JP6256672B2 - ナノ結晶セルロースの製造方法及びナノ結晶セルロースの製造装置 - Google Patents

ナノ結晶セルロースの製造方法及びナノ結晶セルロースの製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、ナノ結晶セルロースの製造方法及びナノ結晶セルロースの製造装置に関する。
ナノオーダーの大きさを有する結晶セルロース(以下、ナノ結晶セルロースと称する)は、軽量でありながらも高い強度を備え、弾性率も高く、熱に対しては寸法安定性が高く、さらには分散液中で液晶性を示すなど、多様な機能を備えることから新規な機能性材料として注目されている。
ところで、セルロースはグルコースがβ−1,4結合してなる直鎖状のホモ多糖であり、セルロース分子間の水素結合によってシート状になっている。樹木や綿等の天然物に由来するセルロースは、セルロースI型と呼ばれる結晶構造をとり、セルロースミクロフィブリルといわれる結晶性の微細繊維構造が集合した構造である。セルロースミクロフィブリル中には結晶部分以外に非晶質部分が存在する。
例えば、特許文献1のように、ウェットパルプに塩酸や硫酸等の強酸を作用させて結晶セルロースを製造する方法が知られている。この方法は、強酸によってミクロフィブリル中の非晶質部分を加水分解して、結晶セルロースを製造する方法である。この方法は、高濃度の強酸を多量に使用するため、ラージスケールで生産する場合は安全性に乏しい。また、酸の再利用が不可能であり、結晶セルロースと酸の分離、精製に多大な労力とコストが必要であった。さらには、製造されるナノ結晶セルロースは硫酸に由来するスルホ基で修飾されるため、ドラッグデリバリーシステムの賦形剤等の用途には不適である。
また、特許文献2のように、化学パルプを摩砕した後に、セルラーゼで酵素分解し、しかる後に解繊処理を行うことにより、直径が1〜1000nmの微細繊維状セルロースを製造する方法が開示されている。この方法は、工程数が多く煩雑であるし、酵素が失活しないように管理が必要である。
さらに、非特許文献1のように、マイクロ結晶セルロース(MCC)を陽イオン交換樹脂で加水分解して結晶セルロースを製造する方法が記載されている。この方法によれば、直径10〜40nm、長さ100〜400nmの結晶セルロースが得られるとされている。
特開昭57−195101号公報 特開2012−46846号公報
「Manufacture of cellulosenanocrystals by cation exchange resin-catalyzed hydrolysis of cellulose」Chen Yan-dan他 Bioresource Technology 102(2011)10973-10977
原料となる微小結晶セルロースと固体酸触媒とを撹拌することなく、両者を接触させて加水分解を行うナノ結晶セルロースの製造方法及びその製造方法に適したナノ結晶セルロースの製造装置を提供する。
上述の非特許文献1のように、反応容器に陽イオン交換樹脂とマイクロ結晶セルロースを入れて混合し、回分的に加水分解を行う方法は、陽イオン交換樹脂とマイクロ結晶セルロースとの接触面積が小さいため反応効率が悪く、接触面積を大きくするには必ず撹拌作業が必要になる。撹拌作業により固体酸触媒が消耗するため、早期に固体酸触媒の取り換えが必要になる。また、反応完了後は陽イオン交換樹脂とナノ結晶セルロースをイオン交換樹脂の粒径に応じたスクリーンで濾過することにより分離する作業が必須であり煩雑である。さらには、濾過槽が必要になることから反応装置の構成も複雑になる。反応後の陽イオン交換樹脂は洗浄して、再利用することが可能であるが、撹拌や濾過により陽イオン交換樹脂が失われたり損傷したりして、再利用できる陽イオン交換樹脂が減少するという問題がある。
本願発明者らは、固体酸触媒を用いてナノ結晶セルロースを量産し得る方法及び装置について研究を進めた結果、固体酸触媒をカラムに充填し、加熱した微小セルロース懸濁液を前記カラムに循環させながら加水分解を行うことで、ナノ結晶セルロースを効率よく製造することに成功した。すなわち、本発明は、微小セルロース懸濁液を加熱する加熱工程と、固体酸触媒を充填したカラムに加熱した微小セルロース懸濁液を通過させて微小セルロースの非晶質部分を加水分解する加水分解工程と、で処理するナノ結晶セルロースの製造方法であって、加水分解工程は、カラムを通過した微小セルロース懸濁液を再びカラムに送り込んで循環させながら加水分解を行うナノ結晶セルロースの製造方法である。本発明の製造方法では、カラムに充填した固体酸触媒に微小セルロース懸濁液を通過させることで加水分解を行うため、撹拌作業を伴わない。また、固体酸触媒はカラムに充填されているため、反応後のナノ結晶セルロースの液に固体酸触媒が混入することが少なく、濾過分離の必要がない。しかも、本発明では微小セルロース懸濁液を循環させながら加水分解するため、未反応の微小セルロース懸濁液が残り難い。
本発明でいう微小セルロースとは、その懸濁液を調製した際に容易に沈殿せず、カラムに充填した固体酸触媒に目詰まりしない程度の粒径を有するセルロースや、パルプの微粉砕物をいう。例えば、繊維長が1〜200μm、かつ繊維幅が1〜1000nmのセルロース繊維を使用することができる。より好ましくは、繊維長が1〜100μm、かつ繊維幅が1〜300nmである。
そして、上記の製造方法は、固体酸触媒を充填したカラムと、該カラムに微小セルロース懸濁液を送り込み前記カラムを通過させ当該カラムを通過した微小セルロース懸濁液を再び前記カラム送り込む送液ポンプと、循環する微小セルロース懸濁液を加熱する加熱部と、からなるナノ結晶セルロースの製造装置によって、容易に実施することができる。
上記製造方法の各工程に加えて、カラムに通す前の微小セルロース懸濁液に超音波を照射する超音波照射工程をさらに行うことが好ましい。超音波の照射は、送液ポンプの前の流路、送液ポンプの後の流路又は加熱部の容器に超音波照射部を設けることで、微小セルロース懸濁液に均一に超音波を照射することが可能になる。
上記製造方法における加熱工程では、微小セルロース懸濁液を50〜80℃に加熱することが好ましく、良好な収率でナノ結晶セルロースを製造することができる。
上記製造方法における加水分解工程で使用する固体酸触媒の平均粒径は0.8〜5mmとすることが好ましく、カラムに目詰まりが生じ難い。
上記製造方法における加水分解工程で使用する微小セルロース懸濁液の濃度は0.1〜1.0重量%であることが好ましく、懸濁液がカラムを通りやすい。
上記製造装置においては、固体酸触媒を充填したカラムを複数本備える構成として、当該カラムの上流に流路切換弁を配する構成とすることが好ましい。流路切換弁により一方のカラムに充填された固体酸触媒を洗浄しつつ他方のカラムに充填された固体酸触媒で反応を継続することができる。洗浄しないときは、複数本のカラムで効率的に反応を行うことができる。
本発明では、カラムに充填した固体酸触媒の粒子の隙間に微小セルロース懸濁液を通過させる。そのため、固体酸触媒と微小セルロース懸濁液を撹拌する必要がなく、固体酸触媒の消耗が少ない。また、反応後の反応液に固体酸触媒が混入することが少ないため、固体酸触媒を分離する作業が不要である。
本発明では、原料となる微小セルロース懸濁液をカラムに循環させて加水分解する。原料の性質に応じて循環時間を設定することで、原料となる微小結晶セルロースを余すところなく加水分解することができる。
本発明のナノ結晶セルロースの製造装置の一例を示すブロック図である。
以下、本発明のナノ結晶セルロースの製造装置のブロック図を参照しながら、ナノ結晶セルロースの製造方法及びナノ結晶セルロースの製造装置の一例について説明する。
図1に示すように本発明のナノ結晶セルロースの製造装置1は、固体酸触媒21を充填したカラム2と、当該カラム2に微小セルロース懸濁液41を送り込み前記カラム2を通過させ当該カラム2を通過した微小セルロース懸濁液41を再び前記カラム2に送り込む送液ポンプ3と、循環する微小セルロース懸濁液41を加熱する加熱部4とから構成される。カラム2の容量は、反応スケールに応じて変更すればよく、小容量から大容量のものまでを含む。
図1の製造装置1は、送液ポンプ3の前の流路32、送液ポンプ3の後の流路31及び加熱部4の容器に超音波照射部5を備える。本発明の製造方法で製造されるナノ結晶セルロースは液中で凝集しやすい。そこでカラム2に通す前に超音波照射部5で超音波を照射することで分子同士の凝集を防ぎ、固体酸触媒による加水分解の効率を上げることができる。
図1の製造装置1の加熱部4は、原料となる微小セルロース懸濁液41を貯留する容器43と、容器43に密着するように配置される加熱ジャケット42と、図示されない微小セルロース懸濁液41(原料)の投入口と、反応後のナノ結晶セルロースを取り出すための排出口と、カラム2を通過した微小セルロース懸濁液41の流入口と、撹拌子42と、からなる。加熱ジャケット42は、パイプ内に蒸気や熱湯などの熱媒体を流通させる熱交換器である。加熱は、加熱ジャケット42で加熱しながら撹拌子42で緩やかに撹拌してむらなく加熱する。加熱温度は、液温が50〜80℃となるように加熱することが好ましい。加熱温度がこの範囲を下回ると、加水分解の効率が低下し収率が低下する。一方、加熱温度がこの範囲を上回ると、固体酸触媒21が装置の内壁等の各部にこびり付く原因となる。
図1の製造装置1は、2本のカラム2を備える。それぞれのカラム2には所定量の固体酸触媒21を充填する。流入ポンプ3の後の流路31には、流路の切換弁として仕切弁33が配されており、仕切弁33の開閉を切り替えることで、図1の左右いずれのカラムに微小セルロース懸濁液41を通過させるか選択することができる。この場合、左右の仕切弁33の両方を開いて2本のカラムに同時に微小セルロース懸濁液41を通すようにすれば、ナノ結晶セルロースの製造効率を向上させることができる。カラム2の本数は特に限定されず、複数本とすればよい。仕切弁33としては、電動ゲートバルブ等を好適に使用することができる。
左右のカラム2を通過した微小セルロース懸濁液41は、流路切換弁34を経て加熱部4の容器に流入する。図1の流路切換弁34は電磁切換弁であり、通常の状態においてはソレノイドb(sol b)に通電してポートPとポートBを連通させて、左右のカラム2を通過した懸濁液41を加熱部4の容器43に流入させる。一方、例えば左側のカラム2に充填された固体酸触媒21の洗浄が必要になった場合には、左側の仕切弁33を閉じて、左側の流路切換弁34のソレノイドaに通電してポートPとポートAを連通させる。この状態で左側のカラム2に水等の洗浄液23を通して、ドレン22から廃液する。このように、図1の製造装置1は、複数のカラム2を備えるので、固体酸触媒21の洗浄再生が必要になった場合も、反応を停止することなく、メンテナンスを行うことができる。右側のカラム2の洗浄を行う場合は、右側の仕切弁33を閉じて、右側の流路切換弁34のソレノイドa(sol a)に通電すればよい。図1の例ではカラムは2本備える構成を例示したが、3本以上カラム2を備える構成としてもよい。
図1の製造装置1では、加熱部4の容器43に投入された微小セルロース懸濁液41は、送液ポンプ3により吸引され超音波照射部5を通過して、カラム2に流入する。カラム2を通過した微小セルロース懸濁液41は加熱部4に戻され再び送液ポンプ3に吸入される循環経路を形成している。微小セルロース懸濁液41を所定時間循環させて所望の繊維長のナノ結晶セルロース44が得られたら加熱部4の排出口から取り出す。
本発明において使用できる固体酸触媒としては強酸性パーフロロイオン交換樹脂であるNafion NR50やNafion SAC-13、スチレン系強酸性イオン交換樹脂であるAmberlystやDOWEX、硫酸化ジルコニア、カーボン系固体酸などが挙げられる。
カラム2に微小セルロース懸濁液41を循環させて反応を完了した後に、反応液(ナノ結晶セルロース44)を遠心分離機にかけて上澄み液を回収する後処理工程を行ってもよい。反応液に遠心力を加えて密度差によってナノ結晶セルロース44を精製することができる。反応液に加える遠心力は、例えば100から200G程度でよい。
以下、試験装置を用いた実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[微小セルロース懸濁液の調製例1]
1.メルク社製の微結晶セルロース粉末(繊維長20〜160μm、重合度200)に純水を加えて固形分が2重量%となるように濃度調製した懸濁液を作製する。
2.上記1で作製した懸濁液を増幸産業株式会社製の石臼型摩砕機(スーパーマスコロイダー(登録商標):MKCA6-2)に10回通してスラリー状の懸濁体を調製する。石臼型摩砕機のディスク番手は#120、ディスク回転数は1500rpmである。
3.上記2で得たスラリー状の懸濁体を日本電子株式会社製電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM:JSM-7500FA)で観察したところ、繊維幅が50〜500nm、繊維長が8〜60μmであることが確認された。繊維幅及び繊維長は、倍率の異なるSEM写真を3枚選び、その中からランダムに50箇所の繊維径をそれぞれ測定し、その平均値から算出した。
[微小セルロース懸濁液の調製例2]
1.上記調製例1で得たスラリー状の懸濁体を、その濃度が1重量%となるように純水を加えて懸濁液を作製する。
2.上記1で濃度調製した懸濁液を増幸産業株式会社製のせん断力を利用した超微粒化装置(マスコマイザーX:品番MMX-L200-10D)で処理した。処理条件は150MPa、処理回数は10回である。
3.上記2で得たスラリー状の懸濁体を日本電子株式会社製電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM:JSM-7500FA)で観察したところ、繊維幅が10〜200nm、繊維長が8〜60μmであることが確認された。
[装置構成]
内径20mmのクロマトグラフィー用カラムの底部にプラスチック製スクリーンメッシュ2(24メッシュ)を敷き、その上へ固体酸触媒を入れる。加熱部の容器には原料となる微小セルロース懸濁液を入れる。加熱部は、パイレックス(登録商標)製の容器に撹拌子を入れ、容器を5〜180℃の範囲で温度調節可能なオイルバス(アズワン社製ECオイルバス)に固定して構成した。このオイルバスをカラムの下にセットし、送液ポンプの吸引側と加熱部容器とをシリコンチューブで接続した。そして送液ポンプの吐出側とカラムの上端とをシリコンチューブで接続して、懸濁液を循環させながら加水分解を行うことができる試験装置を組み上げた。試験装置のカラムの数は1本である。
[実施例1]
上記の試験装置の容器に、固形分が0.5重量%となるように濃度調製した上記調製例2の懸濁液を500ml入れて、液温が25℃になるまで加熱してから、送液量を300ml/minで送液ポンプを作動させ、懸濁液を4時間に亘ってカラムに循環させて反応を行った。反応終了後、懸濁液を遠心分離(190G)し、上澄みを回収した。沈殿物に純水を加えて均一に分散させた後、再度遠心分離を行って上澄み液を回収した。この工程を数回繰り返して回収した上澄みを合わせた。回収物を105℃で熱風乾燥し、乾燥物の重量から収率を算出した。得られたナノ結晶セルロースの形態観察は電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)によって行い、繊維径の算出は上述のように倍率の異なるSEM写真を3枚選び、その中からランダムに50箇所の繊維径を測定して、その平均値を求めた。ナノ結晶セルロースの収率及び繊維長を表1に示す。固体酸触媒としては、シグマ アルドリッチ社のNafion(登録商標)NR-50(粒径3〜5mm)を用い、カラムに130g(充填層高さ約350mm)を充填した。ナノ結晶セルロースの収率、繊維長及び繊維幅等を表1に示す。
[実施例2]
液温が50℃になるまで加熱したほかは、実施例1と同様の条件となるようにして懸濁液を4時間に亘ってカラムに循環させて反応を行った。ナノ結晶セルロースの収率、繊維幅及び繊維長等を表1に示す。
[実施例3]
液温が80℃になるまで加熱したほかは、実施例1と同様の条件となるようにして懸濁液を4時間に亘ってカラムに循環させて反応を行った。ナノ結晶セルロースの収率及び繊維長を表1に示す。
[比較例1]
固形分を1.0重量%に濃度調製した上記調製例1の懸濁液100mlとシグマ アルドリッチ社のNafion(登録商標)NR50(粒径3〜4mm)5gとをセパラブルフラスコに入れて、70℃のオイルバスに浸けて4時間に亘って加熱撹拌した。加熱撹拌終了後の懸濁液を24メッシュのスクリーンに通して触媒を除去し、その後1200Gで遠心分離して上澄みを回収した。沈殿物に適量純水を加えて十分に分散させた後に再度遠心分離を行い上澄みを回収した。この作業を全10回繰り返し、回収した上澄みを合わせて実施例1と同様に熱風乾燥した。得られたナノ結晶セルロースの繊維幅、繊維長及び収率を表1に示す。繊維幅、繊維長及び収率の測定方法は実施例と同様である。
Figure 0006256672
表1に示したように、実施例1ないし3では比較例に比べて繊維幅及び繊維長共に分布範囲が広かった。本発明によれば、分布範囲の広いナノ結晶セルロースの製造が可能であり、濾過などによって分級することで用途に応じたナノ結晶セルロースを提供することができる。特に、比較例1と比べた場合、実施例1ないし3は、アスペクト比の大きいナノ結晶セルロースを含むことがわかった。
[実施例4]
内径20mmのクロマトグラフィー用カラムの底部にプラスチック製のスクリーンメッシュ(24メッシュ)を敷き、そこに固体酸触媒としてのシグマ−アルドリッチ社のNafion(登録商標)NR-50(粒径3〜5mm)をカラムに100g充填した(充填層高さ約230mm)。そしてカラムの吐出口にメスシリンダーを設置し、カラムへ固形分が0.5重量%となるように濃度調製した上記調製例2の懸濁液を流し込んで、メスシリンダー中に50mlの懸濁液が溜まるまでの時間を測定した。結果を表2に示す。液温は25℃で行った。
[実施例5]
固体酸触媒として、MP Biomedicals社のAmberlyst(登録商標)15(粒径0.8〜1.2mm)を200g、充填層高さ約200mmとなるようにした点以外は実施例4と同様にして、メスシリンダー中に50mlの懸濁液が溜まるまでの時間を測定した。結果を表2に示す。
[実施例6]
固体酸触媒として、The DOW Chemical Company社のDOWEX(登録商標) 50Wx8(粒径150〜300μm)を200g、充填層高さ約150mmとなるようにした点以外は実施例4と同様にして、メスシリンダー中に50mlの懸濁液が溜まるまでの時間を測定した。結果を表2に示す。表2の結果から、固体酸触媒の粒径は0.8〜5mmとすることが好ましい。
Figure 0006256672
○:全く問題なく流れる
△:落下速度はかなり遅くなるが自然落下で流れる
×:目詰まりが生じて流れない
[実施例7]
内径20mmのクロマトグラフィー用カラムの底部にプラスチック製スクリーンメッシュ(24メッシュ)を敷き、その上へ固体酸触媒Nafion(登録商標) NR-50(粒径3〜5mm)を100g入れ(充填層高さ約23cm)、カラム出口にメスシリンダーを設置した。このカラム中へ0.1〜1.5重量%となるように濃度調製した微小セルロース懸濁液を流しこんで、メスシリンダー中に50ml溜まるまでの時間を測定した。また各濃度における微小セルロース分散液の粘度を測定した。粘度測定条件は、コーンプレート型Blookfield DV-III Ultra、スピンドル:CPE-52、25℃である。結果を表3に示す。表3の結果から微小セルロース懸濁液の濃度は0.1〜1.0重量%が好ましい。
Figure 0006256672
◎:全く問題なく流れる
○:落下速度は僅かに遅くなるが十分な流速で流れる
△:落下速度はかなり遅くなるが自然落下で流れる
×:目詰まりが生じて流れない
[比較例2]
固体酸触媒と上記調製例1の懸濁液を混合して回分的に反応を行った場合の固体酸触媒の回収率を調べた。250mlのプラスチック容器に固形分濃度が1.0重量%の懸濁液100mlと、表2の固体酸触媒5gを入れて、当該プラスチック容器を50℃のオイルバスに浸けて激しく撹拌した。そして撹拌終了後の懸濁液をスクリーン(100メッシュ)に通した後、メッシュ上に残った固体酸触媒の量から固体酸触媒の回収率を求めた。
Figure 0006256672
DOWEX 50Wx8の粒径は、カタログ表示では50〜100メッシュであり、100メッシュのスクリーンで濾過できるはずであるが、スクリーン上には固体酸触媒は残らなかった。Amberlyst 15の粒径は、カタログ表示では0.6〜1.0mmであり100メッシュのスクリーンで濾過できるはずであるが固体酸触媒を回収することはできなかった。撹拌時間を4日にすると回収率が2.6%であったことから、撹拌により固体酸触媒が経時的に損傷して粒径が小さくなり、固体酸触媒の回収が不可能になったと推測される。また、スクリーンの目詰まりも回収作業の妨げとなった。
1 ナノ結晶セルロースの製造装置
2 カラム
21 固体酸触媒
3 送液ポンプ
31 流路
32 流路
33 仕切弁
34 流路切換弁
4 加熱部
41 微小セルロース懸濁液
42 加熱ジャケット
5 超音波照射部

Claims (6)

  1. 微小セルロース懸濁液を加熱する加熱工程と、
    固体酸触媒を充填したカラムに加熱した微小セルロース懸濁液を通過させて微小セルロースの非晶質部分を加水分解する加水分解工程と、で処理するナノ結晶セルロースの製造方法であって、
    加水分解工程は、カラムを通過した微小セルロース懸濁液を再びカラムに送り込んで循環させながら加水分解を行う工程であり、
    カラムに充填した固体酸触媒に微小セルロース懸濁液を通過させることで加水分解を行い、撹拌作業を伴わないナノ結晶セルロースの製造方法。
  2. 微小セルロースは、繊維長が1〜200μm、かつ繊維幅が1〜1000nmのセルロース繊維である請求項1に記載のナノ結晶セルロースの製造方法。
  3. カラムに通す前の微小セルロース懸濁液に超音波を照射する超音波照射工程でさらに処理する請求項1に記載のナノ結晶セルロースの製造方法。
  4. 加熱工程は、微小セルロース懸濁液を50〜80℃に加熱する工程である請求項1に記載のナノ結晶セルロースの製造方法。
  5. 固体酸触媒の粒径は0.8〜5mmである請求項1に記載のナノ結晶セルロースの製造方法。
  6. 微小セルロース懸濁液の濃度は0.1〜1.0重量%である請求項1に記載のナノ結晶セルロースの製造方法。
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