JP6664701B2 - 木質構造部材 - Google Patents

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Description

本発明は、荷重を支持するための木質材料からなる芯材と、この芯材の外側に設けられる耐火被覆材とを備える木質構造部材に関するものである。
従来、木質構造部材は、火災加熱等による温度上昇によって耐力低下するだけでなく、炭化・灰化、あるいは燃焼のおそれがあることから、一般には耐火被覆材等によって覆われて火災加熱を直接受けないように保護されている(例えば、特許文献1〜6を参照)。木質構造部材を火災加熱等から保護する耐火被覆材としては、例えば吹付けロックウール、耐熱ロックウールフェルト、けい酸カルシウム板、せっこうボード、発泡性耐火塗料、発泡性耐火シートなどがある。
このうち、せっこうボードは木質構造部材の耐火被覆材として一般的に用いられることが多い。せっこうボード(密度840kg/m程度)による被覆層を厚くすれば耐火性能が向上するため、例えば、2時間耐火性能の耐火木質柱として厚さ21mmのせっこうボード5層で被覆された柱が市販されている。
特開2014−227749号公報 特開2015−129431号公報 特開2015−34437号公報 特開2008−2189号公報 特開2005−36457号公報 特開2003−155790号公報
しかしながら、せっこうボードによる被覆層を厚くすると被覆層の重量も併せて増大するため、施工性の低下や建物重量の増大によるデメリットが懸念されていた。このため、施工性の低下や建物重量の増大を招来しない耐火性能に優れた木質構造部材の開発が求められていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、施工性の低下や建物重量の増大を招来しない軽量で耐火性能に優れた木質構造部材を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る木質構造部材は、荷重を支持する木質材料からなる芯材と、芯材の外側に設けられる空気層と、空気層の外側に設けられる吸熱性および断熱性を有する無機質材料と、無機質材料の外側に設けられる耐火被覆材と、耐火被覆材の外側に設けられる仕上げ材とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る他の木質構造部材は、上述した発明において、空気層が、空気の対流を防止するための対流防止構造によって複数のコアに分割されていることを特徴とする。
また、本発明に係る他の木質構造部材は、上述した発明において、芯材と空気層の間、または、芯材と空気層の間および空気層と無機質材料との間に、放射率が0.08以下の薄膜材が設けられることを特徴とする。
また、本発明に係る他の木質構造部材は、上述した発明において、空気層の厚さが10mm以上であることを特徴とする。
また、本発明に係る他の木質構造部材は、上述した発明において、無機質材料の外側に設けられる耐火被覆材と、耐火被覆材の外側に設けられる仕上げ材とをさらに備えることを特徴とする。
また、本発明に係る他の木質構造部材は、上述した発明において、耐火被覆材が次の(1)〜(3)の温度伝導率(熱拡散率)を有する薄膜材であることを特徴とする。
(1)常温〜200℃のときの温度伝導率が0.0008m/hr以
(2)200〜300℃(遷移過程)のときの温度伝導率が0.0008〜0.003m/hr
(3)300℃以上のときの温度伝導率が0.003m/hr以下
また、本発明に係る他の木質構造部材は、上述した発明において、耐火被覆材が次の(a)〜(c)の熱伝導率を有する薄膜材であることを特徴とする。
(a)常温〜200℃のときの熱伝導率が0.021W/(m・K)以
(b)200〜300℃(遷移過程)のときの熱伝導率が0.021〜0.008W/(m・K)
(c)300℃以上のときの熱伝導率が0.008W/(m・K)以下
また、本発明に係る他の木質構造部材は、上述した発明において、薄膜材が加熱によって体積膨張するものであることを特徴とする。
本発明に係る木質構造部材によれば、荷重を支持する木質材料からなる芯材と、芯材の外側に設けられる空気層と、空気層の外側に設けられる吸熱性および断熱性を有する無機質材料と、無機質材料の外側に設けられる耐火被覆材と、耐火被覆材の外側に設けられる仕上げ材とを備えるので、空気層を設けることによって、必要な無機質材料の厚さを薄くすることができる。無機質材料が薄くなるので、その必要な積層枚数が減って施工性が向上するとともに、木質構造部材の軽量化が図られる。これにより、この木質構造部材を用いた建物の重量を軽減することができる。したがって、施工性の低下や建物重量の増大を招来しない軽量で耐火性能に優れる木質構造部材を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の木質構造部材によれば、空気層が、空気の対流を防止するための対流防止構造によって複数のコアに分割されているので、火災時の無機質材料からの熱が空気層内の空気の対流を通じて芯材に直接的に伝導するのを防ぐことができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の木質構造部材によれば、芯材と空気層の間、または、芯材と空気層の間および空気層と無機質材料との間に、放射率が0.08以下の薄膜材が設けられるので、火災時の芯材に対する遮熱効果を高めることができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の木質構造部材によれば、空気層の厚さが10mm以上であるので、所定の耐火性能(例えば2時間耐火の性能)を実現することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の木質構造部材によれば、無機質材料の外側に設けられる耐火被覆材と、耐火被覆材の外側に設けられる仕上げ材とをさらに備えるので、耐火性能をより一層高めることができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の木質構造部材によれば、耐火被覆材が次の(1)〜(3)の温度伝導率(熱拡散率)を有する薄膜材であるので、内側への熱伝導を抑制することができるという効果を奏する。
(1)常温〜200℃のときの温度伝導率が0.0008m/hr以
(2)200〜300℃(遷移過程)のときの温度伝導率が0.0008〜0.003m/hr
(3)300℃以上のときの温度伝導率が0.003m/hr以下
また、本発明に係る他の木質構造部材によれば、耐火被覆材が次の(a)〜(c)の熱伝導率を有する薄膜材であるので、内側への熱伝導を抑制することができるという効果を奏する。
(a)常温〜200℃のときの熱伝導率が0.021W/(m・K)以
(b)200〜300℃(遷移過程)のときの熱伝導率が0.021〜0.008W/(m・K)
(c)300℃以上のときの熱伝導率が0.008W/(m・K)以下
また、本発明に係る他の木質構造部材によれば、薄膜材が加熱によって体積膨張するものであるので、火災時に内側への燃焼の進行を遅らせることができるという効果を奏する。
図1は、本発明に係る木質構造部材の実施の形態を示す水平断面図である。 図2は、本発明に係る木質構造部材の実施の形態の変形例を示す鉛直断面図である。 図3は、本発明に係る木質構造部材の実施の形態の他の変形例を示す図であり、(1)は鉛直断面図、(2)は芯材側面図(格子状パターンの場合)、(3)は芯材側面図(水平帯状パターンの場合)である。 図4は、本発明に係る木質構造部材からなる柱部材の断面のモデル化を説明する図であり、(1)はモデル化部分Aを示す断面図、(2)は部分Aの1次元モデル図である。 図5は、本発明の効果を検証するために行った解析ケース1〜4の解析結果を示すグラフ図であり、(1)は全体図、(2)は要部拡大図である。 図6は、本発明の効果を検証するために行った解析ケース5〜7の解析結果を示すグラフ図であり、(1)は全体図、(2)は要部拡大図である。
以下に、本発明に係る木質構造部材の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1に示すように、本実施の形態に係る木質構造部材10は、建物の柱部材等に用いられ、荷重を支持する木質材料からなる芯材12と、芯材12の外側に設けられる空気層14と、空気層14の外側に設けられる吸熱性および断熱性を有するせっこうボード16(無機質材料)と、せっこうボード16の外側に設けられる薄膜の耐火被覆材18と、耐火被覆材18の外側に設けられる木質化粧材20(仕上げ材)とを備える。
つまり、この木質構造部材10は、火災時に加熱される外側の表面から内側に向けて木質化粧材20、耐火被覆材18、せっこうボード16、空気層14の順に積層した耐火性を有する被覆層が芯材12の外側周囲を覆うことで構成されている。
空気層14は、空気の対流を防止するための図示しない対流防止構造によって多数のコアに分割されている。この対流防止構造は、例えば周知のハニカムコア(例えば紙製のハニカムコアなど)や複数の小さな空気袋を備えるエアー緩衝材(例えばエアセルマットやエアーキャップ(登録商標))などを用いて構成することができる。対流防止構造により空気層14内部の空気の対流は防止されるので、火災時にせっこうボード16からの熱は直接的に芯材12に伝導しない。なお、空気層14の厚さは内側への熱伝導を抑制するため厚いほどよく、例えば10mm以上の厚さとするのが望ましい。
この空気層14は、せっこうボード16からの蒸発水分(水蒸気)を滞留させ、かつ、沸点(大気圧で約100℃)以下の温度において、水蒸気を水に凝縮させる空間としての機能も有している。凝縮水は、空気層14の温度が沸点を超える温度になった時に蒸発潜熱によって空気層14の空間の温度上昇を抑制する効果を発揮すると考えられる。
また、後述するように、木質材料からなる芯材12の表面にアルミ箔のような放射率が比較的小さい薄膜材を設ける場合、高温になるせっこうボード16表面からの放射熱の流入を抑制するだけでなく、芯材12表面からの水分の逸散・放出を抑制することになり、芯材12表面の温度上昇を抑制する効果が得られる。
空気層14は、対流を起こさない構造であることが最も重要なため、本実施の形態では上述したようにハニカムコアやエアー緩衝材などを用いた対流防止構造としているが、本発明の空気層14はこれに限るものではなく、例えば以下に示すような構造とすることもできる。
例えば、図2に示すように、空気層14内に水平板状の仕切り板14aを上下方向に所定間隔で複数配置し、空気層14内部の空間を上下複数に仕切る構成としてもよい。仕切り板14aを複数配置することによって空気層14内の対流による熱伝達を抑制することができる。仕切り板14aの設置間隔は概ね10cm以下としてよい。仕切り板14aの材質はせっこうボードのような無機質材料、紙のような材質でも構わないが、せっこうボード16−芯材12の熱橋(ヒートブリッジ)にならないものが好ましく、せっこうボード16や芯材12の熱伝導率以下の材料がより好ましい。
また、図3(1)に示すように、芯材12の側面を凹凸状に加工して凸部12a、凹部12を設けるとともに、凸部12aの外側にせっこうボード16を設け、せっこうボード16と凹部12間によって形成されるセル状の空間を利用して空気層14を構成してもよい。この場合、せっこうボード16と芯材12との境界面に薄い断熱材22(例えば厚さ5mm以下)を挟み込んで上記のセル状の空間を形成してもよい。断熱材22としては、例えばロックウールフェルト、生体溶解性繊維フェルトなどを用いることができる。凹凸の配置パターンとしては、図3(2)に示すように、凸部12a、凹部12を格子状に配置した格子状パターンでもよいし、図3(3)に示すように、水平帯状の凸部12a、凹部12を上下方向に交互に配置した水平帯状パターンでもよい。
また、図1に示すような構造において、空気層14を発泡スチロールのような発泡プラスチックで構成してもよい。発泡スチロールは、気泡を含ませたポリスチレンからなり、体積の98%は空気でできている。発泡スチロールの別称としては発泡ポリスチレン、発泡スチレン、ポリスチレンフォーム、スチレンフォーム、スタイロフォーム(登録商標)がある。また、発泡スチロールの原材料であるポリスチレンは耐熱温度が約80〜90℃であり、それ以上加熱すると軟化・融解することから、加熱により発泡スチロールが溶けてなくなっても、そこには空気の層が形成される。発泡スチロールの引火点は345〜360℃、自然発火温度は488〜496℃程度といわれており、芯材12を構成する木の引火点が260℃程度であることから、木が燃え出す前に発泡スチロールが燃えることはないので、耐火性能を低下させることにはならない。
なお、熱伝導率が小さい材料ほど断熱性能は高い。熱伝導率(W/(m・K))の値は、例えば空気0.024、発泡スチロール0.040、木材0.14、水0.58、鉄83.5である。このように、発泡スチロールの熱伝導率は空気よりも高いが、火災加熱時に溶けてなくなってしまえばこの部分は空気の層となるため、大きく耐火性能を低下させることにはならない。
上記の実施の形態において、芯材12と空気層14の間、または、芯材12と空気層14の間および空気層14とせっこうボード16との間に、放射率が比較的小さい薄膜材を設けて遮熱効果を高めてもよい。ここで、放射率が小さいほど遮熱効果は高くなることから、放射率がより小さい材料で薄膜材を構成することが好ましく、例えば放射率が0.08以下の薄膜材を用いてもよい。この要件を満たす薄膜材としては、例えばアルミニウム等の材料がある。良く磨かれたアルミニウムの表面、普通に磨されたアルミニウムの表面の放射率は、0.08〜0.04程度と比較的小さく、こうした材料を薄膜材として用いれば、外側から照射される熱放射を反射する性能が向上するので好ましい。また、放射率が小さい薄膜材を芯材12や空気層14に貼り付ける態様で用いれば、比較的簡易に施工できるとともに火災時の芯材12に対する遮熱効果を高められるので望ましい。
耐火被覆材18としては、次の(1)〜(3)の温度伝導率(熱拡散率)を有する薄膜材を用いることが内側への熱伝導を抑制するうえで望ましい。
(1)常温〜200℃のときの温度伝導率が0.0008m/hr以
(2)200〜300℃(遷移過程)のときの温度伝導率が0.0008〜0.003m/hr
(3)300℃以上のときの温度伝導率が0.003m/hr以下
また、耐火被覆材18として、次の(a)〜(c)の熱伝導率を有する薄膜材を用いることが内側への熱伝導を抑制するうえで望ましい。
(a)常温〜200℃のときの熱伝導率が0.021W/(m・K)以
(b)200〜300℃(遷移過程)のときの熱伝導率が0.021〜0.008W/(m・K)
(c)300℃以上のときの熱伝導率が0.008W/(m・K)以下
また、上記の耐火被覆材18に用いる薄膜材としては、加熱により増厚(体積膨張)して断熱性を発現する材料を用いれば、火災時に内側への燃焼の進行を遅らせることができるので望ましい。この薄膜材としては、例えば厚さが2mm程度で、熱を受けると発泡して著しく厚みを増し、断熱性を発現する発泡性耐火材、耐火シート、耐火フィルムなどの材料を用いることができる。
耐火被覆材18として、薄膜状あるいは薄板状の発泡性耐火材(発泡性耐火塗料や発泡性耐火シートを含む)を用いる場合、発泡する主成分として一般的にはリン酸アンモニウムが使用されることが多く、200〜300℃の温度範囲で膨張する。この発泡性耐火材の温度依存変化の区分は、次のように考えることができる。
・初期状態(常温〜200℃):発泡性耐火材が薄膜状あるいは薄板状の状態のままで発泡による形状変化がなく、熱伝導率が大きい温度範囲である。
・遷移状態(200〜300℃):発泡性耐火材が薄膜状あるいは薄板状の状態から発泡を開始して体積膨張する温度範囲で、熱伝導率が遷移状態にある温度範囲である。
・安定状態(300℃以上):発泡性耐火材の発泡が終了して一定の体積を有する安定状態で、熱伝導率も安定状態に入る温度である。
耐火被覆材18の高温時における熱伝導率、温度伝導率(熱拡散率)の好適な範囲については、上記の発泡性耐火材の温度依存変化の区分を前提として行った実験結果に基づいて設定している。
本実施の形態によれば、火災時において最も外側の木質化粧材20が燃え代層として機能し、耐火被覆材18、せっこうボード16、空気層14がこの順で燃え止まり層として機能することになる。外側の耐火被覆材18は、より内側のせっこうボード16、空気層14への燃焼の進行を遅らせる機能を有する。また、内側のせっこうボード16、空気層14は、外側の耐火被覆材18が火災により上記機能を失った後に、芯材12への熱の伝達を防止し、芯材12を炭化や燃焼させない機能を有する。このように、燃え止まり層が、耐火被覆材18、せっこうボード16、空気層14による機能・材料の異なる3層からなり、これらの層厚を薄くしても、火災時の断熱性を確保することができ、例えば、少なくとも2時間耐火の性能を確保可能である。また、燃え止まり層全体の厚さを薄くできるので、同じ断面積の芯材12を有する耐火仕様の部材において、部材全体の断面積を小さくできる。したがって、本実施の形態によれば、所定の耐火性能を有しつつ、部材のスリム化が図られた木質構造部材10を提供することができる。
特に、本実施の形態によれば、空気層14を設けることによって、必要なせっこうボード16の厚さを薄くすることができる。せっこうボード16が薄くなるので、その必要な積層枚数が減って施工性が向上するとともに、木質構造部材10の軽量化が図られる。これにより、この木質構造部材10を用いた建物の重量を軽減することができる。したがって、施工性の低下や建物重量の増大を招来しない軽量で耐火性能に優れる木質構造部材を提供することができる。
(本発明の効果の検証)
本発明の効果を検証するために、2時間の火災加熱に対して、木質構造部材10の芯材12の表面温度が120℃以下になる柱部材の断面仕様に関する検討を数値解析による伝熱計算により行った。検討対象の柱部材のモデル断面図を図4(1)に示す。図4(1)に示すような検討対象を、図4(2)に示すように1次元モデル化して数値解析を行った。解析ケースを表1に示す。
Figure 0006664701
表1に示すように、各解析ケースにおいては木質化粧材20の厚さを15mmとし、発泡性耐火材からなる薄膜の耐火被覆材18の厚さを2mmとし、使用枚数を1枚とした。また、せっこうボード16の厚さを30mm〜55mmの範囲で変えるとともに、空気層14がない場合、空気層14の厚さが5mm、10mmの場合を設定し、さらに、空気層14の内側の面(片面)に放射率0.04のアルミ箔(アルミニウム箔)からなる薄膜材を貼り付ける場合、貼り付けない場合を設定した。
芯材12の表面温度に関する解析ケース1〜4の解析結果を図5に、解析ケース5〜7の解析結果を図6に示す。図5(1)、図6(1)は全体図であり、図5(2)、図6(2)は縦軸の縮尺を拡大した要部拡大図である。
図5に示すように、2時間の加熱を受けて芯材12の表面の最高温度を120℃以下にするには、せっこうボード16の総厚を55mm以上にしなければならないことがわかる。一方、図6に示すように、せっこうボード16の厚さを45mmとし、空気層の厚さを10mmとしてその内側の面(片面)にアルミニウム箔を貼り付けると、2時間の加熱を受けた場合の芯材12の表面の最高温度を120℃以下にすることができる。
せっこうボード16の密度を840kg/mと仮定すると、厚さ10mmの空気層14を設けることによって1平方メートル当たり12.6kgの軽量化が可能である。上記の実施の形態の木質構造部材10を適用した角型の柱部材の外寸が高さ3m、一辺の長さ1mと仮定すると、柱部材1本当たり約150kgの軽量化が可能となる。
このように、本実施の形態に係る木質構造部材10によれば、空気層14を設けることによって、必要なせっこうボード16の厚さを薄くすることができる。せっこうボード16が薄くなるので、必要な積層枚数が減って施工性が向上するとともに、木質構造部材10の軽量化が図られる。これにより、この木質構造部材10を用いた建物の重量を軽減することができる。したがって、本実施の形態によれば、施工性の低下や建物重量の増大を招来しない軽量で耐火性能に優れた木質構造部材を提供することができる。
以上説明したように、本発明に係る木質構造部材によれば、荷重を支持する木質材料からなる芯材と、芯材の外側に設けられる空気層と、空気層の外側に設けられる吸熱性および断熱性を有する無機質材料と、無機質材料の外側に設けられる耐火被覆材と、耐火被覆材の外側に設けられる仕上げ材とを備えるので、空気層を設けることによって、必要な無機質材料の厚さを薄くすることができる。無機質材料が薄くなるので、その必要な積層枚数が減って施工性が向上するとともに、木質構造部材の軽量化が図られる。これにより、この木質構造部材を用いた建物の重量を軽減することができる。したがって、施工性の低下や建物重量の増大を招来しない軽量で耐火性能に優れる木質構造部材を提供することができる。
また、本発明に係る他の木質構造部材によれば、空気層が、空気の対流を防止するための対流防止構造によって複数のコアに分割されているので、火災時の無機質材料からの熱が空気層内の空気の対流を通じて芯材に直接的に伝導するのを防ぐことができる。
また、本発明に係る他の木質構造部材によれば、芯材と空気層の間、または、芯材と空気層の間および空気層と無機質材料との間に、放射率が0.08以下の薄膜材が設けられるので、火災時の芯材に対する遮熱効果を高めることができる。
また、本発明に係る他の木質構造部材によれば、空気層の厚さが10mm以上であるので、所定の耐火性能(例えば2時間耐火の性能)を実現することができる。
また、本発明に係る他の木質構造部材によれば、無機質材料の外側に設けられる耐火被覆材と、耐火被覆材の外側に設けられる仕上げ材とをさらに備えるので、耐火性能をより一層高めることができる。
また、本発明に係る他の木質構造部材によれば、耐火被覆材が次の(1)〜(3)の温度伝導率(熱拡散率)を有する薄膜材であるので、内側への熱伝導を抑制することができる。
(1)常温〜200℃のときの温度伝導率が0.0008m/hr以
(2)200〜300℃(遷移過程)のときの温度伝導率が0.0008〜0.003m/hr
(3)300℃以上のときの温度伝導率が0.003m/hr以下
また、本発明に係る他の木質構造部材によれば、耐火被覆材が次の(a)〜(c)の熱伝導率を有する薄膜材であるので、内側への熱伝導を抑制することができる。
(a)常温〜200℃のときの熱伝導率が0.021W/(m・K)以
(b)200〜300℃(遷移過程)のときの熱伝導率が0.021〜0.008W/(m・K)
(c)300℃以上のときの熱伝導率が0.008W/(m・K)以下
また、本発明に係る他の木質構造部材によれば、薄膜材が加熱によって体積膨張するものであるので、火災時に内側への燃焼の進行を遅らせることができる。
以上のように、本発明に係る木質構造部材は、荷重を支持するための木質材料からなる芯材と、この芯材の外側に設けられる耐火被覆材とを備える木質構造部材に有用であり、特に、施工性の低下や建物重量の増大を招来しない木質構造部材として適している。
10 木質構造部材
12 芯材
12a 凸部
12b 凹部
14 空気層
14a 仕切り板
16 せっこうボード(無機質材料)
18 耐火被覆材
20 木質化粧材(仕上げ材)
22 断熱材

Claims (7)

  1. 荷重を支持する木質材料からなる芯材と、
    芯材の外側に設けられる空気層と、
    空気層の外側に設けられる吸熱性および断熱性を有する無機質材料とを備え
    空気層が、空気の対流を防止するための対流防止構造によって複数のコアに分割されていることを特徴とする木質構造部材。
  2. 荷重を支持する木質材料からなる芯材と、
    芯材の外側に設けられる空気層と、
    空気層の外側に設けられる吸熱性および断熱性を有する無機質材料とを備え
    芯材と空気層の間、または、芯材と空気層の間および空気層と無機質材料との間に、放射率が0.08以下の薄膜材が設けられることを特徴とする木質構造部材。
  3. 荷重を支持する木質材料からなる芯材と、
    芯材の外側に設けられる空気層と、
    空気層の外側に設けられる吸熱性および断熱性を有する無機質材料とを備え
    空気層の厚さが10mm以上であることを特徴とする木質構造部材。
  4. 無機質材料の外側に設けられる耐火被覆材と、
    耐火被覆材の外側に設けられる仕上げ材とをさらに備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の木質構造部材。
  5. 耐火被覆材が次の(1)〜(3)の温度伝導率(熱拡散率)を有する薄膜材であることを特徴とする請求項に記載の木質構造部材。
    (1)常温〜200℃のときの温度伝導率が0.0008m/hr以
    (2)200〜300℃(遷移過程)のときの温度伝導率が0.0008〜0.003m/hr
    (3)300℃以上のときの温度伝導率が0.003m/hr以下
  6. 耐火被覆材が次の(a)〜(c)の熱伝導率を有する薄膜材であることを特徴とする請求項またはに記載の木質構造部材。
    (a)常温〜200℃のときの熱伝導率が0.021W/(m・K)以
    (b)200〜300℃(遷移過程)のときの熱伝導率が0.021〜0.008W/(m・K)
    (c)300℃以上のときの熱伝導率が0.008W/(m・K)以下
  7. 薄膜材が加熱によって体積膨張するものであることを特徴とする請求項またはに記載の木質構造部材。
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