JP6949464B2 - 耐火木質部材の設計方法 - Google Patents

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Description

本発明は、柱や梁などの建築構造部材として使用するのに好適な耐火木質部材に関し、特に、部材断面における隅角部の耐火性能を向上した耐火木質部材に関するものである。
従来、木質材料からなる木質柱や木質梁で構造物を構築する場合、木質材料は火災に弱いことから、必要に応じて木質材料を断熱材等で被覆して火災加熱による温度上昇を抑制する対策が行われている。石膏ボード等の断熱材で表層を被覆した四角形断面の木質柱や木質梁などの耐火木質部材が火災加熱を受けると、表層の断熱材を通じた熱伝導によって内側の木質部分が高温になる。
特に、図7に示すように、荷重支持部である木質の芯材1を石膏ボード2で被覆した耐火木質部材においては、火災による周囲からの加熱Fによって、(1)の四角形断面の木質柱にあっては4か所の隅角部3、(2)の床4の下に設けた四角形断面の木質梁にあってはその下端の2か所の隅角部3に対する入熱量が側面部5(に対する単位面積当たりの入熱量)に比べて大きく、側面部5よりも高温になる。これらの隅角部3は断面視で直角2方向からの加熱を受け温度上昇しやすい部分となるので、隅角部3の熱劣化が木質部材の荷重支持性能などの耐火性能における弱点部となる。すなわち、隅角部3が側面部5よりも早く木材の着火温度を超えて燃焼を開始すると、未だ着火温度に至っていない内部や側面部5に延焼し、炭化・灰化による部材断面の欠損を招き、部材耐力が低下することによって構造物を崩壊に至らしめるおそれがある。
これに対し、隅角部の耐火性能を確保するために、様々な工夫を施した耐火木質部材が知られている(例えば、特許文献1〜4を参照)。
特開2012−136939号公報 特許第4871660号公報 特開2015−129431号公報 特開2015−061969号公報
しかしながら、上記の従来の構造では、隅角部の耐火性能を高めるために当該部分に耐火性能が高い材料を特別に使ったり、隅角部に必要な耐火被覆の厚みで部材全体を覆ってしまうことで被覆層が厚くなったりしていた。そのため、耐火木質部材の製造方法が複雑になったり、被覆層が厚くなることで、コストが上がり、部材断面も大きくなるといった問題があった。
このため、従来と同等の構造性能でありながら、部材断面のスリム化を図ることのできる耐火木質部材の開発が求められていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、部材断面のスリム化を図ることのできる耐火木質部材を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る耐火木質部材は、荷重を支持する木質材料からなる芯材を備えた耐火性を有する木質部材であって、芯材の断面の形状は多角形状であり、この多角形状の角部は面取りされており、この面取り寸法は10〜50mmの範囲内にあることを特徴とする。
また、本発明に係る他の耐火木質部材は、上述した発明において、面取り寸法が20〜50mmの範囲内にあることを特徴とする。
また、本発明に係る他の耐火木質部材は、上述した発明において、芯材の角部の面取りされた部分に、熱を反射する反射体が設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る他の耐火木質部材は、上述した発明において、芯材の外側に設けられる燃え止まり層または仕上げ材をさらに備えることを特徴とする。
また、本発明に係る他の耐火木質部材は、上述した発明において、芯材の外側に設けられる燃え止まり層と、この燃え止まり層の外側に設けられる仕上げ材とをさらに備えることを特徴とする。
また、本発明に係る他の耐火木質部材は、上述した発明において、芯材の角部の面取りされた部分と、その外側に設けられる燃え止まり層または仕上げ層との間に中空部が形成されており、この中空部には断熱材および吸熱材の少なくとも一方が設けられていることを特徴とする。
本発明に係る耐火木質部材によれば、荷重を支持する木質材料からなる芯材を備えた耐火性を有する木質部材であって、芯材の断面の形状は多角形状であり、この多角形状の角部は面取りされており、この面取り寸法は10〜50mmの範囲内にあるので、耐火上弱点となる角部の温度上昇を抑制し、角部の耐火性能を著しく向上することができる。したがって、部材を細くしても従来と同等以上の構造性能を確保でき、部材断面のスリム化と低コスト化を図ることができるという効果を奏する。また、この耐火木質部材を室内の柱や梁等に用いることで、室内空間の開放性が高まり、室内を有効活用することが可能となる。
また、本発明に係る他の耐火木質部材によれば、面取り寸法が20〜50mmの範囲内にあるので、耐火上弱点となる角部の温度上昇をより確実に抑制し、角部の耐火性能をより一層向上することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の耐火木質部材によれば、芯材の角部の面取りされた部分に、熱を反射する反射体が設けられているので、面取りされた部分を介しての芯材の温度上昇を効果的に抑制することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の耐火木質部材によれば、芯材の外側に設けられる燃え止まり層または仕上げ材をさらに備えるので、燃え止まり層によって、火災による芯材への熱の伝達を抑制し、芯材の炭化や燃焼を防ぐことができるという効果を奏する。また、仕上げ材によって、芯材の外側に木質感を付与することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の耐火木質部材によれば、芯材の外側に設けられる燃え止まり層と、この燃え止まり層の外側に設けられる仕上げ材をさらに備えるので、燃え止まり層によって、火災による芯材への熱の伝達を抑制し、芯材の炭化や燃焼を防ぐとともに、仕上げ材によって、芯材の外側に木質感を付与することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の耐火木質部材によれば、芯材の角部の面取りされた部分と、その外側に設けられる燃え止まり層または仕上げ層との間に中空部が形成されており、この中空部には断熱材および吸熱材の少なくとも一方が設けられているので、中空部を介しての放射・対流熱伝達による芯材の温度上昇を効果的に抑制することができるという効果を奏する。
図1(1)は、本発明に係る耐火木質部材の実施の形態を示す断面図、(2)は(1)の隅角部拡大図、(3)は本発明の比較例を示す断面図、(4)は(3)の隅角部拡大図である。 図2は、本発明の作用効果を検証するために行った解析モデルの概要図である。 図3は、芯材隅角部温度の経時変化(面取り中空部の反射体なし)を示す図である。 図4は、芯材隅角部温度の経時変化(面取り中空部の反射体あり)を示す図である。 図5は、芯材表面(隅角部〜側面部線対称位置)の温度分布(面取り中空部の反射体なし)を示す図であり、(1)は加熱開始後30分時、(2)は60分時である。 図6は、芯材表面(隅角部〜側面部線対称位置)の温度分布(面取り中空部の反射体あり)を示す図であり、(1)は加熱開始後30分時、(2)は60分時である。 図7は、従来の火災加熱を受ける耐火木質部材の一例であり、(1)は木質柱の水平断面図、(2)は木質梁の鉛直断面図である。
以下に、本発明に係る耐火木質部材の実施の形態について、木質柱の場合を例にとり図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1(1)および(2)に示すように、本実施の形態に係る耐火木質部材100は、荷重を支持する木質材料からなる芯材10と、芯材10の外側に設けられる燃え止まり層12とを備える木質柱である。芯材10の断面の形状は正四角形状(多角形状)であり、この正四角形状の隅角部14(角部)は面取りされている。以下の説明では、この面取りされた部分を面取り部16と呼ぶことにする。
面取り部16の面取り寸法は図2に示した長さLであり、面取り角度は45°である。すなわち本実施の形態の面取り部16の断面形状は、一辺の長さLが等しい直角二等辺三角形であり、その斜辺は芯材10の表面を構成する。面取り寸法Lは、隅角部14の温度上昇を抑制するという本発明の目的を達成するために、10〜50mmの範囲内に設定することが好ましく、温度上昇をより確実に抑制するという観点から20〜50mmの範囲内に設定するのがより好ましい。この面取り部16は、例えば芯材10断面の角を削って面を作ることによって形成することができる。
芯材10は、荷重を支持する集成材(木質材料)からなる。芯材10としては、例えばスギやカラマツ等からなる一般的な集成材を用いて構成することができる。芯材10の太さ(対辺の距離)は用途に応じて適宜調整可能であるが、例えば450mm程度とすることができる。
燃え止まり層12は、耐火性を有する被覆層であり、例えば吸熱性および/または断熱性を有する無機質材料、燃えにくい不燃性の材料、あるいは、熱を受けると発泡して著しく厚みを増し、断熱性を発現する耐火シートや耐火フィルムなどの材料により構成することができる。この燃え止まり層12は火災時において、隣接する内側の芯材10への熱の伝達を防止し、芯材10を炭化や燃焼させない機能を持っており、芯材10への熱伝導を抑制する作用を発揮する。燃え止まり層12を無機質材料で構成する場合には、例えば強化石膏ボード、石膏ボード、ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)等のボード状の材料を用いることができる。また、その厚さは、用途に応じて適宜調整可能である。厚くすると、熱伝導を抑制する効果は向上する。これらのボードは、重ねて所定の厚さにしてもよい。ここで、強化石膏ボード、石膏ボード、ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)等の材料は、極めて安価に入手できるとともに、高い断熱性と吸熱性とを有することから、燃え止まり層12として好適である。また、燃え止まり層12を不燃性の材料により構成する場合には、例えば木材にホウ酸等の薬剤を含浸させて不燃処理した不燃木材を用いることができる。燃え止まり層12の厚さは用途に応じて適宜調整可能であるが、例えば15mm〜45mm程度とするのが好ましく、30mm程度とするのがより好ましい。また、燃え止まり層12を上記の耐火シートや耐火フィルムなどの材料で構成する場合には、その厚さは用途に応じて適宜調整可能であるが、例えば、1mm〜12mm程度とするのが好ましく、1.5mm〜6mm程度とするのがより好ましい。
上記のように構成した耐火木質部材100の作用について説明する。
図1(1)および(2)は本実施の形態を、図(3)および(4)は比較例を示している。比較例は芯材10の隅角部14に面取り部16がない従来型の構造である。図(4)、(2)に示すように、比較例と本実施の形態の燃え止まり層12の厚さをそれぞれt、tとし、火災による周囲からの加熱Fによって隅角部14(ハッチング部分)に流入する熱エネルギーをE、E、隅角部14(ハッチング部分)の温度をT、Tとする。燃え止まり層12の厚さt=tとすると、隅角部14に流入する熱エネルギーE>E、温度T>Tとなる。このため、本実施の形態によれば、比較例に比べて隅角部14の温度上昇を抑制することができる。
このように、耐火木質部材100によれば、熱エネルギーが集中して耐火上弱点となる隅角部14に面取り部16を設けることで、隅角部14の温度上昇を抑制し、その耐火性能を著しく向上することができる。したがって、部材を細くしても従来と同等以上の構造性能を確保でき、部材断面のスリム化と低コスト化を図ることができる。また、この耐火木質部材100を室内の柱(あるいは梁)等に用いることで、室内空間の開放性が高まり、室内を有効活用することが可能となる。
ここで、面取り部16を中空部(以下、面取り中空部ということがある。)として構成してもよい。すなわち、面取り中空部を、芯材10の隅角部14を面取りして形成された芯材10の表面と、その外側に設けられる燃え止まり層12との間に形成される直角二等辺三角形状の空間で形成してもよい。さらに、この面取り中空部に断熱材および吸熱材の少なくとも一方を充填してもよい。こうすることで、面取り中空部を介しての放射・対流熱伝達による芯材10の温度上昇を効果的に抑制することができる。面取り中空部に充填する材料としては、例えば、燃え止まり層12と同じ材料を用いてもよい。
また、図1(2)または図2に示すように、上記の面取り中空部に面する芯材10の表面に、熱を反射する反射体18を設けてもよい。こうすることで、面取りされた部分を介しての芯材10の温度上昇を効果的に抑制することができる。なお、これと併せて面取り中空部に面する燃え止まり層12の表面にも同様の反射体18を設けてもよい。このようにすれば、温度上昇をより一層効果的に抑制することができる。
なお、上記の実施の形態において、燃え止まり層12の外側に木質感を付与するための仕上げ材をさらに備えてもよい。あるいは、芯材10の外側に、燃え止まり層12の代わりに木質感を付与するための仕上げ材を設けてもよい。この仕上げ材によって耐火木質部材100の外表面は木質感や木目調の外観を呈することが可能である。仕上げ材としては、木材や化粧用集成材等の木質材料であることがコスト節減のため望ましいが、クロス材等の建築用仕上げ材を用いてもよい。仕上げ材の厚さは、例えば3mm〜30mm程度とすることが好ましいが、もちろん、これよりも薄くしても構わない。
また、上記の実施の形態において、燃え止まり層12を、作用、機能の異なる2層以上の燃え止まり層で構成してもよい。このようにしても、上記と同様の作用効果を奏することが可能である。
(本発明の作用効果の検証)
次に、本発明の作用効果の検証について説明する。
面取りの範囲とその効果を定量的に把握するために、2次元熱伝導解析による検討を行った。解析モデルは、図2に示すように、20cm角の芯材10を総厚さ30mmの石膏ボードからなる断熱材(燃え止まり層12)で被覆した木質柱である。解析パラメータは面取りの範囲および面取り中空部内面への熱的な反射体の有無である。面取りの範囲に関しては、面取り角度を45°とし、平面形状が直角二等辺三角形となる面取り範囲(芯材10上の二辺と切断面で囲まれる二等辺三角形)の二等辺の長さLをパラメータとしてその水準を0,10,20,30,40,50mmとした。面取り中空部に関しては、熱的反射体(以下、反射体という)の設置の有無をパラメータとした。加熱は、部材表面がIOS834に規定される標準加熱温度時間曲線による1時間加熱を受ける条件とした。石膏ボードの含水率は6wt%、芯材の含水率は10wt%として、100℃における蒸発潜熱を考慮した。反射体の放射率は0.04(アルミニウム箔の放射率相当)とした。また、中空部内における放射熱伝達および対流熱伝達を考慮した、なお、本解析では木質材料の着火温度を超えても木質材料が燃焼しないものと仮定した。
図3と図4に、面取りで生じた隅角部の温度の経時変化を示し、図5と図6に、加熱開始後30分時および60分時の芯材表面の温度分布を示す。
・面取りの有効性と有効範囲
図3〜図6に示されるように、四角形断面(面取り0mm)に対して面取りを行うことによって隅角部の温度上昇が抑制される。さらに、中空部の内表面に反射体を設置することも有効である。面取り範囲に関しては、その二等辺三角形の平面において、二等辺の長さLを長くするほど面取り範囲が広くなるが、図5と図6から二等辺の長さLを50mm以上(面取り50mm以上)にしても面取りの効果は大きく変化しないことが推定される。また、この傾向は部材断面の大小に大きく依存しないことも容易に推定される。一方、芯材の面取り範囲を大きくすると、構造的な部材断面性能(軸剛性、曲げ剛性)が低下することは否めない。これらを勘案すると、部材断面寸法の大小にかかわらず、面取りの一辺の長さLは50mm以下とすることが望ましい。
・面取り中空部(断熱材と芯材で囲まれる部分)の熱特性
図5(2)の60分時の温度分布図にみられるように、本解析では、面取りによって生じた面の温度が隅角部よりも高くなった(図中、符号Gで示される部分)。図6(2)の60分時の温度分布図ではこのような現象は認められないことから、放射・対流熱伝達による熱エネルギーの供給が断熱材を介しての供給を上回ったために生じた現象といえる。
・面取り中空部を介しての芯材温度上昇を抑制する対策
図5と図6の比較から、面取り中空部に面する芯材表面に反射体を設置することが有効であることが確認できる。本解析例では反射体を中空部に面する芯材表面のみに設置したが、これに併せて中空部に面する断熱材の表面にも設置するとさらに有効性が増す。
反射体を設置する他に、面取り中空部に断熱材や吸熱材を充填することも放射・対流熱伝達による温度上昇を抑制する手段として有効であるといえる。面取り中空部に充填する断熱材としては、例えば耐熱ロックウールなどの無機質繊維のバルクやフェルト、高耐熱性の生体溶解性繊維のバルクやフェルトなどが有効である。面取り中空部に充填する吸熱材料としては、例えば自由水(100℃で蒸発する水分)や化学吸着水を多く含むモルタルや水和した石膏など、さらには、吸水した高吸水性ポリマーまたはハイドロゲルを不透湿シート(例えば、PETアルミ紙)で密閉したパック材、酢酸ビニル系接着剤などの水性接着剤が有効である。
なお、上記の説明では、四角形断面の部材を例に取り上げたが、三角形断面や五角形以上の多角形断面の木質部材においても隅角部14の面取りは有効であり、四角形断面の場合と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、芯材10表面を覆う燃え止まり層12と芯材10の間に空間を設けること、または当該空間に断熱材や吸熱材を充填することは、芯材隅角部14の温度上昇を抑制するとともに耐火性能の向上に有効である。
以上説明したように、本発明に係る耐火木質部材によれば、荷重を支持する木質材料からなる芯材を備えた耐火性を有する木質部材であって、芯材の断面の形状は多角形状であり、この多角形状の角部は面取りされており、この面取り寸法は10〜50mmの範囲内にあるので、耐火上弱点となる角部の温度上昇を抑制し、角部の耐火性能を著しく向上することができる。したがって、部材を細くしても従来と同等以上の構造性能を確保でき、部材断面のスリム化と低コスト化を図ることができる。また、この耐火木質部材を室内の柱や梁等に用いることで、室内空間の開放性が高まり、室内を有効活用することが可能となる。
また、本発明に係る他の耐火木質部材によれば、面取り寸法が20〜50mmの範囲内にあるので、耐火上弱点となる角部の温度上昇をより確実に抑制し、角部の耐火性能をより一層向上することができる。
また、本発明に係る他の耐火木質部材によれば、芯材の角部の面取りされた部分に、熱を反射する反射体が設けられているので、面取りされた部分を介しての芯材の温度上昇を効果的に抑制することができる。
また、本発明に係る他の耐火木質部材によれば、芯材の外側に設けられる燃え止まり層または仕上げ材をさらに備えるので、燃え止まり層によって、火災による芯材への熱の伝達を抑制し、芯材の炭化や燃焼を防ぐことができるという効果を奏する。また、仕上げ材によって、芯材の外側に木質感を付与することができる。
また、本発明に係る他の耐火木質部材によれば、芯材の外側に設けられる燃え止まり層と、この燃え止まり層の外側に設けられる仕上げ材をさらに備えるので、燃え止まり層によって、火災による芯材への熱の伝達を抑制し、芯材の炭化や燃焼を防ぐとともに、仕上げ材によって、芯材の外側に木質感を付与することができる。
また、本発明に係る他の耐火木質部材によれば、芯材の角部の面取りされた部分と、その外側に設けられる燃え止まり層または仕上げ層との間に中空部が形成されており、この中空部には断熱材および吸熱材の少なくとも一方が設けられているので、中空部を介しての放射・対流熱伝達による芯材の温度上昇を効果的に抑制することができる。
以上のように、本発明に係る耐火木質部材は、建築構造部材として使用するのに有用であり、特に、部材断面のスリム化ひいては低コスト化を図るのに適している。
10 芯材
12 燃え止まり層
14 隅角部(角部)
16 面取り部
18 反射体
L 面取り寸法
100 耐火木質部材

Claims (1)

  1. 荷重を支持する木質材料からなる芯材を備えた耐火性を有する耐火木質部材を設計する方法であって、
    断面の形状が一辺20cm以上の正方形状である芯材において、この芯材の角部を面取りした形状に設定するとともに、面取りした面取り部の断面形状を一辺の長さLが等しい二等辺三角形として設定し、面取り寸法である二等辺の長さLを、角部の温度上昇を抑制するために10〜50mmの範囲の長さに設計することを特徴とする耐火木質部材の設計方法。
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