JP6949425B2 - パーキングポールの支持構造 - Google Patents

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本発明は、パーキングポールの支持構造に関する。
車両用の自動変速機には、当該自動変速機を搭載した車両の駐車時に、出力軸の回転を規制するためのパーキング機構が設けられている(例えば、特許文献1)。
特開平11−82736号公報
図3は、従来例にかかるパーキングポールの支持構造を説明する図である。
図3の(a)は、パーキング機構を説明する模式図である。
図3の(b)は、図3の(a)における面Aでの切断面を模式的に説明する図である。
なお、図3の(b)では、ポールシャフト700の外径と支持穴210の内径との寸法差を誇張して記載してある。実際はこの寸法差はごく僅かである。
図3の(a)に示すように、パーキング機構10は、図示しないセレクトレバーの操作に連動して中心軸X回りに回転するマニュアルシャフト2と、マニュアルシャフト2と一体に回転するロッドプレート3と、長手方向の一端42側の連結部45がロッドプレート3で支持されたパークロッド4と、パークロッド4により操作されるパーキングポール5と、を有している。
パークロッド4の他端41側には、パーキングポール5を駆動するためのカム8が設けられている。カム8によりパーキングポール5が駆動されると、パーキングポール5の係止爪51が、出力軸9に設けられたパーキングギヤ90に係合して、出力軸9の回転が規制される(図中、矢印a参照)。
図3の(b)に示すように、従来例にかかるパーキングポール5の支持構造100では、パーキングポール5は、ポールシャフト700で支持されている。
ポールシャフト700においてパーキングポール5は、出力軸9の軸線方向に平行な軸線(以下、軸線Yと標記する)回りに回動可能に支持されている。
パーキングポール5は、ボルトBで変速機ケース20に取り付けられたブラケット600によってポールシャフト700からの脱落が規制されている。
ポールシャフト700は、当該ポールシャフト700の長手方向の一端710側が変速機ケース20の支持穴210に挿入されており、他端720側がブラケット600の貫通孔610に挿入されている。
ここで、ポールシャフト700と支持穴210の寸法差はごく僅かであると共に、変速機ケース20の支持穴210は止まり穴である。従って、軸線Y方向におけるポールシャフト700の一端710と変速機ケース20の支持穴210とで囲まれた空間R3は密閉空間となる。
ポールシャフト700を支持穴210に挿入すると、空間R3の空気が圧縮される。これにより、空間R3の内圧が変速機ケース20内の空間R2の内圧より高まる。よって、空間R3の内圧は、ポールシャフト700を支持穴210から押し出す方向(空間R2側)に作用する。
支持穴210から押し出されたポールシャフト700は、他端720がブラケット600の貫通孔610の底壁部620を押圧し、底壁部620が変形または磨滅する。そうすると、ポールシャフト7が脱落して、パーキングポール5を保持できなくなる。従って、出力軸9の回転を規制できなくなる。
そのため、ポールシャフトを変速機ケースの支持穴に挿入しても、ポールシャフトの一端と変速機ケースの支持穴とで囲まれた空間が密閉空間とならないようにすることが求められている。
本発明は、
変速機の出力軸と一体に回転するパーキングギヤと、
長手方向の一端側が変速機ケースの支持に挿入されていると共に、前記出力軸に平行な軸線に沿う向きで配置された軸状の支持部材と、
前記支持部材における前記変速機ケース内に位置する他端側で回動可能に支持されたパーキングポールと、を有し、
前記パーキングポールの前記軸線回りの回動より、前記パーキングポールの係合部を、前記パーキングギヤの外周の歯部に係脱させるように構成されたパーキング機構におけるパーキングポールの支持構造であって、
前記支持部材は、当該支持部材の他端を支持すると共に前記変速機ケースに固定された規制部材により、前記支持穴から脱落する方向の変位が規制されており、
前記支持穴内の空間と前記変速機ケース内の空間とを連通させる連通孔を、前記支持部材を前記長手方向に貫通して設け
前記支持穴は、前記変速機ケースを貫通する貫通孔である構成とした。

本発明によれば、ポールシャフトの一端と変速機ケースの支持穴とに囲まれた空間が密閉空間とならないようにすることができる。
パーキングポールの支持構造を説明する図である。 変形例にかかるパーキングポールの支持構造を説明する図である。 従来例にかかるパーキングポールの支持構造を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態を、パーキングポール5の支持構造1を採用した自動変速機を例に挙げて説明する。
図1は、パーキングポール5の支持構造1を説明する図である。
図1の(a)は、パーキング機構10を説明する図である。
図1の(b)は、図1の(a)におけるパーキングポール5周辺を面Aで切断した断面を模式的に示す図である。
なお、ポールシャフト7の外径と支持穴210の内径との寸法差を誇張して記載してある。実際はこの寸法差はごく僅かである。
図1に示すように、車両用の自動変速機には、当該自動変速機を搭載した車両の駐車時に、出力軸9の回転を規制するためのパーキング機構10が設けられている。
[パーキングポール5]
図1の(a)に示すように、パーキングポール5は板状の基部50を有している。図1の(b)に示すように、この基部50には、当該基部50を厚み方向に貫通する挿通穴55が形成されている。
パーキングポール5は、挿通穴55を貫通したポールシャフト7で回動可能に支持されている。
ポールシャフト7は、長手方向の一端7a側と、他端7b側が、それぞれ、変速機ケース20の支持穴210と、ブラケット6の貫通孔61で支持されている。
この状態においてポールシャフト7は、出力軸9に平行な軸線Yに沿う向きで設けられている。
そのため、ポールシャフト7で支持されたパーキングポール5は、軸線Y回りに回動可能となっており、このパーキングポール5の回動により、基部50に設けた係合部51が、パーキングギヤ90の外周に設けた歯部91に係脱するようになっている。
[ポールシャフト7]
図1の(b)に示すように、ポールシャフト7は当該ポールシャフト7を長手方向に貫通する貫通孔70を有する筒状部材である。貫通孔70は、ポールシャフト7の長手方向の全長に亘って内径d1で形成されている。ポールシャフト7の長手方向の一端7a側は、後記する変速機ケース20の支持穴210に挿入されている。ポールシャフト7の長手方向の他端7b側は、後記するブラケット6の貫通孔61に挿入されている。
[変速機ケース20]
図1の(b)に示すように、変速機ケース20は、当該変速機ケース20の内側(図中、右方向)に突出するボス部21、26を有している。ボス部21は、軸線Yに沿って変速機ケース20の内側に突出している。ボス部26は、軸線Yに平行な軸線Y1に沿って変速機ケース20の内側に突出している。
ボス部21の先端面21aと、ボス部26の先端面26aは、それぞれ軸線Y、Y1に対して直交する平坦面となっている。
ボス部26の先端面26aは、ボス部21の先端面21aよりも変速機ケース20の内側に位置している。軸線Y、Y1方向における先端面26a、21aの離間距離L1は、パーキングポール5の厚みT1より僅かに長い距離に設定されている。
ボス部21には、開口を変速機ケース20内に向けた有底の支持穴210が設けられている。この支持穴210の底部212には、変速機ケース20の外部と内部とを連通する連通孔211が開口している。支持穴210の中心線と連通孔211の中心線は、軸線Y上で略一致している。
支持穴210は、連通孔211の内径D2よりも大きい内径であって、ポールシャフト7の外径D1と整合する内径で形成されている(D1>D2)。支持穴210の底部212は、支持穴210と連通孔211との境界となる段部となっている(以下、底部212を段部212とも標記する)。
ボス部26は、ボルト穴261を有している。このボルト穴261は、ボス部26の中心を軸線Y1に沿って直線状に設けられており、ボルト穴261は、変速機ケース20の内部に開口している。
ボス部26の先端面26aには、軸線Y方向からブラケット6が当接している。ブラケット6は、貫通孔62を貫通させたボルトBにより、ボス部26に固定されている。
[ブラケット6]
ブラケット6は、軸線Y方向から見て矩形形状を成す板状部材である(図1の(a)参照)。ブラケット6では、板状の基部60の一端側と他端側に、貫通孔61、62が形成されている。貫通孔61、62は、基部60を厚み方向に貫通している。
前記したようにブラケット6は、貫通孔62を貫通したボルトBにより、ボス部26に固定されており、この状態において、ブラケット6は、変速機ケース20の内側で、軸線Yに直交する向きで設けられている。
さらに、この状態においてブラケット6の貫通孔61は、当該貫通孔61の中心線が、軸線Yと略重なる位置に配置されている。
ブラケット6は、軸線Y方向における一方側の面6aと他方側の面6bが、互いに平行な平坦面となっており、ブラケット6は、一方側の面6aと他方側の面6bを、軸線Yに直交させた向きで、ボス部26に固定されている。
ブラケット6は、軸線Yに直交する方向の長さL2が、軸線Yと軸線Y1の軸間距離Lxよりも長くなっており、ボス部21の先端面21aとボス部26の先端面26aに跨がる長さL2を有している。
そのため、ブラケット6では、一方側の面6aにおける貫通孔61を囲む周縁部が、軸線Y方向でパーキングポール5の基部50に対向している。
この状態において、パーキングポール5は、変速機ケース20側のボス部21と、ブラケット6とによって、軸線Y方向の変位が規制されている(図1の(b)参照)。
また、ブラケット6では、一方側の面6aにおける貫通孔62を囲む周縁部が、ボス部26の端面26aに軸線Y1方向から全面に亘って接触している。
ブラケット6では、貫通孔61の他方側の面6b側に、かしめ部611が設けられている。貫通孔61におけるかしめ部611が設けられた領域は、ポールシャフト7の外径D1よりも小さい内径になっている。
ポールシャフト7の長手方向の一端7a側は、変速機ケース20の支持穴210に挿入されており、他端7b側は、ブラケット6の貫通孔61に挿入されている。
ポールシャフト7は、支持穴210と連通孔211との境界である段部212と、ブラケット6の貫通孔61のかしめ部611とによって、軸線Y方向の移動が規制されている。
ここで、図1の(b)に示すように、ポールシャフト7の貫通孔70は、当該ポールシャフト7の一端7aと変速機ケース20の支持穴210とで囲まれた空間R1と、変速機ケース20内の空間R2とに開口している。
そのため、空間R1は、ポールシャフト7の貫通孔70を介して空間R2と連通しておいるので、空間R1が密閉空間とはならない。
さらに、空間R1及び空間R2は、連通孔211を介して、変速機ケース20の外部と連通しており、支持孔210と連通孔211がブリーザとして機能する。
これにより、自動変速機を搭載した車両の走行中など変速機ケース20の内圧が大気圧よりも高くなった場合に、図示しないオイルシールなどのシール境界面からオイルOLが漏れることを防止出来る。
以上の通り、実施の形態では、
(1)変速機の出力軸9と一体に回転するパーキングギヤ90と、
長手方向の一端7a側が変速機ケース20の支持穴210に挿入されていると共に、出力軸9に平行な軸線Yに沿う向きで配置された軸状のポールシャフト7(支持部材)と、
ポールシャフト7における変速機ケース20内に位置する他端7b側で回動可能に支持されたパーキングポール5と、を有し、
パーキングポール5の軸線Y回りの回動より、パーキングポール5の係合部51を、パーキングギヤ90の外周の歯部91に係脱させるように構成されたパーキング機構10におけるパーキングポール5の支持構造1であって、
ポールシャフト7は、当該ポールシャフト7の他端7bを支持すると共に変速機ケース20に固定されたブラケット6(規制部材)により、支持穴210から脱落する方向の変位が規制されており、
支持穴210内の空間と変速機ケース20内の空間とを連通させる貫通孔70(連通孔)を、ポールシャフト7を長手方向に貫通して設けた構成とした。
このように構成すると、ポールシャフト7の一端7aと変速機ケース20の支持穴210で囲まれた空間R1が、ポールシャフト7の貫通孔70を通って変速機ケース20内の空間R2と連通する。従って、ポールシャフト7を変速機ケース20の支持穴210に挿入しても、空間R1が密閉空間とならないようにすることができる。
(2)ブラケット6は、ポールシャフト7の他端7b側が挿入される貫通孔61(挿入孔)を有しており、
貫通孔61では、支持穴210とは反対側に、ポールシャフト7の他端7bが当接するかしめ部611が設けられており、
ポールシャフト7は、他端7bが当接するかしめ部611により、支持穴210から脱落する方向の変位が規制されている構成とした。
このように構成すると、支持穴210にポールシャフト7を挿入する際に、支持穴210内の空間R1は、ポールシャフト7の貫通孔61を介して、変速機ケース20の内部の空間R2と連通した状態で保持される。
そのため、支持穴210が密閉空間にはならないので、ポールシャフト7を支持穴210に挿入しても、支持穴210内の内圧が高まることはない。
支持穴210の内圧が高まると、ポールシャフト7が内圧により支持穴210から脱落する方向に押されて、ポールシャフト7の他端7bがブラケット6に圧接することになる。上記のように構成すると、支持穴210の内圧が高まることがないので、ポールシャフト7の他端7bがブラケット6に圧接しない。
そのため、ブラケット6の貫通孔61に設けたかしめ部611によって、ポールシャフト7が支持穴210から脱落する方向の変位を簡単に規制することができる。
よって、ポールシャフト7の支持穴210から脱落する方向への移動を規制するために、ブラケット6の軸線Y方向の厚みを厚くする必要がない。
ブラケット6の厚みを、ポールシャフト7の他端7bの支持に必要な厚みまで、薄くすることができる。これにより、ブラケット6の軽量化が可能になるので、パーキング機構10を搭載した自動変速機の軽量化に寄与することができる。
(3)支持穴210は、変速機ケース20を貫通する連通孔211(貫通孔)を有する構成とした。
このように構成すると、支持孔210と連通孔211とがブリーザとして機能するので、オイルシールなどのシール境界面からのオイルOL漏れを防止することが出来る。
図2は、変形例にかかるパーキングポール5の支持構造を説明する図である。
図2の(a)は、変形例1にかかるパーキングポール5の支持構造1Aを説明する図である。
図2の(b)は、変形例2にかかるパーキングポール5の支持構造1Bを説明する図である。
なお、これら変形例は図1の(a)におけるパーキングポール5周辺を面Aで切断した断面に相当する図を記載している。
[変形例1]
図2の(a)に示すように、連通孔211には、変速機ケース20の外側からブリーザホースHが挿入されている。このブリーザホースHは図示しないオイルパンに接続されている。
自動変速機を搭載した車両の走行中に、変速機ケース20内のオイルOLは、出力軸9の回転などにより撹拌される。この撹拌により、オイルOLの一部が霧状となることがある。
そのため、連通孔211に、オイルパン側に連絡するブリーザホースHを挿入することで、霧状のオイルOLが、連通孔211から変速機ケース20の外部に向けて放出されても、放出されたオイルOLを、ブリーザホースHを介して回収することができる。
このように、
(4)連通孔211には、変速機ケース20の外側からブリーザホースHが挿入されている構成としても良い。
このように構成すると、霧状のオイルOLが、連通孔211から変速機ケース20の外部に向けて放出されても、放出されたオイルOLを、ブリーザホースHを介して回収することができるので、オイルOLの消費量を抑えることができる。
[変形例2]
図2の(b)に示すように、連通孔211は、当該連通孔211にブリーザキャップCが嵌入している。ブリーザキャップCは、変速機ケース20の内部と外部との連通を遮断している。
これにより、空気のみを連通孔211から変速機ケース20の外部へ排出し、オイルOLが連通孔211から変速機ケース20の外部へ漏出することを防ぐことができる。
(5)連通孔211は、当該連通孔211に嵌入したブリーザキャップCで変速機ケース20の内部と外部との連通が遮断されている構成とした。
このように構成すると、空気のみを変速機ケース20の外部へ排出し、オイルOLが変速機ケース20の外部へ漏出することを防ぐことができる。よって、オイルOLの消費量を抑えることができる。
1、1A、1B 支持構造
2 マニュアルシャフト
3 ロッドプレート
4 パークロッド
5 パーキングポール
6 ブラケット
7 ポールシャフト
8 カム
9 出力軸
10 パーキング機構
20 変速機ケース
21 ボス部
26 ボス部
50 基部
51 係止爪
55 挿通孔
61 貫通孔
70 貫通孔
7a 一端
7b 他端
210 支持穴
211 連通孔
212 段部
611 かしめ部
B ボルト
C ブリーザキャップ
H ブリーザホース
R1、R2 空間
X 軸線
Y 軸線

Claims (4)

  1. 変速機の出力軸と一体に回転するパーキングギヤと、
    長手方向の一端側が変速機ケースの支持に挿入されていると共に、前記出力軸に平行な軸線に沿う向きで配置された軸状の支持部材と、
    前記支持部材における前記変速機ケース内に位置する他端側で回動可能に支持されたパーキングポールと、を有し、
    前記パーキングポールの前記軸線回りの回動より、前記パーキングポールの係合部を、前記パーキングギヤの外周の歯部に係脱させるように構成されたパーキング機構におけるパーキングポールの支持構造であって、
    前記支持部材は、当該支持部材の他端を支持すると共に前記変速機ケースに固定された規制部材により、前記支持穴から脱落する方向の変位が規制されており、
    前記支持穴内の空間と前記変速機ケース内の空間とを連通させる連通孔を、前記支持部材を前記長手方向に貫通して設け
    前記支持穴は、前記変速機ケースを貫通する貫通孔である、パーキングポールの支持構造。
  2. 前記規制部材は、前記支持部材の他端側が挿入される挿入孔を有しており、
    前記挿入孔では、前記支持穴とは反対側に、前記支持部材の他端が当接するかしめ部が設けられており、
    前記支持部材は、前記他端が当接するかしめ部により、前記支持穴から脱落する方向の変位が規制されている請求項1に記載のパーキングポールの支持構造。
  3. 前記支持穴には、前記変速機ケースの外側からブリーザホースが挿入されている請求項1または2に記載のパーキングポールの支持構造。
  4. 前記支持穴には、当該支持穴に嵌入したブリーザキャップで前記変速機ケースの内部と外部との連通が遮断されている請求項1または2に記載のパーキングポールの支持構造。
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