオン交換水を使用して、脱水によって回収した電気伝導度が10mS/m以下となるまで、2回、同様の操作を繰り返し、湿潤シリカ74.3kgを得た。洗浄に使用した水の総量は、湿潤シリカ1kgあたり5.25kgであった。
上記湿潤非晶質シリカ80kgを、遠心分離機(タナベウィルテック社製、商品名「CO−42型」)に投入し、遠心分離機の回転数を45rpmに、遠心力を1.5Gに保ちながら、注水ノズルにより工業用水を110kg投入して、洗浄を行った。洗浄に要した時間は480秒間であった。
洗浄後、遠心分離機の回転数を950rpmまで増大させて、500Gの遠心力を利用して、560秒間の脱水を行った。洗浄および脱水に要した時間の合計は17.3分間であった。脱水の終了後、脱水によって回収した水の電気伝導度を測定し、該電気伝導度が100mS/m以下になるまで、工業用水を用いて上述した洗浄および脱水を繰り返したところ、繰り返し回数が8回で、脱水によって回収した水の電気伝導度が100mS/m以下となった。
その後、工業用水の代わりにイオン交換水を使用して、脱水によって回収した水の電気伝導度が10mS/m以下となるまで、2回、同様の操作を繰り返し、湿潤シリカ75.4kgを得た。洗浄に使用した水の総量は、湿潤シリカ1kgあたり14.59kgであった。
非晶質シリカ12を浸漬した後、減圧を行わず、加圧室2a内を加圧の程度が4.1MPaとなるように加圧する(表1中、「加圧のみ」と示す。)以外は実施例1と同様にして、脱水によって回収した水の電気伝導度が100mS/m以下になるまで、工業用水を用いて、実施例1と同様の操作を繰り返した。脱水に要した時間は20分間であり、上記操作の繰り返し回数は5回であった。
その後、工業用水の代わりにイオン交換水を使用して、脱水によって回収した水の電気伝導度が10mS/m以下となるまで、2回、同様の操作を繰り返し、湿潤シリカ76.5kgを得た。洗浄に使用した水の総量は、湿潤シリカ1kgあたり5.95kgであった。
非晶質シリカ12を浸漬した後、減圧室2b内を減圧の程度が0.1MPaとなるように減圧しながら(表1中、「減圧のみ」と示す。)非晶質シリカ12を脱水する以外は実施例1と同様にして、脱水によって回収した水の電気伝導度が100mS/m以下になるまで、工業用水を用いて、実施例1と同様の操作を繰り返した。脱水に要した時間は33分間であり、上記操作の繰り返し回数は6回であった。
その後、工業用水の代わりにイオン交換水を使用して、脱水によって回収した水の電気伝導度が10mS/m以下となるまで、2回、同様の操作を繰り返し、湿潤シリカ77.8kgを得た。洗浄に使用した水の総量は、湿潤シリカ1kgあたり6.68kgであった。
洗浄に要した合計時間、合計水量、及び非晶質シリカの収率を表1に示す。
特に、実施例1と比較例2を比較すると、圧力差の数値が同じ(4.1MPa)であっても、加圧と減圧を同時に行う場合(実施例1)の方が、加圧のみを行う場合(比較例2)と比べて、洗浄回数、及び、洗浄に用いられる合計の水量(表1中の「合計水量」)を減らすことができることがわかる。
2 容器本体
2a 加圧室
2b 減圧室
3 蓋体
4 撹拌羽根
5 加圧気体流入口
6 減圧気体排出口
7、8 振動付与部材(ノッカー)
9 ヒンジ部
10 穴あき板
10a 孔
11 ろ布
12 非晶質シリカ
13 排水口
Claims (5)
- 圧力調整容器を用いて、非晶質シリカを洗浄する方法であって、
上記圧力調整容器が、吸水した非晶質シリカを載置するための非晶質シリカ載置用透水手段であって、上記吸水した非晶質シリカに含まれている水分を通過させることができるように構成されている非晶質シリカ載置用透水手段と、上記非晶質シリカ載置用透水手段の上方に設けられる、上記吸水した非晶質シリカを加圧気体で加圧するための加圧室と、上記非晶質シリカ載置用透水手段の下方に設けられる、上記吸水した非晶質シリカを減圧気体で減圧して、上記吸水した非晶質シリカに含まれている水分を回収するための減圧室を備えており、
(A)非晶質シリカに水を供給して、吸水した非晶質シリカを得る吸水工程と、
(B)上記吸水した非晶質シリカに対して、上記圧力調整容器を用いて、上記加圧室による加圧と、上記減圧室による減圧を同時に行い、脱水した非晶質シリカを得る脱水工程、
を含み、
工程(B)において、上記加圧室における加圧の程度が、2MPa以上であり、かつ、上記減圧室における減圧の程度が、0.03MPa以上であることを特徴とする非晶質シリカの洗浄方法。 - 工程(A)が、上記非晶質シリカ載置用透水手段の上に、上記非晶質シリカを載置した後、上記加圧室の内部に水を供給して、上記非晶質シリカを水中に浸漬させることによって行われる請求項1に記載の非晶質シリカの洗浄方法。
- 上記減圧室で回収される水の電気伝導度が10mS/m以下になるまで、工程(A)および工程(B)を繰り返し行う請求項1又は2に記載の非晶質シリカの洗浄方法。
- 上記非晶質シリカ載置用透水手段が、吸水した非晶質シリカを載置するための水分通過可能な板体、および、該板体の上に載置される、通気度(「JIS L 1096:2010 織物及び編物の生地試験方法」に規定される方法で測定した値)が0.3〜10cc/cm2・sであるろ布を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の非晶質シリカの洗浄方法。
- 上記非晶質シリカが、多孔質の沈降性シリカである請求項1〜4のいずれか1項に記載の非晶質シリカの洗浄方法。
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